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マイクロソフト Surface Laptop 3 15インチの実機レビュー
CPU | Ryzen 5 3580U Ryzen 7 3780U |
---|---|
メモリ | 8GB / 16GB |
ストレージ | SSD |
液晶サイズ | 15インチ |
液晶種類 | 2496x1664 タッチ |
質量 | 約1.542kg |
バッテリー | 最大約11.5時間 |
価格[税別] | 14万円台~ |
Surface Laptop 3 15インチは、約1.542kgと、15インチクラスのノートPCにしては非常に軽い製品です。大画面ノートを外に持ち運びたい方に最適な1台でしょう。
また、液晶の解像度が2496x1664と高く、アスペクト比も3:2と縦方向の表示領域が広くなっており、仕事がしやすいです。
また、Radeon内蔵のRyzenプロセッサーを搭載し、グラフィックス性能がやや高い点も特徴です。
レビュー機は、当サイトの購入品です。
レビュー機の構成
Ryzen 5 3580U、16GBメモリ、256GB PCIe SSD
目次
お忙しい方は、「Surface Laptop 3 15インチ」のみお読みください。
Surface Laptop 3 15インチの特徴
新登場の15インチモデル
前モデルのSurface Laptop 2は、13.5インチの1サイズ展開でしたが、Surface Laptop 3では、15インチモデルが新登場し、2サイズでの展開となります。
グラフィック性能が高い点と、13.5型と15インチの2サイズ展開している点から、かなりMacBook Proを意識しているのと思われます。
15インチノートとしては軽い
本製品の質量は約1.542kgとなっています。
ライバル機種と言える、高めの性能のグラフィックスを搭載した15インチクラスの製品と比較すると、かなり軽いことが分かります。大きな画面のノートPCを外出先へ持ち運びたい方に適しています。
アスペクト比3:2で高解像度の液晶を搭載
Surfaceシリーズ全般の特徴ですが、Surface Laptop 3 15インチもアスペクト比3:2の液晶を備えています。さらに解像度は2496x1664で、フルHD(1920x1080)よりも特に縦方向の情報量が増えるため、Officeソフトなどを使用しての作業などの効率が上がります。
アルミニウムを採用した剛性の高いボディ
Surface Laptopというと、アルカンターラというファブリック素材のパームレストを思い浮かべるかもしれませんが、Surface Laptop 3 15インチモデルではアルミボディのみとなっています。ひねっても曲がりにくく剛性の高いボディで、非常にいい質感です。
グラフィック性能の高いAMD Ryzen搭載
一般的なAMDプロセッサーは、グラフィックスにRadeon Vega 8を搭載するRyzen 5 3500Uと、Radeon RX Vega 10を搭載するRyzen 7 3700Uです。
一方、Surface Laptop3 15インチのプロセッサーは、グラフィックスが強化された特別なエディションとなっています。具体的にはRyzen 5 3500UのプロセッサーにRadeon Vega 9のグラフィックスを搭載した Ryzen 5 3580U Microsoft Surface Editionに、Ryzen 7 3700UのプロセッサーにRadeon RX Vega 11を搭載したRyzen 7 3780U Microsoft Surface Editionが選択可能です。
下表は、Ryzen 5 3580Uのグラフィックス関連のベンチマークスコアですが、グラフィックスが強化されたIce LakeのCore i7-1065G7よりも高いスコアでした。ライトにゲームをする場合や、GPUアクセラレーションに対応したクリエイター向けソフトを使うときに効果的です。
ただし、Mac OS用ならFinal Cut ProなどRadeonのGPUアクセラレーションに対応したクリエイターソフトは多いのですが、Windows向けのクリエイターソフトはRadeonと相性が悪いソフトも多いので、各ソフトの推奨GPUや評判などを調べておくといいでしょう。
タッチパッドおよびペンに対応
Surface Laptop3 15インチは、クラムシェル型のPCですが、タッチ操作に対応しており、別売りのSurfaceペンの使用も可能です。Surfaceペンは、4,096段階の筆圧感知、傾き検知に対応しており、本格的な描画も可能なペンです。ただ、液晶がフラットにはならないのが残念です。イラスト制作目的ならSurface Pro 7 のほうがいいです。
スピーカーの音質が良い
Surface Laptop3 15インチは、ノートパソコンの中では、音質が非常に良いです。動画を視聴したり、音楽を聴いたりすることが多い方におすすめです。
インターフェイスは少ない
Surface Laptop 3 15インチのインターフェイスは、通常サイズのUSB-Aと、USB Type-C、ヘッドフォンジャックと、非常に限られています。HDMI出力やSDカードリーダーはありません。
