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Snapdragon X Elite搭載のASUS Vivobook S 15(S5507QA)の実機レビュー

更新日:
CPU Snapdragon X Elite
X1E-78-100
メモリ 32GB
ストレージ 1TB SSD
画面サイズ 15.6インチ 16:9
画面種類 2880×1620 OLED 光沢
質量 約1.42kg
バッテリー 70Wh
価格[税込] 24万円台
Snapdragon X Elite搭載のCopilot+ PC

ASUS Vivobook S 15は、Snapdragon X Eliteを搭載したCopilot+ PC準拠のノートPCです。

Copilot+ PC独自のAI機能が使え、人によってはこれまでのPCの使い方に、大きな変化を及ぼすでしょう。

また、Snapdragon X Eliteの性能が高く、ARM64にネイティブ対応したアプリであれば、非常に処理が高速です。

ARM版Windowsで動かないアプリはまだありますが、メインで使うアプリがARMに対応していればおすすめです。

公式サイト(購入ページ)はこちら

 

レビュー機は、メーカーからの貸出機です。一部部材は量産品と違う可能性があります。

 

目次

お忙しい方は、「ASUS Vivobook S 15の特徴」のみお読みください。

 

製品の特徴

今話題のCopilot+ PC

Vivobook S 15は、今話題の「Copilot+ PC」準拠のノートPCです。Copilot+ PCはマイクロソフトが定義したAI PCのことで、細かい定義はありますが、簡単に言えば、「AI専用プロセッサーのNPUを搭載し、パソコン上でAIアプリを利用することができるPC」のことです。

ごく簡単な絵と説明文を入力するだけで画像を生成してくれる「コクリエイター」や、あらゆる言語をリアルタイムで英語字幕に翻訳してくれる「ライブキャプション」など、Copilot+ PCでしか利用できない機能もあります。どんな機能が利用できるのかについては、「Snapdragon X搭載のCopilot+ PCで何ができるか試してみた!」の記事または、以下の動画に別途まとめていますので、こちらをご覧ください。

[動画]ARM版Copilot+ PCでいろいろなアプリをテストしてみた

 

Snapdragon X Eliteを搭載!

Copilot+ PCの要件を満たしており、かつ出荷されているCPUは、今のところSnapdragon X EliteおよびPlusのシリーズしかありません。

今回は、Snapdragon X Elite X1E-78-100というSoCが搭載されており、その実力が気になる方も多いと思うので、下にベンチマークスコアを掲載します。

まずCPU性能を見ると、Snapdragon X Elite X1E-78-100のマルチコアのスコアは、かなり高いです。シングルコアもMacBook Airに搭載されているApple M3よりは低いものの、Core Ultra 7 155Hと同じくらいのスコアが出ています。

CINEBENCH 2024(マルチコア)
Snapdragon X Elite X1E-78-100 1104
Core Ultra 7 155H 825
Apple M3 617
CINEBENCH 2024(シングルコア)
Apple M3 141
Snapdragon X Elite X1E-78-100 107
Core Ultra 7 155H 103

 

続いて、グラフィック性能を見てみます。Apple M3より劣るものの、Core Ultra 7 155Hとほぼ同じフレームレートが出ています。グラフィック性能も低くはありません。

3DMark Wild Life Extreme
Apple M3 48.4 fps
Core Ultra 7 155H 38.6 fps
Snapdragon X Elite X1E-78-100 37.95 fps

 

また、AI性能については、NPU単体で、Core Ultra 7 155Hが11 TOPS、Apple M3が18 TOPSであるのに対し、Snapdragon X Elite X1E-78-100は45 TOPSです。
※TOPS : 整数演算を秒間何兆回できるかを示す値

TOPS
Snapdragon X Elite X1E-78-100 45 TOPS
Apple M3 18 TOPS
Core Ultra 7 155H 11 TOPS

 

ただし制限もある

このように、ARM64で動けば、Snapdragon X Elite X1E-78-100の処理性能は高いです。主に使用しているアプリがARM64にネイティブ対応していれば、非常に快適に動くので、ARM版のCopilot+ PCもアリかなと個人的には思います。 

