Ryzen 7 8840HSのベンチマーク

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ここでは、AMD Ryzen 8040シリーズプロセッサーの1つの「Ryzen 7 8840HS」の各種ベンチマークスコアを掲載します。

一般向けノートPCに搭載されるプロセッサーですが、CPU性能および内蔵グラフィック性能が高く、品質がやや高めのノートPCに搭載されることが多いです。なお、今回、ゲームのフレームレートの測定は、AFMFを含めたHYPR-RXを有効にした場合も計測しています。

 

プロセッサーの仕様

AMD Ryzen 8040シリーズプロセッサーをTDP毎に分けると、下表のようになります。いずれもCPUはZen4世代、GPUはRDNA 3世代、NPUはXDNA世代のアーキテクチャが採用されています。

今回検証するRyzen 7 8840HSは、プロセッサー名の末尾に「HS」が付き、デフォルトTDPは28Wで、NPUを搭載しており、下表の3つの中では中間の性能です。

AMD Ryzen 8040シリーズプロセッサー
  デフォルトTDP cTDP NPU
Ryzen 8045シリーズ(末尾HS) 45W 35-54W
Ryzen 8040シリーズ(末尾HS) 28W 20-30W
Ryzen 8040シリーズ(末尾U) 28W 15-30W ○ / ×

 

Ryzen 8040シリーズ(末尾HS)のプロセッサーは、記事執筆時点では2つありますが、今回テストするRyzen 7 8840HSは上位のプロセッサーで、コア数は8、内蔵グラフィックスにはRadeon 780Mを搭載し、デフォルトTDP以外は、上位のRyzen 8045シリーズのRyzen 7 8845HSとほぼ一緒です。

Ryzen 8040シリーズ(末尾HS)
  Ryzen 7 8840HS Ryzen 5 8640HS
コア / スレッド数 8 / 16 6 / 12
最大クロック 5.1GHz 4.9GHz
デフォルトTDP 28W 28W
cTDP 20-30W 20-30W
グラフィックス・モデル Radeon 780M Radeon 760M
グラフィックス周波数 2700 MHz 2600 MHz
GPUコア数 12 8

 

ベンチマークの計測に利用したノートPC

今回、ベンチマークに使用したノートPCは、次の機種です。

 

 

このノートPCに、CPU使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU電力は、次の図の通りです。なお、高いパフォーマンスが出る「パフォーマンス」モードの設定で計測しています。

デフォルトTDPが28Wのプロセッサーですが、初動のブースト時を除くと、CPU電力は約34Wとやや高めの数値で推移しています。そのため、他のノートPCだと、今回の結果ほどいい結果にはならないかもしれないので、ご了承下さい。

今回のPCの高負荷時のCPU電力の推移
Prime95で、全てのCPU使用率が100%になる負荷をかけたときのCPU電力の推移

 

以下、各種計測結果を掲載していますが、棒グラフについて、Ryzen 7 8840HSのスコアは緑色にしています。また、インテルの競合CPUとなるCore Ultra 7 155Hと、上位のAMDプロセッサーのRyzen 7 8845HSのスコアをオレンジ色にしています。

 

CPU関連のベンチマークスコア

まずはCPU関連のベンチマークソフトのスコアと他のプロセッサーと比較したグラフを掲載します。

 

CINEBENCH R23

まず、定番のCINEBENCH R23のスコアを掲載します。

Ryzen 7 8840HSのマルチコアのスコアは、上位のRyzen 7 8845HSより20%程低いものの、Core Ultra 7 155Hとほぼ同等でした。一般的なノートPCに採用されるプロセッサーとしては、かなり高いスコアです。

