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Radeon RX 6800 のベンチマーク
AMDから発表された最新のGPU“Big Navi”こと、RDNA2ベースの「Radeon RX 6000」シリーズが、2020年10月20日より発売開始となりました。ここでは、「ASRock RADEON RX 6800 16G 」のグラフィックカードを用いて、3DMarkやゲームのベンチマーク(フレームレート)などを計測した結果を掲載します。
なお、今回、インテルCoreプロセッサーとの組み合わせでテストしているため、「AMD Smart Access Memory」は利用できていません。「AMD Smart Access Memory」有効時のベンチマークは、他のメディアサイトにたくさん掲載されていると思うので、そちらをご覧ください。既存のインテルCoreプロセッサー搭載のPCに、Radeon RX 6800を取り付けて使いたいという方もいると思うので、今回は、Core i9-10900KとRadeon RX 6800の組み合わせでレビューします。
目次
Radeon RX 6800のスコア結果【概要】
性能はRTX 2080Tiと同等以上。4K環境も視野に。
お忙しい方のために、代表的なベンチマーク「3DMark Time Spy」のスコアを先に掲載します。
Radeon RX 6800は、GeForce RTX 3070、RTX 2080Tiと比較すると、同等以上のスコアでした。
また、VRAMを16GB搭載している分、メモリ不足の心配もなく、最高設定は厳しいものの、4K環境も十分視野に入れることができます。
対応製品としてのGeForce RTX 3070と比較すると、価格が安く、高速で、VRAMも多く、ワットパフォーマンスが高いという利点だらけのグラフィックスです。
ただし、レイトレーシング性能はGeForce RTX 3070よりも非常に低く、レイトレーシングを有効にしてのゲーミングは現実的ではありません。また、DLSSも使えないというデメリットもあります。
また、繰り返しになりますが、今回は、Core i9-10900KとRadeon RX 6800の組み合わせですので、「AMD Smart Access Memory」は利用できていません。
Radeon RX 6800 の仕様
Radeon RX 6000シリーズとは?
「Radeon RX 6000」シリーズは、10月28日にAMDから発表された最新GPU“Big Navi”こと、RDNA2ベースのグラフィックカードで、最上位モデルの「Radeon RX 6900 XT」および「Radeon RX 6800 XT」と「Radeon RX 6800」の3製品からなります。
7nmプロセスの新アーキテクチャ「Radeon DNA 2(RDNA 2)」を採用しており、前世代と比べて、最大で約2倍の性能アップを実現。既に次世代ゲーム機である「PlayStation 5」と「Xbox Series X」にも採用されています。
AMD初のリアルタイムレイトレーシングにも対応しており、NIVIDAの「GeForce RTX 30」シリーズよりワットパフォーマンスにも優れた製品です。
今回レビューする「Radeon RX 6800」は、発表された「Radeon RX 6000」シリーズの中では最も下位となるモデルですが、4K環境においては「GeForce RTX 2080 Ti」と同等以上のパフォーマンスを発揮するということから、十分ハイパフォーマンスなモデルです。大きな特徴として、RX 6800 XTとRX 6800どちらのモデルにも16GBものVRAMを搭載しており、「GeForce RTXシリーズ」と比較して価格が安く、ワットパフォーマンスも高いというグラフィックスです。
前世代と比べると、製造プロセスは7nmとそのままに、コンピュートユニット数を増やし、クロック数も全体的に引き上げられ、メモリ容量は16GBまで倍増されています。メモリ帯域幅は512 GB/sとそれほど増えていませんが、その分新たに128 MBの「Infinity Cache」というキャッシュ領域を設けることで、電力効率を含め、前世代から最大54%パフォーマンスが向上しています。また、Microsoftの「DirectX 12 Ultimate」に対応し、「GeForce RTXシリーズ」の専売特許であった、リアルタイムレイトレーシングも利用可能となりました。
Radeon RX 6800 XT |
Radeon RX 6800 |
Radeon RX 5700 XT |
Radeon RX 5700 |
|
GPUコア | NAVI21 | NAVI | ||
GPUアーキテクチャ | RDNA2 | RDNA | ||
製造プロセス | 7nm | |||
Compute Unit数 | 72 | 60 | 40 | 36 |
Stream Processor数 | 4608基 | 3840基 | 2560基 | 2304基 |
Ray Accelerators | 72基 | 60基 | ー | |
定格クロック | ー | 1605 MHz | 1465 MHz | |
ゲームクロック | 2015 MHz | 1815 MHz | 1755 MHz | 1625 MHz |
