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Dell 14(DC14255)の実機レビュー - 価格が安くてまずまずの性能

CPU | Ryzen 5 220 Ryzen 7 250 Ryzen AI 5 330 Ryzen AI 7 350 |
---|---|
メモリ | 16GB / 32GB |
ストレージ | 512GB / 1TB |
画面サイズ | 14型 16:10 |
画面種類 | 1920x1200 非光沢 |
質量 | 1.54 kg~ |
バッテリー | 41Wh / 54Wh |
価格 | 7万円台~ |
Dell 14(DC14255)は、コスパの高いエントリー向けのノートパソコンです。価格が安くて、まずまずの性能を持ったノートPCが欲しい方におすすめです。
なお、本製品を買うなら、Ryzen 5 220または Ryzen 7 250のモデルが、個人的にはおすすめです。理由は後述します。
なお、モデルによってボディの材質がプラスチックかアルミかに変わります。また、プラスチックボディのモデルの場合、省かれている機能があるので、ご注意ください。
レビュー機は、メーカーからの貸し出し機です。今回は以下の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Ryzen AI 5 330、16GBメモリ、512GB SSD
目次
お忙しい方は、「Dell 14(DC14255)の特徴」のみお読みください。
Dell 14(DC14255)の特徴
製品の位置づけ
今回レビューするDell 14は、下図の赤くなっている部分に位置づけられ、個人ユーザー向けのエントリー向け製品となっています。

CPUは、Ryzen AI 5 330以外がおすすめ
本製品のCPUは、4つの選択肢がありますが、Ryzen AI 5 330以外がおすすめです。
下表は、各CPUの性能と、それを搭載したときのPCの価格を示していますが、Ryzen AI 5 330は最もCPU性能が低いのに、価格が結構高くなっています。
Ryzen AI 5 330はNPU性能が高いので、この強気の価格になっていますが、現状ではNPUはほとんど使われないため、Ryzen AI 5 330にするなら、Ryzen 5 220にするか、もう少し予算を追加してRyzen AI 7 350にしたほうがいいです。
Ryzen 5 220とRyzen 7 250なら高コスパのエントリーモデル
Ryzen 5 220なら7万円台、Ryzen 7 250なら8万円台から購入することができ、性能もそこそこあるので、コスパは高いと思います。低予算で購入したいならおすすめです。

なお、Ryzen 5 220とRyzen 7 250は、Ryzen 8000シリーズのリネーム版となります。
Ryzen 5 8540U | → | Ryzen 5 220 |
Ryzen 7 8840U | → | Ryzen 7 250 |
Ryzen AI 7 350ならCopilot+ PC
Ryzen AI 7 350なら、最大50 TOPSのNPUを搭載しており、Copilot+ PCの要件を満たします。CPUとGPU性能も高く、性能が高めのPCが欲しい方に適しています。ただし、ディスプレイの色域は狭いので、画像や動画を扱うクリエイティブワークにはあまり適していません。ディスプレイの色合いが関係ない負荷のかかる作業をするのなら、こちらでもいいでしょう。

プラスチックとアルミのモデルがある
Dell 14は、プラスチックシャーシのモデルとアルミシャーシのモデルがあります。
さらに、ボディ素材だけでなく、それ以外の構成も結構変わってきます。 プラスチックシャーシのモデルの購入を検討されている方は、下の表を見て、不足している機能がないか確認しましょう。
DC14255 | ||
プラスチックシャーシ | アルミシャーシ | |
カラー | プラチナシルバー カーボンブラック |
プラチナシルバー ミッドナイトブルー |
CPU | Ryzen 5 220 Ryzen 7 250 |
Ryzen AI 5 330 Ryzen AI 7 350 |
メモリ | 16GB | 16GB 32GB(Ryzen AI 7のみ) |
SSD | 512GB | 512GB 1TB(Ryzen AI 7のみ) |
ディスプレイ | 14型 16:10 1920x1200 非光沢 | |
Wi-Fi | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6E |
Webカメラ | HD | FHD |
カメラシャッター | 無し | 有り |
指紋認証 | 無し | 有り |
バックライト キーボード |
無し | 有り |
質量 | 1.54 kg~ | 1.56 kg~ |
バッテリー | 41Wh | 54Wh |
価格 | 7万円台~ | 12万円台~ |
メモリは1枚挿しだが、自分で追加は可能
どのモデルも、メモリは1枚挿しです。シングルチャネルの動作となるので、メモリ帯域が狭くなります。処理が遅くなるケースもあるでしょう。
なお、スロットは2つあり、1つ空いているので、底面カバーを外せる方なら、もう1枚、メモリを増設することができます。負荷の高い作業をするのであれば、メモリは2枚にしたほうがいいです。
底面カバーは割と外しやすい機種ですが、パーツの増設は自己責任でお願いします。

