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デル Inspiron 13 (5310) の実機レビュー
CPU | Core i3-1125G4 Core i5-11300H Core i7-11370H |
---|---|
メモリ | 8GB / 16GB |
ストレージ | 最大1TB PCIe SSD |
液晶サイズ | 13.3インチ |
液晶種類 | FHD+ / QHD+非光沢 |
質量 | 1.25kg |
バッテリー | 54Wh |
LTE | 非対応 |
価格[税込] | 7万円台~ |
Inspiron 13 5310は、最大でCore i7-11370Hを搭載したモバイルノートPCです。
一般ノート向けのプロセッサーよりも性能が高く、画像編集なども快適に行えます。
また、16:10のディスプレイを搭載しているのも特徴です。この画面比のノートPCが7万円台から購入できるのは、お得です。
従来モデルからキーボード改善し、EnterやBackspaceキーが大きくなり、タイピングしやすくなりました。
レビュー機は、当サイトの購入品です。今回は以下の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Core i7-11370H、16GBメモリ(8GBx2)、256GB NVMe SSD
目次
お忙しい方は、「Inspiron 13 5310 の特徴」のみお読みください。
Inspiron 13 5310 の特徴
HシリーズのCoreプロセッサー搭載可能
Inspiron 13 5310は、小さいボディに、性能が高いHシリーズCoreプロセッサーを搭載している点が特徴的です。
今回は、cTDP-up:35WのCore i7-11370Hを搭載しており、計測したベンチマークスコアは下図の通りです。薄型・コンパクトボディの本製品ではCore i7-11370Hの性能を十分に出すことは出来ず、他のPCで計測したCore i7-11370Hのスコアよりも、本製品で計測したスコアは低かったです。
ただ、cTDP-up:28WのCore i7-1165G7よりは高いスコアが出ていたので、一般的なモバイルノートPCよりは高いスコアであると言えます。
特にLightroomの書き出し時間は、Core i7-1165G7やRyzen 7 5700Uよりも速かったです。色域が広めで高い解像度のディスプレイを選択できるので、Lightroomを使って現像を行う方におすすめの製品です。
:Inspiron 13 5310で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
この小さなボディに、TDPの高いCore i7-11370Hを搭載していると、温度が気になるところだと思います。本製品は若干パフォーマンスを下げ、ダブルファンで冷却しているものの、CPU温度はやや高めです。ただ、100℃を超えるようなことは無いので、たまに編集した画像や動画を書き出す程度なら、問題ないと思います。
16:10のディスプレイ
Inspiron 13 5310は、最近増えている16:10のディスプレイを搭載しています。一般的な16:9のディスプレイに比べて、より画面の下の方まで表示できるので、Webページなどが見やすいです。
解像度は、FHD+(1920x1200)とQHD+(2560x1600)の2種類があります。QHD+なら下図のようにWebページを2つ並べて見ることもできます(文字は小さくなりますが・・)。
また、Core i3-1125G4モデルなら7万円台という安さで、16:10の画面のノートPCを購入でき、お得だと思います。
オンボードだが高速メモリ
Inspiron 13 5310はオンボードメモリなので、自分でメモリの換装が出来ません。余裕をもったメモリ構成にするといいでしょう。軽めの作業しかしないのであれば、8GBメモリでもいいでしょう。LightroomやPhotoshopを使うのであれば、16GBにすることをおすすめします。
ただ、オンボードである代りに、LPDDR4x-4266(メーカーサイトにはLPDDR4x, 4267MHzと記載)高速メモリ(デュアルチャネル)を搭載しています。そのおかげで、グラフィック性能などが向上し、アプリやゲームがより快適に動くようになります。
改善されたキーボード
従来モデルのInspironシリーズは、enterやbackspaceなどのキーが小さく、ややタイプミスしやすかったですが、Inspiron 13 5310はそれらのキーが大きくなり、タイピングしやすくなりました。
16:10の13.3型液晶を搭載したノートPCだと、ボディの横幅が結構狭く、このようなキーサイズにするのは難しいのですが、Inspiron 13 5310はボディの端ギリギリまでキーボードを配置することで、それを実現しています。
キーボードの打ちやすさに定評のあるThinkPadでも、13インチクラスの機種は、「@」や「[」などのキーが小さいのに、Inspiron 13 5310は「@」や「[」なども、他のキーと同じサイズです。優秀なキーボードだと思います。
