Core i5-10210Uのベンチマーク

更新日:2019年9月28日

 

このページでは、2019年8月21日に発表された第10世代Coreプロセッサー(開発コードネーム:Comet Lake)のCore i5-10210Uのベンチマークスコアを掲載します。

 

結果概要

お忙しい方のために、結果の概要だけ先に紹介します。

下図は、CPU性能を評価する「CINEBENCH R20」のマルチコアのベンチマークです。なお、Core i5-10210Uのスコアは、2台のPCで計測したスコアの平均値を掲載しています。

Core i5-10210Uは、従来のCore i5-8265Uよりも、10%以上スコアが高くなっていました。目に見えて体感速度が上がったわけではないですが、順当な性能UPだと思います。

CINEBENCH R20 マルチコア
Core i7-9750H 2640
Core i5-9300H 1921
Core i5-10210U 1418
Core i5-8265U 1252

 

Core i5-10210Uの仕様

Core i5-10210Uは、開発コードネーム「Comet Lake」と呼ばれる第10世代Coreプロセッサーとなります。

Core i5-10210Uは、従来の第8世代Coreプロセッサーと同様の14nmプロセス製造のCPUで、そこまで大きく変わってはいません。処理性能面では、従来のCore i5-8265Uと比べると、ターボブースト時のクロックがやや増えている程度です。他にはWi-Fi6の搭載、DDR4-2666等への対応といったものが主な変化点となっています。「Comet Lake」についての詳細は、マイナビ様などのメディアサイトをご覧ください。

従来のCPUとの比較
  Core i5-10210U Core i5-8265U
開発コード名 Comet Lake Whiskey Lake
製造プロセス 14nm 14nm
コア / スレッド数 4 / 8 4 / 8
ベースクロック 1.6 GHz 1.6 GHz
ターボブースト時 4.2 GHz 3.9 GHz
キャッシュ 6MB 6MB
TDP 15W 15W
内蔵GPU UHD Graphics UHD Graphics 620

 

また、第10世代Coreプロセッサーには「Ice Lake」と呼ばれる10nmプロセス製造のCPUがありますが、Ice Lakeは、一部にIntel Iris Plusの高性能グラフィックスを搭載しているのに対し、Comet LakeはすべてIntel UHDのグラフィックスになっており、従来からグラフィック性能はほぼ進化していません。

 

Core i5-10210Uのベンチマークスコア

Core i5-10210Uのベンチマークスコアを掲載します。

計測に用いたノートPCは次の2台です。本製品以外のPCで計測した場合、ベンチマークスコアが大きく異なる可能性もありますので、ご了承下さい。

 

CINEBENCH R20

まずは、上で掲載したCINEBENCH R20の結果です。なお、棒グラフについては、スコアの平均を掲載しています。

2台のPCで計測していますが、スコアに結構開きがあります。Inspiron 13 7000は想定よりも低めのスコアでしたが、XPS 13は過去のモデルも含め高めのスコアが出るので、平均した値は、ちょうど一般的なスコアに落ち着いているのではないかと思います。

CINEBENCH R20の場合、Core i5-10210Uは、従来のCore i5-8265Uよりもスコアが約12%上昇し、Ice LakeのCore i5-1035G1とほぼ同じスコアが出ていました。

CINEBENCH R20
  マルチコア シングルコア
Inspiron 13 7000 1272 cb 394 cb
XPS 13 1564 cb 423 cb
平均 1418 cb 409 cb
他CPUとの比較(マルチコア)
Core i9-9980HK 3405
Core i7-9750H 2640
Core i5-9300H 1921
Core i7-1065G7 1484
Core i5-1035G1 1424
Core i5-10210U 1418
Core i7-8565U 1268
Core i5-8265U 1252
Core i3-8145U 952
赤字は第10世代Coreプロセッサー

 

CINEBENCH R15

CINEBENCH R15は、今回試した他のベンチマークの結果と異なり、例外的にかなり高いスコアが出ており、Core i7-1065G7よりも高く、Core i5-9300Hに迫る数値でした。

CINEBENCH R15
  マルチコア シングルコア
Inspiron 13 7000 583 cb 170 cb
XPS 13 819 cb 171 cb
平均 701 cb 171 cb
他CPUとの比較(マルチコア)
Core i7-9750H 1212
Core i5-9300H 757
Core i5-10210U 701
Core i7-1065G7 617
Core i7-8565U 602
Core i5-1035G1 577
Core i5-8265U 542
Core i3-8145U 333
赤字は第10世代Coreプロセッサー

 

PassMark Performance Test 9.0

PassMark Performance Test 9.0については、従来のCore i5-8265Uよりも、スコアが約20%も伸びていました。Ice LakeのCore i5-1035G1とほぼ同等のスコアです。

