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MSI Prestige 15(第10世代CPU、GTX 16シリーズ)の実機レビュー
CPU | Core i7-10710U |
---|---|
GPU | GTX 1650 Max-Q |
メモリ | 32GB / 16GB |
ストレージ | PCIe SSD |
液晶サイズ | 15.6型 |
液晶種類 | 4K 非光沢 FHD 非光沢 |
質量 | 約1.6kg |
バッテリー | 約80.25Wh |
価格[税別] | 16万円台~ |
MSI Prestige 15は、GeForce GTX 1650 Max-Qのグラフィックスを搭載しながら、約1.6kgしかないクリエイター向けの15.6型ノートPCです。
液晶には、FHD液晶の他に、"Adobe RGB相当の広色域"と書かれている4K液晶を選択することも可能です。
UシリーズのCoreプロセッサーであるため、CPU性能が低めと思われるかもしれませんが、Core i7-10710Uに限ってはかなり性能が高く、HシリーズのCore i7-9750Hに近いベンチマークスコアが出ています。
MSIは直販サイトがありません。MSIのゲーミングノートを購入するなら、パソコンSHOPアーク(Ark)がおすすめです。MSI認定のショップで、パーツのカスタマイズも可能です。
レビュー機は、メーカーからの貸出機です。今回は次の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Core i7-10710U、16GBメモリ、GeForce GTX 1650 Max-Q、512GB NVMe SSD
目次
お忙しい方は、「MSI Prestige 15の特徴」のみお読みください。
MSI Prestige 15の特徴
6コアのCore i7-10710Uを搭載
MSI Prestige 15は、末尾に「U」が付くCore i7-10710Uを搭載しています。一般的に「U」が付くインテルプロセッサーは、一般ユーザー向けのCPUで、クリエイターやゲーマーにはあまり適しません。しかし、Core i7-10710Uだけはコア数が6つもあり、4コアのCore i7-10510Uと比較すると、下図のように性能が大きく異なります。特に本製品は、ACアダプターの容量が十分あることもあり、ゲーミングノートによく搭載される「Core i7-9750H」に迫るベンチマークスコアが出ています。
持ち歩けるクリエイターノートPC
MSI Prestige 15は、前述したように高い性能のCPUと、GeForce GTX 1650 Max-Qの外部グラフィックスを搭載していながら、約1.6kgしかなく、持ち運びに便利です(ちなみに、実測では1.673kg)。
持ち運びを考慮したクリエイターノートもしくはゲーミングノートの中で、MSI Prestige 15の位置づけは下図のようになります。RTX 2070クラスのグラフィックスを搭載したゲーミングノートには、性能はまだまだ及びませんが、ThinkPad X1 Extremeとは近い性能で、質量はX1 Extremeより約1kg軽くなっています。持ち運びに特化したDAIV-NG4300のようなノートPCほど軽くはありませんが、GTX 1650 Max-Qを搭載するほどの性能で1.6kgというのはかなり軽いと思います。
対面の人に画面を見せやすい
本製品は、液晶を180度まで広げることができ、対面の人に画面を見せやすいです。液晶が180度開くだけなら、他の製品にもありますが、MSI Prestige 15がすごいのは、ボタンを押すと、画面が180度回転し、対面の人向きに画面が表示されます。
FHD液晶の色域はやや物足りない
MSI Prestige 15は、FHD液晶と4K液晶のモデルがありますが、どちらかといえば4K液晶がおすすめです。今回レビューしているモデルはFHD液晶ですが、当サイトで計測したところsRGBカバー率が93.6%でした。YouTube用の動画編集くらいならこの液晶でもいいと思いますが、クリエイターが使うにはやや物足りなさを感じます。sRGBカバー率は100%近く欲しいところでした。
4K液晶のモデルなら、"Adobe RGB相当の広色域"とメーカーサイトに書かれているため、クリエイターならこちらの液晶のほうがいいのではないかと思います。ただし、4K液晶にするとバッテリー駆動時間が短くなるのでご注意下さい。
4つのパフォーマンスモード
本製品は、以下の4つのモードが用意されており、パフォーマンスやファン速度が調整されます。
デフォルトは「バランス」です。Officeソフトなどを使っているときはこのモードでいいと思います。ただ、「バランス」のモードではクリエイティブなソフトを動かす場合、やや物足りない性能なので、「高性能」にすることをおすすめします。「高性能」にすると騒音値はやや上がりますが、パフォーマンスが大幅に延びます。
モードを変更したときのベンチマークや動作音については、「パフォーマンスのチェック」や「静音性のチェック」をご覧ください。
クリエイター向けソフトの使用感
以下、各クリエイター向けソフトを使用したときの使用感を掲載します。なお、モードは「高性能」にしています。
Adobe Lightroom Classic CC(写真編集ソフト)
Lightroomを使ってみましたが、非常に快適です。1枚のデジタル写真を選択後、彩度の変更、トーンカーブの変更、色温度の変更などをスライダーを動かして変更してみました。ほぼタイムラグなく反映されていました。
また、100枚のRAWデータ(1枚約45MB)を同期して補正後、書き出してみましたが、Core i7-9750Hとほとんど変わらない書き出し時間でした。
ただし、FHD液晶モデルのsRGBカバー率は93.6%だったので少し物足りないです。4K液晶モデルならAdobe RGB相当あるようなので、Lightroomを使うなら4K液晶がおすすめです。
※「Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください。
