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レノボ Yoga Slim 7x Gen 9の実機レビュー

更新日:
CPU Snapdragon X Elite
X1E-78-100
メモリ 16GB / 32GB
ストレージ 512GB / 1TB SSD
液晶サイズ 14.5型 16:10
液晶種類 2944×1840 OLED
質量 約1.28kg
バッテリー 70Wh
価格[税込] 22万円台~
薄型・軽量のCopilot+ PC、

Yoga Slim 7x Gen 9は、Snapdragon X Eliteを搭載したCopilot+ PC準拠のノートPCです。

AI性能が高く、Copilot+ PCでしか使えない機能もあります。

非常に薄型で、軽くて、バッテリー駆動時間も長く、モバイルノートPCとしても普通に優秀です。

ただし、ARM版Windowsなので、(大分少なくはなりましたが)一部のソフトは使えません。

公式サイトはこちら

 

レビュー機は、メーカーからの貸出機です。今回は以下の構成でレビューをしています。

レビュー機の構成

Snapdragon X Elite X1E-78-100、32GBメモリ、512GB SSD

 

セール情報

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目次

 

ARM版Copilot+ PCの特徴

Copilot+ PCとは?

Copilot+ PCとは、マイクロソフトが定義したAI PCのことで、細かい定義はありますが、簡単に言えば、「AI専用プロセッサーのNPUを搭載し、パソコン上でAIアプリを利用することができるPC」のことです。

クラウド上のAIサービスを利用する場合、情報の漏洩が気になるかと思いますが、Copilot+ PCであれば、ローカルPC上で処理が行えるので、セキュリティ面で安心ですし、処理も速いです。

NPUの性能は、40 TOPS以上と定義されています。例えば、インテルのCore Ultra 7 155Hプロセッサーの場合、11 TOPSしかないため、Copilot+ PCの要件は満たしません。今回紹介するノートPCは、インテルやAMDのプロセッサーではなく、QualcommのSnapdragon X Eliteを搭載しており、45 TOPSで、Copilot+ PCの要件を満たします。

 

Copilot+ PCのみで使える機能

Copilot+ PCのみで使用することができる機能としては、以下のようなものがあります。このような機能を使ってみたければ、Copilot+ PCは面白い製品でしょう。

・ごく簡単な絵と説明文から画像を生成する「コクリエイター」

・キーワードを入力すると画像を生成する「イメージクリエイター」

・ウェブカメラ使用時に、各種エフェクトをかける「Windows Studio エフェクト」

・あらゆる言語をリアルタイムで英語字幕に翻訳する「ライブキャプション」

・以前パソコンで見たことのあるものを検索する「リコール」

 

詳細については、以前作成した以下の動画をご覧ください。

[動画]ARM版Copilot+ PCでいろいろなアプリをテストしてみた

 

また、ごく一部のソフトの機能は、NPUに対応しており、処理をNPUで行うことができます。ただし、現状ではNPUを利用しているソフトはまだまだ少ないです。これからNPUに対応したアプリが増えていくことを期待したいです。

 

ARM版Windowsのメリット・デメリット

Yoga Slim 7x Gen 9は、インテルやAMDのプロセッサーではなく、Qualcommのプロセッサーを採用しています。

Snapdragon X Elite X1E-78-100を搭載したARM版Windowsのメリットとしては、省電力で、基本的な性能が比較的高い点です。ソフト側がARM版を提供していれば、快適に使える場合が多いです。

ただし、ソフト側がARMに対応していない場合、エミュレーターというソフトを使って動かします。この場合、ソフトがどうしても遅くなり、そこまで省電力でもありません。

また、大分少なくなったとは言え、エミュレーターでも動作しないソフトがあるのもデメリットです。

ARM対応のソフト(ネイティブ動作するソフト)を主に使っているならおすすめですが、そうでない場合はおすすめしません。

 

ARM64でネイティブ動作するソフト

主に使用しているソフトが、ARM64でネイティブ動作していたら、このPCを買ってもいいでしょう。

なお、ソフトを起動したときにタスクマネージャーのアーキテクチャ欄に、ARM64またはARM64(x64互換)と表示されていたら、ARM64でネイティブ動作しているソフトということになります。ただし、ARM64(x64互換)と表示されているものは、ARM64ECの部分はネイティブ動作し、x64のコードの部分はエミュレーションで動いており、ネイティブ動作しません。

 

以下は、ARM64でネイティブ動作するCINEBENCH 2024のスコアです。Core Ultra 7 155Hよりも高いスコアが出ています。このように、ソフトがARM64でネイティブ動作するならば、快適に動作することが期待できます。

