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「Iris Xe グラフィックス」でどこまでゲームができるか?

更新日:

ノート用インテル第12世代Coreの内蔵GPU「Iris Xe グラフィックス」ではどこまでゲームができるか、軽めの人気のゲームを10タイトルほどプレイし、フレームレートを計測してみました。

 

目次

 

Iris Xe グラフィックスとは?

外部グラフィックスがなくても諦めることなかれ

本来、ノートPCで3Dゲームをする場合は、CPUとは別にグラフィックカードなどの描画処理を行う外部GPUが必要となりまし、基本的には、GeForce XXXといった「外部グラフィックス」を搭載した製品がおすすめです。

しかし、CPUに内蔵されているグラフィックスも年々性能が向上しており、「軽~く」カジュアルにゲームをするだけなら、「CPU内蔵グラフィックス」のみでも、ゲームタイトルやグラフィック設定によっては出来なくもありません。

この記事では現在人気のある3Dゲームを、最新のノートPC向けのインテル第12世代Coreプロセッサー「Core i7-1260P」の内蔵グラフィックスである「Iris Xe グラフィックス」でゲームをして、ストレスを感じない程度に遊べるかどうか試してみました。

なお、ガチ勢の方は、GeForce RTX 3060といった外部グラフィックスに、高リフレッシュレート液晶を搭載したゲーミングノートPCを素直にご購入下さい。おすすめのゲーミングノートPCについては、別記事「ゲーミングノートPC おすすめモデル」をご覧ください。

また、画面解像度はいずれもフルHD(1920×1080)でテストしています。平均フレームレートは60 fps以上で快適に動作すると思ってください。

 

検証に用いたプロセッサーの仕様

今回検証に用いたCPUは、一般ユーザー向けPCに搭載されるPシリーズ、「Core i7-1260P」です。今後、多くのノートPCで採用されていくと思われるプロセッサーです。

下表は主な「Alder Lake-P」シリーズの仕様です。Core i7-1260Pは、Core i5-1250PとPコアおよびEコアの数は同じであるものの、GPU実行ユニットについては、Core i7-1260Pが96基と、Core i5-1250Pよりも多くなっています。

代表的なAlder Lake-Pの仕様
  Core i7-1280P Core i7-1260P Core i5-1250P
コア数 Pコア 6 4 4
Eコア 8 8 8
定格クロック Pコア 1.8GHz 2.1GHz 1.7GHz
Eコア 1.3GHz 1.5GHz 1.2GHz
最大クロック Pコア 4.8GHz 4.7GHz 4.4GHz
Eコア 3.6GHz 3.4GHz 3.3GHz
L3キャッシュ 24MB 18MB 12MB
GPU最大クロック 1.45GHz 1.4GHz 1.4GHz
GPU実行ユニット 96 96 80
Base Power(PL1相当) 28W
Max Turbo Power(PL2相当) 64W

 

今回使用したノートPCは、Dynabook CZ/HVです。高い負荷をかけ続けても、28WのCPU電力を維持できていたので、放熱性は悪くないと思います。詳しいレビューは下記の記事をご覧ください。

なお、薄型ノートPCや、モバイルノートPC、放熱性の悪いPCの場合、28WのCPU電力を維持できず、パフォーマンスが下がる可能性もあります。その場合、以下に掲載するフレームレートが出ないこともあるので、ご注意ください。

 

eスポーツタイトル

VALORANT

まずは、ライアットゲームズによる、タクティカルシューター「VALORANT」をプレイし、CPU内蔵グラフィックスでも快適に動作するのか確認しました。このゲームは、競技性の高いFPSで、eスポーツ種目としても世界で人気の高いタイトルです。

動作検証にはプラクティスの屋外射撃場を一周して平均フレームレートを計測。グラフィック設定はすべての項目を下げた「低」設定と、すべての項目を最大にした「高」設定で検証しています。

テストに使用したグラフィック設定

 

結果は以下の通りです。 

VALORANTは要求スペックの低い軽いゲームなので、低設定では平均 162fps、高設定では平均 92fpsとかなり高めのフレームレートで快適にプレイできました。シーンによってはフレームレートがガクっと下がることもたまにありますが、問題なく遊べる範囲だと思います。

VALORANT
解像度 グラフィック品質 平均fps
1920x1080 162 fps
92 fps
評価 「高」設定でも快適にプレイが可能
※プラクティスで計測
「低」設定時のキャプチャ画面

 

Apex Legends

EAのバトルロイヤルシューター「Apex Legends」をプレイ。国内では最も人気とされるFPSで、eスポーツとしても注目されている今最も熱いタイトルです。

動作検証には射撃訓練場にてマップを一周して平均フレームレートを計測しました。グラフィック設定ではすべての項目を「なし」もしくは「無効」にした設定で行っています。

テストに使用したグラフィック設定

 

結果は以下の通りです。 

APEXでは、すべての設定を下げた「最低設定」なら、平均58 fpsと高めの設定で快適にプレイできます。射撃訓練場での計測なので、カクつきはありませんでしたが、複数人が乱れるマルチプレイでは多少フレームレートの低下やカクつきがあるかもしれません。また、グラフィック設定を上げると、平均フレームレートは60fpsには大きく届きません。

