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レノボ IdeaPad Slim 3とSlim 5を徹底比較(Gen 10、14型、AMDモデル)

ここでは、コストパフォーマンスが高く、人気のあるレノボの14型ノートPCの2機種、IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)と、IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)を比較します。
一見するとほとんど同じような機種のようにも感じますが、処理性能、ディスプレイなどが異なっていますし、その他にも細かい部分で差があります。用途に合っているのはどちらの機種かを見分ける参考にしてください。
公式サイトはこちら
製品スペックの比較
最初に、IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)と、IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)の主要な仕様を比較します。
下表の通り、CPU、メモリ、ディスプレイなど多くの点が異なっています。簡単に言うと、IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)はエントリークラス、IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)は一つ上のスタンダードクラスという感じです。
IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD) |
IdeaPad Slim 5
Gen 10 (14型 AMD) |
|
CPU | Ryzen 5 7533HS Ryzen 7 7735HS |
Ryzen 5 8645HS Ryzen 7 8845HS |
メモリ | 16GB オンボード+スロット |
16GB / 32GB スロット |
SSD | 512GB / 1TB | |
2nd SSD | 空きあり M.2 2242 |
空きあり M.2 2280 |
画面 | 14型 1920x1200 | |
画面種類 | IPS 非光沢 (45% NTSC) |
OLED 光沢 (100% DCI-P3) |
キーボード バックライト |
× | 〇 |
質量 | 約 1.39kg | 約 1.39kg |
USB-C | USB3.2 Gen 1 x1 | USB3.2 Gen 2 x2 |
バッテリー | 50Wh | 60Wh |
価格 | 80,850円~ | 99,880円~ |
レビュー | レビュー記事 | レビュー記事 |
CPUの比較
搭載するCPUを比較します。
IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)はZen 3+世代のRyzen、IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)はZen 4世代のRyzenを搭載しています。
処理性能を測るベンチマークソフト:CINEBENCH R24のスコアは下のグラフの通りです。
マルチコア、シングルコアのどちらとも、IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)が搭載する、Ryzen 7 8845HS / Ryzen 5 8645HSの方が高いスコアが出ており、処理性能は上です。複数のアプリを同時に立ち上げて作業をするなど、少し重めの負荷がかかるような場合は、こちらの方がおすすめです。
ただし、IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)が搭載する、Ryzen 7 7735HS / Ryzen 5 7533HSの処理性能もそれほど低いわけではありません。Officeソフトでの作業や、Web閲覧といった、そこまで重くない処理であれば、こちらで十分だと感じる方は多いでしょう。
~ CPU性能の評価 ~
なお、最近話題のAI処理用のNPUについては、IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)が搭載するRyzen 7 7735HS / Ryzen 5 7533HSには内蔵されていません。IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)が搭載するRyzen 7 8845HS / Ryzen 5 8645HSにはNPUが内蔵されていますが、最大16 TOPSなので、それほど高い性能ではありません。
グラフィック性能の比較
次に、グラフィックス性能を比較します。
グラフィックス性能を測るベンチマークソフト:3DMark Night Raidのスコアは下表の通りです。
IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)の方が性能が高いです。軽いゲームで遊びたい方や、FHD動画の簡単な編集などをやってみたい方は、こちらのRyzen 7 8845HS搭載モデルがいいでしょう。
一方、ゲームや動画編集などはせず、ネット動画を見るぐらいであれば、IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)でも十分なグラフィックス性能を備えています。
~ グラフィックス性能の評価 ~
ディスプレイの比較
ディスプレイの比較です。
それぞれのモデルが搭載するディスプレイは、以下の通りです。どちらも解像度は一般的なWUXGAですが、IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)はIPS液晶であるのに対して、IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)は有機ELディスプレイを搭載しています。
IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)のディスプレイ
・WUXGA (1920x1200), IPS, 非光沢, 300nit, 45% NTSC, 60Hz
IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)のディスプレイ
・WUXGA (1920x1200), 有機EL, 光沢, 400nit, 100% DCI-P3, 60Hz
それぞれのディスプレイをチェックした結果は、下記の通りです。
IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)が搭載するIPS液晶は、色域が狭いです。写真や画像を表示すると、少しくすんだ色に見えることがあります。しかし、色域の狭さを気にしなければ、非光沢液晶なので、映り込みが少ないですし、フリッカーも発生していないため、長時間の作業にも使いやすいです。
IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD) |
IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD) |
WUXGA IPS | WUXGA 有機EL |
sRGBとの色域の比較![]() |
DCI-P3との色域の比較![]() |
sRGBカバー率:62% | sRGBカバー率:100% |
ー | DCI-P3カバー率:100% |
ー | Adobe RGBカバー率:100% |
非光沢 | 光沢 |
一方、IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)は、有機ELディスプレイなので、色域が広く、色鮮やかな表示で写真や動画を見ることができます。ただし、光沢表面なので映り込みがありますし、有機EL特有のフリッカーもあるので、長い時間見ていると目が疲れやすくなるなど、人によっては影響を感じるかもしれません。また、 ペンタイル配列の有機ELディスプレイで、解像度がそこまで高くないため、小さな文字の場合、文字の中に赤や青の色が混じってみえたり、輪郭がザラついて見えたりします。気にならない方も多いですが、比べて見ると、文字の見やすさという点では、IPS液晶を搭載するIdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)の方が少し有利だと思います。