Adobe Photoshop CC(画像編集ソフト)
Photoshopも快適に動作します。
CPUおよびグラフィック性能が不足していないかを、いくつかフィルターをかけて確認してみましたが、いずれも問題ありませんでした。
人工知能「Adobe Sensei」を用いた新しいオブジェクト選択ツールもすぐに選択できました。
3D機能については試していません。
液晶についてはLightroomでのコメントと同様です。
Adobe Premiere Pro CC(動画編集ソフト)
Premiere Proも割と快適です。FHD動画のカット編集およびテロップ挿入くらいの編集なら全く問題なく動きます。全体の彩度や露出変更などのカラー補正をしてもカクつきはありませんでした。
レンダリングや書き出し速度も、Core i7-9750H、GTX 1660TiクラスのノートPCと比べると遅いですが、一般的なノートPCよりはかなり速いです。
TMPGEnc Video Mastering Works 7(動画変換/編集ソフト)
x265によるエンコードは、Core i7-9750Hとほとんど変わらない処理時間で、非常に速いです。
GeForce GTX 1650 Max-Qを搭載しているため、NVENCによるエンコードも出来ます。
エンコード時間 | |
x265でエンコード (※1) | 16分08秒 |
QSVでエンコード (※2) | 2分58秒 |
NVENCでエンコード (※3) | 58秒 |
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 CPU内蔵のハードウェアエンコーダー
※3 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
液晶ディスプレイのチェック
液晶ディスプレイの詳細なチェックです。
FHD液晶のモデルと4K液晶のモデルがありますが、今回はFHD液晶のモデルについて解説します。
最大輝度は、当サイトの計測では300cd/m2とやや高めです。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 画素・
ギラつき - 映り込み
- フリッカー
キーボードおよびタッチパッドのチェック
キーボードとタッチパッドのチェックです。
キーピッチは十分あり、キーストロークは約1.5mmとなっており、普通に打てるキーボードです。Enterキーが端にありませんが、キーサイズが大きいため、打ち間違えることは少ないでしょう。タッチパッドの使いやすさも良好です。
キーボードバックライトを搭載しており、暗所での作業にも便利です。
パフォーマンスのチェック
パフォーマンスのチェックです。
先ほど、以下のようなモードがあると記載しましたが、今回は「高性能」と「バランス」のモードでベンチマークを計測しました。
CPU
今回、Core i7-10710Uを搭載しており、Uシリーズでありながら非常に高い性能のCPUです。ただし、「高性能」にしたときと「バランス」にしたときとでは大きくベンチマークスコアが異なります。クリエイター向けソフトを使用する場合は「高性能」にしたほうがいいでしょう。
また、以前、Core i7-10710Uを搭載したXPS 13でCINEBENCH R20を実行してみましたが、本製品はそれよりも高いスコアでした。これは、XPS 13は45WのACアダプターであったのに対し、Prestige 15は90WのACアダプターであったためだと思います。
~ CINEBENCH R20 マルチコア ~
※[高性能]、[バランス]と書かれたCPU以外は、他のPCで計測した代表値です
グラフィックス
グラフィックスには、GeForce GTX 1650 Max-Qを搭載しています。「バランス」と「高性能」の2つのモードで計測したところ、CPU scoreは大きく変わりましたが、Graphics scoreについてほとんど変わりありませんでした。「高性能」のモードにしてもグラフィックスのパフォーマンスは伸びないようです。
~ 3DMark Time Spy - Graphics score ~
※[レビュー機で計測]と書かれたグラフィックス以外は、他のPCで計測した代表値です
GPU-Zで確認したGeForce GTX 1650 Max-Qの情報は次の通りです。GPU Clockやメモリ等、普通の仕様だと思います。
ストレージ
ストレージは、初期構成として512 GBのM.2 SSDを搭載しています。また、パソコンショップアークなら、最大2TBのSSDへ変更することことが可能です。さらに、もう1台SSDを搭載することも可能です。
~ CrystalDiskMark ~
※[レビュー機で計測]と書かれたストレージ以外は、他のPCで計測した代表値です
SDカードリーダー/ライター
SDカードリーダー/ライターの速度は比較的速いです。
実際のソフトで計測した処理時間
実際のソフトウェアで計測した各種処理時間については「クリエイター向けソフトの使用感」に記載しています。
ゲームベンチマーク
MSI Prestige 15は、ゲーミングノートではありませんが、ゲームも出来るスペックです。
ゲームにもよりますが、中~高あたりのグラフィック設定で、60fps前後のフレームレートが出ると思います。
重い部類のゲーム
シャドウオブザトゥームレイダー
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1920x1080 | 最低 | 72 fps |
中 | 47 fps | |
最高 | 34 fps |
中程度の重さのゲーム
ファイナルファンタジー 14 漆黒のヴィランズ
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1920x1080 | 標準(ノート) | 14810 / 105 fps |
高(ノート) | 11640 / 79 fps | |
最高品質 | 8284 / 56 fps |
軽い部類のゲーム
ドラゴンクエストX
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1920x1080 | 最高品質 | 18767(すごく快適) |
