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MacBook Pro 16インチの実機レビュー
CPU | Core i9-9980HK Core i9-9880H Core i7-9750H |
---|---|
GPU | Radeon Pro 5300M 4G Radeon Pro 5500M 4G Radeon Pro 5500M 8G |
メモリ | 16GB ~ 64GB |
ストレージ | 最大 8TB PCIe SSD |
液晶サイズ | 16型 |
液晶種類 | 3072 x 1920 IPS |
質量 | 2.0kg |
バッテリー | 100Wh |
LTE | 非対応 |
価格[税込] | 25万円台~ |
MacBook Pro 16インチは、液晶サイズが大きくなったクリエイター向けノートPCです。
最大でCore i9-9980HKのCPUを搭載し、メモリやストレージ容量も多く、液晶の色域も広く、クリエイターも満足のスペックです。
気になるサーマルスロットリングですが、CPU使用率が100%になる負荷をかけても、CPUクロックはそれほど落ちませんでした。ただし、CPU温度はかなり高くなります。長時間の処理は心配です。
Power Delivery対応で、他社製のPD充電器も使用できる点もメリットです。HシリーズCoreプロセッサー搭載ノートにはなかなかない機能です。
今回は次の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Core i9-9980HK、16GBメモリ、Radeon Pro 5500M(8GB)、1TB PCIe SSD
目次
お忙しい方は、「MacBook Pro 16インチの特徴」をお読みください。
MacBook Pro 16インチの特徴
クリエイターも満足の高いスペック
MacBook Pro 16インチは、クリエイターも満足の高いスペックのノートPCです。
まずCPUに関しては、なかなか搭載できる機種が少ない8コアのCore i9-9980HKを搭載することが可能です。
メモリに関しては、最大64GBも選択可能です。クリエイターソフトはメモリをたくさん使いますし、複数のクリエイターソフトを立ち上げることも多いと思うので、メモリが多いのはGoodです。
ストレージに関しては、最大で8TBものSSDを搭載できます。動画編集などをする方は多くのディスク容量を消費するので、嬉しいのではないかと思います。
グラフィックスに関しては、最大でAMD Radeon Pro 5500M(8GB)となっています。ベンチマークを見ると、GeForce GTX 1650よりも劣るスコアなので、他のパーツと比べるとやや見劣りはします。ただし、8GBのメモリを搭載したグラフィックスを選択できるのは高ポイントです。
クリエイターには高性能のWindowsゲーミングノートを使用している方も多いと思いますが、Core i9-9980HK、64GBメモリ、8TB SSDまでの構成にできる製品はほとんどありません。2kgクラスの質量の製品に絞ればなおさらです。ただ、グラフィックス性能に関しては、Windowsゲーミングノートに分があるかなと思います。
コンパクトで薄型ボディ
16インチの画面を搭載しているMacBook Proですが、特に狭いベゼルを採用することでボディはコンパクトです。Windowsのクリエイター向けPCであるThinkPad X1 Extreme(15.6インチ液晶)と比較すると、MacBook Pro 16インチは、液晶は大きいのにボディサイズは小さかったです。
また、高い性能のMacBook Pro 16インチですが、ボディの高さが1.62cmしかありません。こちらもThinkPad X1 Extremeと高さを比較すると、かなり薄いことが分かります。
ACアダプター込みでクリエイター向けPCとしては軽量
最近は、MacBook Pro 16インチよりも軽いWindows ゲーミングノートも多く、しかもコスパが高いので、クリエイターさんは、Windowsのゲーミングノートを使用しているケースも多いと思います。
ただ、Windows ゲーミングノートの場合、ACアダプターが重いケースが多いです。一方、MacBook Pro 16インチは、ACアダプターが軽いため、PC本体+ACアダプターの総重量は、高性能ノートPCの中ではかなり軽い部類に入ると思います。
しかも、USB-Cで充電できるため、他社製のPD充電器が使えます。当サイトで試したところ、18WのPD充電器やスマホ用の5V充電器でも充電ができました。ACアダプターを忘れたときのために、小型のPD充電器を常時カバンに入れておく、といった運用も可能です。
高い剛性と圧倒的なブランドデザイン
MacBook Proは、メタリックな剛性の高いボディで、ねじっても歪んだりしません。質感もよく美しいデザインです。またブランド力が高く、アップルマークが付いているだけで「あ、MacBookだ」と気づかれ、外で使うときに自慢げに使えます。
インターフェースは少ないが、Thunderbolt 3ポートは4つも
MacBook Pro 16インチは、Thunderbolt 3(USB-C)ポートとヘッドフォン端子しかありません。USBメモリやSDカードなどを使う場合は、別途アダプターが必要です。
ただし、Thunderbolt 3(USB-C)ポートは、側面に合計4つもあります。左右どちらのポートでもACアダプターを繋げられますし、Thunderbolt 3対応の外付けM.2 SSDを複数繋ぐことも可能です。
スピーカー音が非常に良い
MacBook Pro 16インチは、6個のスピーカーを搭載し、音が非常にいいです。
実際に音を聴いてみましたが、サ行がやや刺さるものの、明瞭な高音、迫力ある重低音で、ノートパソコンの中では頭一つぬけた音質です。普通のノートPCのスピーカーが5点だとすると、本製品は 8点 訂正⇒8~9点(他のPCとの調整で点数をやや上げました)といったところです(音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。
