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レノボ IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD) の実機レビュー
CPU | Ryzen 3 7330U Ryzen 5 7530U Ryzen 7 7730U |
---|---|
メモリ | 8GB / 16GB |
ストレージ | 512GB / 1TB SSD |
液晶サイズ | 15.6型 |
液晶種類 | FHD 1920×1080 |
質量 | 約1.62kg |
バッテリー | 47Wh |
価格[税込] | 5万円台~ |
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD) は、価格が非常に安いノートPCです。
最安モデルなら5万円台、Ryzen 5+16GBメモリのおすすめ構成でも6万円台という安さです。
それでいて、ディスプレイの視野角は広く、指紋センサーや、PD対応のUSB-Cポートも搭載し、省かれている機能も少ないです。
一般ユーザーにとって必要十分な性能を備えつつ、価格を抑えたコスパの高いPCです。
レビュー機は、メーカーからの貸出機です。今回は以下の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Ryzen 5 7530U、16GBメモリ、512GB SSD
セール情報
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目次
お忙しい方は、「IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD) の特徴」のみお読みください。
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)の特徴
5万円台からと低価格
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD) は、5万円台から購入することができる安さが特徴のノートPCです。
5万円台なのは、Ryzen 3、8GBメモリのモデルで、ややスペックは低めです。特にメモリが少なく、オンボードで交換もできません。一般ユーザーにはあまりおすすめはしませんが、このスペックを理解できて、用途を絞って使える方であればいい製品でしょう。
一般ユーザーにおすすめなのは、Ryzen 5、16GBメモリのモデルで、この構成でも6万円台で購入することが可能です。必要十分な処理性能で、メモリ容量にも余裕があり、比較的快適に使うことができるでしょう。
安くてもIPSパネルを搭載
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD) は、発売当初はTNパネルを搭載していましたが、途中からIPSパネルに変わりました。視野角が広いため、斜めから見ても色が変化しにくく見やすいです。
正面から見ても、画面の端のほうの色が変わって見えたり、全体的に白っぽく見えたりしにくいです。
ただし、色域(色の表現できる範囲)は、 45%NTSC(約60% sRGB)と狭いです。それほど色にこだわりがなければ問題なく使えると思いますが、より正確な色で画像などを見たい方には、やや物足りない色域です。十分な色域が必要なら、上位機種の「IdeaPad Slim 5i Gen 9 15.3型」がおすすめです。
意外に省かれていない機能
安いノートPCは、いろいろと省かれている機能が多いですが、IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD) はそれが意外と少ないです。
具体的には、WebカメラはHDではなくFHD画質ですし、カメラにはプライバシーシャッターも付いています。また、USB-CポートはPowerDeliveryおよび映像出力に対応し、指紋認証装置も搭載しています。
さらに、キーボードバックライトも搭載しているので、暗所での作業もしやすいです。
IdeaPad Slim 3 Gen 8とSlim 3i Gen 9との比較
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)は、その名称の通り世代が「Gen 8」となっていますが、後継となる「Gen 9」のIdeaPad Slim 3シリーズも既に発売されています。ここでは、IdeaPad Slim 3i Gen 9 14型とパフォーマンスなどを比較してみます。
本製品は、やや世代の古いZen 3のRyzenプロセッサーを搭載している一方、IdeaPad Slim 3i Gen 9 14型はインテルCore シリーズ1を搭載しています。
[本機器] IdeaPad Slim 3 Gen 8 |
[後継機種] IdeaPad Slim 3i Gen 9 14型 |
|
画像 | ||
CPU | Ryzen 3 7330U Ryzen 5 7530U Ryzen 7 7730U |
Core 3 100U Core 5 120U Core 7 150U |
