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デル Inspiron 16 AMD (5625) の実機レビュー
CPU | Ryzen 5 5625U Ryzen 7 5825U |
---|---|
メモリ | 8GB / 16GB |
ストレージ | 256GB / 512GB SSD |
液晶サイズ | 16インチ 16:10 |
液晶種類 | FHD+ 広視野角 非光沢 |
質量 | 約1.87kg |
バッテリー | 54Wh |
価格[税込] | 6万円台~ |
Inspiron 16 AMDは、最近流行りの画面比16:10のノートパソコンです。しかも、6万円台からと非常に安いです。
画面が見やすい上に、キーボードも比較的打ちやすく、作業がしやすいPCです。
Ryzen 7 5825Uプロセッサーなどを搭載し、処理性能も十分です。
この製品の下位モデルは、メモリがシングルチャネル(メモリが1枚のみの構成)ですが、スロット式なので、後から換装することもできます。
レビュー機は、当サイトの購入品です。今回は以下の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Ryzen 7 5825U、16GBメモリ (8GB x2)、512GB PCIe SSD
目次
お忙しい方は、「Inspiron 16 AMDの特徴」のみお読みください。
Inspiron 16 AMDの特徴
画面比16:10の16型ディスプレイで見やすい
Inspiron 16 AMDの特徴は、画面比が16:10のディスプレイを搭載していることでしょう。
15.6型の16:9のディスプレイと比較すると、縦方向の表示領域が増えており、WebページやWordファイルなどが見やすくなり、作業がしやすいです。こういった縦に長いコンテンツをよく見る方におすすめの製品です。
ただし、色域(色の表現できる幅)はそれほど広くはありません。当サイトの計測では、sRGBカバー率は61.8%でした。一般的なユーザーであれば、この色域でも問題ないと思いますが、写真を綺麗に(より実際の色味に近く)見たい場合や、画像編集などをしようと思っている方には、物足りない色域でしょう。
また、15.6型液晶を搭載したInspiron 15 AMD(5515)と、ボディサイズを比較すると、横幅はほとんど変わりませんが、Inspiron 16 AMDのほうが、奥行きが長くなっています。
ただし、5年以上前の太いベゼル(液晶周りのフレーム)の15.6型ノートPCと比較すると、Inspiron 16 AMDのほうが、コンパクトになっています。古いノートPCからの買い替えであれば、床設置面積は小さくなることでしょう。
6万円台からと安い!
2021年あたりから、16:10のディスプレイを搭載したノートPCが増えてきましたが、やや高スペックで、価格も高い製品がほとんどでした。
一方、Inspiron 16 AMDは、「6万円台~」と価格が抑えられており、手軽に16:10のディスプレイのPCを手に入れることが出来ます。
作業のしやすいディスプレイを低価格で手に入れたい方におすすめです。
テンキーはないが、タイピングはしやすい
最近のノートパソコンは、狭額ベゼルが流行った影響で、ボディの横幅が狭くなり、15.6型のノートPCにテンキーを搭載すると、一部のキーがどうしても小さくなってしまっていました。
一方、Inspiron 16 AMDは、テンキーを搭載しないことで、小さいキーがほぼありません。また、テンキーがない代わり、手の位置が画面の正面にくるので、姿勢よくタイピングすることができます。
指紋認証装置はオプションで外せる
Inspiron 16 AMDには、電源ボタンと一体化した指紋認証装置が標準で搭載されています。スリープ状態のときに、軽くタッチすると、スリープ解除とサインインが同時に行われて便利です。この製品は、顔認証装置が搭載されていないので、指紋認証装置を搭載しておくといいと思います。
なお、指紋認証装置は不要という方は、オプションで外すことができ(一部のモデルを除く)、2,400円安くなります。
メモリ交換はできるが、SSDの増設はできない
15.6型のInspiron 15 AMDは、標準で搭載されているSSDの他に、空のM.2スロットがあり、最大2つのSSDを搭載することが出来ましたが、Inspiron 16 AMDは、空いているM.2スロットはありません。SSDを増設したいという方は少ないかもしれませんが、ご注意下さい。
ただし、メモリは換装することができます。実際に使っていて、メモリ不足に感じてきたら、後から増設・換装することもできます。
やや残念なポイント
Inspiron 16 AMDの残念なポイントですが、安いモデルはメモリが1枚しか搭載されていない点です。メモリが1枚だと、メモリへのアクセス速度が落ちてしまい、特にグラフィック性能が大きく下がります。グラフィックに負荷のかかる作業をしなければ、特に構いませんが、軽くゲームや動画編集などもしようと思っている方は、メモリが2枚搭載されたモデルがいいと思います。
