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ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragonの実機レビュー
CPU | Snapdragon X Elite X1E-78-100 |
---|---|
メモリ | 32GB |
ストレージ | 512GB / 1TB SSD |
画面サイズ | 14型 16:10 |
画面種類 | 1920x1200 液晶 1920x1200 液晶 タッチ 2880x1800 OLED |
質量 | 約1.24kg~ |
バッテリー | 58Wh |
価格[税込] | 25万円台~ |
ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragonは、Snapdragon X Eliteを搭載したCopilot+ PC準拠のノートPCです。
Copilot+ PCでしか使えない機能がある点や、高めの性能のNPUを搭載している点がメリットですが、バッテリー駆動時間が非常に長い点が、この製品の一番のメリットだと思います。
省電力のSnapdragon X Eliteに、省電力のディスプレイを搭載し、バッテリー駆動時間が他のノートPCよりも長くなっています。
レビュー機は、メーカーからの貸出機です。今回は以下の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Snapdragon X Elite X1E-78-100、32GBメモリ、512GB SSD
セール情報
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目次
ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragonの特徴
Copilot+ PC準拠のノートPC
ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragonは、Copilot+ PCに準拠したノートPCです。Copilot+ PCとは、細かい部分は省略してザックリ言うと、「AI専用プロセッサーのNPUを搭載し、(クラウドではなく)ローカルPC上でAIアプリが利用できるノートPC」のことです。
Copilot+ PCのみで使用することができる機能としては、以下のようなものがあります。
・自分で描いた絵から画像を生成する「コクリエイター」
・キーワードを入力して画像を生成する「イメージクリエイター」
・ウェブカメラ使用時に、各種エフェクトをかける「Windows Studio エフェクト」
・あらゆる言語をリアルタイムで英語字幕に翻訳する「ライブキャプション」
・以前パソコンで見たことのあるものを検索する「リコール」(後日提供予定)
これらの機能の詳細については、以前作成した以下の動画をご覧ください。
また、市販のソフトのAI機能も、NPUを使って処理をするように出来ていれば、CPUやGPUの負荷を軽減できます。ただし、NPUを使う市販ソフトがまだ少ないのが現状です。
Snapdragonを搭載
NPUを搭載したチップは、Qualcomm、AMD、インテルから提供されていますが、ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragonには、QualcommのSnapdragon X Elite X1E-78-100が搭載されています。
AMDのRyzen AIや、インテルのCore Ultraのチップとは異なり、ARM版Windowsとなるため、ソフト側がARMに対応していないと、エミュレーターで動作するので、ソフトがやや遅くなってしまいます。また、インストール自体できないソフトもあります。
ただ、ARM対応のソフトであれば、とても快適に動きますし、省電力で、バッテリー駆動時間も長いです。
ARM対応のソフトとしては、マイクロソフトのOfficeソフトや、Adobeの一部のソフトなどがあります。また、ウェブブラウザで使用するWebアプリも動きます。使っているソフトがARMに対応しているか確認し、すべて対応しているようであれば、製品購入の候補の1つにいいでしょう。
超ロングバッテリー
ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragonは、省電力のSnapdragon X Eliteを搭載し、また省電力のディスプレイを搭載することができ、バッテリー駆動時間はかなり長くなっています(バッテリー駆動時間の詳細はこちら)。
インテルCPUを搭載したThinkPad X1 Carbon Gen 12と、バッテリー駆動時間を比較したのが、下のグラフです。JEITA 3.0 動画再生時のバッテリー駆動時間を比較すると、本製品のほうが、約1.5倍も長くなっています。
実際に使用してみても、割と負荷のかかる作業をしても、かなりバッテリー状態で使えます。丸一日、外でPCを使うような方におすすめです。
モバイルノートPCとして優秀
バッテリー駆動時間が長いだけでなく、重さが「約1.24kg~」と比較的軽く、堅牢性の高いThinkPadシリーズなので、モバイルノートPCとして優秀です。
さらに、ThinkPadキーボードなのでタイピングもしやすく、マウスが使えない場所でもカーソルが操作しやすいトラックポイントも搭載されています。
ディスプレイのチェック
ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragonのディスプレイは、以下の3つの中から選択することができます。(1)は省電力ディスプレイで、色域も比較的広く、個人的には最もおすすめです。(2)はタッチパネルに対応しています。(3)は高解像度・広色域です。
選択可能ディスプレイ
(1) 14型 1920x1200 非光沢 100%sRGB, 400nit, 60Hz, 省電力
(2) 14型 1920x1200 非光沢 45%NTSC, 400nit, 60Hz, タッチパネル
(3) 14型 2880x1800 非光沢 100%DCI-P3, 400nit, 120Hz
今回は(1)のディスプレイを搭載しており、視野角も広く、非光沢で映り込みも少なく、見やすかったです。
キーボードおよびタッチパッドのチェック
ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragonのキーボードは、比較的打ちやすいです。
Enterキーの左隣のキーがやや小さいものの、半角/全角キーや、左側のCtrlキー、Enterキーなどのよく使うキーが、他のキーよりも大きく押しやすいです。 また、矢印キーが少し下がった位置にあるので探しやすいです。キートップも湾曲しており、指の収まりがいいです。
トラックポイントも搭載しています。
キーボードバックライトも搭載しています。
パフォーマンスのチェック
ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragonのパフォーマンスをチェックします。
なおここでは、Windowsの電源モードの設定から「最適なパフォーマンス」のモードへ変更して、各種テストをしています。
CPU
CPUには、Snapdragon X Elite X1E-78-100が搭載されており、ARM64でネイティブ動作するCINEBENCH 2024のスコアは下の通りです。
マルチコアは、Core Ultra 5 125Hより高いスコアだったので十分な性能でしたが、他のSnapdragon X Elite X1E-78-100を搭載したノートPCと比較すると、やや低めのスコアでした。
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
グラフィックス
続いて、ARM64での動作に対応した3DMark Night Raidのスコアを示します。CPU内蔵グラフィックスとしては、比較的高めのスコアです。
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
ストレージ
ストレージは、PCIe Gen4 SSDです。
~ ストレージ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
バッテリー駆動時間のチェック
バッテリー容量は58Whとやや大きいです。
バッテリー駆動時間は下の通りです。省電力のSnapdragon X Elite X1E-78-100に加え、省電力ディスプレイを搭載していることもあり、バッテリー駆動時間はかなり長いです。丸一日の出張にも対応できるでしょう。
バッテリー駆動時間 | |
(1) JEITA3.0(アイドル時) | 約37.4時間 |
(2) JEITA3.0(動画再生時) | 約19.3時間 |
(3) YouTube動画再生時 | 16時間07分 |
(4) 動画編集ソフトでプレビュー再生 | 13時間28分 |
(3) YouTubeの動画(1080p / 30fps) をリピート再生させたとき
(4) Premiere Proで480x320の動画をプレビュー再生させたとき。画面輝度は約120cd/m2
静音性のチェック
ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragonの騒音値は、全体的に低めです。動作音が気にならずに、作業することができます。
アイドル時 | 低負荷時 [YouTube再生] |
中負荷時 [動画編集] |
高負荷時 [エンコード] |
約20dB | 約20dB | 約33dB | 約36dB |
部屋を極力無音にしたときの騒音値:20dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
アイドル時:アイドル時
低負荷時:1080pのYouTube動画再生時
中負荷時:Premiere Proで、編集中の1080pの動画をプレビュー再生した時
高負荷時:Premiere Proで、1080pの動画を書き出した時
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。特に、手のひらを置くパームレストの温度変化は重要です。
高い負荷をかけると左上あたりがやや熱くなってきますが、常時手が触れている部分ではないため、ほぼ気になりません。快適にタイピングすることができると思います。
消費電力のチェック
ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragonの消費電力は下表の通りです。
省電力のSoCに、省電力のディスプレイを搭載しているため、消費電力は低いです。特にアイドル時や低負荷時の消費電力が低かったです。
アイドル時 | 低負荷時 [YouTube再生] |
中負荷時 [動画編集] |
高負荷時 [エンコード] |
4W | 5W | 17W | 24W |
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています
外観のチェック
ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragonの外観をチェックします。
他のThinkPadシリーズと同様に、ブラックのカラーで、マットな質感のボディです。
天板を閉じたときの高さは16.9mmと薄型です。
天板には「ThinkPad」のロゴが入っています。
FHD 1080pのウェブカメラを搭載しており、画質は悪くありません。IRカメラおよび人感センサーも搭載されており、離席時に画面を暗くしたりすることができます。
側面のインターフェースは下図の通りです。USB-Cポートは、USB4となっており、PD充電や映像出力に対応しています。USB-Aは、USB3.2 Gen 1となっています。HDMIポートは、当サイトで試した限りでは、4K/60Hzでの出力ができました。
ディスプレイは180度開くので使いやすいです。
底面はご覧の通りです。
スピーカーは左右のパームレストの端にあります。最大音量は大きいですが、音質は普通です。ノートPC基準で、10点満点で採点すると5点くらいです(普通が5点。あくまで筆者独自の判断です)。
ACアダプターは65Wで、サイズは比較的大きいです。
底面カバーを開けた時の内部はご覧のようになっています。メモリはオンボードで、空いているM.2スロットはありません。
M.2 SSDはType 2242です。
まとめ
以上が、ThinkPad T14s Gen 6 Snapdragonのレビューです。
Snapdragon X Eliteを搭載したCopilot+ PCです。
省電力のSoCに、省電力のディスプレイを搭載することで、バッテリー駆動時間が長い点がメリットです。
ThinkPadということで、タイピングしやすいキーボードに、トラックポイントを搭載しているので、操作性も良いです。
ただし、ARM版Windowsなので、ARM64でネイティブ動作しないソフトは、動作がやや遅くなります。また、動作しないソフトもあります。
普段使っているソフトが、ARMで動くことが確認できているのであれば、モバイルノートPCとしては非常に優秀だと思います。
NPUを搭載していることもメリットですが、未だにNPUを有効に使うソフトが出ておらず、出たとしても、本格的なAI処理はGPUで、サブ的な処理はNPUで行うようになると思われるので、NPUはあったらいいかな程度に考えておくといいと思います。
また、価格が高いです。まもなくインテルのCore Ultra シリーズ2を搭載したノートPCが発売されます。このPCが発売されたら、Snapdragon X Elite搭載のノートPCが安くならないか期待しています。
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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