ディスプレイの色域は狭い
いずれのモデルも、ディスプレイの色の表示できる範囲を示す色域は、45% NTSCと狭いです。 画像などの色がややくすんで見えます。

各用途の快適度
Dell 14(DC14255)の各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧 Office作業 |
◎ | Web閲覧やOffice作業は、快適にできるスペックです。 |
---|---|---|
動画鑑賞 | ○ | ディスプレイの色がややくすんで見えますが、動画鑑賞自体は問題なくできます。 |
RAW現像 画像編集 |
△ | ディスプレイの色域が狭いので、画像編集向きのPCではありません。 |
動画編集 | △~○ | Ryzen AI 7 350やRyzen 7 250であれば、そこそこ快適に動作します。ただ、メモリは追加してデュアルチャネルにしたほうがいいと思います。色域は狭いので、色調整までするなら、外部モニターにつなげたほうがいいです。 |
ゲーム | △~○ | Ryzen AI 7 350やRyzen 7 250であれば、負荷が軽めのゲームであればプレイできます。本格的にやるならゲーミングPCを買いましょう。 |
ディスプレイのチェック
ディスプレイの見やすさは普通です。
色域(色の表示できる範囲)が狭いので、画像や映像を綺麗に見たい方には適しませんが、文書作成などをする程度なら、問題ありません。
サイズは14型、解像度は1920x1200となっています。
その他の詳細は、以下のタブをクリックしてご覧下さい。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 映り込み・
ギラつき - フリッカー
当サイトで計測した色域は、sRGBカバー率61%と狭いです。

ガンマ補正曲線を確認すると、赤色がやや強めに発色していることが分かります。

視野角は広いです。

非光沢なので、反射はやや低減されています。ギラつきは若干感じます。ギラつきが苦手な方は別のPCのほうがいいです。

当サイトの計測では、フリッカーはありませんでした。

※フォトディテクターにオシロスコープを繋げて計測
キーボードおよびタッチパッドのチェック
キーボードは、個人的には、やや打ちやすいほうだと思います。
小さいキーがなく、よく使う「半角/全角」キーや「Enter」キーが大きくなっており、タイプミスが起きにくいです。右上に電源ボタンが配置されているため、「delete」キーが「backspace」キーの真上ではありませんが、慣れれば問題ないと思います。

※画像をクリックすると拡大できます

アルミシャーシのモデルは、キーボードバックライトも搭載しています。

パフォーマンスのチェック
パフォーマンスのチェックです。
ここでは、デフォルトの「最適化」と、最も性能が出る「ウルトラパフォーマンス」のモードで計測したスコアのみ掲載します。

CPU
CINEBENCH 2024のスコアは下の通りです。今回、Ryzen AI 5 330を搭載していますが、Ryzen 5 220よりも低い性能です。Ryzen AI 5 330以外のCPUの搭載をおすすめします。

:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
Ryzen AI 5 330とRyzen 5 220について、仕様を比較してみても、NPU TOPS以外は、Ryzen AI 5 330はCPU性能もGPU性能も劣っていることが分かります。
Ryzen AI 5 330 | Ryzen 5 220 | |
コア / スレッド数 | 4 / 8 | 6 / 12 |
最大クロック | 4.5 GHz | 4.9GHz |
L2 / L3キャッシュ | 4MB / 8MB | 6MB / 16MB |
デフォルトTDP | 28W | 28W |
cTDP | 15-28W | 15-30W |
グラフィックス・モデル | Radeon 820M | Radeon 740M |
グラフィックス周波数 | 2800 MHz | 2800 MHz |
GPUコア数 | 2 | 4 |
最大NPU TOPS | 50 TOPS | × |
なお、高負荷時のCPU電力、CPU温度は「パーツの温度のチェック」で記載しています。
グラフィックス
Ryzen AI 5 330は、CPU内蔵のグラフィックス性能も低いです。
~ グラフィックス性能の評価 ~

:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
メモリの枚数が書かれていないものは、メモリは2枚
なお、今回、メモリが1枚しか搭載されておらず帯域が狭くなっています。試しにメモリを2枚にすると、下表のように、(思ったほどではありませんでしたが)グラフィックス性能は上がります。
NPU
NPU性能は下の通りです。Ryzen AI 7 350とRyzen AI 5 330の性能は高いです。なお、Ryzen 5 220にはNPUはありません。
~ NPU性能の評価 ~
:レビュー機のTOPS
ストレージ
SSDの速度は比較的速いです。
~ ストレージ性能の評価 ~

