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Core i5-10210Uのベンチマーク
このページでは、2019年8月21日に発表された第10世代Coreプロセッサー(開発コードネーム:Comet Lake)のCore i5-10210Uのベンチマークスコアを掲載します。
結果概要
お忙しい方のために、結果の概要だけ先に紹介します。
下図は、CPU性能を評価する「CINEBENCH R20」のマルチコアのベンチマークです。なお、Core i5-10210Uのスコアは、2台のPCで計測したスコアの平均値を掲載しています。
Core i5-10210Uは、従来のCore i5-8265Uよりも、10%以上スコアが高くなっていました。目に見えて体感速度が上がったわけではないですが、順当な性能UPだと思います。
Core i5-10210Uの仕様
Core i5-10210Uは、開発コードネーム「Comet Lake」と呼ばれる第10世代Coreプロセッサーとなります。
Core i5-10210Uは、従来の第8世代Coreプロセッサーと同様の14nmプロセス製造のCPUで、そこまで大きく変わってはいません。処理性能面では、従来のCore i5-8265Uと比べると、ターボブースト時のクロックがやや増えている程度です。他にはWi-Fi6の搭載、DDR4-2666等への対応といったものが主な変化点となっています。「Comet Lake」についての詳細は、マイナビ様などのメディアサイトをご覧ください。
Core i5-10210U | Core i5-8265U | |
開発コード名 | Comet Lake | Whiskey Lake |
製造プロセス | 14nm | 14nm |
コア / スレッド数 | 4 / 8 | 4 / 8 |
ベースクロック | 1.6 GHz | 1.6 GHz |
ターボブースト時 | 4.2 GHz | 3.9 GHz |
キャッシュ | 6MB | 6MB |
TDP | 15W | 15W |
内蔵GPU | UHD Graphics | UHD Graphics 620 |
また、第10世代Coreプロセッサーには「Ice Lake」と呼ばれる10nmプロセス製造のCPUがありますが、Ice Lakeは、一部にIntel Iris Plusの高性能グラフィックスを搭載しているのに対し、Comet LakeはすべてIntel UHDのグラフィックスになっており、従来からグラフィック性能はほぼ進化していません。
Core i5-10210Uのベンチマークスコア
Core i5-10210Uのベンチマークスコアを掲載します。
計測に用いたノートPCは次の2台です。本製品以外のPCで計測した場合、ベンチマークスコアが大きく異なる可能性もありますので、ご了承下さい。
1kgを切る非常に軽いモバイルノートPC。この質量で、Core i5、SSDというスペックで、マグネシウム合金をボディに採用しながら、価格も9万円台からと安い。
剛性が高くコンパクトで人気のモバイルノート。グラスファイバーもしくはカーボンファイバーを採用しデザインもいい。
CINEBENCH R20
まずは、上で掲載したCINEBENCH R20の結果です。なお、棒グラフについては、スコアの平均を掲載しています。
2台のPCで計測していますが、スコアに結構開きがあります。Inspiron 13 7000は想定よりも低めのスコアでしたが、XPS 13は過去のモデルも含め高めのスコアが出るので、平均した値は、ちょうど一般的なスコアに落ち着いているのではないかと思います。
CINEBENCH R20の場合、Core i5-10210Uは、従来のCore i5-8265Uよりもスコアが約12%上昇し、Ice LakeのCore i5-1035G1とほぼ同じスコアが出ていました。
マルチコア | シングルコア | |
Inspiron 13 7000 | 1272 cb | 394 cb |
XPS 13 | 1564 cb | 423 cb |
平均 | 1418 cb | 409 cb |
CINEBENCH R15
CINEBENCH R15は、今回試した他のベンチマークの結果と異なり、例外的にかなり高いスコアが出ており、Core i7-1065G7よりも高く、Core i5-9300Hに迫る数値でした。
マルチコア | シングルコア | |
Inspiron 13 7000 | 583 cb | 170 cb |
XPS 13 | 819 cb | 171 cb |
平均 | 701 cb | 171 cb |
PassMark Performance Test 9.0
PassMark Performance Test 9.0については、従来のCore i5-8265Uよりも、スコアが約20%も伸びていました。Ice LakeのCore i5-1035G1とほぼ同等のスコアです。
CPU MARK | |
Inspiron 13 7000 | 9735 |
XPS 13 | 10733 |
平均 | 10234 |
TMPGEnc Video Mastering Works 7によるエンコード時間
次は、「TMPGEnc Video Mastering Works 7」を使ってエンコードにかかった時間を掲載します。ここでは、x265エンコーダーを用い、4KのXAVC Sの動画をH.265/HEVCへ変換する処理を実行しています。
従来CPUよりも10%ほど高速化し、Core i7-1065G7などと近い処理時間です。
エンコード時間(x265) | |
Inspiron 13 7000 | 29分56秒 |
XPS 13 | 27分09秒 |
平均 | 28分33秒 |
Geekbench 5
Geekbench 5のスコアです。こちらも同様です。
マルチコア | シングルコア | |
Inspiron 13 7000 | 3451 | 1030 |
XPS 13 | 4191 | 1119 |
平均 | 3821 | 1075 |
Geekbench 4
Geekbench 4のスコアです。若干低めのスコアでしたが、Core i5-8265Uよりは高いスコアです。
マルチコア | シングルコア | |
Inspiron 13 7000 | 13512 | 4600 |
