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レノボ ThinkPad X1 Carbon Gen 8 - 2020年モデルの実機レビュー

更新日:2020年8月31日
CPU Core i7–10610U
Core i7–10510U
Core i5–10310U
Core i5–10210U
メモリ 最大16GB
ストレージ 最大2TB PCIe SSD
液晶サイズ 14型
液晶種類 FHD 省電力
FHD タッチ
FHD Privacy Guard
WQHD
UHD(4K)
質量 1.09kg~
バッテリー 最大 約19.8時間
LTE 対応
価格[税込] 15万円台~
人気のモバイルノートがマイナーバージョンアップ

本製品は、人気のモバイルノート「ThinkPad X1 Carbon」の2020年モデルです。

14型の大きな画面で、約1.09kg~と比較的軽く、液晶も見やすく、タイピングもしやすく、LTEにも対応しています。

このように、作業もしやすく、モビリティ性能も高く、完成度の高いモバイルノートです。

従来モデルと比較すると、割と地味なアップデートと言えますが、より完成度が増したと言っておきます。6コアのCore i7-10710Uが選択できなくなったのは残念です。

最新レノボPCのレビューはこちら

 

レビュー機は、2台は当サイトの購入品、1台はメーカーからの貸出機です。今回は以下の構成でレビューをしています。

レビュー機の構成

Core i7-10510U、16GBメモリ、512GB PCIe SSD、UHD(4K)液晶

Core i5–10210U、8GBメモリ、256GB PCIe SSD、FHD 省電力液晶

Core i5–10210U、8GBメモリ、256GB PCIe SSD、WQHD液晶 NEW!

 

目次

お忙しい方は、「ThinkPad X1 Carbon Gen 8の特徴」のみお読みください。

 

ThinkPad X1 Carbon 2020の特徴

14型大画面でも比較的軽い

ThinkPad X1 Carbonは、14型の大画面液晶を搭載しながら、質量が約1.09kg~と比較的軽いです。メイン兼モバイルPCとしても使えると思います。

最近では14型クラスのノートPCでも1kgを切るような製品が発売されているので、非常に軽いかと言えば、そうでもありませんが、まだ軽い部類に入ると思います。

14型クラスのノートPCとしては軽い
14型モバイルノートの質量(メーカー仕様値)
ASUS ExpertBook B9 約870g~
FRONTIER NSシリーズ 約942g
VAIO SX14 約0.999kg
ThinkPad X1 Carbon 約1.09kg~
Inspiron 14 7000 約1.095kg~
MousePro NB4シリーズ 約1.1kg~
mouse X4 約1.13kg
ThinkPad T14s 約1.24kg~
レッツノート LV 約1.27kg
Yoga C940 約1.35kg
Inspiron 14 5000 約1.42kg~
ThinkBook 14 約1.50kg
構成によって質量が大きく変わる製品もあります

 

タイピングしやすい

ThinkPad X1 Carbon Gen 8は、定評のあるキーボードを搭載しており、しっかりとした打鍵感があり、タイピングしやすいです。手をホームポジションに置いたままカーソルを動かしたり、画面をスクロールしたりできるトラックポイントも搭載しています。

特に、資料を作ったり、文章を執筆したりすることが多い方は、なにより優先するべきなのは、このキーボードではないかと思います。ThinkPadシリーズを使い続けていれば、数年後に買い替えたとしても、同じような打鍵感で作業をすることが可能です。

定評のあるキーボード

 

ドッキングステーションなど周辺機器が豊富

ThinkPadシリーズは純正のドッキングステーションが豊富に用意されています。パソコンをドッキングステーションに繋ぐだけで、ACアダプターや外部ディスプレイ、有線LANなどを一度に繋ぐことができて便利です。

その他、USB-Cケーブルを繋ぐだけで、映像出力およびPCの充電が行える液晶ディスプレイや、オンライン会議時にあると便利なヘッドセット、外出先での充電に便利なモバイルバッテリーなど、たくさんの周辺機器が用意されています。

様々なドッキングステーションを利用可能

 

Privacy Guardや4Kなど選べる液晶

ThinkPad X1 Carbon Gen 8は、FHD、WQHD、4K-UHDなど、5種類の液晶の中から、好みのものを選択することが可能です。

バッテリー駆動時間重視ならFHD、画像や映像を楽しんだり編集するなら4K-UHDなどを選択するといいでしょう。個人的には省電力パネルを搭載したFHD液晶が無難だと思います。

