Zen 3のRyzen 7 5800Uのベンチマーク

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AMDの最新モバイル向けプロセッサーで、Zen 3アーキテクチャを採用した7nmプロセス製造の「Ryzen 7 5800U」の各種ベンチマークスコアを掲載します。

 

Ryzen 7 5800Uの仕様

 AMDのモバイル向け最新プロセッサー「Ryzen 5000」シリーズは、コードネーム「Lucienne」と呼ばれるZen 2と、「Cezanne」と呼ばれるZen 3が混在していますが、Ryzen 7 5800Uは新しいアーキテクチャのZen 3を採用したプロセッサーです。

Ryzen 7 5800Uは、Ryzen 7 5700Uと比較して、クロック数にそれほど違いはないものの、L3キャッシュの容量が倍増し、キャッシュへのアクセス方法も改善され、パフォーマンスの向上が見込まれます。

グラフィック性能は、クロックがやや向上していますが、Zen 2と同じVega GPUですので、大きな性能向上は期待できません。

メモリは、最大で、DDR4-3200およびLPDDR4-4266をサポートしています。メモリ速度が速ければ、グラフィック性能も大きく向上します。

Ryzen 7 5800Uと5700Uの比較
  Ryzen 7 5800U Ryzen 7 5700U
アーキテクチャ Zen 3 Zen 2
CPUコア数 8 8
スレッド数 16 16
基本クロック 1.9GHz 1.8GHz
最大ブースト
クロック
4.4GHz 4.3GHz
L2キャッシュ 4MB 4MB
L3キャッシュ 16MB 8MB
TDP / cTDP 15W / 10-25W
メモリータイプ 最大DDR4-3200 / LPDDR4-4266
GPUコア数 8 8
グラフィックス
周波数 [MHz]
2000 1900

 

ベンチマークの計測に利用したノートPC

今回は、モバイルノートのThinkBook 13s Gen 3でテストを行いました。ダブルファンを搭載していますが、ボディが小型なので放熱性能はそこまで高いわけではありません。そのため、15インチクラスでもっと放熱性の高いノートPCの場合、今回計測したベンチマークスコアより、もっと良い結果が出る可能性もあります。今回の結果は、参考値としてご覧ください。

 

Ryzen 7 5800Uのベンチマークスコア

以下、各種ベンチマークソフトのスコアを掲載します。

CINEBENCH R23

Ryzen 7 5800UのCINEBENCH R23のスコアはご覧の通りです。

モバイル向けのプロセッサーとしては、非常に高いマルチコアのスコアで、Core i7-1165G7の約1.7倍のスコアが出ています。ただ、Zen 2のRyzen 7 5700Uと比較すると微増といったところです。

一方、シングルコアのスコアに関しては、Ryzen 7 5700Uよりも約10%も伸びています。Core i7-1165G7よりは低いスコアであるものの、その差は大分縮まっており、多くの作業が快適になると思われます。

CINEBENCH R23
ThinkBook 13s Gen 3
他のCPUとの比較(マルチコア)
Ryzen 9 5900HX 13382
Ryzen 7 5800H 12604
Core i7-11800H 10593
Ryzen 7 5800U 8086
Ryzen 7 5700U 7798
Core i7-11370H 7123
Ryzen 7 4700U 6499
Ryzen 5 5500U 6250
Core i7-1185G7 6229
Ryzen 5 4500U 4764
Core i7-1165G7 4720
Core i5-1135G7 4000
Core i7-1065G7 3965
Core i3-1115G4 2643
他のCPUとの比較(シングルコア)
Core i7-11370H 1519
Core i7-1185G7 1517
Core i7-11800H 1507
Ryzen 9 5900HX 1463
Core i7-1165G7 1447
Ryzen 7 5800H 1435
Ryzen 7 5800U 1382
Core i5-1135G7 1294
Core i3-1115G4 1275
Ryzen 7 5700U 1265
Ryzen 7 4700U 1214
Ryzen 5 5500U 1185
Ryzen 5 4500U 1142
Core i7-1065G7 1126
 :Ryzen 7 5800Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア

 

PassMark Performance Test 10.0

続いて、圧縮、暗号化、物理シミュレーションなどを含む数学的計算を行うPassMark Performance Test 10.0のスコアを掲載します。こちらは、Ryzen 7 5700Uより約15%高いスコアでした。Core i7-1165G7と比較しても大きな差があります。

