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Ryzen 7 3700Xのベンチマーク
このページでは、AMDより発売された話題のZen2こと、第3世代Ryzenプロセッサーの「Ryzen 7 3700X」のベンチマークスコアを掲載します。
結果概要
お忙しい方のために、結果の概要だけ先に紹介します。
下図は、CPU性能を評価する「CINEBENCH R15」のマルチコアのベンチマークスコアです。
Ryzen 7 3700Xは、インテル「Coffee Lake」シリーズと比較すると、最上位モデルであるCore i9-9900Kとほぼ同等のスコアで、同価格帯のCore i7-8700Kと比較すると、約1.5倍も速いスコアでした。非常に高いコストパフォーマンスです。
Ryzen 7 3700Xの仕様
同じCPUメーカーとしてインテルのライバルとも言われるAMD。業界の2番目として常にインテルの一歩後ろを進んできたイメージですが、ついに今回インテルを脅かす様な、革命とも言えるべきCPUと登場させたのです。
第3世代Ryzenプロセッサーは、新「Zen2」アーキテクチャを採用したCPUで、7nmプロセスルールによる微細化により、消費電力も抑えられています。何より価格がインテルCPUより抑えられており、性能も同等以上です。
第3世代Ryzenは「Ryzen 9 3950X」を最上位モデルとし、その下に「Ryzen 7 3800X」、今回レビューした「Ryzen 7 3700X」、「Ryzen 5 3600X」とさらに下位モデルもラインナップされています。
下の表は第3世代 AMD RyzenシリーズとインテルCPUとスペックを比較したものです。標準的なデスクトップPCに採用されるCore i7-8700KやCore i9-9700Kと比較すると、Ryzen 7 3700Xはコア数は8コアとCore i9-9700Kよりも多くなっています。ただ、Ryzenシリーズには内蔵GPUは搭載されないのでご注意ください。映像を出力するにはグラフィックカードが必要になります。
Ryzen 9 3900X | Ryzen 7 3800X | Ryzen 7 3700X | Ryzen 5 3600X | |
製造プロセス | 7nm | |||
コア / スレッド数 | 12 / 24 | 8 / 16 | 8 / 16 | 6 / 12 |
ベースクロック | 3.8GHz | 3.9GHz | 3.6GHz | 3.8GHz |
ブーストクロック | 4.6GHz | 4.5GHz | 4.4GHz | 4.4GHz |
キャッシュ | 64MB | 32MB | 32MB | 32MB |
内蔵GPU | なし | |||
TDP | 105W | 105W | 65W | 95W |
価格(税別)※1 | 59,800円 | 46,980円 | 39,800円 | 29,800円 |
Core i9-9900K | Core i7-9700K | Core i7-8700K | Core i7-8700 | |
開発コード名 | Coffee Lake Refresh | Coffee Lake | ||
製造プロセス | 14nm | |||
コア / スレッド数 | 8 / 16 | 8 / 8 | 6 / 12 | 6 / 12 |
ベースクロック | 3.6GHz | 3.6GHz | 3.7GHz | 3.2GHz |
ブーストクロック | 5.0GHz | 4.9GHz | 4.7GHz | 4.6GHz |
キャッシュ | 16MB | 12MB | 12MB | 12MB |
内蔵GPU | UHD Graphics 630 | |||
TDP | 95W | 95W | 95W | 65W |
価格(税別)※1 | 52,810円 | 43,241円 | 40,536円 | 32,980円 |
Ryzen 7 3700Xのベンチマークスコア
Ryzen 7 3700Xのベンチマークスコアを掲載します。
計測に用いたPCは、AMD Ryzen搭載モデル「Ryzen 7 3700X」と「GTX 1660Ti」を搭載した、ドスパラの新ゲーミングPC、GALLERIA ATでテストしています。ゲームベンチスコアなど、詳しいレビュー記事は以下をご参照ください。
高性能グラフィックスとCPUが選択でき、細かなカスタマイズも可能なミドルタワーのゲーミングPC。注文してから出荷されるまで2日という納期の短さも魅力。
なお、計測に用いたPCはメーカーからの貸出機です。以下に各種ベンチマークスコアを掲載しますが、本製品以外のPCで計測した場合、ベンチマークスコアが大きく異なる可能性もあります。
CINEBENCH R15
まずは、上で掲載したCINEBENCH R15の結果です。インテルCoreプロセッサー最上位のCore i9-9900Kと比較した場合、シングルコアのスコアは劣るものの、マルチコアのスコアは優れています。同価格帯のインテル Core i7-8700Kと比較した場合、シングルコアのスコアはほぼ同じで、マルチコアのスコアは約1.5倍も優れています。
CINEBENCH R20
次は、CINEBENCH R20の結果です。こちらも、Core i9-9900Kと比較した場合、シングルコアのスコアは劣るものの、マルチコアのスコアは約1.1倍高いです。Core i7-8700Kと比較してもマルチコアのスコアは、約1.3倍高いです。
PassMark Performance Test 9.0
PassMark Performance Test 9.0のCPU Markのスコアは、Core i9-9900Kとの差が大きく、約1.2倍の差があります。Core i7-8700Kとは約1.4倍の差です。
Geekbench 4
