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MacBook Pro 13インチ M2の実機レビュー
SoC | Apple M2 |
---|---|
メモリ | 最大24GB |
ストレージ | 最大2TB PCIe SSD |
液晶サイズ | 13.3インチ |
液晶種類 | 2560x1600 IPS P3 |
質量 | 約1.4kg |
バッテリー | 58.2Wh |
価格[税込] | 178,800円~ |
今回レビューするMacBook Pro 13インチは、M2チップを搭載したクリエイター向けノートPCです。
従来モデルと外観は変わっていませんが、M1からM2へ変わったことで、パフォーマンスがややアップしています。
他のMacBookシリーズに比べて、バッテリー駆動時間が長く、質量も比較的軽いです。このような特徴と、M2の省電力性を活かし、外へ持ち運んでの動画編集などのやや負荷の高い作業を行う方に適しています。
レビュー機は、当サイトの購入品です。今回は以下の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Apple M2(8コアCPU/10コアGPU)、16GBメモリ、512GB SSD
目次
お忙しい方は「MacBook Pro 13インチ M2の特徴」をお読みください。
MacBook Pro 13インチ M2の特徴
M2チップでパフォーマンスがややアップ
MacBook Pro 13インチの大きな変化点は、SoCがApple M2になったことです。ボディなどの外観は変わっていないため、変化点はこのSoCのみと言ってもいいです。
メーカーのアナウンスでは、従来のM1よりもCPU性能は18%高速化、GPU性能は35%高速化したとあります。
それでは、実際のベンチマークスコアで、どのくらい性能が上がったのか簡単に見ていきたいと思います。なお、詳細は、「パフォーマンスのチェック」や「クリエイターソフトの処理時間」をご覧ください。
CPU性能は、従来M1の約20%向上(実測値)
まずは、Geekbench 5にて、CPU性能を確認します。こちらの結果を見ると、従来のM1よりも約20%性能が向上しています。M1が登場した時の衝撃度はありませんが、それでも順当に性能が伸びています。なお、M1 ProやM1 Maxよりはスコアは低いです。
グラフィック性能は従来M1の約42%向上(実測値)
グラフィック性能については、GFXBench 5.0の結果を確認してみます。GPUコアが8から10になったことで、M2はM1よりも約42%も性能が向上しています。
ProRes メディアエンジンを搭載で高速化
M1には無かったProResエンコード/デコードのメディアエンジンを、M2チップでは搭載しているため、ProRes RAWで撮影した動画の書き出しなどが非常に速くなりました。当サイトでの比較では、下表の通り、約4分の1の時間で書き出しが終わっています。
省電力でロングバッテリー
こちらは、従来からの特徴となりますが、M2チップのMacBook Pro 13インチは、非常に省電力です。特に、動画編集のような高めの負荷をかけても、長くバッテリー駆動できる点が素晴らしいと思います。以下、詳しく見ていきます。
高負荷時の消費電力が低い
当サイトにて、動画編集ソフト(Premiere Pro)で4K動画を書き出したときの消費電力を計測してみたところ、約28Wという非常に低い消費電力で動いていました。Core i7-1280P、GeForce RTX 3050を搭載した似たような性能Windowsパソコンでは、約70Wだったので、MacBook Pro 13がいかに低い消費電力なのかが分かると思います。
このくらい低い消費電力であれば、市販のPowerDelivery対応のUSB-C充電器でも、動画編集をすることが出来ます。
動画編集をしていても長いバッテリー駆動時間
続いて、Premiere Proの編集画面で、プレビュー再生を延々とリピートさせたときのバッテリー駆動時間を計測したところ、約7時間34分もバッテリー駆動しました。同等スペックのWindowsノートだと2時間1分しかもちません。動画編集のようなソフトを使っていて、7時間以上もバッテリー駆動するというのはかなり驚異的です。
また、MacBook Pro 13インチのバッテリー容量が58.2Whであるのに対し、同じM2チップを搭載したMacbook Airは52.6Whとなっており、メーカー仕様表を確認しても、MacBook Pro 13インチのほうがバッテリー駆動時間が長くなっています。そのため、MacBook Pro 13インチは、外出先などで、バッテリー駆動状態で、動画編集などの負荷の高いアプリを使う用途に、非常に適した製品だと思います。
動作音が非常に静か
動作音が非常に静かなのもメリットです。アイドル時は無音であるのは当たり前で、動画の編集をしていてもほぼ動作音が聞こえません。
動画の書き出しのような非常に高い負荷をかけても、約28dBと非常に低い騒音値でした。Windowsノートだと44dBだったので、その低さが分かると思います。
