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レノボ ThinkPad E14 Gen 3 (AMD) の実機レビュー

更新日:
CPU Ryzen 3 5300U
Ryzen 5 5500U
Ryzen 7 5700U
メモリ 最大24GB
ストレージ PCIe NVMe SSD
液晶サイズ 14.0インチ
液晶種類 FHD TN
FHD IPS 250nit
FHD IPS 300nit
FHD IPS 100% sRGB
質量 約1.64kg~
バッテリー 最大 約17.7時間
価格[税込] 6万円台~
タイピングしやすく画面も見やすい

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)は、打ちやすいキーボードを搭載し、sRGB 100%クラスのディスプレイも選択でき、快適に仕事が出来るノートPCです。

Ryzen 5000シリーズのプロセッサーを搭載し、処理性能も高いですが、価格は安いです。

さらに、約1.64kg~(実測値:1.528kg)とそこまで重くないので、宅内だけでなく、頑張れば持ち出しての使用もできると思います。

テレワークや在宅ワークに使用する方や、大学生などにおすすめです。

最新レノボPCのレビューはこちら

 

レビュー機は、当サイトの購入品です。今回は以下の構成でレビューをしています。

レビュー機の構成

Ryzen 5 5500U、16GBメモリ(8GBx2)、FHD IPS 100% sRGB
Ryzen 5 5500U、16GBメモリ(8GBx2)、FHD IPS 45% NTSC NEW!

 

目次

お忙しい方は、「ThinkPad E14 Gen 3 (AMD) の特徴」のみお読みください。

 

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)の特徴

キーボードが打ちやすい

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)は、ThinkPadシリーズの中で最も安い部類の機種ですが、打ちやすさに定評のあるThinkPadキーボードを搭載しています。

キートップが大きく湾曲しているのでキーに指がフィットし、キーストロークもやや深めで、しっかりとした打鍵感です。また、キーサイズや配列にもクセがなく、非常に打ちやすいキーボードです。

さらに、14型なので、テンキーがない分、手をホームポジションに置いた時に、体がPCのセンターに来ます。そのため、長い時間タイピングを行う時でも、自然な姿勢で使用することができ、疲れにくいです。ライティングなどの在宅ワーク、テレワークはもちろん、レポートを作成することが多い大学生の方にも使いやすいと思います。

手の位置がPCの中央にくる

 

なお、キーボードには、日本語キーボードと、英語キーボードを選択できます。また、それぞれ、バックライト無しと、バックライト付きがあります。バックライト無しは、キーの質感がややチープな感じになるので、個人的には、バックライト付きキーボードがおすすめです。

キーボードのカスタマイズ画面

 

また、トラックパッドに加えて、ThinkPad特有のトラックポイントやクリックボタンも備えています。手をホームポジションに置いたまま、人差し指でカーソル操作もできるので、カーソル操作の度に手を移動させる必要がなく、慣れるととても便利です。

トラックポイントとトラックパッド

 

デュアルストレージ構成が可能

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)には、下の画像のように、2つのM.2スロットを備えています。

1st SSDのスロットにはType 2242 M.2 SSD、2nd SSDのスロットにはType 2280 M.2 SSDをそれぞれ装着することができます。ただ、購入時のカスタマイズでも、デュアルストレージ構成が可能ではあるものの、値段がかなり高めです。

M.2スロットが2つ
ストレージのカスタマイズが可能

 

そのため、自信がある方は、購入後に自分でストレージの増設を行ってもいいかもしれません。実際に試してみたところ、SAMSUNG 970 EVO PlusのPCIe SSDは、問題なく認識されました。一方、WD BLUE SATA SSDのSATA SSDは認識されませんでした。SATA SSDは認識されない可能性があるので、ご注意ください。なお、増設に関するトラブルの責任は当サイトでは負えませんし、サポートもできませんので、自己責任でお願いします。

ストレージ増設後

 

メモリはオンボード + スロット

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)のメモリ構成は、オンボード(8GB)+ スロットメモリとなっています。

オンボードの8GBだけでも、メモリの容量としては十分に見えるかもしれませんが、シングルチャネル動作となり、メモリ速度が遅くなります。メモリ速度が特に大きく影響するのは、グラフィックス性能で、デュアルチャネル時の1/2程度に性能が下がってしまいます。

