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MSI Modern 15の実機レビュー

CPU | Core i7-10510U |
---|---|
GPU | GeForce MX330 |
メモリ | 16GB |
ストレージ | PCIe SSD |
液晶サイズ | 15.6インチ |
液晶種類 | FHD 非光沢 |
質量 | 約1.6kg |
バッテリー | 約9時間 |
価格[税込] | 9万円台~ |
Modern 15は、新登場のGeForce MX330を搭載したノートPCです。
15型の液晶を搭載していますが、質量が約1.6kgと比較的軽量、かつ薄型・コンパクトなので、外に持ち出して作業することも可能です。
ただし、1~2万円の追加で上位機種のGTX 1650 Max-Qを搭載したPrestige 15が買えます。クリエイターが使うならPrestige 15をおすすめします。スペックが高めのビジネスノートが欲しいなら本製品でいいでしょう。
レビュー機は、当サイトの購入品です。今回は次の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Core i7-10510U、16GBメモリ、GeForce MX330、512GB NVMe SSD
目次
お忙しい方は、「Modern 15の特徴」のみお読みください。
Modern 15の特徴
持ち出せる15型ノートPC
Modern 15は、一般のノートPCよりも少し高めの性能の外部グラフィクスを搭載し、15.6型の大きめの液晶を備えながら、質量が約1.6kgと軽い点が一つの特徴となっています。また、狭額ベゼルを採用しており画面占有率が約90%と高く、15型の割にボディサイズもコンパクトですし、厚みは15.9mmと薄型です。
スペック高めの宅内モバイルやメイン兼モバイルPC、外出先での簡易的な動画用としてなど、マルチに使用できるでしょう。
なお、MSIのビジネス & クリエイター向けノートPCとしての位置づけは、下図のようになります。選択肢が豊富な15型においては、軽量かつライトな作業向け製品となっているようです。

※PS42、PS63などの旧モデルは非掲載
新登場のGeForce MX330をいち早く搭載
Modern 15は、発表されたばかりのGeForce MX330をいち早く搭載しています。

当サイトでのベンチマークスコアは下表の通りです。GeForce MX330は、「Core i7-1065G7に内蔵されているIris Plusの最大2倍のパフォーマンスが期待できる」と公表されていましたが、そこまでのスコアは今回は確認できませんでした。
しかし、動画ソフトを使う場合、プレビューが滑らかになったり、動画の書き出し速度が向上するなどのメリットが期待できるでしょう。
3DMarkや、ゲームのフレームレート、Adobeソフトの処理時間などは下の別ページにまとめています。ご興味があればご覧ください。

ノートPC向けエントリーグラフィックス「GeForce MX330」のベンチマークを計測。Core i7-1065G7に内蔵されたIris Plus グラフィックスよりも最大で約2倍の性能と言われていましたが、その実力はいかに?
第10世代Core i7搭載
Modern 15は、Core i7-10510Uを搭載していますが、他のPCで計測したベンチマークよりも1~2割高いスコアで、6コアのCore i7-10710Uに迫るスコアでした。高い負荷のかかる処理を実行することがある方にいいと思います。
※他のPCで計測した代表値です
空のM.2スロットあり
Modern 15は、搭載している512GB M.2 NVMe SSDの他に、M.2 NVMe / M.2 SATA コンボタイプ空スロットが一つあるようです。そのため、M.2 SSDを増設して、さらにストレージ容量を確保することができます。ただし、「MSI公認サポート店でのみ増設可能」となっています。また、メモリも同様に「MSI公認サポート店でのみ増設可能」となっていますが、最大64GBまで増設(換装)できるようです。
ユーザーによるストレージやメモリの増設もできるかもしれませんが、MSIの製品は底面のネジの上の「FACTORY SEAL」が貼られており、これを破くと保証対象外となってしまいます。そのため、できれば、MSI公認サポート店で増設したほうがいいと思います。