指紋センサー | あり | あり / なし |
キーボードバックライト | あり | なし |
価格 | 5万円台~ | 6万円台~ |
Ryzen 5とCore 5でパフォーマンスの比較をしてみると、マルチコア性能はRyzen 5 7530Uのほうが高かったですが、シングルコア性能はCore 5 120Uのほうが高くなっています。Ryzen 5 7530Uのシングルコア性能は大分低めなので、普段使いの体感としては、Core 5 120Uのほうが速く感じるかもしれません。
~ CPU性能の評価 ~
また、CPUに内蔵されているグラフィックスの性能についても、Core 5 120Uのほうが高くなっています。もし、原神、ドラクエXなどの軽いゲームをしたいと考えている方は、Core 5 120Uのほうがおすすめです。
~ グラフィックス性能の評価 ~
残念なポイント
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)は、安いノートPCとしては欠点の少ない機種だと思います。あえて残念なポイントを挙げるとすると、先ほども記載しましたが色域が狭い点、シングルコア性能が低めである点があります。他には、メモリが交換できない点、ボディが樹脂製でややチープな点、「\」のキーがとても小さい点などもあります。これらが気にならなければ、家庭用ノートPCとしておすすめです。
各用途の快適度
各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧 Office作業 |
◎ | 色域が狭いので、画像などがやや色あせたように見えるかもしれませんが、特にストレスなくWeb閲覧することができるでしょう。Officeソフトも問題なく使えます。 |
---|---|---|
動画鑑賞 | ○ | ディスプレイは色鮮やかさに欠け、スピーカー音も普通ですが、動画自体は問題なく視聴可能です。 |
RAW現像 画像編集 |
△ | 画像編集などの用途に使用するには色域が狭いです。また、Zen 3世代のRyzenは、クリエイターソフトを使った場合、一部時間のかかる処理もあります。 |
動画編集 | △~〇 | 16GBメモリであれば、FHDの短尺の動画であれば、編集できないこともありませんが、この用途で使用するなら、もう少し高いスペックのノートPCをおすすめします。 |
ゲーム | △ | 軽いゲームであれば、できるものもありますが、ゲームをするならGeForceシリーズなどのグラフィックスを搭載したPCのほうがおすすめです。 |
ディスプレイのチェック
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)のディスプレイは、1920×1080、45%NTSC、非光沢、IPSの液晶となっています。色域が狭いですが、色をそこまで気にしなくてもいい作業であれば、問題なく使えます。非光沢で映り込みが少ないので、作業がしやすいです。
- 色域・輝度
- RGB
発色特性 - 視野角
- 映り込み・
ギラつき - フリッカー
キーボードおよびタッチパッドのチェック
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)のキーボードは、普通の打ちやすさです。
当サイトの計測では、キーピッチは横:約18.5mm、縦:約18mm、キーストロークは約1.4mmでした。キートップは若干湾曲しており、指のフィット感はまずまずです。たわみは若干ありますが、割としっかりとした打鍵感でした。
少し気になるのは、「\」キーが大分小さい点です。一般のユーザーであればほとんど使うことがないキーかもしれませんが、多用する方はご注意下さい。
キーボードバックライトも搭載しています。家族が近くで寝ているような場合に、暗い場所でタイピングがしやすいです。
パフォーマンスのチェック
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)のパフォーマンスをチェックします。
本機器では、Lenovo Vantageというソフトから電源モードを変更することができます。ここではデフォルトの「適応パワー・モード」と、最も性能がデル「パフォーマンス」のモードで、CINEBENCH R23と3Dmarkを計測しています。それ以外は「適応パワー・モード」で計測しています。
CPU
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)のCPUは、Ryzen 3 7330U、Ryzen 5 7530U、Ryzen 7 7730Uのいずれかとなっています。いずれもCPU世代はZen3、デフォルトTDPは15Wとなっています。
前述の通り、シングルコア性能が低めですが、マルチコア性能はまずまずです。少し遅く感じるケースもあると思いますが、概ね快適に使うことができるでしょう。
~ CPU性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
メモリ
メモリはDDR4-3200で普通の帯域です。オンボードメモリなので交換することはできません。
グラフィックス