各液晶の詳細は、ページ下の「ディスプレイのチェック」をご覧ください。

高精細な4K-UHD液晶などを選択可能

 

micro SDカードスロットは無し

micro SDカードスロットがありません。一眼レフやデジタルビデオカメラで撮影したファイルを、パソコンで確認しようと思った場合、別途SDカードリーダーが必要になります。

 

従来モデルとの比較

最初に、ThinkPad X1 Carbon Gen 8と従来モデルの仕様表を確認します。外観や質量、バッテリー容量はほとんど変わりありません。

従来モデルとの比較
ThinkPad X1 Carbon
Gen 8(2020)
ThinkPad X1 Carbon
Gen 7(2019)
Core i7–10610U
Core i7–10510U
Core i5–10310U
Core i5–10210U
Core i7-10710U
Core i7–10510U
Core i5-10210U
14型 14型
1.09kg 1.09kg
51Wh 51Wh
802.11 ax (Wi-Fi 6) 802.11 ac
[幅] 323
[奥行] 217
[高さ] 14.95
[幅] 323
[奥行] 217
[高さ] 14.95
※2019年モデルは第8世代CPUも選択できましたが今回は省略しています

 

細かい点としては、次のような変化があります。

6コアのCore i7-10710Uは選択不可に

他のUシリーズのCoreプロセッサーよりも、頭一つ飛びぬけて高性能だった6コアのCore i7-10710Uが選択できなくなりました。非常に残念です。

その代わり、vPro対応のCore i7–10610Uが選択できるようになりましたが、こちらは4コアなのでそこまで高い性能は期待できないでしょう。

CINEBENCH R20 マルチコア
Core i7-10875H 3557
Core i7-10710U 2211
Core i7-10510U 1459
Core i5-10210U 1418
Core i7-10710Uのベンチマークスコア

 

Wi-Fi 6対応

ワイヤレスLANがWi-Fi 6(802.11 ax)に対応しています。これら主流となる規格で、速度が速く、混雑時にも強いという特徴があります。

 

液晶の輝度がやや向上

海外のサイトのThinkPad X1 Carbon 2020の仕様を見ると、わずかに輝度が上がっているパネルがあります。大きな差ではありませんが、屋外で使用する場合に、やや見やすくなるかもしれません。

液晶の比較
ThinkPad X1 Carbon
Gen 8 (2020)
ThinkPad X1 Carbon
Gen 7(2019)
FHD IPS, 省電力, 非光沢, 400nit
FHD IPS, タッチ, 非光沢, 400nit
FHD IPS, タッチ, Privacy Guard, 非光沢, 500nit
WQHD IPS, 非光沢, 300nit
UHD IPS, HDR, 光沢, 500nit
FHD IPS, 省電力, 非光沢, 400nit
FHD IPS, タッチ, 非光沢, 300nit
FHD IPS, Privacy Guard, 非光沢, 400nit
WQHD IPS, 非光沢, 300nit
UHD IPS, HDR, 光沢, 500nit

 

VoIPへのアクセスボタンなどが追加

ファンクションキーの割り当ても変わり、VoIPへのアクセスボタンが追加されました。新型コロナウイルスの影響で、オンライン会議を行う機会が増えてきたと思いますが、着信応答などを物理的キーで行えるのでやや便利です。

ただし、今のところ、Skype for Business 2016とTeams 1.0のみ対応となっており、使える機会は限定的です。

ファンクションキーの割り当て
ファンクションキーが使えるアプリケーション

 

LTEはCAT.16対応

LTEモジュールは、Fibocom L860GLとなり、下り1Gbpsに対応しています。

 

各用途の快適度

各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。

各用途の快適度
用途 快適度 コメント
Web閲覧
Office作業
モバイルノートとしては大きな画面で作業しやすいと思います。
動画鑑賞 快適に動画鑑賞できます。特に4KディスプレイならDOLBY Visionに対応しており、ダイナミックな映像を楽しめます。NETFLIXなどのDOLBY Visionに対応した動画を視聴するときにいいでしょう。
RAW現像
画像編集
FHDでもWQHDでも4K-UHDディスプレイでも、sRGBカバー率が100%近くあるので、RAW現像や画像編集にも使えるでしょう。ただ、多くのクリエイター向けノートに搭載されているCore i7-10750Hなどと比較すると、やや時間のかかる処理もあります。
動画編集 使うソフトにもよりますが、外部グラフィックスを搭載していないため、動画編集向きのPCではありません。短いFHD動画のカット編集のみ行うといったケースであれば、できなくはありません。本格的にYouTuberなどを目指しているならGeForceシリーズなどの外部グラフィックスを搭載したPCがいいでしょう。
ゲーム 外部グラフィックスを搭載していないため、おすすめはしません。ただし、「Intel UHD 630でどこまでゲームができるか?」で記載したようなゲームなら、グラフィック品質などを下げることで出来るものもあります。