また、前述しましたが、色域が広くないので、画像編集などの用途にはあまり適していません。
各用途の快適度
Inspiron 16 AMD の各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧 Office作業 |
◎ | 16:10のアスペクト比なので、Webページの閲覧や、Officeソフトの使用がしやすいです。 |
---|---|---|
動画鑑賞 | ◎ | やや色鮮やかさに欠けますが、スピーカー音はまずまずで、問題なく動画視聴できます。 |
オンライン会議 | ○ | カメラ、マイク、スピーカーを備えており、ノイズキャンセリング機能も搭載し、普通にオンライン会議が出来ます。 |
RAW現像 画像編集 |
△ | 色域が狭いので、画像編集向きではありません。ただし、外部ディスプレイに接続して使うなら、このような用途にも使用できるでしょう。その場合は、メモリは16GBにしたほうがいいです。 |
動画編集 | △~○ | FHD動画の簡単な編集なら出来ます。ただ、動画編集を頻繁にするなら、GeForce ○○といった外部グラフィックスを搭載した製品の方がおすすめです。 |
ゲーム | △ | こちらも外部グラフィックスを搭載した製品の方がおすすめです。ただし、ドラクエXなどの軽いゲームであれば、出来ないこともありません。その場合、メモリは16GBのデュアルチャネルメモリを搭載したモデルがいいと思います。 |
ディスプレイのチェック
Inspiron 16 AMDのディスプレイは、前述したとおり、画面比が16:10となっており、より下の方までコンテンツを表示できるので作業しやすいです。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。なお、最大輝度は、当サイトの計測では257d/m2と普通です。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 映り込み・
ギラつき - フリッカー
キーボードおよびタッチパッドのチェック
Inspiron 16 AMDのキーボードとタッチパッドのチェックです。
実測で、キーピッチは横:19mm、縦:18mm、キーストロークは約1.5mmでした。標準的な値だと思います。テンキーはありませんが、その代り、「enter」、「半角/全角]といったよく使うキーが大きく、タイプミスが少ないです。
タッチパッドの操作性は普通ですが、クリックボタンがやや固い(押すときに力が必要)なので、マウスの使用を推奨します。
キーボードバックライトも搭載しているので、家族が寝ている中、暗い場所で作業をするときも、やりやすいです。
パフォーマンスのチェック
続いて、パフォーマンスのチェックを行います。
Inspiron 16 AMDでは、下図のようにサーマルモードを変更することが出来ます。ここでは、デフォルトの「最適化」と、最も高いパフォーマンスが出る「超高パフォーマンス」のモードで、CPUおよびグラフィックスのベンチマークスコアを確認します。
CPU
Inspiron 16 AMDのプロセッサーは、Ryzen 5000シリーズの中でも新しい「Ryzen 7 5825U」または「Ryzen 5 5625U」を搭載しています。
今回、8コアのRyzen 7 5825Uを搭載していますが、TDP:15~28Wクラスのプロセッサーの中では、かなり高いマルチコア性能です。CPUに負荷のかかるアプリも快適に動くことでしょう。ただし、シングルコア性能については、インテルの第12世代Coreプロセッサーのほうが高いです。
~ CPU性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
メモリ
メモリは、DDR4-3200を搭載しており、モデルによってシングルチャネルであったり、デュアルチャネルであったりします。今回、デュアルチャネルですが、DDR4-3200のメモリの割にはそこまで速くはありませんでした。
~メモリ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
※実際のノートPCで計測した実測値で、理論的な最大値ではありません
グラフィックス
CPU内蔵グラフィックスとしては十分な性能です。ちなみに、本製品に搭載されていたメモリより少し速度の速い"Crucialのメモリ"に換装してみたところ、グラフィックスのスコアが「17198」でした。
~ グラフィックス性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
ストレージ
ストレージには、PCIe Gen3 SSDを搭載しています。PCIe Gen3 SSDの中でも比較的高速で、十分な性能です。
