MSI GF63 8RD-067JPの実機レビュー
CPU | Core i7-8750H |
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GPU | GeForce GTX 1050Ti Max-Q(4GB) |
メモリ | 16~32GB |
ストレージ | M.2 SSD / HDD |
液晶サイズ | 15.6型 |
液晶種類 | FHD 非光沢 |
質量 | 約 1.86kg |
バッテリー | 約 7.0時間 |
価格 | 13万円台~(税別) |
軽量・コンパクトな、ライトユーザー向けゲーミングノートPC
GF63-8RD-067JPは、非常に持ち運びに便利な15.6型のゲーミングノートPCです。
質量は約1.86kg、薄さは21.7mmしかなく、狭額ベゼルを採用することでコンパクトです。外部グラフィックスを搭載した高性能ノートPCとしては、かなり優秀な数値です。
グラフィックスにはGeForce GTX 1050Ti Max-Qを搭載しており、エントリークラスのGPUながらも、4GBのメモリを搭載しています。ゲームや、動画編集などのクリエイティブな作業も可能です。
外部グラフィックスを搭載した高性能なノートPCを持ち歩きたい方におすすめのノートPCです。ただし、冷却ファンが1つしかなく、冷却面でやや不安はあります。
レビュー機は、当サイトの購入品です。今回は次の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Core i7-8750H、16GBメモリ、GeForce GTX 1050Ti Max-Q(4GB)、256GB M.2 SSD + 1TB HDD
目次
お忙しい方は、「GF63 8RD-067JPの特徴」のみお読みください。
GF63 8RD-067JPの特徴
ゲーミングPCとは思えない薄型・軽量デザイン
GF63 8RD-067JPは、GeForce GTX 1050Ti Max-Qのグラフィックスを搭載していながら、重量約 1.86kgと、ゲーミングPCとは思えない軽さです。また筐体自体も厚さ21.7mmと薄く、狭額ベゼル採用で横幅と奥行きも短くコンパクトです。外部グラフィックスを搭載したノートパソコンを持ち歩きたい方に最適です。
エントリー向けのGeForce GTX 1050Ti Max-Qを搭載し低価格
GF63 8RD-067JPは、エントリー向けのGeForce GTX 1050Ti Max-Qを搭載しています。本格的にゲームをする場合には物足りない性能かもしれませんが、「画質とはそれほどこだわらず、ライトにゲームができればいい」というような方には最適だと思います。
なお、負荷の高いゲームをプレイしたい場合には、本機よりもグラフィックス性能が高いGeForce GTX 1070 Max-Qを搭載した 「GS65 Stealth Thin 8RF-001JP」がおすすめです。
Max-Qとは?
電源効率が最も良くなるようにパフォーマンスを調整して動作する仕組みのことで、発熱、消費電力、動作音などを抑えることが可能です。それにより、薄型・軽量のノートPCにも搭載しやすくなります。
2台のストレージを搭載可能
GF63 8RD-067JPには、M.2スロットと2.5インチベイがあり、M.2 SSD と 2.5インチストレージの2台を搭載することが可能です。2台のストレージを搭載していれば、作業用とゲーム用に分けたり、メイン用とバックアップ用に分けたりと、使い方は様々です。
液晶の色域はそれほど広くない
MSI GF63 8RD-067JPのスペック的に、動画編集や画像編集に使おうと思っている方もいると思いますが、本製品は液晶の色域がそれほど広くありません(詳細はこちら)。クリエイティブな作業で使うには、物足りない液晶だと思います。
CPUのベンチマークスコアが低いケースも
MSI GF63 8RD-067JPは、CPUの性能を計測するベンチマークなどのスコアが、思ったほど良くないケースがありました。ただ、ゲームをする分には、スペック相応のベンチマークスコアは出ており、また、グラフィックスの性能を計測するベンチマークについては問題ないスコアでした。
各用途の快適度
GF63 8RD-067JPの各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧、Office作業 | ◎ | 十分なスペックですので、快適に動作します。タッチパッド用のクリックボタンの押し心地がイマイチなので、マウスを使うと良いと思います。 |
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RAW現像・画像編集 | 〇 | 高性能CPUに、外部GPUを搭載し、PhotoshopやLightroomなどの作業は快適です。ただし、液晶の色域が狭いのが難点です。 |