CINEBENCH 2024(マルチコア)
Snapdragon X Elite X1E-78-100 849
Core Ultra 7 155H 825
CINEBENCH 2024(シングルコア)
Snapdragon X Elite X1E-78-100 107
Core Ultra 7 155H 103

 

ARM64で動作するソフト

確認できたARM64で動作するソフトは以下の通りです。これらのソフトをよく使うなら、本製品はおすすめです。Photoshopのニューラルフィルター処理や、Lightroomの書き出し時間については、Core Ultra 7 155Hよりも速かったです。なお、Lightroom ClassicはARM非対応なのでご注意下さい。

・Adobe Photoshop、Lightroom

・Chrome

・Zoom

 

ARM64(x64互換)で動作するソフト

以下は、ARM64(x64互換)で動作するソフトです。Davinci Resolveについては一部の機能がNPUにも対応しています。ただし、動画の書き出し時は、GPUのVideo Decodeを使ってはいるようでしたが、Core Ultra 7 155Hよりも遅かったです。

・Microsoft 365(Word、Excel、PowerPoint、Teams、Outlookなど)

・Davinci Resolve 19 Beta

 

また、試してはいませんが、Spotify、WhatsApp、Blender、Affinity Suiteなども、ARMまたはARM(x64互換)で動作するようです。

Adobe Premiere Pro、Illustratorも後日対応予定です。

 

エミュレーターで動作するソフト

ARM版のソフトが提供されていない場合、Windowsは自動でPrismというエミュレーター上でソフトを動かします。

下図のようにx86となっていれば32bitのアプリが、x64となっていれば64bitのアプリが、エミュレーター上で動作しています。

 

下表は、エミュレーターで動作するCINEBENCH R23のスコアです。ネイティブ動作していたCINEBENCH 2024ではSnapdragon X Elite X1E-78-100の方が高いスコアでしたが、このベンチマークはCore Ultra 7 155Hの方が高いスコアでした。

主に使うソフトがエミュレーターでしか動かないなら、インテルやAMDプロセッサーを搭載したPCのほうがおすすめです。主に使うソフトがARMネイティブで動作し、サブ的に使うソフトがエミュレーターで動作するのではあれば、購入しても構わないと思います。

CINEBENCH R23(マルチコア)
Core Ultra 7 155H 14073
Snapdragon X Elite X1E-78-100 8554
CINEBENCH R23(シングルコア)
Core Ultra 7 155H 1810
Snapdragon X Elite X1E-78-100 1110

 

ほとんどのソフトがエミュレーターで動きますが、当サイトでいくつか試して動作を確認できたものは次の通りです。

・Director Suite 365(PowerDirector、AudioDirectorなど)

・Filmora

・原神

 

動かないソフト

最後に、ARM版Windowsでは動かなかったソフトを掲載します。ここに挙げたソフトを使っている方は、本製品は適しません。

競技性の高いゲームなど、アンチチートプログラムを組み込んだゲームも動作しない可能性が高いです。また、ゲームはエミュレーションで動く場合がほとんどなので、ゲームをするなら、素直にゲーミングノートPCを購入したほうがいいでしょう。

・VALORANT

・フォートナイト

・Adobe Lightroom Classic、Premiere Pro、 Illustrator、Dreamwaever
 ※なお、Premiere Pro、 Illustratorについては後日ARM対応予定

 

 

ディスプレイのチェック

Yoga Slim 7x Gen 9のディスプレイには、OLED(有機EL)が採用されています。100% DCI-P3の広い色域で、2944x1840ドットと解像度も高いです。さらに最大1000nit、標準500nitと輝度も高いです。非常に綺麗な表示が可能なディスプレイです。タッチパネルにも対応しています。もちろん、視野角も広いです。動画や画像の視聴に適したディスプレイです。

ただし、有機ELなのでフリッカー(ちらつき)があります。また、光沢仕様なので、周囲の物が画面に映り込みやすいです。資料作成などの作業中心の場合、普通のディスプレイのほうが適していると思います。

広い色域
広い視野角
タッチパネル対応
光沢仕様

 

キーボードおよびタッチパッドのチェック

Yoga Slim 7x Gen 9のキーボードは、比較的打ちやすかったです。

十分なキーピッチで、キーストロークは実測で約1.5mmとこちらも十分です。キートップが湾曲しており指のフィット感が良く、たわみもほとんどありませんでした。

backspaceキーがやや小さいので押し間違えやすかったのと、上下の矢印キーが小さいので押しにくい点はやや気になりました。

タッチパッドは、面積が大きく使いやすかったです。

キーボード全体図
※画像をクリックすると拡大できます
キーの拡大図

 

