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MacBook Air M3の実機レビュー

更新日:
SoC Apple M3
8コアCPU/8コアGPU
8コアCPU/10コアGPU
メモリ 最大24GB
ストレージ 最大2TB SSD
液晶サイズ 13.6インチ
液晶種類 2560x1664 IPS P3
質量 約1.24kg
バッテリー 52.6Wh
価格[税込] 164,800円~
正常進化したMacBook Air M3

MacBook Airは、知名度抜群の人気モバイルノートPCです。

今回の新モデルは、1世代前のモデルと外観は一緒ですが、チップがM3となり、処理性能がややアップしています。

また、2つの外部モニターへ表示することができるようになったのも嬉しいです。

モバイルノートとしてはそこまで軽くはありませんが、クリエイティブ性能は高いので、外で動画編集などをするようなライトクリエイターにおすすめです。

ファンレスであるため静音性は高く、図書館などの静かな場所でも使いやすいです。

アップルストアはこちら

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レビュー機は、当サイトの購入品です。今回は以下の構成でレビューをしています。

レビュー機の構成

Apple M3(8コアCPU/10コアGPU)、16GBメモリ、512GB SSD

 

目次

お忙しい方は「MacBook Air M3の特徴」をお読みください。

 

MacBook Air M3の特徴

Apple M3チップで基本性能が少しアップ

まず、CPUおよびグラフィックスの基本性能を確認すると、Apple M3は、Apple M2よりも、約20%ベンチマークスコアが上がっていました。

また、インテルの最新CPU「Core Ultra 7 155H」と比較すると、マルチコアスコアはやや劣るものの、シングルコアおよびグラフィックス性能についてはApple M3のほうが高かったです。

Geekbench 6(マルチコア)
Core Ultra 7 155H 12375
Apple M3 12084
Apple M2 10061
Geekbench 6(シングルコア)
Apple M3 3036
Apple M2 2631
Core Ultra 7 155H 2332
3DMark Wild Life Extreme
Apple M3
10コアGPU
8087
Apple M2
10コアGPU
6701
Core Ultra 7 155H 6460

 

AIによる処理も高い

続いて、3つのAdobeソフトについて、AIを使った処理を行ってみたところ、Apple M3は、Apple M2よりやや速い程度ですが、Core Ultra 7 155Hと比較すると、2倍以上高速でした。Core Ultraシリーズはだいぶ進化したので、ここまでの差が出たのは正直驚きでした。ただし、AdobeソフトはまだCore UltraのNPUに対応していないので、NPUを使って処理を行うようになれば、この差は大分縮まってくると思います。

AdobeソフトのAIを使った処理
Premire Pro(シーン編集の検出)
Apple M3 28秒
Apple M2 39秒
Core Ultra 7 155H 2分01秒
Lightroom Classic(ノイズ除去)
Apple M3 1分04秒
Apple M2 1分06秒
Core Ultra 7 155H 3分07秒
Photoshop(スーパーズーム(x2))
Apple M3 49秒
Apple M2 54秒
Core Ultra 7 155H 4分06秒

 

Blender Benchmarkについては、Apple M3は、Apple M2の約2倍のスコアでした。3Dレンダリング処理も高速になっています。

Blender Benchmark
Apple M3 793.61
Apple M2 344.62
Core Ultra 7 155H 343.11

 

2台の外部モニターへ出力可能に

MacBook Air M2では、表示できる外部モニターは1つまででしたが、MacBook Air M3では2つの外部モニターに表示することができるようになりました。最大5K/60Hzの2台の外部モニターに対応しています。

ただし、2台の外部モニターに表示できるのは、MacBook Airを閉じた状態(クラムシェルモード)のときのみとなります。MacBook Airのディスプレイを表示すると、外部モニターには1台しか表示することができません。

2つの4Kモニターに出力しているところ(クラムシェルモード)
MacBook Airの画面を表示したとき

 

ミッドナイトのカラーの指紋付着が軽減

従来のM2のMacBook Airのミッドナイトカラーは、指紋がやや目立つボディでした。しかし、M3のMacBook Airでは、酸化皮膜シールの処理を施すことで、指紋の付着が軽減されています。ただ、それでもシルバーなどと比べればまだ目立ちやすいので、指紋のテカリを気にする方は、他のカラーのほうがいいでしょう。