Thunderbolt 4ポートが2つ
Inspiron 13 5310はThunderbolt 4が2ポート搭載されています。価格が安いノートPCは、USB-Cポートを搭載しているものの、Thunderboltには対応していない機種が多いので嬉しいポイントです。ドックなどを選ぶときの選択肢が広がります。高いCPU性能を活かして、外部GPU BOXをつなげてゲームをするのもいいと思います。
やや残念なポイント
Inspiron 13 5310のやや残念なポイントですが、質量がそこまで軽くありません。従来モデルは約1.053kgだったので、約200g増加しています。HシリーズのCoreプロセッサーを搭載するために、デュアルファンにした影響かと思います。
また、従来モデルは、最小構成だと7万円前後で購入できましたが、新しいモデルは1万円以上値上がりしています。
また、今回、QHD+ (2560 x 1600)のディスプレイを試しましたが、画面にちらつき(フリッカー)があります。FHD+のディスプレイは分かりません。
各用途の快適度
各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧 Office作業 |
◎ | 高いCPU性能で、快適に作業できます。 |
---|---|---|
オンライン会議 | ○ | Webカメラ、マイクなどは普通の性能ですが、問題なくオンライン会議が出来ます。 |
動画鑑賞 | ◎ | 色域が広めのディスプレイで、スピーカー音も比較的よく、快適に動画鑑賞できます。 |
RAW現像 画像編集 |
○ | sRGB 100%のディスプレイで、CPU性能も高いのでRAW現像などの用途に適していると思います。ただし、Adobe RGB 100%クラスの色域ではないためご注意下さい。メモリは16GBにすることを推奨します。 |
動画編集 | △~○ | CPU性能が高く、内蔵GPUにしてはグラフィック性能も高いため、FHDの簡易的な動画編集ならできるでしょう。4K動画の編集は少しストレスを感じると思います。 |
ゲーム | △ | 内蔵GPUにしては高いフレームレートが出ますが、できればGeForce GTXなどの外部グラフィックスを搭載したモデルがおすすめです。 |
ディスプレイのチェック
Inspiron 13 5310のディスプレイのチェックです。FHD+(1920x1200)とQHD+(2560x1600)の2種類がありますが、今回は、QHD+(2560x1600)をチェックします。
QHD+
QHD+のパネルは、「24V5X NE13N60」でした。色域が広めで解像度も高いですが、フリッカー(ちらつき)があるのが残念です。最大輝度は、当サイトの計測では339cd/m2とやや高めです。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 映り込み・
ギラつき - フリッカー
色域は下表の通り広めです。
sRGBカバー率 | 100% |
---|---|
Adobe RGBカバー率 | 77.4% |
FHD+
今回、FHD+はテストしていませんが、仕様表を見ると、FHD+の液晶もsRGB 100%とのことです。
キーボードおよびタッチパッドのチェック
Inspiron 13 5310のキーボードのチェックです。
実測で、キーピッチは横:19mm、縦:18mmです。キーストロークは約1.5mmとなっており、標準的な数値です。前述したように、13インチクラスのノートPCとしては極端に小さいキーがなく、タイピングしやすいです。
タッチパッドの使いやすさは普通です。
キーボードバックライトも搭載しています。
パフォーマンスのチェック
Inspiron 13 5310のパフォーマンスのチェックです。
次のようなモードが用意されています。今回は、デフォルトの「最適化」と、最も高いパフォーマンスが出る「超高パフォーマンス」で、各種ベンチマークを計測しました。
CPU
Inspiron 13 5310は、Core i3-1125G4、Core i5-11300H、Core i7-11370Hを搭載したモデルがあります。
今回は、Core i7-11370Hを搭載しており、CINEBENCH R23のスコアは以下の通りです。他のPCで計測したときよりもやや低めのスコアになっていますが、一般的なノートPCよりは高めの処理性能です。
~ CPU性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
メモリ
メモリは、LPDDR4X-4266のデュアルチャネルを搭載しており高速です。
~メモリ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア
グラフィックス
メモリの速度が速いので、グラフィック性能は高めです。
~ グラフィックス性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
ストレージ