シングルコアのスコアに関しては、Core Ultra 7 155Hよりは低いものの、Ryzen 7 8845HSとほぼ同等でした。

CINEBENCH R23
Ryzen 7 8840HS
他のCPUとの比較(マルチコア)
Ryzen 9 7945HX 33229
Core i9-14900HX 29314
Core i9-13900HX 24314
Core i9-13900H 19299
Core i7-13700HX 18283
Ryzen 7 7840HS 17922
Core i7-13700H 17622
Ryzen 9 8945HS 17151
Ryzen 7 8845HS 16387
Core i5-13500H 15302
Core Ultra 7 155H 14073
Ryzen 7 7735HS 14068
Ryzen 7 8840HS 13668
Ryzen 7 8840U 12575
Core Ultra 5 125H 12239
Ryzen 5 7535HS 10356
Ryzen 7 7735U 10122
Ryzen 7 7730U 10051
Core i7-1360P 9720
Core Ultra 5 125U 9553
Ryzen 5 8540U 9378
Core 5 120U 9317
Ryzen 5 7535U 8757
Ryzen 5 7530U 8403
Core i5-1335U 7422
Ryzen 3 7330U 5141
Core i7-1165G7 4720
他のCPUとの比較(シングルコア)
Core i9-14900HX 2196
Core i9-13900H 2016
Core i9-13900HX 1968
Ryzen 9 7945HX 1951
Core i7-13700H 1898
Core 5 120U 1879
Core i7-1360P 1826
Core Ultra 7 155H 1810
Ryzen 9 8945HS 1788
Core i5-13500H 1785
Ryzen 7 7840HS 1764
Ryzen 7 8840U 1763
Core i5-1340P 1722
Core Ultra 5 125H 1712
Ryzen 5 8540U 1701
Core i5-1335U 1698
Ryzen 7 8840HS 1686
Ryzen 7 8845HS 1682
Core Ultra 5 125U 1581
Ryzen 7 7735HS 1538
Ryzen 7 7735U 1476
Ryzen 5 7535U 1471
Ryzen 5 7535HS 1463
Core i7-1165G7 1447
Ryzen 7 7730U 1440
Ryzen 5 7530U 1439
Ryzen 3 7330U 1358

 

CINEBENCH 2024

次に、CINEBENCH 2024のスコアを下に掲載しますが、こちらもCINEBENCH R23 と似たような傾向です。

CINEBENCH 2024
Ryzen 7 8840HS
他のCPUとの比較(マルチコア)
Core i9-14900HX 1748
Core i9-13900HX 1512
Ryzen 9 8945HS 919
Ryzen 7 8845HS 919
Core i7-13700H 855
Core Ultra 7 155H 825
Ryzen 7 8840HS 785
Core i5-13500H 778
Core Ultra 5 125H 669
Core i7-1360P 664
Ryzen 7 8840U 618
Core i5-1340P 599
Ryzen 7 7730U 575
Core Ultra 5 125U 572
Core 5 120U 558
Ryzen 5 8540U 500
Ryzen 5 7530U 477
Core i5-1335U 435
他のCPUとの比較(シングルコア)
Core i9-14900HX 128
Core i9-13900HX 119
Core i7-13700H 114
Core 5 120U 110
Core i5-1335U 109
Ryzen 9 8945HS 106
Core i5-13500H 105
Ryzen 7 8840U 104
Core Ultra 7 155H 103
Ryzen 7 8845HS 101
Core Ultra 5 125H 101
Ryzen 5 8540U 100
Ryzen 7 7730U 99
Core i7-1360P 99
Core i5-1340P 99
Ryzen 7 8840HS 98
Core Ultra 5 125U 94
Ryzen 5 7530U 84

 

Geekbench 6

続いて、Geekbench 6のスコアを掲載します。先のCINEBENCHは、処理を開始してから10分経過後にスコアを計測するのに対し、Geekbenchはすぐにスコアを計測し始めるので、最初のブースト時のCPU電力が高めのプロセッサーのほうがスコアが出やすくなっています。

Ryzen 7 8840HSは、マルチコアのスコアはRyzen 7 8845HSよりもやや抑えられていますが、シングルコアのスコアはRyzen 7 8845HSとほぼ同等でした。