PassMark Performance Test 10.0(CPU MARK)
ThinkBook 13s Gen 3
他CPUとの比較(CPU MARK)
Ryzen 9 5900HX 24642
Ryzen 7 5800U 19611
Ryzen 7 4800H 19080
Ryzen 7 5700U 17071
Ryzen 7 Pro 4750U 16988
Ryzen 7 4700U 14231
Core i7-10750H 12866
Ryzen 5 5500U 12847
Core i7-1165G7 12552
Core i5-1135G7 12148
Ryzen 5 4500U 11515
 :Ryzen 7 5800Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア

 

Geekbench 5

続いて、拡張現実や機械学習などの最先端の処理を取り入れているクロスプラットフォームのベンチマークソフト、Geekbench 5のスコアを掲載します。Geekbench 5のマルチコアのスコアについては、Ryzen 7 5700Uよりも約9%スコアが伸びていました。

また、下のグラフには掲載していませんが、シングルコアのスコアについては、Ryzen 7 5800Uは、Ryzen 7 5700Uよりも約20%もスコアが伸びていました。

Geekbench 5
ThinkBook 13s Gen 3
他CPUとの比較(Multi-Core)
Ryzen 9 4900HS 8129
Core i7-10875H 7447
Ryzen 7 5800U 6642
Ryzen 7 5700U 6097
Core i7-10750H 6030
Core i7-9750H 5784
Ryzen 7 4700U 5696
Core i7-10710U 5602
Core i7-1165G7 5491
Core i5-1135G7 5334
Ryzen 5 5500U 5330
Ryzen 5 4500U 4662
Core i7-1065G7 4019
Core i5-1035G4 3980
Core i5-10210U 3821
 :Ryzen 7 5800Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア

 

リアル作業の快適性の指標となるベンチマーク

CINEBENCHなどは、CPUの性能を最大限引き出したときのテストで、最大のパワーを発揮しているときのCPUの優劣を見るのに最適でした。ただし、日常的に、このような大きな負荷のかかる処理を行っているユーザーはあまり多くありません。そこで、次では、一般的なユーザーが利用することの多い処理を実行し、快適度を数値化するベンチマークソフトをテストしてみます。

なお、メモリやストレージの速度などによってもスコアが変わってくるため、目安としてご覧いただければと思います。

 

PCMark 10

PCMark 10は、Webページ閲覧、動画視聴といった日常的な操作の快適性の指標となる「Essentials」、文書作成、表計算の使用といった仕事の快適性の指標となる「Productivity」、画像編集、3D CG制作、動画編集といったクリエイティブ作業の快適性の指標となる「Digital Content Creation」の3つについて数値化するベンチマークソフトです。

「Essentials」のスコアについて、Zen 2ベースのRyzen 7 5700Uは、Core i7-1165G7よりも低いスコアでしたが、Zen 3ベースのRyzen 7 5800Uは、Core i7-1165G7とほぼ同等のスコアが出ていました。日常的な操作はインテルのCore i7-1165G7と、ほぼ変わらない快適さになっと言えます。

「Productivity」については、Ryzen 7 5800UはCore i7-1165G7よりも高いスコアです。文書作成や表計算ソフトを頻繁に使う方に適しています。ただし、ソフトによっても変わってくるためご了承下さい。

「Digital Content Creation」については、思ったほどスコアが伸びず、Ryzen 7 5800UはRyzen 7 5700Uよりも低いスコアだったものの、Core i7-1165G7よりは高いスコアでした。ただし、後述しますが、代表的なクリエイターソフトであるAdobe LightroomやPremiere Proの書き出し時間は、Ryzen 7 5800UはCore i7-1165G7より遅かったです。