ただし、アプリがARM64にネイティブ対応しておらず、エミュレーションでの動作となった場合は、性能がやや落ちます。特にCPU性能が落ちるようです。アプリによっては遅く感じるかもしれません。

また、ハードウェアやシステムに深く関わっているセキュリティソフトやドライバーなどは、ARM対応版が用意されていない限り動作しません。また、ARM版が提供されていたとしても、一部機能が制限されている場合もあります。なお、ESETやマカフィーなどのセキュリティソフトはARM対応しているようです。

また、競技性の高いゲームなど、アンチチートプログラムを組み込んだゲームも動作しない可能性が高いです。例えば、フォートナイトやVALORANTは起動することが出来ませんでした。さらに、動いたとしてもゲームはエミュレーションで動く場合がほとんどなので、(エミュレーションでの動作の場合、GPU性能はあまり落ちないとも言われていますが、CPUも使っているので)フレームレートがやや落ちます。個人的にはゲームをするのであれば、現状ではインテルやAMDプロセッサーを搭載したPCのほうが、おすすめです。

ただ、ARM版Windows 11では64bitのアプリも動くようになっており、昔と比べると動くアプリは大分増えたかなという印象はあります。

 

15.6型ノートPCとしては軽くて薄い

Vivobook S 15は、15.6型のディスプレイを搭載したノートPCとしては、非常に軽くて薄いです。

このサイズのノートPCだと、約2kg、約20mmの高さくらいが普通ですが、本製品は約1.42kg、約14.7~15.9mmの高さしかありません。大きな画面のノートPCが持ち運びやすいです。

約1.42kgと軽い
約14.7~15.9mmの薄型ボディ

 

有機ELディスプレイを搭載し色鮮やか

Vivobook S 15は、ディスプレイに有機ELを搭載し、色鮮やかで黒の表現力が高いです。色域はDCI-P3 100%となっています。

有機ELディスプレイを搭載

 

省電力性能はそうでもない?

Vivobook S 15は、基本的には省電力です。

ディスプレイが全く異なるので、正確な比較にはなっていませんが、Vivobook S 15および、Core Ultra 7 155H搭載のAcer Swift Go、Apple M3搭載のMacBook Airで計測した消費電力を下に掲載します。

Vivobook S 15は、ディスプレイのサイズが大きく、解像度も高いこともあり、アイドル時の消費電力はCore Ultra 7 155Hを搭載したAcer Swift Goよりも高かったです。しかし、YouTubeの動画を再生させたときの消費電力は、逆にAcer Swift Goよりも若干低い数値でした(誤差程度ですが・・・)。アプリや操作内容によってはやや省電力だと思います。

ただし、Premiere ProでFHD動画をプレビュー再生させた場合は、Acer Swift Goよりも高い消費電力になりました。これはPremiere ProはARM64にネイティブ対応しておらず、エミュレーターで動作していることが原因の1つとしてあると思います。動かすアプリによってはそこまで省電力ではありません。

Macbook Airと比較した場合は、画面サイズが小さいということを差し引いても、Macbook Airのほうが消費電力は低いと言えます。Macbook Airの省電力性能はちょっと異次元です。

消費電力
  アイドル時 YouTube再生 Premiere Pro
動画編集
Vivobook S 15
 Snapdragon X Elite
 15.6型 2880×1620 OLED
7W 12W 34W
Acer Swift Go
 Core Ultra 7 155H
 14型 2240x1400 液晶
6W 13W 15W
MacBook Air
 Apple M3
 13.6型 2560x1664 液晶
4W 5W 7W

 

続いて、YouTubeの動画再生時のバッテリー駆動時間を比較します。MacBook Airと比較すると、約半分のバッテリー駆動時間です。Vivobook S 15のほうが画面が大きく、解像度も高いですが、バッテリー容量は多いです。このことを総合的に考慮しても、MacBook Airのほうがバッテリー駆動時間は大分長いです。