動画編集 | 〇 | CPUの性能は十分です。グラフィックスもエントリークラスの性能ではありますがGTX 1050Ti を搭載しているので、色調整時の描画もスムーズで、レンダリングも比較的速いです。ただし、液晶の色域が狭いので本格的にやるなら別のPCがいいと思います。 |
ゲーム | 〇 | 外部GPUを搭載しており、3Dゲームもできます。ただし、 GeForce GTX 10シリーズの中では、エントリークラスのグラフィックスなので、画質設定をやや落とす必要があります。 |
液晶ディスプレイのチェック
液晶ディスプレイの詳細なチェックです。
視野角は広いです。
カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線を確認すると、どの色もほぼ一直線となっており優秀です。自然な発色であることが分かります。
色域はやや狭いです。クリエイティブな用途でも使えるCPU・GPUのスペックなので、勿体ないです。ただし、ライトにゲームをしたり、動画を視聴する分には大して気にならないです。
画素形状です。ギラつきは、ほぼ感じません。
非光沢液晶ですので、映り込みは低減されており、ゲームに集中できます。
キーボードおよびタッチパッドのチェック
キーボードとタッチパッドのチェックです。
実測で、キーピッチは約19×19mm、キーストロークは約1mm強となっています。キーストロークが浅めで実際に打ってみてもやや気になりますが、押すときに適度な抵抗感があるので、大きく気になるほどでもありません。Enterキーは端にありませんが、Enterキーの横幅が広いのでタイプミスは少ないです。
明るさを3段階で調整できるキーボードバックライトも搭載しています。赤色に点灯し、鮮やかで綺麗です。
タッチパッドの指の動かしやすさは普通ですが、クリックボタンがやや押しにくいです。下の動画のように、1回クリックしているだけなのに、「カチッ、カチッ」と2回押したような感触があります。
※動画は少し音を大きめにしないと、1回目のカチッという音は聞こえづらいです。
パフォーマンスのチェック
パフォーマンスのチェックです。
CPU
CPUは、ゲーミングノートや、クリエイター向けノートでは主流のCore i7-8750Hを搭載しています。非常に高速ですが、一部のベンチマークは、スコアが伸びないものもありました。下表のCINEBENCHはその1つで、他のノートPCで計測したCore i7-8750Hのベンチマークスコアよりも、低い数値でした。
~ CINEBENCH R15 マルチコア ~
※[レビュー機で計測]と書かれたCPU以外は、他のPCで計測した代表値です
グラフィックス
グラフィックスには、GeForce GTX 10シリーズの中ではエントリークラスのGeForce GTX 1050Ti Max-Q(4GB)を搭載しています。CPU関連のスコアとは違い、グラフィックスについては、相応のスコアが出ています。
~ 3D Mark Time Spy - Graphics score ~
※[レビュー機で計測]と書かれたグラフィックス以外は、他のPCで計測した代表値です
ストレージ
ストレージは、M.2 SSDと2.5インチストレージの2台搭載可能で、MSI認定ショップの「ark」なら、様々なストレージ換装することが可能です。
~ CrystalDiskMark Seq Q32T1 Read [MB/s] ~
※[レビュー機で計測]と書かれたストレージ以外は、他のPCで計測した代表値です
GF63 8RD-067JPで計測したベンチマーク
以下、Core i7-8750H、メモリ 16GB、GeForce GTX 1050Ti Max-Q (4GB)、256GB PCIe SSDのレビュー機で計測したベンチマーク結果を掲載します。
RAW現像時間は、同等スペックのPCよりも、やや遅かったです。
※「Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください。
同等スペックのPCと比べると、若干遅めでしたが、そこまで極端ではありません。
エンコード速度については、同等スペックのPCと比べても高速です。ただし、温度を計測するためにHWMonitorなどを起動したり、他のソフトを起動したりすると、CPUクロックがダウンし、エンコード時間が1.5倍くらいかかることもありました。
Core i7-8750H GeForce GTX 1050Ti Max-Q |
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x265でエンコード (※1) | 15分45秒 |
NVENCでエンコード (※2) | 1分48秒 |
QSVでエンコード (※3) | 3分48秒 |
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
