Ryzen 5 5500Uのベンチマーク

更新日:2021年5月1日

■2021.4.29 初稿
■2021.5.01 メモリをcrucial 8GBx2のメモリにしたときのスコアを追記

 

本記事では、AMDの最新モバイル向けプロセッサーRyzen 5000 Uシリーズの「Ryzen 5 5500U」のベンチマークスコアを掲載します。一般ユーザーには十分な性能でありながら、このプロセッサーを搭載したノートPCは、価格が比較的安いものが多いです。

 

Ryzen 5 5500Uの仕様

Ryzen 5 5500Uは、コードネーム「Lucienne」と呼ばれるZen 2 + Vega GPUの構成のプロセッサーです。従来のRyzen 5 4500Uと比較すると、コア数は同じであるものの、スレッド数が2倍になっている点が大きな特徴です。

その他は、下表の赤字で書かれた部分が従来よりもスペックアップしています。

旧モデルとの比較
  Ryzen 5 5500U Ryzen 5 4500U
アーキテクチャ Zen 2 Zen 2
CPUコア数 6 6
スレッド数 12 6
基本クロック 2.1GHz 2.3GHz
最大ブースト クロック 4.0GHz 4.0GHz
L2キャッシュ 3MB 3MB
L3キャッシュ 8MB 8MB
TDP / cTDP 15W / 10-25W
メモリータイプ 最大DDR4-3200 / LPDDR4-4266
GPUコア数 7 6
グラフィックス周波数 1800MHz 1500 MHz

 

ただし、モバイル向けRyzen 5000シリーズには、Zen 3アーキテクチャを採用した「Cezanne」というプロセッサーも投入されており、Zen 3のRyzen 5 5600Uと比較すると、Zen 2のRyzen 5 5500Uは、下図のようにL3キャッシュやクロック数が見劣りします。

Ryzen 5000 Uシリーズの仕様比較
  Ryzen 7
5800U
Ryzen 7
5700U
Ryzen 5
5600U
Ryzen 5
5500U
Ryzen 3
5400U
Ryzen 3
5300U
アーキテクチャ Zen 3 Zen 2 Zen 3 Zen 2 Zen 3 Zen 2
CPUコア数 8 6 4
スレッド数 16 12 8
基本クロック 1.9GHz 1.8GHz 2.3GHz 2.1GHz 2.6GHz 2.6GHz
最大ブースト
クロック
4.4GHz 4.3GHz 4.2GHz 4.0GHz 4.0GHz 3.8GHz
L2キャッシュ 4MB 3MB 2MB
L3キャッシュ 16MB 8MB 16MB 8MB 8MB 4MB
TDP / cTDP 15W / 10-25W
メモリータイプ 最大DDR4-3200 / LPDDR4-4266
GPUコア数 8 7 6
グラフィックス
周波数 [MHz]
2000 1900 1800 1800 1600 1500
※Zen 3プロセッサーを緑で表示

 

ベンチマークの計測に利用したノートPC

今回は、以下のPCで検証を行いました。

 

Ryzen 5 5500Uのベンチマークスコア

以下、ベンチマークソフトで計測したスコアを掲載します。

CINEBENCH R23

Ryzen 5 5500UのCINEBENCH R23のスコアは下図の通りです。スレッド数が旧世代のRyzen 5 4500Uの2倍になったことで、マルチコアのスコアは約30%増加しています。ライバルのCore i5-1135G7の約1.5倍ものスコアです。

しかし、シングルコアのスコアはRyzen 5 4500Uとほとんど変わっておらず、インテルのCore i5-1135G7よりもスコアが低くなっています。

上位のRyzen 7 5700UとRyzen 5 5500Uとを比べると、マルチコア性能には大きな開きがあり、Ryzen 7 5700Uのほうが35%もスコアが高いです。