PassMark Performance Test 9.0(CPU MARK)
  CPU MARK
Inspiron 13 7000 9735
XPS 13 10733
平均 10234
他CPUとの比較
Core i7-9750H 13476
Core i5-9300H 11295
Core i7-1065G7 10483
Core i5-1035G1 10385
Core i5-10210U 10234
Core i7-8565U 8939
Core i5-8265U 8552
Core i3-8145U 6052
赤字は第10世代Coreプロセッサー

 

TMPGEnc Video Mastering Works 7によるエンコード時間

次は、「TMPGEnc Video Mastering Works 7」を使ってエンコードにかかった時間を掲載します。ここでは、x265エンコーダーを用い、4KのXAVC Sの動画をH.265/HEVCへ変換する処理を実行しています。

従来CPUよりも10%ほど高速化し、Core i7-1065G7などと近い処理時間です。

TMPGEnc Video Mastering Works 7によるエンコード時間 (x265)
  エンコード時間(x265)
Inspiron 13 7000 29分56秒
XPS 13 27分09秒
平均 28分33秒
※XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換したときの時間(x265のエンコーダーを使用)
他CPUとの比較
Core i9-9980HK 11分37秒
Core i7-9750H 15分37秒
Core i5-9300H 20分46秒
Core i5-1035G1 28分00秒
Core i7-1065G7 28分26秒
Core i5-10210U 28分33秒
Core i7-8565U 31分50秒
Core i5-8265U 32分07秒
Core i3-8130U 45分24秒
赤字は第10世代Coreプロセッサー

 

Geekbench 5

Geekbench 5のスコアです。こちらも同様です。

Geekbench 5
  マルチコア シングルコア
Inspiron 13 7000 3451 1030
XPS 13 4191 1119
平均 3821 1075
他CPUとの比較(Mulit-Core)
Core i7-9750H 5784
Core i7-1065G7 4019
Core i5-1035G1 3920
Core i5-10210U 3821
Core i5-8265U 3546
赤字は第10世代Coreプロセッサー

 

Geekbench 4

Geekbench 4のスコアです。若干低めのスコアでしたが、Core i5-8265Uよりは高いスコアです。

Geekbench 4
  マルチコア シングルコア
Inspiron 13 7000 13512 4600
XPS 13 15403 4764
平均 14458 4682
他CPUとの比較(Mulit-Core)
Core i7-9750H 20808
Core i7-1065G7 15783
Core i5-1035G1 15303
Core i5-10210U 14458
Core i5-8265U 13663
赤字は第10世代Coreプロセッサー

 

グラフィックス関連のベンチマークスコア

次はグラフィックス関連のベンチマークスコアを掲載します。

グラフィックスについては、第8世代インテルCoreプロセッサーとほとんど変わっていないようです。ベンチマークスコアは少し高くなっていますが、メモリスピード、CPU性能が上がったこと等によるスコアアップだと思われます。

 

3DMark Night Raid

3DMark Night Raidのスコアです。Intel UHD Graphics 620よりは10%ほどスコアが上がっていますが、Iris Plusを搭載したIce LakeのCore i7-1065G7と比べると、スコアはかなり落ちます。

3DMark Night Raid
  Graphics Score
Inspiron 13 7000 5596
XPS 13 6003
平均 5800
Intel Iris Plus Graphics(Core i5-1035G1)
他のグラフィックスとの比較
GeForce MX250 15406
Intel Iris Plus
(Core i7-1065G7)
9530
Intel UHD
(Core i5-1035G1)
7248
Intel UHD
(Core i5-10210U)
5800
Intel UHD 620
(Core i5-8265U)
5274
赤字は第10世代Coreプロセッサー

 

内蔵GPUによるエンコード時間

次は、「TMPGEnc Video Mastering Works 7」にて、QSVのハードウェアエンコードで、4KのXAVC Sの動画をH.265/HEVCへ変換する処理を実行したときの時間です。

Ice LakeのCore i7-1065G7などは、H.265/HEVCへのエンコードが劇的に速くなっていましたが、Core i5-10210Uの内蔵グラフィックスは、従来のCore i5-8265Uと大きな差はありません。

TMPGEnc 7によるエンコード時間(内蔵GPUによるエンコード)
  エンコード時間(QSV)
Inspiron 13 7000 3分15秒
XPS 13 2分56秒
平均 3分06秒
※XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換したときの時間(CPU内蔵のハードウェアのエンコーダーを使用)
他のグラフィックスとの比較
Intel Iris Plus
(Core i7-1065G7)
1分43秒
Intel UHD
(Core i5-1035G1)
2分13秒
Intel UHD
(Core i5-10210U)
3分06秒
Intel UHD 620
(Core i5-8265U)
3分17秒
赤字は第10世代Coreプロセッサー

 

その他

その他のグラフィックスに関するベンチマークスコアです。ドラクエ10のスコアは結構伸びていますが、他はいずれも、Core i5-8265Uの内蔵グラフィックスより、スコアがわずかに上がった程度です。

ドラゴンクエスト 10
GTX 1650 19246
GeForce MX250 11900
Intel Iris Plus
(Core i7-1065G7)
7968
Intel UHD
(Core i5-1035G1)
5655
Intel UHD
(Core i5-10210U)
5234
Intel UHD 620
(Core i5-8265U)
4655
赤字は第10世代Coreプロセッサー

