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レノボ ideapad S530 の実機レビュー
CPU | Core i7-8565U Core i5-8265U |
---|---|
メモリ | 8GB |
ストレージ | PCIe SSD |
液晶サイズ | 13.3型 |
液晶種類 | フルHD IPS 非光沢 |
質量 | 約1.19kg |
バッテリー | 約11.4時間 |
価格 | 8万円台~(税別) |
ideapad S530は、バランスのいい13.3型モバイルノートPCです。
第8世代Coreプロセッサー、8GBメモリ、256GBのSSD、フルHD IPS 非光沢液晶を搭載した構成で、大体の作業は快適に行えます。質量も約1.19kgと比較的軽く、バッテリー駆動時間もまずまずで、王道スペックのモバイルPCと言えるでしょう。
それでいて、価格は安く、8万円台(税別)から購入可能です。コストパフォーマンスはかなり高いと思います。
ただし、SDカードリーダーが無い、USB Type-CポートがPower Deliveryに対応していないなど、注意すべき点もあります。
レビュー機は、当サイトの購入品です。
レビュー機の構成
Core i5-8265U、8GBメモリ、256GB PCIe SSD
目次
お忙しい方は、「ideapad S530の特徴」のみお読みください。
ideapad S530の特徴
高いコストパフォーマンス
ideapad S530は、必要十分なスペックを備え、価格も安く、非常にコストパフォーマンスの高いモバイルノートPCです。
利用する人が少なそうな機能はザックリと排除していますが、その代わり価格が安い製品です。ただ、安いと言ってもCPUや液晶の品質は高く、作業はサクサクできると思います。かゆいところには手が届きませんが、必要十分な機能はしっかりと備えているPCです。
CPUには最新の「Whiskey Lake-U」を搭載し、液晶には広視野角のIPSパネルを搭載しています。さらに色域も比較的高く、映り込みの少ない非光沢液晶で、仕事などがやりやすいです。
モバイルPCにとって大切な、質量とバッテリー駆動時間もまずまずで、持ち運びもしやすいです。さらに、急速充電に対応しているので、充電残量が少なくなったときでも、カフェや新幹線などで短時間である程度充電できます。
ナローベゼル採用でコンパクト
ideapad S530は、今やどのノートパソコンにもあたり前のように搭載されていますが、液晶のベゼルの幅が狭いナローベゼルを採用しています。本体がコンパクトになりますし、見た目もすっきりしています。
SDカードリーダーはなし
上で、「ideapad S530は、利用する人が少なそうな機能は排除している」と書きましたが、その1つとして、SDカードリーダーが搭載されていません。カメラユーザーなどが、外出先でSDカードの内容をPCに取り込みたいときに不便だと思います。小型のSDカードリーダーを使ったり、無線でPCに取り込んだり、一旦クラウドにアップロードするなどの運用をする必要があります。
純粋にデータ保存容量を増やしたい方も少し困ると思います。USBメモリを使うという方法もありますが、容量の大きいものが少なく、また小型のものでも、どうしても少し本体から出っ張ってしまいます。
USB Type-CはPowerDelivery非対応
次に、ideapad S530は、USB Type-Cポートを備えているものの、PowerDelivery(PD)には対応していません。PowerDeliveryに対応していれば、小型のPD充電器が利用できるため、外出先で充電するときに便利ですが、本製品はそれができません。外出先で充電するときは、純正のACアダプター(専用コネクタ)を持ち歩く必要があります。
しかも、純正のACアダプターは、電源ケーブルも込みで、330g(当サイトの計測値)となっておりやや重いです。
メモリはオンボードで8GB固定
ideapad S530は、メモリがオンボードで、しかも8GB以外の選択肢がありません。
一般的なユーザーなら8GBあれば十分足りますが、編集系の作業をする方は8GBのメモリだと足りない場合もあります。そういった場合の用途に本製品は適しません。
レノボの既存機種との比較
レノボには、同サイズで似たような構成のPCがいくつかあります。そこで、ideapad S530、Yoga S730、ideapad 720Sの3機種を比較し、下の表にまとめてみました。ちなみに、Yoga S730は、Yogaという名前ですがコンバーチブル型ではなく、ideapad S530と同じクラムシェル型のPCです。
