レノボ IdeaPad Slim 550 (14)の実機レビュー

CPU | Ryzen 7 4700U Ryzen 5 4500U Ryzen 3 4300U |
---|---|
メモリ | 4GB ~ 16GB |
ストレージ | SSD |
液晶サイズ | 14インチ |
液晶種類 | FHD IPS 非光沢 |
質量 | 約1.45kg |
バッテリー | 約12時間 |
価格[税込] | 4万円台 |
IdeaPad Slim 550 (14)は、非常にコストパフォーマンスの高いノートPCです。
まず価格ですが、Ryzen 3モデルなら4万円台、Ryzen 5モデルでも5万円台からと非常に安いです。
安いだけでなく、液晶にIPSパネルを搭載しているのも特徴で、安いノートPCにありがちなTNパネルよりも見やすくなっています。
Ryzenプロセッサーに、SSD、FHD IPS液晶を搭載してこの価格は、ありえないくらい安いです。
レビュー機は、当サイトの購入品です。今回は以下の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Ryzen 7 4700U、16GBメモリ、512GB PCIe SSD
目次
お忙しい方は、「IdeaPad Slim 550 (14)の特徴」のみお読みください。
IdeaPad Slim 550 (14)の特徴
非常に高いコストパフォーマンス
IdeaPad Slim 550 (14)は、Ryzen 4000 Uシリーズのプロセッサーに、SSD、FHD IPS液晶を搭載した十分なスペックでありながら、価格が4万円台と非常に安い点が特徴です。
4万円台の構成だとメモリが4GBになってしまいますが、Ryzen 5 4500U、8GBメモリ、256GB SSDといった構成でも、57,684円(税込)と非常に安くおすすめの構成です。筆者の知る限りでは、これ以上コストパフォーマンスの高い一般向けノートPCは見たことがありません。

眼が疲れにくいIPSパネルを搭載
価格だけで言えば、IdePad Slim 350 14のほうが安いですが、この製品はTNパネルという液晶を搭載しています。一方、本製品はIPSパネルという品質の高いディスプレイを搭載している点が大きなメリットです。個人的な意見ですが、IPSパネルの方が眼が疲れにくいです。特に長時間、パソコンを操作することがあるのであれば、TNパネルよりもIPSパネルの本製品のほうがいいでしょう。

SSDを2つ搭載可能
IdeaPad Slim 550 (14)はM.2 SSDを搭載していますが、この他にもう1つ空きのM.2スロットがあります。底面カバーを外せる方なら、自分でM.2 SSDを増設することも可能です。
試しに、Type 2280のM.2 SSDを増設してみましたが、正常に認識されました。自分でAmazon等から安いM.2 SSDを購入し増設することができます。なお、増設は自己責任でお願いします。当サイトでは保証もサポートも出来ません。


持ち運びもできる軽さ
IdeaPad Slim 550 (14)の質量は、約1.45kg(メーカー仕様値)となっており、当サイトの実測値ではさらに軽い1.397kgでした。持ち運び用に特化したモバイルノートPCほど軽くはありませんが、持ち運べない重さでもありません。移動距離が短い方や、車での移動が主である方などであれば、それほど苦もなく持ち運べる軽さです。

電源ボタンを軽く1回押せばスリープ解除&ログイン!
IdeaPad Slim 550 (14)は、指紋認証装置と電源ボタンが一体化しています。電源ボタンを"軽く"1回押しただけで、スリープ解除&ログインができて便利です。他社でも同様の仕組みはありますが、電源ボタンを長押ししないとログインまでしてくれない機種も多いです。
Webカメラを隠せる
IdeaPad Slim 550 (14)は、プライバシーシャッターが搭載されており、Webカメラを物理的に隠すことができます。Webカメラを隠しておけば、Webカメラを通して覗き見るマルウェアなどから身を守ることができます。付箋などを貼っておく人もいますが、そんなことをしなくても、カメラの上にあるレバーをスライドさせるだけでいいので便利です。

