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MSI Creator 17の実機レビュー
CPU | Core i7-10875H |
---|---|
GPU | GeForce RTX 2060
/ RTX 2070 SUPER Max-Q |
メモリ | 最大64GB |
Storage | PCIe SSD |
Display | 17.3インチ 4K mini LED 非光沢 DCI-P3相当 DisplayHDR 1000 |
質量 | 約2.5kg |
Battery | 約6時間(80Wh) |
価格 | 35万円台[税込]~ |
Creator 17は、世界初のmini LEDディスプレイを搭載したクリエイター向けの17.3型ノートPCです。
mini LEDディスプレイは、4Kの高解像度、1000nitの高輝度、10万:1の高コントラストが特徴で、HDR映像制作などの用途に最適です。
最新の第10世代Core i7-10875H、GeForce RTX 2070 SUPER Max-QまたはRTX 2060によるハイスペック構成を、比較的軽量・コンパクトなボディに搭載しているのもポイントです。
クリエイティブな作業を快適にこなせる環境を、場所を固定せずに、どこにでも持ち出すことができます。
MSIのゲーミングノートを購入するなら、パソコンSHOPアークがおすすめです。MSI認定のショップで、メモリやストレージのカスタマイズも可能です。
レビュー機は、メーカーからの貸出機です。今回は以下の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Core i7-10875H、GeForce RTX 2060、64GBメモリ、1TB PCIe SSD
目次
お忙しい方は、「Creator 17の特徴」のみお読みください。
Creator 17の特徴
mini LEDディスプレイ搭載
Creator 17の最大の特徴は、クリエイターノートPCとしては世界初となる、mini LEDディスプレイを搭載している点です。なお、ディスプレイサイズは、ノートPCとしては大画面となる17.3型です。
mini LEDディスプレイとは、その名の通り、通常の液晶に使用されるLEDよりも小さな、直径約100~200マイクロメートルのmini LEDを使用しているディスプレイです。有機ELディスプレイよりも輝度とコントラスト比が高く、かつ、画面の焼き付きが発生しにくいというメリットがあります。一方、価格が高くなる点がデメリットです。
一般的なノートPCの輝度は300nit前後で、高いものでも500nit前後です。一方、Creator 17の輝度は1000nitもあり、製品を開封し電源を入れて画面をみたとき、ノートパソコンでは初めて"眩しい"と思いました。300nitのディスプレイと比較すると、下図のように輝度は全く違います。
また、画面を240分割してLEDの発光量をコントロールするローカルディミング方式が採用されており、コントラスト比は100,000:1にもなります。実際に普通のディスプレイと比較しながら映像を見てみても、空や光りが当たっている部分はより明るく、陰になっている部分はより暗く、明部と暗部の差がはっきりしており、よりリアルな映像でした(下図参照)。
このmini LEDディスプレイにより、Creator 17は、VESA CERTIFIED DisplayHDR 1000認証を受けた、初めてのラップトップPCとなっています。
上記を含めて、Creator 17の搭載するmini LEDディスプレイのスペックをまとめると、以下のようになります。
Creator 17が搭載するmini LEDディスプレイのスペック
輝度 1000nit
一般的な液晶が300nit、有機ELで500nit程度ですが、本製品は1000nitと非常に高い輝度です。
解像度 4K
4Kディスプレイなので、高精細な表示が可能です。4K動画の編集作業にも使いやすいでしょう。
色域 DCI-P3 100%
映画のカラーフィルムの色域に対応した規格DCI-P3を100%カバーしており、広色域です。
色差 ΔE<2
特別なトレーニングを受けた目でしか判別できないほど、色差は非常に小さいです。正確な色表現が可能です。
このように、クリエイティブな作業、特にHDR動画制作に適したディスプレイと言えるでしょう。
かなり高いスペック
Creator 17の搭載するCPUは、ゲーミングノートPCによく搭載されているCPU「Core i7-10750H」よりも性能が高いCore i7-10875Hを搭載しています。
さらに、グラフィックスには、RTX Studioが利用できるGeForce RTX 2060またはGeForce RTX 2070 SUPER Max-Qを搭載します。
メモリも、最大64GB搭載することが可能で、メモリを多く消費するクリエイター向けソフトを複数起動しても安心です。
ストレージについても最大3000MB/sを超えるPCIe-NVMe SSDを搭載しています。また、パソコンShopアークなら、追加のSSDを搭載でき、最大2TB+2TBの構成にすることができます。
ハイスペック構成なのに軽量・薄型
上述のように、Creator 17は17.3型の大型ディスプレイを備え、ミドル~ハイクラスのゲーミングノートPCと同等の高いスペックでありながら、ボディは軽くてコンパクトです。