ideapad S530は、質量はやや重いものの、液晶が非光沢で、HDMIポートも搭載しています。価格も安いです。
[本製品] ideapad S530 |
Yoga S730 | ideapad 720S | |
画像 | |||
CPU | Core i5-8265U | Core i5-8250U | |
メモリ | 8GB | ||
ストレージ | 256GB SSD (PCIe) | ||
液晶サイズ | 13.3型 フルHD | ||
液晶種類 | IPS 非光沢 | IPS 光沢 | IPS 非光沢 |
質量 | 約1.19kg | 約1.1kg | 約1.14kg |
USB type-C | USB 3.1 | USB 3.1 Gen 2 x2 USB 3.1 Gen 1 |
USB 3.0 USB 3.1 |
フルサイズUSB | 2 | 0 | 2 |
HDMI | 1 | 0 | 0 |
サイズ[mm] | [幅]308.3 [奥行]211 [高さ]14.8 |
[幅]約307 [奥行]210 [高さ]11.9 |
[幅]約305.9 [奥行]213.82 [高さ]13.6 |
バッテリー | 約11.4時間 | 約12.0時間 | 約12.0時間 |
価格(税込) | 86,810円 | 108,683円 | 91,595円 |
※価格は変動する可能性があります
ライバル機種との比較
他社メーカーのライバル機種とも比較します。今回は、13.3型の液晶を搭載し、10万円を切るようなコスパの高い製品と比較します。選んだのは、デルのNew Inspiron 13 7000と、ドスパラのAltair F-13KRです。下の表にまとめていますが、ideapad S530の価格は税別価格に換算して表示しています。
ideapad S530は、この中では、質量が軽く液晶も非光沢で見やすいです。
頻繁にSDカードから読み込む場合などは、New Inspiron 13 7000のようなインターフェース構成にアドバンテージがあります(ただし読み込み速度はやや遅い)。また、Altair F-13KRは、CPUの点ではわずかに劣るものの、現在セールをやっており価格が安く、国内生産という安心感があります。
[本製品] ideapad S530 |
デル New Inspiron 13 7000 (7380) |
ドスパラ
Altair F-13KR |
|
画像 | |||
CPU | Core i5-8265U (Whiskey Lake) |
Core i5-8250 (Kaby Lake) |
|
メモリ | 8GB | ||
ストレージ | 256GB SSD | ||
液晶サイズ | 13.3型 フルHD | ||
液晶種類 | IPS 非光沢 | IPS 光沢 | 広視野角 非光沢 |
質量 | 約1.19kg | 約1.33kg | 約1.19kg |
インター フェース |
USB 3.0 x2 USB 3.1 Type-C HDMI |
USB 3.1 x2 USB 3.1 Type-C HDMI SDカードリーダー |
USB 3.0 x2 USB 3.0 Type-C HDMI microSDリーダー |
サイズ[mm] | [幅]308.3 [奥行]211 [高さ]14.8 |
[幅]309.66 [奥行]215.7 [高さ]15.19 |
[幅]316 [奥行]217 [高さ]15.9 |
バッテリー | 約11.4時間 (45Wh) |
9時間31分 (38Wh) |
約45Wh |
価格(税別) | 80,380円 | 92,113円 | 84,980円 |
※価格は変動する可能性があります
液晶ディスプレイのチェック
ideapad S530の液晶ディスプレイのチェックです。
液晶型番は「LG LP133WF7 SPB1」でした。なお、複数の液晶メーカーから調達している可能性が高いので、他の型番のパネルが搭載される可能性があります。
最大輝度は、292cd/m2と普通です。
視野角は広いです。
カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線です。中間部が強調されているため、実際の画面はやや暗めの画像になっています。ただ、一般ユーザーであれば、ほぼ気にはなりません。
色域はノートパソコンとしてはやや広いです。
当サイトの計測では、sRGBカバー率が97.8%、sRGB比が99.2%でした。
画素形状です。ギラつきはほとんど感じません。
非光沢液晶ですので、映り込みは低減されています。
キーボードおよびタッチパッドのチェック
