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Ryzen 9 4900HSのベンチマーク

更新日:2020年5月27日

 

ここではノートPC向けのRyzen 9 4900HSのベンチマークスコアを掲載します。ノートPC最高クラスの性能で、ノートPC向けインテルCoreプロセッサーのベンチマークスコアをぶち抜いています。

 

Ryzen 9 4900HSの仕様

Ryzen 9 4900HSは、7nmプロセスのZen 2アーキテクチャを採用したRyzen Mobile 4000シリーズの最上位クラスのプロセッサーで、ノートパソコン用としては最高レベルの性能です。

基本スペックを確認すると、8コア/16スレッドで、ベースクロックは3GHz、ブーストクロックは4.3GHzと高い数値です。なお、末尾が「H」のRyzen 9 4900Hとの違いは、Ryzen 9 4900Hのほうが通常向けで、Ryzen 9 4900HSは薄型軽量ノートPC向けのAPUとなっています。

AMD Ryzen9 4000Hシリーズ
  Ryzen 9 4900H Ryzen 9 4900HS
アーキテクチャ Zen 2
製造プロセス 7nm
コア / スレッド数 8 / 16
ベースクロック 3.3 GHz 3 GHz
ブーストクロック 4.4 GHz 4.3 GHz
キャッシュ(L2/L3) 4MB / 8MB
TDP 35~54W 35W
メモリ DDR4-3200/LPDDR4-4266
GPUクロック 1750 MHz

 

なお、ベンチマークの計測では、現在、唯一のRyzen 9 4900HS搭載ノートPCであるASUS ROG ZEPHYRUS G14を使用しました。

 

Ryzen 9 4900HSのベンチマークスコア

CINEBENCH R20

まずは、CINEBENCH R20の結果です。先日発表されたばかりのノートPC向けインテルCPU最高峰のCore i9-10980HKよりも、マルチコアのスコアに関しては約14%も高いスコアです。エンコードのようなマルチコア性能が重要な処理も速く終わることでしょう。

シングルコアのスコアはCore i9-10980HKを下回るもののその差は小さく、Core i7-10750Hよりは高いスコアでした。ゲームのようなシングルコア性能が重要なアプリも、快適でしょう。

CINEBENCH R20
Ryzen 9 4900HS
他CPUとの比較(マルチコア)
Ryzen 9 4900HS 4250
Core i9-10980HK 3713
Core i7-10875H 3557
Core i9-9980HK 3552
Core i7-10750H 2965
Core i7-9750H 2640
Core i7-10710U 2211
Core i5-9300H 1880
Core i7-10510U 1459
Core i5-10210U 1418
他のCPUとの比較(シングルコア)
Core i9-10980HK 507
Core i7-10875H 495
Ryzen 9 4900HS 488
Core i7-10750H 451
Core i7-9750H 448

 

PassMark Performance Test 9.0

PassMark Performance Test 9.0についても、Ryzen 9 4900HSは非常に高いスコアです。

PassMark Performance Test 9.0(CPU MARK)
Ryzen 9 4900HS
他CPUとの比較
Ryzen 9 4900HS 19945
Core i7-10875H 17958
Core i9-10980HK 17249
Core i7-10750H 15379
Core i7-9750H 13476
Core i5-9300H 11295
Core i5-10210U 10234
Core i7-8565U 8939
Core i5-8265U 8552
Core i3-8145U 6052

 

PassMark Performance Test 10.0

PassMark Performance Test 10.0の結果は次の通りです。他のCPUであまり計測したことが無いので、ここではRyzen 9 4900HSのスコアだけ掲載しておきます。

PassMark Performance Test 10.0(CPU MARK)
Ryzen 9 4900HS

 

Geekbench 5

Geekbench 5についても、CINEBENCH R20と同様の傾向です。

Geekbench 5
Ryzen 9 4900HS
他CPUとの比較(Multi-Core)
Ryzen 9 4900HS 8129
Core i7-10875H 7447
Core i7-10750H 6030
Core i7-9750H 5784
Core i7-10710U 5602
Core i7-1065G7 4019
Core i5-1035G1 3920
Core i5-10210U 3821
Core i5-8265U 3546

 

Lightroom Classicによる現像時間

Lightroom Classicの現像時間は、今回のテストでは、思ったほど速くなく、Core i7-9750Hよりも劣る結果でした。PCの動作モードなどを変えて、何度か試したのですが処理時間はほとんど変わりませんでした。

今回のデータおよび書き出し設定との相性があるのかもしれないので、他のメディアサイトはどうなのか確認してみましたが、ITmediaさんの記事でも、Core i7-8750HのThinkPad X1 Extremeとほぼ同等の書き出し時間でした。Ryzen 9 4900HS搭載PCは16GBメモリであるのに対し、X1 Extremeは32GBのメモリのようなので、多少はX1 Extremeのほうが有利ですが、それでもCore i7-8750Hと同等の時間というのは遅いと思います。