キーボードの比較
キーボードの比較です。
下表の通り、キーボードの配列などは同じです。
ただし、IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)のキーボードは、キーの材質がやや安っぽく、バックライトも付いていません。
一方、IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)の方は、キーの材質も安っぽさを感じませんし、バックライトも付いています。


質量の比較
質量の比較です。
下表の通り、PC本体の質量に大きな差はありませんでした。収納や室内での移動がしやすいです。日常的に持ち歩くには少し重いですが、たまに外に持ち出して使うといった使い方はできると思います。
IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD) |
IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD) |
|
PC本体 | 1.384kg | 1.406kg |
ACアダプター+電源ケーブル | 312g | 175g |
なお、付属のACアダプターは、下図のように異なっています。
IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)のACアダプターの方がコンパクトで、軽いため、本体と一緒に持ち運びがしやすいです。


バッテリー駆動時間の比較
バッテリー駆動時間の比較です。
IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)は50Whのバッテリーを搭載しているのに対して、IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)は60Whのバッテリーを搭載しています。バッテリー容量が大きいこともあり、IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)の方が、バッテリー駆動時間はやや長いです。
IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD) |
IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD) |
|
Ryzen 5 7533HS | Ryzen 5 8645HS | |
バッテリー容量 | 50Wh | 60Wh |
(1) JEITA3.0(アイドル時) | 約17時間 | 約19.8時間 |
(2) JEITA3.0(動画再生時) | 約9.0時間 | 約11.2時間 |
(3) 動画編集ソフトでのプレビュー再生 | 3時間41分 | 5時間00分 |
(3) Premiere Proで480x320の動画をプレビュー再生(リピート)させたとき。画面輝度は約120cd/m2
パーツの温度の比較
次に、パーツ温度の比較を行います。
これらの機種では、動作モードを変更することができます。ただ、最も高いパフォーマンスを発揮することができる「パフォーマンス」モードにしても、CPU温度は高くなるものの、ベンチマークテストのスコアはそれほどアップしませんでした。そのため、ここでは、デフォルト設定の「適応パワー・モード」の時のCPU温度に注目します。
どちらの機種でも、CPU温度は80℃前後をキープしており、問題のない温度です。
IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD) |
IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD) |
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静音性の比較
こちらは、静音性の比較です。
どちらのモデルも、騒音値に大きな差はありませんでした。一般的な他のノートPCと同程度の騒音値です。
負荷の状態 | IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD) |
IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD) |
アイドル時 | 約20dB | 約20dB |
---|---|---|
低負荷時 [YouTube再生] | 約25dB | 約21dB |
中負荷時 [動画編集] | 約33dB | 約29dB |
高負荷時 [エンコード] | 約39dB | 約33dB |
高負荷時 [ゲーム] | 約42dB | 約43dB |
部屋を極力無音にしたときの騒音値:20dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
アイドル時:アイドル時
低負荷時:1080pのYouTube動画再生時
中負荷時:Premiere Proで、編集中の1080pの動画をプレビュー再生した時
高負荷時1:TMPGEnc Video Mastering Works でエンコード(x265)した時
高負荷時2:FF14のゲームのベンチマーク実行時(標準品質(ノートPC)、1920x1080、ウィンドウ)
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。

表面温度の比較
本体の表面温度も比較してみました。
IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)は、高負荷時でもパームレスト部の温度は低く保たれていました。
一方、IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)は、負荷が高くなると、パームレストの左手側の温度が上がります。ゲームなどをすると、やや気になります。