※3 CPU内蔵のハードウェアエンコーダー
ゲームベンチマーク
GF63-8RD-067JPで計測したゲームのベンチマークスコアを下の表に掲載します。
通常Max-Qデザインの場合、通常のGeForce GTX 1050Tiよりもややスコアが低めになるのですが、本機のグラフィックスメモリは4GBを搭載しているので、2GBメモリのGeForce GTX 1050Tiよりはスコアは高いです。
また、同等スペックのPCと比較した場合、ほぼ同じスコアか、もしくはそれ以上のスコアが出ていました。
ただエントリークラスのグラフィックスなので、負荷の高いゲームよりも、ライトにゲームを楽しむ方向けになります。
~ GeForce GTX 1050Ti 4GB ~
重い部類のゲーム
ファイナルファンタジー 15
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1920x1080 | 軽量品質 | 4989 (やや快適) 49 fps |
標準品質 | 3778 (普通) 37 fps | |
高品質 | 2773 (やや重い) 26 fps |
重い部類のゲーム
シャドウオブザトゥームレイダー
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1920x1080 | 最低 | 56 fps |
中 | 36 fps | |
最高 | 30 fps |
重い部類のゲーム
ゴーストリコン ワイルドランズ
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1920x1080 | 低 | 70 fps |
高 | 43 fps | |
ウルトラ | 23 fps |
中程度の重さのゲーム
ファイナルファンタジー 14 紅蓮のリベレーター
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1920x1080 | 標準(ノート) | 13773 (非常に快適) 96 fps |
高(ノート) | 10993 (非常に快適) 74 fps | |
最高品質 | 7349 (非常に快適) 49 fps |
中程度の重さのゲーム
ファークライ 5
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1920x1080 | 低品質 | 56 fps |
高品質 | 45 fps | |
最高品質 | 42 fps |
軽い部類のゲーム
ドラゴンズドグマオンライン
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1920x1080 | 最高品質 | 9474(とても快適) ※約5800で60fps |
軽い部類のゲーム
モンスターハンターフロンティア 第三弾(大討伐)
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1920x1080 | ― | 17078 ※約6000で60fps |
軽い部類のゲーム
ドラゴンクエストX
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1920x1080 | 最高品質 | 18048(すごく快適) ※約5500で60fps |
GPU-Zで確認したGeForce GTX 1050Ti Max-Qの情報は次の通りです。本製品のグラフィックスメモリは4GBあり、メモリを多く消費するゲームをする場合でも安心です。
その他のゲームのベンチマーク
上に掲載した以外のゲームのフレームレートについては、下を参考にしてください。他のPCでの計測値ではありますが、ほとんど変わらないと思います。
質量のチェック
GF63 8RD-067JPの質量のチェックです。
当サイトで計測した質量は次の通りです。外部グラフィックスを搭載した、15.6型のノートPCとしてはかなり軽いです。外出先へ持ち運ぶことも可能な質量です。
ただし、メーカー仕様値(約1.86kg)よりも、やや重い数値でした。これは2.5インチストレージを搭載していたからかもしれません。
質量 | |
PC本体 | 1.903kg |
ACアダプター | 555g |
バッテリー駆動時間のチェック
GF63 8RD-067JPのバッテリー駆動時間チェックです。
バッテリー容量は、フリーソフトで確認すると、51Whと表示されました。
メーカーサイトには、JEITA2.0測定法で、約7.0時間と記載されています。
当サイトで計測したバッテリー駆動時間は次のようになります。ゲーミングノートPCとしては、普通の駆動時間だと思います。
駆動時間 | |
PCMark 8 Home テスト ※1 | ― |
PCMark 8 Work テスト ※2 | ― |
動画再生時 ※3 | 5時間50分 |