そのため、ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)の性能を十分に発揮したい場合は、オンボード(8GB) + スロット(8GB)のメモリ構成が最もおすすめです。自己責任でのメモリの増設・換装も可能だと思いますが、不安な場合は、購入時のカスタマイズで、追加メモリに8GBを選択するといいでしょう。

なお、オフィスソフトの使用などを目的としていて、ゲームをしたり、動画編集をしたりするのでなければ、シングルチャネルでも、それほど差を感じないと思うので、オンボードの8GBのみでもいいかもしれません。

オンボード + スロットメモリ

 

高処理性能のRyzen 5000Uシリーズを搭載

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)には、AMDの最新プロセッサーである、Ryzen 5000Uシリーズを搭載しています。性能が飛躍的に向上したため、ここ1~2年ほど非常に人気が高くなっているプロセッサーです。

Ryzen 5000シリーズ搭載

 

今回は、Ryzen 5 5500Uを搭載したモデルをチェックしましたが、下のグラフのように、非常に高いベンチマークスコアが出ていました。同じRyzen 5 5500Uを搭載する他機種よりも、スコアが高かったです。インテルのHシリーズのCore i7-11370Hを超える程のスコアが出ているので、重めの作業でも快適に使うことができます。

ただし、シングルコアの性能はそこまで高くないので、一部のクリエイター向けソフトなどで、思ったほど処理が速くない場合もあります。クリエイター向けソフトの使用がメインとなるような場合は、「クリエイター向けソフトの処理時間」の部分を参考にしてください。

CINEBENCH R23(マルチコア)
Ryzen 5 5500U 7492 [本機器で計測]
6250 [別機種で計測]
Core i7-11370H 7123
Core i7-1185G7 6229
Core i7-1165G7 4720

 

色域広めの液晶を選択可能

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)では、現時点で、下のように3種類の中から、搭載する液晶を選択できます。

一番上の液晶は、おそらくTNパネルなのであまりおすすめしません。上から2つ目の液晶は見やすいIPS液晶ですが、色域はNTSC45%(≒sRGB72%)と狭いです。ビジネスソフトの使用であれば、上から2つ目の液晶でも問題ないと思いますが、最もおすすめなのは、一番下の100% sRGBの液晶です。

現時点で選択できる液晶

 

100% sRGBの液晶の液晶であれば、ウェブやSNSに掲載するための写真編集などに最適です。また写真編集などをしなくても、ショッピングサイトの洋服などの色を比較的正確に表示できるため、買い物も失敗しにくいです。予算が許す方は、100% sRGBの液晶を選択することをおすすめいたします。

色域広めの液晶を選択できる

 

100% sRGB液晶、16GBメモリの構成でも安い

上で、100% sRGB液晶、16GBメモリの構成がおすすめと記載しましたが、この構成でも8万円台で購入することが出来ます。このスペックのノートPCが8万円台で購入できるというのは格安だと思います。

おすすめの構成

 

15.6型ノートよりは軽量

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)は、基本的にはオフィスもしくは自宅内で使うことを想定して作られたPCなので、ThinkPad X1 Carbonのような機種と比べると軽くありません。しかし、質量は約1.64kg~(今回チェックした機種は、当サイトの計測で1.528kg)と、15.6型ノートよりは大分軽く、自宅と会社や大学間の往復ぐらいであれば、持ち運べないこともない重さです。

持ち出しもできる質量

 

搭載液晶によって異なる部分

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)では、搭載する液晶によって、構成が異なってくる部分があります。

異なるのは下表の2点です。

搭載液晶で異なる部分
液晶 FHD 250nit FHD IPS 300nit FHD IPS 100% sRGB
ウェブカメラ 720p HD 720p HD
IR & 720p HD
IR & 720p HD
カバー素材 PC-ABS樹脂 アルミニウム アルミニウム

 

ウェブカメラ

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)では、ウェブカメラとして、720p HDカメラと、IR & 720 HDカメラの2種類があります。

IRカメラ付きであれば、Windows Helloの顔認証を使用して、簡単にWindowsにログインすることができ、非常に便利です。

 