Geekbench 6
Ryzen 7 8840HS
他CPUとの比較(Multi-Core)
Core i7-13700H 12503
Core Ultra 7 155H 12375
Ryzen 7 8845HS 11900
Ryzen 7 8840HS 11261
Ryzen 7 8840U 10824
Core i5-1340P 9696
Core 5 120U 9557
Core Ultra 5 125U 9219
Ryzen 5 8540U 9174
Core i7-1360P 8886
Ryzen 7 7730U 8168
Ryzen 7 7735U 7615
Ryzen 5 7530U 7463
Core i5-1335U 7022
他CPUとの比較(Single-Core)
Core i7-13700H 2555
Ryzen 7 8840U 2543
Core 5 120U 2526
Ryzen 7 8840HS 2456
Ryzen 5 8540U 2447
Ryzen 7 8845HS 2436
Core i7-1360P 2416
Core Ultra 7 155H 2332
Core i5-1335U 2262
Core i5-1340P 2241
Core Ultra 5 125U 2129
Ryzen 7 7730U 1968
Ryzen 5 7530U 1964
Ryzen 7 7735U 1855

 

グラフィックス関連のベンチマークスコア

次はグラフィックス関連のベンチマークスコアを掲載します。

なお、グラフィックス性能はメインメモリの速度にも影響され、メモリの帯域が広いとグラフィックス性能も高くなります。今回のPCに搭載されていたメモリは、LPDDR5X-6400で十分な帯域があります。

 

3DMark Night Raid

3DMark Night Raidのスコアは以下の通りです。「グラフィックスのスコア」の部分が、グラフィック性能を評価する指標となります。

Ryzen 7 8840HSには、内蔵グラフィックスに「Radeon 780M」を搭載していますが、Core Ultra 7 155HやRyzen 7 8845HSとほぼ同じスコアでした。CPU内蔵グラフィックスとしては非常に高いスコアです。

3DMark Night Raid
~ グラフィックス性能の評価 ~
Ryzen 7 8840HS
他のグラフィックスとの比較(グラフィックスのスコア)
GeForce RTX 3050 52196
GeForce RTX 2050 48410
GeForce GTX 1650 45149
Core Ultra 7 155H
Intel Arc(LPDDR5)
35888
Ryzen 7 8840HS
Radeon 780M(LPDDR5X)
35847
GeForce MX550 35717
Core Ultra 5 125H
Intel Arc(LPDDR5X)
35271
Ryzen 7 8845HS
Radeon 780M(LPDDR5X)
35241
GeForce MX450 30425
Ryzen 7 8840U
Radeon 780M(DDR5)
29410
Ryzen 7 7735U
Radeon 680M(LPDDR5)
28714
Core i7-1360P
Intel Xe(LPDDR5)
21897
Core Ultra 5 125U
Intel Graphics(DDR5)
21525
Ryzen 5 8540U
Radeon 740M(DDR5)
20053
Core 5 120U
Intel Graphics(LPDDR5X)
18333
Core i5-1340P
Intel Xe(LPDDR5)
17774
Ryzen 7 7730U
Radeon Graphcis(LPDDR4X)
17524
Core i5-1335U
Intel Xe(DDR4)
16835
Ryzen 5 7530U
Radeon Graphcis(LPDDR4X)
16389

 

ゲーミング性能

以下、ゲームをしたときのフレームレートを掲載します。比較的軽めのゲームを選んで検証しています。

今回、テストに用いたPCの画面比が16:10だったので、解像度は1920x1080ではなく1920x1200で計測しています。また、CPU内蔵グラフィックスでゲームをする場合、数分経つとフレームレートが大きく落ちるケースがあるので、10分くらい普通にゲームをしたりベンチを回したりした後、実際にフレームレートを計測しています。

また、今回、「HYPR-RX」モードと「画質」モードで計測しています。このモードはAMD Software : Adrenalin Editionのソフトから変更することが可能です。

AMD Software : Adrenalin Edition

 

「HYPR-RX」モードでは、Radeon Super Resolution(RSR)の設定は1280x800から1920x1200へアップスケーリングし、AMD Fluid Motion Frames(AFMF)を有効にしています(下表参照)。