PCMark 10
ThinkBook 13s Gen 3
Essentials(アプリ起動、ブラウザ、動画視聴など日常操作の快適性)
Core i7-1165G7 10102
Ryzen 7 5800U 10089
Core i5-1135G7 9579
Ryzen 7 5700U 9419
Ryzen 7 4700U 9229
Ryzen 5 5500U 9147
Ryzen 5 4500U 8924
Core i7-1065G7 8725
Core i5-1035G4 8156
Productivity(文書作成、表計算などの仕事の快適性)
Ryzen 7 5800U 9556
Ryzen 7 5700U 8155
Ryzen 7 4700U 7775
Ryzen 5 5500U 7742
Core i7-1165G7 6890
Ryzen 5 4500U 6553
Core i5-1135G7 6336
Core i7-1065G7 5500
Core i5-1035G4 5219
Digital Content Creation(画像・動画編集などのクリエイティブ作業の快適性)
Ryzen 7 5700U 5673
Ryzen 7 5800U 5384
Ryzen 7 4700U 5269
Core i7-1165G7 4718
Core i5-1135G7 4480
Ryzen 5 4500U 4390
Core i7-1065G7 3727
Core i5-1035G4 3415
 :Ryzen 7 5800Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア

 

WebXPRT 3

WebXPRT 3は、HTML5およびJavaScriptを使って、オンラインで、画像補正、AIを使用した画像の整理、株式ポートフォリオの計算・表示、文書の暗号化とOCR、セールデータのグラフ作成、オンラインホームワークといった処理をブラウザ上で実行します。PCへの負荷は軽めになります。

Zen 2のRyzen 7 5700Uは、Core i7-1165G7よりも劣るスコアでしたが、Zen 3のRyzen 7 5800Uは、Core i7-1165G7を超えるスコアが出ていました。ブラウザで動くアプリも快適になることでしょう。

WebXPRT 3
ThinkBook 13s Gen 3
他のCPUとの比較
Ryzen 7 5800U 268
Core i7-1165G7 266
Core i5-1135G7 246
Ryzen 7 5700U 232
Ryzen 5 5500U 221
Ryzen 7 4700U 212
Core i7-1065G7 205
Ryzen 5 4500U 202
Core i5-1035G4 195
 :Ryzen 7 5800Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア
※Chromeブラウザで実行

 

グラフィックス関連のベンチマークスコア

次はグラフィックス関連のベンチマークスコアを掲載します。

3DMark Night Raid

グラフィックス関連のスコアは、メインメモリの速度に大きく左右されます。

今回テストに使用しているThinkBook 13s Gen 3は、LPDDR4X-4266のデュアルメモリを搭載していますが、このメモリにしては速度が遅いです。DDR4-3200程度の速度しか出ていません。

SiSoftware Sandra 2020(メモリ帯域)
LPDDR4X-4266
デュアルチャネル
52.9GB/s(他のノートPC)
27.22GB/s(ThinkBook Gen 3)

 

3DMark Night Raidのスコアを見ると、Ryzen 7 5800Uは、DDR4-3200搭載のRyzen 7 5700Uよりはやや高いスコアです。ただし、メモリの速度が影響してか、Ryzen 7 5800Uは、LPDDR4X-4266搭載のCore i7-1165G7よりもスコアが大分低くなっています。

3DMark Night Raid
ThinkBook 13s Gen 3
他のグラフィックスとの比較(Graphics score)
GeForce GTX 1650 45149
GeForce MX450 30425
Core i7-1165G7
メモリLPDDR4X-4266
20052
Core i5-1135G7
メモリLPDDR4X-4266
18718
Ryzen 7 5800U
メモリLPDDR4X-4266
17020
GeForce MX330 16714
Ryzen 7 5700U
メモリDDR4-3200
16272
GeForce MX250 15406
Core i7-1165G7
メモリDDR4-3200
14247
Ryzen 7 4700U
メモリDDR4-3200
13861
Core i5-1135G7
メモリDDR4-3200
13316
Ryzen 5 5500U
メモリDDR4-3200
12154
Ryzen 5 4500U
メモリDDR4-3200
12126
Core i3-1115G4
メモリDDR4-3200
11487
 :Ryzen 7 5800Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア

 

各ゲームのフレームレート

次に、ゲームのフレームレートを計測した結果を掲載します。

なお、多くのゲームは、トレーニングモード等で動かしているときのフレームレートを計測しています。なるべく同じ動きをしているものの、まったく同じ動作を再現できているわけではありません。

また、いずれのCPUも、計測した日時が異なります。ゲームのバージョンアップにより、グラフィック品質の設定項目がやや変わっており、完全に同じ条件で計測できていません。

