Ryzen 7 8845HSのベンチマーク

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ここでは、AMD Ryzen 8040シリーズプロセッサーの1つの「Ryzen 7 8845HS」の各種ベンチマークスコアを掲載します。

基本的にはゲーミングノートPCに搭載されるCPUですが、一般的なノートPCにも割と採用されているプロセッサーです。内蔵グラフィックス性能も高いので、外部GPUを搭載していなくても、ある程度ならゲームなどもできるでしょう。

なお、今回は薄型の一般向けノートPCでテストしています。ゲーミングノートPCに搭載された場合は、もっとパフォーマンスが高くなる可能性があるのでご了承下さい。

 

プロセッサーの仕様

AMD Ryzen 8040シリーズプロセッサーを、TDP毎に分けると、下表のように3つに分けられます。いずれもCPUはZen4世代、GPUはRDNA 3世代、NPUはXDNA世代のアーキテクチャが採用されています。

Ryzen 7 8845HSは、現時点で発表されているプロセッサーの中では最上位のRyzen 8045シリーズに含まれます。デフォルトTDPは45Wで、NPUも搭載しています。ただ、現時点でRyzenプロセッサーのNPUを活用できる一般向けアプリはほぼありません。

AMD Ryzen 8040シリーズプロセッサー
  デフォルトTDP cTDP NPU
Ryzen 8045(HS)シリーズ 45W 35-54W
Ryzen 8040(HS)シリーズ 28W 20-30W
Ryzen 8040(U)シリーズ 28W 15-30W ○ / ×

 

Ryzen 8045シリーズのプロセッサーはいくつかありますが、Ryzen 7 8845HSはRyzen 9に次ぐ性能で、コア数は8、グラフィックスはRadeon 780Mと、Ryzen 9と大きくは変わらない性能です。

Ryzen 8045(HS)シリーズ
  Ryzen 9 8945HS Ryzen 7 8845HS Ryzen 5 8645HS
コア / スレッド数 8 / 16 8 / 16 6 / 12
最大クロック 5.2GHz 5.1GHz 5.0GHz
デフォルトTDP 45W 45W 45W
cTDP 35-54W 35-54W 35-54W
グラフィックス・モデル Radeon 780M Radeon 780M Radeon 760M
グラフィックス周波数 2800 MHz 2700 MHz 2600 MHz
GPUコア数 12 12 8

 

ベンチマークの計測に利用したノートPC

今回、ベンチマークに使用したノートPCは、次の機種です。

 

 

このノートPCに、CPU使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU電力は、次の図の通りです。なお、高いパフォーマンスが出る「エクストリーム・パフォーマンス」の設定で計測しています。

デフォルトTDPが45Wのプロセッサーですが、初動のブースト時を除くと、CPU電力は約60Wで推移しています。やや高めのCPU電力で動作しています。ただ、ゲーミングノートPCに搭載された場合も、もう少し高いCPU電力で動作するかもしれません。

今回のPCの高負荷時のCPU電力の推移
Prime95で、全てのCPU使用率が100%になる負荷をかけたときのCPU電力の推移

 

CPU関連のベンチマークスコア

以下、各種ベンチマークソフトのスコア、および他のプロセッサーと比較したグラフを掲載します。

なお、棒グラフについて、Ryzen 7 8845HSのスコアは緑色にしています。また、CPU関連のベンチマークスコアについては、Core i7-13700Hのスコアをオレンジ色にしています。

 

CINEBENCH R23

まず、定番のCINEBENCH R23のスコアを掲載します。

マルチコアのスコアは、インテルのPBP:45WのCore i7-13700Hよりも若干低いものの、PBP:28WのCore Ultra 7 155Hよりは高いスコアが出ています。Ryzen 7 8845HSが一般向けノートPCに搭載されていたら、かなり高い性能であることが分かります。

また、Ryzen 7 8845HSは、従来のRyzen 7 7735HSと比較すると、約16%高いスコアで、上位のRyzen 9 8945HSと比較すると5%ほど低い程度のスコアでした。