グラフィックスは、独立GPUは搭載しておらず、CPU内蔵のグラフィックスを利用します。
3DMark Night Raidのグラフィックススコアは下の通りです。最近はCPU内蔵グラフィックスの性能も上がっているため、その中では低めのスコアですが、動画視聴程度の負荷であれば、特に問題なく動作します。ただし、ゲームや動画編集などの用途で使うには、やや性能不足です。
~ グラフィックス性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
※グラフィックス名の横の括弧は、メモリの仕様
ストレージ
ストレージには、PCIe Gen4 SSDを搭載していますが、この規格の割には、そこまで速くありません。ただ、一般的なユーザーであれば体感で遅く感じることはほとんどないでしょう。大きなサイズのファイルをコピーしたり、編集した動画を書き出したりする場合は、遅く感じるかもしれません。
~ ストレージ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
SDカードスロット
フルサイズのSDカードスロットを搭載している点は嬉しいです。アクセス速度は普通です。
USB Type-C / HDMIの動作テスト
USB Type-Cの動作チェック
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)は、USB Type-Cポートを1つ搭載しており、PowerDeliveryおよび映像出力に対応しています。
PD充電器は45Wの低出力のものでも使用することが出来ました。付属のACアダプターは大きめなので、市販の小型のPD充電器を代わりに使うと、デスク周りが綺麗に見えるかもしれません。
充電 | モニター 出力 |
有線LAN | ||
ドック | ThinkPad USB Type-C ドック | ○ | ○ | ○ |
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック | ○ | × | × | |
PD充電器 ※1 |
140W アドテック PD3.1充電器 | ○ | ― | ― |
100W Anker PowerPort III | ○ | ― | ― | |
65W Lenovo GaN充電器 | ○ | ― | ― | |
45W Lenovoウルトラポータブル | ○ | ― | ― | |
モニター ※2 |
EIZO ColorEdge CS2740 | ○ | ○ | ― |
※2 Type-Cケーブルで接続し、PCへの給電も出来るモニター
HDMIの動作チェック
4Kモニターへ接続したときのディスプレイ情報はご覧の通りです。色の形式がYCbCr420となっており、色が間引かれていることが分かります。4Kモニターに接続して使うならば、USB-Cポート経由で接続するといいでしょう。このポート経由なら色が間引かれません(RGBで表示することができます)。
質量のチェック
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)の質量は、仕様値で「約1.62kg~」となっており、当サイトの計測でもまったく同じ質量でした。15.6型のノートPCとしては軽いほうですが、持ち運んで使うにはやや重いですし、サイズも大きいです。もし外出先へ持ち運ぶなら、14型ディスプレイを搭載した兄弟機種の「IdeaPad Slim 3 Gen 8 14型(AMD)」がいいと思います。画面サイズと重さ以外のスペックはほぼ同じです。
質量 | |
PC本体 | 1.620kg |
ACアダプター+電源ケーブル | 319g |
バッテリー駆動時間のチェック
バッテリー駆動時間は普通です。
バッテリー容量は、47Whでした。ノートPCは50Wh前後のバッテリー容量を搭載していることが多いので、普通の容量です。
バッテリー駆動時間は下表の通りです。負荷によってバッテリー駆動時間は変わりますが、動画再生程度の負荷なら11時間程度、何か作業をしながら使った場合は4~5時間程度になると思われます。
バッテリー駆動時間 | |
(1) JEITA2.0 | 約 14 時間 |
(2) YouTube動画再生時 | 9時間31分 |
(3) 動画編集時のプレビュー再生時 | 4時間36分 |
(2) YouTubeの動画(1080p / 30fps) をリピート再生させたとき。画面輝度は約120cd/m2
(3) Premiere Proで480x320の動画をプレビュー再生(リピート)させたとき。画面輝度は約120cd/m2
Webカメラ・スピーカーのチェック
Webカメラ
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)は、FHD 1080pのウェブカメラを搭載しています。彩度がやや低めですが、ノートパソコンに搭載されているWebカメラとしては十分な品質です。
また、カメラを物理的に隠すシャッターも付いています。ウイルス等に感染すると、気づかないうちにカメラからのぞき見されることがあるので、そのようなことを防止することが出来ます。