高負荷時のCPU温度は高め
低消費電力・低動作音ではありますが、高負荷時のCPU温度は高いです。例えば、Premiere Proで動画の書き出しを行ったときのCPU温度は約90~100℃まで上がります。ここまで温度が高いとパーツの寿命が気になります。
ただ、故障しやすいという声はそれほど聞かないので、通常の使い方であれば、問題ないのだと思います。
デザインは変わらず・・・
MacBook Pro 14 / 16では、Touch Barが廃止されました。MacBook Pro 13 M2と同時期に発売されたMacBook Pro Air M2もTouch Barが廃止されました。しかし、なぜかMacBook Pro 13 M2はTouch Barが廃止されませんでした。
Touch Barは、ユーザーからの評判があまり良くなかったので、MacBook Pro 13 M2でも無くして欲しいところでした。ただ、Touch Barが好きというユーザーも一定数いると思うので、そういう方には、MacBook Pro 13 M2は、とても貴重なMacBookシリーズだと思います。
Windowsのライバル機種との比較
上で、WindowsノートPCと消費電力とバッテリー駆動時間、騒音値を比較しましたが、ここでは、もう少し詳しく比較していきます。比較するのは、スペックが近いMSI Prestige 14 A12Uです。外部GPUを搭載し高めの性能であるにも関わらず、非常に軽い機種です。
MacBook Pro 13 M2が、消費電力、バッテリー駆動時間、騒音値の他に優れている点は、ディスプレイの解像度と色域です。よりクリエイティブワークに使いやすいと思います。
一方、MSI Prestige 14 A12Uが優れている点は、メモリやストレージの最大容量が多い点です。また、できるだけスペックを近くした価格を見ると、MSI Prestige 14 A12Uのほうがかなり安くなっています。この価格差は見過ごせません。また、スペックが近いと記載しましたが、動画の書き出し時間は、RTX 3050の外部GPUを搭載しているMSI Prestige 14 A12Uのほうが若干速いです。
MacBook Pro 13 M2 | MSI Prestige 14 A12U | |
画像 | ||
CPU | Apple M2 | Core i7-1280P |
GPU | RTX 3050 | |
メモリ | 最大24GB | 最大32GB |
ストレージ | 最大2TB | 最大4TB |
液晶サイズ | 13.3インチ | 14.0インチ |
解像度 | 2560x1600 | 1920x1080 |
液晶種類 | Display P3 100% | sRGB 100% |
質量 | 約1.4kg | 1.29kg |
MacBook Pro 13 M2 | MSI Prestige 14 A12U | |
メモリ | 24GB | 32GB |
ストレージ | 1TB | 1TB |
価格 | 290,800円 | 218,900円 |
ディスプレイのチェック
ここからは、各機能の細かいチェックに入ります。まずはディスプレイのチェックです。
2,560x1,600ドット、500ニト、広色域(P3)のディスプレイを搭載しています。当サイトによる計測値は次の通りです。
- 色域
- 視野角
- 映り込み・
ギラつき - フリッカー
色域は下表の通りで、広いです。
カバー率 | |
sRGBカバー率 | 100% |
---|---|
Display P3カバー率 | 95.6% |
Adobe RGBカバー率 | 84.8% |
キーボードおよびタッチパッドのチェック
MacBook Pro 13インチのキーボードのチェックです。
実測で、キーピッチは横:19mm、縦:18mm、キーストロークは1mm前後です。個人的には、普段メカニカルキーボードを使っていることもあり、キーストロークの浅さと底付きの衝撃が気になりますが、軽いタッチで流れるようにタイピングする方にとっては、打ちやすいのではないかと思います。
また、(Surface以外の)Windowsノートと違って、「英数」と「かな」がスペースキーの隣にあり、慣れると変換しやすいです。
タッチパッドは大きくて使いやすいです。クリックボタンは感圧式ですが、割と軽い力で反応するので、普通のクリックボタンと同様の感覚で使えます。
キーボードバックライトも搭載しています。
パフォーマンスのチェック
続いてパフォーマンスをチェックします。
各プロセッサーの仕様の確認
Apple M2は、CPU、GPU、メモリを一つのシステムオンチップ(SoC)にまとめることで、CPUとGPUの2チップ構成よりも少ない消費電力と冷却パワーで、高い性能を引き出すことが可能となっています。また、メモリがユニファイドメモリなので、CPUとGPU間での低速なインターフェイスを経由したデータ転送が不要になり、処理速度が向上します。