AFMFとは、フレーム生成技術のことで、DLSS 3などのフレーム生成機能とは異なり、 ゲーム側が対応していなくても利用できるのが大きなメリットです。ただし、DirectX 11やDirectX 12で動くゲームであることと、フルスクリーンで実行していることなどの制限があります。また、レイテンシ(遅延)が増大するのと、ApexでAFMFを使ったらBANされた人がいることから、競技性の高いゲームでの使用には向いていません。

HYPR-RXの詳細設定

 

ファイナルファンタジー 14 暁月のフィナーレ

「ファイナルファンタジー 14 暁月のフィナーレ」のベンチマークのスコアは下の通りです。

今回、標準品質で平均フレームレートを計測しましたが、「画質」モードの場合は51 fpsで、Core Ultra 7 155Hより低いスコアでした。

ただし、「HYPR-RX」モードにすることで、平均フレームレートが2倍以上に上がり、GeForce GTX 1650とほぼ同じスコアが出ていました。

ファイナルファンタジー 14 暁月のフィナーレ
解像度 品質 「画質」モード 「HYPR-RX」モード
1920x1200 標準品質(ノートPC) 51 fps 115 fps
他のGPUとの比較(1920x1200 or 1920×1080、標準品質)
Georce GTX 1650
(1920x1080)
115 fps
Ryzen 7 8840HS
(1920x1200)
115 fps 「HYPR-RX」モード
GeForce MX550
(1920x1080)
104 fps
Core Ultra 7 155H
(1920x1200)
81 fps
Core Ultra 5 125H
(1920x1200)
79 fps
Ryzen 7 8845HS
(1920x1200)
58 fps
Ryzen 7 8840HS
(1920x1200)
51 fps 「画質」モード
Core 5 120U
(1920x1200)
51 fps
Core Ultra 5 125U
(1920x1200)
47 fps
Ryzen 7 8840U
(1920x1200)
43 fps
Ryzen 5 8540U
(1920x1200)
39 fps

 

ファイナルファンタジー 14 黄金のレガシー

記事が完成したと思ったら、「ファイナルファンタジー 14 黄金のレガシー」のベンチマークソフトが公開されたので、急遽計測しました。

暁月のフィナーレに比べると大分重くなっていて、「HYPR-RX」モードにしても49 fpsしか出ませんでした。

ファイナルファンタジー 14 黄金のレガシー
解像度 品質 「画質」モード 「HYPR-RX」モード
1920x1200 標準品質(ノートPC) 37 fps
(5240)
49 fps
(6813)

 

黄金のレガシーでは、AMD FSRが使えるので、RSRは無効にし、ベンチマークソフトのAMD FSRの設定内容を変更して、平均フレームレートを計測したものが下の通りです。これでも、60 fpsを上回ることはできませんでした。

RSRをオフにしてAMD FSRの設定を調整したとき
3Dグラフィックス
解像度スケール
適用するフレームレート
のしきい値
平均 fps
100% 常に適用 38 fps (5339)
66% 常に適用 50 fps (6842)
AMD FSRの設定画面

 

原神

原神は、「画質」モードでも、低または中のグラフィック設定で十分なフレームレートが出ています。

なお、原神はディスプレイ本来の解像度(今回は1920x1200)でしかフルスクリーンにできないので、RSRが使えません。また、AFMFも使えませんでした。そのため、「HYPR-RX」モードにしても、フレームレートはほとんど伸びませんでした。

原神
解像度 グラフィック品質 「画質」モード 「HYPR-RX」モード
1920x1200 最低 60 fps(上限) 60 fps(上限)
60 fps(上限) 60 fps(上限)
57 fps 60 fps(上限)
52 fps 53 fps
他のGPUとの比較(1920x1200、中)
Ryzen 7 8840HS
(1920x1200)
60 fps 「HYPR-RX」モード
Ryzen 7 8845HS
(1920x1200)
59 fps
Core Ultra 7 155H
(1920x1200)
58 fps
Ryzen 7 8840HS
(1920x1200)
57 fps 「画質」モード
Ryzen 7 8840U
(1920x1200)
43 fps
Core 5 120U
(1920x1200)
41 fps
Core Ultra 5 125U
(1920x1200)
36 fps
Ryzen 5 8540U
(1920x1200)
35 fps

