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GeForce RTX 3090 のベンチマーク
NVIDIAから発表された次世代のGPU「GeForce RTX 30」シリーズのうち、最上位モデルとなる
「GeForce RTX 3090」が先日9月24日に発売となりました。
ここでは、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Trinity」のグラフィックカードを用いて、3DMarkやゲームのベンチマーク(フレームレート)などを計測した結果を掲載します。
目次
GeForce RTX 3090のスコア結果【概要】
性能はRTX 2080Tiの約1.4倍~
お忙しい方のために、代表的なベンチマーク「3DMark Time Spy」のスコアを先に掲載します。
GeForce RTX 3090は、RTX 2080 SUPERと比較して約1.7倍、RTX 2080Tiと比較して約1.4倍のスコアでした。RTX 3080との性能差は約1.15倍でした。
また、後述しますが、4K(3840x2160)解像度ではさらに性能比が向上しています。加えて、レイトレーシングやDLSS機能も強化されており、レイトレーシングを使った激重なゲームも60 fps以上でのプレイが可能となります。
GeForce RTX 3090 の仕様
「GeForce RTX 30」シリーズは、「Ampere アーキテクチャ」を採用した、次世代のグラフィックスカードで、最上位モデルの「GeForce RTX 3090」をはじめ、RTX 2080の後継機となる「GeForce RTX 3080」、RTX 2080Tiよりも高速な「GeForce RTX 3070」の3製品が現在発表されています。
製造プロセスは前世代の12nmから8nmになり、レイトレーシング用の「RTコア」は第2世代に、DLSSなどのディープラーニング用の「Tensorコア」は第3世代へと進化し、CUDAコアの数も倍増。メモリタイプには、より高速なMicron GDDR6Xメモリを搭載し、これにより、前世代と比較して最大で2倍の性能を発揮します。
今回レビューする「GeForce RTX 3090」は、価格が20万円前後する最上位モデルで、TITAN RTXの後継機であり、そして世界初の「8K対応」も視野に入れたハイエンドグラフィックスとなっています。
前世代のTITAN RTXと比べて、CUDAコア数は2倍以上に増え、メモリ容量は24GBと据え置きですが、メモリタイプはGDDR6Xとさらに高速になり、性能はモンスタークラス。しかしその分、消費電力も価格もモンスタークラスになっています。また、SLIとなるNVLinkにはRTX 3090のみ対応となっています。
GeForce RTX 3090 |
GeForce RTX 3080 |
GeForce RTX 3070 |
|
GPUコア | GA102-300 | GA102-200 | GA104-300 |
GPUアーキテクチャ | Ampere | ||
製造プロセス | 8nm | ||
CUDAコア数 | 10496 | 8704 | 5888 |
Tensorコア数 | 328(第3世代) | 272(第3世代) | 184(第3世代) |
RTコア数 | 82(第2世代) | 68(第2世代) | 46(第2世代) |
定格クロック | 1400MHz | 1440 MHz | 1500MHz |
ブーストクロック | 1700MHz | 1710 MHz | 1730MHz |
メモリタイプ | GDDR6X | GDDR6 | |
メモリ容量 | 24GB | 10GB | 8GB |
TDP | 350W | 320W | 220W |
NVLink(SLI) | 対応 | ー | ー |
想定価格(税別) | 22万9800円 | 10万9800円 | 7万9980円 |
TITAN RTX | GeForce RTX 2080 Ti |
GeForce RTX 2080 SUPER |
|
GPUコア | TU102 | TU102 | TU104 |
GPUアーキテクチャ | Turing | ||
製造プロセス | 12nm | ||
CUDAコア数 | 4608 | 4352 | 3072 |
Tensorコア数 | 576(第2世代) | 544(第2世代) | 384(第2世代) |
RTコア数 | 72(第1世代) | 68(第1世代) | 48(第1世代) |
定格クロック | 1350MHz | 1350MHz | 1650 MHz |
ブーストクロック | 1770MHz | 1545MHz | 1815 MHz |
メモリタイプ | GDDR6 | ||
メモリ容量 | 24GB | 11GB | 8GB |
TDP | 280W | 250W | 250W |
テストに使用したグラフィックカード
テストに使用したPalit「GeForce RTX 3080 GP」
今回使用したグラフィックカードはZOTAC製の「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Trinity 」です。価格は税込224,950円とかなりのものですが、TITAN RTXの発売当時の32万円に比べると、何となく割安感はあります。