 

ディスプレイのチェック

ThinkPad X1 Carbon Gen 8のディスプレイは、5種類から選択することができます。

ただし、(3)のディスプレイは、2020年8月31日時点で、メーカー直販サイトのカスタマイズ画面でまだ選択することができません。

ThinkPad X1 Carbon Gen 8で選択できるディスプレイ

(1) FHD IPS, 省電力, 非光沢

(2) FHD IPS タッチ, 非光沢

(3) FHD IPS タッチ, Privacy Guard, 非光沢

(4) WQHD IPS, 非光沢

(5) UHD-4K IPS, HDR DOLBY Vision, 光沢

 

ここでは、(1)と(4)と(5)のディスプレイの特性について記載したいと思います。

なお、(3)のPrivacy Guardディスプレイについては、「ThinkPad X1 Carbon 2019」のレビュー記事をご覧ください。

 

FHD IPS, 省電力, 非光沢

FHD IPS, 省電力ディスプレイの特性を掲載します。

今回搭載されていたパネルの型番は「AUO B140HAN05.7」となっていました。色域が比較的広く、視野角も広く、一般ユーザーが使うには十分な品質で、見やすいと思います。Web用の画像編集などをするクリエイターにもいいでしょう。なお別のパネルが搭載される可能性もありますのでご了承下さい。最大輝度は、当サイトの計測では389cd/m2と比較的高めです。それ以外の特性は以下のタブをクリックしてご覧ください。

なお、メーカーサイトのカスタマイズ画面では「14.0型FHD液晶 (1920x1080 WVA 400nit) 光沢なし、マルチタッチ非対応、狭額縁ベゼル、72%NTSC」となっており、"省電力"という文字はありませんが、メーカーに問い合わせたところ、省電力液晶で間違いないようです。

  • 色域
  • RGB
    発色特性
  • 視野角
  • 画素・
    ギラつき
  • 映り込み
  • フリッカー

色域は比較的広いです。当サイトの計測ではsRGBカバー率は98.2%でした。

ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成

カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線を確認すると、中間色が暗めに発色していることが分かりますが、わずかですので、一般ユーザーはほぼ気にならないと思います。

ガンマ補正曲線
※ i1 Display Proで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2

視野角は広いです。

視野角(斜めから見たときの見やすさ)

画素形状です。ギラつきはほぼありません。

画面拡大

非光沢液晶であるため、画面への映り込みは低減されています。

画面への映り込み

正確な確認方法ではありませんが、フリッカーは確認できませんでした。

フリッカーのテスト
※カメラのシャッタースピードを1/2000秒にして撮影したときの画面

 

WQHD IPS, 非光沢

WQHD IPS, 非光沢ディスプレイの特性を掲載します。

今回搭載されていたパネルの型番は「LG LP140QH2-SPD1」となっていました。色域が比較的広く、視野角も広く見やすいです。文字が小さくても気にならない方は、スケーリングを100%にすれば広大なデスクトップ領域で作業できます。最大輝度は、当サイトの計測では311cd/m2と比較的高めです。それ以外の特性は以下のタブをクリックしてご覧ください。

  • 色域
  • RGB
    発色特性
  • 視野角
  • 画素・
    ギラつき
  • 映り込み
  • フリッカー

色域は比較的広いです。当サイトの計測ではsRGBカバー率は97.5%でした。

ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成

カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線を確認すると、緑色が強く発色していることが分かりますが、わずかですのでそれほど気にならないでしょう。

ガンマ補正曲線
※ i1 Display Proで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2

視野角は広いです。

視野角(斜めから見たときの見やすさ)