また、外部GPUを搭載していないノートパソコンの場合、温度によってパフォーマンスが変わりやすいことから、ゲーム開始直後は高いフレームレートが出やすく、しばらくすると、徐々にフレームレートが下がることが多いです。下の計測結果は、比較的よい結果を掲載しているため、ゲームをしているともう少しフレームレートが落ちるケースも多いと思います。

以上のことから、平均フレームレートについては、参考程度にご覧いただければと思います。

[以下のゲームのベンチマークスコアおよびフレームレートについて]
※表示しているのは平均フレームレートです
 :Ryzen 7 5800Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア
Apex Legends
  ThinkBook 13s
1920x1080 低設定 41 fps

グラフィック関連の設定をかなり低めにしても、平均フレームレートは41 fpsしか出ていません。Apexをするなら、もう少しグラフィック性能の高いノートPCがおすすめです。

他のグラフィックスとの比較(1920×1080、低設定)
GeForce GTX 1650 118 fps
GeForce MX450 99 fps
Core i7-1165G7
メモリLPDDR4X-4266
53 fps
Core i5-1135G7
メモリLPDDR4X-4266
50 fps
GeForce MX330 42 fps
Ryzen 7 5800U
メモリLPDDR4X-4266
41 fps
Ryzen 7 4700U
メモリDDR4-3200
40 fps
Ryzen 5 5500U
メモリDDR4-3200
39 fps
Ryzen 7 5700U
メモリDDR4-3200
38 fps
Ryzen 5 4500U
メモリDDR4-3200
34 fps
※トレーニングモードで計測
VALORANT
  ThinkBook 13s
1920x1080 低設定 172 fps
高設定 53 fps

VALORANTは軽めのゲームなので、高めのフレームレートが出ます。グラフィック品質設定を調整することで、60 fps以上の平均フレームレートでゲームができるでしょう。

他のグラフィックスとの比較(1920×1080、高設定
GeForce GTX 1650 143 fps
GeForce MX330 95 fps
GeForce MX450 92 fps
Ryzen 7 4700U
メモリDDR4-3200
76 fps
Core i7-1165G7
メモリLPDDR4X-4266
72 fps
Ryzen 5 4500U
メモリDDR4-3200
68 fps
Core i5-1135G7
メモリLPDDR4X-4266
58 fps
Ryzen 7 5800U
メモリLPDDR4X-4266
53 fps
Ryzen 7 5700U
メモリDDR4-3200
48 fps
Ryzen 5 5500U
メモリDDR4-3200
46 fps
※バトルラボ 最大300fpsで計測
フォートナイト
  ThinkBook 13s
1920x1200 低設定 133 fps
中設定 80 fps
高設定 26 fps

ThinkBook 13sは1920x1200の画面解像度ということが関係し、フォートナイトでは1920x1080の解像度に設定できなかったため、1920x1200の解像度でテストをしています。他のグラフィックスとは異なる解像度でテストしているため、比較するときはご注意下さい。

フォートナイトも軽めのゲームなので、グラフィック設定次第では、高めのフレームレートが出ます。また、フォートナイトは、今回の計測方法では、インテルCPUよりも高めのフレームレートが出やすかったです。

他のグラフィックスとの比較(1920×1080、中設定
GeForce GTX 1650 163 fps
GeForce MX450 143 fps
GeForce MX330 85 fps
Ryzen 7 5700U
メモリDDR4-3200
83 fps
Ryzen 7 5800U
メモリLPDDR4X-4266
80 fps ※1920x1200で計測
Ryzen 7 4700U
メモリDDR4-3200
74 fps
Ryzen 5 4500U
メモリDDR4-3200
64 fps
Core i5-1135G7
メモリLPDDR4X-4266
50 fps
Core i7-1165G7
メモリLPDDR4X-4266
49 fps
※バトルラボで計測
PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS
  ThinkBook 13s
1920x1080 非常に低い 49 fps
中型 31 fps

「非常に低い」グラフィック品質設定なら49 fpsの平均フレームレートが出ていますが、時々カクつくことがあるかなと思います。我慢すれば出来なくもないといった印象です。

