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デル Inspiron 14 (5415) の実機レビュー
CPU | Ryzen 5 5500U Ryzen 7 5700U |
---|---|
メモリ | 8GB |
ストレージ | 最大 512GB PCIe SSD |
液晶サイズ | 14インチ |
液晶種類 | FHD 広視野角 非光沢 |
質量 | 1.442kg |
バッテリー | 54Wh |
価格[税込] | 7万円台~ |
Inspiron 14 5415は、非常に人気の高かったInspiron 14 5405の後継モデルで、最新のRyzen 5000 Uシリーズプロセッサーを搭載した非常にコスパの高いノートPCです。
Ryzen 5 5500U、8GBメモリ、256GB SSDの十分なスペックで、約7万円から購入することが可能です。
15インチクラスのノートPCと比べると、軽量・コンパクトなので、取り扱いがしやすい製品です。
なお、メモリは1枚挿しであるため、ゲームなどをする方は、(自己責任となりますが)2枚挿しに換装するといいでしょう。
レビュー機は、当サイトの購入品です。今回は以下の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Ryzen 5 5500U、8GBメモリ(8GBx1)、256GB NVMe SSD
目次
お忙しい方は、「Inspiron 14 5415 の特徴」のみお読みください。
Inspiron 14 5415 の特徴
最新のRyzen 5000 プロセッサーを搭載
Inspiron 14 5415は、最新のAMD Ryzen 5000 Uシリーズを搭載したノートPCです。スレッド数が従来のRyzen 4000 Uシリーズの2倍になったことで、下のグラフのように、マルチコア性能がかなり上がっています。負荷のかかる処理がより高速になっています。
なお、Ryzen 5000 Uシリーズには、Zen 2とZen 3のプロセッサーがありますが、本製品で搭載できるのは、Zen 2アーキテクチャのプロセッサーとなります。Zen 3のプロセッサーが搭載できないのはやや残念です。
Ryzen 7 5800U |
Ryzen 7 5700U |
Ryzen 5 5600U |
Ryzen 5 5500U |
|
アーキテクチャ | Zen 3 | Zen 2 | Zen 3 | Zen 2 |
CPUコア / スレッド数 | 8 / 16 | 6 / 12 | ||
基本クロック | 1.9GHz | 1.8GHz | 2.3GHz | 2.1GHz |
最大ブースト クロック | 4.4GHz | 4.3GHz | 4.2GHz | 4.0GHz |
L3キャッシュ | 16MB | 8MB | 16MB | 8MB |
GPUコア数 | 8 | 7 | ||
グラフィックス 周波数 [MHz] |
2000 | 1900 | 1800 | 1800 |
非常に高いコストパフォーマンス
Inspiron 14 (5415)は、Ryzen 5000 Uシリーズの高性能プロセッサーを搭載していながら価格は安く、非常にコストパフォーマンスの高い製品です。
例えば、Ryzen 5 5500U、8GBメモリ、256GB SSDという一般的ユーザーにちょうどいい構成で、7万円(セール時期なら6万円台)から購入することが出来ます。後述する細かい機能は無くてもいいので、ある程度性能が高い製品を安く買いたいという方におすすめです。
コンパクト・軽量で扱いやすい
Inspiron 14 5415の質量は1.442kgとなっています。モバイルノートではないため、そこまで軽いわけではありません。ただし、15インチクラスのノートPCと比べると、コンパクトで軽いため、室内でちょっとPCを移動するときや、机の引き出しに収納するときなどに扱いやすいです。
メモリスロットは2つあるが、標準搭載メモリは8GBのみ
Inspiron 14 5415はいくつかモデルがありますが、どのモデルも8GBが1枚しか搭載されていません。1枚のみのメモリだと、2枚のときと比べてメモリ帯域が2分の1となり、特にグラフィック性能が落ちてしまいます。
底面カバーを開けると、メモリスロットは2つあるので、もしゲームなどグラフィックスに負荷がかかるアプリを使用しようと考えている場合、自分でメモリを2枚にしたほうがいいと思います。なお、メモリの換装はメーカーサポート対象外ですので、自己責任でお願いします。
指紋認証装置はオプション
Inspiron 14 5415は、電源ボタンと一体化した指紋認証装置を搭載することが可能です。軽く電源ボタンに触れるだけで、スリープ解除とログインが行えます。
ただし、指紋認証装置はオプションになっています。必要なら搭載するのを忘れないようにしましょう。
enter周りのキーが改善