画素形状です。ギラつきはほぼありません。

画面拡大

非光沢液晶であるため、画面への映り込みは低減されています。

画面への映り込み

正確な確認方法ではありませんが、調光によるフリッカーは確認できませんでした。

フリッカーのテスト
※カメラのシャッタースピードを1/2000秒にして撮影したときの画面

 

UHD-4K IPS タッチ, HDR DOLBY Vision, 光沢

UHD-4K液晶の特性を掲載します。

今回搭載されていたパネルの型番は「NV140QUM-N53」となっていました。高精細なディスプレイで、近寄ってみても粒状感がありません。また、このPCで使う方はあまりいないかもしれませんが、タッチパネルにも対応しています。ただし、光沢なので周囲のものが映り込みやすいです。最大輝度は、当サイトの計測では555cd/m2と高いです。それ以外の特性は以下のタブをクリックしてご覧ください。

  • 色域
  • RGB
    発色特性
  • 視野角
  • 画素・
    ギラつき
  • 映り込み
  • フリッカー

色域は比較的広いです。当サイトの計測ではsRGBカバー率は99.8%でした。

ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成

カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線を確認すると、明部になればなるほど、赤と青色がやや強く発色しています。

ガンマ補正曲線
※ i1 Display Proで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2

視野角は広いです。

視野角(斜めから見たときの見やすさ)

画素形状です。ギラつきはありません。

画面拡大

光沢液晶であるため、画面への映り込みがあります。

画面への映り込み
非光沢液晶との比較

フリッカーが確認できました。

フリッカーのテスト
※カメラのシャッタースピードを1/2000秒にして撮影したときの画面

 

UHD-4K液晶は、DOLBY Visionにも対応しています。黒つぶれや白飛びが少なく、肉眼で見ているときと同じような表現が可能になります。パソコンで、NETFLIXなどのDOLBY Visionに対応したストリーミング動画を頻繁に観る方におすすめです。

DOLBY Vision対応

 

キーボードおよびタッチパッドのチェック

ThinkPad X1 Carbon Gen 8シリーズのキーボードのチェックです。

実測で、キーピッチは約19x19mm、キーストロークが約2mm弱です。広いキーピッチと、深いキーストロークに加え、キートップは大きく湾曲しており、非常に打ちやすいキーボードです。特に、しっかりとした打鍵感が欲しい方に最適でしょう。日本語キーボードだけでなく、英語キーボードを選択できる点もメリットです。

キーボード全体図
キーの拡大図

 

ただし、タッチパッド用のクリックボタン(スペースキーのすぐ下のボタン)が、他のThinkPadシリーズと比べると、やや平らになっています。筆者は特に気になりませんが、もう少し盛り上がっていたほうがいいと感じる方がいるかもしれません。

タッチパッド用クリックボタン

 

英語キーボードは下図のようになっています。

キーボード全体図

 

キーボードバックライトも搭載しています。

キーボードバックライト

 

パフォーマンスのチェック

パフォーマンスのチェックです。

ThinkPadでは、インテリジェント・クーリングという温度やファン速度を制御する機能が、Windowsの電源モードに統合されています。ここでは、電源モードを高パフォーマンス(バランス・モード)と、最も高いパフォーマンス(パフォーマンス・モード)にしたときについて、ベンチマークを計測しました。

インテリジェント・クーリング
電源モード

CPU

従来モデルは「高パフォーマンス」と「最も高いパフォーマンス」とでは、ベンチマークスコアにかなりの差がありましたが、新しいモデルはほとんど差がありませんでした。

CINEBENCH R20
~ CPU性能の評価 ~
Core i7-10510U
Core i5-10210U
他のCPUとの比較(マルチコア)
Ryzen 9 4900HS 4250
Core i9-10980HK 3713
Core i7-10875H 3557
Core i7-10750H 2965
Core i7-10710U 2211
Core i5-10300H 2113
Core i7-1065G7 1484
Core i7-10510U 1683 [最も高いパフォーマンス]
1672 [高パフォーマンス]
1459
Core i5-1035G1 1424
Core i5-10210U 1517 [最も高いパフォーマンス]
1508 [高パフォーマンス]
1418
Core i3-10110U 922
Celeron N4100 459
 :本製品で選択できるCPU
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

ストレージ

ストレージには、PCIe-NVMe SSDを搭載しており高速です。

CrystalDiskMark
~ ストレージ性能の評価 ~
512GB PCIe SSD
256GB PCIe SSD
他のストレージとの比較(シーケンシャルリード [MB/s] )
PCIe-NVMe SSD ~3566
SATA-AHCI SSD 550
HDD 140
 :本製品で選択できるストレージ
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