CINEBENCH R23
他のCPUとの比較(マルチコア)
Ryzen 9 5900HX 13382
Ryzen 7 5800H 12604
Core i7-10875H 10369
Core i7-10870H 9592
Ryzen 7 5700U 8445
Core i7-10750H 6839
Ryzen 7 4700U 6499
Ryzen 5 5500U 6250
Core i7-1185G7 6229
Ryzen 5 4500U 4764
Core i7-1165G7 4720
Core i5-1135G7 4000
Core i7-1065G7 3965
Core i3-1115G4 2643
他のCPUとの比較(シングルコア)
Core i7-1185G7 1517
Ryzen 9 5980HX 1466
Core i7-1165G7 1447
Ryzen 7 5800H 1435
Core i7-10875H 1306
Core i5-1135G7 1294
Core i7-10750H 1277
Core i3-1115G4 1275
Ryzen 7 5700U 1264
Ryzen 7 4700U 1214
Ryzen 5 5500U 1185
Core i7-10870H 1176
Ryzen 5 4500U 1142
Core i7-1065G7 1126
 :Ryzen 5 5500Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア

 

PassMark Performance Test 10.0

続いて、圧縮、暗号化、物理シミュレーションなどを含む数学的計算を行うPassMark Performance Test 10.0のスコアを掲載します。

Ryzen 5 5500UはRyzen 5 4500Uよりは高いスコアであるものの、約10%増のスコアに留まりました。

PassMark Performance Test 10.0(CPU MARK)
他CPUとの比較(CPU MARK)
Ryzen 9 4900HS 20343
Ryzen 7 4800H 19080
Ryzen 7 5700U 18298
Ryzen 7 Pro 4750U 16988
Ryzen 7 4700U 14231
Core i7-10750H 12866
Ryzen 5 5500U 12847
Core i7-1165G7 12552
Core i5-1135G7 12148
Ryzen 5 4500U 11515
Core i7-1065G7 10483
Core i7-10710U 10115
Core i5-1035G4 9484
Ryzen 3 4300U 8004
Ryzen 7 3700U 7431
Core i7-10510U 7235
Ryzen 5 3500U 7179
Core i5-10210U 6514
Core i3-10110U 4213
Ryzen 3 3200U 4166
 :Ryzen 5 5500Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア

 

Geekbench 5

続いて、拡張現実や機械学習などの最先端の処理を取り入れているクロスプラットフォームのベンチマークソフト、Geekbench 5のスコアを掲載します。

Ryzen 5 5500Uは、Ryzen 5 4500Uよりも、スコアが約10%高かったですが、CINEBENCH R23では大きな差をつけていたCore i5-1135G7とほぼ同等のスコアでした。

Geekbench 5
他CPUとの比較(Multi-Core)
Ryzen 9 4900HS 8129
Core i7-10875H 7447
Ryzen 7 5700U 6785
Ryzen 7 Pro 4750U 6272
Core i7-10750H 6030
Core i7-9750H 5784
Ryzen 7 4700U 5696
Core i7-10710U 5602
Core i7-1165G7 5491
Core i5-1135G7 5334
Ryzen 5 5500U 5330
Ryzen 5 4500U 4662
Core i7-1065G7 4019
Core i5-1035G4 3980
Core i5-10210U 3821
Core i5-8265U 3546
Ryzen 3 4300U 3411
 :Ryzen 5 5500Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア

 

リアル作業の快適性の指標となるベンチマーク

上で掲載したベンチマークは、CPUの性能を最大限引き出したときのテストで、CPUの優劣を見るのに最適でした。ただし、日常的に、レンダリングのような大きな負荷のかかる処理を行っているユーザーはあまり多くありません。そこで、次では、一般的なユーザーが利用することの多い作業を処理を実行し、快適度を数値化するベンチマークソフトのスコアを掲載します。

なお、メモリやストレージの速度などによってもスコアが変わってくるため、目安としてご覧いただければと思います。

 

PCMark 10

PCMark 10は、Webページ閲覧、動画視聴といった日常的な操作の快適性の指標となる「Essentials」、文書作成、表計算の使用といった仕事の快適性の指標となる「Productivity」、画像編集、3D CG制作、動画編集といったクリエイティブ作業の快適性の指標となる「Digital Content Creation」の3つについて数値化するベンチマークソフトです。