SDカードスロット
フルサイズのSDカードスロットを搭載しています。アクセス速度は遅いです。
~ SDカードスロット性能 ~

質量のチェック
14型ノートとしては、普通の質量かなと思います。ACアダプターも普通の重さです。
質量 | |
PC本体 | 1.556kg |
ACアダプター+電源ケーブル | 323g |
バッテリー駆動時間のチェック
バッテリー容量は、41Whまたは54Whで、今回は後者です。
当サイトで計測したバッテリー駆動時間は下表の通りで、やや長めです。
バッテリー駆動時間 | |
(1) YouTube動画再生時 | 14時間48分 |
(2) 動画編集ソフトでプレビュー再生 | 5時間45分 |
(2) Premiere Proで480x320の動画をプレビュー再生させたとき。画面輝度は約120cd/m2
パーツの温度のチェック
Prime95実行時のCPU温度
Prime95で全CPUコアの使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU電力およびCPU温度の推移を確認します。なお、Ryzen AI 5 330のデフォルトTDPは28Wです。
動作安定時のCPU電力は、「最適化」モードも「ウルトラパフォーマンス」モードも、デフォルトTDPの28Wを下回っています。それほど高いパフォーマンスは出ていません。
このときのCPU温度は70℃台なので、問題ない範囲です。


静音性のチェック
普通の騒音値です。
アイドル時は無音です。低負荷時や中負荷時も低めの騒音値です。ゲーム時はそれなりにうるさいです。
騒音値 | |
アイドル時 | 約20dB |
---|---|
低負荷時 [YouTube再生] | 約27dB |
中負荷時 [動画編集] | 約31dB |
高負荷時 [ゲーム] | 約47dB |
部屋を極力無音にしたときの騒音値:20dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
アイドル時:アイドル時
低負荷時:1080pのYouTube動画再生時
中負荷時:Premiere Proで、編集中の1080pの動画をプレビュー再生した時
高負荷時:FF14のゲームのベンチマーク実行時(標準品質(ノートPC)、1920x1080、ウィンドウ)
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。

表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。特に、手のひらを置くパームレストの温度変化は重要です。
ゲームをすると若干手が暖かく感じてきますが、そこまでの負荷をかけなければ、気になることはありません。

※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※約10分経過後に計測しています
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。
低めの消費電力です。
消費電力 | |
アイドル時 | 5W |
---|---|
低負荷時 [YouTube再生] | 9W |
中負荷時 [動画編集] | 18W |
高負荷時 [ゲーム] | 31W |
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています
外観のチェック
外観のチェックです。
今回のモデルのボディはアルミ製なので、質感は良かったです。

天板には、薄くDELLのロゴが入っています。

ボディの高さは低いです。


スピーカーは、2W x 2です。音質は普通またはやや良いといった感じで、ノートPC基準で、10点満点で採点すると5~6点くらいです(普通が5点。あくまで筆者独自の判断です)。

Webカメラは、プラスチックシャーシのモデルが720p、アルミシャーシのモデルが1080pとなっています。アルミシャーシのモデルのみカメラを隠すシャッターが付いています。どちらのモデルも、IRカメラは搭載されていません。

アルミシャーシのモデルのみ指紋認証装置が電源ボタンに内蔵されています。

側面のポート類です。フルサイズのSDカードスロットが搭載されているのはいいと思います。USB-Cは10Gbpsで、Power DeliveryおよびDisplayPort 1.4に対応しています。HDMIは1.4なので、4K/60Hzには対応していません。


ヒンジはご覧の角度まで開きます。

底面はシンプルです。

冷却ファンは1つ、ヒートパイプも1つです。

メモリはDDR5-5600で、1枚のみ搭載されています。空きスロットがあるのでメモリの増設はできますが、自己責任でお願いします。

SSDは、Type 2242でしたが、Type 2280のものへ換装することもできると思います。なお、空いているM.2スロットはありません。

ACアダプターは65Wです。サイズは大きめです。電源ケーブルは太いです。

まとめ
以上が、Dell 14(DC14255)のレビューです。
Ryzen 5 220なら7万円台、Ryzen 7 250なら8万円台からと価格が安く、性能もまずまずでコストパフォーマンスの高いエントリーPCです。この製品を買うなら、このどちらかのCPUのモデルがおすすめです。
Ryzen AI 7 350のモデルはCopilot+ PCに対応し、価格も高くありません。ただ、せっかく高い性能のCPUを搭載しているのに、ディスプレイの色域が狭く、画像や映像を扱うクリエイティブワークに使いにくいのが残念です。ディスプレイ品質を気にしないのであればアリです。
Ryzen AI 5 330は、NPU以外の性能が良くない割に、価格が高いのでおすすめしません。
CPUによって、ボディがプラスチックシャーシとアルミシャーシに別れ、それぞれ細かい仕様も変わってくるので、ご注意ください。プラスチックシャーシのモデルは、カメラシャッター、指紋認証装置、キーボードバックライトが無く、カメラの解像度も落ちます。
また、いずれのモデルも、メモリが1枚(シングルチャネル)です。性能にこだわるなら、メモリをもう1枚追加して、デュアルチャネルにするといいでしょう。
価格が安くてまずまずの性能
Dell 14(DC14255)

特徴
- Ryzen 5 220とRyzen 7 250なら高コスパ
- メモリ交換可能
- キーボードが比較的打ちやすい
こんなあなたに
- 安くて性能もまずまずのPCをお探しの方
- 価格7万円台~

1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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