カバー素材

カバー素材には、PC-ABS樹脂と、アルミニウム素材の2種類があります。

仕様表を見ると、PC-ABS樹脂の方がアルミニウム素材よりも少し重く、少し厚くなっています。また、アルミニウム素材の方が、強度や質感が高いです。金額にも大きな差がないので、カバー素材がアルミニウムになる液晶がおすすめです。

 

カスタマイズ時の確認ポイント

上記で取り上げた以外でも、ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)の購入時のカスタマイズでは、以下の点もチェックすることをおすすめします。

 

ワイヤレスLANアダプター

現時点で、デフォルトでは、Wi-Fi 5対応のワイヤレスLANアダプターが選択されていました。より高速で、安定した通信が可能なWi-Fi 6を希望する場合は、カスタマイズでの変更が必要です。

これからWi-Fi 6が主流となっていくことを考えると、Wi-Fi 6のワイヤレスLANアダプターの方がおすすめです。

ワイヤレスLANアダプターのカスタマイズ

 

指紋センサー

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)では、指紋センサーの有無も選択できます。

指紋センサーを選択すると、電源ボタンに統合されます。

マスクをしていても、指紋で簡単にWindowsにログインできるので、外に持ち出して使用するのであれば、指紋センサーを搭載すると便利です。

指紋センサーのカスタマイズ画面
指紋センサー選択時

 

ライバル機種との比較

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)と同じ14型で、Ryzen 5000シリーズを搭載した、ライバルとなりそうな他社機種との簡単な比較を行います。比較するのは、デルのInspiron 14 (5415)です。

Inspiron 14 (5415)は、価格の安さが特徴的です。似たようなスペック構成でも、ThinkPad E14 Gen 2 (AMD)よりも安く購入できます。細かいことを気にしなければ、高い処理性能でサクサク使える機種をより安く入手することができるのが、メリットです。

一方、ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)は、打ちやすいキーボードを搭載しています。タイピングすることが多い方はこちらの機種のほうがいいと思います。また、デュアルストレージ構成、色域広めの液晶などを選択することができます。その他のカスタマイズも可能なので、目的によりあった構成を選択しやすいです。トータルの使いやすさという点では、上だと思います。

ライバル機種との比較
  [本機種]
ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)
[ライバル機種]
デル Inspiron 14 (5415)
画像
CPU Ryzen 7 5700U
Ryzen 5 5500U
Ryzen 3 5300U
Ryzen 7 5700U
Ryzen 5 5500U
メモリ オンボード + スロット スロット x2
ストレージ SSD (最大2基) SSD(1基のみ)
Windows Hello 顔認証・指紋認証 指紋認証
質量 約1.64kg~ 約1.442kg
バッテリー 45Wh 54Wh
価格の比較
  [本機種]
ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)
[ライバル機種]
デル Inspiron 14 (5415)
CPU Ryzen 5 5500U
メモリ 8GB
(シングルチャネル)
ストレージ 256GB SSD
液晶種類 FHD IPS 非光沢 FHD 広視野角 非光沢
価格[税込] 76,626円 72,766円
※6月28日時点の価格

 

各用途の快適度

各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。

各用途の快適度
用途 快適度 コメント
Web閲覧
Office作業
十分なスペックで、快適に動きます。
オンライン会議 ウェブカメラ、マイク、スピーカーを備えており、普通にオンライン会議に参加できます。
動画鑑賞 スピーカー音は普通ですが、100% sRGBの液晶を搭載すれば、鮮やかな映像での動画鑑賞が可能です。
RAW現像
画像編集
100% sRGBの液晶を選択することで、RAW現像や画像編集にも使えるでしょう。ただし、Ryzenなので、使用するアプリによっては、思ったほどの処理速度が出ない場合もあります。
動画編集 △~○ FHD動画の簡単な編集であれば出来なくもありません。ただ、本格的に動画編集を行う場合は、外部グラフィックスを搭載した機種の方が適しています。また、もし動画編集をするならメモリは16GBのデュアルチャネルにすることをおすすめします。
ゲーム メモリをオンボード+スロットのデュアルチャネル構成にすれば、グラフィック品質などを下げることで、VALORANT、フォートナイトなどの軽いゲームなら出来ます。

 