指紋の目立ち具合

 

省電力でロングバッテリー

MacBook Air M3は、クリエイティブワークを快適に行える性能を持っていながら、省電力であるのも特徴です。

現状、WindowsノートPCで、MacBook Air M3と同じくらいの快適さでクリエイティブワークをしようと思ったら、GeForce ○○などの外部グラフィックスを搭載する必要がありますが、その場合、バッテリー駆動時間がかなり短くなります。作業内容にもよりますが、3~4時間しかバッテリーはもたないと思います。一方、MacBook Air M3であれば、動画編集のような高めの負荷をかけても、5~6時間はバッテリーがもちます。外でクリエイティブワークを行う方にとって、MacBook Airは非常におすすめです。  

また、省電力であるため、ACアダプターも小型のもので済みます。

クリエイティブワークをしてもロングバッテリー

 

ファンレスなのでほぼ無音

MacBook Air M3はファンレスであるため、動作音がほぼしません。とても静かな環境で仕事や勉強をすることができます。学生であれば、図書館で勉強をするときも、他の人の迷惑になることがありません。

ファンレスで静か

 

Wi-Fi 6E対応

Wi-Fi 6Eに対応しているのも特徴の1つです。2.4GHz帯、5GHz帯の他に、6GHz帯が使えるようになり、チャンネル数も多いので、高速な通信速度が期待できます。最新のノートPCであれば、多くの機種が対応している規格です。

なお、もちろんWi-Fiルーターのほうも、Wi-Fi 6Eに対応している必要があります。

 

高負荷時のCPU温度は高め

MacBook Air M3は、ファンレスであるため、高負荷時のCPU温度は高めです。Premiere Proで動画の書き出し中のCPU温度を計測したところ、100℃を超えていました。動画編集など負荷の高い処理を、頻繁に長時間行う方は、ファンが搭載されているMacBook Proのほうがいいでしょう。

 

インターフェースは少ない

MacBook Airは、インターフェースの種類が少ないです。Thunderbolt / USB 4ポートと、ヘッドフォンジャック、電源ポートしかありません。

変換アダプターなどを使えばなんとかなりますが、SDカードを取り込むときや、職場や学校などの外部モニターに接続するときなどはやや面倒です。 

 

モバイルPCとしては軽くないが、クリエイターPCとしては軽い

MacBook Air M3の重さは、約1.24kgとなっています。最近は1kgを切るWindowsのモバイルノートPC(持ち運び用に設計されたPC)がたくさん発売されており、そこまで軽いわけではありません。OSやボディデザインにこだわりがなく、資料作成など軽めの作業を中心に行うのであれば、WindowsのノートPCのほうがいいでしょう。

一方、クリエイティブワークもできるノートPCとしては非常に軽いです。外へ持ち運んで、かつ動画編集などの負荷のかかる作業もするなら、MacBook Airは最適です。

モバイルPCとしては軽くないが、クリエイターPCとしては軽い

 

ディスプレイのチェック

ここからは、各機能の細かいチェックに入ります。まずはディスプレイのチェックです。

MacBook Air M3は、従来と変わらず、解像度2560x1664ドット、最大500ニト、色域 Display P3の13.6インチのIPSディスプレイを搭載しています。

とても見やすいディスプレイで、普段使いにも、クリエイティブワークにも使えます。

当サイトによる計測値は次の通りです。詳細はタブをクリックしてご覧ください。

  • 色域
  • RGB
    発色特性
  • 視野角
  • 映り込み・
    ギラつき
  • フリッカー

色域は下表の通りで、広いです。

  カバー率
sRGBカバー率 99.9%
DCI-P3カバー率 96.5%
Display P3カバー率 96.6%
Adobe RGBカバー率 86.5%
ガモット図
※ i1 Display PlusでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成

ガンマ補正曲線を確認すると、どの色もほとんど補正されていないことがわかります。自然な発色のディスプレイです。

ガンマ補正曲線
※ i1 Display Proで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2

視野角は広いです。

視野角(斜めから見たときの見やすさ)

光沢液晶ですが反射が抑えられています。

画面への映り込み

PWM調光によるフリッカー(ちらつき)もありませんでした。

PWM調光の有無の確認
※フォトディテクターにオシロスコープを繋げて計測

 