ブーストクロック | 2250 MHz | 2105 MHz | 1905 MHz | 1725 MHz |
メモリタイプ | GDDR6 | |||
メモリ容量 | 16GB | 8 GB | ||
メモリ帯域幅 | 512 GB/s | 448 GB/s | ||
Infinity Cache | 128 MB | ー | ||
GPU電力 | 300W | 250W | 225W | 180W |
国内推定価格(税別) | 約82,800円 | 約72,800円 | ー |
GeForce RTX 3090 |
GeForce RTX 3080 |
GeForce RTX 3070 |
|
GPUコア | GA102 | GA102 | GA104 |
GPUアーキテクチャ | Ampere | ||
製造プロセス | 8nm | ||
CUDAコア数 | 10496 | 8704 | 5888 |
Tensorコア数 | 328(第3世代) | 272(第3世代) | 184(第3世代) |
RTコア数 | 82(第2世代) | 68(第2世代) | 46(第2世代) |
定格クロック | 1400MHz | 1440 MHz | 1500MHz |
ブーストクロック | 1700MHz | 1710 MHz | 1730MHz |
メモリタイプ | GDDR6X | GDDR6 | |
メモリ容量 | 24GB | 10GB | 8GB |
TDP | 350W | 320W | 220W |
想定価格(税別) | 22万9800円 | 10万9800円 | 7万9980円 |
テストに使用したグラフィックカード
今回テストに使用したASRock RADEON RX 6800 16G
今回の検証に使用したグラフィックカードは「ASRock RADEON RX 6800 16G 」です。価格は税抜72,800円でした。詳しくは下記をご覧ください。
また、どのショップも初期入荷数は少なく、気付くとすべて完売になっているという人気っぷりで、悔しくも「Radeon RX 6800 XT」の方は手に入れられず、今回「Radeon RX 6800」のみのレビューとなります。
トリプルファンクーラーとバックプレートを搭載した「AMD Radeon RX 6800」リファレンスカード。購発売日入時点で価格は税抜72,800円。
カードデザインはリファレンスモデルに準拠されているので、シンプルでこれと言って大きな特徴はありません。3連ファンは高負荷時でも思っていたより静かです。背面は金属製のプレートにより基盤が保護されています。
インタフェースはDisplayPort 1.4×2 、 HDMI 2.1×1、USB Type-C×1 となっています。補助電源には8ピンコネクタを2本使用します。
カードサイズは約267×120×40mmとなっており、以前レビューしたGeForce RTX 3080よりも短くて薄いです。ただし、質量は実測で1385gと結構重いです。
「GeForce RTX 3080 GamingPro 」と並べてカードサイズを比較してみました。「ASRock RADEON RX 6800 16G 」の方が短く、少し幅があります。
PCに装着したときの画像は次の通りです。コンパクトミドルタワーのケースですが、最近の広めのケースなら問題なく入ると思います。電源を投入するとグラフィックカードの縁と「RADEON」の文字がオレンジ色っぽく点灯します。
「ASRock RADEON RX 6800 16G」のGPU-Zの結果は、次のようになっています。
リファレンスモデルに準拠されているので、動作クロックは標準です。
テストに使用したPC
Radeon RX 6800のベンチマークを測定するにあたって、テストに使用したPCの構成は以下の通りです。
CPU | Core i9-10900K |
---|---|
ケース | NZXT H510 Matte Black |
マザーボード | ASUS TUF Z490-PLUS(WI-FI) |
CPUファン | 簡易水冷 Silverstone PF240-ARGB ZEFT |
メモリ | Gskill Trident Z DDR4-2666 16GB(8GB×2) |
ストレージ1 | M.2 SSD WD BLUE SN550 1TB |
ストレージ2 | SATA SSD Crucial MX500 1TB |
電源 | Corsair RM1000x 1000W |
また、今回、Ryzenプロセッサーを搭載したテスト機材を持っていないため、インテルプロセッサーでのテストになりますが、Ryzenプロセッサーであれば、Radeon GPUを組み合わせることによって、さらにパフォーマンスが向上します。詳しくは下記の「AMD Smart Access Memory」をご覧ください。
基本ベンチマークスコア
基本的なベンチマークスコアです。ゲームベンチマークスコアでは、各ゲームのグラフィック設定を最高設定のみで計測しています。ベンチマーク機能がないものはMSIのAfterburnerというツールを使って平均フレームレートを計測しています。
3DMark - Time Spy
3DMark Time Spyのベンチマークスコアです。