ディスプレイのチェック

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)のディスプレイのチェックです。

上述したように、いくつかディスプレイを選択できますが、ここでは「FHD IPS 100% sRGB」と「FHD IPS 45% NTSC」についての特性を掲載します。

FHD IPS 100% sRGBの液晶

今回は、FHD IPS 100% sRGB液晶を搭載しています。パネルは、「B140HAN06.8」でした。

sRGBカバー率99.8%と広めの色域です。自然な発色ですし、クリエイティブな作業にも使用できます。最大輝度は、当サイトの計測では340cd/m2とやや高めです。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。

  • 色域
  • RGB
    発色特性
  • 視野角
  • 映り込み・
    ギラつき
  • フリッカー

色域は比較的広いです。当サイトの計測ではsRGBカバー率は99.8%でした。

ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成

ガンマ補正曲線を確認すると、各色揃っており、自然な発色であることが分かります。

ガンマ補正曲線
※ i1 Display Proで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2

視野角は広いです。

視野角(斜めから見たときの見やすさ)

非光沢液晶なので、画面への映り込みが抑えられています。ギラつきがややあり、気になる人もいるかなと思いますが、気にならない方が多いかと思います。

画面への映り込み

PWM調光によるフリッカー(ちらつき)の有無の確認結果です。輝度をいくつにしても、フリッカーは検出されませんでした。

PWM調光の有無の確認
※フォトディテクターにオシロスコープを繋げて計測

 

FHD IPS 45% NTSCの液晶

FHD IPS 45% NTSC液晶のパネルもテストできたので、詳細を記載します。まずパネルは、「NV140FHM-N4V」でした。

色域は、下図の通りあまり広くありません。ただ、フリッカーなどはなく、事務作業にちょうどいい液晶だと思います。最大輝度は、当サイトの計測では337cd/m2とやや高めです。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。

  • 色域
  • RGB
    発色特性
  • 視野角
  • 映り込み・
    ギラつき
  • フリッカー

色域は比較的広いです。当サイトの計測ではsRGBカバー率は62.0%でした。

ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成

ガンマ補正曲線を確認すると、どの色もそれほど補正されておらず、自然な発色であることが分かります。

ガンマ補正曲線
※ i1 Display Proで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2

視野角は広いです。

視野角(斜めから見たときの見やすさ)

非光沢液晶なので、画面への映り込みが抑えられています。ギラつきは、それほどありません。

画面への映り込み

PWM調光によるフリッカー(ちらつき)の有無を確認してみましたが、フリッカーは検出されませんでした。

PWM調光の有無の確認
※フォトディテクターにオシロスコープを繋げて計測

 

100% sRGB液晶と45% NTSC液晶を並べて撮影したのが下の図です。今、ご覧のディスプレイの色域が狭いと分かりにくいと思いますが、100% sRGBの液晶のほうが、赤色や緑色の発色がいいのが分かるかと思います。

100% sRGB液晶と45% NTSC液晶との比較

 

キーボードおよびタッチパッドのチェック

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)のキーボードのチェックです。

実測値で、キーピッチは縦:約19mm、横:約19mm、キーストロークは約1.8mmです。十分なキーサイズで、キーストロークもノートPCとしてはやや深めです。キートップが大きく湾曲していて、指馴染みがよく、キーの配列も標準的です。また、主要なキーで、サイズの小さいキーもありません。とても打ちやすいキーボードです。

ただ、今回は、バックライト無しキーボードを選択しましたが、材質は少し安っぽかったです。バックライト付きキーボードの方が、もう少しキーの材質の質感が高いと思います。

キーボード全体図
※画像をクリックすると拡大できます
キーの拡大図

 

ThinkPadシリーズ特有のトラックポイントを搭載しています。トラックポイントを使えば、ホームポジションから手を移動させずに、カーソル操作を行うことができるので、便利です。

トラックポイント
タッチパッド

 

タッチパッドも搭載しています。ただ、筆者は左手の親指をボディの側面に付けて、右手でタッチパッドを操作することが多いのですが、こうすると、マウスポインタ―の動きの反応が悪かったり、途中で動きが止まったりすることがあります。原因を探ったところ、親指をタッチパッドの下側のボディに付けていると、このような動きになるようでした。親指をボディから離すと問題なく動作するようになりました。同じ症状が出た方は、試してみてください。