「Essentials」については、Ryzen 5 5500Uは、旧世代のRyzen 5 4500Uよりは高いスコアであるものの、Core i5-1135G7のインテルプロセッサーよりは劣るスコアでした。ただし、この程度のスコア差なら、日常的に使うアプリの快適度が著しく低下するということはありません。十分ストレスなく使用できます。

「Productivity」については、高いスコアが出ていました。文書作成、表計算といった作業は快適でしょう。

「Digital Content Creation」については、Ryzen 5 5500Uは、Ryzen 7 5700Uほどではないにしても、非常に高いスコアでした。ただし、後述しますが、Adobe系ソフトは、インテルのCore i5-1135G7などより遅いケースが多かったです。

PCMark 10
Essentials(アプリ起動、ブラウザ、動画視聴など日常操作の快適性)
Core i7-1165G7 10102
Core i5-1135G7 9579
Ryzen 7 5700U 9443
Ryzen 7 4700U 9229
Ryzen 5 5500U 9147
Ryzen 5 4500U 8924
Core i7-1065G7 8725
Core i5-1035G4 8156
Productivity(文書作成、表計算などの仕事の快適性)
Ryzen 7 5700U 8269
Ryzen 7 4700U 7775
Ryzen 5 5500U 7742
Core i7-1165G7 6890
Ryzen 5 4500U 6553
Core i5-1135G7 6336
Core i7-1065G7 5500
Core i5-1035G4 5219
Digital Content Creation(画像・動画編集などのクリエイティブ作業の快適性)
Ryzen 7 5700U 5821
Ryzen 7 4700U 5269
Ryzen 5 5500U 5217
Core i7-1165G7 4718
Core i5-1135G7 4480
Ryzen 5 4500U 4390
Core i7-1065G7 3727
Core i5-1035G4 3415
 :Ryzen 5 5500Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア

 

WebXPRT 3

WebXPRT 3は、HTML5およびJavaScriptを使って、オンラインで、画像補正、AIを使用した画像の整理、株式ポートフォリオの計算・表示、文書の暗号化とOCR、セールデータのグラフ作成、オンラインホームワークといった処理をブラウザ上で実行します。PCへの負荷は軽めになります。

Ryzen 5 5500Uのスコアは、そこまで高くありません。インテルプロセッサーのほうが高いスコアでした。

WebXPRT 3
他のCPUとの比較
Core i7-1165G7 266
Core i5-1135G7 246
Ryzen 7 5700U 240
Ryzen 5 5500U 221
Ryzen 7 4700U 212
Core i7-1065G7 205
Ryzen 5 4500U 202
Core i5-1035G4 195
 :Ryzen 5 5500Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア
※Chromeブラウザで実行

 

グラフィックス関連のベンチマークスコア

次はグラフィックス関連のベンチマークスコアを掲載します。

なお、グラフィックス関連のスコアは、メインメモリの速度に大きく左右されます。異なるメモリが搭載されていた場合、以下に掲載するスコアとは大きく変わることもあるでしょう。今回のスコアは参考値としてご覧ください。

2021年5月21日、メモリを市販のcrucial製8GBx2へ換装したときのスコアも追記しました。 

3DMark Night Raid

今回の検証に使用したノートPCのメモリは、DDR4-3200のデュアルチャネルです。

同じ規格のメモリを搭載した機種と比較すると、Ryzen 5 5500Uは、Ryzen 5 4500Uとほとんどスコアは変わらず、Core i5-1135G7よりも低いスコアでした。Ryzen 7 5700Uと比べると、大分スコアが低いです。

LPDDR4X-4266のメモリを搭載したパソコンなら、同じRyzen 5 5500Uのプロセッサーでも、もっとスコアが伸びるでしょう。ただ、昨年の傾向を見ると、LPDDR4X-4266の高速メモリを搭載したRyzen 4000 Uシリーズのモデルはほとんどなかったため、今年も、LPDDR4X-4266を搭載したRyzen 5000 Uシリーズのモデルは少ないのではないかと思います。