上に掲載した以外のゲームのフレームレートについては、下を参考にしてください。
質量のチェック
質量のチェックです。
メーカーの仕様値では約1.6kgとなっています。
当サイトで計測した質量は次の通りです。メーカー仕様値よりもやや重かったです。
15.6型 | |
PC本体 | 1.673kg |
ACアダプター | 428g |
バッテリー駆動時間のチェック
バッテリー駆動時間のチェックです。
バッテリー容量は、当サイトで確認したところ約80.25Whでした。
モバイルノートよりは短い駆動時間ですが、高性能CPUおよびGPUを搭載していることを考慮すると、十分長い駆動時間だと言えるのではないかと思います。クリエイターソフトを使用している場合(動画のレンダリングや書き出しは除く)は、3時間前後の駆動時間になるのではないかと思います。
駆動時間 | |
(1) JEITA2.0測定法 | 16時間 |
(2) 動画再生時 | 4時間14分 |
(3) PCMark 8 Work テスト | 3時間30分 |
(1) メーカー公表値
(2) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
(3) ブラウザでのショッピング/大量の画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャットなどを実行
以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は変わります。また、ここでは「高性能」と「バランス」のモードで計測しています。
静音性のチェック
動作音(静音性)のチェック結果です。
アイドル時でも動作音が聞こえます。「バランス」モードのときは高い負荷をかけてもそれほどうるさくなりませんでしたが、「高性能」モードのときはかなり高めの騒音値になります。
- バランス
- 高性能
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
パーツの温度のチェック
各パーツの温度のチェック結果です。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。
エンコード時において、「バランス」のモードのときは普通もしくは低めの温度です。「高性能」のモードのときは高めの温度です。
- バランス
- 高性能
エンコード時のCPU温度の詳細(高性能モード)
下図は、CPU使用率がほぼ100%になるエンコード時のCPU温度の詳細です。「高性能」モードのときのみ掲載します。80~90℃台で推移しており高めの温度です。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。
「バランス」モードでも「高性能」モードでも、常時手が触れるパームレスト部分の温度が高くなりやすいのが気になります。
- バランス
- 高性能
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、確認できた最も高い数値を掲載しています。
一般のノートPCよりは高い消費電力です。
- バランス
- 高性能
外観のチェック
MSI Prestige 15の外観のチェックです。
ボディにはアルミニウム合金を採用し、やや青みの入った濃いグレーの色です。液晶の周りはカッティングされており、青く輝くようになっています。
天板にはMSIのドラゴンのエンブレムがあります。
スピーカーは底面にあります。音質は、ノートPC基準で、10点満点で採点すると5~6点くらいです(普通が5点。あくまで筆者独自の判断です)。
天板を閉じたときの画像です。薄型のボディです。
側面のインターフェースです。フルサイズのSDカードスロットが使えないのは残念です。
底面です。メッシュ部分が多く、通気性がよくなっています。
底面カバーを空けたときの画像です。2つのファンで冷却します。なお、底面カバーを外すと保証対象外となるため、ご注意下さい。
メモリは2スロットです。
M.2 SSDです。
バッテリーは80.25Whです。
ACアダプターの容量は90Wです。
まとめ
以上が、MSI Prestige 15のレビューです。
UシリーズのCoreプロセッサーを搭載しているため、処理性能は高くないと思われるかもしれませんが、Core i7-10710Uは6つのコアを搭載しており、ベンチマークはCore i7-9750Hにかなり近いスコアです。非常に高性能です。
グラフィックスにGeForce GTX 1650 Max-Qを搭載しながら、質量が約1.6kgと軽く、外出先へ持ち出すことが多いクリエイターの方にピッタリの製品です。
ただし、今回、FHD液晶をチェックしましたが、RGBカバー率が93.6%と、クリエイターPCとしてはやや物足りなさを感じました。他が良いだけに勿体ないです。4K液晶なら、"Adobe RGB相当の広色域"と書かれています。広色域の液晶が欲しいなら4K液晶のほうがいいと思います。
また、クリエイター向けノートPCを謳うなら、フルサイズのSDカードが使えると良かったです。
GTX 1650 Max-Q搭載で約1.6kgと軽量
MSI Prestige 15(第10世代CPU、GTX 16シリーズ)
特徴
- 6コアのCore i7-10710Uを搭載
- GeForce GTX 1650 Max-Q搭載
- 約1.6kgと軽量
こんなあなたに
- 外出先で動画編集したい方
- 外出先でRAW現像をしたい方(4K液晶おすすめ)
- 価格16万円台[税別]~
MSIのゲーミングノートを購入するなら
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特徴
- MSI認定サポート店という安心感
- MSIゲーミングノートが多数ラインナップ
- BTO(カスタマイズ)が可能
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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