他のグラフィックスとの比較(1920×1080、非常に低い)
GeForce GTX 1650 137 fps
GeForce MX450 99 fps
GeForce MX330 57 fps
Ryzen 7 5800U
メモリLPDDR4X-4266
49 fps
Ryzen 7 4700U
メモリDDR4-3200
40 fps
Ryzen 7 5700U
メモリDDR4-3200
38 fps
Ryzen 5 4500U
メモリDDR4-3200
38 fps
Ryzen 5 5500U
メモリDDR4-3200
37 fps
Core i5-1135G7
メモリLPDDR4X-4266
31 fps
Core i7-1165G7
メモリLPDDR4X-4266
28 fps
※トレーニングモードで計測
ドラゴンクエストX
  ThinkBook 13s
1920x1080 最高品質 9154(とても快適) 

ドラクエXは、「とても快適」の評価でした。平均フレームレートだと89 fpsも出ています。快適にゲームができるでしょう。

他のグラフィックスとの比較(1920×1080、最高品質)
GeForce GTX 1650 19246
GeForce MX450 18714
GeForce MX330 12947
GeForce MX250 11900
Core i7-1165G7
メモリLPDDR4X-4266
11714
Core i5-1135G7
メモリLPDDR4X-4266
11102
Ryzen 7 4700U
メモリDDR4-3200
9462
Ryzen 7 5800U
メモリLPDDR4X-4266
9544
Ryzen 7 5700U
メモリDDR4-3200
8625
Ryzen 5 5500U
メモリDDR4-3200
8293
Ryzen 5 4500U
メモリDDR4-3200
7695
※約5500で60fps
ファイナルファンタジー 14 漆黒のヴィランズ
  ThinkBook 13s
1920x1080 標準(ノート) 33 fps 

最も低いグラフィック品質の設定で33 fpsの低めの平均フレームレートです。FF14をするならもう少し高めのグラフィックスを搭載したPCのほうがいいかと思います。

他のグラフィックスとの比較(1920×1080、標準(ノート))
GeForce GTX 1650 115 fps
GeForce MX450 85 fps
GeForce MX330 61 fps
GeForce MX250 60 fps
Core i7-1165G7
メモリLPDDR4X-4266
49 fps
Core i5-1135G7
メモリLPDDR4X-4266
49 fps
Ryzen 7 5800U
メモリLPDDR4X-4266
33 fps
Ryzen 7 5700U
メモリDDR4-3200
30 fps
Ryzen 7 4700U
メモリDDR4-3200
30 fps
Ryzen 5 5500U
メモリDDR4-3200
29 fps
Ryzen 5 4500U
メモリDDR4-3200
29 fps

 

クリエイターソフトの処理時間

以下、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間です。PC Mark 10の「Digital Content Creation」の項目でもクリエイティブ作業の快適度は掲載しましたが、PC Mark 10はフリーソフトでテストを行っており、実際のクリエイターが使用していないソフトも多いです。

以下は、利用者の多いシェアウェアのAdobeソフトを中心に、クリエイティブ作業時の快適性をテストします。

Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間

シングルコア性能の上がったRyzen 7 5800Uなので、Lightroom Classicの現像時間には期待したのですが、Core i7-1165G7などのインテルCPUと比べると、やや遅かったです。モバイル向けのプロセッサーは、AMDよりインテルのプロセッサーのほうがLightroomの書き出しが速い傾向があるのは変わりませんでした(デスクトップ向けのプロセッサーの警告はまた異なります)。ただし、Zen 2のRyzen 7 5700Uよりは速かったです。

Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間
Core i9-11900H
16GBメモリ
44秒
Core i9-11980HK
64GBメモリ
46秒
Core i7-11800H
16GBメモリ
53秒
Core i7-11370H
16GBメモリ
72秒
Core i7-1185G7
16GBメモリ
74秒
Ryzen 9 5900HX
32GBメモリ
76秒
Core i7-1165G7
16GBメモリ
89秒
Ryzen 7 4700U
16GBメモリ
91秒
Ryzen 5 4500U
32GBメモリ
91秒
Ryzen 7 5800H
16GBメモリ
93秒
Ryzen 7 5800U
16GBメモリ
95秒
Ryzen 5 5500U
16GBメモリ
97秒
Ryzen 7 5700U
16GBメモリ
100秒
Core i7-10510U
16GBメモリ
109秒
※プロファイル補正を適用した100枚のRAWファイル(1枚あたり約45MB)を同じ書き出し設定でjpegに書き出し、所要時間を計測
 :Ryzen 7 5800Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア

 

Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間

こちらも、Ryzen 7 5700Uよりは速かったですが、インテルのCore i7-1165G7よりは遅い書き出し時間です。ノートPCでPremiere Proを使う場合は、Ryzen 7 5800UなどのAMDプロセッサーより、インテルプロセッサーのほうが無難だと思います。

Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間
4K動画の書き出し
Core i7-10750H
RTX 2060
4分51秒
Ryzen 9 5900HX
RTX 3080 16GB
4分55秒
Core i7-10870H
RTX 3070
5分15秒
Core i5-10300H
GTX 1650Ti
5分18秒
Core i7-10750H
GTX 1650
6分34秒
Core i5-10300H
GTX 1650
8分21秒
Apple M1 (Rosetta 2) 11分3秒
Core i7-1165G7 14分12秒
Ryzen 7 5800U 18分00秒
Ryzen 7 5700U 19分21秒
Ryzen 7 4700U 19分55秒
Core i5-1135G7 20分00秒
Ryzen 5 5500U 21分35秒
Ryzen 5 4500U 22分53秒
Core i7-1065G7 27分23秒
※ 4K/30p動画(約10分)に、「テキスト」+「露光量」+「自然な彩度」+「トランジション」のエフェクトおよびBGMとなるオーディオを加え、H.264形式、YouTube 2160p 4K Ultra HDのプリセットで書き出したときの時間
 :Ryzen 7 5800Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア
FHD動画の書き出し
Core i7-1165G7 4分6秒
Core i5-1135G7 4分41秒
Ryzen 7 5800U 4分50秒
Ryzen 7 4700U 5分05秒
Ryzen 7 5700U 5分18秒
Ryzen 5 5500U 5分36秒
Ryzen 5 4500U 5分57秒
Ryzen 3 4300U 6分44秒
Core i7-1065G7 7分41秒
※ FHD/30p動画(約10分)に対して、上と同様にして書き出したときの時間
 :Ryzen 7 5800Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア

 

TMPGEnc によるエンコード時間

TMPGEnc Video Mastering Works 7によるソフトウェアエンコード時間は、Ryzen 7 5800UはCore i7-1165G7よりもかなり非常に速いです。こういった全コアをフルに使うような処理は得意です。

TMPGEnc Video Mastering Works 7によるエンコード時間 (x265)
Core i9-11900H 8分20秒
Ryzen 9 5900HX 8分26秒
Ryzen 5 4600H 13分10秒
Core i7-10750H 13分29秒
Ryzen 7 5800U 14分35秒
Ryzen 7 5700U 15分05秒
Ryzen 7 4700U 15分44秒
Ryzen 5 5500U 17分01秒
Core i7-10710U 19分05秒
Ryzen 5 4500U 19分49秒
Core i7-1165G7 24分17秒
Ryzen 3 4300U 25分22秒
Core i5-1135G7 26分03秒
Core i7-10510U 28分32秒
※XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換したときの時間(x265のエンコーダーを使用)
 :Ryzen 7 5800Uのスコア
 :今回特に比較したいプロセッサーのスコア

 

まとめ

今回、Zen 3のRyzen 7 5800Uのベンチマークスコアを計測しました。

Ryzen 7 5800Uは、Zen 2のRyzen 7 5700Uと比べると、マルチコア性能は微増といったところですが、シングルコア性能は結構伸びており、PCMark 10やWebXPRT 3といった一般ユーザーがリアルでよく行う作業に関するベンチマークのスコアが大きく改善されています。得意不得意の少ないプロセッサーに仕上がったという印象です。

ゲームの平均フレームレートは、Core i7-1165G7よりもやや劣ることが多かったですが、これはメモリの速度にも大きく左右されます。もう少し速度の速いLPDDR4X-4266のメモリであれば、もっとフレームレートは伸びたのではないかと思います。

Adobe系のソフトについては、Ryzen 7 5800UよりCore i7-1165G7のほうが速く処理が終わることが多いです。ノートPCでAdobe系のソフトを使うなら、インテルCoreプロセッサーを搭載した製品のほうがいいかなと思います。

 

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