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レノボ Yoga 770i(16型 インテル)の実機レビュー
CPU | Core i7-12700H |
---|---|
GPU | インテル Arc A370M |
メモリ | 16GB |
ストレージ | 1TB PCIe SSD |
画面サイズ | 16型 16:10 |
画面種類 | 2560x1600 IPS 光沢 |
質量 | 約 2.16kg |
バッテリー | 99.99Wh(約20時間) |
価格[税込] | 21万円台 |
Yoga 770i(16型 インテル)は、インテルの外部グラフィックス「インテル Arc A370M」を搭載したノートPCです。普通のノートPCよりも、グラフィック性能がやや高いです。
また、画面比16:10、解像度2560x1600ドットの見やすいディスプレイを搭載し、仕事もしやすいですし、画像編集などにも使えます。
2 in 1 PCなので、タブレットなどの形状に変形することもできます。ペンにも対応しています。
レビュー機は、当サイトの購入品です。今回は以下の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Core i7-12700H、16GBメモリ、1TB PCIe SSD
セール情報
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目次
お忙しい方は、「Yoga 770i(16型 インテル)の特徴」のみお読みください。
Yoga 770i(16型 インテル)の特徴
グラフィクススに「インテル Arc A370M」を搭載
Yoga 770i(16型 インテル)は、グラフィックスに「インテル Arc A370M」を搭載している点が大きな特徴です。仕様はご覧の通りです。
3DMark Night Raidのグラフィックススコアは次の通りです。事前情報では、GeForce RTX 3050と同等のスコアが出るようなことが言われていましたが、当サイトで試した限りでは、GeForce RTX 3050には遠く及ばないスコアでした。
Core i7-1260Pの内蔵グラフィックスよりは高いスコアでしたが、Ryzen 7 6800U内蔵のRadeon 680Mよりも低く、正直がっかりのスコアです。
この程度の性能なら、Ryzen 7 6800UやCore i7-1260Pの内蔵グラフィックスでも十分かなと思います。
なお、別の「インテル Arc A370M」搭載のノートPCでは結果は異なるかもしれないので、ご了承下さい。
画面比16:10の2560x1600ドット液晶
ディスプレイが、画面比が16:10で作業がしやすく、解像度も2560x1600ドットと高いので文字が見やすく、画像も綺麗です。
下図は、表示スケールを100%にしていますが、ウェブページの内容が下の方まで表示できますし、2画面並べて使うこともできます。100%ではなく125%などにしても、一般的なFHDよりは表示領域が広く、文字の輪郭も滑らかで見やすいです。
色域も仕様上では「100% sRGB」となっており、通常のノートPCよりも、色鮮やかに画像などを表示することができます。
タブレットにも変形できる2 in 1 PC
Yoga 770i(16型 インテル)は、ヒンジが360度回転する2 in 1 PCです。キーボードを使わないときは、下図のような形状にすることにより、キーボードがあった部分のスペースに紙のノートなどを広げることができるので、オンライン授業などのときに便利です。
タッチパネルやペンにも対応
また、タッチパネルおよびペンにも対応しています。ペン先の摩擦感はあまり無く、ツルツル滑ります。iPad Proのような感覚です。
ジッターはありますが、普通のWindowsタブレットの描き心地だと思います。
パフォーマンスは思ったほど出ない
インテル Arc A370Mの性能が思ったほど出ませんでしたが、CPUもCore i7-12700Hを搭載している割には思ったほどのスコアが出ませんでした。他のPCで計測したときより約25%も低いスコアで、Ryzen 7 6800Uと同じくらいでした。
各用途の快適度
各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧 Office作業 |
◎ | 画面比16:10で、解像度も高く作業しやすいです。ただし、光沢液晶なので苦手な方はご注意下さい。 |
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オンライン会議 | ○ | 問題なく出来ます。 |
動画鑑賞 | ◎ | 色域広めなので、映像が綺麗です。また、スピーカー音もいいので、動画鑑賞に向いています。 |
RAW現像 画像編集 |
○ | 色域が広めなので、画像編集用途にも使えます。 |
