Ryzen 7 4700Uのベンチマーク

更新日:2020年7月4日

 

ここではノートPC向けのRyzen 7 4700Uのベンチマークスコアを掲載します。インテルのメインのUシリーズ Core プロセッサーよりもかり高いスコアになっています。

 

Ryzen 7 4700Uの仕様

Ryzen 7 4700Uは、7nmプロセスのZen 2アーキテクチャを採用したRyzen Mobile 4000シリーズで、薄型ノート向けのUシリーズのプロセッサーです。Hシリーズと比べると性能は落ちるものの、Uシリーズの中では最上位に位置するプロセッサーで、Hシリーズに近い性能です。

基本スペックを確認すると、8コア/8スレッドで、最大ブーストクロックは4.1GHzと高い数値です。

Ryzen 4000 Uシリーズ プロセッサー仕様比較
  Ryzen 7 4700U Ryzen 5 4500U Ryzen 3 4300U
CPUコア数 8 6 4
スレッド数 8 6 4
最大ブースト
クロック
4.1 GHz 4.0 GHz 3.7 GHz
基本クロック 2.0 GHz 2.3 GHz 2.7 GHz
L2キャッシュ 4 MB 3 MB 2 MB
L3キャッシュ 8 MB 8 MB 4 MB
TDP 15W

 

なお、今回、ベンチマークの計測では、ThinkPad E15 Gen 2を使用しました。

 

Ryzen 7 4700Uのベンチマークスコア

CINEBENCH R20

まずは、CINEBENCH R20の結果です。マルチコアのスコアを見ると、Ryzen 7 4700Uは、1世代前のRyzen 7 3700Uや、インテルの主力のCore i7-10510Uと比較して、約1.7倍も高いスコアでした。シングルコアのスコアを見ても、1世代前のRyzen 7 3700UはインテルのCoreプロセッサーよりも低かったのですが、Ryzen 7 4700Uはかなりスコアが上がり、Core i7-10510Uよりも高いシングルコアのスコアになっていました。

また、1年前までゲーミングノートPCの主流のプロセッサーだったHシリーズのCore i7-9750Hと、同じくらいのスコアになっており、性能は飛躍的に上がっています。

CINEBENCH R20
Ryzen 7 4700U
他CPUとの比較(マルチコア)
Ryzen 9 4900HS 4250
Ryzen 7 4800H 3944
Core i9-10980HK 3713
Core i7-10875H 3557
Core i9-10885H 3516
Ryzen 5 4600H 3260
Core i7-10750H 2965
Core i7-9750H 2640
Ryzen 7 4700U 2585
Core i7-10710U 2211
Ryzen 5 4500U 1997
Ryzen 3 4300U 1558
Ryzen 7 3700U 1526
Core i7-1065G7 1484
Core i7-10510U 1459
Core i5-1035G1 1424
Ryzen 5 3500U 1421
Core i5-10210U 1418
Core i3-10110U 922
Ryzen 3 3200U 751
他のCPUとの比較(シングルコア)
Core i9-10885H 514
Core i9-10980HK 507
Core i7-10875H 495
Ryzen 9 4900HS 488
Core i7-10750H 482
Core i9-10980HK 476
Ryzen 7 4700U 465
Ryzen 7 4800H 457
Ryzen 5 4600H 452
Core i7-10510U 444
Ryzen 7 3700U 366

 

PassMark Performance Test 10.0

PassMark Performance Test 10.0の結果は次の通りです。こちらについては、インテルの最新世代のCPUで、ゲーミングノートによく採用されるCore i7-10750Hよりも高いスコアが出ていました。

PassMark Performance Test 10.0(CPU MARK)
Ryzen 7 4700U
Ryzen 9 4900HS 20343
Ryzen 7 4800H 19080
Core i9-10980HK 17308
Core i7-10875H 15662
Ryzen 7 4700U 14231
Core i7-10750H 12866
Core i7-9750H 11453
Ryzen 5 4500U 11010
Core i7-10710U 10117
Ryzen 3 4300U 8038
Ryzen 7 3700U 7431
Core i7-10510U 7235
Ryzen 5 3500U 7179
Core i5-10210U 6514
Core i3-10110U 4213
Ryzen 3 3200U 4166

 