Acer Swift Goと比較した場合は、Vivobook S 15のほうが若干長いかなといった程度です。

バッテリー駆動時間
  YouTube再生
Vivobook S 15
 70Wh
9時間43分
Acer Swift Go
 65Wh
9時間21分
MacBook Air
 52.6Wh
19時間55分

 

各用途の快適度

各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。

各用途の快適度
用途 快適度 コメント
Web閲覧
Office作業
画面サイズが大きく、色域も広く快適いので、Web閲覧は快適です。また、マイクロソフト Officeは、ARM64版Windowsにネイティブ対応しているので、快適に動きます。
動画鑑賞 有機ELディスプレイを搭載し映像が綺麗で、スピーカー音も悪くはありません。快適に動画鑑賞をすることができるでしょう。
RAW現像
画像編集
100% DCI-P3の有機ELを搭載しており、画像編集系の作業にも使うことができます。Lightroom(Classicは不可)やPhotoshopであれば、ARM64で実行できます。
動画編集 △~○ Davinci Resolveであれば一部機能をNPUで実行させることができ、ARM64(x64互換)で動作するのである程度使えますが、書き出しは若干遅かったです。Premiere ProはまだARM非対応ですが、今夏には対応版がリリースされる予定だそうです。
ゲーム 動かないゲームもありますし、動いてもエミュレーターで動くので、そこまで高いフレームレートが出ないケースもあります。ゲームをするなら、インテル版やAMD版のPCがおすすめです。 

 

ディスプレイのチェック

Vivobook S 15のディスプレイは、2,880×1,620ドットの有機ELディスプレイを搭載しており色鮮やかです。120Hzのリフレッシュレートにも対応しています。その他特性の詳細は、下のタブをクリックしてご覧ください。

  • 色域・輝度
  • 視野角
  • 映り込み・
    ギラつき
  • フリッカー

今回、i1ProfilerのソフトがARM版に対応していないので計測はしていませんが、メーカーサイトを見ると100% DCI-P3と書かれています。最大輝度は、当サイトの計測では367cd/m2で、やや高めでした。

視野角は広いので、やや角度が悪くても色の変化が起こりにくく見やすいです。

視野角(斜めから見たときの見やすさ)

光沢ディスプレイなので、画面への映り込みがあります。光沢が苦手な方はご注意下さい。ギラつきは感じません。

画面への映り込み

PWM調光によるフリッカー(ちらつき)の有無の確認結果です。下図のように多少波打っておりフリッカーはあるものの、輝度の変動は小さかったです。

PWM調光の有無の確認
※フォトディテクターにオシロスコープを繋げて計測

なお、輝度を下げる場合は、Windowsの輝度設定を100%にしつつ、MyASUSアプリのOLEDフリッカーフリーディミングという機能を使用して輝度を下げると、フリッカーを抑えることができます。

OLED フリッカーフリーディミング

 

キーボードおよびタッチパッドのチェック

Vivobook S 15のキーボードの打ちやすさは普通です。

実測で、キーピッチは、横:約19mm、縦:約18mm強、キーストロークは約1.5mmでした。標準的な数値です。キートップは若干湾曲しており、指がフィットしやすいです。

「半角/全角」キーや、「Backspace」や「\」などが小さい点は気になります。矢印キーも小さいです。

テンキーが搭載されており、数字の入力はしやすいですが、「+」などの位置は標準的なテンキーとは異なる位置にあるので押しにくいです。

タッチパッドは大きめのサイズで、左寄りに配置されているので使いやすいです。

キーボード全体図
※画像をクリックすると拡大できます
キーの拡大図

 

RGBバックライトを搭載しており、色などを変更することができます。

キーボードバックライト
キーボードバックライトの設定

 

パフォーマンスのチェック

Vivobook S 15のパフォーマンスをチェックします。

Vivobook S 15では、MyASUSアプリでファンモードを変更することができます。ここでは、デフォルトの「スタンダードモード」と、高いパフォーマンスが出る「フルスピードモード」で計測した結果を掲載します。