キーボードおよびタッチパッドのチェック

MacBook Air M3のキーボードのチェックです。

実測で、キーピッチは横:19mm、縦:18mm、キーストロークは1.1mm前後です。キーストロークは浅めで、底付きの衝撃もやや感じます。ただ、しっかりとした打鍵感があり、軽めに流れるように指を動かしてタイピングする方には合っていると思います。

また、EnterキーやBackspaceキー、英数キー、かなキーなどが大きく、よく使うキーも押しやすいです。

タッチパッドは大きくて、ジェスチャー操作などがしやすいです。

クリックボタンは感圧式です。反応が良く軽い力で押せるので、違和感無く使えます。

キーボード全体図
※画像をクリックすると拡大できます
キーの拡大図

 

キーボードバックライトも搭載しているので、暗所でも作業しやすいです。

キーボードバックライト

 

パフォーマンスのチェック

続いてMacBook Air M3のパフォーマンスをチェックします。

 

CPU

CPU性能については、まず、定番のGeekbenchのスコアを掲載します。

M3のMacBook Airは、M2のMacBook Airと比べて、マルチコアおよびシングルコアのスコアが、約20%上昇しています。

シングルコアのスコアは、Windowsパソコンに搭載されるCore Ultra 7 155Hよりもかなり高いスコアで、多くの処理が速くなると思われます。

Geekbench 6
~ CPU性能の目安 ~
Apple M3(8コアCPU/10コアGPU)
他のCPUとの比較(Multi-Core Score)
Core Ultra 7 155H 12375
Apple M3 12084 (MacBook Air)
Apple M2 10061 (MacBook Pro 13)
Apple M2 10070 (MacBook Air)
他のCPUとの比較(Single-Core Score)
Apple M3 3036 (MacBook Air)
Apple M2 2631 (MacBook Pro 13)
Apple M2 2623 (MacBook Air)
Core Ultra 7 155H 2332
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

続いて、CINEBENCH R23のスコアを掲載します。CINEBENCH R23はGeekbenchより負荷が高く、またMinimum Test Durationをデフォルトの10分にしているので、長時間負荷をかけた後に計測が開始されます。

MacBook Air M3はファンレスということもあり、長時間負荷のかかる処理の場合は、Geekbenchほど高いスコアは出ず、ファンありのMacBook Pro M2で計測したときのマルチコアスコアとほぼ一緒でした。また、Core Ultra 7 155Hより、マルチコアのスコアは大きく下回っていました。

ただし、シングルコアについては高いスコアでした。

CINEBENCH R23
~ CPU性能の評価 ~
Apple M3(8コアCPU/10コアGPU)
他のCPUとの比較(マルチコア)
Core Ultra 7 155H 14073
Apple M3 8788 (MacBook Air)
Apple M2 8747 (MacBook Pro 13)
Apple M2 7939 (MacBook Air)
Apple M1 6987 (MacBook Air)
他のCPUとの比較(シングルコア)
Apple M3 1896 (MacBook Air)
Core Ultra 7 155H 1810
Apple M2 1590 (MacBook Air)
Apple M2 1582 (MacBook Pro 13)
Apple M1 1491 (MacBook Air)
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

続いて、CINEBENCH 2024のスコアです。こちらも先程と同様の傾向です。

CINEBENCH 2024
~ CPU性能の評価 ~
Apple M3(8コアCPU/10コアGPU)
他のCPUとの比較(マルチコア)
Core Ultra 7 155H 825
Apple M3 617 (MacBook Air)
Apple M2 604 (MacBook Pro 13)
他のCPUとの比較(シングルコア)
Apple M3 141 (MacBook Air)
Apple M2 122 (MacBook Pro 13)
Core Ultra 7 155H 103
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

メモリ

仕様では、M3チップは、最大100GB/sのメモリ帯域幅となっており、非常に高速です。

AmorphousMemoryMarkのアプリの結果は次のようになりました。M1のMacBook Pro 14や16よりも狭い帯域ですが、それでもノートPCとしては十分広い帯域だと思います。

AmorphousMemoryMark
~ メモリ性能の目安 ~
メモリ速度
他のPCとの比較(シーケンシャルリード)
MacBook Pro 16
M1 Max
112.81GB/s
MacBook Pro 14
M1 Pro
108.24GB/s
MacBook Air
M3
86.22GB/s
MacBook Air
M2
64.13GB/s
MacBook Pro 13
M2
63.93GB/s
MacBook Pro 13
M1
46.84GB/s
※実測値