なお、簡単に試した限りでは、USB Type-Cポートは外部ディスプレイ出力およびPower Deliveryにも対応していました。
Microsoft Office H&Bバンドル
Surface Laptop 2と同じく、Surface Laptop 3にもOffice Home & Business 2019がバンドルされています。
ただ、Office 365などを契約していて、Officeソフトのライセンスをすでに持っているユーザーや、Officeソフトを使用しないユーザーのために、Officeをバンドルしないモデルもあれば良かったです。
コスパはそれほど良くない
Surface Laptop 3 15インチのRyzen 5 3580Uのモデルは14万円台(税別)ですが、Ryzen 7 3780Uのモデルは21万円台(税別)まで跳ね上がります。
21万円を出せるなら、HシリーズCoreプロセッサーにGeForce GTXシリーズを搭載したノートPCが買えてしまいます。Surface Laptop 3 15インチは、他のWindows機と比べるとコスパは悪いです。
CPU | GPU | メモリ | 質量 | 価格[税別] | |
Surface Laptop 3 15インチ |
Ryzen 5 3580U | Radeon Vega 9 | 8GB | 1.542kg | 146,800円 |
Ryzen 7 3780U | Radeon RX Vega 11 | 16GB | 210,800円 | ||
Inspiron 15 7000 | Core i7-9750H | GTX 1650 | 16GB | 1.59kg | 132,783円 |
XPS 15 (7590) | Core i7-9750H | GTX 1650 | 16GB | 1.8kg~ | 199,183円 |
ThinkPad X1 Extreme | Core i5-9300H | GTX 1650 Max-Q | 16GB | 1.7kg~ | 212,160円 |
GCR1660TGF-QC | Core i7-9750H | GTX 1660Ti | 16GB | 1.87kg | 189,980円 |
※2019年10月13日現在の価格です
各用途の快適度
各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによって快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧 Office作業 |
◎ | 液晶のアスペクト比が3:2と縦の情報量が多く、スペックも十分で、快適に作業できます。ただし、液晶が光沢であるため映り込みがあります。 |
---|---|---|
動画鑑賞 | ◎ | スペックは十分です。液晶のアスペクト比は動画向きではないものの、液晶自体は綺麗です。また、スピーカー音もいいです。 |
イラスト制作 | ○ | Windows PCとしてはペン性能が高いです。ただ、液晶がフラットにならないため、描きづらいです。 |
RAW現像 画像編集 |
○ | 液晶のsRGBカバー率は98.4%あり、Web向けのコンテンツのRAW現像・画像編集に適しています。ただし、Adobeソフトとの相性が良くないというのもありますが、Adobe Lightroomでの現像時間は長めでした。 |
動画編集 | △ | 内蔵GPUにしてはやや高めのグラフィック性能ですが、動画編集をするならもう少し高い性能が欲しいです。また、Adobe Premiere Proなど、Radeonとの相性があまり良くないソフトも多いため、使用したいソフトがRadeonを推奨しているかなど確認しておくといいでしょう。DaVinci Resolveなんかは相性がいいと聞きます(使ったことはありません)。 |
ゲーム | △ | Radeonを搭載することで、軽めのPCゲームやブラウザゲームならできると思います。ただし、本格的にやるなら、GeForce GTX 1650以上の外部グラフィックスを搭載したPCをおすすめします。 |
液晶ディスプレイのチェック
液晶ディスプレイのチェックです。
型番は「LQ150P1JX51」となっていました。なお、別の型番の液晶が搭載されることもあるため、ご注意下さい。
前述しましたがアスペクト比3:2となっているのが特徴で、解像度も2496x1664と高いです。最大輝度も、当サイトの計測で380cd/m2と高めです。ただし、光沢液晶である点は好みが分かれると思います。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 画素・
ギラつき - 映り込み
- フリッカー
キーボードおよびタッチパッドのチェック
キーボードとタッチパッドのチェックです。
Surface Laptop 3のキーボードは、キーピッチが約19mm、キーストロークが約1.3mmです。Surface Laptop 2は、キーストロークが約1.5mmだったので、やや浅くなりました。キー配列は標準的ですが、「\」と「Backspace」キーがやや小さいです。打ちやすさは普通だと思います。