従来のM1チップが、CPU:最大8コア、GPU:最大8コア、最大メモリ16GB、160億個のトランジスタ搭載という構成であるのに対して、M2チップでは、CPUコア数は変わらないものの、GPUが最大10コア、メモリが24GB、トランジスタが200億以上と、構成がややアップしています。
また、メモリ帯域が100GB/sと、従来のM1チップより50%広くなっています。
CPU
CPU性能については、まずはMacのベンチマーク計測でよく使用されるGeekbenchのスコアを掲載します。
マルチコア性能については、M2はM1よりも、スコアが約20%上がっています。インテルCPUと比較した場合、Core i5-1240Pと同じくらいのスコアです。
シングルコアについても、スコアが約11%上がっています。こちらは、性能がかなり上がった第12世代インテルCPUよりも高いスコアが出ています。
~ CPU性能の目安 ~
続いて、CINEBENCH R23のスコアです。Geekbenchは割と負荷が軽めですが、CINEBENCH R23は、CPU使用率が100%になる高い負荷がかかります。
マルチコア性能については、Geekbenchほどの上昇はありませんでしたが、M2はM1よりも、スコアが約12%上がっています。インテルCPUと比較した場合、こちらもCore i5-1240Pと同じくらいのスコアです。
シングルコアについては、M2はM1と比べて、約6%しかスコアが上がっていません。また、第12世代インテルCPUよりも低いスコアになっています。
~ CPU性能の評価 ~
メモリ
仕様では、M2は、最大100GB/sのメモリ帯域幅となっており高速です。
AmorphousMemoryMarkのアプリの結果は次のようになりました。このアプリでは、最大値には及びませんが、それでも広い帯域だと思います。
~ メモリ性能の目安 ~
グラフィックス
グラフィック性能については、まずは、3DMark Wild Life Extremeの結果から確認します。M2はM1よりも、スコアが約35%向上しています。ただし、GeForce RTX 3050と比較すると、低いスコアです。
~ グラフィックス性能の目安 ~
次に、GFXBench 5.0のスコアを見てみます。こちらは、M1よりも約42%高いスコアが出ていました。
~ グラフィックス性能の目安 ~
ストレージ
ストレージは、従来の速度とほぼ変わっていません。
~ AmorphousDiskMark ~
クリエイターソフトの処理時間
ここでは、クリエイター向けのソフトウェアで計測した各種処理時間を掲載します。なお、素材や編集内容によって、処理時間が変わります。また、計測時のソフトのバージョンも同じではありません。そのため、参考程度にご覧ください。
XAVC Sの4K動画の書き出し時間を下に掲載します。M2はM1とあまり変わりませんでした。
次にProResで撮影した4K動画を4つ並べて、8K動画として書き出したときの時間を掲載します。ProRes RAWのメディアエンジンを搭載しただけあって、非常に高速でした。M1の4分の1程度の時間で終わっています。
※ 生成されたレンダリングファイルは削除して実行
※ 何度か計測し直して、最も適切な数値を掲載したので、YouTubeの動画やTwitterで掲載した数値とはやや異なっている部分もあります
DaVinci Resolove Studio 17による書き出し時間はこちらです。こちらはM1とほぼ同じ書き出し時間でした。
※全てのPCをDaVinci Resolove Studio 17.4のバージョンで計測しなおしました。そのため、YouTubeの動画やTwitterで掲載した数値とはやや異なるケースがあります
次は、Premiere Proの書き出し時間を確認します。M1よりは速くなっています。ただ、GeForce RTX 3050を搭載したWindowsノートよりは遅いです。
Lightroom Classicの書き出し時間は速く、インテルのCore i7-12700Hとほぼ同じでした。
※プロファイル補正、露光量+1、シャドウ+10、自然な彩度+10、ノイズ軽減+10を適用した100枚のRAWファイル(1枚あたり約45MB)を同じ書き出し設定でjpegに書き出し、所要時間を計測
USB Type-Cの動作テスト
MacBook Pro は「Thunderbolt 4 / USB4」ポートを2つ備えており、PowerDelivery、DisplayPort出力に対応しているため、以下の全ての機器が使用できました。
充電 | モニター 出力 |
有線LAN | ||
ドック | ThinkPad USB Type-C ドック | ○ | ○ | ○ |
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック | ○ | ○ | ○ | |
PD充電器 ※1 |
61W RAVPower GaN充電器 | ○ | ― | ― |
45W Lenovoウルトラポータブル | ○ | ― | ― | |
30W RAVPower GaN充電器 | ○ | ― | ― | |
18W cheero充電器 | ○ | ― | ― | |
モニター ※2 |
EIZO ColorEdge CS2740 | ○ | ○ | ― |
