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Core i5-1235Uのベンチマーク
ここでは、インテル第12世代Coreプロセッサー「Core i5-1235U」の各種ベンチマークスコアを掲載します。
プロセッサーの仕様
インテル第12世代Coreプロセッサーは大きく分けると、ハイエンドPCに搭載される「Hシリーズ」、一般ユーザー向けPCに搭載される「Pシリーズ」、薄くて軽いPCに搭載される「Uシリーズ」があります。Processor Base Power(TDP相当)は、「Hシリーズ」が45W、「Pシリーズ」が28W、「Uシリーズ」が15Wとなっています。
今回テストするCore i5-1235Uは、「Uシリーズ」に位置づけられるプロセッサーで、「Pシリーズ」のCore i5-1240Pと比較すると、Processor Base Powerが低いことの他に、Pコア数が少なくなっています。
また、「Uシリーズ」の中でも上位のCore i7-1255Uと比較すると、CPUクロックが低く、また、GPUの実行ユニットもやや少なくなっています。
Uシリーズ | Pシリーズ | |||
Core i5-1235U | Core i7-1255U | Core i5-1240P | ||
コア数 | Pコア | 2 | 2 | 4 |
Eコア | 8 | 8 | 8 | |
定格クロック | Pコア | 1.3GHz | 1.7GHz | 1.7GHz |
Eコア | 0.9GHz | 1.2GHz | 1.2GHz | |
最大クロック | Pコア | 4.4GHz | 4.7GHz | 4.4GHz |
Eコア | 3.3GHz | 3.5GHz | 3.3GHz | |
L3キャッシュ | 12MB | 12MB | 12MB | |
Processor Base Power | 15W | 15W | 28W | |
Max Turbo Power | 55W | 55W | 64W | |
GPU | Iris Xe | |||
GPU最大クロック | 1.20GHz | 1.25GHz | 1.3GHz | |
GPU実行ユニット | 80 | 96 | 80 |
ベンチマークの計測に利用したノートPC
今回、ベンチマークに使用したノートPCは、デルのInspiron 16 5620です。なお、購入時は8GBのシングルチャネルだったので、メモリの影響を受けやすい一部のベンチマークは、メモリを16GBのデュアルチャネルに換装して計測しました。
このノートPCに、Prime95で全CPUコアの使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU電力の推移は次の通りです。ターボブースト期間は約38Wで推移し、数分後の安定した状態のときは約28Wで推移していました。
Core i5-1235UのMax Turbo Powerは55Wなので、ターボブースト期間のCPU電力はやや低めかなと思います。
ただ、Processor Base Powerは15Wなので、ターボブースト後の安定動作時のCPU電力は高めかなと思います。そのため、同じCPUを搭載した他のノートPCよりも、高めのベンチマーク結果になっていることもあると思います。
ベンチマークスコア
以下、各種ベンチマークソフトのスコアおよび他のプロセッサーと比較したグラフを掲載します。
グラフは、Core i5-1235Uのスコアを緑色にしています。
また、今回、特に比較したい次の3つのCPUのスコアは、オレンジ色にしています。
・旧世代(第11世代)のCore i5-1135G7
・同じUシリーズだが上位のCore i7-1255U
・28WのPシリーズのCore i5-1240P
CINEBENCH R23
まずは、CPUレンダリングを行ってCPU性能を評価するベンチマークソフト、CINEBENCH R23のスコアを掲載します。
Core i5-1235Uは、1世代前のCore i5-1135G7と比較すると、マルチコア性能は約70%もスコアが伸びています。シングルコア性能についても、約30%もスコアが上昇しています。
Core i7-1255UやCore i5-1240Pと比較しても、Core i5-1235Uは10%ほど、マルチコアのスコアが低い程度です。シングルコアのスコアにいたっては、Core i5-1240PよりもCore i5-1235Uのほうが高いくらいです。全体的に割と高めのスコアが出ていると思います。
~ CPU性能の評価 ~
Geekbench 5
続いて、拡張現実や機械学習などの最先端の処理を取り入れているクロスプラットフォームのベンチマークソフト、Geekbench 5のスコアを掲載します。
Core i5-1235Uは、1世代前のCore i5-1135G7と比較すると、マルチコア性能は約35%、シングルコア性能は約20%もスコアが上昇しています。
Core i5-1240Pと比較すると、Core i5-1235Uは、マルチコア性能が30%ほど低いスコアでした。ターボブースト時のCPU電力がそこまで上がっていなかったので、Geekbenchのような短い時間で終わるベンチマークソフトは差が出やすい傾向がありました。
Core i7-1255Uと比較した場合、Core i5-1235Uは、マルチコア性能はほぼ変わらない(むしろ高いスコア)でした。
PassMark Performance Test 10.0