Wi-Fi 6には非対応
Modern 15の無線LANはIEEE802.11acに対応しており、Wi-Fi 5となります。
最近対応機種が増えてきた次世代のWi-Fi 6には対応していません。無線LANルーターもWi-Fi 6に対応していないと高速通信はできないため、現時点では大きなデメリットとはならないことが多いですが、将来、Wi-Fi 6が普及してきたときに、高速で安定した通信が可能なWi-Fi 6の恩恵を受けられない可能性があります。
色域が狭い
本製品は「ビジネス&クリエイターノートPC」という位置づけなので、当然、色域はある程度広いものだと思っていましたが、あまり広くありませんでした。詳細は「ディスプレイのチェック」でご覧ください。
ライバル機種との比較
ライバル機種との比較です。持ち運べるクリエイターノートPCとしてModern 15を検討するときに、視野に入ってくることが予想される、同じMSIのPrestige 15と比較してみました。Modern 15とPrestige 15の質量やサイズは全く同じです。
Prestige 15は、CPU、GPUの点でModern 15を上回っています。また、4K液晶が選択でき、FHD液晶の色域も広いです。さらに、USB PD対応や、Wi-Fi 6対応など、全体的に上位機種らしい構成となっています。
一方、Modern 15は、価格面が安くなっています。また、スペックが低い分、表面温度が上がりにくいというメリットがあります。
クリエイターが使うなら、価格差もそれほどないPrestige 15のほうが断然おすすめです。軽量・大画面で、サクサク動くビジネスノートが欲しいならModern 15でもいいと思います。
[本製品] Modern 15 |
MSI Prestige 15 |
|
画像 | ![]() |
![]() |
CPU | Core i7-10510U | Core i7-10710U |
GPU | GeForce MX330 | GTX 1650 Max-Q |
メモリ | 16GB | 16GB / 32GB |
液晶種類 | 15.6型 FHD 非光沢 | 15.6型 FHD 非光沢 / 4K 非光沢 |
質量 | 約1.6kg | |
サイズ | [幅] 356.8 [奥行] 233.7 [高さ] 15.9 |
|
バッテリー | 約9時間 | 約16時間 |
価格[税込] | 164,800円 | 188,660円 |
各用途の快適度
各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧 Office作業 |
◎ | 十分なスペックで快適です。 |
---|---|---|
動画鑑賞 | 〇 | 液晶の鮮やかさが物足りないですが、スペックは十分です。 |
RAW現像 画像編集 |
△ | Core i7-10510Uの割には高いベンチマークスコアが出ていたものの、液晶の色域があまり広くないため、画像編集向きではありません。 |
動画編集 | 〇 | GeForce MX330を搭載していることで、FHD動画の簡易的な編集なら出来ると思います。ただし、書き出しなどはやや遅めです。また、液晶の色域も物足りないです。 |
ゲーム | △ | GeForce MX330を搭載することで、軽めのゲームなら中間位のグラフィック品質設定でもプレイできるでしょう。Modern 15の金額なら、もっとゲーム向きの高いスペックのPCが買えます。 |
ディスプレイのチェック
液晶のチェックです。
色域が狭いのが残念です。Office作業、Web閲覧などの一般的な作業なら問題ない品質です。最大輝度は、当サイトの計測では234cd/m2とやや低めです。液晶の詳細な特性については、下のタブをクリックして下さい。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 画素・
ギラつき - 映り込み
- フリッカー
色域は狭いです。当サイトの計測ではsRGBカバー率は61.8%でした。

青色と赤色が強めに発色していることが分かります。

視野角は広いです。

画素形状です。ギラつきはほぼ感じません。

非光沢液晶ですので、映り込みは少ないです。

正確な確認方法ではありませんが、フリッカーは確認できませんでした。

※カメラのシャッタースピードを1/800秒にして撮影したときの画面
キーボードおよびタッチパッドのチェック
Modern 15は、シングルカラーバックライト付きの日本語キーボードを搭載しています。
15.6インチでありながらも、テンキーなしとなっているため、キーサイズや配置にゆとりがあります。また、キーストロークは約1.5mmです。enterキーやbackspaceキーが端にありませんが、かなり横幅が広くなっているので、打ち損じはあまりないでしょう。実際に打ってみても、比較的打ちやすいと思いました。


パフォーマンスのチェック
パフォーマンスのチェックです。
本製品は、以下のようなモードが用意されており、今回は、デフォルトの「バランス」と、最大のパフォーマンスが出る「高性能」の設定でベンチマークを計測しました。

CPU
「バランス」なら、他のPCよりもやや落ちるスコアです。「高性能」なら他のPCよりもかなり高いスコアが出ていました。
~ CINEBENCH R20 マルチコア ~


※[高性能]、[バランス]と書かれたCPU以外は、他のPCで計測した代表値です
グラフィックス
グラフィックスには、GeForce MX330 を搭載しています。GeForce MX250よりもやや良いスコアでした。
なお、「バランス」と「高性能」の2つのモードで、3DMark Night Raidのベンチマークを実行したところ、Graphics scoreについてほとんど変わりありませんでした。「高性能」のモードにしてもグラフィックスのパフォーマンスは伸びないようです。
~ 3DMark Night Raid - Graphics score ~


※[高性能]、[バランス]以外は、他のPCで計測した代表値です
その他のベンチマークや、ゲームのフレームレートについては、以下の別ページにまとめていますので、ご興味があればご覧下さい。

ノートPC向けエントリーグラフィックス「GeForce MX330」のベンチマークを計測。Core i7-1065G7に内蔵されたIris Plus グラフィックスよりも最大で約2倍の性能と言われていましたが、その実力はいかに?
GPU-Zで確認したGeForce MX330の情報は次の通りです。

ストレージ
ストレージは、PCIe-NVMe SSDを搭載しており、シーケンシャルリードは3,000MB/sを超えていました。高速です。
~ CrystalDiskMark ~

※[レビュー機で計測]と書かれたストレージ以外は、他のPCで計測した代表値です
SDカードスロット
micro SDカードを挿入することができます。速度は遅いです。
~ CrystalDiskMark ~