3DMark Night Raid
他のグラフィックスとの比較(Graphics score)
GeForce GTX 1650 45149
GeForce MX450 30425
Core i7-1165G7
メモリLPDDR4X-4266
20052
Core i5-1135G7
メモリLPDDR4X-4266
18718
GeForce MX330 16714
Ryzen 9 4900HS 16322
Ryzen 7 5700U
メモリDDR4-3200
16272
GeForce MX250 15406
Core i7-1165G7
メモリDDR4-3200
14247
Ryzen 7 4700U
メモリDDR4-3200
13861
Core i5-1135G7
メモリDDR4-3200
13316
Ryzen 5 5500U
メモリDDR4-3200
12154
Ryzen 5 4500U
メモリDDR4-3200
12126
Core i3-1115G4
メモリDDR4-3200
11487
Ryzen 3 4300U 9800
 :Ryzen 5 5500Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア

 

参考:メモリ交換で速くなる

Inspiron 14 2-in-1に搭載されているメモリはそこまで速くなく、市販のcrucialのDDR4-3200のメモリへ交換すると、以下のようにスコアがやや上がります(15%スコアアップ)。

なお、SiSoftware Sandraでメモリ帯域を計測してみると、標準搭載されていたメモリは26.34GB/s、市販のcrucialのメモリは31GB/sでした。

次の項目ではゲームのフレームレートを掲載しますが、標準搭載されていたメモリがそれほど速くない場合、このようにメモリを交換すると、フレームレートがやや上がるケースもあると思います。

3DMark Night Raid
Ryzen 5 5500U
crucialメモリ16GB
14172 (crucialメモリ 16GBへ換装)
Ryzen 5 5500U
標準メモリ8GB
12154

 

各ゲームのフレームレート

次に、ゲームのフレームレートを計測した結果を掲載します。

なお、ドラゴンクエストXとファイナルファンタジー14以外は、トレーニングモード等で動かしているときのフレームレートをMSIアフターバーナーで計測しています。まったく同じ状況で再現できるわけではありませんし、シーンが変わればフレームレートは変わってきます。

また、いずれのCPUも、計測した時期が異なります。ゲームのバージョンアップにより、グラフィック品質の設定項目がやや変わっており、完全に同じ条件で計測できていません。

以上のことから、フレームレートについては、参考程度にご覧いただければと思います。

[以下のゲームのベンチマークスコアおよびフレームレートについて]
※表示しているのは平均フレームレートです
 :Ryzen 5 5500Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア
Apex Legends
  Inspiron 14 2-in-1
1920x1080 低設定 38 fps [39 fps]
※ 括弧[]内は、市販のcrucialの8GBx2メモリへ換装したときのフレームレート

Ryzen 5 5500Uは、1世代前のRyzen 5 4500Uよりもスコアが10%ほど高いものの、Ryzen 7 5700Uの7割くらいのスコアしか出ていません。

グラフィック設定を最も低く設定しても、38 fpsの平均フレームレートしか出ていなかったため、Apexをやるならあまりおすすめしません。

他のグラフィックスとの比較(1920×1080、低設定)
GeForce GTX 1650 118 fps
GeForce MX450 99 fps
Core i7-1165G7
メモリLPDDR4X-4266
53 fps
Ryzen 7 5700U
メモリDDR4-3200
52 fps
Core i5-1135G7
メモリLPDDR4X-4266
50 fps
GeForce MX330 42 fps
Ryzen 7 4700U
メモリDDR4-3200
40 fps
Ryzen 5 5500U
crucial 16GBメモリへ換装
39 fps
Ryzen 5 5500U
メモリDDR4-3200
38 fps
Ryzen 5 4500U
メモリDDR4-3200
34 fps
※トレーニングモードで計測
VALORANT
  Inspiron 14 2-in-1
1920x1080 低設定 136 fps [159 fps]
高設定 46 fps [51 fps]
※ 括弧[]内は、市販のcrucialの8GBx2メモリへ換装したときのフレームレート