タッチパッドは、ガラス製で、サイズは115mm x 76.66mmです。Surface Laptop 2でも大きめでしたが、さらに20%大きくなっており、操作がしやすくなっています。
バックライトキーボードも搭載しています。
パフォーマンスのチェック
パフォーマンスのチェックです。
通常のノートパソコンの電源モードは「高パフォーマンス」になっていますが、Surface Laptop 3 の電源モードはデフォルトで「推奨」になっていました。
「推奨」だと処理性能がやや落ちてしまうので、ここでは、他のノートPCと同様に「高パフォーマンス」にして各種ベンチマークスコアを計測しています。
CPU
CPUは、グラフィックスが強化されたMicrosoft Surface専用のRyzenプロセッサーを搭載しています。今回は、「Ryzen 5 3580U Microsoft Surface Edition」でベンチマークを計測しました。
CINEBENCH R20は、第10世代のCore i7と同じくらいのスコアでした。
~ CINEBENCH R20 ~
グラフィックス
今回は、Ryzen 5 3580U内蔵のRadeon Vega 9でベンチマークを計測しましたが、インテルのCore i7-1065G7に搭載されたIntel Iris Plusよりも、ややスコアが良かったです。とは言っても、GeForce MX250よりも劣るスコアで、重いPCゲームが快適に動いたりするような性能はありません。
~ 3DMark Night Raid - Graphics score ~
ストレージ
ストレージは、PCIe SSDを搭載しており高速です。
~ CrystalDiskMark ~
※[レビュー機で計測]と書かれたストレージ以外は、他のPCで計測した代表値です
実際のソフトで計測した処理時間
実際のソフトウェアで計測した処理時間は次の通りです。
今回、Adobeのソフトを試していますが、AMDとは相性が悪いこともあってか、想像以上に処理が遅かったです。Davinc Resolveの動画編集ソフトはAMDと相性がいいという話も聞くので、こういったソフトならもう少し期待した速さが出るのではないかと思います。
AMDのプロセッサーと相性が悪いこともあり、Lightroomでの現像時間はかなり遅いです。
※「Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください。
Premiere Proは書き出しも遅いです。Premiere Proに関しては、CUDAが使えるNVIDIAのグラフィックスを搭載している製品のほうがいいです。
※ グラフィックスは全てノートPC用
x256によるエンコード時間もそれほど速くなかったです。ただ、VCEによるハードウェアへンコードは速かったです。
Ryzen 5 3580U | |
x265でエンコード (※1) | 36分34秒 |
QSVでエンコード (※2) | ― |
NVENCでエンコード (※3) | ― |
VCEでエンコード(※4) | 1分44秒 |
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 CPU内蔵のハードウェアエンコーダー
※3 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
※4 AMD APU内蔵のハードウェアエンコーダー(AMD Media SDK)
急激に落ちるわけではないですが、徐々にCPUクロックが下がっているのが気になります。冷却性能が良いPCならもう少し処理が速かったのかもしれません。
ゲームベンチマーク
ゲームベンチマークのスコアです。
Radeon Vega 9は、3DMarkではCore i7-1065G7よりも高いスコアでしたが、ドラクエ10ではCore i7-1065G7よりも劣るスコアでした。ゲーム自体は快適にできると思います。
FF14は、カクつくときもありますが、なんとかプレイできるかなといった感じでした。
中程度の重さのゲーム
ファイナルファンタジー 14 漆黒のヴィランズ
|
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1920x1080 | 標準(ノート) | 4127 / 28 fps |
1280x720 | 標準(ノート) | 6562 / 48 fps |
軽い部類のゲーム
ドラゴンクエストX
|
||
---|---|---|
1920x1080 | 最高品質 | 6707(快適) |
質量のチェック
質量は、メーカーサイトでは1.542kgとなっています。
当サイトで計測した質量は次の通りです。15インチクラスのノートパソコンとしては軽いと思います。
質量 | |
PC本体 | 1.564kg |
ACアダプター(+電源ケーブル) | 293g |
バッテリー駆動時間のチェック
バッテリー容量は45Whです(ソフト上から確認したので誤差があるかもしれません)。
