SONY VAIO Zの実機レビュー(3)

更新日:2011年08月25日
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  目次  

静音性のチェック

本機の動作音(静音性)のチェック結果です。もし、動作音が大きいと、気になって作業に集中できなかったり、周りの人に迷惑になったりします。

下記の3つの状態で計測した結果、DVDドライブやHDDなど回転部品を搭載していないだけあって、アイドル時は非常に静かです。ただし、負荷をかけると、ファンの回転音により、他のPCよりもやや騒音値が高かったです。


騒音値の計測結果

左図:アイドル時の騒音値 (何も操作していない状態)
中央図:バイオハザード5ベンチマーク実行時の騒音値(解像度:1280x720、テストAで実行)
右図:TMPGEnc Video Mastering Works 5 でエンコード時の騒音値(x264、解像度1280x720でエンコード)
部屋を極力無音にしたときの騒音値:40.4dB、 測定機器:GS-04
※選択したCPUやGPUが異なると騒音値は変わってきます

パーツの温度のチェック

各パーツの温度のチェック結果です。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。

下記の3つの状態で計測した結果、負荷をかけるとCPUの温度が70℃台になりました。ただし、他のノートPCもこのくらいの温度になります。アイドル時は普通の温度なので、高い負荷をかけ続けなければ問題ないと思います。

薄いボディの割には、温度が抑えられていると思いますが、これはCPUにデュアルファンを搭載していることと、キーボード面からも吸気し、放熱効果を高めているためです。


各パーツの温度の測定結果

左図:アイドル時(何も操作していない状態)の温度
中央図:バイオハザード5ベンチマーク実行時の温度(解像度:1280x720、テストAで実行)
右図:TMPGEnc Video Mastering Works 5 でエンコード時の温度(x264、解像度1280x720でエンコード)
測定環境:室内温度 約26℃、 測定ソフト:HWMonitor Pro
※選択したCPUやGPUが異なるとパーツの温度は変わってきます

表面温度のチェック

本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。

下記の3つの状態で計測した結果、キーボードの左上部分がやや熱くなります。また裏面の右上も40℃を越しています。ただし、これだけ薄いボディにしては、思ったほど温度は上昇しませんでした。


表面温度の計測結果

左図:アイドル時(何も操作していない状態)の表面温度
中央図:バイオハザード5ベンチマーク実行時の表面温度(解像度:1280x720、テストAで実行)
右図:TMPGEnc Video Mastering Works 5 でエンコード時の表面温度(x264、解像度1280x720でエンコード)
測定環境:室内温度 約26℃、 測定機器:赤外線温度計TN006
※選択したCPUやGPUが異なると表面温度は変わってきます

消費電力のチェック

VAIO Zの消費電力のチェック結果です。もし、消費電力が高いと、電気代が高くなるのと、節電に反します。尚、1日平均3時間程度パソコンを使用する方は、消費電力が1W違うと、電気代は1か月あたり約2円違います(電気の契約内容にもよります)。

下記の3つの状態で計測した結果ですが、全体的に消費電力は小さかったです。


消費電力の計測結果

左図:アイドル時 (何も操作していない状態)の消費電力
中央図:バイオハザード5ベンチマーク実行時の消費電力(解像度:1280x720、テストAで実行)
右図:TMPGEnc Video Mastering Works 5 でエンコード時の消費電力(x264、解像度1280x720でエンコード)
測定機器:ワットチェッカー TAP-TST7
※選択したCPUやGPUが異なると消費電力は変わってきます

外観のチェック

VAIO Zの外観のチェックです。外装にはカーボン素材を採用し剛性を高めています。今回は無難なブラックを選択しましたが、ブルーやゴールド色もあります。

 

パームレストはアルミニウムを使用し強度を高めています。また、つや消し素材で、指紋は付きにくいです。

本体を持ってみると非常に軽いです。

 

液晶を開くとボディがやや浮いているのがわかると思いますが、これは液晶が下へ出っ張るためです。

 

液晶を閉じたときは出っ張りは無いのですが、開くと液晶が下へロールダウンして地面と設置し、ボディがやや浮きます。

 

ボディが浮くことで、初めてLANケーブルを接続できます。

LANポートはフタがしてあり、LANケーブルを接続するときはこのフタを開けなくてはいけません。しかし、液晶を閉じた状態では、このLANポートのフタを完全に開けることができません。上のように液晶を開けてボディを浮かした後、LANケーブルを接続することができます。

逆に言うと、LANケーブルを挿したまま、液晶を閉じると、LANケーブルのコネクタ部分が地面に接触し、本体が浮いて安定感が悪くなります。コネクタ部分を痛めそうです。

 

天板も、つや消しで指紋は付きにくいです。

 

液晶が薄すぎて、開くときに歪みます。また、液晶を開くときに持つ場所が悪いと「バキッ」と鳴ることもあります。ボディは比較的頑丈だと思うのですが、液晶部分はひねりや加圧、開閉強度に弱い印象を受けます。少なくとも、ThinkPad X1のような頑丈さはないです。