 

グラフィックス

グラフィック性能については、3DMark Wild Life Extremeの結果を確認します。なお、今回は、10コアGPUの Apple M3です。Apple M3のスコアは、Apple M2のスコアよりも、約20%高かったです。また、Core Ultra 7 155Hよりも高いスコアでした。

3DMark Wild Life Extreme
~ グラフィックス性能の目安 ~
Apple M3(8コアCPU/10コアGPU)
他のグラフィックスとの比較
GeForce RTX 3050
(40W)
53.8 fps
Apple M3 48.4 fps (MacBook Air)
Apple M2
10コアGPU
40.1 fps (MacBook Pro 13)
Core Ultra 7 155H 38.6 fps
Apple M2
8コアGPU
33.7 fps (MacBook Air)
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

次に、GFXBench 5.0のスコアを見てみます。Apple M3は、Apple M2よりも約16%高いスコアでした。

GFXBench 5.0 1440p Aztec Ruins (High Tier) Offscreen
~ グラフィックス性能の目安 ~
Apple M3(8コアCPU/10コアGPU)
他のグラフィックスとの比較(OpenCL)
RTX 3060
(130W)
175 fps
Apple M2
10コアGPU
109 fps (MacBook Pro 13)
RTX 3050
(60W)
105 fps
Apple M3
10コアGPU
105 fps (MacBook Air)
Apple M2
8コアGPU
90 fps (MacBook Air)
Core Ultra 7 155H 84 fps
Apple M1 77 fps (MacBook Air)
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

ストレージ

SSDのアクセス速度は標準的です。

ストレージ性能の目安
~ AmorphousDiskMark ~
512GB SSD
他のストレージとの比較(Seq QD32 Read [MB/s] )
PCIe Gen4 SSD 6825 (MacBook Pro 16 M1)
6711 (MacBook Pro 14 M1)
 PCIe Gen3 SSD 3501 (MacBook Air M3)
3456 (MacBook Pro 13 M2)
3413 (MacBook Air M2)
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

クリエイターソフトの処理時間

ここでは、クリエイター向けのソフトウェアで計測した各種処理時間を掲載します。なお、Core Ultra 7 155HのWindowsパソコンで計測したデータも合わせて掲載していますが、各種ソフトはまだCore UltraプロセッサーのNPUに対応していません。NPUに対応すれば、もう少し速くなるでしょう。

Final Cut Pro Xによる書き出し時間
XAVC Sで撮影した動画を書き出し

XAVC Sの4K動画の書き出し時間は次の通りです。Apple M3は、Apple M2よりやや速くなっていますが、それほど大きな差はありません。

Apple M3
8CPU/10GPU
6分10秒 (MacBook Ai)
Apple M2
8CPU/10GPU
6分18秒 (MacBook Pro 13)
Apple M2
8CPU/8GPU
6分20秒 (MacBook Air)
Apple M1 6分30秒 (MacBook Pro)
※ 4K/30p動画(約10分)に、「テキスト」+「露出」+「サーキュレーション」+「トランジション」のエフェクトおよびBGMとなるオーディオを加え、Apple デバイス 4K、H.264(処理速度優先)で書き出したときの時間
ProRes RAWで撮影した動画を書き出し

次にProResで撮影した4K動画を4つ並べて、8K動画として書き出したときの時間を掲載します。ProRes RAWのメディアエンジンを搭載しいるだけあって、M1よりかなり速いですが、M2と比べるとほぼ変わりません。

Apple M3
8CPU/10GPU
2分32秒 (新MacBook Pro 13)
Apple M2
8CPU/10GPU
2分40秒 (新MacBook Pro 13)
Apple M1 11分29秒 (MacBook Pro 13)
※ ProRes RAWの4K/25p(約6分)の4つの動画を、並べて表示して8Kにし、「ファイルを書き出す(デフォルト)」を実行して、書き出したときの時間。編集は、それぞれの動画でカラーグレーディングのみ実施