詳しくは下記をご覧ください。
3連ファン仕様のオリジナルクーラー「IceStorm 2.0」を搭載した標準モデル。価格は税込224,950円。
グラフィックカードの正面と背面です。3連ファンは11枚のブレードファンで成り立っており、前世代よりもエアフロー効率が10%向上しているそうです。回路基板を保護する金属製のバックプレートはRGBライティングが可能です。
映像出力端子はDisplayPort 1.4aが3ポート 、 HDMI 2.1が1ポートとなっています。補助電源にはRTX 3080と同様、8ピンコネクタを2本使用します。
カードサイズは317.8(L) x120.7(W) x58(H) mmとなっており、横幅が長め。
質量は実測で1340gでした。
手で持つとこんな感じです。長くて結構ずっしりと手にきます。
PCに装着したときの画像は次の通りです。長さが気がかりでしたが、コンパクトミドルタワーのケースでもすっぽり。最近の広めのケースなら問題なく入ると思います。
側面とバックプレートのLEDライティングも可能で、FireStormユーティリティから、ライティング効果をカスタマイズできます。また、デフォルトではアイドル時にファンが停止する仕様でした。
今回ベンチマークスコアを比較した、RTX 3090、RTX 3080、RTX 2080Tiのカードサイズ比較です。
上から、「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Trinity」、「Palit GeForce RTX 3080 GP」、「ASUS Dual GeForce RTX 2080 Ti」です。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Trinity」がかなり長いことがわかると思います。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Trinity」のGPU-Zの結果は、次のようになっています。
RTX 3090の正確な動作クロック数は、ベースクロックが1395MHz、ブーストクロックが1695MHzとなっていました。RTX 3080よりやや抑えられています。
テストに使用したPC
GeForce RTX 3090のベンチマークを測定するにあたって、テストに使用したPCの構成は以下の通りです。ただし、筆者の環境では8K解像度に対応したモニターを所持しておりません。8Kでの擬似的な測定は可能なもの、8Kモニターはまだ一般的とは言えないため、今回はあえて4K解像度に重きを置いて、ベンチマークを計測しました。
CPU | Core i9-10900K |
---|---|
ケース | NZXT H510 Matte Black |
マザーボード | ASUS TUF Z490-PLUS(WI-FI) |
CPUファン | 簡易水冷 Silverstone PF240-ARGB ZEFT |
メモリ | Gskill Trident Z DDR4-2666 16GB(8GB×2) |
ストレージ1 | M.2 SSD WD BLUE SN550 1TB |
ストレージ2 | SATA SSD Crucial MX500 1TB |
電源 | Corsair RM1000x 1000W |
基本ベンチマークスコア
基本的なベンチマークスコアです。ゲームベンチマークスコアでは、各ゲームのグラフィック設定を最高設定のみで計測しています。ベンチマーク機能がないものはMSIのAfterburnerというツールを使って平均フレームレートを計測しています。
3DMark - Time Spy
3DMark Time Spyのベンチマークスコアです。特に4K解像度である「Time Spy Extreme」でのスコアがかなり高く、RTX 2080Tiと比較すると、およそ1.5倍スコアが伸びています。また、RTX 3080のおよそ1.15倍のスコアでした。
ゲームベンチマークスコア
特に高解像度であるWQHD(2560x1440)や4K(3840x2160)でのフレームレートがかなり高いです。フルHD(1920x1080)でも高いフレームレートですが、頭打ちで、RTX 3080からスコアがあまり伸びないタイトルもありました。
また、4Kでのフレームレート差が目立ちます。重い部類のゲームも、最高設定で、70 fpsを超えているものが多く、4Kも快適な時代になったことを実感します。
重い部類のゲーム
ファイナルファンタジー 15(DX11)
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---|---|---|
高品質 | 1920x1080 | 141 fps |
2560x1440 | 129 fps | |
3840x2160 | 85 fps |
重い部類のゲーム
Horizon Zero Dawn(DX12)
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---|---|---|
最高画質 | 1920x1080 | 153 fps |
2560x1440 | 132 fps | |
3840x2160 | 85 fps |
重い部類のゲーム