極端なCPUのクロックダウンは無いがCPU温度は高い
薄型で高い性能のCPUを搭載していることから、熱の影響でCPUクロックが急激に落ちる(サーマルスロットリングが発生する)ことがないか確認します。
今回、Core i9-9980HK搭載モデルで、CPU使用率が100%近くなるエンコード処理をかけてみました。ターボブースト後のCPUクロックは約3.3GHzで落ち着いており、20分くらい様子を見ていましたが、これ以上が下がることはありませんでした。なお、Core i9-9980HKのベースクロックは2.40GHz(ターボブースト時の最大クロックは5.00GHz)となっており、ベースクロックを下回ることもありませんでした。
ただし、CPU温度は90度を越え、かなり高めです。MacBook AirのようにCPU温度が100度で張り付いていることはありませんでしたが、クロックダウンしてもおかしくない温度です。
次に、エンコードと同時に、動画編集のレンダリング処理も実行し、CPUだけでなくGPUにも負荷をかけてみました。CPU使用率は約100%、GPU使用率は上下しますが平均で約60%です。このときは、CPUクロックがダウンし約2.8GHzになりました。ただ、それでもベースクロックを下回ることはありませんでした。CPU温度については、クロックダウンしたことにより、85℃前後まで下がりました。
液晶ディスプレイのチェック
MacBook Proの液晶ディスプレイのチェックです。
P3に対応した色域で、映像制作などに適しています。ただし、Adobe RGBをカバーするほどの色域はないため、Adobe RGB環境でデバイスを統一したい方はご注意下さい。最大輝度は、実測で484cd/m2と高い輝度です。その他の特性は下のタブをクリックして下さい。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 画素・
ギラつき - 映り込み
- フリッカー
キーボードおよびタッチパッドのチェック
キーボードとタッチパッドのチェックです。
従来までの故障の多かったバタフライ構造のキーボードから、シザー構造のキーボードへ変更されました。キーストロークが1mmとやや深くなり、従来よりもしっかりとした打鍵感が得られます。底付きの衝撃も弱めになり、長時間でのタイピングで疲れにくくなったと思います。
また、MacBook Proは英語キーボードを選べるのもメリットで、アプリのショートカットを多用する方には嬉しいのではないかと思います。
タッチパッドはかなり大きく、指も動かしやすく、非常に操作しやすいです。また、クリックボタンも軽い力で押せて使いやすいです。
キーボードバックライトも搭載しています。
パフォーマンスのチェック
パフォーマンスのチェックです。
CPU
CPUには、Hシリーズの高性能CPUを搭載しています。特にCore i9-9980HKの性能が高いです。
今回のレビュー機は、Core i9-9980HKを搭載していますが、他のPCよりもスコアが落ちることなく、同じスコアが出ていました。
~ CINEBENCH R20 ~
※[レビュー機で計測]と書かれたCPU以外は、他のPCで計測した代表値です
~ Geekbench 5 ~
※[レビュー機で計測]と書かれたCPU以外は、他のPCで計測した代表値です
グラフィックス
MacBook Pro 16インチは、Radeon Pro 5300M、Radeon Pro 5500M(4GB)、Radeon Pro 5500M(8GB)の3種類のグラフィックスが選べます。
今回、Radeon Pro 5500M(8GB)を使ってみましたが、ベンチマーク上では、GeForce GTX 1650よりもやや劣るスコアです。
~ Geekbench 5 - Compute~
※[レビュー機で計測]と書かれたグラフィックス以外は、他のPCで計測した代表値です
2019.11.25訂正:初稿時1920x1080で実施と記載しましたが、1920x1200の間違いでした。お詫びして訂正いたします。
重い部類のゲーム
シャドウオブザトゥームレイダー
|
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---|---|---|
1920x1200 | 最低 | 75 fps |
中 | 45 fps | |
最高 | 40 fps |
※MacBook Pro 16インチのみ1920x1200で実施。他は1920x1080で実施
ストレージ
ストレージは、PCIe SSDを搭載しており高速です。
~ AmorphousDiskMark ~
※[レビュー機で計測]と書かれたストレージ以外は、他のPCで計測した代表値です
実際のソフトで計測した処理時間
次に、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間を掲載します。
※「Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください。
※ グラフィックスは全てノートPC用
Windowsを起動したときのベンチマーク
Boot CampでWindows OSを起動し、各種ベンチマークを計測しました。別ページにまとめましたので、詳細は下のリンク先をご覧ください。
Boot CampでWindows OSを起動し、各種ベンチマークなどの計測を行いました。MacBook Pro 16インチをWindows OSで使用しようと考えている方は参考にして下さい。
USB Type-C 充電器 / ドックの動作テスト
USB Type-Cポートを利用して、純正品以外の充電器やドックが使えるか試した結果を、下表に掲載します。
Thunderbolt 3に対応しており、映像出力ももちろん可能です。