Geekbench 5

Geekbench 5についても、CINEBENCH R20と同様の傾向です。

Geekbench 5
Ryzen 7 4700U
他CPUとの比較(Multi-Core)
Ryzen 9 4900HS 8129
Core i7-10875H 7447
Core i7-10750H 6030
Core i7-9750H 5784
Ryzen 7 4700U 5696
Core i7-10710U 5602
Core i7-1065G7 4019
Core i5-1035G1 3920
Core i5-10210U 3821
Core i5-8265U 3546

 

クリエイターソフトの処理時間

以下、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間です。

Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間

LightroomのRAW現像時間についても、インテルのCore i7-10510Uよりもかなり速かったです。ただし、Core i7-9750Hほどではありませんでした。

Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間
Core i9-10980HK
32GBメモリ
68秒
Core i7-10875H
16GBメモリ
70秒
Core i9-9980HK
16GBメモリ
79秒
Core i7-10750H
16GBメモリ
80秒
Core i7-9750H
16GBメモリ
85秒
Ryzen 9 4900HS
16GBメモリ
87秒
Ryzen 7 4700U
16GBメモリ
91秒
Ryzen 7 4800H
16GBメモリ
94秒
Core i7-10710U
16GBメモリ
96秒
Core i7-10510U
16GBメモリ
109秒
※プロファイル補正を適用した100枚のRAWファイル(1枚あたり約45MB)を同じ書き出し設定でjpegに書き出し、所要時間を計測
※「Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください

 

Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間

Premiere Pro CCについては、FHD動画の書き出しはそこそこ速いですが、4K動画の書き出しについてはなぜか極端に時間がかかっていました。原因は今のところ不明です。ただ、4K動画の編集をする方は外部グラフィクスを搭載した製品を選ぶと思うので、そこまで気にしなくていいでしょう。

Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間
4K動画の書き出し
Core i7-10750H/16GB
GeForce RTX 2060
4分51秒
Ryzen 5 4600H/32GB
GeForce GTX 1650
5分48秒 [レビュー機で計測]
Core i7-1065G7/16GB
Intel Iris Plus
27分23秒
Core i7-10510U/16GB
Intel UHD
49分32秒
Ryzen 7 4700U/16GB
Radeon Graphics
約1時間30分
※ 4K/30p動画(約10分)に、「テキスト」+「露光量」+「自然な彩度」+「トランジション」のエフェクトおよびBGMとなるオーディオを加え、H.264形式、YouTube 2160p 4K Ultra HDのプリセットで書き出したときの時間
FHD動画の書き出し
Ryzen 7 4700U/16GB
Radeon Graphics
5分5秒
Core i7-1065G7/16GB
Intel Iris Plus
7分41秒
Core i7-10510U/8GB
Intel UHD
16分54秒
※ FHD/30p動画(約10分)に、「テキスト」+「露光量」+「自然な彩度」+「トランジション」のエフェクトおよびBGMとなるオーディオを加え、H.264形式、YouTube 2160p 4K Ultra HDのプリセットで書き出したときの時間

 

TMPGEnc によるエンコード時間

TMPGEnc Video Mastering Works 7によるエンコード時間は速かったです。Core i7-9750Hと同等の時間でした。

TMPGEnc Video Mastering Works 7によるエンコード時間 (x265)
※XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換したときの時間(x265のエンコーダーを使用)
他CPUとの比較
Ryzen 9 4900HS 10分55秒
Core i7-10875H 11分54秒
Core i9-9980HK 12分25秒
Ryzen 5 4600H 13分10秒
Core i7-10750H 13分29秒
Core i7-9750H 15分37秒
Ryzen 7 4700U 15分44秒
Core i7-10710U 19分05秒
Core i7-10510U 28分32秒
Core i5-10210U 28分53秒
Core i3-10110U 42分20秒
Core i3-8130U 45分24秒

 

グラフィックス関連のベンチマークスコア

次はグラフィックス関連のベンチマークスコアを掲載します。

3DMark Night RaidのGraphics scoreを見ると、内蔵グラフィックスとしては高性能で、内蔵GPUが強化されたインテル Ice LakeのCore i7-1065G7よりも高いスコアでした。家庭で簡易的に動画編集をしたり、カジュアルに軽いゲームをしたりする程度なら、外部グラフィックスを搭載しなくても、このプロセッサーだけで対応できるケースもあるでしょう。ただし、GeForce MX250のスコアには届かない程度のスコアなので、ゲームやクリエイティブ作業などをする頻度が高い場合には、外部グラフィックスを搭載したモデルがいいと思います。