 

ARK: Survival Evolved

ARK: Survival Evolvedは、「画質」モードでも低設定なら92 fpsの高い平均フレームレートが出ていました。中設定に上げても60 fps出ていました。低設定だと画質があまり良くなので、できれば中設定でプレイしたいところです。

「HYPR-RX」モードにするとさらにフレームレートが伸びて快適になります。ただ、高設定だと60 fpsを切りました。

ARK: Survival Evolved
解像度 品質 「画質」モード 「HYPR-RX」モード
1920x1200 低設定 92 fps 176 fps
中設定 60 fps 85 fps
高設定 52 fps
他のGPUとの比較(1920x1200、低)
Ryzen 7 8840HS
(1920x1200)
176 fps 「HYPR-RX」モード
Ryzen 7 8845HS
(1920x1200)
96 fps
Ryzen 7 8840HS
(1920x1200)
92 fps 「画質」モード
Core Ultra 7 155H
(1920x1200)
85 fps

 

フォートナイト

フォートナイトについては、Direct X12にすると、「低設定」でも60 fpsを切り、とてもプレイすることはできませんが、「HYPR-RX」モードにすることでフレームレートがかなり伸びます。

レンダリングモードを「パフォーマンス - 低グラフィック忠実度」で「HYPR-RX」モードにすれば、さらに高いフレームレートが出ていました。

ただ、「HYPR-RX」モードにすると、振り向きでショットガンを打つときなど、視点を速く動かすと映像が荒れて、遅延もやや感じるので、エイムしにくさを感じます。個人的には「パフォーマンス - 低グラフィック忠実度」で、「画質」モードにするのが一番プレイしやすかったです。

フォートナイト [チャプター5 シーズン2]
DirectX 12
解像度 品質 「画質」モード 「HYPR-RX」モード
1920x1200 低設定 53 fps 128 fps
※テンポラルスーパー解像度:ネイティブ
※バトルロワイヤル ソロで計測
パフォーマンス - 低グラフィック忠実度
解像度 その他設定 「画質」モード 「HYPR-RX」モード
1920x1200 3D解像度:100%
メッシュ:高
描画距離:最高
117 fps 178 fps
※バトルロワイヤル ソロで計測

 

VALORANT

VALORANTについては、いずれの設定も低くすれば、「画質」モードでも高いフレームレートが出ます。「HYPR-RX」モードにすれば、さらにフレームレートは上がりますが、AFMFは競技性のあるゲームに向いていないので、AFMFはオフにしてもいいと思います。

VALORANT
解像度 品質 「画質」モード 「HYPR-RX」モード
1920x1200 低設定 160 fps 202 fps
※プラクティスモードで計測

 

パルワールド

パルワールドは重いゲームで、さらにディスプレイ本来の解像度でしかフルスクリーンにできなかったのでRSRが使えません。それでも、「HYPR-RX」モードにすれば、 60 fpsに近い平均フレームレートが出ていました。ただ、視点を速く動かすと40 fpsくらいまで下がるので、ややプレイしにくさは感じます。

パルワールド
解像度 品質 「画質」モード 「HYPR-RX」モード
1920x1200 35 fps 55 fps

 

クリエイターソフトの処理時間

次に、クリエイター向けソフトで計測した各種処理時間を掲載します。

 

Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間

Adobe Lightroom Classicにおいて、100枚のRAW画像について、現像処理をして、書き出した時の時間を計測しました。

Core Ultra 7 155HやRyzen 7 8845HSよりは遅いですが、一般的なノートPCに採用されるプロセッサーの中ではかなり速いです。

Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間
Core i9-13900H
RTX 4090 (150W)
38秒 [書き出しにGPUを使用をON]
Core i9-13900HX
RTX 4080 (175W)
39秒 [書き出しにGPUを使用をON]
Core i9-13900H
57秒
Core i7-13700H
RTX 4070 (140W)
60秒 [書き出しにGPUを使用をON]
Core i7-13700H
RTX 4060 (140W)
63秒 [書き出しにGPUを使用をON]
Core i7-13700H 68秒
Core Ultra 7 155H 72秒
Core i7-12650H
RTX 4050 (45W)
76秒 [書き出しにGPUを使用をON]
Ryzen 7 8845HS 77秒
Ryzen 7 8840HS 81秒
Core i5-13500H 80秒
Ryzen 7 6800H 82秒
Ryzen 7 8840U 87秒
Core i7-1360P 88秒
Ryzen 7 6800U 89秒
Ryzen 5 8540U 102秒
Core Ultra 5 125U 103秒
Core 5 120U 106秒
Ryzen 7 7735U 108秒
Ryzen 7 7730U 115秒
Core i5-1335U 128秒
※プロファイル補正、露光量+1、シャドウ+10、自然な彩度+10、ノイズ軽減+10を適用した100枚のRAWファイル(1枚あたり約45MB)を同じ書き出し設定でjpegに書き出し、所要時間を計測

 

Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間

Adobe Premiere Proで、FHD/30pの動画を簡単に編集して書き出した時の時間は下表の通りです。

Ryzen 7 8840HSは、CPU内蔵のグラフィックスとしては書き出しは速いです。

Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間
Core i7-12650H
GeForce MX550
2分01秒
Core i7-1185G7
GTX 1650 Max-Q
2分10秒
Core i7-1185G7
MX450
2分28秒
Core Ultra 7 155H
Intel Arc
2分29秒
Ryzen 7 8845HS
Radeon 780M
2分34秒
Ryzen 7 8840HS
Radeon 780M
2分34秒
Core i7-1360P
Intel Iris Xe
2分49秒
Ryzen 7 8840U
Radeon 780M
2分58秒
Ryzen 5 8540U
Radeon 740M
3分01秒
Core 5 120U
Intel Graphics
3分02秒
Core i5-1340P
Intel Iris Xe
3分03秒
Ryzen 7 6800U
Radeon 680M
3分05秒
Core Ultra 5 125U
Intel Graphics
3分15秒
Core i5-1335U
Intel Iris Xe
3分17秒
Ryzen 7 7735U
Radeon 680M
3分51秒
Ryzen 5 7530U
Radeon Graphics
4分31秒
※ FHD/30p動画(約10分)に、「テキスト」+「露光量」+「自然な彩度」+「トランジション」のエフェクトおよびBGMとなるオーディオを加え、H.264形式、YouTube 2160p 4K Ultra HDのプリセットで書き出したときの時間

 

Adobe Photoshopの処理時間

Photoshopでは、AIを使ったニューラルフィルターを実行してみました。

「スーパーズーム(x2)」の処理は、Core Ultra 7 155Hよりもかなり速かったです。

一方で、「JPEGのノイズを削除」に関しては、Ryzen 7 8840HSはそこまで速くありませんでした。インテルCPUと比べて得手不得手がありそうです。

Adobe Photoshop CCによる各種処理時間
ニューラルフィルター(スーパーズーム(x2))
Core i5-13500H
RTX 3050
1分03秒
Ryzen 7 8845HS
Radeon 780M
1分18秒
Ryzen 7 8840U
Radeon 780M
1分19秒
Ryzen 7 8840HS
Radeon 780M
1分35秒
Ryzen 5 8540U
Radeon 740M
1分50秒
Core Ultra 7 155H
Intel Arc
4分06秒
Core i5-1340P
Intel Iris Xe
4分07秒
Core 5 120U
Intel Graphics
4分10秒
Core i5-1335U
Intel Iris Xe
4分58秒
Core Ultra 5 125H
Intel Arc
5分20秒
Core Ultra 5 125U
Intel Graphics
5分34秒
ニューラルフィルター(JPEGのノイズを削除)
Core i5-13500H
RTX 3050
2分35秒
Core 5 120U
Intel Graphics
2分47秒
Core i5-1340P
Intel Iris Xe
3分01秒
Core i5-1335U
Intel Iris Xe
3分07秒
Core Ultra 7 155H
Intel Arc
3分13秒
Core Ultra 5 125H
Intel Arc
3分51秒
Ryzen 7 8845HS
Radeon 780M
4分08秒
Ryzen 7 8840HS
Radeon 780M
4分21秒
Core Ultra 5 125U
Intel Graphics
4分31秒
Ryzen 7 8840U
Radeon 780M
4分44秒
Ryzen 5 8540U
Radeon 740M
5分03秒
※ 6000x4000のRAWデータを編集