左手の親指を付けて、右手で操作すると、マウスポインターの動きが止まることがある
親指を離すと、正常に動作する

 

パフォーマンスのチェック

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)のパフォーマンスのチェックです。

ThinkPadでは、インテリジェント・クーリングという温度やファン速度を制御する機能が、Windowsの電源モードに統合されています。

ここでは、デフォルトの「高パフォーマンス(バランス・モード)」と、「最も高いパフォーマンス(パフォーマンス・モード)」のベンチマークスコアをご紹介します。

インテリジェント・クーリング

 

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)は、Zen 2アーキテクチャを採用した、Ryzen 5000Uシリーズを搭載しています。

今回チェックしたのは、Ryzen 5 5500Uを搭載したモデルですが、マルチコアでは、Core i7-11370Hを超える高いスコアが出ていました。Ryzen 5 5500Uを搭載した他機種で計測したスコアよりも、さらに高い値でした。一方、シングルコアの性能を見ると、スコアはやや低めです。

マルチコア性能が動作を左右する多くのアプリを、快適に使用することができるでしょう。

CINEBENCH R23
~ CPU性能の評価 ~
Ryzen 5 5500U
他のCPUとの比較(マルチコア)
Ryzen 9 5900HX 13382
Core i9-11900H 13266
Ryzen 7 5800H 12604
Core i7-11800H 10593
Core i7-10875H 10579
Core i7-10870H 10139
Core i9-11980HK 10083
Ryzen 7 5700U 8445
Ryzen 5 5500U 7492 [最も高いパフォーマンス]
6648 [高パフォーマンス]
6250
Core i7-11370H 7123
Core i7-10750H 6839
Core i5-10500H 6805
Core i7-1185G7 6229
Ryzen 3 5300U 5492
Core i7-1165G7 4720
Core i5-1135G7 4424
Core i3-1115G4 3149
他のCPUとの比較(シングルコア)
Core i9-11900H 1570
Core i7-11370H 1519
Core i7-1185G7 1517
Core i7-11800H 1507
Ryzen 9 5900HX 1463
Core i9-11980HK 1450
Core i7-1165G7 1447
Ryzen 7 5800H 1435
Core i7-10875H 1306
Core i5-1135G7 1294
Core i7-10750H 1277
Ryzen 7 5700U 1264
Core i3-1115G4 1217
Core i7-10870H 1212
Ryzen 5 5500U 1185
1178 [最も高いパフォーマンス]
1177 [高パフォーマンス]
Core i5-10500H 1162
Ryzen 3 5300U 1127
 :本製品で選択できるプロセッサー
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

メモリ

メモリはDDR4-3200で普通の速さです。なお、オンボード + スロット式のメモリの構成です。スロットのメモリは換装できます。

SiSoftware Sandra 2020
~メモリ性能の評価 ~
16GB(8GBx2)メモリ
他のメモリとの比較(帯域)
LPDDR4X-4266
デュアルチャネル
最大 約68.2GB/s (34.1GB/s x2)
DDR4-3200
デュアルチャネル
最大 約51.2GB/s (25.6GB/s x2)
26.56GB/s
DDR4-2666
デュアルチャネル
最大 約42.6GB/s (21.3GB/s x2)
DDR4-3200
シングルチャネル
最大 約25.6GB/s
 :本製品で選択できるメモリ
 :レビュー機で計測したスコア

 

グラフィックス

グラフィックスについては、プロセッサー内蔵グラフィックスとしては、十分な性能です。ただし、GeForce GTX 1650などの外部グラフィックスと比べると、大分低いスコアです。ゲームをプレイする場合などは、外部グラフィックスを搭載した機種の方がいいです。

3DMark Night Raid
~ グラフィックス性能の評価 ~
Ryzen 5 5500U
他のグラフィックスとの比較(Graphics score)
GeForce GTX 1650 45149
GeForce MX450 30425
Core i7-1165G7
メモリLPDDR4X-4266
20052
Core i5-1135G7
メモリLPDDR4X-4266
18718
GeForce MX330 16714
Ryzen 9 4900HS 16322
GeForce MX250 15406
Ryzen 7 5700U
メモリDDR4-3200
14368
Core i7-1165G7
メモリDDR4-3200
14247
Ryzen 5 5500U
メモリDDR4-3200
13797 [最も高いパフォーマンス]
13773 [高パフォーマンス]
Core i5-1135G7
メモリDDR4-3200
13316
Core i3-1115G4
メモリDDR4-3200
11487
Ryzen 3 5300U
メモリDDR4-3200
11321
 :本製品で選択できるグラフィックス
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