ただし、シングルコアのスコアに関してはやや低めで、Core Ultra 7 155Hよりも低かったです。

CINEBENCH R23
Ryzen 7 8845HS
他のCPUとの比較(マルチコア)
Ryzen 9 7945HX 33229
Core i9-14900HX 29314
Core i9-13900HX 24314
Core i9-13900H 19299
Core i7-13700HX 18283
Ryzen 7 7840HS 17922
Core i7-13700H 17622
Ryzen 9 8945HS 17151
Ryzen 7 8845HS 16387
Core i5-13500H 15302
Core Ultra 7 155H 14073
Ryzen 7 7735HS 14068
Core Ultra 5 125H 12239
Ryzen 5 7535HS 10356
Ryzen 7 7735U 10122
Ryzen 7 7730U 10051
Core i7-1360P 9720
Core Ultra 5 125U 9553
Core 5 120U 9317
Ryzen 5 7535U 8757
Ryzen 5 7530U 8403
Core i5-1335U 7422
Ryzen 3 7330U 5141
Core i7-1165G7 4720
他のCPUとの比較(シングルコア)
Core i9-14900HX 2196
Core i9-13900H 2016
Core i9-13900HX 1968
Ryzen 9 7945HX 1951
Core i7-13700H 1898
Core 5 120U 1879
Core i7-1360P 1826
Core Ultra 7 155H 1810
Ryzen 9 8945HS 1788
Core i5-13500H 1785
Ryzen 7 7840HS 1764
Core i5-1340P 1722
Core Ultra 5 125H 1712
Core i5-1335U 1698
Ryzen 7 8845HS 1682
Core Ultra 5 125U 1581
Ryzen 7 7735HS 1538
Ryzen 7 7735U 1476
Ryzen 5 7535U 1471
Ryzen 5 7535HS 1463
Core i7-1165G7 1447
Ryzen 7 7730U 1440
Ryzen 5 7530U 1439
Ryzen 3 7330U 1358

 

CINEBENCH 2024

次は、CINEBENCH 2024のスコアです。

マルチコアに関して、Ryzen 7 8845HSは、Core i7-13700Hよりも高いスコアが出ていました。ただし、シングルコアについては、CINEBENCH R23と同様にやや低めでした。

CINEBENCH 2024
Ryzen 7 8845HS
他のCPUとの比較(マルチコア)
Core i9-14900HX 1748
Core i9-13900HX 1512
Ryzen 9 8945HS 919
Ryzen 7 8845HS 919
Core i7-13700H 855
Core Ultra 7 155H 825
Core i5-13500H 778
Core Ultra 5 125H 669
Core i7-1360P 664
Core i5-1340P 599
Ryzen 7 7730U 575
Core Ultra 5 125U 572
Core 5 120U 558
Ryzen 5 7530U 477
Core i5-1335U 435
他のCPUとの比較(シングルコア)
Core i9-14900HX 128
Core i9-13900HX 119
Core i7-13700H 114
Core 5 120U 110
Core i5-1335U 109
Ryzen 9 8945HS 106
Core i5-13500H 105
Core Ultra 7 155H 103
Ryzen 7 8845HS 101
Core Ultra 5 125H 101
Ryzen 7 7730U 99
Core i7-1360P 99
Core i5-1340P 99
Core Ultra 5 125U 94
Ryzen 5 7530U 84

 

Geekbench 6

続いて、Geekbench 6のスコアを掲載します。先のCINEBENCHは、処理を開始してから10分経過後にスコアを計測するのに対し、Geekbenchはすぐにスコアを計測し始めるので、最初のブースト時のCPU電力が高めのプロセッサーのほうがスコアが出やすくなっています。

こちらの結果は、Ryzen 7 8845HSよりも、Core i7-13700Hのほうが、マルチコアおよびシングルコアのスコアとも高い値が出ていました。ただ、Ryzen 7 8845HSのシングルコアのスコアはそこまで低くありませんでした。

Geekbench 6
Ryzen 7 8845HS
他CPUとの比較(Multi-Core)
Core i7-13700H 12503
Core Ultra 7 155H 12375
Ryzen 7 8845HS 11900
Core i5-1340P 9696
Core 5 120U 9557
Core Ultra 5 125U 9219
Core i7-1360P 8886
Ryzen 7 7730U 8168
Ryzen 7 7735U 7615
Ryzen 5 7530U 7463
Core i5-1335U 7022
他CPUとの比較(Single-Core)
Core i7-13700H 2555
Core 5 120U 2526
Ryzen 7 8845HS 2436
Core i7-1360P 2416
Core Ultra 7 155H 2332
Core i5-1335U 2262
Core i5-1340P 2241
Core Ultra 5 125U 2129
Ryzen 7 7730U 1968
Ryzen 5 7530U 1964
Ryzen 7 7735U 1855

 