※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※約10分経過後に計測しています
メモリ・ストレージの拡張性
メモリ・ストレージの拡張性を比較します。
メモリの拡張性
まず、メモリの拡張性です。
IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)は、オンボード(8GB)+ スロットメモリ(8GB)のメモリ構成となっており、スロットメモリは交換が可能です。ただし、スロットメモリを16GBに変更すると、トータルで24GBになりますが、デュアルチャネルで動作するのは、オンボード(8GB)+ スロットメモリ(8GB)となり、増設したスロットメモリの8GB分はシングルチャネルでの動作となります。普段使いであれば特に問題ないと思いますが、メモリ速度にもこだわりたい方は注意が必要です。
一方、IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)は、スロットメモリ x2の構成です。そのため、同じ容量のメモリを挿せば、メモリを全てデュアルチャネルで動作させることができます。メモリ容量を増やしたい方には、こちらの方がいいかもしれません。合計32GBメモリあれば、長く快適に使用することができると思います。


ストレージの拡張性
次に、ストレージの拡張性です。
どちらの機種にも、空きのM.2スロットがあり、ストレージの増設が可能です。
ただし、IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)の空きスロットはType 2242 M.2 SSD用なのに対して、IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)は、Type 2280 M.2 SSD用のスロットが空きとなっています。そのため、SSDの入手しやすさや、価格を考えると、Type 2280 M.2 SSDを増設することができるIdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)の方が、増設のしやすさは少し上だと思います。


その他
その他の項目をまとめて比較します。
まず、外観や、筐体の素材です。
ボディカラーは少し違いますが、ボディのデザインはほとんど同じように見えます。ただし、IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)のボディは、トップカバーはアルミニウム製ですが、底面は樹脂製となっており、若干安っぽい感じがします。一方、IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)は、トップカバー、底面ともにアルミニウム製となっており、質感がいいです。




その他の仕様に関しては、主なものを下表にまとめました。
IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)は、USB Type-Cポートが一つですが。フルサイズSDカードリーダーを搭載しています。一方、IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)は、USB Type-Cポートを2つ備えていますが、microSDカードリーダーとなっています。
また、HDMIポートは、IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)がHDMI1.4なのに対し、IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)はHDMI2.1で、4K/60Hzでの出力をサポートしています。
IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD) |
IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD) |
|
USB-C | USB3.2 Gen1 (1ポート) PowerDelivery対応 映像出力対応 |
USB3.2 Gen2 (2ポート) PowerDelivery対応 映像出力対応 |
USB-A | USB3.2 Gen1 (2ポート) | |
HDMI | HDMI1.4 4K@30Hz対応 ※ |
HDMI2.1 4K@60Hz対応 |
LAN | × | |
SDカード | フルサイズSD対応 | microSD対応 |
キーボード バックライト |
× | 〇 |
指紋認証 | × | |
顔認証 | 〇 | |
Wi-Fi | Wi-Fi 6対応 | |
横幅×奥行き | 約314.4x222.1 mm | 約313.4x222.0 mm |
高さ | 約16.9 mm | |
Webカメラ | FHD 1080p | |
スピーカー | 2.0W x2 |
まとめ
以上が、「IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)」と、「IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)」の詳細な比較でした。
どちらともコストパーフォーマンスが高く、魅力的な機種ですが、特に、処理性能・グラフィックス性能、ディスプレイ、キーボードなどに差があります。
IdeaPad Slim 3 Gen 10 (14型 AMD)は、一般用途に必要十分な性能を備え、8万円台からと安いです。価格を押さえたい方や、Officeソフトを使った作業など、それほど負荷は高くないけど、文字を長時間見ることが多い方は、こちらを選ぶといいと思います。
IdeaPad Slim 5 Gen 10 (14型 AMD)は、処理性能・グラフィックス性能が高めですし、美しい表示が可能な有機ELディスプレイを搭載してるのが大きな特徴です。写真やFHD動画の簡単な編集などを行う方や、軽いゲームで遊びたい方などは、こちらがおすすめです。
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パソコンやガジェット好きが高じて、パソコンメーカーや家電量販店などのパソコン訪問サポートを行うようになる。最近では、飼っているハムスターやカナヘビに癒されたり、ベランダで作っているトマトやヘチマの成長を見て喜んだりしている。子どもとマイクラをすると、画面酔いするようになり、年を感じる今日この頃。
2018年頃から、the比較の記事執筆に参加。

1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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