ストレージには、今回1TBのPCIe-NVMe SSDを搭載しており高速です。ただ、他の容量の場合は、もう少し遅い可能性があります。
~ ストレージ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
クリエイターソフトの処理時間
以下、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間です。
比較的短い書き出し時間です。RAW現像できて持ち運びにも便利なノートPCをお探しの方に適していると思います。
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
「Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください
外部グラフィックスを搭載してないので、一部の処理は遅いですが、一般的な処理は速く問題なく使えると思います。
処理時間 | |
ニューラルフィルター(肌をスムーズに) | 約24秒 |
ニューラルフィルター(JPEGのノイズを削除) | 約1分44秒 |
ニューラルフィルター(スタイルの適用) | 約6秒 |
スーパー解像度 | 約27秒 |
コンテンツに応じた塗りつぶし | 約4秒 |
被写体を選択 | 約3秒 |
10分のFHD動画の書き出しが3分ちょっとで終わっていました。カット編集をする程度なら快適に出来ます。FHD動画の編集なら、よほど重いエフェクトをかけなければ使えると思います。ただ、4K動画の書き出しは時間がかかるので、4K動画の編集は外部グラフィックスを搭載したノートPCのほうがいいでしょう。
※ グラフィックスは全てノートPC用
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
ゲームベンチマーク&フレームレート
各ゲームのベンチマークスコアまたはフレームレートを掲載します。なお、ここでは、「超高パフォーマンス」のモードで計測しています。
軽めのゲームであれば、グラフィック品質を落とすことで、60fps前後でゲームが可能です。
Apex Legends
|
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---|---|---|
1920x1080 | 低設定 | 66 fps |
VALORANT
|
||
---|---|---|
1920x1080 | 低設定 | 139 fps |
高設定 | 70 fps |
ドラゴンクエストX
|
||
---|---|---|
1920x1080 | 最高品質 | 13534(とても快適) |
ファイナルファンタジー 14 漆黒のヴィランズ
|
||
---|---|---|
1920x1080 | 標準(ノート) | 56 fps |
USB Type-C / HDMIの動作テスト
USB Type-Cの動作チェック
USB Type-Cポートは、Thunderbolt 4、PowerDelivery、DisplayPort出力に対応しており、多くの周辺機器が使えます。
充電 | モニター 出力 |
有線LAN | ||
ドック | ThinkPad USB Type-C ドック | ○ | ○ | ○ |
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック | ○ | ○ | ○ | |
PD充電器 ※1 |
61W RAVPower GaN充電器 | ○ | ― | ― |
45W Lenovoウルトラポータブル | ○ | ― | ― | |
30W RAVPower GaN充電器 | ○ | ― | ― | |
18W cheero充電器 | ○ | ― | ― | |
モニター ※2 |
EIZO ColorEdge CS2740 | ○ | ○ | ― |
Philips 258B6QUEB/11 | ○ | ○ | ○ |
※2 Type-Cケーブルで接続し、PCへの給電も出来るモニター
HDMIの動作チェック
4KテレビへHDMIで接続したときの詳細です。4K、60Hzにした場合、YCbCr420になってしまいます。30HzにすればRGBで出力できますが、その代わりリフレッシュレートは半分になってしまいます。
質量のチェック
Inspiron 13 5310の質量のチェックです。
メーカーサイトには「約1.25kg」となっています。当サイトの計測値は下表の通りで、公表値より軽かったです。ACアダプターはやや重いです。
質量 | |
PC本体 | 1.198kg |
ACアダプター+電源ケーブル | 314g |
バッテリー駆動時間のチェック
Inspiron 13 5310のバッテリー駆動時間のチェックです。
バッテリーは54Whで、一般的なノートPCとしては多めの容量です。
バッテリー駆動時間は下の通りです。CPU性能が高いため、バッテリー容量の割には、バッテリー駆動時間は長くありませんでした。
バッテリー駆動時間 | |
(1) JEITA2.0 | ー |