ファンモード

 

CPU

前述した通り、CPUには、ARMベースのSnapdragon X Elite X1E-78-100が搭載されています。

 

CINEBENCH 2024

まずは、ARM64でネイティブ動作するCINEBENCH 2024のスコアを見ていきます。

マルチコア性能は非常に高く、Core Ultra 7 155Hの約30%も高いスコアで、Macbook Air搭載のApple M3よりも約80%も高いスコアでした。

シングルコアに関しては、Apple M3よりは劣るものの、Core Ultra 7 155Hとほぼ同等のスコアが出ていました。

なお、「フルスピードモード」にすると、スコアが少しアップしています。

CINEBENCH 2024(ARM64動作)
Snapdragon X Elite X1E-78-100
他のCPUとの比較(マルチコア)
Core i9-14900HX 1748
Core i9-13900HX 1512
Core i7-14700HX 1280
Snapdragon X Elite X1E-78-100 1104 [フルスピード]
957 [スタンダード]
Ryzen 9 8945HS 919
Core i7-13700H 855
Core Ultra 7 155H 825
Core i5-13500H 778
Core Ultra 5 125H 669
Core i7-1360P 664
Apple M3 617 (MacBook Air)
Core i5-1340P 599
Ryzen 7 7730U 575
Core 5 120U 558
Ryzen 5 7530U 477
Core i5-1335U 435
他のCPUとの比較(シングルコア)
Apple M3 141 (MacBook Air)
Core i9-14900HX 128
Core i7-14700HX 124
Core i9-13900HX 119
Core i7-13700H 114
Core 5 120U 110
Core i5-1335U 109
Snapdragon X Elite X1E-78-100 107 [フルスピード]
106 [スタンダード]
Ryzen 9 8945HS 106
Core i5-13500H 105
Core Ultra 7 155H 103
Core Ultra 5 125H 101
Ryzen 7 7730U 99
Core i7-1360P 99
Core i5-1340P 99
Ryzen 5 7530U 84
 :本製品で選択できるプロセッサー
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

Geekbench 6

続いて、Geekbench 6のスコアを掲載します。こちらもARM64で動作します。先のCINEBENCHは、処理を開始してから10分経過後にスコアを計測するのに対し、Geekbenchはすぐにスコアを計測し始めるので、最初のブースト時のCPU電力が高めのプロセッサーのほうがスコアが出やすくなっています。

マルチコアのスコアは、Snapdragon X Elite X1E-78-100のほうがCore Ultra 7 155Hより16%も高く、Apple M3より18%も高かったです。

シングルコアのスコアは、Apple M3よりは低いものの、Core Ultra 7 155Hとはほぼ同等でした。

Geekbench 6(ARM64動作)
Ryzen 7 8840HS
他CPUとの比較(Multi-Core)
Core i7-14700HX 15432
Snapdragon X Elite X1E-78-100 14357 [フルスピード]
14243 [スタンダード]
Core i7-13700H 12503
Core Ultra 7 155H 12375
Apple M3 12084 (MacBook Air)
Ryzen 7 8845HS 11900
Ryzen 7 8840HS 11261
Ryzen 7 8840U 10824
Core 5 120U 9557
Core Ultra 5 125U 9219
Ryzen 5 8540U 9174
Core i7-1360P 8886
他CPUとの比較(Single-Core)
Apple M3 3036 (MacBook Air)
Core i7-14700HX 2923
Core i7-13700H 2555
Ryzen 7 8840U 2543
Core 5 120U 2526
Ryzen 7 8840HS 2456
Ryzen 5 8540U 2447
Ryzen 7 8845HS 2436
Core i7-1360P 2416
Snapdragon X Elite X1E-78-100 2369 [フルスピード]
2340 [スタンダード]
Core Ultra 7 155H 2332
Core Ultra 5 125U 2129
 :本製品で選択できるプロセッサー
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