GeForce RTX 3070、RTX 2080Tiと比較すると、同等~やや上回るくらいのスコアです。
ゲームベンチマークスコア
各ゲームベンチマークでのスコア比較です。
ほとんどのゲームにおいて、RTX 3070、RTX 2080Tiよりもやや上回り、4K環境においてはRTX 3070、RTX 2080Tiと同等かそれ以上のスコアです。
特にRadeon RX 6800は、16GBものVRAM容量があるので、8GBしかないRTX 3070や11GBのRTX 2080Tiより4K環境において有利です。最高設定は厳しいですが、グラフィック設定をそれほど落とさなくても、常時60 fpsを出すことは可能でしょう。
重い部類のゲーム
ウォッチドッグス レギオン(DX12)
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---|---|---|
高品質 | 1920x1080 | 96 fps |
2560x1440 | 73 fps | |
3840x2160 | 43 fps |
重い部類のゲーム
Horizon Zero Dawn(DX12)
|
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---|---|---|
最高画質 | 1920x1080 | 135 fps |
2560x1440 | 115 fps | |
3840x2160 | 66 fps |
重い部類のゲーム
レッド・デッド・リデンプション2(VULKAN)
|
||
---|---|---|
ウルトラ | 1920x1080 | 105 fps |
2560x1440 | 85 fps | |
3840x2160 | 55 fps |
重い部類のゲーム
ボーダーランズ3(DX12)
|
||
---|---|---|
ウルトラ | 1920x1080 | 138 fps |
2560x1440 | 103 fps | |
3840x2160 | 57 fps |
重い部類のゲーム
モンスターハンターワールド:アイスボーン(DX12)
|
||
---|---|---|
最高 | 1920x1080 | 120 fps |
2560x1440 | 81 fps | |
3840x2160 | 39 fps |
重い部類のゲーム
シャドウオブザトゥームレイダー(DX12)
|
||
---|---|---|
最高 | 1920x1080 | 155 fps |
2560x1440 | 122 fps | |
3840x2160 | 66 fps |
重い部類のゲーム
ファイナルファンタジー 15(DX11)
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||
---|---|---|
高品質 | 1920x1080 | 129 fps |
2560x1440 | 100 fps | |
3840x2160 | 59 fps |
中程度の重さのゲーム
ファイナルファンタジー 14 漆黒のヴィランズ(DX11)
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---|---|---|
最高 | 1920x1080 | 21197 / 168 fps |
2560x1440 | 19147 / 135 fps | |
3840x2160 | 11787 / 78 fps |
中程度の重さのゲーム
ファークライ ニュードーン(DX11)
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---|---|---|
最高 | 1920x1080 | 111 fps |
2560x1440 | 107 fps | |
3840x2160 | 86 fps |
レイトレーシング有効時のスコア
続いて、リアルタイムレイトレーシングのベンチマークスコアです。「Radeon RX 6000」シリーズでは、AMD初のリアルタイムレイトレーシングにも対応しました。レイトレーシング専用となる「RTコア」搭載の「GeForce RTX」シリーズにどこまで迫れるのか確認したいと思います。
3DMark - DirectX Raytracing
3DMarkの「DirectX Raytracing feature test」のベンチマーク結果です。このテストでは、シーン全体をレイトレーシングでレンダリングするため、純粋な「DirectX Raytracing(DXR)」性能を比較することができます。
結果は下図の通りで、やはり、DXRテストでは「GeForce RTX」シリーズには及びませんでした。
ゲームベンチマーク
レイトレーシング機能を使ったゲームのベンチマークスコアです。
どの解像度でもRTX 3070 とRTX 2080Tiのフレームレートには及びません。RTX 2080 SUPERと同等かそれ以下のフレームレートの場合もあります。
重い部類のゲーム
ウォッチドッグス レギオン(RTX : 最大)
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---|---|---|
最高 | 1920x1080 | 43 fps |