VAIO Zの側面です(下図)。USBポートの数が2つと少ないですが、USB3.0やHDMIポート、VGAポートを搭載しており種類は十分です。また、ソニーらしくメモリースティックデュオスロットも搭載しています。

 

液晶は、下図の角度まで開きます。

パーツの選び方

パーツの選び方を考えていきます。尚、BTOという性質上、時期によって選択できるパーツは異なりますのでご注意ください。ここでは2011年8月17日現在、搭載できるパーツでの選び方をコメントします。

CPU

選択できるCPUは、下記のCPUです。

CPUは換装ができないパーツなので、できるだけ高性能なものを選択しておいたほうが良いと思います。Core i5-2410MとCore i7-2620Mの価格差は約12,000円と、それほど大きな差ではないので、個人的にはCore i7-2620Mがお勧めです。コストパフォーマンスが高いのは、Core i5-2410Mかなと思います。

2011/8/17時点で選択可能なCPU
仕様 Core i7-
2620M
Core i5-
2540M
Core i5-
2520M
Core i5-
2410M
Core i3-
2310M
コア数 2 2 2 2
スレッド数 4 4 4 4
動作周波数 2.70GHz 2.60GHz 2.50GHz 2.30GHz 2.10GHz
Turbo Boost時周波数 3.40GHz 3.20GHz 3.20GHz 2.90GHz
キャッシュ L1:128KB
L2:512KB
L3:4MB
L1:128KB
L2:512KB
L3:3MB
L1:128KB
L2:512KB
L3:3MB
L1:128KB
L2:512KB
L3:3MB
L1:128KB
L2:512KB
L3:3MB
消費電力 35W 35W 35W 35W 35W
3DMark 06 ベンチ 3754 3649 3380 3210 2508
PassMark CPU ベンチ 3946 3745 3731 3531 2814
※3DMark 06 ベンチのスコアは、NOTEBOOKCHECK様のサイトから引用しています。尚、スコアは日々更新されています
※ PassMark CPU ベンチのスコアはPassMark様のサイトから一部引用しています。尚、スコアは日々更新されています

メモリ・SSD

本機は、メモリとSSDを自分で換装することができません。そのため、こちらも少し多めの容量を選択しておいたほうがいいと思います。

Power Media Dock

Power Media Dockとは、光学ドライブやグラフィックスを搭載した外付け機器です。光学ドライブはブルーレイドライブまたはスーパーマルチドライブのどちらかを選択できます。グラフィックスはRadeon HD 6650Mです。ただし価格は割と高価です。

Radeon HD 6650Mグラフィックスは、軽いゲームもしたいなら搭載したほうが良いです。しかし、ゲームをしないなら本体に搭載しているインテルHDグラフィックスで十分であり、Power Media Dockを購入する必要はありません。光学ドライブのみ使いたいなら、バッファローやアイオーデータのポータブルドライブで十分です。数千円で購入できます。

Power Media DockにはHDMIやUSB3.0、LANポートなども搭載していますが、本体にも搭載しているため、特に必要性を感じません。メリットがあるとすれば、沢山の外部機器を接続している場合、持ち運ぶときに、これらの機器を1つ1つ外さなくても、Power Media Dcokのケーブルだけ外せば良い点です。

まとめ

以上が、SONY VAIO Zのレビューでした。

本機は、「軽量」、「極薄」、「SSD RAID0」、「高解像度」など、大きな特徴を幾つも持ったモバイルノートです。特に、最近、モバイルノートの重量が重くなってきている傾向がある中、1.1kg台の重量はかなり魅力です。総合的に見て高い品質のモバイルノートだと思います。

ただし、大きなメリットが沢山あるPCですが、注意点も幾つかあるので記載します。

まず、本機に搭載されていてた1600x900の液晶パネルに、ギラツキ and 斜めの線がやや見える点です。ただし、これらの感じ方は人によって大きく変わるので、一度店頭を確認したほうがいいと思います。気にならないという方も多いとは思います。店頭で確認するときは壁紙を「白」にして下さい。

次に気になるのは、液晶の頑丈さです。カーボンや、アルミニウムなど頑丈な素材を使ってはいますが、液晶部分のひねりに弱そうな点が気になります。また、本体を踏んでみようと思ったのですが、片足に少しずつ体重をかけていくと、液晶がかなり下に凹んで危ないと思ったので、途中で止めました。加圧にも弱そうな印象を受けます。

キーボードのストロークの浅さも気になります。「D」や「L」のキー打つ時、私はやや爪が当たるのですが、ストロークが浅すぎて爪が痛いです。

最後は、故障や拡張時のパーツ交換の難しさです。通常、SSDやメモリは自分で交換できますが、本機はそれが出来ません。故障時は一度メーカーに送る必要があります。メモリを増設することもできません。

いくつか気になる点もありますが、使用用途がメリットとかみ合えば、最高の1台になるのは間違いないと思います。

詳細はこちら
直販店:ソニーストア(VAIO Z)