CINEBENCH R23

CINEBENCH R23は、ARM64に対応していないので、エミュレーターで動作します。そのため、CINEBENCH 2024では大きく勝っていたCore Ultra 7 155Hより、低いマルチコアのスコアになりました。ただ、Core i7-1360Pよりは高いスコアです。

シングルコアのスコアについては、Core Ultra 7 155Hより大分低くなっています。場合によっては、体感で遅く感じることもあるかもしれません。

CINEBENCH R23(x64動作)
Snapdragon X Elite X1E-78-100
他のCPUとの比較(マルチコア)
Ryzen 9 7945HX 33229
Core i9-14900HX 29314
Core i7-14700HX 21893
Ryzen 7 8845HS 16387
Core Ultra 7 155H 14073
Ryzen 7 8840HS 13668
Ryzen 7 8840U 12575
Core Ultra 5 125H 12239
Snapdragon X Elite X1E-78-100 12061 [フルスピード]
10333 [スタンダード]
Ryzen 5 7535HS 10356
Core i7-1360P 9720
Core Ultra 5 125U 9553
Ryzen 5 8540U 9378
Core 5 120U 9317
Apple M3 8788 (MacBook Air)
Core i5-1335U 8249
Core i7-1165G7 4720
他のCPUとの比較(シングルコア)
Core i9-14900HX 2196
Core i7-14700HX 2113
Ryzen 9 7945HX 1951
Apple M3 1896 (MacBook Air)
Core 5 120U 1879
Core i7-1360P 1826
Core Ultra 7 155H 1810
Ryzen 7 7840HS 1764
Ryzen 7 8840U 1763
Core i5-1335U 1723
Core Ultra 5 125H 1712
Ryzen 5 8540U 1701
Ryzen 7 8840HS 1686
Ryzen 7 8845HS 1682
Core Ultra 5 125U 1581
Core i7-1165G7 1447
Snapdragon X Elite X1E-78-100 1125 [フルスピード]
1125 [スタンダード]
 :本製品で選択できるプロセッサー
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

グラフィックス

続いて、グラフィックス性能を確認します。

3DMark Night Raid

まずはARM64での動作に対応した3DMark Night Raidのスコアを掲載します。Snapdragon X Elite X1E-78-100は、Core Ultra 7 155Hよりも20%ほど低いスコアです。

3DMark Night Raid(ARM64で動作)
Snapdragon X Elite X1E-78-100
他のグラフィックスとの比較(Graphics score)
GeForce RTX 3050 52196
GeForce RTX 2050 48410
GeForce GTX 1650 45149
Core Ultra 7 155H
Intel Arc(LPDDR5)
35888
Ryzen 7 8840HS
Radeon 780M(LPDDR5X)
35847
GeForce MX550 35717
Core Ultra 5 125H
Intel Arc(LPDDR5X)
35271
Ryzen 7 8845HS
Radeon 780M(LPDDR5X)
35241
Ryzen 7 8840U
Radeon 780M(DDR5)
29410
Snapdragon X Elite X1E-78-100 28779 [スタンダード]
28752 [フルスピード]
Ryzen 7 7735U
Radeon 680M(LPDDR5)
28714
Core i7-1360P
Intel Iris Xe(LPDDR5)
21897
Core Ultra 5 125U
Intel Graphics(DDR5)
21525
Ryzen 5 8540U
Radeon 740M(DDR5)
20053
Core 5 120U
Intel Graphics(LPDDR5X)
18333
Core i5-1340P
Intel Iris Xe(LPDDR5)
17774
Ryzen 7 7730U
Radeon Graphcis(LPDDR4X)
17524
Core i5-1335U
Intel Iris Xe(DDR4)
16835
Ryzen 5 7530U
Radeon Graphcis(LPDDR4X)
16389
 :本製品で選択できるグラフィックス
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

3DMark Wild Life Extreme

続いて、Apple M3と比較するために、マルチプラットフォーム対応の3DMark Wild Life Extremeのスコアを掲載します。こちらはCore Ultra 7 155Hと同等のスコアが出ていましたが、Apple M3よりは低いスコアでした。