クリエイターソフトの処理時間

以下、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間です。

Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間

ここでは、Core i7-10510Uで電源モードを「高パフォーマンス」にしたときの処理時間のみ掲載します。HシリーズのCoreプロセッサーと比べるとやや時間がかかります。

Core i7-9700
16GBメモリ
69秒
Core i7-10875H
16GBメモリ
70秒
Core i9-9980HK
16GBメモリ
79秒
Core i7-10750H
16GBメモリ
80秒
Core i7-9750H
16GBメモリ
85秒
Core i7-10710U
16GBメモリ
96秒
Core i7-10510U
16GBメモリ
122秒
※プロファイル補正を適用した100枚のRAWファイル(1枚あたり約45MB)を同じ書き出し設定でjpegに書き出し、所要時間を計測
※「Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間

こちらもCore i7-10510Uで電源モードを「高パフォーマンス」にしたときのみデータを掲載します。外部グラフィックスを搭載していないため、時間がかかります。

Core i7-9750H/16GB
GeForce RTX2070 Max-Q
3分57秒
Core i5-10300H/16GB
GeForce GTX 1650Ti
5分18秒 [レビュー機で計測]
Core i9-9980HK/16GB
Radeon Pro 5500M(8GB)
8分15秒 (MacBook Pro 16インチ)
Core i5-10300H/8GB
GeForce GTX 1650
8分21秒
Core i7-1068NG7/32GB
Intel Iris Plus
19分35秒
Core i7-1060NG7/16GB
Intel Iris Plus
26分57秒
Core i7-10510U/16GB
Intel UHD
49分32秒
Core i7-10510U/8GB
Intel UHD
58分06秒
※ FHD/30p動画(約10分)に、「テキスト」+「露光量」+「自然な彩度」+「トランジション」のエフェクトおよびBGMとなるオーディオを加え、書き出したときの時間
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
TMPGEnc Video Mastering Works 7 によるエンコード時間

こちらは「高パフォーマンス」と「最も高いパフォーマンス」で計測しましたが、CINEBENCHの結果と同様にどちらもほとんど変わらない時間でした。

Core i7-10510U
  高パフォーマンス 最も高いパフォーマンス
x265でエンコード (※1) 27分04秒 26分49秒
QSVでエンコード (※2) 2分47秒 2分50秒
NVENCでエンコード (※3)
Core i5-10210U
  高パフォーマンス 最も高いパフォーマンス
x265でエンコード (※1) 30分50秒 30分20秒
QSVでエンコード (※2) 3分00秒 3分05秒
NVENCでエンコード (※3)
XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換したときの時間
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 CPU内蔵のハードウェアエンコーダー
※3 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
x265でのエンコード時間
Core i7-10875H 11分54秒
Core i9-9980HK 12分25秒
Core i7-10750H 14分37秒
Core i7-9750H 15分37秒
Core i7-10710U 19分05秒
Core i7-10510U 26分49秒 [最も高いパフォーマンス]
27分04秒 [高パフォーマンス]
28分32秒
Core i5-10210U 28分53秒
30分20秒 [最も高いパフォーマンス]
30分50秒 [高パフォーマンス]
Core i7-8565U 31分50秒
Core i5-8265U 32分07秒
Core i3-10110U 42分20秒
Core i3-8130U 45分24秒
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
x265でエンコード時間中のCPUクロック

「高パフォーマンス」時のCPUクロックとCPU温度を掲載します。全体的にクロックが上下していて安定していませんが、他と変わらないパフォーマンスは出ています。最初の4~5分間くらいはできるだけ高いクロックで推移するようにパフォーマンスを優先し、それ以降はクロックが落ちて安定性優先で動作しているような動きを見せています。

ちなみに「最も高いパフォーマンス」でも動きはあまり変わりませんでした。

  • Core i7-10510U
  • Core i5-10210U
CPUクロック(高パフォーマンス)
CPU温度(高パフォーマンス)
CPUクロック(高パフォーマンス)
CPU温度(高パフォーマンス)

 

LTEの通信テスト

LTEモジュールと対応バンド

「Fibocom L860GL」を搭載しています。

LTEモジュール

 