グラフィックス関連のベンチマークスコア

次はグラフィックス関連のベンチマークスコアを掲載します。

なお、グラフィックス性能はメインメモリの速度にも影響され、メモリの帯域が広いとグラフィックス性能も高くなります。今回のPCに搭載されていたメモリは、LPDDR5X-6400で十分な帯域があります。

なお、ここでは、内蔵GPU性能が高いCore Ultra 7 155Hと主に比較したいので、Core Ultra 7 155Hのスコアをオレンジ色にしています。

 

3DMark Night Raid

3DMark Night Raidのスコアは以下の通りです。「グラフィックスのスコア」の部分が、グラフィック性能を評価する指標となります。

Ryzen 7 8845HSの内蔵グラフィックス「Radeon 780M」は、内蔵GPUとしては非常に高い性能で、Core Ultra 7 155Hとほぼ同じスコアが出ていました。

3DMark Night Raid
~ グラフィックス性能の評価 ~
Ryzen 7 8845HS
他のグラフィックスとの比較(グラフィックスのスコア)
GeForce RTX 3050 52196
GeForce RTX 2050 48410
GeForce GTX 1650 45149
Core Ultra 7 155H
Intel Arc(LPDDR5)
35888
GeForce MX550 35717
Ryzen 7 8845HS
Radeon 780M(LPDDR5X)
35241
GeForce MX450 30425
Ryzen 7 7735U
Radeon 680M(LPDDR5)
28714
Core i7-1360P
Intel Xe(LPDDR5)
21897
Core Ultra 5 125U
Intel Graphics(DDR5)
21525
Core 5 120U
Intel Graphics(LPDDR5X)
18333
Core i5-1340P
Intel Xe(LPDDR5)
17774
Ryzen 7 7730U
Radeon Graphcis(LPDDR4X)
17524
Core i5-1335U
Intel Xe(DDR4)
16835
Ryzen 5 7530U
Radeon Graphcis(LPDDR4X)
16389

 

ゲーミング性能

以下、ゲームをしたときのフレームレートを掲載します。比較的軽めのゲームを選んで検証しています。

今回、テストに用いたPCの画面比が16:10だったので、解像度は1920x1080ではなく1920x1200で計測しています。また、CPU内蔵グラフィックスでゲームをする場合、数分経つとフレームレートが大きく落ちるケースがあります。そのため、10分くらい普通にゲームをしたりベンチを回したりした後、実際にフレームレートを計測しています。

なお、ここでも、内蔵GPU性能が高いCore Ultra 7 155Hと比較したいので、Core Ultra 7 155Hのスコアをオレンジ色にしています。

 

ファイナルファンタジー 14 暁月の終焉

「ファイナルファンタジー 14 暁月の終焉」のベンチマークのスコアは下の通りです。

標準品質であれば、58 fpsの平均フレームレートが出ているので、なんとかゲームができるでしょう。ただ、Core Ultra 7 155Hよりは大分低いスコアでした。

ファイナルファンタジー 14 暁月のフィナーレ
解像度 品質 平均 fps
1920x1200 標準品質 58 fps / 8119
高品質 49 fps / 6971
最高品質 39 fps / 5753
他のGPUとの比較(1920x1200 or 1920×1080、標準品質)
Georce GTX 1650
(1920x1080)
115 fps
GeForce MX550
(1920x1080)
104 fps
Core Ultra 7 155H
(1920x1200)
81 fps
Core Ultra 5 125H
(1920x1200)
79 fps
Ryzen 7 8845HS
(1920x1200)
58 fps
Core 5 120U
(1920x1200)
51 fps
Core Ultra 5 125U
(1920x1200)
47 fps
Core i5-1340P
(1920x1200)
46 fps

 

ブループロトコル

ブループロトコルは、1920x1200にできなかったので、1920x1080で計測しています。低画質の設定であれば、92 fpsと比較的高めの平均フレームレートが出ていました。この画質で構わなければ、十分ゲームができると思います。

また、Core Ultra 7 155Hよりも若干高い平均フレームレートが出ていました。

ブループロトコル
解像度 品質 平均 fps
1920x1080 低画質 92 fps / 13643
中画質 50 fps / 7168
他のGPUとの比較(1920x1200 or 1920×1080、低画質
Georce GTX 1650
(1920x1080)
122 fps
Ryzen 7 8845HS
(1920x1080)
92 fps
Core Ultra 7 155H
(1920x1200)
87 fps
Core Ultra 5 125U
(1920x1200)
55 fps
Core 5 120U
(1920x1200)
35 fps

 