3DMark Wild Life Extreme(ARM64で動作)
Snapdragon X Elite X1E-78-100
他のグラフィックスとの比較
GeForce RTX 3050 (40W) 53.8 fps
Apple M3
10コアGPU
48.4 fps (MacBook Air)
Core Ultra 7 155H 38.6 fps
Snapdragon X Elite X1E-78-100 37.95 fps [スタンダード]
37.53 fps [フルスピード]
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

ストレージ

ストレージには、PCIe Gen4 SSDを搭載しており、高速です。

CrystalDiskMark
~ ストレージ性能の評価 ~
1TB PCIe SSD
他のストレージとの比較(シーケンシャルリード [MB/s] )
PCIe Gen4 SSD 7300
5012
 PCIe Gen3 SSD 3500
SATA SSD 550
2.5インチHDD 150
 :本製品で選択できるストレージ
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

SDカードスロット

micro SDカードスロットが搭載されていますが、アクセス速度はあまり速くありません。

CrystalDiskMark
~ SDカードスロット性能 ~
最大300MB/sのUHS-Ⅱのカードで測定

 

クリエイターソフトの処理時間

Vivobook S 15の各クリエイターソフトの処理時間を下に掲載します。

Adobe LightroomによるRAW現像時間

Lightroomは、ARM64でネイティブ動作するため、比較的速いです。100枚のRAWデータの書き出しは、Core Ultra 7 155Hよりも高速でした。

なお、Lightroom Classicには対応していないのでご注意下さい。

Apple M3 2分20秒 (MacBook Air)
Snapdragon X Elite X1E-78-100 2分37秒
Core Ultra 7 155H 3分13秒
※プロファイル補正、露光量+1、シャドウ+10、自然な彩度+10、ノイズ軽減+10を適用した100枚のRAWファイル(1枚あたり約45MB)を同じ書き出し設定(デフォルト)でjpegに書き出し、所要時間を計測
Adobe Photoshopによる各種処理時間

PhotoshopもARM64に対応しているため、比較的速いです。時間のかかるAIを使った以下のニューラルフィルター処理は、Core Ultra 7 155Hよりも高速でした。

ニューラルフィルター(スーパーズーム(x2))
Apple M3
8CPU/10GPU
49秒 (MacBook Air)
Core i5-13500H
RTX 3050
1分03秒
Ryzen 7 8845HS
Radeon 780M
1分18秒
Ryzen 7 8840U
Radeon 780M
1分19秒
Snapdragon X Elite X1E-78-100 2分21秒
Core Ultra 7 155H
Intel Arc
4分06秒
Core Ultra 5 125U
Intel Graphics
5分34秒
ニューラルフィルター(JPEGのノイズを削除)
Apple M3
8CPU/10GPU
1分05秒 (MacBook Air)
Snapdragon X Elite X1E-78-100 1分40秒
Core i5-13500H 2分35秒
Core Ultra 7 155H 3分13秒
Ryzen 7 8845HS 4分08秒
Core Ultra 5 125U 4分31秒
Ryzen 7 8840U 4分44秒
※ 6000x4000のRAWデータを編集
Adobe Premiere ProによるFHD動画の書き出し時間

Premiere Proは、まだARM64に対応しておらず、エミュレーションでの動作となるため、遅いです。今夏に対応するということなので、待ち遠しいです。

Apple M3
8CPU/10GPU
1分44秒 (MacBook Air)
Core Ultra 7 155H
Intel Arc
2分29秒
Ryzen 7 8845HS
Radeon 780M
2分34秒
Core i7-1360P
Intel Iris Xe
2分49秒
Ryzen 7 8840U
Radeon 780M
2分58秒
Core i7-1165G7
Intel Iris Xe
14分12秒
Snapdragon X Elite X1E-78-100 14分31秒
※ FHD/30p動画(約10分)に、「テキスト」+「露光量」+「自然な彩度」+「トランジション」のエフェクトおよびBGMとなるオーディオを加え、H.264形式、YouTube 2160p 4K Ultra HDのプリセットで書き出したときの時間
DaVinci Resolve Studio 19 Betaによる書き出し時間