キーボードバックライトも搭載しています。

キーボードバックライト
CPU電力&CPUクロック
CPU温度

 

バッテリー駆動時間のチェック

バッテリー容量は70Whと大きいです。

バッテリー駆動時間は下の通りです。メーカー仕様表には、アイドル時が約16.6時間、動画再生時が約19.6時間と記載されていましたが、多分逆です。

当サイトで計測したYouTube再生時のバッテリー駆動時間は16時間18分と、他のノートPCと比べて長かったです。

バッテリー駆動時間
  バッテリー駆動時間
(1) JEITA3.0(アイドル時) 約16.6時間
(2) JEITA3.0(動画再生時) 約19.6時間
(3) YouTube動画再生時 16時間18分
(1)、(2) メーカー公表値
(3) YouTubeの動画(1080p / 30fps) をリピート再生させたとき

 

静音性のチェック

Yoga Slim 7x Gen 9の動作音(静音性)のチェック結果です。

アイドル時やYouTube再生ぐらいの軽めの負荷であれば、ほぼ無音です。高負荷時も動作音は静かでした。

騒音値
アイドル時 低負荷時
[YouTube再生]
高負荷時
[動画の書き出し]
約20dB 約20dB 約36dB
計測機器:リオン NL-42K
部屋を極力無音にしたときの騒音値:20dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
【PCの状態】
アイドル時:アイドル時
低負荷時:1080pのYouTube動画再生時
高負荷時:Davinci Resolveで、4K動画を書き出した時

 

参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。

使用計器の騒音値の目安

 

表面温度のチェック

本体の表面温度のチェック結果です。もし表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。特に、手のひらを置くパームレストの温度変化は重要です。

高い負荷をかけると右上あたりがやや熱くなってきますが、それほど気になりません。不快感なく作業ができると思います。

PC本体の表面温度
サーモグラフィー:FLIR ONE PRO
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※約10分経過後に計測しています

 

消費電力のチェック

消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。

今回、高負荷時の消費電力として、Davinci Resolveでの動画の書き出しを行いました。このソフトはARM64(x64互換)で動作しますが、思ったより低い消費電力でした。ネイティブ動作するソフトは、結構消費電力は少ないと思われます。

消費電力
アイドル時 低負荷時
[YouTube再生]
高負荷時
[動画の書き出し]
7W  9W 35W
測定機器:ワットチェッカー TAP-TST8
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています

 

外観のチェック

Yoga Slim 7x Gen 9の外観をチェックします。

コズミックブルーというカラーで、アルミニウムの素材を採用したボディです。

 

約1.28kgと軽いので、持ち運びにも便利でしょう。

 

ボディは非常に薄いです。

 

天板を閉じたときの高さは12.9mmしかありません。

 

天板真ん中に「Lenovo」のロゴが入っています。

 

Webカメラは、FHD 1080pの画質です。

 

側面のインターフェースはご覧の通りです。USB4ポートが3つも搭載されています。電源も側面にあります。また、カメラ機能をOFFにする「プライバシーシャッター電子式」のスイッチもあります。

 

ディスプレイが開く最大の角度は、下図の通りです。

 

底面の吸気口はシンプルなデザインです。

 

2W×2 ツイーター、2W×2 ウーファーが搭載されており、音質は比較的良いです。

 

ACアダプターは65Wです。電源コードが太いのでややかさばります。

 

まとめ

以上が、Yoga Slim 7x Gen 9のレビューです。

レノボのCopilot+ PC準拠のノートPCです。高性能NPUを搭載し、Copilot+ PCでしか使えない機能などもあります。

ボディが非常に薄く、約1.28kgと軽いので、持ち運びに便利です。

また、ディスプレイには3Kの有機ELを搭載し、高精細・広色域で、品質が高いです。動画や画像をよく視聴する方に適しています。

Snapdragon X Eliteを搭載しているのも特徴で、ARM64でネイティブ動作するソフトを主に使用しているなら、動作も速くて作業が快適です。

ただし、ネイティブ動作しないソフトを主に使っているなら、別のノートPCのほうがいいでしょう。

 

薄型・軽量のCopilot+ PC 

レノボ Yoga Slim 7x Gen 9

特徴

  • Snapdragon X Elite搭載のARM版Windowsノート
  • 非常に薄くて軽いボディ
  • ディスプレイの品質が高い

こんなあなたに

  • 持ち運びやすいPCがほしい方
  • ARM64でネイティブ動作するアプリを主に使う方
公式サイトはこちら

 

 

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