FF14 ベンチ ループ実行 ※4 | 1時間12分 |
※1 ブラウザでのショッピング/大量の画像閲覧、文書作成、画像編集、ビデオチャット、軽いゲームなどを実行
※2 ブラウザでのショッピング/大量の画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャットなどを実行
※3 ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
※4 標準設定・フルHDで実行。NVIDIAの設定で最大30fpsに制限
以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は変わります。
静音性のチェック
動作音(静音性)のチェック結果です。
ゲーミングノートPCとしては、普通の動作音です。
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
パーツの温度のチェック
各パーツの温度のチェック結果です。
いつもはHWMonitorで温度を計測していますが、このソフトを起動すると、エンコード時にクロックダウンするので、今回はCPU温度の計測には「Core Temp」、GPU温度の計測には「Open Hardware Monitor」を用いています。
計測結果を見ると、エンコード時のCPU温度がやや高めです。また、FF14ベンチ(fps制限なし)のときのCPU温度がやや高めで、GPU温度についてはさらに高めです。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。
ゲーム時(FF14ベンチ実行時)の表面温度が高めです。使っていても少し不快です。
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、確認できた最も高い数値を掲載しています。
一般的なノートパソコンよりは高いですが、ゲーミングノートにしては、低めの消費電力です。
外観のチェック
GF63 8RD-067JPの外観のチェックです。
液晶ベゼルが狭く、ボディも薄いので見た目がスッキリしています。赤いキーボードがMSIらしいカラーデザインで、ゲーミングPC感を出しています。
天板にはヘアラインデザインが施されており、ドラゴンのエンブレムが中二心をくすぐります。
電源ボタンは出っ張りのないデザインです。
スピーカーは底面にあり、ややこもった感じはしますが、一般的なノートPCと同等程度の音質でしょう。ノートPC基準で、10点満点で採点すると5点くらいです(普通が5点。あくまで筆者独自の判断です)。
側面のポート類です。ポートの種類は豊富です。背面にはHDMI出力端子があります。少し気になるのが電源ポートの位置で、左側面の中央付近にあります。やや邪魔なのと、排気口から出る熱がケーブルを温めないか心配です。
液晶が開く最大の角度です。
底面です。中央のネジ穴にシールが貼られており、これをはがすと保証対象外となってしまいますのでご注意下さい。
今回はファン周りを確認したかったので、保証外になるのを覚悟で、底面カバーを空けてみました。
冷却ファンは1つしかなく、CPUとGPUの共用です。そのため、CPUとGPUの両方に負荷のかかるゲームなどをすると、温度が高めになります。
メモリスロットは2つで、自分で換装できそうです。
今回搭載されていたM.2 SSDです。
今回搭載されていた2.5インチハードディスクです。
ACアダプターは薄型です。
ACアダプターの詳細は以下の通りです。
外箱は黒い箱に赤いMSIの文字で高級感があります。
まとめ
以上が、GF63 8RD-067JPのレビューです。
グラフィックスメモリ4GBのGeForce GTX 1050Ti Max-Qを搭載しながらも、重量約 1.86kg、薄さ21.7mmと、ゲーミングPCにしては軽量かつコンパクトにデザインされているのが本機の特徴です。外部グラフィックスを搭載したノートパソコンを持ち歩きたいという方におすすめです。
グラフィックス自体はエントリークラスになるので、ライトにゲームをプレイしたいという方向きです。
スペックが高いことから、クリエイター向けでもありますが、液晶の色域が狭い点が残念です。また、熱の影響か、ソフトによってはCPUがクロックダウンすることがあるので、エンコードやレンダリング、現像などの処理は、少し時間がかかってしまうケースがあるかもしれません。
「もう少しパフォーマンスが欲しい」、「色域の広い液晶がいい」という方には、GeForce GTX 1070 Max-Qを搭載した同社の「GS65 Stealth Thin 8RF-001JP」という製品がおすすめです。
詳細・購入はこちら
MSI GF63 8RD-067JP
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