原神

原神は、1920x1200であれば「中」のグラフィック品質でも、60 fps近い平均フレームレートが出ていました。このゲームはフレームレートの上限が60 fpsなので、十分高い数値です。2880x1800の場合は「低」のグラフィック品質であれば、十分プレイすることができます。

原神
解像度 グラフィック品質 平均 fps
1920x1200 最低 60 fps(上限)
60 fps(上限)
59 fps
2880x1800 最低 60 fps(上限)
58 fps
37 fps
他のGPUとの比較(1920x1200、中)
Ryzen 7 8845HS
(1920x1200)
59 fps
Core Ultra 7 155H
(1920x1200)
58 fps
Core 5 120U
(1920x1200)
41 fps
Core Ultra 5 125U
(1920x1200)
36 fps

 

ARK: Survival Evolved

ARK: Survival Evolvedも低設定であれば、96 fpsと比較的高い平均フレームレートが出ていました。ただし、中設定にすると60 fpsを切ります。

なお、Core Ultra 7 155Hよりもやや高めのフレームレートが出ていました。

ARK: Survival Evolved
解像度 品質 平均 fps
1920x1200 低設定 96 fps
中設定 55 fps
他のGPUとの比較(1920x1200、低)
Ryzen 7 8845HS
(1920x1200)
96 fps
Core Ultra 7 155H
(1920x1200)
85 fps

 

PSO2 ニュージェネシス

PSO2 ニュージェネシスは、「最低」のグラフィック品質であれば、60 fpsを超える平均フレームレートが出ていました。

ただ、こちらに関しては、Core Ultra 7 155Hのほうが高い平均フレームレートが出ていました。

PSO2 ニュージェネシス
解像度 品質 平均 fps
1920x1200 最低 74 fps
59 fps
ウルトラ 28 fps
他のGPUとの比較(1920x1200 or 1920×1080、最低品質)
Georce GTX 1650
(1920x1080)
139 fps
GeForce MX550
(1920x1080)
117 fps
Core Ultra 7 155H
(1920x1200)
92 fps
Ryzen 7 8845HS
(1920x1200)
74 fps

 

フォートナイト

フォートナイトについては、レンダリングモードを「パフォーマンス - 低グラフィック忠実度」にして計測しました。

Core Ultra 7 155H搭載PCでゲームをしたときは、よくカクつくことがあり、あまり快適にはゲームができませんでした。一方、Ryzen 7 8845HS搭載PCであれば平均フレームレートが123 fpsと高めで、今回ディスプレイが120Hzであったこともあり、割とプレイできました。たまにカクつくことはありますが、エンジョイ勢であれば、なんとかゲームができるかなと思います。Switchよりはやりやすいです。

フォートナイト [チャプター5 シーズン2]
解像度 その他設定 平均 fps
1920x1200 3D解像度:100%
メッシュ:高
描画距離:最高
123 fps
※バトルロワイヤル ソロで計測
他のGPUとの比較(1920x1200、低)
Ryzen 7 8845HS
(1920x1200)
123 fps
Core Ultra 7 155H
(1920x1200)
82 fps

 

VALORANT

VALORANTについては、低設定であれば、100 fpsを超える平均フレームレートが出ており、こちらも割と快適にプレイすることができました。

VALORANT
解像度 品質 平均 fps
1920x1200 低設定 164 fps
高設定  73 fps
※プラクティスモードで計測
他のGPUとの比較(1920x1200、低)
Core Ultra 7 155H
(1920x1200)
175 fps
Ryzen 7 8845HS
(1920x1200)
164 fps

 

ドラゴンクエストX

ドラゴンクエストXについては、1920x1080で計測しています。Core Ultra 7 155Hを大きく下回るスコアしか出ませんでしたが、軽いゲームなので、十分プレイ可能です。

ドラゴンクエストX
解像度 品質 平均 fps
1920x1080 最高品質 12027(すごく快適)
他のGPUとの比較(1920x1080、最高)
Core Ultra 7 155H 18885
Core Ultra 5 125U 14258
Ryzen 7 8845HS 12027
Core 5 120U 5977

 

クリエイターソフトの処理時間

次に、クリエイター向けソフトで計測した各種処理時間を掲載します。

なお、ここでも、Core Ultra 7 155Hのスコアをオレンジ色にしています。

 

Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間

Adobe Lightroom Classicにおいて、100枚のRAW画像について、現像処理をして、書き出した時の時間を計測しました。

2024.4.2 計測し直したら数値が改善されたので訂正しました。

まずまずの速さですが、Core Ultra 7 155Hよりは遅かったです。昔からそうですが、Lightroomの書き出しは、ノートPC向けのCPUの場合、AMDプロセッサーよりインテルプロセッサーのほうが速い傾向があります。

現像処理自体は、外部GPU搭載PCよりはややもたつきがあるものの、十分利用できる範囲です。

Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間
Core i9-13900H
RTX 4090 (150W)
38秒 [書き出しにGPUを使用をON]
Core i9-13900HX
RTX 4080 (175W)
39秒 [書き出しにGPUを使用をON]
Core i9-13900H
57秒
Core i7-13700H
RTX 4070 (140W)
60秒 [書き出しにGPUを使用をON]
Core i7-13700H
RTX 4060 (140W)
63秒 [書き出しにGPUを使用をON]
Core i7-13700H 68秒
Core Ultra 7 155H 72秒
Core i7-12650H
RTX 4050 (45W)
76秒 [書き出しにGPUを使用をON]
Ryzen 7 8845HS 77秒
Core i5-13500H 80秒
Ryzen 7 6800H 82秒
Core i7-1360P 88秒
Ryzen 7 6800U 89秒
Core i5-1340P 93秒
Core Ultra 5 125U 103秒
Core 5 120U 106秒
Ryzen 7 7735U 108秒
Ryzen 7 7730U 115秒
Core i5-1335U 128秒
※プロファイル補正、露光量+1、シャドウ+10、自然な彩度+10、ノイズ軽減+10を適用した100枚のRAWファイル(1枚あたり約45MB)を同じ書き出し設定でjpegに書き出し、所要時間を計測

 

Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間

Adobe Premiere Proで、FHD/30pの動画を簡単に編集して書き出した時の時間は下表の通りです。

CPU内蔵のグラフィックスとしては書き出しは速いです。Core Ultra 7 155Hとほぼ同等の速さでした。FHD動画の簡単な編集であれば使えると思います。ただし、アニメーションを多用したり、分析処理が入るエフェクトを使ったり、4Kなどの高解像度動画を編集するなら、もう少しグラフィック性能の高いノートPCがおすすめです。

Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間
Core i7-12650H
GeForce MX550
2分01秒
Core i7-1185G7
GTX 1650 Max-Q
2分10秒
Core i7-1185G7
MX450
2分28秒
Core Ultra 7 155H
Intel Arc
2分29秒
Ryzen 7 8845HS
Radeon 780M
2分34秒
Core i7-1360P
Intel Iris Xe
2分49秒
Core 5 120U
Intel Graphics
3分02秒
Core i5-1340P
Intel Iris Xe
3分03秒
Ryzen 7 6800U
Radeon 680M
3分05秒
Core Ultra 5 125U
Intel Graphics
3分15秒
Core i5-1335U
Intel Iris Xe
3分17秒
Ryzen 7 7735U
Radeon 680M
3分51秒
Ryzen 5 7530U
Radeon Graphics
4分31秒
※ FHD/30p動画(約10分)に、「テキスト」+「露光量」+「自然な彩度」+「トランジション」のエフェクトおよびBGMとなるオーディオを加え、H.264形式、YouTube 2160p 4K Ultra HDのプリセットで書き出したときの時間

 

Adobe Photoshopの処理時間

Photoshopでは、AIを使ったニューラルフィルターを実行してみました。

「スーパーズーム(x2)」に関しては、Core Ultra 7 155Hよりもかなり速く、RTX 3050の外部グラフィックスを搭載したノートPCと同じくらいの処理時間でした。GPUを使う処理はかなり速そうです。

「JPEGのノイズを削除」に関しては、ほぼCPUで処理しますが、そこまで速くありませんでした。

Adobe Photoshop CCによる各種処理時間
ニューラルフィルター(スーパーズーム(x2))
Core i5-13500H
RTX 3050
1分03秒
Ryzen 7 8845HS
Radeon 780M
1分18秒
Core Ultra 7 155H
Intel Arc
4分06秒
Core i5-1340P
Intel Iris Xe
4分07秒
Core 5 120U
Intel Graphics
4分10秒
Core i5-1335U
Intel Iris Xe
4分58秒
Core Ultra 5 125U
Intel Graphics
5分34秒
ニューラルフィルター(JPEGのノイズを削除)
Core i5-13500H
RTX 3050
2分35秒
Core 5 120U
Intel Graphics
2分47秒
Core i5-1340P
Intel Iris Xe
3分01秒
Core i5-1335U
Intel Iris Xe
3分07秒
Core Ultra 7 155H
Intel Arc
3分13秒
Ryzen 7 8845HS
Radeon 780M
4分08秒
Core Ultra 5 125U
Intel Graphics
4分31秒
※ 6000x4000のRAWデータを編集