L860GLのUser Manualを確認すると、以下のLTEバンドに対応しているようです。

対応しているLTEバンド
  対応バンド
LTE FDD 1,2,3,4,5,7,8,12,13,14,17,18,19,20,25,26,28,29,30,66
LTE TDD 38,39,40,41
特に重要なバンドは次の通り
ドコモ回線の重要なバンド・・・バンド1、3、19
au回線の重要なバンド・・・バンド1、18(26)
ソフトバンク回線の重要なバンド・・・バンド1、3、8

 

LTE接続テスト

今回、IIJmio(ドコモ回線)、UQ mobile(au回線)のSIMカードで通信テストしてみました。どちらも、特に問題なく接続でき、再起動時の再接続や、LTEからWi-Fiエリアへ入ったときの自動切換えも特に問題ありませんでした。

モダンスタンバイにも対応しているため、スリープ復帰後もすぐにインターネットを使うことが可能です。

モダンスタンバイ対応

 

通信速度

自宅で計測したLTEの通信速度は以下の通りです。

まずUQ mobileのSIMで試しましたが、混雑している時間帯も、空いている時間帯も速度が変わりにくく安定して使えます。ノートパソコンで使うなら個人的にはおすすめのSIMです。

UQ mobile(au回線)
混雑している時間帯(平日 12時30分ごろ)
空いている時間帯(平日 14時00分ごろ)

 

次にドコモ回線のプランのIIJmioでテストしました。

空いている時間は速い速度が出ていますが、混雑している時間は(他の多くの格安SIMもそうですが)1Mbpsを切る速度しか出ませんでした。

なお、APNを追加するとき、「APNの種類」の項目は、"インターネットおよびアタッチ"にするといいでしょう。そうしないと回線が遅くなるときがあります。

IIJmio(ドコモ回線)
混雑している時間帯(平日 12時30分ごろ)
空いている時間帯(平日 14時00分ごろ)

 

USB Type-C 充電器 / ドックの動作テスト

USB Type-Cポートを利用して、純正以外の充電器やドックが使えるかを試しました。

Thunderbolt 3、PowerDelivery、映像出力に対応対応しており、ドック、PD充電器、USB-C対応モニターなど多くの機器が使えます。

ただし、5V充電器には対応していませんでした。また、30Wと18WのPD充電器は、一応充電はできるものの「低速のUSB充電ケーブルが接続されています」という警告が出ます。

USB Type-C充電器/ドックの動作テスト
  充電 モニター
出力
有線LAN
ドック ThinkPad USB Type-C ドック
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック
PD充電器
※1
65W ZHOULX充電器
45W Lenovoウルトラポータブル
30W RAVPower充電器
18W cheero充電器
5V充電器 ※2 5V/2.4A ANKER充電器 ×
5V/2.4A AUKEY充電器 ×
モニター
※3
EIZO ColorEdge CS2740
Philips 258B6QUEB/11
※1 Power Delivery対応の充電器
※2 スマホやタブレット向けの5Vの充電器
※3Type-Cケーブルで接続し、PCへの給電も出来るモニター

 

質量のチェック

質量のチェックです。

メーカー仕様値では「約1.09kg~」となっています。当サイトの計測値は次の通りです。構成によって多少重さが変わっていますが、1.1kg前後となっています。

PC本体の質量(当サイトによる実測値)
  FHD液晶
Core i5-10210U
LTE非対応
WQHD液晶
Core i5-10210U
LTE非対応
4K-UHD液晶
Core i7-10510U
LTE対応
PC本体 1.082kg 1.115kg 1.090kg

 

ACアダプターは、45Wと65Wのどちらかを選択できます。また、オプションでスリムで軽いACアダプターも選択できます。各ACアダプターの電源ケーブルも含めた質量の実測値は次のようになっています。

45W USB Type-Cウルトラポータブル ACアダプターなんかは小さくて軽いので携帯するときに便利です。純正のACアダプターなら故障する可能性も低いですし、万が一、故障してもサポート対象になると思います。

ACアダプターの質量(当サイトによる実測値)
  質量
65W ACアダプター 290g
45W ACアダプター 243g
65W USB Type-C スリム ACアダプター
(周辺機器オプション)
260g
45W USB Type-C ウルトラポータブル ACアダプター
(周辺機器オプション)
131g

 

バッテリー駆動時間のチェック

バッテリー駆動時間のチェックです。

バッテリー容量は51Whです。比較的大きい容量です。

バッテリー容量

 