Apex Legends
解像度 グラフィック品質 平均fps
1920x1080 低設定 58 fps
結果 「最低設定」でギリギリプレイ可能
※トレーニングモードで計測
「低」設定時のキャプチャ画面

 

フォートナイト

最もプレイヤー人口が多いとされる「フォートナイト」をプレイ。TPS視点のカジュアルなゲーム性が人気のタイトルです。最近では建築要素のない"ゼロビルド"モードが登場し、純粋なTPSバトルロイヤルを楽しめます。

動作検証にはバトルラボにてリスポーン降下からマップを移動し、平均フレームレートを計測。グラフィック設定にはレンダリングモードを「パフォーマンス」に設定し、すべての項目を下げて検証しました。

テストに使用したグラフィック設定

 

結果は下記の通りです。 

パフォーマンスモードはまだベータ版ですが、スペックの低いPCでも動作する設定になっています。

実際にプレイしてみると、平均フレームレートは58 fpsと高めです。ただ、マップの移動で所々カクつきが見られたので、「快適に」とは言えませんが、そこそこプレイできる範囲だと思います。

フォートナイト
解像度 グラフィック品質 平均fps
1920x1080 パフォーマンスモード 58 fps
結果 「パフォーマンスモード」ならギリギリプレイ可能
※トレーニングモードで計測
「パフォーマンスモード」設定時のキャプチャ画面

 

PUBG: BATTLEGROUNDS

バトルロワイヤルの火付け役、かつて全世界で人気を博したバトルロワイヤルシューター「PUBG」をプレイ。無料版の「PUBG LITE」はサービス終了したものの、本家の「PUBG」を無料にすることでユーザー数も戻ってきたようです。

動作検証にはErangelマップにて、降下から着地、走り出すまでの平均フレームレートを計測。グラフィック設定は、レンダリングスケール100固定で、プリセットを「非常に低い」設定で検証を行っています。

テストに使用したグラフィック設定

 

結果は以下の通りです。 

「非常に低い」設定なら40~50 fpsで意外とプレイできます。降下から移動、戦闘時もカクつきが多々ありますが、遊べないほどではありません。フレームレートを最大30 fpsに固定してしまえば、違和感なくプレイできるのではないでしょうか。

PUBG: BATTLEGROUNDS
解像度 グラフィック品質 平均fps
1920x1080 非常に低い 45 fps
結果 「非常に低い」設定ならそれなりにプレイ可能
※トレーニングモードで計測
「非常に低い」設定時のキャプチャ画面

 

リーグ・オブ・レジェンド(LOL)

全世界で総プレイヤー人口が最も多いとされるMOBA系無料オンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」をプレイ。今もなおeスポーツタイトルとしての人気が高く、大会規模や賞金額もトップクラスのゲームです。

動作検証にはプラクティスモードをプレイし、平均フレームレートを計測。グラフィック設定は最高の「非常に高い」で検証を行っています。

テストに使用したグラフィック設定

 

結果は以下の通りです。 

実際にプレイしてみると非常に軽く、平均フレームレートは100 fpsを下回ることなく、快適にプレイできます。複数のプレイヤーが入り乱れるゲーム中盤~終盤の乱戦では負荷が大きくなるものの、カクつきもなく、軽快に動作していました。

League of Legends
解像度 グラフィック品質 平均fps
1920x1080 非常に高い 150 fps
結果 「非常に高い」でも快適にプレイ可能
※トレーニングモードで計測
「非常に高い」設定時のキャプチャ画面

 

ストリートファイターV CE

今世界で最もプレイされている2D格闘ゲーム「ストリートファイターV CE」をプレイ。今年3月末に最終バージョンであるシーズン6にアップデートされ、日本人プレイヤーが多く活躍するジャンルでもあります。

動作検証には公式で公開されているストリートファイターVのベンチマークツールを使用しました。グラフィック設定は「低」で計測しています。本作は最大60 fps固定なので、平均フレームレートが 60 fpsに近ければ、快適に動作します。

ベンチマークに使用したグラフィック設定

 

結果は以下の通りです。 

ベンチマーク結果は平均フレームレートが60 fpsと「快適にプレイすることができる」という評価でした。実際にプレイしてみましたが、トレーニング、オンラインマッチいずれもカクつきなく快適に対戦が可能です。ステージによる負荷にも左右されません。垂直同期をオフにすれば違和感のない快適な対戦が楽しめます。

ストリートファイターV CE
解像度 グラフィック品質 平均fps
1920x1080 60 fps(最大)
結果 低設定で快適な対戦が可能
※トレーニングモードで計測
ベンチマーク測定結果

 

その他のゲーム

ファイナルファンタジー 14 暁月のフィナーレ

エオルゼアの失敗から、世界最高峰のMMORPGまで上り詰めた「ファイナルファンタジー 14」をプレイ。ソロでもプレイできるカジュアルさと、重厚なストーリー展開で、RPGとしての完成度が高く、一時はログイン制限が設けられるほど、全世界で人気のタイトルです。