3DMark Night Raid - Graphics score
AMD Radeon Graphics (Ryzen 7 4700U)
他のグラフィックスとの比較(Graphics score)
GeForce GTX 1050 25325
GeForce MX330 16714
AMD Radeon Graphics
(Ryzen 9 4900HS)
16322
GeForce MX250 15406
AMD Radeon Graphics
(Ryzen 7 4700U)
13861
Intel Iris Plus
(Core i7-1065G7)
11084
Radeon Vega 8
(Ryzen 5 3500U)
10014
Intel Iris Plus
(Core i5-1035G4)
9188
Intel UHD
(Core i5-10210U)
5800
Intel UHD 620
(Core i5-8265U)
5274

 

いくつかゲームのフレームレートも計測してみましたが、PUBG LITEやフォートナイトのような軽めのゲームなら、グラフィックス設定を中程度にすれば、平均フレームレートが60fpsを超えてきます。ドラクエXのような非常に軽いゲームなら、最高設定でもゲームができるでしょう。

軽い部類のゲーム
PUBG LITE
1920x1080 非常に低い 102 fps
61 fps
ウルトラ 44 fps
他のグラフィックスとの比較(解像度:1920×1080、非常に低い)
AMD Radeon Graphics
(Ryzen 9 4900HS)
144 fps
GeForce MX250 120 fps
AMD Radeon Graphics
(Ryzen 7 4700U)
102 fps
AMD Radeon Vega 8 82 fps
Intel Iris Plus
(Core i7-1065G7)
80 fps
Intel UHD
(Core i7-10750H)
55 fps
Intel UHD 620
(Core i5-8265U)
45 fps
Intel UHD 615
(Core m3-8100Y)
35 fps
※トレーニングモードで計測
軽い部類のゲーム
フォートナイト
1920x1080 低設定 147 fps
中設定 82 fps
高設定 31 fps
最高設定 18 fps
※バトルラボで計測
軽い部類のゲーム
ドラゴンクエストX
1920x1080 最高品質 9462(とても快適)
他のグラフィックスとの比較(解像度:1920×1080、最高品質)
GTX 1650 19246
GeForce MX250 11900
AMD Radeon Graphics
(Ryzen 9 4900HS)
10982
AMD Radeon Graphics
(Ryzen 7 4700U)
9462
Intel Iris Plus
(Core i7-1065G7)
7968
Intel UHD
(Core i7-10750H)
6120
Intel UHD
(Core i7-10710U)
5984
Intel UHD
(Core i5-1035G1)
5655
Intel UHD
(Core i5-10210U)
5234
Intel UHD 615
(Core m3-8100Y)
2848
※約5500で60fps

 

内蔵GPUによるエンコードは高速です。ソフトが対応していれば、高速にエンコードできるでしょう。

TMPGEnc 7によるエンコード時間(内蔵GPUによるエンコード)
AMD Radeon Graphics
(Ryzen 9 4900HS)
56秒
AMD Radeon Graphics
(Ryzen 7 4700U)
1分10秒
Intel Iris Plus
(Core i7-1065G7)
1分43秒
Intel UHD
(Core i5-1035G1)
2分13秒
Intel UHD
(Core i7-10750H)
2分48秒
Intel UHD
(Core i7-10710U)
3分02秒
Intel UHD
(Core i5-10210U)
3分06秒
Intel UHD 615
(Core m3-8100Y)
7分21秒

 

まとめ

Ryzen 7 4700Uですが驚きの性能の高さで、マルチコア性能については、インテルの主力CPUのCore i7-10510Uよりも、約1.7倍も高いスコアでした。シングルコア性能についても比較的高く、多くの用途で利用できると思います。

ThinkPad E15 Gen 2などは、10万円前後の価格でRyzen 7 4700U搭載ノートPCを購入できるため、価格も高くありません。普通のノートPCよりも、ちょっと快適に、ストレスなく、テキパキと作業をしたい方におすすめのプロセッサーです。

 

Ryzen 4000シリーズ搭載ノートPCはこちら

Ryzen 4000シリーズのプロセッサーを搭載したノートパソコンの一覧は、こちらをご覧ください。各製品のレビューもあります。

 

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