※ 生成されたレンダリングファイルは削除して実行
DaVinci Resolve Studio 18 Betaによる書き出し時間

DaVinci Resolove Studio 18による書き出し時間は次の通りです。こちらはM2とほぼ変わりませんでした。また、Core Ultra 7 155Hと比較しても、ほぼ同じでした。

Apple M3
8CPU/10GPU
6分7秒 (MacBook Air)
Core Ultra 7 155H 6分7秒
Apple M2
8CPU/10GPU
6分10秒 (MacBook Pro 13)
Apple M2
8CPU/8GPU
6分11秒 (MacBook Air)
※ 4K/30p動画(約10分)に、「テキスト」+「明るさ(カーブ)の変更」+「彩度の変更」+「トランジション」のエフェクトおよびBGMとなるオーディオを加え、MP4、H.264、2160p 4K Ultra HD、29.97 fpsで書き出したときの時間
Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間
4K動画の書き出し

Premiere Proの書き出し時間は次の通りです。こちらもM3は、M2とほぼ同じ処理時間でせいた。ただし、Core Ultra 7 155Hと比較するとかなり速いです。

Apple M3
8CPU/10GPU
6分23秒 (MacBook Air)
Apple M2
8CPU/10GPU
6分30秒 (MacBook Pro 13)
Apple M2
8CPU/8GPU
6分32秒 (MacBook Air)
Core Ultra 7 155H 10分15秒
※ 4K/30p動画(約10分)に、「テキスト」+「露光量」+「自然な彩度」+「トランジション」のエフェクトおよびBGMとなるオーディオを加え、H.264形式、YouTube 2160p 4K Ultra HDのプリセットで書き出したときの時間
シーン編集の検出(AI)

AIを使った「シーン編集の検出」については、M2よりもM3のほうが高速でした。また、Core Ultra 7 155Hと比較すると4分の1程度の時間で処理が終わっていました。Premire Proは、Core UltraのNPUにはまだ対応していないとは言え、MacBook Airはかなり処理が速いことが分かります。

Apple M3
8CPU/10GPU
28秒 (MacBook Air)
Apple M2
8CPU/10GPU
39秒 (MacBook Pro 13)
Apple M2
8CPU/8GPU
40秒 (MacBook Air)
Core Ultra 7 155H 2分01秒
※ FHD/30p動画(約10分)に、AIによる「シーン編集の検出」を適用
Adobe Lightroom Classic CCによるRAW現像時間
100枚のRAWファイルの現像時間

RAW現像時間は、M3はM2より若干速くなっていましたが、大きくは変わりませんでした。ただ、Core Ultra 7 155Hよりは大分速いです。

Apple M3
8CPU/10GPU
69秒 (MacBook Air)
Core Ultra 7 155H 72秒
Apple M2
8CPU/10GPU
75秒 (MacBook Pro 13)
Apple M2
8CPU/8GPU
113秒 (MacBook Air)
※外部GPUを搭載しているものは、[書き出しにGPUを使用をON]にして計測しています。
※プロファイル補正、露光量+1、シャドウ+10、自然な彩度+10、ノイズ軽減+10を適用した100枚のRAWファイル(1枚あたり約45MB)を同じ書き出し設定でjpegに書き出し、所要時間を計測
ノイズ除去(AI)

AIを使った「ノイズ除去」の処理も同様です。

Apple M3
8CPU/10GPU
1分04秒 (MacBook Air)
Apple M2
8CPU/10GPU
1分06秒 (MacBook Pro 13)
Apple M2
8CPU/8GPU
1分12秒 (MacBook Air)
Core Ultra 7 155H 3分07秒
※ 6000x4000のRAWデータに、AIによる「ノイズ除去」を適用
Adobe Photoshop CCによる各種処理時間
ニューラルフィルター:スーパーズーム x2(AI)

AIを使ったニューラルフィルターの「スパーズーム」もM3は高速でした。

Apple M3
8CPU/10GPU
49秒 (MacBook Air)
Apple M2
8CPU/10GPU
54秒 (MacBook Pro 13)
Apple M2
8CPU/8GPU
59秒 (MacBook Air)
Core Ultra 7 155H 4分06秒
※ 6000x4000のRAWデータに、AIによる「ノイズ除去」を適用
ニューラルフィルター:JPEGのノイズを削除(AI)

