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Ryzen 9 4900HSのベンチマーク
ここではノートPC向けのRyzen 9 4900HSのベンチマークスコアを掲載します。ノートPC最高クラスの性能で、ノートPC向けインテルCoreプロセッサーのベンチマークスコアをぶち抜いています。
Ryzen 9 4900HSの仕様
Ryzen 9 4900HSは、7nmプロセスのZen 2アーキテクチャを採用したRyzen Mobile 4000シリーズの最上位クラスのプロセッサーで、ノートパソコン用としては最高レベルの性能です。
基本スペックを確認すると、8コア/16スレッドで、ベースクロックは3GHz、ブーストクロックは4.3GHzと高い数値です。なお、末尾が「H」のRyzen 9 4900Hとの違いは、Ryzen 9 4900Hのほうが通常向けで、Ryzen 9 4900HSは薄型軽量ノートPC向けのAPUとなっています。
Ryzen 9 4900H | Ryzen 9 4900HS | |
アーキテクチャ | Zen 2 | |
製造プロセス | 7nm | |
コア / スレッド数 | 8 / 16 | |
ベースクロック | 3.3 GHz | 3 GHz |
ブーストクロック | 4.4 GHz | 4.3 GHz |
キャッシュ(L2/L3) | 4MB / 8MB | |
TDP | 35~54W | 35W |
メモリ | DDR4-3200/LPDDR4-4266 | |
GPUクロック | 1750 MHz |
なお、ベンチマークの計測では、現在、唯一のRyzen 9 4900HS搭載ノートPCであるASUS ROG ZEPHYRUS G14を使用しました。
天板にアニメーションを表示できるとてもユニークな14インチゲーミングノート。ノートPC最高クラスの性能のRyzen 9 4900HSを搭載できるのも大きな特徴。
Ryzen 9 4900HSのベンチマークスコア
CINEBENCH R20
まずは、CINEBENCH R20の結果です。先日発表されたばかりのノートPC向けインテルCPU最高峰のCore i9-10980HKよりも、マルチコアのスコアに関しては約14%も高いスコアです。エンコードのようなマルチコア性能が重要な処理も速く終わることでしょう。
シングルコアのスコアはCore i9-10980HKを下回るもののその差は小さく、Core i7-10750Hよりは高いスコアでした。ゲームのようなシングルコア性能が重要なアプリも、快適でしょう。
PassMark Performance Test 9.0
PassMark Performance Test 9.0についても、Ryzen 9 4900HSは非常に高いスコアです。
PassMark Performance Test 10.0
PassMark Performance Test 10.0の結果は次の通りです。他のCPUであまり計測したことが無いので、ここではRyzen 9 4900HSのスコアだけ掲載しておきます。
Geekbench 5
Geekbench 5についても、CINEBENCH R20と同様の傾向です。
Lightroom Classicによる現像時間
Lightroom Classicの現像時間は、今回のテストでは、思ったほど速くなく、Core i7-9750Hよりも劣る結果でした。PCの動作モードなどを変えて、何度か試したのですが処理時間はほとんど変わりませんでした。
今回のデータおよび書き出し設定との相性があるのかもしれないので、他のメディアサイトはどうなのか確認してみましたが、ITmediaさんの記事でも、Core i7-8750HのThinkPad X1 Extremeとほぼ同等の書き出し時間でした。Ryzen 9 4900HS搭載PCは16GBメモリであるのに対し、X1 Extremeは32GBのメモリのようなので、多少はX1 Extremeのほうが有利ですが、それでもCore i7-8750Hと同等の時間というのは遅いと思います。
Lightroomが、まだRyzen 9 4900HSに最適化されていないのかもしれません。
「Turbo」モードのみ計測しましたが、思ったよりも速くはありませんでした。
※「Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください。
TMPGEnc Video Mastering Works 7によるエンコード時間
次は、ベンチマークソフトではなく実際のソフトウェアの「TMPGEnc Video Mastering Works 7」を使ってエンコードにかかった時間を掲載します。ここでは、x265エンコーダーを用い、4KのXAVC Sの動画をH.265/HEVCへ変換する処理を実行しています。
こちらは非常に速く処理が終わりました。
エンコード時のCPU温度は次のようになっています。今回、ASUS ROG ZEPHYRUS G14でテストしましたが、CPU温度は100℃前後まで上昇し、かなり高めです。
グラフィックス関連のベンチマークスコア
次はグラフィックス関連のベンチマークスコアを掲載します。
今回テストで使用しているノートPCは、GeForce RTX 2060 Max-Q が搭載されていますが、この外部グラフィックスを無効にして、各種グラフィック関連のベンチマークを計測しました。
APU内蔵グラフィックスであるにも関わらず、GeForce MX250の外部グラフィックスよりもスコアが高いケースもあり、高い性能でした。
PUBG LITE パブリックマッチプレイ時のCPU温度はご覧の通りで、やや高めではありますが、問題ない範囲で収まっているかなと思います。
まとめ
Ryzen 9 4900HSは、非常に高い性能で、あらゆるノート向けのインテルCPUをぶち抜くベンチマークスコアをたたき出していました。シングルコア性能も高く、汎用的に使えるプロセッサーだと思います。APU内蔵グラフィックス性能も高いため、今後、外部グラフィックス無しのモデルが登場するかもしれません。
ただし、CPU使用率が100%になるような負荷をかけると、CPU温度が100℃前後まで上がるので、故障などが心配になります。また、特定の環境だけかもしれませんが、Lightroomの書き出し時間が思ったほど速くありませんでした。アプリがまだ最適化されていないのかもしれません。
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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