2560x1440 | 30 fps | |
3840x2160 | 16 fps |
重い部類のゲーム
Bright Memory Infinite Ray Tracing Benchmark(RTX : High)
|
||
---|---|---|
最高 | 1920x1080 | 44 fps |
2560x1440 | 26 fps | |
3840x2160 | 12 fps |
軽い部類のゲーム
バトルフィールドV(DirectX Raytracing : On)
|
||
---|---|---|
最高 | 1920x1080 | 86 fps |
2560x1440 | 60 fps | |
3840x2160 | 30 fps |
軽い部類のゲーム
フォートナイト(レイトレーシング : On)
|
||
---|---|---|
最高 | 1920x1080 | 85 fps |
2560x1440 | 53 fps | |
3840x2160 | 26 fps |
クリエイター向けソフトのベンチマークスコア
TMPGEnc Video Mastering Works 7 によるエンコード時間
以下のグラフは、TMPGEnc Video Mastering Works 7にて、XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVC変換したときのエンコード時間を計測したものです。NVIDIAのGPUではNVENCでエンコード、 AMDのGPUではVCE(AMD Media SDK)でエンコードしています。
TMPGEnc Video Mastering Works 7を使った今回のテストでは、「Radeon RX 6800」によるVCEエンコードの方が、NVENCエンコードよりも高速でした。
※ NVIDIAのGPUではNVENCでエンコード
※ AMDのGPUではVCE(AMD Media SDK)でエンコード
※すべて同じPCで計測しています
Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間
以下のグラフは、Premiere Proで、4K動画の書き出し時間を計測したものです。
Premiere Proでの4Kエンコード時間はRTX 2080Tiよりも速い結果になりました。
※すべて同じPCで計測しています
SPECviewperf 13による描画性能
3DCGやCADソフト関連の、OpenGLの描画性能を測定するベンチマークです。各グラフィックスでComposite Scoreを比較しています。テストによって得手不得手があります。
消費電力の比較
消費電力の比較です。計測には3DMarkの「Time Spy Extreme」、「Time Spy」のストレステストを2分間行い、確認できた最も高い消費電力を記載しています。測定はグラフィックカード単体の消費電力ではなく、PC全体の消費電力です。測定機器にはワットチェッカーを使用しています。
単純なTDPでは「Radeon RX 6800」はRTX 3070より高く、RTX 2080Tiと同じです。測定結果では300W~330W辺りの消費電力でした。
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています
まとめ
Radeon RX 6800は安くて速くて高ワットパフォーマンス
AMDの最新GPU「Radeon RX 6800」は、レイトレーシングを使わないテストにおいては、RTX 3070、RTX 2080Tiよりも性能が高いケースがほとんどでした。
中程度の重さのゲームなら4K、最高設定でもプレイ可能で、WQHD解像度なら負荷の重いゲームでも、高いフレームレートで安定して動作します。
何より、VRAM16GBというメモリ容量により、RTX 3070のボトルネックであったVRAM容量の少なさを解決。さらにはワットパフォーマンスが優れているというのが「Radeon RX 6000」シリーズの良さです。
ただし、レイトレーシングには対応しているものの、「GeForce RTX」よりも性能は劣り、DLSSも使えないという欠点もあります。また、しばらくショップへの供給量も非常に少なく、欲しくても買えないという状態がしばらく続くと思われます。
おすすめPC
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エントリーモデルからハイエンドモデルまでラインナップが広く、目的に応じたスペックのPCを選びやすいです。また、いずれのモデルも比較的安いです。
レビュー記事はこちら
三度の飯よりゲームが好き。 面白ければどんなゲームもプレイするが、中でも好きなジャンルは2D格闘ゲーム。2009年からSteamでPCゲーム漁りを始めてからゲーミングPCに興味を持ち、ライター業を経てレビュアーへ。これまで300台以上のゲーミングPCを実機でテストし、レビュー記事を執筆。おじいちゃんになってもPCゲーマーでありたい。
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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