バッテリー状態のデフォルト設定も、電源モードは「推奨」となっていました。そのため、ここでは他のノートPCと合わせるために「高パフォーマンス」にしてバッテリーを計測しました。
バッテリー駆動時間は次のようになっています。やや長めの駆動時間だと思います。ただ、動画再生時のバッテリー駆動時間は、液晶解像度が高いため、それほど長くありませんでした。
[電源モード] 高パフォーマンス |
|
(1) 通常のデバイス使用時間 | 最大11.5時間 |
(2) PCMark 10 Modern Office | 7時間33分 |
(3) 動画再生時 | 7時間9分 |
(4) PCMark 8 Work | 7時間16分 |
(1) メーカー公表値
(2) 文書作成、ブラウジング、ビデオ会議といった事務作業。アイドル時も多く軽めの処理
(3) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
(4) ブラウザでのショッピング/画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャット等。やや重めの作業
当サイトで計測した充電時間は次の通りです。速い充電速度です。
以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は変わります。
静音性のチェック
動作音(静音性)のチェック結果です。
低負荷時はほぼ無音です。高い負荷をかけても、騒音値は比較的低めです。
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
パーツの温度のチェック
各パーツの温度のチェック結果です。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。
低めの温度です。
エンコード時の温度の詳細
下図は、CPU使用率がほぼ100%になるエンコード時のCPU温度の詳細です。ターボブースト時は90℃近くまで温度が上がりますが、その後は70℃前後→60℃前後→50℃台とCPU温度が下がっており低めの温度だと思います。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。
非常に負荷の高いエンコード時は手の平が暖かく感じ、やや不快です。ただ、それ以外は問題ないです。
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、確認できた最も高い数値を掲載しています。
やや低めの消費電力です。
外観のチェック
外観のチェックです。
シンプルですが、薄いボディでベゼルも狭く、アルミニウム素材を採用し、メタリック感のある美しい外観です。
天板もシンプルです。Windowsのロゴマークは、アルファベットが入っていないので好きです。
スピーカーは、下図のような位置にあります。音質は良く、勝手に点数をつけると、10点満点で7~8点といったところです(音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。
液晶は、次の角度まで開きます。
非常に薄いボディです。剛性も高くひねりに強いです。
側面には、USBポート、USB Type-C、ヘッドフォン、Surfaceコネクトポートがあります。また、無線LANは11ac(Wi-Fi 5)対応で、Wi-Fi 6には対応していません。
ACアダプターは65Wです。
まとめ
Surface Laptop 3 15インチは、約1.542kgと15インチクラスのノートPCとしては軽量で、大画面ノートを持ち歩きたいといった方に適しています。
液晶は、アスペクト比が3:2、解像度が2496x1664で、色域もsRGBカバー率:98.4%(当サイト計測)と比較的広いです。品質の良い液晶で見やすいと思います。
アルミニウムを採用した剛性の高いボディは、質感も良く素敵なデザインです。
ただし、Surface専用のAMD Ryzenプロセッサーの性能は思っていたほど高くはありませんでした。クリエイターソフトを使うにはやや物足りない性能です。特にWindowsのクリエイターソフトはRyzenおよびRadeonとの相性が悪いケースがあり、ソフトを選びます。クリエイターが使うには、やや中途半端なノートPCであると感じます。
クリエイター向けではなく、一般ユーザー向けノートPCとしてなら、軽くて液晶も綺麗で優秀だと思います。
軽量15インチノート
Surface Laptop 3 15インチ
特徴
- 15インチノートとしては軽い
- アスペクト比3:2の液晶、解像度も高い
- スピーカー音がいい
こんなあなたに
- 大画面ノートを持ち歩きたい方
- 価格14万円台[税別]~
- 一言GeForceを搭載したほうが
良かったと思う
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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約15年間にわたり、年間100機種以上、パソコンを細かくチェックしている筆者がおすすめするノートパソコン。