~ ストレージ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
SDカードスロット
フルサイズのSDカードスロットを搭載していますが、アクセス速度は速くありません。挿入時、SDカードの出っ張りがあります。
クリエイターソフトの処理時間
以下、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間です。
今まで、Ryzenプロセッサーは、Lightroomの書き出しがあまり速くありませんでしたが、Ryzen 7 5825Uは比較的速いです。また、メモリをCrucial製のものへ変更したら、72秒で書き出しが終わりました。Core i7-1195G7と比べるとまだ遅いですが、実用上は十分な速さでしょう。
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
「Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください
下のようなニューラルフィルターのような特殊な処理は遅いですが、一般的に使うような作業は高速で、普通に使えます。
処理時間 | |
ニューラルフィルター(肌をスムーズに) | 約3秒 |
ニューラルフィルター(スーパーズーム(x2)) | 約2分9秒 |
ニューラルフィルター(JPEGのノイズを削除) | 約3分23秒 |
スーパー解像度 | 約20秒 |
約10分のFHD動画の書き出しが、4分52秒で終わっており、待てるレベルです。1つのビデオクリップのカット編集であれば、そこそこ出来ると重います。もっと解像度が大きかったり、複数のビデオクリップを1画面に表示するような場合は、外部GPUを搭載した製品がいいでしょう。
※ グラフィックスは全てノートPC用
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
CPUのみで実行するx265エンコードは、速いです。TDP:15~28Wクラスのプロセッサーの中では群を抜いた速度です。
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
USB Type-C / HDMIの動作テスト
USB Type-Cの動作チェック
USB Type-Cポートの動作チェックです。
USB-Cポートは、Thunderboltには対応していませんが、DisplayPort、Power Deliveryに対応しています。PD充電器は、65Wより下だと「ワット数が不十分」の警告が表示されました。
充電 | モニター 出力 |
有線LAN | ||
ドック | ThinkPad USB Type-C ドック | ○ | ○ | ○ |
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック | ○ | × | × | |
PD充電器 ※1 |
91W RAVPower GaN充電器 | ○ | ― | ― |
65W Lenovo GaN充電器 | ○ | ― | ― | |
61W RAVPower GaN充電器 | ○ ※3 | ― | ― | |
45W Lenovoウルトラポータブル | ○ ※3 | ― | ― | |
30W RAVPower GaN充電器 | ○ ※3 | ― | ― | |
18W cheero充電器 | ○ ※3 | ― | ― | |
モニター ※2 |
EIZO ColorEdge CS2740 | ○ | ○ | ― |
※2 Type-Cケーブルで接続し、PCへの給電も出来るモニター
※3 低速充電ケーブルであるとの警告が表示
HDMIの動作チェック
4KテレビへHDMIで接続したときの詳細です。4Kで表示出来ていますが、リフレッシュレートが30Hzまでしか上げられません。
質量のチェック
質量のチェックです。
メーカーサイトには「最小重量:1.87kg」と記載されています。当サイトで計測した質量は次の通りで、ほぼ一緒です。15.6型以上のノートPCとしては、そこまで重くありません。部屋間の移動なら、十分楽にできると思います。
質量 | |
PC本体 | 1.814kg |
ACアダプター | 339g |
バッテリー駆動時間のチェック
Inspiron 16 AMDのバッテリー容量は54Whとなっており、比較的多めです。
当サイトにて計測したバッテリー駆動時間は次のようになります。普通の駆動時間です。負荷が高くなければ、別室で、バッテリー駆動状態で作業してもある程度使えると思います。
バッテリー駆動時間 | |
(1) JEITA2.0 | ― |
(2) PCMark 10 Modern Office | 11時間1分 |
(3) PCMark 8 Work | 5時間1分 |
(1) メーカー公表値
(2) 文書作成、ブラウジング、ビデオ会議といった事務作業。アイドル時も多く軽めの処理