続いて、Geekbench 4です。Ryzen 7 3700Xのマルチコアのスコアは「32554」でした。こちらは、Ryzen 7 3700XはCore i9-9900Kとほぼ同等のスコアでした。
TMPGEnc Video Mastering Works 7によるエンコード時間
ベンチマークソフトだけは速いというCPUもあるため、次は、実際のソフトウェア「TMPGEnc Video Mastering Works 7」を使ってエンコードにかかった時間を比較します。ここでは、x265エンコーダーを用い、4KのXAVC Sの動画をH.265/HEVCへ変換する処理を実行しています。
Ryzen 7 3700Xは、Core i9-9900Kよりも遅く、約1.1倍時間がかかっていました。使うソフトによっては、Core i9-9900Kのほうが速いケースも多そうです。
エンコード時の温度とクロック数
下図は、CPU使用率がほぼ100%になるエンコード時のCPU温度とクロック数の詳細です。CPUクーラーはAMD純正のリテールクーラーを使用しています。クロック数は問題ありませんが、CPU温度は80℃台前半を推移しておりやや高めです。問題ない範囲ではあるものの、できれば社外製のCPUクーラーを搭載したほうがいいと思います。
外部グラフィックス搭載時のベンチマーク
続いて、外部グラフィックス「GeForce GTX 1660Ti」を搭載したときの各ゲームのベンチマークスコアです。インテルCPUを搭載したときと比べて、フレームレートが落ちないかを確認します。
今回、比較したインテルCPU搭載モデルの1台は、同じGALLERIAシリーズのCore i7-8700搭載GALLRIA XTです。グラフィックカードは両機種ともPalit製の同名製品です。もう1台は、Core i7-9700搭載のレノボのLegion C530です。グラフィックカードのメーカーは異なりますが、GPUクロックなどの使用は同じです。ただし、いずれの製品も他のパーツは異なるため、正確な比較にはなりません。参考程度にご覧ください。
旧世代でのRyzen CPUはゲームベンチマークになると、インテルCPUよりスコアが低く、あまりゲーム用途向きではなかったのですが、Ryzen 7 3700Xは、ゲームベンチマークのスコアは下がらず、順当なフレームレートが出ています。特に2560 x 1440の解像度で実行したときは、Core i7-9700搭載PCよりもフレームレートが高いケースが多かったです。GeForce GTX 1660Tiのクラスのグラフィックスでは、快適にゲームができそうです。
ただし、TECHPOWERUPの記事では、GeForce RTX 2080Tiを搭載したPCで、Ryzen 7 3000シリーズとインテルCPUとのゲームフレームレートが掲載されていますが、Core i7-8700KなどのインテルCPUのほうがフレームレートが高くなっているケースが多いです。GeForce RTX 2080Tiクラスのグラフィックスを搭載するなら、インテルCPUのほうが無難かもしれません。
重い部類のゲーム
ファイナルファンタジー 15
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解像度 | 品質 | GALLERIA AT | GALLERIA XT | Legion C530 | |
Ryzen 7 3700X GTX 1660Ti |
Core i7-8700 GTX 1660Ti |
Core i7-9700 GTX 1660Ti |
||
1920 x 1080 |
軽量品質 | 117 fps | 114 fps | 114 fps |
標準品質 | 90 fps | 89 fps | 86 fps | |
高品質 | 67 fps | 67 fps | 65 fps | |
2560 x 1440 |
軽量品質 | 82 fps | 80 fps | 78 fps |
標準品質 | 61 fps | 60 fps | 59 fps | |
高品質 | 50 fps | 47 fps | 47 fps |
重い部類のゲーム
シャドウオブザトゥームレイダー
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---|---|---|---|---|
解像度 | 品質 | GALLERIA AT | GALLERIA XT | Legion C530 | |
Ryzen 7 3700X GTX 1660Ti |
Core i7-8700 GTX 1660Ti |
Core i7-9700 GTX 1660Ti |
||
1920 x 1080 |
最低 | 124 fps | 126 fps | 134 fps |
中 | 91 fps | 91 fps | 89 fps | |
最高 | 75 fps | 75 fps | 74 fps | |
2560 x 1440 |
最低 | 98 fps | 99 fps | 96 fps |
中 | 62 fps | 62 fps | 61 fps | |
最高 | 51 fps | 51 fps | 50 fps |
重い部類のゲーム
ゴーストリコン ワイルドランズ
|
||||
---|---|---|---|---|
解像度 | 品質 | GALLERIA AT | GALLERIA XT | Legion C530 | |
Ryzen 7 3700X GTX 1660Ti |
Core i7-8700 GTX 1660Ti |
Core i7-9700 GTX 1660Ti |
||
1920 x 1080 |
低 | 128 fps | 131 fps | 126 fps |
高 | 86 fps | 88 fps | 83 fps | |
ウルトラ | 50 fps | 51 fps | 47 fps | |
2560 x 1440 |
低 | 97 fps | 99 fps | 93 fps |