従来モデルのInspiron 14 5405は、enterキーやbackspaceキーなどが小さく、タイプミスしやすくなっていましたが、新モデルのInspiron 14 5415は、これらのキーが大きくなり、タイピングしやすくなりました。個人的には、特にbackspaceが押し間違えやすいと思っていたので、嬉しい改善点です。
また、左と右の矢印キーも大きくなり押しやすくなりました。ただし、pg upやpg dnキーは、Fnと一緒に押すことが必要になりました。pg dnなどを多用する方は、やや残念に思うかもしれません。
バッテリー駆動時間が長い
従来モデルは40Whのバッテリー容量であったのに対し、Inspiron 14 5415は54Whと大幅に増えており、バッテリー駆動時間が大きく延びています。また、下図の通り、ライバル機種のIdeaPad Slim 550 (14)等や、モバイル用に特化したVAIO SX14やThinkPad X1 Carbon等よりも長い駆動時間です。
部屋を移動して、パソコンをバッテリー状態で操作する場合など、とても便利でしょう。
やや残念なポイント
Inspiron 14 5415のやや残念なポイントですが、上でも挙げましたが、メモリが8GBx1しか選択できず、Ryzen 5000シリーズの本来のグラフィック性能が出ない点です。
また、細かな点としては、Thunderboltに対応していない、ディスプレイの色域がやや狭い、Inspiron 15 5515のようにデュアルSSDにできないといった点があります。ただ、この辺りは、一般的なユーザーであれば、そこまで必要としない機能かなと思うので、人によってはそれほどデメリットにはなりません。
各用途の快適度
各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧 Office作業 |
◎ | スペックは十分なので、サクサク動くでしょう。 |
---|---|---|
オンライン会議 | ○ | カメラもスピーカーも普通の性能です。 |
動画鑑賞 | ○ | ディスプレイの色がややくすんで見えますが、スペックは十分で、問題なく動画視聴できます。 |
RAW現像 画像編集 |
△ | ディスプレイの色域が狭いので、画像を編集する用途には向かないでしょう。 |
動画編集 | △ | FHDの簡易的な動画編集ならできまなくもありませんが、メモリが8GBだと、メモリ不足になるケースが多いかもしれません。また、動画編集をするには決して高いスペックではないので、頻繁に動画編集したり、4K動画をするなら、外部GPUを搭載したもっとスペックの高いノートPCのほうがいいと思います。色域が狭いので、色を補正したりする方にも適しません。 |
ゲーム | △ | メモリが1枚しか搭載されていないため、ゲームは難しいです。自分でメモリを2枚挿しデュアルチャネルにできれば、グラフィック品質などを下げることで、VALORANT、フォートナイトなどの軽いゲームなら出来ます。 |
ディスプレイのチェック
Inspiron 14 5415のディスプレイのチェックです。パネルは、「CYHFW 140HCA」でした。
視野角は広いので一般ユーザーには十分な品質のディスプレイです。ただし、色域が狭いため、ある程度正確な色で画像などを表示したい方や、画像の編集などをしようと思っている方は、別のPCのほうがいいと思います。最大輝度は、当サイトの計測では273cd/m2と普通です。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 映り込み・
ギラつき - フリッカー
キーボードおよびタッチパッドのチェック
Inspiron 14 5415のキーボードのチェックです。
実測で、キーピッチは横:19mm、縦:18mmです。キーストロークは約1.4mmとなっており、標準的な数値です。また、前述したように、backspaceやenterのキーサイズが大きくなったことで、タイプミスが減ることでしょう。
タッチパッドの指の動かしやすさは普通です。クリックボタンはやや固め(クリックしたときに力が必要)です。
キーボードバックライトも搭載しています。
パフォーマンスのチェック
Inspiron 14 5415のパフォーマンスのチェックです。
CPU
Inspiron 14 5415のプロセッサーには、AMD Ryzen 5000 Uシリーズが搭載されています。シングルコア性能はそれほど高くありませんが、マルチコア性能は非常に高く、Ryzen 7 ではなく、Ryzen 5 5500Uでも、HシリーズのCore i7-10750Hに迫るスコアが出ていました。
~ CPU性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
メモリ
メモリは、DDR4-3200を搭載しています。シングルチャネルなので速度は遅いです。
なお、参考までに、Inspiron 15 5515に搭載されていた8GBx2のメモリを抜いて、Inspiron 14 5415のメモリと換装してデュアルチャネルにして計測してみましたが、速度が約2倍になっていました。
~メモリ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア
グラフィックス
シングルチャネルなので、グラフィックスの性能は低めです。デュアルチャネルにすると約2倍のスコアにまで上がります。ゲームをするなら、デュアルチャネルのほうがいいと思います。
~ グラフィックス性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
ストレージ
ストレージには、PCIe-NVMe SSDを搭載しており高速です。
~ ストレージ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
SDカードスロット
micros SDカードスロットを搭載していますが、アクセス速度は遅いです。
その他のベンチマーク
その他のベンチマーク、Adobe LightroomやPremiere Proの書き出し時間、フォートナイトやApex、ファイナルファンタジー14などのフレームレートなどについては、下のリンク先をご覧ください。他の機種で計測したスコアではありますが、大きくは変わらないので参考になると思います。
USB Type-C / HDMIの動作テスト
USB Type-Cの動作チェック
USB Type-Cポートは、Thunderbolt 3には対応していません。
ただ、PowerDeliveryとDisplayPort出力には対応しているので、多くの機器が使用出来ます。
充電 | モニター 出力 |
有線LAN | ||
ドック | ThinkPad USB Type-C ドック | ○ | ○ | ○ |
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック | ○ | × | × | |
PD充電器 ※1 |
61W RAVPower GaN充電器 | ○ | ― | ― |
45W Lenovoウルトラポータブル | ○ | ― | ― | |
30W RAVPower GaN充電器 | ○ | ― | ― | |
18W cheero充電器 | ○ | ― | ― | |
モニター ※2 |
EIZO ColorEdge CS2740 | ○ | ○ | ― |
Philips 258B6QUEB/11 | ○ | ○ | ○ |
※2 Type-Cケーブルで接続し、PCへの給電も出来るモニター
HDMIの動作チェック
4KテレビへHDMIで接続したときの詳細です。4Kで表示は出来ていますが、リフレッシュレートは最大で30Hzでした。1920x1080のディスプレイなら60Hzで動作可能です。
質量のチェック
Inspiron 14 5415の質量のチェックです。
メーカーサイトには「約1.442kg」となっています。当サイトの計測値は下表の通りで、少し公表値より重いですが、ほぼ同じ質量です。外出時に持参するのには、やや重いかなと思いますが、持っていけないこともありません。
また、15インチクラスのノートPCよりは軽いので、ちょっとした移動や収納時には便利です。
質量 | |
PC本体 | 1.427kg |
ACアダプター+電源ケーブル | 323g |
バッテリー駆動時間のチェック
Inspiron 14 5415のバッテリー駆動時間のチェックです。
バッテリーは54Whで、一般的なノートPCとしては多めの容量です。
バッテリー駆動時間は下の通りで、長めです。例えば、普段は自分の部屋でPCを使っているけど、たまにリビングへPCを持っていって作業をするような場合、ACアダプターを持っていかなくても、十分長い時間操作できるので便利です。
バッテリー駆動時間 | |
(1) JEITA2.0 | ー |
(2) PCMark 10 Modern Office | 14時間31分 |
(3) 動画再生時 | ー |
(4) PCMark 8 Work | 11時間41分 |
(1) メーカー公表値
(2) 文書作成、ブラウジング、ビデオ会議といった事務作業。アイドル時も多く軽めの処理
(3) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
(4) ブラウザでのショッピング/画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャット等。やや重めの作業
バッテリー駆動時のCINEBENCH R23のスコアです。ややスコアは落ちますが、極端に落ちているわけではないため、ほとんどの作業は快適にできるでしょう。
:バッテリー駆動時のスコア
パーツの温度のチェック
Prime95実行時のCPU温度
Prime95で全CPUコアの使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU温度およびCPU電力の推移を確認します。
CPU電力は最初は28Wと高めのCPU電力で動作していますが徐々に下がり、最終的には17Wで落ち着いています。他の製品もこのくらいのCPU電力で推移しているケースが多いです。