DaVinci Resolove Studio 19 Betaによる書き出し時間です。こちらも高速でした。

Apple M3
8CPU/10GPU
6分7秒 (MacBook Air)
Core Ultra 7 155H 6分7秒
Snapdragon X Elite X1E-78-100 8分43秒
※ 4K/30p動画(約10分)に、「テキスト」+「明るさ(カーブ)の変更」+「彩度の変更」+「トランジション」のエフェクトおよびBGMとなるオーディオを加え、MP4、H.264、2160p 4K Ultra HD、29.97 fpsで書き出したときの時間

 

USB Type-C / HDMIの動作テスト

USB Type-Cの動作チェック

Vivobook S 15は、USB4ポートを2つ搭載しており、USB-C周辺機器の動作テスト結果は次のようになります。いずれの機器も使用することができましたが、Power Deliveryによる充電は、90W以上じゃないと警告が表示されます。

USB Type-C充電器/ドックの動作テスト
  充電 モニター
出力
有線LAN
ドック ThinkPad USB Type-C ドック ○ ※3
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック ○ ※3
PD充電器
※1
140W アドテック PD3.1充電器
100W Anker PowerPort III
90W RAVPower GaN充電器 ○ ※3
65W Lenovo GaN充電器 ○ ※3
45W Lenovoウルトラポータブル ○ ※3
モニター
※2
EIZO ColorEdge CS2740
(4Kモニター)
○ ※3
※1 Power Delivery対応の充電器
※2 Type-Cケーブルで接続し、PCへの給電も出来るモニター
※3 低速充電中であるとの警告が表示

 

HDMIの動作チェック

HDMIポート経由で、4Kモニターに映像を出力してみましたが、4K、60Hz、8ビット、RGBで表示することができました。

4Kモニター(BenQ EX3210U)へ接続したときの詳細

 

質量のチェック

Vivobook S 15の質量のチェックです。

メーカー仕様値では「約1.42kg」となっています。当サイトの計測値は以下の通りで、仕様値とほぼ同じでした。ACアダプターも、小型で軽いです。どちらも持ち運びやすいです。

質量の計測結果(当サイトによる実測値)
  質量
PC本体 1.432kg
ACアダプター+電源ケーブル 369g

 

バッテリー駆動時間のチェック

Vivobook S 15のバッテリー駆動時間のチェックです。

バッテリー容量は約70Whと大容量です。

バッテリー容量

 

バッテリー駆動時間ですが、JEITA3.0についてはまだ公開されていません。

当サイトにて、ローカル上に保存した低解像度の動画を、ARM64対応のメディアプレイヤーで再生したテストでは、約17時間も駆動しました。YouTubeでのFHD動画の再生時でも9時間43分でした。

ARM版Windowsということで比較的長いバッテリー駆動時間ではありますが、ディスプレイが大きめで高解像度であることもあり、期待したほどではありませんでした。

バッテリー駆動時間
  バッテリー駆動時間
(1) JEITA3.0(アイドル時) 未公開
(2) JEITA3.0(動画再生時) 未公開
(3) ローカルの480p動画の再生時 17時間47分
(4) YouTubeでFHD動画の再生時 9時間43分
※画面輝度は約120cd/m2
(1)~(2) メーカー公表値
(3) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生。画面輝度は約120cd/m2

 

Webカメラ・スピーカーのチェック

Webカメラ

Vivobook S 15のウェブカメラには、207万画素のフルHDカメラを搭載しています。やや彩度が低いですが、オンライン会議では問題なく使えます。

また、IRカメラを搭載しており、顔認証にも対応しています。カメラを物理的に隠すシャッターも搭載しています。

Webカメラ
本製品のカメラで撮影
※クリックすると拡大できます。
※Webカメラの前にマネキンを置いて、約40cm離し、Windows標準のカメラアプリで撮影

 