(2) PCMark 10 Modern Office | 10時間25分 |
(3) 動画再生時 | ー |
(4) PCMark 8 Work | 3時間2分 |
(1) メーカー公表値
(2) 文書作成、ブラウジング、ビデオ会議といった事務作業。アイドル時も多く軽めの処理
(3) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
(4) ブラウザでのショッピング/画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャット等。やや重めの作業
パーツの温度のチェック
Prime95実行時のCPU温度
Prime95で全CPUコアの使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU温度およびCPU電力の推移を確認します。
変動が大きく安定しませんが、CPU温度は90℃を超えており、やや高めの温度です。
- 最適化時
- 超高パフォーマンス時
静音性のチェック
Inspiron 13 5310の動作音(静音性)のチェック結果です。なお、静音性(騒音値)、表面温度、消費電力は「最適化」のモードで計測しています。
アイドル時はほぼ無音です。高めの負荷をかけたときの温度は、他のノートPCと比較して普通だと思います。
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。特に、手の平を置くパームレストの温度変化は重要です。
高い負荷をかけると、キーボード部分の温度は上がりますが、パームレスト部分の温度はそれほど上がらないため、そこまで不快感はなく使えると思います。
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。
HシリーズのCoreプロセッサーなので、エンコードのような高い負荷をかけると、やや高めの消費電力です。
外観のチェック
Inspiron 13 5310の外観のチェックです。
今回は、「プラチナシルバー」の本体カラーですが、キーボード面はグレーです。
天板はシルバーとなっています。
スピーカーは、2.5Wx2の高出力のステレオスピーカーで、底面の正面側に配置されています。音質は割といいと思いますが、タイピングしていると、スピーカーから出た音が腕にあたり、音がこもります。ノートPC基準で、10点満点で採点すると6点くらいです(普通が5点。あくまで筆者独自の判断です)。
Webカメラは720pで、画質は普通です。シャッターが搭載されており、レバーをスライドさせることで、Webカメラを物理的に隠すことができます。IRカメラは搭載されていません。
側面には、Thunderbolt 4が2つ、HDMI1.4b、USB3.2 Gen 1などがあります。USBポートは下の部分が開閉するようになっています。片手でUSBケーブルを挿すことは出来ますが、慣れないとやや挿しにくいです。
液晶は下図の角度まで開きます。特に見にくくはありません。
底面はシンプルです。底面のネジを外すと、背面側が少し浮かんでくるので、底面カバーは外しやすいです。
底面カバーを外すと下図のようになっています。ダブルファンでCPUを冷却します。メモリはオンボードです。
ストレージは80mmのM.2 SSDが搭載されていました。
ACアダプターは65Wです。角が丸くなっているので持ちやすいですが、サイズはやや大きいです。また、電源コードも太いです。
まとめ
以上が、Inspiron 13 5310のレビューです。
高い性能のHシリーズのCoreプロセッサーに、画面比16:10のディスプレイを搭載しながら、それほど高くない価格が魅力の製品です。
画像編集などを行う方なら、 Core i7-11370H、16GBメモリ、1TB SSD、QHD+の構成がおすすめです。この構成でも12万円台で購入できます。
高い負荷をかけないならば、Core i3-1125G4、8GBメモリ、FHD+の構成がいいでしょう。この構成なら7万円台で購入可能です。
コンパクトなボディの割には、どのキーも十分なキーピッチで、タイピングしやすいのも特徴です。
ただし、従来モデルよりも質量がやや重くなっています。また、今回、QHD+液晶を試しましたが、ちらつき(フリッカー)がありました。
HシリーズCoreプロセッサーを搭載したモバイルノート
Inspiron 13 (5310)
特徴
- 最大でCore i7-11370Hを搭載し高性能
- 16:10のディスプレイ
- キーボードが比較的打ちやすい
こんなあなたに
- 持ち運べるノートで、画像編集などもやりたい方
- 画面比16:10の安いノートを探している方
- 価格7万円台[税込]~
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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約15年間にわたり、年間100機種以上、パソコンを細かくチェックしている筆者がおすすめするノートパソコン。