指紋や皮脂が目立ちにくいボディ
IdeaPad Slim 550 (14)のパームレスト面はグレーのカラーで、高級感はあまりありませんが、指紋や皮脂が目立ちにくいカラーです。指紋などが目立つ機種の場合、汚く見えるので頻繁に拭いたりする必要がありますが、本製品はそのような手間は必要なく、いつでも清潔感があります。

残念なポイント
IdeaPad Slim 550 (14)の人によっては残念に感じるポイントとしては、メモリがオンボードであるという点が挙げられます。4GBメモリのモデルを買って、自分で安く買ったメモリを取り付けるとか、重いアプリを起動するので32GBメモリを搭載したいとか、そういったことができません。
また他には、顔認証に対応していない点、Wi-Fi 6に対応していない点、Thunderbolt 3に対応していない点などが挙げられます。
各用途の快適度
各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧 Office作業 |
◎ | Ryzen 4000シリーズのプロセッサーを搭載し、Officeなどもサクサク動きます。視野角が広いので画面も比較的見やすく仕事がしやすいでしょう。 |
---|---|---|
動画鑑賞 | ○ | 処理性能は十分ですが、ディスプレイは色鮮やかではありません。スピーカー音は普通です。 |
RAW現像 画像編集 |
△ | ディスプレイの色域が狭いので、デジタル写真を編集したりする用途には適していません。ただし、CPUの処理性能は高いので、外部ディスプレイに接続するならアリだと思います。 |
動画編集 | △ | 家庭用動画編集ソフトで、カット編集&テロップ入れをする程度なら問題ないでしょう。ただし、YouTube公開用に動画編集するなら、もう少し色域の広いノートPCがおすすめです。Premiere Proなどを使って本格的にやるなら、外部グラフィックスを搭載したモデルのほうがいいです。 |
ゲーム | △ | 内蔵グラフィックスにしては高い性能なので、軽いゲームなら重く感じないものもあります。例えば、フォートナイトの場合、「中設定」なら60fps出ていました。ただし、頻繁にやるなら、GeForce GTX 1650程度でもいいので、外部グラフィックスを搭載したモデルのほうがいいと思います。 |
ディスプレイのチェック
IdeaPad Slim 550 (14)のディスプレイのチェックです。
色域は狭いですが、視野角は広いので、一般ユーザーなら問題ない品質です。画像編集などクリエイティブな作業に使用するなら物足りない品質です。最大輝度は、当サイトの計測では345cd/m2とやや高めです。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 画素・
ギラつき - 映り込み
- フリッカー
色域は狭いです。当サイトの計測ではsRGBカバー率は60.2%でした。

ガンマ補正曲線を確認すると、暖色系の画面になっているのが分かります。画面がやや黄色っぽいなと感じる方もいるかもしれません。

視野角は広いです。

画素形状は次の通りです。ギラつきはそれほど感じません。

非光沢液晶であるため、画面への映り込みは低減されています。

PWM調光によるフリッカーがないかを確認してみました。正確な確認方法ではありませんが、輝度を「10」に下げてもフリッカーは確認できませんでした。ちなみに、輝度を「0」にするとカメラで撮影できなかったので、今回は「10」で撮影しました。

※カメラのシャッタースピードを1/2000秒にして撮影したときの画面
キーボードおよびタッチパッドのチェック
キーボードのチェックです。
実測で、キーピッチは横:19mm、縦:18.5mmで、キーストロークは約1.6mmとなっています。ノートPCとしては標準的な数値です。「Backspace」キー、「¥」キー、矢印キーなどは小さく、ややタイプミスしやすいですが、全体的に見て普通の打ちやすさのキーボードではないかと思います。
タッチパッドの操作性も普通です。


キーボードバックライトも搭載しています。

パフォーマンスのチェック
パフォーマンスのチェックです。
CPU
IdeaPad Slim 550 (14)は、第3世代Ryzen 4000 Uシリーズのプロセッサーを搭載しており、とても高い性能です。今回、Ryzen 7 4700Uを搭載していますが、このCPUにしては非常に高いスコアが出ました。Ryzen 7 4700UはデフォルトTDPが15Wですが、TDP 45WのRyzen 5 4600Hとほとんど変わらないほどのスコアでした。
~ CPU性能の評価 ~

:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
メモリ
今回、メモリは16GB搭載していますが、DDR4-3200のデュアルチャネルでした。なお、4GBの場合はシングルチャネル、8GBの場合はデュアルチャネルのようです。

グラフィックス
プロセッサー内蔵のグラフィックスとしては高い性能です。ゲームなどをする場合に、多少フレームレートが出やすいでしょう。
~ グラフィックス性能の評価 ~

:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
ストレージ
ストレージには、PCIe SSDを搭載しています。PCIe SSDとしてはそこまで速くありませんが、体感速度は十分速いです。
~ ストレージ性能の評価 ~

:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
SDカードスロット
フルサイズのSDカードスロットを搭載しています。アクセス速度は普通です。
~ SDカードスロット性能 ~

その他のベンチマーク
その他のベンチマーク、LightroomやPremiere Proの書き出し時間などについては、下のリンク先をご覧ください。他の機種で計測したスコアではありますが、ほぼ変わらないので参考になると思います。
フォートナイトやPUBG、VALORANT、Apex、ストV、鉄拳7などのゲームのフレームレートについては下のページにまとめましたので、こちらもご覧ください。
クリエイターソフトの処理時間
以下、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間です。Lightroom、Premiere Proの処理時間については上のリンク先をご覧ください。
高速ですが、CINEBENCH R20ほどの高い数値ではありませんでした。
エンコード時間 | |
x265でエンコード (※1) | 16分25秒 |
VCEでエンコード (※2) | 1分29秒 |
NVENCでエンコード (※3) | ― |
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 AMD APU内蔵のハードウェアエンコーダー(AMD Media SDK)
※3 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
CINEBENCH R20ほど速くなかったのは、実行直後は、他のRyzen 7搭載PCよりも高めのCPUクロックで推移するのに対し、1分くらい経つとCPUクロックが大きく落ちるためです。多少落ちるのは普通の動きですが、本製品は落差が激しいです。ただし、それでも十分速く、TDP 15Wのプロセッサーとしてはトップの処理時間となっています。

USB Type-C / HDMIの動作テスト
IdeaPad Slim 550 (14)のUSB Type-Cポートは、Power Deliveryおよび映像出力に対応しています。ただし、Thunderbolt 3には対応していません。充電は18WのPD充電器も使えました。
充電 | モニター 出力 |
有線LAN | ||
ドック | ThinkPad USB Type-C ドック | 〇 | 〇 | 〇 |
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック | ○ | × | × | |
PD充電器 ※1 |
65W ZHOULX充電器 | 〇 | ― | ― |
45W Lenovoウルトラポータブル | 〇 | ― | ― | |
30W RAVPower充電器 | 〇 | ― | ― | |
18W cheero充電器 | 〇 | ― | ― | |
5V充電器 ※2 | 5V/2.4A ANKER充電器 | × | ― | ― |
5V/2.4A AUKEY充電器 | × | ― | ― | |
モニター ※3 |
EIZO ColorEdge CS2740 | 〇 | 〇 | ― |
Philips 258B6QUEB/11 | 〇 | 〇 | 〇 |
※2 スマホやタブレット向けの5Vの充電器
※3Type-Cケーブルで接続し、PCへの給電も出来るモニター
HDMIの動作チェック
4KテレビへHDMIで接続したときのテストをしました。YCbCr444の30HzもしくはYCbCr420の60Hzで表示できます。

質量のチェック
IdeaPad Slim 550 (14)の質量は、メーカーサイトには「約1.45kg」と書かれています。当サイトの計測値は下表の通りで、メーカーサイトに書かれていた質量よりもやや軽いです。
質量 | |
PC本体 | 1.397kg |
ACアダプター+電源ケーブル | 203g |
バッテリー駆動時間のチェック
バッテリー駆動時間のチェックです。
バッテリー容量は44.5Whとなっており、普通の容量です。