動作検証には公式で公開されている、最新拡張版「暁月のフィナーレ」のベンチマークを使用しました。グラフィック設定は「標準品質(ノートPC)」で計測しています。

ベンチマーク測定結果

 

結果は以下の通りです。 

ベンチマーク結果では、スコアは7257、評価は「やや快適」でした。平均フレームレートは51 fpsとそこそこ出ています。ただ、最低フレームレートは30 fpsを切っていたので、負荷が重いとかなりカクつきが起こるかもしれませんが、プレイできないことはないと思います。

ファイナルファンタジー 14 暁月のフィナーレ
解像度 グラフィック品質 平均fps
1920x1080 標準品質
(ノートPC)
51 fps
結果 「標準品質(ノートPC)」ならプレイできないことはない
※トレーニングモードで計測
「標準品質(ノートPC)」設定時のキャプチャ画面

 

モンスターハンターライズ

カプコンの大人気ハンティングアクション「モンスターハンターライズ」をプレイ。6月には超大型拡張コンテンツ「サンブレイク」を控え、高解像度と高フレームレートに対応していることから、PC版に移行しているユーザーも多いほど。

見た目に反して負荷はかなり軽く、公式でも「インテル Iris Xe グラフィックス」での動作が確認されているほどです。動作検証には大社跡の探索で初期キャンプの地点から左手の洞窟を滑り落ち、滝のところまで移動した時の平均フレームレートを計測。グラフィック設定は「低」と「中」で計測しています。

ベンチマークに使用したグラフィック設定

 

結果は以下の通りです。 

「低」設定なら平均フレームレートは常時100 fpsを超えており、高いフレームレートで快適にプレイすることができます。「中」設定でも平均フレームレートは60 fps前後なので、そこそこ綺麗な画質で快適に動作します。フレームレートを稼ぐなら画質がやや粗いですが、「低」設定がおすすめです。

モンスターハンターライズ
解像度 グラフィック品質 平均fps
1920x1080 135 fps
62 fps
結果 「低」設定で快適にプレイが可能
※トレーニングモードで計測
「低」設定時のキャプチャ画面

 

原神

miHoYoのオープンワールドアクションRPG「原神」をプレイ。メインはスマホですが、PS4/PS5、PCでも遊べるマルチプラットフォームに対応しており、アップデートも精力的に行われている人気タイトルです。

こちらも3Dにしては軽量な部類ですが、オープンワールドである分、フレームレートは安定しない傾向にあります。動作検証にはモンド城のワープポイントから街を一周して平均フレームレートを計測。グラフィック設定はプリセット「最低」「低」「中」で、フレームレート上限は60 fpsで計測しています。

ベンチマークに使用したグラフィック設定

 

結果は下記の通りです。

「低」設定なら平均 60fpsで快適にプレイができますが、マップ移動や戦闘によってはガクっとフレームレートが下がることがあるので、安定したプレイを求めるなら「最低」設定がおすすめです。画質とフレームレートのバランスを取るなら「低」設定でもいいでしょう。

原神
解像度 グラフィック品質 平均fps
1920x1080 最低 60 fps(最大)
60 fps(最大)
38 fps
結果 「低」設定で快適にプレイが可能
※トレーニングモードで計測
「低」設定時のキャプチャ画面

 

マインクラフト

誰もが知るサンドボックス型のものづくりゲーム「マインクラフト」をプレイ。3Dブロックで構成された広い世界で、自由にものづくりに触れることができる、創造性豊かなゲームです。

動作検証にはベンチマーク用のワールドをトロッコで一周し、平均フレームレートを計測。統合版とjava版がありますが、今回はjava版で検証しています。グラフィック設定はプリセット「描画優先」と「最高設定」で、フレームレート上限は無制限で計測しています。

ベンチマークに使用したグラフィック設定

 

結果は下記の通りです。 

「最高設定」でも平均フレームレートは70 fpsと高めで、快適にプレイが可能です。シーンによっては60 fpsを切ることもありますが、おおむねストレスなく遊ぶことができると思います。ワールドによっては処理が重い場合もあるので、その時は「描画優先」にすると安定してプレイできるでしょう。

マインクラフト
解像度 グラフィック品質 平均fps
1920x1080 描画優先 78 fps
最高設定 70 fps
結果 「最高設定」で快適にプレイが可能
※トレーニングモードで計測
「最高設定」時のキャプチャ画面

 

まとめ

インテル第12世代であるCore i7-1260P内蔵の「Iris Xe グラフィックス」でも、ゲームタイトルおよびグラフィック設定次第では、ゲームができなくもありません。グラフィック設定をかなり落とさなければならないゲームも多いですが、軽くゲームするくらいなら十分なケースも多いです。

ただし、本格的にゲームをプレイする方、グラフィック品質を上げて綺麗な映像でゲームがしたい方、サイバーパンク2077のような重いゲームをする方は、常時高いフレームレートが出せる高いスペックで、高リフレッシュレート液晶を搭載した「ゲーミングノートPC」と呼ばれている機種のほうがいいでしょう。

 

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