続いて、圧縮、暗号化、物理シミュレーションなどを含む数学的計算を行うPassMark Performance Test 10.0のスコアを掲載します。
Core i5-1235Uは、1世代前のCore i5-1135G7と比較すると、約40%スコアが上昇していました。
また、Core i5-1240PやCore i7-1255Uと比較しても、ほぼ変わらないスコアでした。
グラフィックス関連のベンチマークスコア
次はグラフィックス関連のベンチマークスコアを掲載します。
なお、CPU内蔵のグラフィックスの処理性能は、メインメモリの帯域に大きく左右されます。今回、8GBx1のメモリしか搭載していないため、ここでのテストは、メモリを8GBx2へ換装しました。換装したメモリは、Inspiron 14に搭載されていたDDR4-3200のメモリで、帯域の実測値は30.67MB/sでした。そこまで速いわけでありませんが、普通の帯域のメモリだと思います。
3DMark Night Raid
3DMark Night Raidのスコアは以下の通りです。「グラフィックスのスコア」の部分が、グラフィック性能を評価する指標となります。
Core i5-1235Uは、Core i5-1135G7とほぼ同じスコアとなっており、グラフィック性能の進化はほぼありません。
Core i5-1240PやCore i7-1255Uと比較すると、Core i5-1235Uは実行ユニットが少ないこともあり、やや低めのスコアです。ただ、メモリをDDR5やLPDDR4X-4266にすれば、もっとスコアは伸びると思われます。
ファイナルファンタジー 14 暁月の終焉
次に、「ファイナルファンタジー 14 暁月の終焉」のベンチマークのスコアを掲載します。なお、1920x1080、標準品質(ノートPC)で計測しています。
スコアは4689(普通)、平均フレームレートは32 fpsでした。ゲームをするにはフレームレートがやや物足りないです。FF14は、CPU内蔵グラフィックスで動かす場合、メモリ速度に大きく左右されやすいので、こちらもメモリをもっと高速なものにすれば、スコアは伸びると思います。
クリエイターソフトの処理時間
最後に、クリエイター向けソフトで計測した各種処理時間を掲載します。
Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間
Adobe Lightroom Classicで、100枚のRAW画像を、サイズを変更して書き出した時の時間は下表の通りです。
Core i5-1235Uは、Core i5-1135G7と比較して、やや遅くなっています。Lightroomの書き出しは、1分前後と短い処理時間なので、ターボブースト時のCPU電力が低めだったことが影響していると思われます。
Lightroomは、何十分もかかる処理はほぼないので、Core i5-1240PやCore i5-1135G7などのターボブースト時の性能が高い28WクラスのCPUのほうがいいかもしれません。
TMPGEnc によるエンコード時間
TMPGEnc Video Mastering Works 7によるソフトウェアエンコード時間は下表の通りです。
Core i5-1235Uは、Core i5-1135G7と比較して、約40%高速化しています。今回、安定動作時のCPU電力が高めだったので、10分前後かかるような長めの処理は、比較的高速でした。
Core i7-1255UやCore i5-1240Pよりは、やや時間がかかっていますが、それでもそこまで大きな違いはありません。
(ソフトウェアエンコード)
次に、ハードウェアエンコードの処理時間を掲載します。Core i5-1135G7で計測したことがないので、このCPUとの比較はできませんが、Core i7-1255UやCore i5-1240Pよりやや時間がかかっている程度で、十分実用的だと思います。ただ、AMDのモバイル向けプロセッサーのRyzen 7 5825Uと比較すると、大分遅い結果となっています。
(ハードウェアエンコード)
まとめ
今回、Core i5-1235Uのベンチマークスコアを掲載しました。
ターボブースト時のCPU電力がそこまで高くなかったので、短時間で終わる処理はそこまで速くはありませんが、ある程度時間のかかる処理であれば、安定動作時のCPU電力が高かったこともあり、比較的高速だったと思います。1世代前のCore i5-1135G7と比べると、最大で70%もスコアが伸びているケースもありました。
グラフィック性能に関しては、1世代前のCore i5-1135G7とほぼ変わっていません。ゲームをする場合は、基本的には外部グラフィックスを搭載したPCをおすすめしますが、もし軽いゲームをカジュアルにしたいと考えているなら、DDR5やLPDDR4X-4266の高速メモリを搭載した機種がいいと思います。
なお、今回、15WクラスのCore i5-1235Uであるにも関わらず、安定動作時のCPU電力が28W前後出ていました。もっと薄型で小さいモバイルノートPCの場合、仕様値通りの15W前後で推移するかもしれません。その場合、ここで掲載したベンチマークスコアよりも大分低くなる可能性があるため、ご了承下さい。
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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