今回の計測では、1世代前のRyzen 5 4500Uのスコアを下回っていました。グラフィック品質設定の項目が昔と変わっており、同じ条件でテスト出来ていないということも関係していると思います。

ただ、低設定なら136 fpsと高い平均フレームレートが出ており、十分ゲームができるでしょう。もう少し設定を変更し、高めのグラフィックスにしてもいいと思います。

他のグラフィックスとの比較(1920×1080、高設定
GeForce GTX 1650 143 fps
GeForce MX330 95 fps
GeForce MX450 92 fps
Ryzen 7 4700U
メモリDDR4-3200
76 fps
Core i7-1165G7
メモリLPDDR4X-4266
72 fps
Ryzen 5 4500U
メモリDDR4-3200
68 fps
Ryzen 7 5700U
メモリDDR4-3200
61 fps
Core i5-1135G7
メモリLPDDR4X-4266
58 fps
Ryzen 5 5500U
crucial 16GBメモリへ換装
51 fps
Ryzen 5 5500U
メモリDDR4-3200
46 fps
※バトルラボ 最大300fpsで計測
フォートナイト
  Inspiron 14 2-in-1
1920x1080 低設定 201 fps [219 fps]
中設定 80 fps [89 fps]
高設定 27 fps [29 fps]
※ 括弧[]内は、市販のcrucialの8GBx2メモリへ換装したときのフレームレート
※クリエイティブのテンプレート島で計測

フォートナイトは、仕様が変わっていつも計測している場所で計測できなくなったので、いつもとは別の場所で計測しています。そのため、他のPCでの計測結果は掲載しておりません。

中設定でも80 fps出ているので、快適にプレイできるでしょう。

PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS
  Inspiron 14 2-in-1
1920x1080 非常に低い 37 fps [41 fps]
中型 24 fps [26 fps]
※ 括弧[]内は、市販のcrucialの8GBx2メモリへ換装したときのフレームレート

PUBGは、「非常に低い」グラフィック品質設定でも 低めのフレームレートです。

他のグラフィックスとの比較(1920×1080、非常に低い)
GeForce GTX 1650 137 fps
GeForce MX450 99 fps
GeForce MX330 57 fps
Ryzen 7 5700U
メモリDDR4-3200
57 fps
Ryzen 5 5500U
crucial 16GBメモリへ換装
41 fps
Ryzen 7 4700U
メモリDDR4-3200
40 fps
Ryzen 5 4500U
メモリDDR4-3200
38 fps
Ryzen 5 5500U
メモリDDR4-3200
37 fps
Core i5-1135G7
メモリLPDDR4X-4266
31 fps
Core i7-1165G7
メモリLPDDR4X-4266
28 fps
※トレーニングモードで計測
ドラゴンクエストX
  Inspiron 14 2-in-1
1920x1080 最高品質 8293(とても快適)
[9426(とても快適)]
※ 括弧[]内は、市販のcrucialの8GBx2メモリへ換装したときのフレームレート

ドラクエXは「とても快適」の評価でした。軽いゲームなので、快適にゲームが出来ると思います。

他のグラフィックスとの比較(解像度:1920×1080、最高品質)
GeForce GTX 1650 19246
GeForce MX450 18714
GeForce MX330 12947
GeForce MX250 11900
Core i7-1165G7
メモリLPDDR4X-4266
11714
Core i5-1135G7
メモリLPDDR4X-4266
11102
Ryzen 7 5700U
メモリDDR4-3200
10394
Ryzen 7 4700U
メモリDDR4-3200
9462
Ryzen 5 5500U
crucial 16GBメモリへ換装
9426
Ryzen 5 5500U
メモリDDR4-3200
8293
Ryzen 5 4500U
メモリDDR4-3200
7695
※約5500で60fps
ファイナルファンタジー 14 漆黒のヴィランズ
  Inspiron 14 2-in-1
1920x1080 標準(ノート) 29 fps [34 fps]
※ 括弧[]内は、市販のcrucialの8GBx2メモリへ換装したときのフレームレート