特筆すべきなのは、18WのPD充電器やスマホ用の5V充電器でも充電ができた点です。外出先であまり負荷のかかる作業をしないのであれば、容量の小さい小型の充電器を使ってもいいと思います。ただし、PC使用中に容量が小さい充電器で充電すると、バッテリーが減っていくのでご注意下さい。
なお、純正品以外の充電器で故障しても、当サイトでは責任を負えませんので、ご了承下さい。
充電できるか? | 外部モニター / 有線LANの拡張 |
||
ドック | ThinkPad USB Type-C ドック | 〇 | 〇 |
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック | 〇 | 〇 | |
PD充電器 ※1 |
ZHOULX 充電器(65W) | 〇 | ― |
AUKEY 充電器(46W) | 〇 | ― | |
cheero 充電器(18W) | 〇 | ― | |
5V充電器 ※2 |
ANKER 充電器(5V/2.4A) | 〇 | ― |
AUKEY 充電器(5V/2.4A) | 〇 | ― | |
その他 | USB C-DPケーブルで外部モニター接続 | ― | 〇 |
※2 スマホやタブレット向けの5Vの充電器
質量のチェック
MacBook Proの質量のチェックです。
メーカー仕様値では2.0kgとなっています。当サイトでの計測値は次の通りです。前述しましたが、このクラスの性能のPCとしては、ACアダプターが軽いと思います。
質量 | |
PC本体 | 1.944kg |
ACアダプター(電源ケーブル含む) | 361g |
バッテリー駆動時間のチェック
バッテリー駆動時間のチェックです。
バッテリー容量は100Whと大容量です。
メーカーの仕様表では、バッテリー駆動時間について「最大11時間のワイヤレスインターネット閲覧」と書かれています。
当サイトで計測したバッテリー駆動時間を下に掲載します。今回、ローカルに保存した動画を、iTunesで連続再生したときのバッテリー駆動時間を計測しました。CPUが高性能であるため、そこまで長い駆動時間ではありません。また、クリエイターソフトを使った場合、この半分以下のバッテリー駆動時間になると思います。ACアダプターは携帯したほうがいいと思います。
バッテリー駆動時間 | |
動画再生時 ※1 | 6時間09分 |
※1 ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
当サイトで計測した1時間あたりの充電時間です。比較的速い充電時間です。
以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は変わります。
静音性のチェック
動作音(静音性)のチェック結果です。
アイドル時は無音ではありませんが、ほとんど音は聞こえません。エンコード時はやや高めの騒音値でした。
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
パーツの温度のチェック
各パーツの温度のチェック結果です。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。
プロジェクトにもよりますが、Final Cut Pro Xの4K動画に少しエフェクトを追加したときのレンダリング時は問題ない温度でした。
CPU使用率が100%になるエンコード時のCPU温度はかなり高めです。なお、このときのCPUクロックや、さらにGPUにも負荷をかけたときのCPUクロックなどについては「特徴」の項目をご覧ください。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。
キーボード面がやや熱くなりますが、パームレストの温度はそれほどでもなく不快感は少ないです。裏面は熱くなるので、膝の上に置いて作業をするときは気を付けましょう。
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、確認できた最も高い数値を掲載しています。
高性能パーツを搭載していますが、グラフィックスはOptimusに対応していることもあり低負荷時は低めの消費電力です。高負荷時は高めの消費電力です。
外観のチェック
MacBook Proの外観写真を掲載します。
ボディにはリサイクル効率の高いアルミニウムを使用しており、見た目が美しいだけでなく、環境にも優しくなっています。ベゼル幅も非常に狭いです。
天板です。天板にロゴが入っていて喜ばれるのはアップルくらいです。
液晶は、下図の角度まで開きます。
インターフェースは、Thunderbolt 3とヘッドフォンのみです。
Touch ID センサーによる指紋認証に対応しています。
排気口は背面側にあります。
底面に吸気口などはありません。美しい外観です。
内部の画像です。ファンは2つで、太めのヒートパイプが1本のみ搭載されています。メモリ、ストレージはオンボードとなっており換装することはできません。
ACアダプターです。
まとめ
以上が、MacBook Pro 16インチのレビューです。
最大でCore i9-9980HKの高性能CPUに、大容量の64GBメモリ&8TB SSDを搭載したクリエイター向けのノートパソコンです。
グラフィックスのRadeon Pro 5500M(8GB)は、ベンチマークスコアだけ見ると、GeForce GTX 1650を下回る程度の性能です。
16インチ液晶を搭載している割にはコンパクトで、高性能パーツを搭載している割には薄型です。
高性能ノートにしてはACアダプターが軽く、他のPD対応充電器が使える点も長所です。
高い負荷をかけた場合、CPUクロックはそれほど下がりませんでしたが、CPU温度が95℃前後まで上がるため心配です。
16インチになった定番クリエイターノートPC
MacBook Pro 16インチ
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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