ストレージ

ストレージには、PCIe-NVMe SSDを搭載しており高速です。

CrystalDiskMark
~ ストレージ性能の評価 ~
256GB PCIe-NVMe SSD
他のストレージとの比較(シーケンシャルリード [MB/s] )
PCIe Gen4 SSD 7000
 PCIe Gen3 SSD 3500
2135
SATA SSD 550
2.5インチHDD 150
 :本製品で選択できるストレージ
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

その他のベンチマーク

その他のベンチマーク、LightroomやPremiere Proの書き出し時間、Apexやフォートナイトなどのフレームレートなどについては、下のリンク先をご覧ください。他の機種で計測したスコアではありますが、ほぼ変わらないので参考になると思います。

 

クリエイターソフトの処理時間

以下、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間です。

Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間

シングルコアの性能が高くないことも関係していると思いますが、処理に思ったよりも時間がかかりました。

Core i9-11900H
16GBメモリ
44秒
Core i9-11980HK
64GBメモリ
46秒
Core i7-11800H
16GBメモリ
53秒
Apple M1
16GBメモリ
66秒 (MacBook Pro 13 M1)
Core i9-10980HK
32GBメモリ
68秒
Core i7-10875H
16GBメモリ
70秒
Core i7-11370H
16GBメモリ
72秒
Core i7-1185G7
16GBメモリ
74秒
Ryzen 9 5900HX
32GBメモリ
76秒
Core i9-9980HK
16GBメモリ
77秒 (MacBook Pro 16)
Core i7-10750H
16GBメモリ
80秒
Core i7-1165G7
16GBメモリ
89秒
Ryzen 7 4700U
16GBメモリ
91秒
Ryzen 5 4500U
32GBメモリ
91秒
Ryzen 7 5800H
16GBメモリ
93秒
Core i7-10710U
16GBメモリ
96秒
Ryzen 7 5700U
16GBメモリ
100秒
Core i7-10510U
16GBメモリ
109秒
Ryzen 5 5500U
16GBメモリ
121秒
※プロファイル補正を適用した100枚のRAWファイル(1枚あたり約45MB)を同じ書き出し設定でjpegに書き出し、所要時間を計測
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください
Adobe Photoshop CCによる各種処理時間

時間のかかている処理もありますが、ライトな用途であれば、そこそこ快適に使えると思います。

  処理時間
ニューラルフィルター(肌をスムーズに) 約30秒
ニューラルフィルター(JPEGのノイズを削除) 約1分45秒
ニューラルフィルター(スタイルの適用) 約10秒
スーパー解像度 約30秒
コンテンツに応じた塗りつぶし 約6秒
被写体を選択 約4秒
※ 6000x4000のRAWデータを編集
Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間

FHD動画の書き出しであれば、それほど待たされません。重いエフェクトをかけなければ、それほどストレスなく動画編集ができます。

ただし、4K動画になると約4倍の書き出し時間になり、かなり待たされます。また編集時の負荷も高くなるので4K動画の編集はおすすめはしません。

FHD動画の書き出し
Core i7-1185G7
GTX 1650 Max-Q
2分10秒
Core i7-1165G7
Intel Iris Xe
4分6秒
Core i5-1135G7
Intel Iris Xe
4分41秒
Ryzen 7 4700U
Radeon Graphics
5分5秒
Ryzen 5 5500U
Radeon Graphics
5分55秒
Ryzen 5 4500U
Radeon Graphics
5分57秒
Core i7-1160G7
Intel Iris Xe
6分14秒
Ryzen 3 4300U
Radeon Graphics
6分44秒
Core i7-1065G7
Intel Iris Plus
7分41秒
Core i5-1035G4
Intel Iris Plus
7分43秒
Core i7-10510U
Intel UHD
16分54秒
※ FHD/30p動画(約10分)に、「テキスト」+「露光量」+「自然な彩度」+「トランジション」のエフェクトおよびBGMとなるオーディオを加え、書き出したときの時間
※ グラフィックスは全てノートPC用
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

