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ASUS Zenbook Pro 15 OLEDの実機レビュー
CPU | Ryzen 9 5900HX Ryzen 7 5800H |
---|---|
メモリ | 8GB / 16GB |
ストレージ | 512GB /1TB PCIe SSD |
画面サイズ | 15.6インチ |
画面種類 | FHD 有機EL 光沢 |
質量 | 約1.855kg |
バッテリー | 96Wh |
価格[税込] | 15万円台~ |
Zenbook Pro 15 OLEDは、ディスプレイには有機ELを搭載したノートPCで、画像や映像を綺麗に表示することができます。
プロセッサーには、HシリーズRyzen 9などの高性能CPUを搭載しています。
外部GPUは搭載していないので、ゲームや動画編集などには適しませんが、一般的な作業ならサクサク動くと思います。
また、バッテリー駆動時間が非常に長いので、部屋を移動して作業をすることが多い方に適しています。
レビュー機は、当サイトでの購入品です。今回は次の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Ryzen 9 5900HX、16GBメモリ、1TB PCIe SSD
目次
お忙しい方は、「ASUS Zenbook Pro 15 OLEDの特徴」のみお読みください。
製品の特徴
有機ELディスプレイを搭載
Zenbook Pro 15 OLEDは、OLED(有機EL)を搭載している点が特徴のノートパソコンです。
解像度はFHDと一般的なノートパソコンと変わらないものの、色鮮やかで、深みのある黒を表現することができ、残像感も少ないディスプレイです。1,000,000:1とハイコントラストで、HDRにも対応しています。
また、10bit表示対応のディスプレイなので、HDR設定をオンにし、アプリ側も設定をすれば、10bit表示することも可能です。
試しに、Photoshopで設定してみましたが、10bit表示出来ていました。10bit表示になっているか確認できるサンプル画像を表示しても、問題ありませんでした。
タッチパネルにも対応しており、直感的な操作が可能です。
高いCPU性能でサクサク動く
Zenbook Pro 15 OLEDは、Ryzen 9 5900HXおよびRyzen 7 5800HのTDP 45Wクラスの高性能プロセッサーを搭載しています。一般的なノートパソコンに搭載されることが多いTDP 28WクラスのインテルCoreプロセッサー(Core i7-1185G7など)と比べると、ベンチマークスコアはかなり高いです。多くの作業がサクサク進むでしょう。
実際のソフトの「TMPGEnc Video Mastering Works 7」によるエンコード時間を確認しても、Core i7-1185G7などよりもかなり早く処理が終わります。
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
ただし、Adobe Lightroom Classicなどの現像時間を見てみると、Core i7-1185G7などと大きく変わりません。遅いわけではありませんが、ソフトや処理内容によっては、そこまで速くはありません。
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
また、外部グラフィックスを搭載していないので、動画編集やゲームにも不向きです。いくらCPUが高性能であるからといって、どんなソフトも速いわけではありません。そのあたりは注意しましょう。
長いバッテリー駆動時間
Zenbook Pro 15 OLEDは、96Whもの大容量バッテリーを搭載しています。CPUは高性能であるため消費電力は通常のノートPCより高めですが、それでもかなりの時間、バッテリー状態で駆動します。リモートワークで、書斎で仕事をしたり、リビングで仕事をしたりなど、場所を変えて作業をするような方にいいでしょう。
バッテリー駆動時間の実測値は「バッテリー駆動時間のチェック」をご覧ください。
文字がやや見づらいと感じるかも?