バッテリー駆動時間は下の通りです。なお、バッテリー駆動時の電源モードは、デフォルトの「より良いバッテリー」ではなく、一般的なノートPCと同じ「高パフォーマンス」にしています。

FHD 省電力液晶モデルなら比較的長いバッテリー駆動時間です。WQHD液晶も、FHD省電力液晶とそれほど変わらない駆動時間でした。4K-UHDの場合は、駆動時間が大分落ちます。

バッテリー駆動時間
  FHD省電力
Core i5-10210U
LTE非対応
WQHD
Core i5-10210U
LTE非対応
4K-UHD
Core i7-10510U
LTE対応
(1) JEITA2.0 最大 約19.8時間
(2) PCMark 10 Modern Office 12時間26分 10時間43分 8時間51分
(3) 動画再生時 8時間19分 8時間17分 5時間57分
(4) PCMark 8 Work 5時間54分 5時間49分 4時間34分
※画面輝度は約120cd/m2、電源モードは高パフォーマンス
(1) メーカー公表値
(2) 文書作成、ブラウジング、ビデオ会議といった事務作業。アイドル時も多く軽めの処理
(3) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
(4) ブラウザでのショッピング/画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャット等。やや重めの作業
余談

従来のX1 Carbon(Gen 7)のFHD省電力モデルは、上の(4)の計測方法で、7時間15分もバッテリー駆動していました。「高パフォーマンス」時のベンチマークスコアが、新モデルでは従来モデルよりもかなり上がっていたことから、おそらく新モデルは電力を多く消費しており、バッテリー駆動時間が減ったのではないかと思います。ちなみに、バッテリー駆動状態でCINEBENCHを動かしてみたところ、従来のCore i5-8265Uモデルは「1155 pts」でしたが、新モデルのCore i5-10210Uは「1496 pts」でした。そもそもCPU性能がやや異なるというのもありますが、それを加味しても、新モデルのほうが大分高いスコアです。

 

バッテリー駆動時にどのくらいパフォーマンスが下がるかを確認した結果が下表です。電源モードがデフォルトの「より良いバッテリー」ままだとかなりパフォーマンスが落ちます。「高パフォーマンス」にすれば、電源接続時と変わらないパフォーマンスが出ます。

電源接続時とバッテリー駆動時のCINEBENCH R20の比較
Core i5-10210U 1517 [最も高いパフォーマンス]
1508 [高パフォーマンス]
1506 [高パフォーマンス]
792 [より良いバッテリー]
 :電源接続時のスコア
 :バッテリー駆動時のスコア

 

1時間あたりのバッテリー充電量は次の通りです。比較的速いと思います。

1時間あたりの充電容量
65Wアダプター
アイドル時
77%(約39Wh)
45Wアダプター
アイドル時
66%(約34Wh)
※PCの充電残量が10%から充電を開始し、1時間でどのくらい充電残量が増えたかを計測

 

カメラ・マイク・スピーカーのチェック

Webカメラ

Webカメラの解像度は1280x720で、ノートパソコンとしては標準的です。ただし、1万円台の少しいいWebカメラと比較すると、画質は落ちます。

Webカメラの前にマネキンなどを置いて、Windows 10標準のカメラアプリで撮影
Webカメラの画質
左:本製品、右:Logicool StreamCam

 

なお、Webカメラには、カメラ部分を物理的に隠すことができる「ThinkShutter」が付いています。スイッチをスライドさせてカメラを隠すと、カメラの前に赤い丸印が表示されるので分かりやすいです。

カメラ(ThinkShutter付)

 

マイク性能

ThinkPad X1 Carbon Gen 8では、ディスプレイの上部の側面に、4つの360度全方位マイクを搭載しています。4m先の音声もクリアに集音することができます。

PCの周りに複数の人がいて、テレビ会議をするようなシーンでも使えると思います。ただし、一人で使う場合、生活音も拾いやすくなってしまいます。

マイク

 

マイク性能については、Zoomのアプリでビデオ通話をしたときの音声を確認しました。ややこもった声になり、特に優れた品質だとは思いませんでしたが、オンライン会議などでは十分使えると思います。ただし、1万円台の少しいいマイクと比べると、音質はやや落ち、実況などで使うにはどうかなと思います。