下表では、同じ17.3型ディスプレイを搭載し、クリエイティブな用途にも使用できそうなゲーミングノートPCとサイズを比較してみました。本製品は、他社の17.3型ノートよりも軽くて、コンパクトになっています。
ただし、従来モデルのMSI P75 CREATORと比較すると、本製品は重くなっています。旧世代のCPUですが、より軽い製品をお探しなら、MSI P75 CREATORもいいと思います。
また、MSI GS75(2020年モデル)は、ボディ形状は本製品と一緒ですが、ディスプレイが異なる関係でやや軽くなっています。
幅 | 奥行 | 高さ | 質量 | |
MSI Creator 17 [本製品] | 396.1 | 259.4 | 20.25 | 約2.5kg |
ドスパラ GALLERIA GCR2070RNF-E | 397 | 268.5 | 27.5 | 約2.7kg |
HP OMEN 17 | 405 | 285 | 30 | 約3.26kg |
デル ALIENWARE M17 | 399.8 | 295.5 | 20.5 | 約2.63kg |
MSI GS75(2020年モデル) | 396.1 | 259.4 | 20.25 | 約2.4kg |
MSI P75 CREATOR | 396.1 | 259.5 | 18.95 | 約2.28kg |
最大3台の外部ディスプレイを接続可能
Creator 17は、HDMI出力、Thunderbolt 3端子、USB3.2 Type-C端子(映像出力対応)からの映像出力が可能です。そのため、最大で3台の外部ディスプレイを接続でき、本体のmini LEDディスプレイを合わせて、4画面での作業を行うことができます。本格的な動画の編集作業などでも、ウインドウを切り替えることなく作業を行うことができ、作業効率の向上が期待できます。
ただし、画像出力ポートは全て本体右側に配置されているので、複数のディスプレイを接続しつつ、外付けのマウスを使用する場合などは、配置などを工夫する必要があるでしょう。
ディスプレイのチェック
ディスプレイのチェックです。
前述の通り、高輝度、高コントラスト、広色域のディスプレイです。最大輝度は、メーカー公表値で1000nit(cd/m2)、当サイトの計測では920cd/m2と非常に高いです。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 画素・
ギラつき - 映り込み
- フリッカー
色域は広いです。公表値通りDCI-P3カバー率はほぼ100%ですが、Adobe RGBカバー率は約87.7%でした。Adobe RGB環境で揃えて作業をしたいと考えている方には適さないディスプレイです。
sRGBカバー率 | 100% |
---|---|
DCI-P3カバー率 | 99.3% |
Adobe RGBカバー率 | 87.7% |
また、下の動画のように、sRGBなどへ表示モードを変更することも可能です。
キーボードおよびタッチパッドのチェック
キーボードのチェックです。
実測で、キーピッチは横:18.5mm、縦:19mmです。キーストロークは約1.9mmです。十分なキーピッチおよびキーストロークで打ちやすいと思います。
ただし、気になるのがタッチパッドの位置です。他のPCよりも横長のタッチパッドが本体中央にあり、さらにテンキーが搭載されていることによって、手のホームポジションが左にずれるため、右手がかなりタッチパッドに被ります。タイピングしていると、右の手のひらで、タッチパッドのクリックボタンを押してしまいます。タッチパッドはもう少し左側に配置して欲しかったです。
キーボードにはバックライトを搭載しています。
パフォーマンスのチェック
パフォーマンスのチェックです。
本製品は、「ユーザーシナリオ」と呼ばれている動作モードがいくつか用意されています。ここでは「ハイパフォーマンス」および「バランス」にして計測しています。
CPU
CPUにはCore i7-10875Hを搭載しており、非常に高い性能です。なお、「バランス」より「ハイパフォーマンス」のほうがやや高いスコアです。
~ CINEBENCH R20 ~
※[ハイパフォーマンス]、[バランス]と書かれていないCPUは、他のPCで計測した代表値です
グラフィックス
本製品のグラフィックスには、RTX 2070 SUPER Max-QとRTX 2060があり、性能は次の通りです。「ハイパフォーマンス」と「バランス」とでは、スコアはあまり変わりませんでした。
~ グラフィックス性能の評価 ~
※[ハイパフォーマンス]、[バランス]と書かれていないグラフィックスは、他のPCで計測した代表値です
ストレージ
ストレージは高速です。
~ ストレージ性能の評価 ~
SDカードスロット
micro SDカードスロットを搭載しています。アクセス速度は速いです。
その他のベンチマークスコア
以下、その他のベンチマーク結果を掲載します。
クリエイターソフトの処理時間
以下、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間です。ここでは、「ハイパフォーマンス」モードでのみ計測しています。なお、以下のグラフでは、レビュー機で計測したもののみ緑色にしています。
RAW現像時間は非常に高速です。
※[レビュー機で計測]と書かれていないものは、他のPCで計測した代表値です
※「Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください
外部グラフィックスの性能が高いため、Adobe Premiere Proの書き出し時間も非常に速いです。GeForce RTX 2070 SUPER Max-Qを搭載すれば、もっと速くなることでしょう。
※ 4K/30p動画(約10分)に、「テキスト」+「露光量」+「自然な彩度」+「トランジション」のエフェクトおよびBGMとなるオーディオを加え、H.264形式、YouTube 2160p 4K Ultra HDのプリセットで書き出したときの時間
※ グラフィックスは全てノートPC用
※[レビュー機で計測]と書かれていないものは、他のPCで計測した代表値です
こちらも高速です。
エンコード時間 | |
x265でエンコード (※1) | 12分26秒 |
QSVでエンコード (※2) | 2分50秒 |
NVENCでエンコード (※3) | 57秒 |
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 AMD APU内蔵のハードウェアエンコーダー(AMD Media SDK)
※3 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
CPUクロックは高めですが、大きなクロックダウンは起こっていません。
以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は変わります。また、いずれも「ハイパフォーマンス」モードで計測しています。
静音性のチェック
動作音(静音性)のチェック結果です。
動作音は普通だと思います。なお、アイドル時のみ「バランス」モードにしてみましたが、騒音値は変わりませんでした。
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
パーツの温度のチェック
各パーツの温度のチェック結果です。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。ここではエンコード時のみ掲載します。
エンコード時の温度
下図は、CPU使用率がほぼ100%になるエンコード時のCPU温度の詳細です。コアにもよりますが、約80℃~100℃の間を推移しており、高めのCPU温度ではありますが、クロックダウンは発生していませんでした。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。
高性能パーツを搭載している割には、薄型のボディということもあり、全体的に表面温度は高めです。実際に触っても、やや不快感はあります。
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。確認できた最も高い数値を掲載していますが、数値は変動するため参考程度にご確認下さい。
高解像度ディスプレイ、高性能パーツを搭載しているため、消費電力は高めです。
外観のチェック
Creator 17は、アメリカ国防総省制定の軍事規格であるMIL-STD 810Gに準拠しています。堅牢性と、信頼性の高さが認められているので、安心して持ち運ぶことができます。また、時には過酷な条件となる、クリエイティブなフィールドでの作業にも使用することができるでしょう。
デザインは、シルバーのメタリック感のあるボディで、高級感があります。
天板もシルバーで、ドラゴンのマークが刻印されています。
スピーカーは底面側にあります。こもった感じがする音で、あまり聞きやすくはありません。ノートPC基準で、10点満点で採点すると4点くらいです(普通が5点。あくまで筆者独自の判断です)。
高性能パーツを搭載している割には薄型のボディです。
Thunderbolot3、USB-C、HDMI、USB 3.2 x3、LAN、microSDカードリーダーなどを備えています。
ディスプレイが開く最大の角度です。
底面です。
ACアダプターは、180Wです。薄型であるため、カバンに入れやすいでしょう。
まとめ
Creator 17は、mini LEDディスプレイを搭載した、本格的なクリエイター用ノートPCです。
さらに、第10世代Core i7-10875H、GeForce RTX 2070 SUPER Max-QもしくはRTX 2060の構成は、かなりパワフルです。ビデオ編集、3Dアニメーション、画像編集、グラフィックスデザインなど、様々なクリエイティブワークを快適にこなすことができるでしょう。
高輝度・高コントラストの4K mini LEDディスプレイと、このハイスペック構成を最も活かせるのは、4K動画やHDR動画の制作のような場面でしょう。また、比較的軽いので、作った作品を依頼主に見せる場合、Creator 17を持ち込むことで、相手の環境に左右されず高品質な映像で確認してもらうことができます。
一方、価格は高いです。
17.3型のmini LEDディスプレイを搭載
Creator 17
特徴
- mini LEDディスプレイ搭載
- 第10世代Core i7-10875Hを採用
- スペックとサイズの割に軽量・コンパクト
こんなあなたに
- HDR動画制作を行う
- 大画面ノートで作業したいクリエイター
- 価格35万円台[税込]~
- 一言垂涎のクリエイター用ノート
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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