レッド・デッド・リデンプション2(VULKAN)
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---|---|---|
ウルトラ | 1920x1080 | 121 fps |
2560x1440 | 108 fps | |
3840x2160 | 74 fps |
重い部類のゲーム
ボーダーランズ3(DX12)
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---|---|---|
ウルトラ | 1920x1080 | 156 fps |
2560x1440 | 124 fps | |
3840x2160 | 75 fps |
重い部類のゲーム
モンスターハンターワールド:アイスボーン(DX12)
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---|---|---|
最高 | 1920x1080 | 142 fps |
2560x1440 | 119 fps | |
3840x2160 | 63 fps |
重い部類のゲーム
シャドウオブザトゥームレイダー(DX12)
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---|---|---|
最高 | 1920x1080 | 157 fps |
2560x1440 | 147 fps | |
3840x2160 | 96 fps |
中程度の重さのゲーム
ファイナルファンタジー 14 漆黒のヴィランズ(DX11)
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---|---|---|
最高 | 1920x1080 | 206 fps |
2560x1440 | 162 fps | |
3840x2160 | 110 fps |
中程度の重さのゲーム
ファークライ ニュードーン(DX11)
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---|---|---|
最高 | 1920x1080 | 120 fps |
2560x1440 | 117 fps | |
3840x2160 | 102 fps |
DLSS有効時のスコア
ディープラーニング スーパー サンプリング(DLSS)の効果を計測するベンチマークスコアを掲載します。GeForce RTX 30シリーズでは、第3世代「Tensorコア」により、AIレンダリング技術がより強化されており、画質を落とさずに、ゲームのパフォーマンスを向上させることが可能です。
3DMark - NVIDIA DLSS feature test
NVIDIA DLSS feature testの結果は、下表の通りです。RTX 3090はRTX 2080Tiよりも約1.4倍のフレームレートが出ています。非常に高いスコアです。
また、DLSS有効時のフレームレートの伸びはいずれも2.3倍~2.6倍でした。DLSS有効時のフレームレートの伸び率は前世代とRTX 3080とで差はあまりありませんでした。
ゲームベンチマークスコア
実際のゲームのベンチマークも、NVIDIA DLSS feature testほどではありませんが、DLSSを有効にすることでフレームレートが約1.2倍~1.4倍伸びています。
重い部類のゲーム
モンスターハンターワールド:アイスボーン(DX12)
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重い部類のゲーム
シャドウオブザトゥームレイダー(DX12)
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レイトレーシング有効時のスコア
リアルタイムレイトレーシングのベンチマークスコアです。 GeForce RTX 30シリーズでは、第2世代「RTコア」によりレイトレーシング機能も強化されています。レイトレーシングを使った負荷の重いゲームも、高いフレームレートでプレイが可能です。
3DMark - Port Royal
3DMARKのリアルタイムレイトレーシングベンチマークテスト「Port Royal」のベンチマーク結果です。RTX 3090のスコアはかなり高く、RTX 2080 Tiと比較して約1.5倍スコアが伸びています。
ゲームベンチマーク
レイトレーシングのみON
レイトレーシング機能を使ったゲームのベンチマークスコアです。レイトレーシングOFFのときは軽かったゲームもレイトレーシングをONにするとかなり重くなります。さすがのGeForce RTX 3090でも、4K(3840x2160)解像度+最高設定+レイトレーシングなら60 fpsを割ってしまいます。
重い部類のゲーム
Bright Memory Infinite Ray Tracing Benchmark(RTX : High)
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最高 | 1920x1080 | 80 fps |
2560x1440 | 50 fps | |
3840x2160 | 24 fps |
重い部類のゲーム