動画編集 | △~○ | FHD動画の編集をたまにするくらいなら出来るでしょう。ただし4K動画編集をしたり、頻繁に動画編集をするなら、もっと性能の高いグラフィックスを搭載したノートPCのほうがおすすめです。 |
ゲーム | △ | 軽いゲームならできないこともありませんが、あまりお勧めしません。ゲーミングノートPCと呼ばれる製品を購入したほうがいいです。 |
ディスプレイのチェック
Yoga 770i(16型 インテル)のディスプレイは見やすいです。ただ、光沢液晶なので、映り込みがあります。
今回は、「LEN160WQXGA」のパネルが搭載されていました。画面比16:10、解像度は2560x1600です。最大輝度は、当サイトの計測では365cd/m2とやや高めでした。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 映り込み・
ギラつき - フリッカー
キーボードおよびタッチパッドのチェック
Yoga 770i(16型 インテル)のキーボードで、タイピングしてみました。「Enter」と「半角/全角」キーがもう少し大きければいいなと感じましたが、その点を除けば、普通の打ちやすさのキーボードだと思います。
実測で、キーピッチは横:18.5mm、縦:18.5mm、キーストロークは約1.4mmです。キートップはわずかに湾曲しているように見えます。
キーボードにはバックライトも搭載しており、暗い場所でタイピングするときに便利です。
パフォーマンスのチェック
上でも記載しましたが、Yoga 770i(16型 インテル)のパフォーマンス結果の詳細を掲載をします。
本製品は、下の画面から、パフォーマンスやファン速度を変更することができます。今回はデフォルトの「インテリジェント・クーリング」と「エクストリーム・パフォーマンス」の2種類で各種ベンチマークを計測します。
CPU
CPUには、インテル第12世代 Hシリーズの「Core i7-12700H」を搭載しており高い性能です。
ただし、他のノートPCで計測したときよりも、大分低めのスコアでした。プロセッサー・ベース・パワー(TDP相当)が45Wのプロセッサーですが、実測では25~37W程度しか出ていませんでした。
~ CPU性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
メモリ
メモリはLPDDR5-4800を搭載しており、帯域は広いです。
~メモリ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
※実際のノートPCで計測した実測値で、理論的な最大値ではありません
グラフィックス
グラフィックスは、インテル Arc A370Mを搭載しています。
ただし、Core i7-1260Pの内蔵グラフィックスよりやや良い程度のスコアで、外部グラフィックスとしては低いスコアでした。GeForce MX450よりも下回っています。 2 in 1 PCの筐体に、Core i7-12700Hとインテル Arc A370Mを搭載するのは無理があったのではないかと思います。
~ グラフィックス性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
なお、高負荷時のCPU電力、CPU温度は「パーツの温度のチェック」で記載しています。
ストレージ
ストレージには、PCIe Gen4 SSDを搭載しています。PCIe Gen4 SSDにしてはそこまで高い速度ではありませんでしたが、実用上は十分な速度です。
~ ストレージ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
クリエイターソフトの処理時間
以下、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間です。
遅くはありませんが、Core i7-12700Hにしては速くはありませんでした。また、「書き出しにGPUを使用」にして、インテル Arc A370Mも使って書き出してみましたが、逆に遅くなってしまいました。
ただし、現像作業自体は快適ですし、十分使えると思います。
※プロファイル補正、露光量+1、シャドウ+10、自然な彩度+10、ノイズ軽減+10を適用した100枚のRAWファイル(1枚あたり約45MB)を同じ書き出し設定でjpegに書き出し、所要時間を計測
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
FHD動画の書き出し速度は、外部グラフィックスを搭載していない製品よりは、速かったです。FHD動画であれば、そこまでストレスなく編集することが出来ました。ただ、GeForce GTX 1650 Max-Q搭載PCよりは遅く、本格的に動画編集をするなら、もっと適したノートPCがあります。
※ グラフィックスは全てノートPC用