Zenbook Pro 15 OLEDで、小さい文字を表示すると、わずかですが、文字に赤などの色が混じっているように見えます。
これは、有機ELディスプレイのサブピクセルがペンタイル配列(図の上)になっているためだと思われます。15.6型4K有機ELディスプレイのノートPCを使ったときはそれほど気になりませんでしたが、15.6型FHDのディスプレイだと画素密度が141ppiと小さいためか、筆者は気になりました。また、フリッカーもありますし、表面が光沢であることから周囲の物が映り込みます。
ただし、見え方には個人差があると思うので、人によっては、全く気にならない方もいると思います。また、大きい文字はそれほど気になりません。
各用途の快適度
各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧 Office作業 |
○ | 動作自体はサクサク動きますし、画像も綺麗です。ただ、前述したように、文字がやや見にくく感じるため、Officeでの文書作成が主な用途なら、普通の液晶のノートPCで十分だと思います。 |
---|---|---|
オンライン会議 | ○ | 問題なく出来ます。ノイズキャンセリング機能も搭載されています。 |
動画鑑賞 | ◎ | 有機ELディスプレイ搭載で、HDRにも対応し、動画は非常に綺麗です。スピーカー音もまずまずです。 |
RAW現像 画像編集 |
○ | 色域が広いので、画像編集などにも使えます。CPU性能も高いので、ソフトによっては処理も高速です。ただ、Adobe Lightroomの現像時間はそこまで速くはなかったです。また、外部グラフィックスを搭載していないので、PhotoshopのAIを使ったような処理は速くありません。 |
動画編集 | △~○ | ライトにFHDの動画編集をするくらいなら、できると思います。ただし、外部グラフィックスを搭載していないので、頻繁に動画編集したいのであれば、他の製品のほうがいいです。 |
ゲーム | △ | 外部GPUを搭載していないため、ゲーム向きではありません。ただし、軽いゲームなら、ある程度のフレームレートが出るでしょう。 |
ディスプレイのチェック
Zenbook Pro 15 OLEDのディスプレイのチェックです。
有機ELパネルを採用し、解像度は標準的なFHDです。色域は広く、色鮮やかな表示が可能です。最大輝度は、メーカーサイトのこちらの仕様表を見ると、484cd/m2となっています。
上に掲載したとおり、文字が小さいとやや見にくいのと、フリッカーがあるのがやや気になります。画像や映像を観るにはいいディスプレイだと思いますが、文章を読んだり、書いたりする分には、普通のLCDディスプレイのほうが個人的には見やすいと感じます。
その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 映り込み・
ギラつき - フリッカー
色域(色の表現できる範囲)は非常に広いです。
カバー率 | |
sRGBカバー率 | 100% |
---|---|
DCI-P3カバー率 | 100% |
Adobe RGBカバー率 | 99.1% |
キーボードおよびタッチパッドのチェック
Zenbook Pro 15 OLEDのキーボードのチェックです。
キーピッチは約18.7mm、キーストロークは約1.35mmです。実測で縦方向のキーピッチは約18mmです。キートップはわずかに(約0.1mm)くぼんでいます。ほとんどの主要なキーは同じサイズですが、「半角/全角」キーのサイズが小さいのが残念です。打ち心地は普通だと思います。
テンキーも付いていますが、3列なので「+」などの位置が通常とは異なります。
タッチパッドおよびクリックボタンは普通の使いやすさです。
パフォーマンスのチェック
Zenbook Pro 15 OLEDのパフォーマンスをチェックします。
MyASUSのアプリから動作モードを変更することができます。ここでは、デフォルトの「バランスモード」と、高いパフォーマンスが出る「パフォーマンスモード」で、各種ベンチマークスコアを計測しました。
CPU
プロセッサーには、Ryzen 9 5900HXまたはRyzen 7 5800Hを搭載しており、CINEBENCH R23のスコアは非常に高いです。特にマルチコア性能が高く、ソフトウェアエンコードなど、全てのコアを使うような処理は非常に速いです。
~ CPU性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
なお、高負荷時のCPU電力、CPUクロック、CPU温度は「パーツの温度のチェック」で記載しています。
メモリ
メモリはオンボードのLPDDR4X-4266を搭載しています。ただ、LPDDR4X-4266の割にはそこまで速くはありませんでした。一般的なノートPCと同等程度のメモリ速度です。
~メモリ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア
グラフィックス
グラフィックスは、外部グラフィックスではなく、CPU内蔵グラフィックスを使用します。
3DMarkのベンチマークスコアは、次の通りで、CPU内蔵のグラフィックスとしては高めです。ただ、CPUとのバランスを取るために、GeForce GTX 1650クラスでもいいので、外部GPUを搭載して欲しいところでした。そうすれば、動画編集にも適したPCになったと思います。
~ グラフィックス性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
ストレージ
ストレージには、PCIe SSDを搭載しており、十分な速さです。
~ ストレージ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
SDカードスロット
画像編集などにも使える製品なので、フルサイズのSDカードスロットを搭載している点は良かったです。アクセス速度は普通です。
クリエイターソフトの処理時間
各クリエイターソフトの処理時間を下に掲載します。
AdobeソフトをノートPCで使う場合、Coreプロセッサーより、Ryzenプロセッサーのほうが処理が遅い傾向があります。
TMPGEnc Video Mastering Works 7にるソフトウェアエンコードは非常に速かったです。
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
「Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください
処理時間 | |
ニューラルフィルター(肌をスムーズに) | 約2秒 |
ニューラルフィルター(スーパーズーム(x2)) | 約1分40秒 |
ニューラルフィルター(JPEGのノイズを削除) | 約2分40秒 |
スーパー解像度 | 約16秒 |
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
USB Type-C / HDMIの動作テスト
USB Type-Cの動作チェック
USB Type-Cポートを利用して、純正以外の充電器やドックが使えるかを試しました。
USB-Cポートは、データ転送のみ対応しています。Alt Modeによる映像出力や、Power Deliveryには対応していません。
充電 | モニター 出力 |
有線LAN | ||
ドック | ThinkPad USB Type-C ドック | × | × | ○ |
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック | × | × | × | |
PD充電器 ※1 |
61W RAVPower GaN充電器 | × | ― | ― |
45W Lenovoウルトラポータブル | × | ― | ― | |
30W RAVPower GaN充電器 | × | ― | ― | |
18W cheero充電器 | × | ― | ― | |
モニター※2 | EIZO ColorEdge CS2740 | × | × | ― |
※2 Type-Cケーブルで接続し、PCへの給電も出来るモニター
HDMIの動作チェック
4KテレビへHDMIで接続したときの詳細です。4K、60Hz、YCbCr444での表示が出来ていました。
質量のチェック
Zenbook Pro 15 OLEDの質量のチェックです。
メーカーサイトには「約1.855kg」とありますが、当サイトの計測値もほぼ同様です。
質量 | |
PC本体 | 1.860kg |
ACアダプター+電源ケーブル | 456g |
バッテリー駆動時間のチェック
Zenbook Pro 15 OLEDのバッテリー駆動時間のチェックです。
バッテリー容量は96Whと非常に多いです。
バッテリー駆動時間は下の通りです。CPUは高性能で消費電力が高いですが、外部グラフィックスを搭載していないこともあり、バッテリー駆動時間は非常に長いです。
バッテリー駆動時間 | |
(1) JEITA2.0 | メーカー側で測定中とのこと |
(2) PCMark 10 Modern Office | 15時間11分 |
(3) 動画再生時 | ー |
(4) PCMark 8 Work | 12時間32分 |
(1) メーカー公表値
(2) 文書作成、ブラウジング、ビデオ会議といった事務作業。アイドル時も多く軽めの処理
(3) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
(4) ブラウザでのショッピング/画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャット等。やや重めの作業
当サイトで計測した1時間あたりの充電容量は次の通りです。割合でいえば52%とそこまで高くはありませんが、容量だと49Whも充電出来ています。