ファイナルファンタジー14は、30 fps前後の平均フレームレートしか出ませんでした。バトルロワイヤルゲームなどとは違い、そこまで高いフレームレートが出なくても大丈夫ではありますが、ファイナルファンタジー14をするなら、もう少し高めの性能のPCのほうがいいかなと思います。

他のグラフィックスとの比較(1920×1080、標準(ノート))
GeForce GTX 1650 115 fps
GeForce MX450 85 fps
GeForce MX330 61 fps
GeForce MX250 60 fps
Core i7-1165G7
メモリLPDDR4X-4266
49 fps
Core i5-1135G7
メモリLPDDR4X-4266
49 fps
Ryzen 7 5700U
メモリDDR4-3200
36 fps
Ryzen 5 5500U
crucial 16GBメモリへ換装
34 fps
Ryzen 7 4700U
メモリDDR4-3200
30 fps
Ryzen 5 5500U
メモリDDR4-3200
29 fps
Ryzen 5 4500U
メモリDDR4-3200
29 fps

 

クリエイターソフトの処理時間

以下、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間です。PC Mark 10の「Digital Content Creation」の項目でもクリエイティブ作業の快適度は掲載しましたが、PC Mark 10は主にフリーソフトでテストを行っており、実際のクリエイターが使用していないソフトも多いです。

以下は、利用者の多いシェアウェアのAdobeソフトを中心に、クリエイティブ作業時の快適性をテストします。

Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間

Adobe Lightroom Classic CCは、メモリが8GBしかないと極端に遅くなるため、Inspiron 14 2-in-1の8GBメモリを、crucialの16GBメモリへ換装して書き出しの時間を計測しています。

結果は下グラフの通りで、16GBにしても書き出し時間は遅いです。ちなみに8GBのままだと2分25秒かかっていました。Lightroomをよく使うなら第11世代インテルCoreプロセッサーのほうがいいと思います。

Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間
Core i9-10980HK
32GBメモリ
68秒
Core i7-10875H
16GBメモリ
70秒
Core i7-11370H
16GBメモリ
72秒
Ryzen 9 5900HX
32GBメモリ
76秒
Core i9-9980HK
16GBメモリ
77秒 (MacBook Pro 16)
Core i7-10750H
16GBメモリ
80秒
Apple M1 (Rosetta 2)
16GBメモリ
80秒 (MacBook Pro 13 M1)
Ryzen 9 4900HS
16GBメモリ
87秒
Core i7-1165G7
16GBメモリ
89秒
Ryzen 7 4700U
16GBメモリ
91秒
Ryzen 5 4500U
32GBメモリ
91秒
Ryzen 7 4800H
16GBメモリ
94秒
Core i7-10710U
16GBメモリ
96秒
Ryzen 5 5500U
crucial 16GBメモリへ換装
97秒
Ryzen 7 5700U
16GBメモリ
100秒
Core i7-10510U
16GBメモリ
109秒
※プロファイル補正を適用した100枚のRAWファイル(1枚あたり約45MB)を同じ書き出し設定でjpegに書き出し、所要時間を計測
 :Ryzen 5 5500Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア

 

Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間

何か月か前までは、モバイル向けAMD Ryzenプロセッサー搭載PCで、Premiere Proで4K動画の書き出しを行うと異常に遅い現象がありましたが、最近ではそれが改善されています。ただ、10分の4K動画の書き出しに20分以上も時間がかかっているため、4K動画の編集はあまりおすすめしません。

FHD動画の編集であれば、10分の動画に対して約7分で書き出せているので、趣味でたまに動画編集をする程度なら待てる範囲です。メモリを16GBにすると、5分36秒まで短くなります。ただ、YouTubeに頻繁に動画投稿する方などは、1つの動画に対して何度か書き出しをやり直すことがあることも考慮すると、もう少し高いスペックのPCのほうがいいかなと思います。カット編集、簡単なエフェクトの追加といった作業は、そこまでストレスは感じません。

Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間
4K動画の書き出し
Core i7-10750H
RTX 2060
4分51秒
Ryzen 9 5900HX
RTX 3080 16GB
4分55秒
Core i7-10870H
RTX 3070
5分15秒
Core i5-10300H
GTX 1650Ti
5分18秒
Core i7-10750H
GTX 1650
6分34秒
Core i9-9980HK
Radeon Pro 5500M
8分15秒 (MacBook Pro 16)
Core i5-10300H
GTX 1650
8分21秒
Apple M1 (Rosetta 2) 11分3秒 (MacBook Pro 13 M1)
Core i7-1165G7 14分12秒
Ryzen 7 5700U 19分21秒
Ryzen 7 4700U 19分55秒
Core i5-1135G7 20分00秒
Ryzen 5 5500U
crucial 16GBメモリへ換装
21分35秒
Ryzen 5 4500U 22分53秒
Ryzen 5 5500U 27分05秒
Core i7-1065G7 27分23秒
※ 4K/30p動画(約10分)に、「テキスト」+「露光量」+「自然な彩度」+「トランジション」のエフェクトおよびBGMとなるオーディオを加え、H.264形式、YouTube 2160p 4K Ultra HDのプリセットで書き出したときの時間
 :Ryzen 5 5500Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア
FHD動画の書き出し
Core i7-1165G7 4分6秒
Core i5-1135G7 4分41秒
Ryzen 7 4700U 5分5秒
Ryzen 7 5700U 5分18秒
Ryzen 5 5500U
crucial 16GBメモリへ換装
5分36秒
Ryzen 5 4500U 5分57秒
Ryzen 3 4300U 6分44秒
Ryzen 5 5500U 7分02秒
Core i7-1065G7 7分41秒
※ FHD/30p動画(約10分)に対して、上と同様にして書き出したときの時間
 :Ryzen 5 5500Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア

 

TMPGEnc によるエンコード時間

TMPGEnc Video Mastering Works 7によるx265エンコード時間は、Ryzen 5 5500Uは非常に速いです。このような全コアの使用率が100%近くになるような処理は、Ryzenプロセッサーが得意です。

TMPGEnc Video Mastering Works 7によるエンコード時間 (x265)
Ryzen 9 4900HS 10分55秒
Ryzen 5 4600H 13分10秒
Ryzen 7 5700U 13分16秒
Core i7-10750H 13分29秒
Ryzen 7 4700U 15分44秒
Ryzen 5 5500U 17分01秒
Core i7-10710U 19分05秒
Ryzen 5 4500U 19分49秒
Core i7-1165G7 25分41秒
Core i5-1135G7 26分03秒
※XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換したときの時間(x265のエンコーダーを使用)
 :Ryzen 5 5500Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア

 

まとめ

今回、モバイル向けプロセッサー、Ryzen 5 5500Uのベンチマークスコアを計測しました。

Ryzen 5 5500Uは、従来のRyzen 5 4500Uと比較すると、シングルコア性能はほとんど上がっていませんが、マルチコア性能は約30%向上しています。グラフィック性能に関しては、メモリの速度によって大きく変わりますが、CPU以外がほぼ同構成なら10%ほど向上していると思われます。

ゲームについては、今回、あまり速度が速くないDDR4-3200のメモリが搭載されていたため、そこまでフレームレートは高くありませんでした。なお、思ったほどフレームレートが出ない場合は、市販のDDR4-3200のメモリに交換してみたり、LPDDR4X-4266メモリを搭載したノートPCを選んだりするといいと思います。そうすれば、軽めのゲームなら、グラフィック品質を落とすことで、ある程度高めのフレームレートが出るでしょう。

Adobe系のソフトについては、処理にもよると思いますが、今回試した限りでは、あまり速くありませんでした。Adobe系のソフトを使う場合は、Core i5-1135G7やCore i7-1165G7を搭載したノートPCのほうがいいと思います。

 

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