スピーカー

底面の左右サイドに1W x2のステレオスピーカーが配置されています。音質はやや良く、ノートPC基準で10点満点で6点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。

スピーカー

 

静音性のチェック

Vivobook S 15の動作音(静音性)のチェック結果です。

アイドル時はほぼ無音です。YouTubeの動画再生くらいの負荷であればほとんど動作音は聞こえません。高めの負荷をかけるとややうるさく感じてきますが、他のノートPCと同等程度の騒音値です。

騒音値
アイドル時 低負荷時
[YouTube再生]
中負荷時
[動画編集]
高負荷時
[エンコード]
約20dB 約24dB 約37dB 約41dB
計測機器:リオン NL-42K
部屋を極力無音にしたときの騒音値:20dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
【PCの状態】
アイドル時:アイドル時
低負荷時:1080pのYouTube動画再生時
中負荷時:Premiere Proで、編集中の1080pの動画をプレビュー再生した時
高負荷時:TMPGEnc Video Mastering Works でエンコード(x265)した時

 

参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。

使用計器の騒音値の目安

 

表面温度のチェック

本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。特に、手の平を置くパームレストの温度変化は重要です。

負荷をかけると、キーボードの中央の上部がやや熱くなってきますが、常時手が触れている場所ではないので、それほど気になりません。快適に作業ができると思います。

PC本体の表面温度
サーモグラフィー:FLIR ONE PRO
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※約10分経過後に計測しています

 

消費電力のチェック

消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。

大きめのサイズで、高い解像度のディスプレイを搭載しているので、それなりに消費電力はあります。また、下表の中負荷、高負荷時のように、エミュレーターで動作するものはやや消費電力が高めになっているように思われます。

消費電力
アイドル時 低負荷時
[YouTube再生]
中負荷時
[動画編集]
高負荷時
[エンコード]
7W  12W 34W 55W
測定機器:ワットチェッカー TAP-TST8
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています

 

外観のチェック

Vivobook S 15の外観のチェックです。

ボディはシルバーで、指紋などが目立ちにくいです。

 

天板には、小さい文字で「ASUS VIVOBOOK」と印字されています。

 

ボディは非常に薄いです。

 

インターフェースはご覧の通りで、割とポート類は揃っています。

 

ディスプレイは約180度開くので扱いやすいです。

 

底面はシンプルなデザインです。

 

ACアダプターは90Wと大きめの容量です。高負荷時は消費電力が高くなることが想定されているのだと思います。

 

まとめ

以上が、ASUS Vivobook S 15のレビューです。

今回、初めてSnapdragon X Elite X1E-78-100を搭載したAMR版WindowsのCopilot+ PCを触ってみましたが、処理性能は割と高い印象を受けました。ARM64にネイティブ対応したアプリであれば快適に使うことが出来ます。

エミュレーターで動作するアプリは動作が遅くはなりますが、負荷の低いものであれば、そこまでストレスなく使えるでしょう。

まだARM版Windowsで動かないアプリもあります。そういったアプリを使う場合、今夏にインテル版およびAMD版のCopilot+ PCが発売予定なので、それまで待ちましょう。

その他、ディスプレイは色鮮やかで綺麗ですし、15.6型と大きめの画面&ボディの割には軽量・薄型です。

価格が249,800円と高めである点や、動かないアプリもある点から、多くの人におすすめする機種ではありませんが、Copilot+ PC独自の機能を使ってみたい方や、MS Office、Adobe Photoshop、ブラウザなどARM64にネイティブ対応したアプリを主に使う方には、割とおすすめです。

 

Snapdragon X Elite搭載のCopilot+ PC

ASUS Vivobook S 15

特徴

  • Snapdragon X Elite搭載のARM版Windowsノート
  • Copilot+ PC準拠
  • 有機ELディスプレイ搭載

こんなあなたに

  • Copilot+ PC独自の機能を使ってみたい方
  • ARM64にネイティブ対応したアプリを主に使う方
  • 価格24万円台[税込]~
公式サイト(購入ページ)はこちら

 

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