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レノボ IdeaPad Slim 170 15.6型 (AMD)の実機レビュー
APU | Ryzen 3 7320U Ryzen 5 3500U Ryzen 5 7520U Ryzen 7 5700U |
---|---|
メモリ | 8GB / 16GB |
ストレージ | 256GB / 512GB SSD |
液晶サイズ | 15.6インチ |
液晶種類 | FHD 非光沢 TN FHD 非光沢 IPS |
質量 | 約1.58kg~ |
バッテリー | 最大 約16.0時間 |
価格[税込] | 5万円台~ |
IdeaPad Slim 170は、安い価格が特徴の15.6型ノートPCです。
Ryzen 5プロセッサー、8GBメモリ、256GB SSDのそこそこ使える処理性能の構成で、5万円台(税込)という安さです。
発売当初は、ディスプレイがTNパネルでしたが、IPSパネルのモデルも追加されました。
また、当初は8GBメモリのモデルしかありませんでしたが、16GBメモリのモデルも追加されています。
CPUも、Ryzen 7が追加されました。
レビュー機は、メーカーからの貸出機です。今回は以下の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Ryzen 5 7520U、8GBメモリ、256GB SSD、TNパネル
Ryzen 5 7520U、8GBメモリ、512GB SSD、IPSパネル NEW!
セール情報
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目次
お忙しい方は、「IdeaPad Slim 170 の特徴」のみお読みください。
IdeaPad Slim 170の特徴
5万円台(税込)からと非常に安い
IdeaPad Slim 170は、「5万円台~」と、非常に安い15.6型ノートPCです。
しかも、Ryzen 5 プロセッサー、8GBメモリ、256GB SSDと悪くない構成です。そこまで重いアプリは使わないので、とにかく安いPCが欲しい方におすすめです。
プロセッサーは「Zen 2」世代
本製品に搭載しているプロセッサーは、発売当初はRyzen 7000シリーズのみでしたが、後から世代の古いRyzen 3000 や Ryzen 5000シリーズのモデルも追加されました。
ただ、下表のように、Ryzen 7000シリーズの場合でも、Zen 2の古い世代のプロセッサーで、性能面はそれほど高くありません。
CPU世代 | 開発コードネーム | 製造プロセス | 末尾 | デフォルトTDP | |
Ryzen 7045シリーズ | Zen 4 | Dragon Range | 5nm | HX | 55W |
Ryzen 7040シリーズ | Zen 4 | Phoenix | 4nm | HS | 35-54W |
Ryzen 7035シリーズ | Zen 3+ | Rembrandt-R | 6nm | HS/U | 35-54W/28W |
Ryzen 7030シリーズ | Zen 3 | Barcelo-R | 7nm | U | 15W |
Ryzen 7020シリーズ | Zen 2 | Mendocino | 6nm | U | 15W |
ベンチマークスコアを見ても、Zen 3世代のRyzen 5 7530Uや、インテル第12世代の15WクラスのCore i5-1235Uより、大分スコアは低くなっています。
ただ、スコアが低いと言っても、ウェブ閲覧やメールチェック、年賀状作成といった負荷の軽い用途であれば、問題なく動くでしょう。
価格のために抑えられている部分
IdeaPad Slim 170は、5万円台~と非常に安い価格を実現するために、抑えられている部分がいくつかあります。この辺りをよく理解して、気にならないか確認することをおすすめします。
樹脂製のボディ
IdeaPad Slim 170のボディは樹脂素材となっています。
アルミ素材などを使用した機種に比べると、耐久性に劣りますし、質感も高くありません。ただ、宅内にて、ほぼ据え置きのような感じで使用するのであれば、問題ないと思います。
USB-Cの機能はデータ転送のみ
IdeaPad Slim 170は、USB-Cポートを備えていますが、Power Deliveryや、DisplayPortには対応しておらず、データ転送の機能だけとなっています。
USB-Cポートを使用して本機への給電ができれば便利なのですが、対応していないのは少し残念です。
キーボードのバックライトは非搭載
バックライト付きキーボードであれば、薄暗い場所でもタイピングがしやすいですが、IdeaPad Slim 170のキーボードには、バックライトは付いていません。
顔認証・指紋認証は非搭載
IdeaPad Slim 170では、IRカメラや、指紋センサーを搭載しておらず、Windows Helloの顔認証や、指紋認証は使用できません。
HDMIポートは4K/60Hz/RGB非対応
HDMIポートは、HDMI1.4bで、4K/60Hz/RGBの出力が出来ません。今回の場合、色の形式がRGBではなく、YCbCr420になっていました。色差成分が間引かれるので、場合によっては文字が潰れたり、画像/映像の品質が落ちたりします。また、ディスプレイによっては色の形式がRGBになる場合もありますが、そのときは30Hzまで落ちると思います。
ディスプレイがIPSパネルへ
発売当初は、ディスプレイがTNパネルでしたが、途中から、IPSパネルへと変わりました。そして、最近は、またTNパネル(および旧世代のCPU)を搭載したモデルが追加されました。現在(2023/9/23)は、IPSパネルとTNパネルの両方のモデルがあります。
TNパネルは視野角が悪く、画面の角度が少しでも悪いと見にくくなります。IPSパネルのほうが価格も安いので、おすすめです。
