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Ryzen AI Max+ 395のベンチマーク

ここでは、開発コード名「Straix Halo」の「Ryzen AI Max+ 395」の各種ベンチマークスコアを掲載します。
結果は、驚くほど高いスコアが出ていました。特にグラフィックス性能が非常に高く、独立GPUを搭載していなくても、モンハンワイルズのゲームができる性能です。
プロセッサーの仕様
今回テストするRyzen AI Max+ 395は、Ryzen AI Max 300シリーズ「Strix Halo」の1つで、CPUはZen5世代、GPUはRDNA 3.5世代、NPUはXDNA 2世代のアーキテクチャが採用されているプロセッサーです。また、256GB/sのメモリ帯域幅を実現したユニファイドメモリを採用している点も特徴です。
昨年登場したRyzen AI HX 300シリーズ「Straix Point」と比較すると、「Strix Halo」のほうがデフォルトTDPが高く、GPUコアも多くなっており、より強力なパフォーマンスが期待できます。NPU性能については「Straix Point」のほうが高くなっているものの、CPUやGPUも含めたトータルのTOPSについては、「Strix Halo」が最大85 TOPS、「Straix Point」が最大 126 TOPSとなっており、後者のほうが高くなっています。
コード名 | デフォルト TDP |
GPUコア | NPU | |
Ryzen AI Max 300シリーズ | Strix Halo | 55W | 最大40 | 最大 50TOPS |
Ryzen AI HX 300シリーズ | Strix Point | 28W | 最大16 | 最大 55TOPS |
企業向けのPROシリーズを除くと、Ryzen AI Max 300シリーズ「Strix Halo」は、現時点では以下の3つが発表されています。今回テストするRyzen AI Max+ 395は、この中で最上位の性能となっており、CPUコア数やグラフィックスコア数が非常に多く、キャッシュも80MBとかなり多いです。
Ryzen AI Max+ 395 | Ryzen AI Max 390 | Ryzen AI Max 385 | |
コア / スレッド | 16 / 32 | 12 / 24 | 8 / 16 |
アーキテクチャ | Zen 5 | ||
最大クロック | 5.1 GHz | 5.0 GHz | 5.0 GHz |
ベースクロック | 3.0 GHz | 3.2 GHz | 3.6 GHz |
キャッシュ | 80MB | 76MB | 40MB |
デフォルトTDP | 55W | ||
cTDP | 45-120W | ||
GPU | Radeon 8060S | Radeon 8050S | |
グラフィックスコア | 40 | 32 | |
NPU | 最大 50 TOPS |
ベンチマークの計測に利用したノートPC
今回、ベンチマーク計測用に使用したノートPCは、次の機種です。
このノートPCに、CPU使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU電力は、次の図の通りです。なお、高いパフォーマンスが出る「Turbo」モードの設定で計測しています。
デフォルトTDPが55Wですが、初動のブースト時を除くと、CPU電力は60~70Wで推移しています。デフォルトTDPよりも若干高い程度のCPU電力です。標準またはそれ以上の性能が出ていると思います。

CPU関連のベンチマークスコア
以下、Ryzen AI Max+ 395の各種ベンチマークスコアを掲載します。
グラフでは、Ryzen AI Max+ 395を緑色のバーにしています。また、参考のためにStrix PointのRyzen AI 9 HX 370のCPUをオレンジのバーにしています。
CINEBENCH 2024
まずは、レンダリングを行いCPUやGPUの性能を評価するベンチマークソフト、CINEBENCH 2024のスコアを掲載します。
マルチコアのスコアは、驚くほど高いです。Ryzen AI 9 HX 370よりも約1.8倍も高く、高性能ゲーミングノートPCに採用されているCore i7-14700HXよりも高いスコアでした。
シングルコアのスコアは、Core Ultra 7 258Vなどよりはやや低いですが、それでも高めです。

CINEBENCH R23
続いて、CINEBENCH R23のスコアを掲載します。
こちらも、Ryzen AI Max+ 395は非常に高いスコアです。Core i7-14700HXよりも高く、Core i9-14900HXに迫るマルチコアスコアが出ています。