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
ニューラルフィルターの重い処理を実行してみましたが、Ryzen 7 6800Uよりも遅かったです。
Core i7-12700H インテル Arc A370M |
参考: Ryzen 7 6800U |
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ニューラルフィルター(肌をスムーズに) | 約3秒 | 約3秒 |
ニューラルフィルター(スーパーズーム(x2)) | 約4分18秒 | 約1分29秒 |
ニューラルフィルター(JPEGのノイズを削除) | 約2分54秒 | 約2分34秒 |
ゲームベンチマーク&フレームレート
いくつかゲームのフレームレートを計測してみました。軽めのゲームであれば、60 fpsの平均フレームレートを超えてくるタイトルもありましたが、ゲームをするなら、もっと高い性能のグラフィックスを搭載した機種のほうがいいと思います。
重い部類のゲーム
ファイナルファンタジー 15(DX11)
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解像度 | 品質 | 平均fps |
1920x1080 | 軽量品質 | 44 fps |
中程度の重さのゲーム
ファイナルファンタジー 14 暁月のフィナーレ(DX11)
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解像度 | 品質 | 平均fps |
1920x1200 | 標準(ノート) | 61 fps |
中程度の重さのゲーム
フォートナイト
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解像度 | レンダリングモード | 平均fps |
1920x1200 | パフォーマンス (ベータ) | 33 fps |
軽い部類のゲーム
Apex Legends(DX11)
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解像度 | 品質 | 平均fps |
1920x1200 | 低設定 | 84 fps |
軽い部類のゲーム
VALORANT
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解像度 | 品質 | 平均fps |
1920x1200 | 低設定 | 138 fps |
2560x1600 | 低設定 | 103 fps |
高設定 | 45 fps |
軽い部類のゲーム
ドラゴンクエストX
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解像度 | 品質 | 平均スコア |
1920x1080 | 最高品質 | 88 fps / 8779 |
USB Type-C / HDMIの動作テスト
USB Type-Cの動作チェック
USB Type-Cポートの動作チェック結果は、下表の通りです。Thunderbolt4 ポートを搭載しており、PowerDelivery、映像出力にも対応しています。
充電 | モニター 出力 |
有線LAN | ||
ドック | ThinkPad USB Type-C ドック | ○ | ○ | ○ |
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック | ○ | ○ | ○ | |
PD充電器 ※1 |
61W RAVPower GaN充電器 | ○ | ― | ― |
45W Lenovoウルトラポータブル | ○ | ― | ― | |
30W RAVPower GaN充電器 | △ ※3 | ― | ― | |
18W cheero充電器 | △ ※3 | ― | ― | |
モニター ※2 |
EIZO ColorEdge CS2740 | ○ | ○ | ― |
Philips 258B6QUEB/11 | ○ | ○ | ○ |
※2 Type-Cケーブルで接続し、PCへの給電も出来るモニター
※3 低速ケーブルであるとの警告が表示されるものの充電は可能
HDMIの動作チェック
4KテレビへHDMIで接続したときの詳細です。4K、60Hz、8ビット、RGBでの出力が出来ていました。
質量のチェック
質量は16型のノートPCとしては普通です。外へ持ち出す用途には適していません。
質量 | |
PC本体 | 2.158kg |
ACアダプター+電源ケーブル | 384g |
バッテリー駆動時間のチェック
Yoga 770i(16型 インテル)のバッテリー容量は99.99Whと非常に多いです。
バッテリー駆動時間も長いです。ちょっと別の部屋へ移動して、バッテリー状態で使っても、長い間、作業できると思います。