Zoomでミーティング中の音声を録音
本製品のマイク
[参考]1万円台のマイク
audio-technica AT2020USB+
※音声を再生するには、audioタグをサポートしたブラウザが必要です。

 

スピーカー

キーボードの上に2つのツイーター、底面には2つのサブウーファーを搭載しています。音質は比較的良く、10点満点で6点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。

ツイーター
ウーファー

 

 


 

 

以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は大きく変わります。なお、今回は、FHD液晶モデルにて、電源モードを「高パフォーマンス」にしてテストしています。「最も高いパフォーマンス」でも計測しましたが、ほぼ同じだったのでここでは省略します。

静音性のチェック

動作音(静音性)のチェック結果です。

アイドル時はほぼ無音です。高い負荷がかかっても、やや低めの騒音値です。

騒音値
計測機器:リオン NL-42K
部屋を極力無音にしたときの騒音値:20.0dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
※CPU使用率およびGPU使用率は平均値です
【PCの状態】
左から1番目:アイドル時(何も操作していない状態)
左から2番目:Filmora 9 の動画編集ソフトでプレビュー再生
左から3番目:TMPGEnc Video Mastering Works でエンコードした時(x265)

 

参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。

使用計器の騒音値の目安

 

パーツの温度のチェック

ここでは、CPU使用率がほぼ100%になるエンコード時の温度のみを掲載します。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。

最初の5分間くらいは90℃台で推移しており高めの温度ですが、それ以降は約80℃~90℃台を行ったり来たりしています。90℃台でずっと動いているわけではないので、ギリギリ問題ない温度なのかなと思います。

x265でエンコード中のCPU温度

 

表面温度のチェック

本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。

従来モデルは、「高パフォーマンス」にすると、大分表面温度が抑えられていましたが、今回のモデルは「最も高いパフォーマンス」とほとんど表面温度が変わりません。以下は、「高パフォーマンス」で計測した表面温度ですが、エンコード時のキーボード部分はやや熱いですが、パームレスト部分はそこまででもありませんでした。裏面はやや熱いので、膝の上に載せて高めの負荷をかけるのはやめたほうがいいと思います。

PC本体の表面温度
サーモグラフィー:FLIR ONE PRO
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです

 

消費電力のチェック

消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、確認できた最も高い数値を掲載しています。

消費電力の少ないUシリーズのCoreプロセッサーを搭載しているので、消費電力はやや低めです。なお、4K液晶を搭載したモデルはもう少し消費電力が上がります。

消費電力
測定機器:ワットチェッカー TAP-TST7
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています

 

外観のチェック

ThinkPad X1 Carbon Gen 8の外観のチェックです。

伝統的なThinkPadのデザインを踏襲しており、どこでも使える無難なデザインです。

 

天板のロゴには、他のThinkPadシリーズには無い「X1」の文字が入りました。また、一部のモデルでは「カーボン柄」を選択することができます。

 

底面には、Carbon Fiber+Magnesium Chassis(カーボンファイバー・マグネシウム合金 シャシー)と書かれています。

 

薄いボディです。

 

側面のポート類です。主要なポートは揃っていますが、LANケーブルを挿すには、専用のドングルが必要です。

 

底面です。

 

ヒンジは約180度開きます。

 

底面カバーは、5つのネジを外して、ヒンジ側から持ち上げると外れます。割と外しやすいです。内部は次のようになっています。メモリはオンボードなので、できるだけたくさん積んでおくといいと思います。

 

M.2 SSDは換装できると思います。なおパーツの換装は自己責任でお願いします。

 

前述しましたが、次のようなACアダプターが用意されています。

 

まとめ

以上が、ThinkPad X1 Carbon Gen 8のレビューです。

比較的軽く、バッテリー駆動時間も比較的長く、LTEにも対応し、モバイルノートPCとして優れた製品です。

また、14型と大きな画面で、色域も比較的広くて見やすく、なによりタイピングしやすく、操作性も優れた製品で、資料・レポート作成などがしやすいと思います。

主な変更点としては、LTE CAT.16へ対応、Wi-Fi 6への対応などで、大きなアップデートはありません。2017年モデルから大きな進化が無く、1kgを切るとか、上下の液晶ベゼルも狭くなってサイズがコンパクトになるとか、そろそろ大きな改善が欲しいところでした。

と言っても、元々完成されたモバイルノートですので、非常におすすめの製品ではあります。

 

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