※2 Type-Cケーブルで接続し、PCへの給電も出来るモニター
質量のチェック
MacBook Proの質量のチェックです。
仕様上では、1.4kgとなっています。当サイトの計測値は次の通りです。グラフィック性能がある程度高いノートPCとしては、比較的軽いと思います。
質量 | |
PC本体 | 1.382kg |
ACアダプター+電源ケーブル | 264g |
バッテリー駆動時間のチェック
MacBook Pro 13インチのバッテリー駆動時間の仕様はご覧の通りです。非常に長いと思います。
バッテリー駆動時間 | |
バッテリー容量 | 58.2Wh |
ワイヤレスインターネット時 | 最大17時間 |
Apple TVアプリのムービー再生時 | 最大20時間 |
当サイトで計測したバッテリー駆動時間は下の通りです。前述しましたが、高めの負荷をかけたときのバッテリー駆動時間が非常に長いです。
バッテリー駆動時間 | |
Premiere Pro 動画プレビュー時 ※1 | 7時間34分 |
Premiere Pro 動画書き出し時 ※2 | 3時間7分 |
※1 編集中の動画(4K)をプレビュー再生(ループ)した時のバッテリー駆動時間
※2 30分間動画を書き出し、そのときのバッテリーの減り具合から推定した数値
Webカメラ・スピーカーのチェック
Webカメラ
720p FaceTime HDカメラを搭載しています。実際に撮影した画像は、細部まで綺麗に映っており、見やすいです。
スピーカー
スピーカーは、MacBook Pro 16インチよりは劣るものの、普通のノートPCよりはとても良い音質です。ノートPC基準で10点満点で6~7点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。
パーツの温度のチェック
CINEBENCH R23実行時のCPU温度
CINEBENCH R23で全CPUコアの使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU温度を確認すると、100℃前後まで上がっています。高い温度で、心配になるレベルです。
静音性のチェック
MacBook Pro 13インチの動作音(静音性)は非常に静かです。アイドル時はもちろん、中程度の負荷をかけてもほぼ無音です。高負荷時も、普通のノートPCと比べると非常に静かです。
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。特に、手の平を置くパームレストの温度変化は重要です。
アイドル時や中程度の負荷であれば、表面温度は気になりません。動画の書き出しのような高い負荷をかけると、全体的に熱くなってきて、パームレストに置く手も熱く感じてきます。
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。
全体的に非常に低い消費電力です。
外観のチェック
MacBook Pro 13インチ M2の外観は、M1搭載のMacBook Pro 13インチと変わりありません。
14インチのMacBook Proと比較すると、ベゼルがやや太くなっています。ただ、剛性の高いボディで、質感は高いです。
天板には、みんなあこがれのアップルマークが付いています。
ボディは薄いです。
電源ボタンと統合した指紋認証も搭載しています。
インターフェースは少なく、Thunderbolt4ポートが2つのみです。
液晶が開く最大の角度はご覧の通りです。そこまで開きません。
底面は吸気口などがなく、シンプルです。
ACアダプターは67Wです。
まとめ
以上が、Apple M2搭載のMacBook Pro 13インチのレビューです。
主な変更点は、チップがM1からM2になった点です。M1が登場したときのような大幅な性能アップではありませんが、メーカーアナウンスでは、CPU性能は18%高速化、GPU性能は35%高速化しています。当サイトの計測でも大体そのくらいの性能アップでした。
製品自体としては、高めの負荷をかけても消費電力が低い点が優れています。動画編集のような負荷をかけても、かなり長い時間、バッテリー状態で駆動します。さらに、MacBook Air M2よりもバッテリー容量が多いことから、外出先などに持ち運んで、バッテリー状態で動画編集ソフトなどを使う方におすすめの機種です。
ただ、価格が高くなってしまった点は残念です。最低でも178,800円、メモリやストレージなどを少しアップすると30万円前後になります。
M2チップ搭載で性能アップ
MacBook Pro 13インチ M2
特徴
- M2チップ搭載で、性能がアップ
- 低い消費電力
- 高めの負荷でも長いバッテリー駆動時間
こんなあなたに
- ライトクリエイター
- YouTuber
- 価格17万円台[税込]~
販売先はこちら
アップルストアはこちら
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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