Webカメラ・スピーカーのチェック
Webカメラ
Webカメラには、物理シャッターは付いていません。IRカメラは搭載されているので、顔認証には対応しています。
Webカメラは、約92万画素のカメラです。暖色系で、粒状感もありますが、明るい映像で見やすいです。ノートパソコンに搭載されるWebカメラとしては、一般的な性能かと思います。
スピーカー
スピーカーは、正面側の左右に配置されています。ノートPC基準で10点満点で6点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。
パーツの温度のチェック
Prime95実行時のCPU温度
Prime95で全CPUコアの使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU温度などの推移を確認します。
標準的もしくはやや高めのCPU電力で推移しており、CPU温度も問題ありません。バランスモード時において、途中でCPU電力が下がっていますが、落ちた数値は45Wなので、低い電力に落ちたわけではありません。
- バランスモード時
- パフォーマンスモード時
静音性のチェック
Zenbook Pro 15 OLEDの動作音(静音性)のチェック結果です。
アイドル時はほぼ無音です。低負荷時は、CPU使用率に余裕があることもあり、低めの騒音値です。エンコードのようなCPUに100%の負荷がかかるときは、他のノートPCと同等程度の騒音値になります。
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。特に、手の平を置くパームレストの温度変化は重要です。
表面温度は低めなので、快適に作業できるでしょう。
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。
HシリーズのRyzen プロセッサーを搭載しているため、一般的なノートPCよりは高めの消費電力です。ただ、外部GPUを搭載していないので、ゲーミングノートPCよりは低めの消費電力です。
外観のチェック
Zenbook Pro 15 OLEDの外観のチェックです。
パイングレーという、やや紺色っぽい色です。
天板は、ZenBookらしく、同心円状の模様が入っていてかっこいいです。
ディスプレイを閉じたときの厚みは約19.65mmです。極薄ではありませんが、比較的薄いと思います。
USB3.2、USB-C、HDMI、SDカードリーダーなどを備えています。USB-Cは、前述の通り、データ転送のみサポートしています。
ディスプレイが開く最大の角度です。もう少し開けば良かったかなとは思いますが、テーブルの上で使う分には十分でしょう。
底面はフラットです。
底面カバーを外したときの画像はご覧の通りです。2つの冷却ファンおよび2つのヒートパイプでプロセッサーを冷やします。メモリはオンボードなので換装することは出来ません。
ストレージは、Type 2280のM.2 SSDが搭載されていました。
ACアダプターは、150Wです。電源ケーブルは太めです。
まとめ
以上が、ASUS Zenbook Pro 15 OLEDのレビューです。
ディスプレイに有機EL、プロセッサーにHシリーズの高性能Ryzenを搭載しており、ハイスペックですが、外部GPUは搭載していないという、なかなか見ない構成のノートPCです。
動画編集やゲームなどはしないので、GPU性能は特に重視しないけれど、ディスプレイとCPU性能にはこだわりたい、という方に適していると思います。
色域が広いので、画像編集用途になら適していると思います。ただし、本製品のような広色域ディスプレイで画像編集をする場合、カラーマネジメントの知識がないと、思った色で印刷やファイル保存が出来ないときがあるので注意してください。
また、ディスプレイのサブピクセルがペンタイル配列であることと画素密度が低いことが影響し、文字がやや見にくく感じました。安くはない製品なので、ディスプレイは4Kにして画素密度を高くしてくれれば、もっと文字が見やすかったかなと思います。
なお、もし動画編集などをしようと思っているなら、RTX 3050を搭載した「ASUS Vivobook Pro 15 OLED」や、RTX 3050に4Kディスプレイを搭載した「ASUS Vivobook Pro 16X OLED」のほうがいいでしょう。
高性能CPUに有機ELを搭載したノートPC
ASUS Zenbook Pro 15 OLED
特徴
- 広い色域のFHD有機ELディスプレイを搭載
- 最大でRyzen 9 5900HXを搭載
こんなあなたに
- 仕事をサクサクこなしたい方
- 画像編集などをしたい方
- 価格15万円台[税込]~
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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