Lightroomが、まだRyzen 9 4900HSに最適化されていないのかもしれません。

Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間

「Turbo」モードのみ計測しましたが、思ったよりも速くはありませんでした。

Core i7-9700
16GBメモリ
69秒
Core i7-10875H
16GBメモリ
70秒
Core i7-10750H
16GBメモリ
76秒
Core i9-9980HK
16GBメモリ
79秒
Core i7-9750H
16GBメモリ
85秒
Ryzen 9 4900HS
16GBメモリ
87秒
Core i7-10710U
16GBメモリ
96秒
Core i7-10510U
16GBメモリ
109秒
※プロファイル補正を適用した100枚のRAWファイル(1枚あたり約45MB)を同じ書き出し設定でjpegに書き出し、所要時間を計測。
※「Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください。

 

TMPGEnc Video Mastering Works 7によるエンコード時間

次は、ベンチマークソフトではなく実際のソフトウェアの「TMPGEnc Video Mastering Works 7」を使ってエンコードにかかった時間を掲載します。ここでは、x265エンコーダーを用い、4KのXAVC Sの動画をH.265/HEVCへ変換する処理を実行しています。

こちらは非常に速く処理が終わりました。

TMPGEnc Video Mastering Works 7によるエンコード時間 (x265)
※XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換したときの時間(x265のエンコーダーを使用)
他CPUとの比較
Ryzen 9 4900HS 10分55秒
Core i7-10875H 11分54秒
Core i9-9980HK 12分25秒
Core i9-9880H 13分53秒
Core i7-10750H 14分37秒
Core i7-9750H 15分37秒
Core i5-9300H 20分46秒
Core i7-10710U 21分43秒
Core i5-1035G1 28分00秒

 

エンコード時のCPU温度は次のようになっています。今回、ASUS ROG ZEPHYRUS G14でテストしましたが、CPU温度は100℃前後まで上昇し、かなり高めです。

エンコード時のCPU温度
エンコード時のCPUクロック

 

グラフィックス関連のベンチマークスコア

次はグラフィックス関連のベンチマークスコアを掲載します。

今回テストで使用しているノートPCは、GeForce RTX 2060 Max-Q が搭載されていますが、この外部グラフィックスを無効にして、各種グラフィック関連のベンチマークを計測しました。

APU内蔵グラフィックスであるにも関わらず、GeForce MX250の外部グラフィックスよりもスコアが高いケースもあり、高い性能でした。

3DMark Night Raid - Graphics score
GeForce GTX 1050 25325
GeForce MX330 16714
AMD Radeon Graphics
(Ryzen 9 4900HS)
16322
GeForce MX250 15406
Intel Iris Plus
(Core i7-1065G7)
11084
Radeon Vega 8
(Ryzen 5 3500U)
10014
Intel Iris Plus
(Core i5-1035G4)
9188
Intel UHD
(Core i5-10210U)
5800
Intel UHD 620
(Core i5-8265U)
5274
TMPGEnc 7によるエンコード時間(内蔵GPUによるエンコード)
AMD Radeon Graphics
(Ryzen 9 4900HS)
56秒
Intel Iris Plus
(Core i7-1065G7)
1分43秒
Intel UHD
(Core i5-1035G1)
2分13秒
Intel UHD
(Core i7-10750H)
2分48秒
Intel UHD
(Core i7-10710U)
3分02秒
Intel UHD
(Core i5-10210U)
3分06秒
Intel UHD 615
(Core m3-8100Y)
7分21秒
ドラゴンクエスト 10(1920×1080、最高品質)
GTX 1650 19246
GeForce MX250 11900
AMD Radeon Graphics
(Ryzen 9 4900HS)
10982 (評価:すごく快適)
Intel Iris Plus
(Core i7-1065G7)
7968
Intel UHD
(Core i7-10750H)
6120
Intel UHD
(Core i7-10710U)
5984
Intel UHD
(Core i5-1035G1)
5655
Intel UHD
(Core i5-10210U)
5234
Intel UHD 615
(Core m3-8100Y)
2848
PUBG LITE(1920×1080、非常に低い)
AMD Radeon Graphics
(Ryzen 9 4900HS)
144 fps
GeForce MX250 120 fps
AMD Radeon Vega 8 82 fps
Intel Iris Plus
(Core i7-1065G7)
80 fps
Intel UHD
(Core i7-10750H)
55 fps
Intel UHD 620
(Core i5-8265U)
45 fps
Intel UHD 615
(Core m3-8100Y)
35 fps
トレーニングモードで計測

 

PUBG LITE パブリックマッチプレイ時のCPU温度はご覧の通りで、やや高めではありますが、問題ない範囲で収まっているかなと思います。

PUBG LITE パブリックマッチプレイ時のCPU温度
解像度:1920×1080、グラフィック品質:非常に低い

 

まとめ

Ryzen 9 4900HSは、非常に高い性能で、あらゆるノート向けのインテルCPUをぶち抜くベンチマークスコアをたたき出していました。シングルコア性能も高く、汎用的に使えるプロセッサーだと思います。APU内蔵グラフィックス性能も高いため、今後、外部グラフィックス無しのモデルが登場するかもしれません。

ただし、CPU使用率が100%になるような負荷をかけると、CPU温度が100℃前後まで上がるので、故障などが心配になります。また、特定の環境だけかもしれませんが、Lightroomの書き出し時間が思ったほど速くありませんでした。アプリがまだ最適化されていないのかもしれません。

 

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