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DAIV 5Dシリーズ の実機レビュー
CPU | Ryzen 7 3700X Ryzen 5 3600 Ryzen 5 3500 |
---|---|
GPU | GeForce GTX 1660Ti |
メモリ | 最大 64GB |
ストレージ | HDD / PCIe SSD / SATA SSD |
液晶サイズ | 15.6インチ |
液晶種類 | FHD 非光沢 |
質量 | 最大約2.63kg |
バッテリー | 約1.5時間 |
価格[税込] | 12万円台~ |
DAIV 5Dシリーズは、デスクトップ用のRyzenプロセッサーを搭載した、高い処理性能が特徴的な、クリエイター用ノートPCです。
Ryzenプロセッサーを搭載することで、コストパフォーマンスも高くなっており、高い性能でありながら、価格はお手頃です。
GPUとして、GTX 1660Tiを搭載しており、動画編集や、ライトな3DCG作成など、幅広いクリエイティブワークにも使用できるでしょう。
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レビュー機は、メーカーからの貸出機です。今回は以下の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Ryzen 7 3700X、GeForce GTX 1660Ti、16GBメモリ、512GB PCIe SSD
目次
お忙しい方は、「DAIV 5Dシリーズの特徴」のみお読みください。
DAIV 5Dシリーズの特徴
高性能のデスクトップ用CPU搭載
DAIV 5Dシリーズの最大の特徴は、高処理性能のデスクトップ用Ryzenプロセッサーを搭載していることです。非常に高い性能でも入手しやすい価格で、コストパフォーマンスにも優れています。
DAIV 5D-R7はRyzen 7 3700X搭載、DAIV 5D-R5はRyzen 5 3500もしくはRyzen 5 3600搭載となります。
DAIV 5D-R7の搭載するRyzen 7 3700Xは、デスクトップ用プロセッサーの中でも、かなり高めの処理性能です。どうせこの製品を購入するなら、他のノートPCでは出せない性能のRyzen 7 3700Xを搭載したDAIV 5D-R7がおすすめです。
トリプルストレージ構成も可能
DAIV 5Dシリーズは、デフォルトでPCIe SSDを搭載しています。カスタマイズをすれば、2.5インチのSSDもしくはHDDを追加することも可能です。
さらに、空きのM.2 スロットがあるので、底面カバーを外せる方は、自分でM.2 SSDを増設し、合計3つのストレージを搭載することが可能です。
NTSC比 約72%の広色域液晶
DAIV 5Dシリーズの色域を当サイトにて計測したところ、sRGBカバー率は91.1%でした。そこまで広い色域ではありませんが、ウェブ用の画像・動画編集ならなんとかなる色域です。
ただ、欲を言えば、もう少し広めの色域が良かったです。
最大3画面の4K出力が可能
上述のように、ディスプレイの色域が物足りない場合、外部ディスプレイを接続して使うのもいいでしょう。
DAIV 5Dシリーズでは、背面にUSB-C、HDMI、Mini DisplayPortを備えており、それぞれ4K解像度での映像出力が可能です。本体の液晶も含めると、最大4画面での運用ができます。背面に画像出力用のポートがまとめられているので、ケーブルが作業の邪魔になることもありません。
電源確保必須の宅内用ノート
DAIV 5Dシリーズは、デスクトップ用プロセッサーを搭載しているため、バッテリー駆動時間が約1.5時間とかなり短いです。バッテリーはUPS程度に考えておいて、基本的には常時電源を接続して使用する必要があるでしょう。
質量も最大約2.63kgと、ノートPCとしては重めで、持ち運びにはあまり適しません。
ライバル機種の紹介
DAIV 5Dシリーズのコスパ(費用対性能)が非常に高いことを示すために、最後にGeForce GTX 1660Tiを搭載する、同じ価格帯のノートPCと簡単に比較します。
ゲーミングPCとなりますが、比較したのは非常にコスパの高いレノボのLegion Legion 550Piと、DELLのG3 15 (3500)です。
コスパの高いライバル機種よりもやや価格が高めではありますが、プロセッサーの性能差を考えると、DAIV 5Dシリーズも十分コスパが高いと思います。
また、下表にはありませんが、Ryzen 5 3500搭載のDAIV 5D-R5は、109,800円なので、おそらくGTX 1660Ti搭載機としては、最安ではないかと思います。
[本機器] DAIV 5D-R7 |
レノボ Legion 550Pi |
DELL G3 15 (3500) |
|
CPU | Ryzen 7 3700X | Core i7-10750H | Core i7-10750H |
GPU | GeForce GTX 1660Ti | ||
メモリ | 16GB | 16GB | 16GB |
ストレージ | 512GB SSD | 512GB SSD | 512GB SSD |
液晶種類 | FHD | FHD 144Hz | FHD 120Hz |
価格[税別] | 139,800円 | 126,426円 | 134,283円 |
クリエイター向けソフトの使用感
以下、クリエイター向けソフトを使ったときの使用感や各種処理時間を掲載します。
なお、本製品は動作モードを変更できますが、今回は、一部を除き、デフォルトの「エンターテイメント」モードと「パフォーマンス」モードで試しています。
Adobe Lightroom Classic CC(写真編集ソフト)
DAIV 5DでLightroomを使ってみましたが、非常に快適です。
彩度の変更、トーンカーブの変更など各種現像処理を実行してみましたが、タイムラグ無くすぐに反映されていました。CPUやグラフィックスの負荷も低く、スペックはかなり余裕があります。