CINEBENCH R15(Open GL)
GeForce MX250 103.11 fps
Intel Iris Plus
(Core i7-1065G7)
64.97 fps
Intel UHD
(Core i5-10210U)
55.33 fps
Intel UHD 620
(Core i5-8265U)
52.63 fps
Intel UHD
(Core i5-1035G1)
51.78 fps
赤字は第10世代Coreプロセッサー
PassMark Performance Test 9.0(3D MARK)
GeForce MX250 2972
Intel Iris Plus
(Core i7-1065G7)
2223
Intel UHD
(Core i5-1035G1)
1706
Intel UHD
(Core i5-10210U)
1274
Intel UHD 620
(Core i5-8265U)
1248
赤字は第10世代Coreプロセッサー
Geekbenck 5(Open CL)
GeForce MX250 11550
Intel Iris Plus
(Core i7-1065G7)
10214
Intel UHD
(Core i5-10210U)
5763
Intel UHD 620
(Core i5-8265U)
5547
赤字は第10世代Coreプロセッサー

 

Core i5-10210U 搭載パソコンの紹介

2019年9月27日時点で、Core i5-10210Uを含む「Comet Lake-U」を搭載したノートパソコンを、以下に紹介します。今のところ、筆者が確認できたPCはこのくらいですが、あとしばらく経てば、各社から続々発売されると思います。

New XPS 13 (7390)

13.3型 FHD / 4K タッチ

第10世代Core (U)

約1.23kg~

バッテリー 52WHr

9万円台~

剛性が高くコンパクトで人気のモバイルノート。グラスファイバーもしくはカーボンファイバーを採用しデザインもいい。

New Inspiron 13 7000 (7391)

13.3 型 FHD IPS

第10世代Core (U)

約955g~

バッテリー45WHr

9万円台~

1kgを切る非常に軽いモバイルノートPC。しかも価格も安い。

レビュー

New Inspiron 13 7000 2-in-1 (7391)

13.3 型 FHD IPS タッチ

第10世代Core (U)

約1.39kg~

バッテリー 45 / 52WHr

9万円台~

太めのペンを内蔵できるノートPC。4K液晶も選択可能。ただしやや重い。

レビュー

IdeaPad S530

13.3型 FHD IPS

第10世代Core (U)

約1.19kg~

バッテリー 約14.0時間

8万円台~

バランスの良いスペックで、価格も安い高いコストパフォーマンスのモバイルノート。

レビュー

New Inspiron 14 7000 Wifi/LTE (7490)

14型 FHD IPS タッチあり

第10世代Core (U)

GeForce MX250

約1.095kg~

バッテリー52WHr

9万円台~

1.1kgからと軽量で、LTEにも対応したモバイルノート。sRGB100%と色域も広く、クリエイターにもおすすめ。

レビュー

IdeaPad S540

14型 FHD IPS

第10世代Core (U)

約 1.5kg~

バッテリー 約14.0時間

在庫切れ

14型の割には比較的軽く、価格も安いノートパソコン。

レビュー

 

まとめ

下表は、各ベンチマークスコアにおいて、Core i5-8265Uに対してCore i5-10210Uがどのくらいスコアアップしたかを示した表です。旧世代のCore i5-8265Uに比べて、Core i5-10210Uは、CPU性能は平均で約15%UPグラフィックス性能は平均で約7%UPしていました。

大きく性能が向上したわけではありませんが、順当な性能UPだと思います。ただ、今回2台のPCで計測しましたが、ベンチマークスコアに結構開きがありました。ノートPCによってパフォーマンスが結構異なるため、パフォーマンス重視の方は、各製品のレビュー記事などを見て、スコアを確認したほうがいいと思います。

また、他の機種で計測したら、平均値を計算しなおすかもしれませんので、ご了承ください。

CPU関連のベンチマークスコア
  Core i5-10210U Core i5-8265U スコア上昇率
CINEBENCH R20 1418 cb 1252 cb 13%
CINEBENCH R15 701 cb 542 cb 29%
Passmark(CPU Mark) 10234 8552 20%
Geekbench 5 3821 3546 7%
Geekbench 4 14458 13663 6%
平均 15%
※エンコード時間は含めていません
※Core i5-1035G1のスコアは2台のPCの平均値です
グラフィックス関連のベンチマークスコア
  UHD Graphics
(Core i5-10210U)
Intel UHD 620
(Core i5-8265U)
スコア上昇率
3DMark Night Raid 5800 5274 10%
ドラクエ 10 5234 4655 12%
CINEBENCH R15(Open GL) 55.33 fps 52.63 fps 5%
Passmark(3D Mark) 1274 1248 2%
Geekbenck 5(Open CL) 5763 5547 4%
平均 7%
※エンコード時間は含めていません
※Core i5-1035G1のスコアは2台のPCの平均値です

 

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