キーボードとタッチパッドのチェックです。
実測で、キーピッチは約19mm(横方向)、約18.5mm(縦方向)で十分な間隔です。キーストロークは約1.2mmです。個体差なのかもしれませんが、従来のideapadシリーズよりもやや浅くなった気がします。
実際に打ってみて、ややキーストロークが浅いかなという印象を受けましたが、普通に打てるキーボードだと思います。
ただ、従来よりも、1つの穴に複数のキーが配置されている箇所が多くなりました。例えば、「Backspace」と「\」などです。打ちやすさに影響は出ませんが、見た目が格好悪いです。
キーボードバックライトも搭載しています。
タッチパッドは十分な面積があり、指の動かしやすさも普通です。クリックボタンも普通の押しやすさです。
パフォーマンスのチェック
パフォーマンスのチェックです。
CPU
CPUは、第8世代インテルCoreプロセッサーの中でも最新のWhiskey Lake-Uを搭載しています。一般的な用途なら困ることのない性能です。
今回、Core i5-8265Uで計測しましたが、CINEBENCHのスコアが高く、他のPCで計測したCore i7-8565Uよりも高いスコアでした。
~ CINEBENCH R15 マルチコア ~
※[レビュー機で計測]と書かれたCPU以外は、他のPCで計測した代表値です
ただ、処理に時間のかかるエンコードは、CPUクロックが定期的に落ちるため、そこまで速くありませんでした。とは言っても、遅いわけでもなく、他のCore i5-8265U搭載PCと同じくらいの時間でした。
~ TMPGEnc Video Mastering Works 6によるエンコード時間 ~
※[レビュー機で計測]と書かれたCPU以外は、他のPCで計測した代表値です
ストレージ
ストレージは、PCIe SSDを搭載しています。3,000MB/sを超えるような速度は出ませんでしたが、十分速く、OSやアプリの起動は高速です。
~ CrystalDiskMark Seq Q32T1 Read [MB/s] ~
※[レビュー機で計測]と書かれたストレージ以外は、他のPCで計測した代表値です
レビュー機で計測したベンチマーク
以下、レビュー機で計測したベンチマーク結果を掲載します。
TMPGEnc VMW 7 |
TMPGEnc VMW 6 |
|
x265でエンコード (※1) | 32分07秒 | 32分19秒 |
NVENCでエンコード (※2) | ー | ー |
QSVでエンコード (※3) | 2分58秒 | 3分04秒 |
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
※3 CPU内蔵のハードウェアエンコーダー
エンコード中のCPUクロックは一定で動作せず、上がったり下がったりを繰り返しています。そのため、CINEBENCHなど短時間で終わる処理は高いスコアでしたが、エンコードのように長時間かかる処理はそれほど速くはなく、普通の速度でした。
質量のチェック
ideapad S530の質量のチェックです。
メーカー公表値では、約1.19kgとなっています。他の代表的なモバイルノートと比較すると、普通の質量だと思います。
当サイトで計測した質量は次の通りで、ほぼメーカー公表値通りです。ACアダプターについては、電源ケーブルが太いことと、65Wの大きめの容量であるため、やや重いです。
質量 | |
PC本体 | 1.182kg |
ACアダプター | 330g |
バッテリー駆動時間のチェック
ideapad S530のバッテリー駆動時間のチェックです。
本機のバッテリー容量は45Whです。
バッテリー駆動時間のメーカー公表値は、JEITA2.0測定法で、約11.4時間と記載されています。
当サイトで計測したバッテリー駆動時間は次のようになります。
バッテリー駆動時間 | |
PCMark 8 Work テスト ※1 | 5時間27分 |
動画再生時 ※2 | 7時間21分 |
※1 ブラウザでのショッピング/大量の画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャットなどを実行
※2 ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
他の代表的なモバイルノートと比較すると、普通の駆動時間だと思います。他のモバイルノートのバッテリー駆動時間の詳細については、「軽量でロングバッテリーなモバイルPC・ランキング」をご覧ください。
急速充電に対応しているので、約1時間の充電で最大80%の充電が可能とあります(おそらくPCシャットダウン時の計測だと思います)。