 

TMPGEnc によるエンコード時間

TMPGEnc Video Mastering Works 7によるソフトウェアエンコードにかかった時間は次の通りです。なおこの処理は、CPUで行います。

Core Ultra 7 155Hには及ばないものの、TDP(またはPBP(プロセッサー・ベース・パワー))が28W以下のプロセッサーの中では、Ryzen 7 8840HSはかなり速いです。

TMPGEnc Video Mastering Works 7によるエンコード時間
(ソフトウェアエンコード)
Core i9-13900H 6分13秒
Core i7-13700H 6分39秒
Ryzen 7 8845HS 7分03秒
Core Ultra 7 155H 8分32秒
Ryzen 7 8840HS 9分01秒
Ryzen 7 6800U 10分47秒
Ryzen 7 8840U 10分57秒
Ryzen 7 7730U 10分59秒
Ryzen 7 7735U 11分43秒
Core Ultra 5 125U 11分57秒
Core i7-1360P 12分03秒
Core i5-1340P 12分03秒
Core 5 120U 12分08秒
Ryzen 5 7530U 12分31秒
Ryzen 5 8540U 13分10秒
Core i5-1335U 13分31秒
※XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換したときの時間(x265のエンコーダーを使用)

 

次に、ハードウェアエンコードの処理時間ですが、Core Ultra 7 155Hなどと比べると、やや遅いですが、他と比べると速いです。

TMPGEnc Video Mastering Works 7によるエンコード時間
(ハードウェアエンコード)
Core Ultra 7 155H 37秒
Ryzen 7 8845HS 38秒
Core Ultra 5 125U 42秒
Ryzen 7 8840HS 43秒
Ryzen 7 6800U 45秒
Ryzen 7 8840U 49秒
Ryzen 5 8540U 50秒
Ryzen 7 7735U 52秒
Ryzen 7 7730U 55秒
Ryzen 5 7530U 59秒
Core i7-1360P 1分27秒
Core i5-1340P 1分41秒
Core 5 120U 1分42秒
Core i5-1335U 1分52秒
※XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換したときの時間

 

まとめ

今回、AMD Ryzen 8040シリーズプロセッサーの1つの「Ryzen 7 8840HS」について、各種ベンチマークなどを計測しました。

CPUやグラフィクス関連のベンチマークスコアを見ると、Core Ultra 7 155Hとほぼ同等のスコアで、TDP(またはPBP)が28Wクラスのプロセッサーとしてはかなり高い処理性能です。

また、ゲームについては、AFMFを含むHYPR-RXが使えるので、フレームレートが大きく伸びるゲームも多かったです。ただ、今回、1280x800の低解像度からアップスケーリングさせたこともあり、映像はやや悪く感じます。視点を速く動かすと画質が粗く感じるときもありました。ゲームによって、設定を調整するといいと思います。

クリエイティブワークの処理については、得手不得手があると感じますが、概ね高速です。

さすがに、GeForce RTXシリーズなどの外部グラフィックスを搭載したPCと比べると、ゲームもクリエイティブワークも快適度は劣りますが、仕事などの合間に、たまたに軽いゲームをしたり、かんたんな動画編集や画像編集をする程度にならベストなプロセッサーだと思います。

 

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