バッテリー駆動時間 | |
(1) JEITA2.0 | 約 20時間 |
(2) 動画再生時 | 14時間54分 |
(3) FF14ベンチ | ― |
(1) メーカー公表値
(2) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
(3) FF14ベンチをループ実行
Webカメラ・スピーカーのチェック
Webカメラ
プライバシーシャッターおよびIRカメラ付きのFHD 1080pのウェブカメラが搭載されています。ノートパソコンのウェブカメラとしては映像が綺麗だと思います。
スピーカー
スピーカーは、キーボードの上部に2Wx2のツイーター、底面には3Wx2のウーファーが搭載されています。ウーファーが搭載されていることで低音の迫力が普通のノートPCよりも良いです。音質についてノートPC基準で、10点満点で採点すると7~8点くらいです(普通が5点。あくまで筆者独自の判断です)。
パーツの温度のチェック
Prime95実行時のCPU温度
Prime95で全CPUコアの使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU温度およびCPU電力の推移を確認します。
「インテリジェント・クーリング」モードでは、CPU電力は約25Wで推移し、45WクラスのCore i7-12700Hにしては低めです。CPU温度は60℃で推移しており、温度には余裕があります。
「エクストリーム・パフォーマンス」モードでは、CPU電力は安定せず25W~45Wを上下しています。CPU温度も上下し、70℃台から90℃台前半を上下しています。温度は問題ない範囲かなと思います。
- インテリジェント・クーリング
- エクストリーム・パフォーマンス
静音性のチェック
Yoga 770i(16型 インテル)の動作音(静音性)は普通です。ただ、アイドル時もやや音が聞こえます。
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。特に、手のひらを置くパームレストの温度変化は重要です。
高い負荷をかけると、キーボード中央部分が熱くなってきますが、常時手を触れる部分ではないため、それほど気にはなりません。
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。
高性能CPU、外部グラフィックス、高解像度液晶を搭載しているので、一般的なノートPCよりは高い消費電力です。ただし、クリエイター向けノートPCやゲーミングノートPCと比較すると、低い消費電力です。
外観のチェック
Yoga 770i(16型 インテル) のボディは、アルミニウムを採用しており、やや丸みを帯びてとても薄く、スタイリッシュな見た目です。
天板には、「YOGA」のロゴが入っています。
ボディの薄さは約19.2mmです。
側面のインターフェースはご覧の通りで、Thunderbolt4、USB3.2 Gen1、HDMIなど主要なものは揃っています。SDカードスロットがフルサイズ対応なのも嬉しいです。
底面はシンプルなデザインです。
底面カバーを外したときの画像はこちらです。ファンは2つ、ヒートパイプは2本です。メモリはオンボードなので、換装することはできません。
ストレージはM.2 SSDが搭載されています。こちらは換装できると思います。
ACアダプターは100Wです。100Wにしては小型ですが、ケーブルが太いです。
まとめ
以上が、Yoga 770i(16型 インテル)のレビューです。
今回、インテル Arc A370Mを初めて使ってみましたが、今回の機種についてはGeForce MX450よりも低いベンチマークスコアでした。2 in 1 PCということもあり、放熱性能があまり高くなく、十分なパフォーマンスが出ない(出せない)のかもしれません。他社のインテル Arc A370M搭載のノートPCも、後日使ってみて確認したいと思います。
また、プロセッサーには高い性能のCore i7-12700Hを搭載していますが、こちらも、このCPUの割には低めのベンチマークスコアでした。
価格が15万円くらいであれば、この性能でも許容範囲なのですが、実際は21万円台と高いです。「ゲームをしたい」、「動画編集をしたい」などといった明確な使用目的があるなら、21万円あれば、もっと適したノートPCを購入できると思います。
ただ、ディスプレイは16:10で、解像度も高く綺麗な画面です。タッチパネルおよびペンにも対応しており、ペンによるレタッチや手書き文字の入力、イラスト制作なども可能です。価格を気にしない人で、画面が見やすく画像編集などもしたいといった方には、良いのではないかと思います。
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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