USB Type-C / HDMIの動作テスト

USB Type-Cの動作チェック

USB Type-Cポートの動作チェック結果は、下表の通りです。

USB-Cポートは、Power Deliveryと、DisplayPortに対応していますが、Thunderboltには非対応です。Thunderboltドック以外は、今回試した機器の使用が可能でした。

ただし、低出力のUSB-Cアダプターだと、警告が表示されます。充電にも時間がかかるので、出来れば45W以上の出力のあるUSB-Cアダプターを使用することをおすすめします。

USB Type-C充電器/ドックの動作テスト
  充電 モニター
出力
有線LAN
ドック ThinkPad USB Type-C ドック
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック × ×
PD充電器
※1
61W RAVPower GaN充電器
45W Lenovoウルトラポータブル
30W RAVPower GaN充電器 △ ※3
18W cheero充電器 △ ※3
モニター
※2
EIZO ColorEdge CS2740
Philips 258B6QUEB/11
※1 Power Delivery対応の充電器
※2 Type-Cケーブルで接続し、PCへの給電も出来るモニター
※3 低速ケーブルであるとの警告が表示されるものの充電は可能

 

HDMIの動作チェック

4KテレビへHDMIで接続したときの詳細です。4K、60Hzとなっていますが、YCbCr420での表示となってしまっています。

4Kテレビ(ビエラ TH-55CX800)へ接続したときの詳細

 

質量のチェック

質量のチェックです。

メーカーサイトには「約1.64kg~」と書かれています。当サイトによる計測値は次の通りで、仕様値よりも軽かったです。15.6型ノートPCと比べると持ち運びに便利です。ただし、モバイルPCと比較すると重い質量です。

質量の計測結果(当サイトによる実測値)
  質量
PC本体 1.528kg
ACアダプター+電源ケーブル 291g

 

バッテリー駆動時間のチェック

バッテリー駆動時間のチェックです。

バッテリー容量は45Whです。14型ノートPCとしては、普通の容量です。

バッテリー容量

 

バッテリー駆動時間は下の通りです。やや長めの時間なので、外に持ち出して使うこともできそうです。

バッテリー駆動時間
  バッテリー駆動時間
(1) JEITA2.0 最大 約17.7時間
(2) PCMark 10 Modern Office 10時間12分
(3) 動画再生時
(4) PCMark 8 Work
※画面輝度は約120cd/m2、電源モードは高パフォーマンス
(1) メーカー公表値
(2) 文書作成、ブラウジング、ビデオ会議といった事務作業。アイドル時も多く軽めの処理
(3) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
(4) ブラウザでのショッピング/画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャット等。やや重めの作業

 

当サイトで計測した1時間あたりの充電容量は次の通りです。充電速度は速いです。

1時間あたりの充電容量
純正ACアダプター
アイドル時
84%(約45Wh)
※PCの充電残量が10%から充電を開始し、1時間でどのくらい充電残量が増えたかを計測

 

パーツの温度のチェック

Prime95実行時のCPU温度

Prime95で全CPUコアの使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU温度およびCPU電力の推移を確認します。

「高パフォーマンス」モードでは、CPU電力は20W前後で動作しており、CPU温度は約75℃以下に抑えられているので、問題のない温度です。

「最も高いパフォーマンス」モードでは、CPU電力が約30Wと高めで推移するので、それに伴い、CPU温度も約90℃まで上がっています。

「高パフォーマンス」モードでも、十分高いパフォーマンスを発揮しているので、通常は、「高パフォーマンス」モードで使用するといいと思います。

  • 高パフォーマンス時
  • 最も高いパフォーマンス時
CPU電力&CPUクロック
CPU温度
CPU電力&CPUクロック
CPU温度

 