シャドウオブザトゥームレイダー(レイトレース シャドウクオリティ : 最高)
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最高 | 1920x1080 | 127 fps |
2560x1440 | 103 fps | |
3840x2160 | 59 fps |
軽い部類のゲーム
バトルフィールドV(DirectX Raytracing : On)
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---|---|---|
最高 | 1920x1080 | 128 fps |
2560x1440 | 100 fps | |
3840x2160 | 56 fps |
軽い部類のゲーム
フォートナイト(レイトレーシング : On)
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---|---|---|
最高 | 1920x1080 | 122 fps |
2560x1440 | 97 fps | |
3840x2160 | 47 fps |
レイトレーシング+DLSS をオン
レイトレーシングとDLSSを併用した際のゲームのベンチマークスコアです。レイトレーシングを有効にすることで60 fpsを割っていたタイトルも、DLSS機能と併用することでフレームレートはかなり向上し、4K環境でも60fpsを超えていました。
ただし、レイトレーシング有効時の発熱量は高く、フォートナイトでは常時GPU温度が77℃を超えていました。室温の高くなりやすい夏場は、クーラーを強くし室温を下げるなど対策したほうがいいと思います。
(RTX : High+DLSS : Performance)
クリエイター向けソフトのベンチマークスコア
Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間
以下のグラフは、Premiere Proで、4K動画の書き出し時間を計測したものです。
それほど大きな差ではありませんが、RTX 3080よりさらに速い結果となりました。
※すべて同じPCで計測しています
Blender Benchmarkによるレンダリング時間
3D CGソフト「Blender」のベンチマークスコアです。ここでは6種類のプロジェクトのレンダリング時間を測定し、合計したものをスコアとして比較しています。前世代のRTX 2080Tiと比較すると、約2倍高速になっています。
SPECviewperf 13による描画性能
3DCGやCADソフト関連の、OpenGLの描画性能を測定するベンチマークです。各グラフィックスでComposite Scoreを比較しています。
消費電力の比較
消費電力の比較です。計測には3DMarkの「Time Spy Extreme」、「Time Spy」、「Port Royal」のストレステストを2分間行い、確認できた最も高い消費電力を記載しています。測定はグラフィックカード単体の消費電力ではなく、PC全体の消費電力です。測定機器にはワットチェッカーを使用しています。
GeForce RTX 3090搭載PCの消費電力は計測した限りでは、いずれも450Wを超えており、最大で480Wと、非常に高い消費電力です。発表時は電子レンジと揶揄されていましたが、実際に500Wの電子レンジを常に動かしているのとあまり変わりないです。
推奨電源容量は750Wとされていますが、それより多めの容量を搭載した方がいいでしょう。
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています
まとめ
GeForce RTX 3090は、RTX 3080より約1.15倍高速で、RTX 2080 SUPERと比較すると約1.7倍、RTX 2080Tiと比較すると約1.4倍のスコアでした。特に4K解像度において高いフレームレートが出る傾向にあり、60fpsを軽く超えるゲームタイトルがほとんどでした。
やはりRTX TITANの後継機と言うだけあり、化け物級の性能です。
ですが、RTX 3080との価格差は約10万円。その10万円でRTX 3080よりも15%高速なグラフィックカードと言われると「う~ん。」となってしまうのが正直なところ。また、消費電力も化け物で、これでずっとゲームをしていたら、電気代も恐ろしいです。
また、VRAM容量24GBというスペックから見ても、あまり一般的ではありません。ゲーム目的で購入するならRTX 3080かRTX 3070をおすすめします。
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レビュー記事はこちら
三度の飯よりゲームが好き。 面白ければどんなゲームもプレイするが、中でも好きなジャンルは2D格闘ゲーム。2009年からSteamでPCゲーム漁りを始めてからゲーミングPCに興味を持ち、ライター業を経てレビュアーへ。これまで300台以上のゲーミングPCを実機でテストし、レビュー記事を執筆。おじいちゃんになってもPCゲーマーでありたい。
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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