バッテリー駆動時間は下の通りで、普通だと思います。なお、バッテリー時に画面がかなり暗くなりますが、「AMD Radeon Settings Lite」を起動し、「Vari-Bright」をオフにすれば、通常の輝度に戻ります。
バッテリー駆動時間 | |
(1) JEITA2.0 | 約12時間 |
(2) PCMark 10 Modern Office | 9時間35分 |
(3) 動画再生時 | 6時間41分 |
(4) PCMark 8 Work | 6時間50分 |
(1) メーカー公表値
(2) 文書作成、ブラウジング、ビデオ会議といった事務作業。アイドル時も多く軽めの処理
(3) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
(4) ブラウザでのショッピング/画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャット等。やや重めの作業
カメラ・マイク・スピーカーのチェック
Webカメラ
IdeaPad Slim 550 (14)のWebカメラの解像度は1280x720です。画質は、ノートパソコンのWebカメラとしては標準的です。


マイク性能
IdeaPad Slim 550 (14)のマイク性能は、ノートPCとしては普通です。やや高い外付けマイクには見劣りします。

スピーカー
スピーカーはキーボードの両側面に配置されています。音質は普通で、ノートPC基準で勝手に採点すると10点満点で5点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。

以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は大きく変わります。
静音性のチェック
動作音(静音性)のチェック結果です。
アイドル時はほぼ無音です。高い負荷がかかったときは、他のノートPCと同様の騒音値です。

部屋を極力無音にしたときの騒音値:20.0dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
※CPU使用率およびGPU使用率は平均値です
※約10分経過後に計測しています
左から1番目:アイドル時(何も操作していない状態)
左から2番目:Filmora 9 の動画編集ソフトでプレビュー再生
左から3番目:TMPGEnc Video Mastering Works でエンコードした時(x265)
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。

パーツの温度のチェック
ここでは、CPU使用率がほぼ100%になるエンコード時の温度のみを掲載します。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。
実行直後は90℃台まで上がりますが、CPUクロックが落ち着いてからは60℃台で推移しており、問題ない温度です。

表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。
全体的に低めの温度です。特に手の平は熱くなることなく作業できると思います。

※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※約10分経過後に計測しています
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。
TDP 15Wのプロセッサーなので、低めの消費電力です。

※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※約10分経過後から、確認できた中で最も高い消費電力を掲載しています
外観のチェック
IdeaPad Slim 550 (14)の外観のチェックです。
パームレストが地味な色のせいかややチープさを感じますが、指紋などは目立ちにくく実用的です。

天板は、パームレストとはやや異なるカラーで、メタリック風のシルバー色になっています。

ボディは薄いです。

側面のポート類です。有線LANは無いものの、主要なポートは揃っていると思います。


液晶が開く最大の角度は次の通りです。

底面です。

底面カバーを固定しているネジを外すには、T5トルクスドライバーが必要です。

メモリはオンボードで換装することはできません。

搭載されていたSSDは、Type 2242のM.2 SSDです。ネジにシールが貼ってあるので破くと保証対象外になると思います。

Type 2280のM.2スロットもあります。

ACアダプターは、ケーブル一体型で、プラグ部分は収納できません。

まとめ
以上が、IdeaPad Slim 550 (14)のレビューです。
Ryzen 4000Uシリーズプロセッサーに、8GBメモリ、SSD、FHD IPS液晶を搭載しており、一般ユーザーには十分なスペックのノートPCです。
この構成で価格は4万円台からとなっており、非常にコストパフォーマンスは高いです。現在発売中のノートPCの中で随一のコスパの高さではないかと思います。間違いなく人気となる機種でしょう。
また、空きのM.2スロットがあるのも、一部のユーザーには嬉しいのではないかと思います。
ただし、メモリがオンボードとなっており、換装することができません。メモリをたくさん使うことが分かっている方は16GBを搭載したモデルを購入するといいと思います。
コスパ最高のノートPC!!
IdeaPad Slim 550 (14)
関連動画
IdeaPad Slim 550 14について、概要をまとめた動画を作成しました。
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性能高めでも価格が4万円台と非常に安いIdeaPad Slim 550 14と、この機種の液晶を360度回転できるようにし、タッチパネルおよびペンにも対応したIdeaPad Flex 550 14とを比較。

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