AIを使った「JEPGのノイズを削除」の処理も、M3は、M2よりもやや速く、Core Ultra 7 155Hよりもかなり高速でした。

Apple M3
8CPU/10GPU
1分05秒 (MacBook Air)
Apple M2
8CPU/10GPU
1分20秒 (MacBook Pro 13)
Apple M2
8CPU/8GPU
1分20秒 (MacBook Air)
Core Ultra 7 155H 3分13秒
※ 6000x4000のRAWデータに、AIによる「ノイズ除去」を適用
Blender Benchmark

Blender Benchmarkのスコアも、M3はM2よりもかなり速くなっています。ただ、エントリークラスの外部グラフィックスを搭載したWindowsPCよりは、まだスコアは低いです。

GeForce RTX 3050 Laptop
(60W)
1069.98
Apple M3
8CPU/10GPU
793.61 (MacBook Air)
Apple M2
8CPU/10GPU
344.62 (MacBook Pro 13)
Core Ultra 7 155H 343.11

 

USB Type-Cの動作テスト

MacBook Air M3は、2つのThunderbolt/USB4ポートを搭載しており、各周辺機器の接続結果は次の通りです。試した機器はすべて問題なく使用することができました。また、低出力のPD充電器でも充電することが可能です。

USB Type-C充電器/ドックの動作テスト
  充電 モニター
出力
有線LAN
ドック ThinkPad USB Type-C ドック
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック
PD充電器
※1
61W RAVPower GaN充電器
45W Lenovoウルトラポータブル
30W RAVPower GaN充電器
モニター
※2
EIZO ColorEdge CS2740
※1 Power Delivery対応の充電器
※2 Type-Cケーブルで接続し、PCへの給電も出来るモニター

 

質量のチェック

MacBook Air M3の質量は、仕様では約1.24kgとなっており、当サイトの計測値はそれよりも若干軽かったです。モバイルノートPCとしてはそこまで軽くはありませんが、クリエイター向けノートPCとしては軽いです。

ACアダプターは、今回は「デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ」を購入していますが、軽かったです。

質量の計測結果(当サイトによる実測値)
  質量
PC本体 1.233kg
35W ACアダプター+電源ケーブル 160g

 

バッテリー駆動時間のチェック

仕様上のMacBook Air M3のバッテリー容量およびバッテリー駆動時間のご覧の通りです。M2のMacBook Airと変わりありません。

バッテリー関連の仕様
  バッテリー駆動時間 
バッテリー容量 52.6Wh
ワイヤレスインターネット時 最大15時間
Apple TVアプリのムービー再生時 最大18時間
※画面輝度は約120cd/m2

 

当サイトにて、やや高めの負荷をかけたときのバッテリー駆動時間は次の通りです。動画編集などをしていると、このくらいのバッテリー駆動時間になると思います。

当サイトによるバッテリー駆動時間の実測値
  バッテリー駆動時間
動画編集ソフトでプレビュー再生 8時間58分
※画面輝度は約120cd/m2
※Premiere Proの負荷が減ったきがしたので再計測しました
※1 Premiere Proで480x320の動画をプレビュー再生(リピート)させたとき

 

Webカメラ・スピーカーのチェック

Webカメラ

1080p FaceTime HDカメラを搭載しています。画像/映像は鮮明で、色合いも正しく、とても綺麗です。ノッチ(カメラ部分の切れ込み)がやや気になりますが、慣れれば問題ないでしょう。

Webカメラ
本製品のカメラで撮影
※クリックすると拡大できます。
※Webカメラの前にマネキンを置いて、約40cm離し、PhotoBoothのカメラアプリで撮影

 

スピーカー

スピーカーは、2つのウーファーと2つのツイーターを搭載しており、普通のノートPCよりとても良い音質です。勝手に点数を付けると、ノートPC基準で10点満点で6~7点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。

スピーカー

 

静音性のチェック

MacBook Air M3は、ファンレスなので、ほぼ無音です。

騒音値
計測機器:リオン NL-42K
部屋を極力無音にしたときの騒音値:20.0dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
※CPU使用率およびGPU使用率は平均値です
※約10分経過後に計測しています
【PCの状態】
左から1番目:アイドル時(何も操作していない状態)
左から2番目:Adobe Premiere Proによる動画プレビュー(320pの低画質動画)
左から3番目:Adobe Premiere Proによる動画プレビュー(4Kの低画質動画)
左から4番目:Adobe Premiere Proによる動画の書き出し(4Kの低画質動画)