Geekbench 6
続いて、拡張現実や機械学習などの最先端の処理を取り入れているクロスプラットフォームのベンチマークソフト、Geekbench 6のスコアを掲載します。CINEBENCHは、処理を開始してから10分経過後にスコアを計測するのに対し、Geekbenchはすぐにスコアを計測し始めるので、ブースト時のCPU電力が高めのプロセッサーのほうがスコアが出やすくなっています。
こちらもかなり高いスコアが出ています。

PassMark Performance Test 11
続いて、圧縮、暗号化、物理シミュレーションなどを含む数学的計算を行うPassMark Performance Test 11.0のスコアを掲載します。
Passmarkも計測時間が短いので、ブースト時のCPU電力が高めのCPUが割と有利ですが、こちらも高いスコアが出ています。驚きのスコアです。

グラフィックス関連のベンチマークスコア
次はグラフィックス関連のベンチマークスコアを掲載します。
CPU内蔵のグラフィックスには、「Radeon 8060S」を搭載しています。デフォルトでは4GBのグラフィックスメモリが割り当てられています。今回はこのままテストしましたが、64GBのメモリを搭載している本製品は、最大48GBまでVRAMに割り当てることが可能です。
なお、Ryzen AI Max+ 395は、LPDDR5X-8000を搭載し、256GB/sのメモリ帯域幅を実現したユニファイドメモリを採用している点も特徴です。

3DMark Night Raid
3DMark Night Raidのスコアは以下の通りです。「グラフィックスのスコア」を見ると、内蔵GPUとしては性能が高いRyzen AI 9 HX 370よりも、約2.6倍も高いスコアでした。驚愕のスコアです。

3DMark Time Spy
続いて、3DMark Time Spyを計測し、独立GPUと比較してみます。
「グラフィックスのスコア」のスコアを見ると、GeForce RTX 4050 Laptop GPUよりも高いスコアが出ていました。また、最大グラフィックスパワーが65Wと低めのGeForce RTX 4060 Laptop GPUよりも高いスコアでした。
もう、独立GPUが搭載されていると思ったほうがいい性能です。

※グラフィックスは、いずれもノートPC用のグラフィックスです
3DMark Steel Nomad
続いて、3DMark Steel Nomadのスコアを確認します。「グラフィックステスト」のスコアを見ると、こちらも、GeForce RTX 4050 Laptop GPUよりも高いスコアでした。