高 | 64 fps | 65 fps | 61 fps | |
ウルトラ | 39 fps | 39 fps | 37 fps |
中程度の重さのゲーム
ファイナルファンタジー 14 紅蓮のリベレーター
|
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---|---|---|---|---|
解像度 | 品質 | GALLERIA AT | GALLERIA XT | Legion C530 | |
Ryzen 7 3700X GTX 1660Ti |
Core i7-8700 GTX 1660Ti |
Core i7-9700 GTX 1660Ti |
||
1920 x 1080 |
標準(デスク) | 140 fps | 137 fps | 146 fps |
高(デスク) |
107 fps | 105 fps | 109 fps | |
最高品質 | 100 fps | 99 fps | 101 fps | |
2560 x 1440 |
標準(デスク) | 121 fps | 118 fps | 123 fps |
高(デスク) |
79 fps | 77 fps | 76 fps | |
最高品質 | 68 fps | 67 fps | 66 fps |
中程度の重さのゲーム
ファークライ ニュードーン
|
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---|---|---|---|---|
解像度 | 品質 | GALLERIA AT | GALLERIA XT | Legion C530 | |
Ryzen 7 3700X GTX 1660Ti |
Core i7-8700 GTX 1660Ti |
Core i7-9700 GTX 1660Ti |
||
1920 x 1080 |
低品質 | 108 fps | 114 fps | 111 fps |
高品質 | 92 fps | 89 fps | 93 fps | |
最高品質 | 81 fps | 76 fps | 85 fps | |
2560 x 1440 |
低品質 | 82 fps | 80 fps | 80 fps |
高品質 | 70 fps | 61 fps | 69 fps | |
最高品質 | 65 fps | 57 fps | 64 fps |
Ryzen 7 3700X搭載のおすすめPC
2019年8月5日の執筆時点で、「Ryzen 7 3700X」を含む、第3世代Ryzenプロセッサーを搭載可能なゲーミングPCを紹介します。現在Ryzen 7とRyzen 9搭載モデルは、出荷台数が少なく、人気の高さもあり在庫切れになっているモデルが多いです。
CPU | Ryzen 5 3600 ~ Ryzen 9 3900X |
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GPU | ~GeForce RTX 2080Ti |
価格 | 8万円台(税別)~ |
高性能グラフィックスが搭載可能で、拡張性が高く、細かなカスタマイズも可能なミドルタワーのゲーミングPC。
レビュー記事はこちらCPU | Ryzen 5 3600 ~ Ryzen 7 3800X |
---|---|
GPU | ~GeForce GTX 1660Ti |
価格 | 8万円台(税込)~ |
ゲーマーの意見と取り入れて設計されたゲーミングPC。サポートも安心。
レビュー記事はこちらCPU | Ryzen 5 3600 ~ Ryzen 9 3900X |
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GPU | ~GeForce TITAN RTX |
価格 | 14万円台(税込)~ |
パーツの型番まで細かく指定できる玄人向けBTOパソコン。信頼性の高いパーツで組み上げたい方におすすめ。
レビュー記事はこちらCPU | Ryzen 5 3600 ~ Ryzen 7 3700X |
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GPU | ~Radeon RX 5700 XT |
価格 | 11万円台(税別)~ |
比較的安く、デザインも良く、PCケースの拡張性、メンテナンス性も割と高いバランスのとれたミドルタワーのゲーミングPC。
レビュー記事はこちら
まとめ
インテルCPU一強時代は終わり?
新しく登場したAMD第3世代Ryzenプロセッサーは、性能面でも価格でも申し分なく、ゲーム用途でも、クリエイティブワーク用途でも十分に活躍できるCPUです。特に今回レビューした「Ryzen 7 3700X」は、同等価格帯のインテルCPUのCore i7-8700Kよりもベンチマークスコアが高いケースが多く、Core i9-9900Kとほぼ同等の性能で、価格も抑えられており、コストパフォーマンスに優れたCPUだと思います。
ただし、今回は試せませんでしたが、GeForce RTX 2080Tiクラスの高性能グラフィックスを搭載したPCの場合、Ryzen 7 3000シリーズよりインテルCPUのほうがフレームレートが高くなっているケースが多いです。GeForce GTX 2080Tiクラスのグラフィックスを搭載するなら、Core i7-9700KなどのインテルCPUのほうが無難かもしれません。GeForce GTX 1660Tiといったミドルクラスのグラフィックスを搭載した場合は、今回試したケースではフレームレートに大きな違いはありませんでした。
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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