静音性のチェック

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)の動作音(静音性)のチェック結果です。

アイドル時はほぼ無音です。高い負荷がかかっても、やや低めの騒音値です。

騒音値
計測機器:リオン NL-42K
部屋を極力無音にしたときの騒音値:20.0dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
※CPU使用率およびGPU使用率は平均値です
※約10分経過後に計測しています
【PCの状態】
左から1番目:アイドル時(何も操作していない状態)
左から2番目:Filmora 9 の動画編集ソフトでプレビュー再生
左から3番目:TMPGEnc Video Mastering Works でエンコードした時(x265)

 

参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。

使用計器の騒音値の目安

 

表面温度のチェック

本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。特に、手の平を置くパームレストの温度変化は重要です。

やや低めの温度です。パームレスト部分の温度はそこまで変化していないので、作業中でも不快に感じることはありません。

PC本体の表面温度
サーモグラフィー:FLIR ONE PRO
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※約10分経過後に計測しています

 

消費電力のチェック

消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。

モバイル向けのプロセッサーなので、低めの消費電力です。

消費電力
測定機器:ワットチェッカー TAP-TST7
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※約10分経過後から確認できた中で最も高い消費電力を掲載しています

 

外観のチェック

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD) の外観のチェックです。

ブラックのボディの、ThinkPadらしいデザインです。

 

今回、検証に使っているPCの天板は、アルミニウム素材です(選択する液晶の種類で、素材が変化します)。

 

スピーカーは側面と底面の間の斜めになっている部分に配置されています。音質は普通です。ノートPC基準で、10点満点で採点すると5点くらいです(普通が5点。あくまで筆者独自の判断です)。

 

Webカメラは720pのHDカメラです。画質は普通です。プライバシーシャッターを備えています。今回は、IRカメラも搭載しているので、Windows Helloの顔認証も使用できます。

 

指紋センサーを選択すると、指紋センサーが電源ボタンに統合されます。

 

液晶を閉じたときの画像です。

 

側面には、USB3.2、USB2.0、USB-C(Power Delivery、DisplayPort対応)、HDMI、LANポートを備えています。SDカードリーダーは搭載していません。

 

液晶面は、下の画像のように開き、ほぼフラットになります。

 

底面はフラットです。

 

底面カバーを外すには、オープナーなどを使って、ボトムカバーのすき間を一周させると爪が外れて取りやすくなります。ただ、背面側の爪が外れにくく、また折れやすいので注意しましょう。

 

銀色のカバーを外すと、スロット接続のメモリ(DDR4-3200)があります。オンボード+スロット式のメモリとなっています。

 

1st SSDのM.2 SSDです。42mmの長さのType 2242 PCIe-NVMe SSDです。

 

オプションで、80mmの長さのM.2 PCIe-NVMe SSDも追加できます。

 

前述の通り、PCIe SSDは認識しましたが、SATA SSDは認識しませんでした。相性の問題かもしれませんが、SATA SSDは全て認識しない可能性もあります。

 

ACアダプターは65Wです。

 

まとめ

以上が、ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)のレビューです。

ThinkPad特有の打ちやすいキーボードを搭載しており、タイピングする機会が多い方に、非常におすすめの製品です。

また、FHD 100% sRGBクラスの液晶を選択できるのもメリットです。ウェブページ上の画像の色を比較的正確に表示でき、さらにウェブ画像編集などの用途にも適しています。

Ryzen 5000シリーズのプロセッサーを搭載し処理性能も十分で、M.2スロットを2基備えておりデュアルストレージ構成も選択できます。

メモリはオンボード+スロットメモリという構成になっています。最小容量の8GBメモリだと、シングルチャネル動作になり、グラフィックス性能が下がってしまうので注意しましょう。画像や動画のライトな編集も行いたい場合などは、16GBメモリのデュアルチャネルで使用する方がいいでしょう。

処理性能と使いやすさに優れていながら、価格は比較的安いので、コストパフォーマンスも高いです。テレワークなどの仕事用として、または大学生が大学に持参するPCとしてもおすすめです。

 

タイピングしやすく画面も見やすい

ThinkPad E14 Gen 3 (AMD)

特徴

  • 打ちやすさに定評があるキーボード
  • sRGB 100%クラスのディスプレイを搭載可能
  • 6万円台からと比較的安い価格

こんなあなたに

  • テレワークなどに使うビジネスパーソン
  • ライターさんなど文字入力することが多い方
  • 学生さん
  • 価格6万円台(税込)~
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