スピーカー
1.5W x2のステレオスピーカーが、キーボードの上部に配置されています。音質は普通です。ノートPC基準で音質を採点すると、10点満点で5点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。
パーツの温度のチェック
Prime95実行時のCPU温度
Prime95で全CPUコアの使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU電力およびCPU温度の推移を確認します。
まずCPU電力ですが、初動を除くと、「適応パワー・モード」のときは約17W、「パフォーマンス」のときは約25Wで推移しています。ただ、「パフォーマンス」のときは時間が経つと徐々に下がっていました。
CPU温度については、どちらのモードも低めで、問題ありませんでした。
- 適応パワー・モード
- パフォーマンス
静音性のチェック
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)の動作音(静音性)のチェック結果です。
全体的に低めの動作音です。近くにいる家族は、煩く感じることはないでしょう。
アイドル時 | 低負荷時 [YouTube再生] |
中負荷時 [動画編集] |
高負荷時 [エンコード] |
約23dB | 約25dB | 約33dB | 約34dB |
部屋を極力無音にしたときの騒音値:20dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
アイドル時:アイドル時
低負荷時:1080pのYouTube動画再生時
中負荷時:Premiere Proで、編集中の1080pの動画をプレビュー再生した時
高負荷時:TMPGEnc Video Mastering Works でエンコード(x265)した時
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。特に、手のひらを置くパームレストの温度変化は重要です。
負荷をかけると、キーボードの左側が熱くなってきますが、常時指が触れる場所ではないので、そこまで気にはなりません。
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。
デフォルトTDPが18Wのプロセッサーなので、消費電力は低めです。
アイドル時 | 低負荷時 [YouTube再生] |
中負荷時 [動画編集] |
高負荷時 [エンコード] |
7W | 10W | 18W | 25W |
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています
外観のチェック
IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)の外観をチェックします。
ボディ素材は樹脂製です。キーボード面や天板はそこまで安っぽくは見えませんが、液晶ベゼルや底面はプラスチック感が出ています。
天板にはLenovoのロゴがありますが、端に小さくあるだけなので、そこまで目立ちません。
本体の高さは、約17.9mmと比較的薄いです。
側面のインターフェースは下図の通りです。USB-Cが1つだけなので、もう1つ欲しかったところですが、ポートの種類は割と揃っています。
指紋センサーが電源ボタンと一体となっており、指紋によるログインが可能です。
ディスプレイは、180度までは開きませんが、それに近い角度まで開きます。通常の使い方であれば、十分な角度まで開きます。
底面はシンプルです。
底面カバーを開けると、内部は下のようになっています。オンボードメモリなので交換することは出来ません。
SSDはType 2242ですが、Type 2280のものへ交換することもできるでしょう。
ACアダプターは65Wで、サイズはやや大きめです。
まとめ
以上が、IdeaPad Slim 3 Gen 8 15.6型 (AMD)のレビューです。
5万円台で購入することができる安さが魅力のノートパソコンです。
Ryzen 5、16GBメモリ、512GB SSDのおすすめ構成でも6万円台です。
かなり安い製品ですが、大きく削られているところがありません。ディスプレイの視野角は広く、WebカメラはFHD画質でシャッターも搭載し、キーボードバックライトや指紋センサーも搭載しています。
USB-Cポートは、Thunderbolt4には対応していないものの、PowerDeliveryおよび映像出力にも対応しており、使い勝手がいいです。
デメリットを挙げると、CPUのシングルコア性能が低いのと、SSDの速度がそこまで速くないので、用途によっては遅く感じる時があるかもしれません。また、細かいことを言えば、色域が狭い点、ボディが樹脂製でチープな点、キーボードの「\」のキーが小さい点などもデメリットですが、いずれも気にならないという方が多いと思います。
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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