 

パーツの温度のチェック

上と同じ状態の各CPU/GPU温度の計測結果は次の通りです。低負荷時は問題ありませんが、負荷が高いとCPU温度が100℃を超えており、非常に高い温度です。負荷の高い作業を毎日長時間行うなら、ファン付きのMacBook Proのほうがいいでしょう。

PC本体の表面温度
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※約10分経過後に計測しています

 

表面温度のチェック

本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。特に、手の平を置くパームレストの温度変化は重要です。

アイドル時や低い負荷であれば、表面温度は高くありません。普通に使えます。

ただし、高めの負荷をかけると、キーボードおよびタッチパッド全体的に熱くなってきて、手のひらも熱く感じてきます。また底面も熱くなるので、膝置きで使う場合は、火傷に気をつけましょう。

PC本体の表面温度
サーモグラフィー:FLIR ONE PRO
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※約10分経過後に計測しています

 

消費電力のチェック

消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。

非常に低い消費電力です。この点はMacBookシリーズは非常に優秀です。

消費電力
測定機器:ワットチェッカー TAP-TST8
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※約10分経過後から確認できた中で最も高い消費電力を掲載しています

 

外観のチェック

MacBook Air M3の外観はご覧の通りです。

今回は、ミッドナイトのカラーで、少し青みがかった黒いボディをしています。ボディ素材は再生アルミニウムで、質感がとても良いです。

 

天板のアップルマークの部分は鏡のように輝いています。

 

ボディの高さは約1.13 cmと非常に薄いです。また、液晶を開きやすいように、ボディ部分がやや凹んでいます。

 

電源ボタンと統合した指紋認証も搭載しています。サイズが大きいので押しやすいです。

 

インターフェースは、電源ポート、Thunderbolt/USB4、ヘッドフォンジャックのみと、種類は少ないです。SDカードスロットはあっても良かったかなと思います。

 

液晶は、180度は開きません。

 

底面は吸気口がなくシンプルな見た目です。

 

ACアダプターは30W、35W、70Wのものが購入時に選べます。今回はデュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタで、USB-Cポートが2つあります。

ACアダプターの色は白です。できれば、ボディカラーと一緒の色が良かったです。シルバーなどのPC本体のほうが、ACアダプターと色が合うと思います。

 

まとめ

以上が、Apple M3チップ搭載のMacBook Airのレビューです。

M2のMacBook Airとボディは一緒ですが、M3のSoCの搭載により、処理性能はやや向上しています。M2のMacBook Airを持っている人は積極的に買い替えるほどではないと思います。

ただ、(MacBook Airの画面を閉じる必要があるとは言え)2画面の外部モニターに接続できるようになったのは嬉しいです。効率良く作業ができるようになります。

今回、Windowsのノートパソコンで採用されている最新の「Core Ultra 7 155H」と比較してみました。CINEBENCHなどのベンチマークソフトでは、Core Ultra 7 155Hのほうがスコアが高いケースがありましたが、Adobeソフトの処理時間などを比べるとApple M3のほうがかなり速いケースが多かったです。Adobeソフトが、Core UltraのNPUに対応すれば、また違った結果になると思いますが、それでも現時点では、クリエイティブワークに使うなら、Apple M3のほうがおすすめです。

一方で、重さは約1.24kgと、最近のモバイルノートPCとしては軽くはありません。資料の作成、ウェブページの閲覧などが主な用途である場合は、1kgを切るようなWindowsのモバイルノートPCも検討してもいいと思います。外で動画編集などを行うような方は、MacBook Airのほうがいいでしょう。

また、ファンレスであるため、高い負荷を長時間かけるとCPU温度が100℃を超えます。負荷の高い作業を毎日長時間行うような方は、ファンを搭載したMacBook Proシリーズのほうがいいと思います。その代わり、とても静かなので、図書館などでは使いやすいです。

 

正常進化したMacBook Air

MacBook Air M3

特徴

  • M3チップ搭載で、性能がややアップ
  • 2つの外部モニターへの表示が可能
  • ファンレスで静か

こんなあなたに

  • ライトクリエイター
  • 外で動画編集などを行う方
  • 価格16万円台[税込]~
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