 

TMPGEnc によるエンコード時間

TMPGEnc Video Mastering Works 7によるソフトウェアエンコードにかかった時間は次の通りです。なおこの処理は、CPUで行います。

エンコードについては、Ryzen 7 8845HSは、Core Ultra 7 155Hよりも速く、Core i7-13700Hに近い処理時間でした。

TMPGEnc Video Mastering Works 7によるエンコード時間
(ソフトウェアエンコード)
Core i9-13900H 6分13秒
Core i7-13700H 6分39秒
Ryzen 7 8845HS 7分03秒
Core Ultra 7 155H 8分32秒
Ryzen 7 6800U 10分47秒
Ryzen 7 7735U 11分43秒
Core Ultra 5 125U 11分57秒
Core i7-1360P 12分03秒
Core i5-1340P 12分03秒
Core 5 120U 12分08秒
Core i5-1335U 13分31秒
※XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換したときの時間(x265のエンコーダーを使用)

 

次に、ハードウェアエンコードの処理時間は、Core Ultra 7 155Hと同じくらいの時間で、こちらも高速でした。

TMPGEnc Video Mastering Works 7によるエンコード時間
(ハードウェアエンコード)
Core Ultra 7 155H 37秒
Ryzen 7 8845HS 38秒
Core Ultra 5 125U 42秒
Ryzen 7 6800U 45秒
Ryzen 7 7735U 52秒
Ryzen 5 7530U 55秒
Core i7-1360P 1分27秒
Core i5-1340P 1分41秒
Core 5 120U 1分42秒
Core i5-1335U 1分52秒
※XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換したときの時間

 

バッテリー駆動時間

ここでは、ボディなどがほぼ同じでインテル Core Ultraプロセッサーを搭載した兄弟機種「IdeaPad Pro 5i Gen 9」とバッテリー駆動時間を比較しました。

下表の(1)~(3)はメーカーの公表値で、(4)当サイトの計測値です。

(1)のアイドル時や、(3)のかなり負荷が低いときはインテル Core Ultra プロセッサー搭載モデルのほうが長いバッテリー駆動時間でしたが、(2)の動画再生や(4)の動画編集作業時のプレビュー再生のようなやや負荷がかかったときは、Ryzen 7 8845HS搭載モデルのほうが長いバッテリー駆動時間でした。

使い方にもよりますが、一般的な使い方をした場合、Ryzen 7 8845HS搭載モデルのほうがバッテリー駆動時間は長いかもしれません。

バッテリー駆動時間
  IdeaPad Pro 5 Gen 9 IdeaPad Pro 5i Gen 9
Ryzen 7 8845HS Core Ultra 5 125H Core Ultra 7 155H
(1) JEITA3.0(アイドル時) 約17.3時間 約22.7時間 約24.9時間
(2) JEITA3.0(動画再生時) 約12.7時間 約10.5時間 約10.4時間
(3) JEITA2.0 約19.3時間 約 23.4時間 約23.4時間
(4) 動画編集時のプレビュー 5時間52分 5時間33分 未計測
(1)~(3) メーカー公表値
(4) Premiere Proで480x320の動画をプレビュー再生(リピート)させたとき。画面輝度は約120cd/m2

 

まとめ

今回、AMD Ryzen 8040シリーズプロセッサーの1つの「Ryzen 7 8845HS」のベンチマークスコアなどを計測しました。

CPUのマルチコア性能はCore i7-13700Hに近いですが、シングルコア性能についてはやや落ちるようでした。

グラフィック性能は、3DMarkを見るとCore Ultra 7 155Hの内蔵GPUとほぼ同じで、ゲームによってはかなり高いフレームレートが出るケースもありました。

クリエイティブワークは、処理によっては遅いものもありますが、基本的には速いです。特にGPUを使う処理は速かったです。

デフォルトTDP:45WのCPUですが、バッテリー駆動時間も比較的長かったです。

AI機能については、一般ユーザーが試せる環境が無かったので、今回は未検証です。

総合的に見ると、Core i7-13700Hに近いCPU性能で、Core Ultra 7 155Hと同等のグラフィック性能を持つ優秀なプロセッサーだと思います。

 

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