XPS 13 | 15403 | 4764 |
平均 | 14458 | 4682 |
グラフィックス関連のベンチマークスコア
次はグラフィックス関連のベンチマークスコアを掲載します。
グラフィックスについては、第8世代インテルCoreプロセッサーとほとんど変わっていないようです。ベンチマークスコアは少し高くなっていますが、メモリスピード、CPU性能が上がったこと等によるスコアアップだと思われます。
3DMark Night Raid
3DMark Night Raidのスコアです。Intel UHD Graphics 620よりは10%ほどスコアが上がっていますが、Iris Plusを搭載したIce LakeのCore i7-1065G7と比べると、スコアはかなり落ちます。
Graphics Score | |
Inspiron 13 7000 | 5596 |
XPS 13 | 6003 |
平均 | 5800 |
内蔵GPUによるエンコード時間
次は、「TMPGEnc Video Mastering Works 7」にて、QSVのハードウェアエンコードで、4KのXAVC Sの動画をH.265/HEVCへ変換する処理を実行したときの時間です。
Ice LakeのCore i7-1065G7などは、H.265/HEVCへのエンコードが劇的に速くなっていましたが、Core i5-10210Uの内蔵グラフィックスは、従来のCore i5-8265Uと大きな差はありません。
エンコード時間(QSV) | |
Inspiron 13 7000 | 3分15秒 |
XPS 13 | 2分56秒 |
平均 | 3分06秒 |
その他
その他のグラフィックスに関するベンチマークスコアです。ドラクエ10のスコアは結構伸びていますが、他はいずれも、Core i5-8265Uの内蔵グラフィックスより、スコアがわずかに上がった程度です。
Core i5-10210U 搭載パソコンの紹介
2019年9月27日時点で、Core i5-10210Uを含む「Comet Lake-U」を搭載したノートパソコンを、以下に紹介します。今のところ、筆者が確認できたPCはこのくらいですが、あとしばらく経てば、各社から続々発売されると思います。
New XPS 13 (7390)
13.3型 FHD / 4K タッチ
第10世代Core (U)
約1.23kg~
バッテリー 52WHr
9万円台~
剛性が高くコンパクトで人気のモバイルノート。グラスファイバーもしくはカーボンファイバーを採用しデザインもいい。
New Inspiron 13 7000 (7391)
13.3 型 FHD IPS
第10世代Core (U)
約955g~
バッテリー45WHr
9万円台~
1kgを切る非常に軽いモバイルノートPC。しかも価格も安い。
New Inspiron 13 7000 2-in-1 (7391)
13.3 型 FHD IPS タッチ
第10世代Core (U)
約1.39kg~
バッテリー 45 / 52WHr
9万円台~
太めのペンを内蔵できるノートPC。4K液晶も選択可能。ただしやや重い。
IdeaPad S530
13.3型 FHD IPS
第10世代Core (U)
約1.19kg~
バッテリー 約14.0時間
8万円台~
バランスの良いスペックで、価格も安い高いコストパフォーマンスのモバイルノート。
New Inspiron 14 7000 Wifi/LTE (7490)
14型 FHD IPS タッチあり
第10世代Core (U)
GeForce MX250
約1.095kg~
バッテリー52WHr
9万円台~
1.1kgからと軽量で、LTEにも対応したモバイルノート。sRGB100%と色域も広く、クリエイターにもおすすめ。
まとめ
下表は、各ベンチマークスコアにおいて、Core i5-8265Uに対してCore i5-10210Uがどのくらいスコアアップしたかを示した表です。旧世代のCore i5-8265Uに比べて、Core i5-10210Uは、CPU性能は平均で約15%UP、グラフィックス性能は平均で約7%UPしていました。
大きく性能が向上したわけではありませんが、順当な性能UPだと思います。ただ、今回2台のPCで計測しましたが、ベンチマークスコアに結構開きがありました。ノートPCによってパフォーマンスが結構異なるため、パフォーマンス重視の方は、各製品のレビュー記事などを見て、スコアを確認したほうがいいと思います。
また、他の機種で計測したら、平均値を計算しなおすかもしれませんので、ご了承ください。
Core i5-10210U | Core i5-8265U | スコア上昇率 | |
CINEBENCH R20 | 1418 cb | 1252 cb | 13% |
CINEBENCH R15 | 701 cb | 542 cb | 29% |
Passmark(CPU Mark) | 10234 | 8552 | 20% |
Geekbench 5 | 3821 | 3546 | 7% |
Geekbench 4 | 14458 | 13663 | 6% |
平均 | 15% |
※Core i5-1035G1のスコアは2台のPCの平均値です
UHD Graphics (Core i5-10210U) |
Intel UHD 620 (Core i5-8265U) |
スコア上昇率 | |
3DMark Night Raid | 5800 | 5274 | 10% |
ドラクエ 10 | 5234 | 4655 | 12% |
CINEBENCH R15(Open GL) | 55.33 fps | 52.63 fps | 5% |
Passmark(3D Mark) | 1274 | 1248 | 2% |
Geekbenck 5(Open CL) | 5763 | 5547 | 4% |
平均 | 7% |
※Core i5-1035G1のスコアは2台のPCの平均値です
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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約15年間にわたり、年間100機種以上、パソコンを細かくチェックしている筆者がおすすめするノートパソコン。