当サイトで計測した1時間あたりの充電容量(PCを起動しアイドル状態で計測)は、62%でした。
1時間あたりの充電容量 | |
アイドル時 | 62%(約28Wh) |
以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は変わります。
静音性のチェック
動作音(静音性)のチェック結果です。
アイドル時や動画再生時はほぼ動作音は聞こえません。それ以外の状態の動作音は、他のモバイルノートと比較して普通だと思います。
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
パーツの温度のチェック
各パーツの温度のチェック結果です。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。
普通の温度です。エンコード時の温度については、一定ではなく変化していたので、詳細を次に掲載します。
エンコード時の温度の詳細
下図は、CPU使用率がほぼ100%になるエンコード時のCPU温度の詳細です。最初のターボブースト時の温度は別として、それ以降の温度は、75℃あたりを超えるとCPUクロックが下がり、それに伴い温度も60℃台に下がるというのを繰り返しています。75℃でもそれほど高い温度ではないので、なぜクロックダウンするのかは不明ですが、温度の面で問題はありません。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。
全体的にそれほど温度は上がりません。快適に使えると思います。
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、確認できた最も高い数値を掲載しています。
やや低めの消費電力です。
外観のチェック
ideapad S530の外観写真を掲載します。
ボディ素材は、メーカーサイトに明記されてはいませんが、実機を見るとおそらくアルミ製ではないかと思われます。
天板です。「Lenovo」のロゴが控えめなのはいいと思います。
ideapad S530のスピーカーは、HARMAN製です。HARMAN社は、JBLなどのブランドを有するオーディオメーカーです。スピーカーは、ノートパソコンにしてはややいい音質だと思います。勝手に点数をつけると、10点満点で6点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。
指紋認証装置も搭載しています。
液晶は、ほぼ180度開きます。対面の人に画面を見せるときに便利です。座高が高い人も「液晶が傾く角度が足りない」といったことにはならないでしょう。
インターフェースは、次の通りです。前述しましたが、ideapad S530には、SDカードリーダーが搭載されていません。ここは残念な点です。ただ、インターフェースがUSB Type-Cのみという構成のモバイルノートも増えてきている中、ideapad S530は、HDMIやフルサイズのUSBポートも備えているため、極端にポート類が少ないわけでもありません。
底面はすっきりとしています。
底面カバーを外したときの画像です。なお、カバーを外すには、T5 トルクスドライバーが必要です。
メモリはオンボードとなっており換装できません。
M.2 SSDは換装できると思います。
ただし、ネジにシールが貼られているため、このシールを剥がした時点で、サポート対象外になってしまう可能性があります。
底面カバーの裏側です。
ACアダプターは、ややサイズが大きく、電源ケーブルも太いです。その代わり65Wの大きめの容量で、急速充電にも対応しています。
まとめ
以上が、ideapad S530のレビューです。
13.3型のモバイルノートはライバル機種が多いですが、その中でも、性能、サイズ、バッテリー、価格のバランスがよい製品だと思います。キーボードのバックライトや、指紋センサーなど、便利な機能も搭載しています。
ただし、SDカードリーダーが無い点、USB Type-CがPowerDeliveryに対応していない点、ACアダプターが重い点など、いくつか妥協が必要なポイントもあります。
これらが気にならなければ、十分なスペックは備えつつも、価格も抑えられており、コストパフォーマンスが高くいい製品だと思います。
詳細・購入はこちら
レノボ 公式サイト
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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