(3) ブラウザでのショッピング/画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャット等。やや重めの作業
当サイトで計測した1時間あたりの充電容量は次の通りで、普通です。
Webカメラ・スピーカーのチェック
Webカメラ
Webカメラには、物理的にレンズを隠すシャッターが付いてます。IRカメラは搭載していません。
一般的なノートPCには、720pのカメラが搭載されることが多いですが、本製品は1080pのカメラを搭載しており、解像度が高いです。ノートパソコン用のWebカメラとしては、画質も比較的良いです。
スピーカー
スピーカーは、2Wx2で、キーボードの両脇に搭載されています。ノートPC基準で点数を付けると、10点満点で6点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。
パーツの温度のチェック
Prime95実行時のCPU温度
Prime95で全CPUコアの使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU温度など推移を確認します。
「最低化」モードでも、「超高パフォーマンス」でも、問題ないCPU温度だと思います。
- 最適化時
- 超高パフォーマンス時
静音性のチェック
動作音(静音性)のチェック結果です。
「最適化」のモードであれば比較的静かです。「超高パフォーマンス」のモードにすると、高負荷時はうるさくなります。
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。特に、手の平を置くパームレストの温度変化は重要です。
いずれの状態も、パームレストの温度は、それほど高くなりません。快適に使えると思います。
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。確認できた最も高い数値を掲載していますが、数値は変動するため参考程度にご確認下さい。
モバイル向けのプロセッサーなので、消費電力は低めです。
外観のチェック
Inspiron 16 AMDは、プラチナシルバーとぺブルグリーンの2つのカラーがありますが、今回は、プラチナシルバーのカラーです。
天板には、「DELL」のロゴマークが配置されています。
背面には、ご覧のようなゴム製のものがあります。
液晶を開くと、このゴムがテーブルに当たって、テーブルを傷つけないようにしています。また、キーボードの上部が持ち上がるリフトアップヒンジとなっています。
底面側から見ると、こんな感じになっています。
側面のポート類はご覧の通りです。主要なポートは揃っています。
液晶は180度開きません。ただ、テーブルの上に置いて作業をするなら、このくらい開けば特に問題はありません。
底面はご覧のようにフラットです。リフトアップヒンジ構造であるため、ゴム足もそれほど高くなっていません。
右上と左上のネジは、ネジを緩めると底面カバーが浮き上がってくるので、底面カバーは比較的外しやすいです。
内部の画像はご覧の通りです。大きめのファンと、2本のヒートパイプで、プロセッサーを冷却します。冷却性は比較的良かったです。
メモリスロットは2つで、換装することが出来ます。
M.2 SSDは、Type 2230ですが、アダプターを外せば、Type 2280のSSDも装着できると思います。空いているM.2スロットはありません。
ACアダプターは65Wで、サイズは小さくはありません。
まとめ
以上が、Inspiron 16 AMDのレビューです。
16:10の画面比で、6万円台という安さが魅力のノートPCです。
16:10の画面比であることから、縦方向の情報量が多くなり、WordファイルやWebページなどの縦長のコンテンツが見やすくなります。仕事などで使うなら、非常におすすめです。
テンキーはないものの、「enter」や「半角/全角」などのキーが大きく、特別小さいキーもなく、タイピングも、しやすいです。
安いモデルはメモリがシングルチャネルである点が残念ですが、スロット式のメモリなので、自分で換装することもできます(ただし、パーツの交換は自己責任でお願いします)。
ディスプレイの色域が、sRGB 100%クラスであれば、画像編集用途などにも使えたのですが、その点は残念です。ただし、色域が広いと価格も上がってしまうので、この点は妥協しましょう。
画面比16:10のノートPCが6万円台~
Inspiron 16 AMD (5625)
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製品の概要をまとめた動画も作成しました。
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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