また、最も時間のかかる現像がかなり速いです(下表)。
ただし、ディスプレイの色域が、狭くはありませんが広くもないです。sRGBカバー率は91.1%、sRGB比は100.1%でした。Webへ掲載するためのRAW現像なら使えると思いますが、印刷用としては色域不足です。
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
Adobe Photoshop CC(画像編集ソフト)
Photoshopも非常に快適に動作します。
「ぼかし」、「変形」、「広角補正」、「ゆがみ」などの各種フィルターを適用してみましたが直ぐに反映されます。また、「被写体を選択」、「オブジェクト選択ツール」、「コンテンツに応じた塗りつぶし」といった人工知能( Adobe Sensei)を用いた処理も、1~2秒で終わります。
液晶についてはLightroom Classicでのコメントと同様です。
Adobe Premiere Pro CC(動画編集ソフト)
Premiere Proも快適です。
4K動画について、カット編集、テロップ入れ、トランジションの追加、Lumetriカラーによるカラー補正、クロマキー合成などを行ってみましたが、非常に快適に作業できました。
4K動画をカラー補正し、分析に長時間かかるワープスタビライザーで手振れ補正しつつ、さらに別の4K動画のワイプを挿入し、プレビューしてみたところ、カクつくことなくプレビュー出来ていました。このとき、CPU使用率は35%、GPU使用率は17%で、どちらも余裕がありました。
また、最終書き出しも非常に速いです。GeForce RTX 2070 SUPER搭載PCには及ばなかったものの、CPUが速いため、GeForce RTX 2060搭載PCよりも高速でした。MacBook Pro 16インチと比較すると、半分程度の書き出し時間でした。
ただし、スピーカー音があまりよくないので、外部スピーカーを繋げないと音声の調整が難しいかもしれません。
※ グラフィックスは全てノートPC用
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
TMPGEnc Video Mastering Works 7(動画変換/編集ソフト)
デスクトップ用のRyzenプロセッサーを搭載しているだけあって、CPUで処理するx265のエンコードは非常に速いです。NVENCも使え、こちらも高速です。
エンターテイメント | パフォーマンス | |
x265でエンコード (※1) | 10分16秒 | 9分42秒 |
QSVでエンコード (※2) | ― | ― |
NVENCでエンコード (※3) | 55秒 | 54秒 |
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 CPU内蔵のハードウェアエンコーダー
※3 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
Blender(3DCGソフト)
Blenderの動作の快適度はやや限定的です。
簡単なものであれば、Cyclesでのレンダープレビューも実用的な時間で表示することができます。ただし、複雑なものになると、レンダープレビューで視点移動を行うと、ある程度見られるようになるまで時間がかかります。レンダーにEeveeを使用する場合は、複雑なものでも十分スムーズでした。
最新のBlender 2.9からは、レンダーにCyclesを選択する場合、GTXシリーズのグラフィックスでもOptiXを使用したレンダリングが可能となりました。ただし、以前テストしたRTX2060では、OptiXでのレンダリングはCUDAでのレンダリングよりも2倍以上高速になる場合があったのに対して、GTX 1660TiではOptiXでのレンダリングでも、CUDAと比較してそこまで高速にはなりませんでした。
RTX 2060とGTX 1660Tiは、ゲームのベンチマークでは近いスコアですが、Blenderにおいては、RTXシリーズのGPUを搭載したPCの方が、レンダープレビューの表示や、レンダリングにかかる時間が短くて済み、おすすめです。
OptiXで実行したベンチマークの結果を他のPCのベンチマークの結果と比較したのが下のグラフです。全体のうち39%程度のランキングとなっており、平均以上ではあります。
なお、実際のレンダリングでは、CPUとGPUを併用することができます。そこで、高性能CPUを搭載しているDAIV 5Dであれば、実際のレンダリングが高速になるのかも比較してみました。結果は、CPU + GPUでの処理で、実際のレンダリングは確かに高速になります。ただし、内容により、レンダリング時間がある程度短くなることもありますが、そこまで大幅な短縮とはならないこともありました。そのため、Blenderに関しては、CPU性能よりも、RTX系のGPUを搭載する方が費用対効果が高いようです。
また、Blender以外の3DCGソフトをお使いの方のために、SPECviewperfのベンチマークスコアも計測しました。参考にしていただければと思います。
ディスプレイのチェック
DAIV 5Dのディスプレイのチェックです。
標準的な品質のディスプレイだと思います。最大輝度は、当サイトの計測では287cd/m2と普通です。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 画素・
ギラつき - 映り込み
- フリッカー
キーボードおよびタッチパッドのチェック
DAIV 5Dシリーズのキーボードのチェックです。
キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.8mmと十分です。比較的押しやすいキーではありますが、「Backspace」など一部のキーが小さいのは残念です。また、テンキーは3列しかなく、「+」や「-」の位置が独特なので使いにくいです。
タッチパッドの操作性は普通です。クリックボタンも普通の押しやすさです。