ゲーミング性能
続いて、各ゲームの平均フレームレートを掲載します。
かなり重いARK: Survival Ascendedも、設定を下げることでプレイできるフレームレートが出ていました。
モンハンワイルズベンチマークも、フレーム生成をオンにすれば、2560x1600および高めの画質でプレイできるフレームレートが出ていました。
その他のゲームも、グラフィック品質設定を調整することで、余裕でプレイすることができます。
![]() 劇的に重い部類のゲーム
ARK: Survival Ascended
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---|---|---|
解像度 | 品質 | 平均 fps |
1920x1200 | 低 | 89 fps |
ノーマル | 55 fps | |
最高 | ー | |
2560x1600 | 低 | 79 fps |
ノーマル | 43 fps | |
最高 | ー |
![]() 重い部類のゲーム
モンスターハンターワイルズ(ベンチマーク)
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|||
---|---|---|---|
解像度 | 品質 | フレーム生成OFF | フレーム生成ON |
1920x1200 | 最低 | 72 fps | 124 fps |
中 | 64 fps | 111 fps | |
ウルトラ | 48 fps | 82 fps | |
2560x1600 | 最低 | ー | 119 fps |
中 | ー | 98 fps | |
ウルトラ | ー | 65 fps |
![]() 重い部類のゲーム
パルワールド
|
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---|---|---|
解像度 | 品質 | 平均 fps |
1920x1080 (ウィンドウ) |
低 | 79 fps |
中 | 74 fps | |
最高 | 51 fps | |
2560x1600 | 低 | 78 fps |
中 | 68 fps | |
最高 | 46 fps |
![]() 重い部類のゲーム
サイバーパンク2077
|
||
---|---|---|
解像度 | 品質 | 平均fps |
1920x1200 | 低 | 125 fps |
高 | 87 fps | |
ウルトラ | 67 fps | |
2560x1600 | 低 | 104 fps |
高 | 59 fps | |
ウルトラ | 44 fps |
![]() 重い部類のゲーム
ファイナルファンタジー 15
|
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---|---|---|
解像度 | 品質 | 平均fps |
1920x1080 | 軽量品質 | 143 fps |
高品質 | 81 fps | |
2560x1440 | 軽量品質 | 109 fps |
高品質 | 59 fps |
![]() 中程度の重さのゲーム
PSO2 ニュージェネシス
|
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---|---|---|
解像度 | 品質 | 平均fps |
1920x1080 (ウィンドウ) |
低 | 150 fps |
高 | 86 fps | |
ウルトラ | 62 fps | |
2560x1600 | 低 | 142 fps |
高 | 71 fps | |
ウルトラ | 56 fps |
![]() 中程度の重さのゲーム
ファイナルファンタジー 14 黄金のレガシー
|
||
---|---|---|
解像度 | 品質 | 平均fps |
1920x1200 | 標準(ノート) | 115 fps |
高(ノート) | 108 fps | |
最高品質 | 80 fps | |
2560x1600 | 標準(ノート) | 74 fps |
高(ノート) | 69 fps | |
最高品質 | 50 fps |
![]() 中程度の重さのゲーム
MHW:アイスボーン
|
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---|---|---|
解像度 | 品質 | 平均fps |
1920x1200 | 高 | 98 fps |
最高 | 73 fps | |
2560x1600 | 高 | 74 fps |
最高 | 48 fps |
![]() 中程度の重さのゲーム
フォートナイト
|
---|
解像度 | 品質 | 平均fps |
1920x1200 | 低設定 | 183 fps |
中設定 | 162 fps | |
最高設定 | 104 fps | |
2560x1600 | 低設定 | 166 fps |
中設定 | 142 fps | |
最高設定 | 95 fps |
※テンポラルスーパー解像度:ネイティブ
※バトルロワイヤル ソロで計測
解像度 | その他設定 | 平均fps |
1920x1200 | 3D解像度:100% 描画距離:最高 メッシュ:低 |
257 fps |
2560x1600 | 229 fps |
![]() 軽い部類のゲーム
Apex Legends
|
||
---|---|---|
解像度 | 品質 | 平均fps |
1920x1200 | 低設定 | 254 fps |
高設定 | 145 fps | |
2560x1600 | 低設定 | 169 fps |
高設定 | 102 fps |
![]() 軽い部類のゲーム
VALORANT
|
||
---|---|---|
解像度 | 品質 | 平均fps |
1920x1200 | 高設定 | 467 fps |
2560x1600 | 高設定 | 390 fps |
![]() 軽い部類のゲーム
PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS
|
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---|---|---|
解像度 | 品質 | 平均fps |
1920x1200 | 非常に低い | 261 fps |
中型 | 196 fps | |
ウルトラ | 149 fps | |
2560x1600 | 非常に低い | 167 fps |
中型 | 127 fps | |
ウルトラ | 97 fps |
![]() 原神
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---|---|---|
解像度 | グラフィック品質 | 平均フレームレート |
2560x1600 | 高 | 60 fps(上限) |
RSRやAFMFも使える
Ryzen AI Max+ 395は、下図のようにHYPR-RXモードにすることができます。

HYPR-RXとは、アップスケーリング機能のRadeon Super Resolution(RSR)や、フレーム生成機能のAMD Fluid Motion Frames(AFMF)などをまとめて有効にする機能で、フレームレートを大きく向上させることができます。ゲームがアップスケーリングやフレーム生成に対応していなくても、利用できる点がメリットです。
例えば下のように、モンハンアイスボーンで、HYPR-RXをオンにすると、フレームレートが2倍以上になります。
![]() 中程度の重さのゲーム
MHW:アイスボーン
|
---|
ただし、低い解像度にしたときにウィンドウモードではなく、フルスクリーンで実行できる必要があります。また、AFMFは、レイテンシ(遅延)が増大するので、Apexやフォートナイトなどの競技性の高いゲームでの使用には向いていません。
クリエイターソフトの処理時間
次に、Adobeソフトで計測した各種処理時間を掲載します。
Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間
Adobe Lightroom Classicによる100枚のRAWデータの書き出し時間は、恐ろしく速かったです。Core i9-14900HXよりも高速でした。純粋にCPUが高速であるということもありますが、256GB/sのメモリ帯域幅を実現したユニファイドメモリを採用しているのも、この速さに影響しているのかもしれません。

:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
Adobe Premiere Proによる書き出し時間
Adobe Premiere Proによる動画の書き出し時間もかなり速いです。
FHD動画の書き出し時間について、主に独立GPUを搭載していない機種と比較しましたが、圧倒的な速さでした。
4K動画の書き出しについては、主に独立GPUを搭載した機種と比較しましたが、こちらもかなり速く、GeForce RTX 4050 Laptop GPUを搭載した機種よりも速かったです。

※ グラフィックスは全てノートPC用
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
消費電力
消費電力は次の通りです。なお、ここでは「Turbo」モードではなく、「パフォーマンス」モードで計測しています。また、他のCPU(および外部GPU)を搭載したノートPCの消費電力も掲載します。なお、ディスプレイなどによっても消費電力は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
FF15ベンチを実行したときの消費電力を見ると、Ryzen AI Max+ 395を搭載した本製品は92Wであるのに対し、Core i7-13620HおよびRTX 4050(140W)の構成のゲーミングノートPCは198Wでした。本製品は、ゲーミングノートPCでゲームをするよりも低い消費電力で動きます。100WのUSB PD充電器を接続しても、パフォーマンスをそこまで落とさずゲームができると思われます。
ただし、さすがにStrix PointのRyzen AI 9 HX 370を搭載したノートPCと比較すると、全体的に消費電力は高いです。
省電力構成のRyzen 9 8945HSおよびRTX 4070(90W)のゲーミングノートPCと比べると、そこまで差はありません。
また、Ryzen AI Max+ 395はアイドル時の消費電力が高い点がやや気になります。モードを変更すればもう少し消費電力は下がりますが、それでもやや高めです。ゲーミングノートPCは、低負荷時は独立GPUではなく、省電力の内蔵GPUを利用するOptimusテクノロジーという仕組みがありますが、Ryzen AI Max+ 395は内蔵GPUの性能が高すぎるのでアイドル時でも電力を多く消費するのかもしれません。ただ、他のPCでは変わってくるのかもしれません。
PCの構成 | アイドル | YouTube 再生 |
動画編集 プレビュー |
ソフトウェア エンコード |
FF15ベンチ |
Ryzen AI Max+ 395 | 22W | 32W | 79W | 91W | 98W |
---|---|---|---|---|---|
Ryzen AI 9 HX 370 | 7W | 16W | 27W | 34W | ー |
Ryzen 9 8945HS +RTX 4070(90W) |
13W | ー | ー | ー | 115W |
Core i7-13620H +RTX 4050(140W) |
15W | ー | ー | ー | 198W |
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています
まとめ
今回、Strix Haloの「Ryzen AI Max+ 395」について、各種ベンチマークなどを計測しました。
CPU性能は高性能ゲーミングノートPC並に高く、内蔵GPU性能はGeForce RTX 4050 Laptop GPUより高く、かなり性能の高いプロセッサーです。NPU性能も最大50TOPSと高めです。プロセッサー単体で見た場合、過去最強の性能と言ってもいいでしょう。
モンハンワイルズやパルワールドといった重めのゲームも快適にプレイできますし、動画編集や画像編集といったクリエイティブワークも快適に使えます。
消費電力は、普通のノートPCよりは高いですが、ゲーミングノートPCよりは低いです。100WくらいのUSB PD充電器でも、大きくパフォーマンスを落とすことなく、ゲームやクリエイティブワークができるでしょう。
ただ、今回テストしたRyzen AI Max+ 395搭載のモデルは、40万円以上する高額PCです。おそらくRyzen AI Max+ 395を搭載した他のPCも、高額になってしまうと思います。

1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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