実際のソフトで計測した処理時間
次に、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間を掲載します。
「高性能」のモードにしたときのエンコード速度が非常に速く、6コアのCore i7-10710Uに匹敵する速度でした。ただし、後述しますが、このときのCPU温度はかなり高めです。
高性能 | バランス | |
x265でエンコード (※1) | 20分10秒 | 30分34秒 |
QSVでエンコード (※2) | 2分51秒 | 3分9秒 |
NVENCでエンコード (※3) | ― | ― |
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 CPU内蔵のハードウェアエンコーダー
※3 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
「バランス」より「高性能」のモードのほうが、高いCPUクロックで推移しているのが分かります。


質量のチェック
質量の当サイトの計測結果は下の通りです。ほぼメーカーの公表値通りです。ACアダプターは容量が多いため、重さもそこそこあります。
Core i7モデル | |
PC本体 | 1.596kg |
ACアダプター | 337g |
バッテリー駆動時間のチェック
バッテリー駆動時間のチェックです。
バッテリー容量は52Whです。ただし、ソフトウェアから確認したので誤差があるかもしれません。
バッテリー駆動時間は次の通りです。なお、「バランス」のモードで計測しています。外部グラフィックスを搭載していることもあり、やや短めの駆動時間です。
バランス モード |
|
(1) JEITA2.0 | 約9時間 |
(2) PCMark 10 Modern Office | ― |
(3) 動画再生時 | 6時間11分 |
(4) PCMark 8 Work | 2時間4分 |
(1) メーカー公表値
(2) 文書作成、ブラウジング、ビデオ会議といった事務作業。アイドル時も多く軽めの処理
(3) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
(4) ブラウザでのショッピング/画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャット等。やや重めの作業
以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は変わります。なお、「バランス」と「高性能」の2つのモードで計測しています。
静音性のチェック
動作音(静音性)のチェック結果です。
アイドル時でも動作音が聞こえます。また、「高性能」モードのときのエンコード時の騒音値が高めです。
- バランス
- 高性能


部屋を極力無音にしたときの騒音値:20.0dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
※CPU使用率およびGPU使用率は平均値です
左から1番目:アイドル時(何も操作していない状態)
左から2番目:Premiere Proで、4K動画にエフェクトをいくつかかけてプレビューした時
左から3番目:TMPGEnc Video Mastering Works でエンコードした時(x265)
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。

パーツの温度のチェック
各パーツの温度のチェック結果です。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。
「高性能」モードのときのエンコード時間が高めの温度です。
- バランス
- 高性能

※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです

※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
エンコード時の温度の詳細
下図は、CPU使用率がほぼ100%になるエンコード時のCPU温度の詳細です。「高性能」モードのときは90℃台で推移しており高めの温度です。「バランス」モードのときは60℃台まで下がり、低めの温度です。
- バランス
- 高性能


表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。
表面温度はそれほど高くありません。
- バランス
- 高性能

※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです

※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、確認できた最も高い数値を掲載しています。エンコード時は約10分経過後の消費電力です。
GeForce MX330を搭載しているため、一般的なノートPCと比べると、やや高めの消費電力です。
- バランス
- 高性能

※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています

※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています
外観のチェック
Modern 15は、アメリカ国防総省のMIL-STD 810Gに適合しており、持ち運べるクリエイター向けノートPCとして相応しい、高い耐久性と信頼性を備えています。プライベートはもちろん、堅牢性が求められるビジネス用としても安心して使用できる仕様となっています。

デザインはシンプルながらも、天板のドラゴンマークがアクセントになるなど、高級感もしっかりあります。

スピーカーは底面に配置されています。音質は普通で、勝手に点数をつけると、10点満点で5点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。

ヒンジ部分の画像です。

ヒンジは180度展開可能です。

Modern 15は、USB Type-Cポートを備えていますが、USB PDには対応していません。そのため、サードパーティのUSB Type-C充電器や、モバイルバッテリーからの給電は行えません。
インターフェイスとしては、USB3.2 Type-C、USB3.2 x3、HDMI、microSDカードリーダーを備えています。USB Type-CポートはDisplayPortに対応しているので、外部ディスプレイとの接続に、USB Type-CポートとHDMI出力の2つを使用できます。

底面です。

吸気を効率良く行うためにゴム足が高くなっています。

ACアダプターは19V、4.74A(90W)となっています。容量の割には小型だと思います。


まとめ
Modern 15は、15型の液晶を搭載しつつ、約1.6kgと軽量、かつ厚さ約15.9mmと薄型の、持ち出し可能なクリエイター向けノートPCです。
Core i7-10510U + GeForce MX330の構成なので、通常のノートPCよりもスペックが高めで、クリエイティブな作業にも対応できます。ただし、クリエイター向けノートPCとしては、それほどハイスペックではなく、色域も狭いため、ある程度限られた作業用になると思われます。
クリエイターが使うなら、1~2万円予算を追加してPrestige 15を買ったほうがいいと思います。軽量でスペック高めのビジネスノートが欲しいならModern 15でもいいでしょう。
GeForce MX330搭載ノートPC
Modern 15

1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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