なお、1ゾーン設定対応のRGB LEDも搭載しています。
パフォーマンスのチェック
DAIV 5Dのパフォーマンスのチェックです。
CPU
前述のように、Ryzen 7 3700Xであれば、ノートパソコンとしては非常に高い性能です。
~ CPU性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
グラフィックス
旧モデルのDAIV 5DではGeForce MX250を搭載していたので、グラフィックス性能も大幅にアップしています。写真・画像の編集作業だけではなく、YouTubeなどの動画編集や、ライトな3DCGといった作業にも適しています。
~ グラフィックス性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
GPU-Zで確認したGeForce GTX 1660Tiの情報は次の通りです。
ストレージ
ストレージは、初期構成ではPCIe-NVMe SSDを搭載しており高速です。また、2.5インチのSATA SSDやHDDも追加で選択することができます。
~ ストレージ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
SDカードスロット
microSDカードスロットを搭載しています。クリエイター向けノートPCという位置づけの製品なので、フルサイズのSDカードスロットがあれば良かったです。速度は普通です。
バッテリー駆動時間のチェック
DAIV 5Dのバッテリー駆動時間のチェックです。
バッテリー容量は62Whと比較的多いです。
しかし、デスクトップ用プロセッサーを搭載し、またOptimusにも対応していないため、バッテリー駆動時間はかなり短いです。ACアダプターは必須と思ったほうがいいです。
バッテリー駆動時間 | |
(1) JEITA2.0 | 約 1.5時間 |
(2) PCMark 10 Modern Office | ― |
(3) 動画再生時 | 1時間39分 |
(4) PCMark 8 Work | 1時間26分 |
(1) メーカー公表値
(2) 文書作成、ブラウジング、ビデオ会議といった事務作業。アイドル時も多く軽めの処理
(3) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
(4) ブラウザでのショッピング/画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャット等。やや重めの作業
以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は大きく変わります。今回は、「エンターテイメント」モードでテストしています。
静音性のチェック
DAIV 5Dの動作音(静音性)のチェック結果です。
アイドル時もやや動作音がします。高負荷時は、やや高めの騒音値です。
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
パーツの温度のチェック
ここでは、CPU使用率がほぼ100%になるエンコード時の温度のみを掲載します。
デスクトップ用プロセッサーを搭載しているためやや高めの温度で、90度前後で推移しています。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。
PC本体が分厚いため、表面温度はそれほど熱くなりません。
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。
デスクトップ用プロセッサーに、外部グラフィックスを搭載しているため、高めの消費電力です。
CPU負荷が100%になるエンコード中の電力の推移は次のようになっています。「エンターテイメント」モードでは62W前後、「パフォーマンス」モードでは75W前後で推移していました。
外観のチェック
DAIV 5Dの外観のチェックです。
ブラックの無難なカラーです。
天板もブラックです。
スピーカー音はそれほど良くありません。ノートPC基準で、10点満点で採点すると3~4点くらいです(普通が5点。あくまで筆者独自の判断です)。
最近のノートパソコンにしては厚みがあります。
インターフェースはご覧の通り豊富です。
液晶が開く最大の角度です。
底面です。
底面カバーは割と簡単に外せます。かなりの数のヒートパイプで冷却しています。
メモリは換装できそうです。
M.2 スロットは2つあります。
ACアダプターは180Wです。230W以上はあるのかと思いましたが、そこまで大容量ではありませんでした。
まとめ
DAIV 5Dシリーズは、デスクトップ用Ryzenプロセッサーを搭載した、クリエイター用ノートPCです。
外部グラフィックスにはGTX 1660Tiを搭載し、動画編集や、ライトな3DCG作成など、幅広いクリエイティブな作業に対応できるでしょう。
価格が意外に安く、コストパフォーマンスにも優れた機種です。
ただし、ディスプレイの色域がそれほど広くないため、印刷用コンテンツを作成する方は、カラーマネージメントモニターを外付けしたほうがいいでしょう。
また、かなり重いので、外出先への持ち運びにもあまり適しません。バッテリーもあまり持たないので、ADアダプターも必須と考えたほうがいいです。
デスクトップ用Ryzenを搭載したクリエイター向けノートPC
DAIV 5Dシリーズ
特徴
- デスクトップ用Ryzen 7 3700Xを搭載可能
- GTX 1660Ti搭載
- 価格が比較的安くコスパが高い
こんなあなたに
- 高い性能のPCを安く買いたい方
- 主に据え置きで使う方
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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約15年間にわたり、年間100機種以上、パソコンを細かくチェックしている筆者がおすすめするノートパソコン。