CPU温度は最大83℃くらいまで上がっていますが、最終的には70℃前後まで下がっているため、温度面は問題ないでしょう。
静音性のチェック
Inspiron 14 5415の動作音(静音性)のチェック結果です。
アイドル時はほぼ無音です。負荷をかけたときの温度は"普通~やや低め"だと思います。
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。特に、手の平を置くパームレストの温度変化は重要です。
高い負荷をかけると、左パームレストの温度がやや上がる点が気になりますが、実際使ってみるとそれほど気にはなりませんでした。
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。
モバイル向けのプロセッサーなので、低めの消費電力です。
外観のチェック
Inspiron 14 5415の外観のチェックです。
今回は、「プラチナシルバー」の本体カラーですが、キーボード面はグレーのカラーとなっています。
天板は選択したカラー名の通り、シルバーです。
横から見ると、液晶側とキーボード側の色がやや異なることがわかると思います。
ディスプレイを開くと、キーボードの奥側が持ち上がり、傾斜が付いてタイピングしやすくなります。その代わり、排気熱が液晶側に当たるので、液晶を痛めそうです。
スピーカーは、2Wのステレオスピーカーで、底面に配置されています。最大音量は大きめで、音質も比較的良いです。ノートPC基準で、10点満点で採点すると6点くらいです(当初5点にしていましたが、普通のノートよりはいいかなと思い直したので6点に変更しました)。
Webカメラは720pで、画質は普通です。シャッターが搭載されており、レバーをスライドさせることで、Webカメラを物理的に隠すことができます。IRカメラは搭載されていないため、顔認証によるログインはできません。
また、天板はシルバーですが、液晶ベゼルはブラックです。色が統一されていないため、デザイン面ではどうかと思いますが、黒いベゼルのほうが作業は集中できると思います。
側面には、micro SDカードスロット、USB3.2 Type-A、USB3.2 Type-C、HDMI1.4bなどがあります。
液晶は下図の角度まで開きます。180度は開きませんが、テーブルに置いて使う分には問題ありません。
底面はシンプルです。底面のネジを外すと、背面側が少し浮かんでくるので、底面カバーは外しやすいです。
底面カバーを外したときの写真を下に掲載します。
メモリスロットは2つあります。メモリの換装もできます。
搭載されていたM.2 SSDは、あまり流通してない30mmのものでした。
15.6インチの兄弟機種「Inspiron 15 5515」は、空いているM.2スロットもありましたが、Inspiron 14 5415にはありません。
SSDを固定している部品は外すことができ、向きを変えたり、装着位置を変えたりすることで、42mmや60mm、80mmのSSDを装着することも可能です。
ACアダプターは65Wです。サイズはやや大きめです。
まとめ
以上が、Inspiron 14 5415のレビューです。
高い性能のRyzen 5000 Uシリーズ プロセッサーを搭載しつつ、8GBメモリ、256GB SSDという構成で、約7万円から購入できるコスパの高いノートパソコンです。
enterキーやbackspaceキーのサイズが大きくなり、タイピングしやすくなったのも、大きな改善点です。
15インチクラスのノートPCと比較すると、コンパクトで軽いため、PCを別の部屋へ移動するときや、収納するとき等に扱いやすいです。また、バッテリー駆動時間も比較的長いので、別の部屋で、ACアダプターを繋がなくても割と長時間作業をすることができます。
ただし、高性能プロセッサーを搭載しているのに、メモリがシングルチャネル(1枚挿し)であるため、グラフィック性能が低めです。ゲームや動画編集などをしてみたいと考えている方は、自己責任となりますが、メモリを2枚挿しにすることをおすすめします。ただ底面カバーを外さなければならないので、ややハードルが上がります。
また、ディスプレイの色域が広くありません。画像の編集・現像などもするのであれば、別の機種をおすすめします。
コスパが高く、コンパクトで扱いやすい
Inspiron 14 (5415)
特徴
- 最新のRyzen 5000 Uシリーズ搭載
- 高いコストパフォーマンス
- 15インチノートより軽量・コンパクト
こんなあなたに
- 一般ユーザー
- 底面カバーを空けてメモリ換装できる方
- 価格7万円台[税込]~
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製品の概要をまとめた動画も作成しました。
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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約15年間にわたり、年間100機種以上、パソコンを細かくチェックしている筆者がおすすめするノートパソコン。