Ryzen 7、16GBメモリのモデルが追加
発売当初は、最大でRyzen 5、8GBメモリの構成でしたが、Ryzen 7、16GBメモリのモデルが追加されました。
Ryzen 5は、Ryzen 7000シリーズであるのに対し、Ryzen 7のモデルは、Ryzen 5000シリーズではありますが、同じZen 2世代です。
CINEBENCH R23のマルチコアのスコアでは、Ryzen 7 5700Uは、Ryzen 5 7520Uより約1.5倍高いスコアが出ると思われます(なお、この機種のRyzen 7 5700Uでテストしたわけではないので、多少変わるかもしれません)。シングルコアのスコアは同等程度です。ただ、シングルコアのスコアが大きく伸びたZen3世代のRyzenを搭載したモデルも、7万円台で売られているので、Ryzen 7 5700Uモデルを買うなら、他機種のほうがいいかなと思います。
なお、Ryzen 5 3500Uのモデルもラインナップに加わりましたが、こちらはZen+世代のプロセッサーで、性能がかなり落ちるので、止めたほうがいいです。
個人的には、この機種を買うなら、Ryzen 5 7520Uのモデルがベストかなと思います(ただし、メモリが8GBでも良い方)。
各用途の快適度
各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧 Office作業 |
○ | 処理性能はそこそこですが、メモリが8GBしかないので、ブラウザのタブをたくさん開いたり、Officeアプリをたくさん起動したりすると、メモリが不足するかもしれません。 |
---|---|---|
動画鑑賞 | ◎ | 問題なく視聴することができます。 |
RAW現像 画像編集 |
△ | 液晶の色域が狭いため、画像編集には向いていません。 |
動画編集 | △ | CPU性能およびグラフィックス性能がそこまで高くないため、動画編集向きではありません。また、メモリが8GBのモデルは、動画編集ソフトを使うとメモリ不足になる可能性があります。 |
ゲーム | △ | 外部グラフィックスを搭載しておらず、内蔵グラフィックスの性能も高くないので、ゲーム向きではありません。 |
ディスプレイのチェック
IdeaPad Slim 170のディスプレイのチェックです。
ここでは、IPSパネルとTNパネルの2つの特性について紹介します。
IPSパネル
まず、IPSパネルですが、視野角が広く見やすい液晶です。詳しい特性は、以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域・輝度
- RGB
発色特性 - 視野角
- 映り込み・
ギラつき - フリッカー
TNパネル
TNパネルは、視野角が狭く画面が見にくいです。1日の使用時間が短ければいいかもしれませんが、毎日長い時間パソコンを使用する方には、おすすめしません。
詳しい特性は、以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 映り込み・
ギラつき - フリッカー
キーボードおよびタッチパッドのチェック
IdeaPad Slim 170のキーボードのチェックです。
実測値で、キーピッチは縦:約19mm、横:約18.5mm、キーストロークは約1.3mmです。
キーストロークはやや浅めですが、普通のキー配置で、主なキーのサイズも揃った、普通の打ちやすさのキーボードです。テンキーも付いているので、数字の入力もしやすいです。バックライトは付いていません。
タッチパッドも普通の使い心地です。
パフォーマンスのチェック
IdeaPad Slim 170のパフォーマンスのチェックです。
IdeaPad Slim 170では、Lenovo Vantageの電源スマート設定で、動作モードを変更することができます。ここでは、デフォルトの「インテリジェント・クーリング」と、高いパフォーマンスが出る「エクストリーム・パフォーマンス」で計測したベンチマークスコアを確認しています。
CPU
今回は、Ryzen 5 7520Uを搭載しています。Ryzen 7000シリーズのプロセッサーではありますが、Zen2世代であるため、ベンチマークスコアはそこまで高くありません。特に、シングルコアのスコアが低いです。とはいえ、Celeronなどのプロセッサーよりは性能が高く、このぐらいのスコアが出ていれば、ネットやOfficeソフトの使用などの一般用途であれば、それほど問題なく使えるとは思います。
~ CPU性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
なお、高負荷時のCPU電力、CPUクロック、CPU温度は「パーツの温度のチェック」で記載しています。
メモリ
メモリはLPDDR5-5500のデュアルチャネルですが、帯域はそこまで広くありません。普通です。なお、モデルによってDDR4-3200、DDR4-2400の場合もあります。
~メモリ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア
なお、今回、内蔵グラフィックスには、2GBのメモリが割り当てられていました。8GBのメモリで、2GBも内蔵グラフィックスにメモリが割り当てられると、空メモリが少ししか無くなるため、アプリを複数立ち上げたり、ブラウザのタブをたくさん開いたりすると、メモリ不足になる可能性が高いです。
内蔵グラフィックスに割り当てるメモリはUEFIから変更できるので、8GBメモリの場合は、512MBなどへ変更してもいいと思います。
グラフィックス
グラフィックスは、内蔵グラフィックスです。ベンチマークスコアは、以下の通りで、高いスコアではありません。
~ グラフィックス性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
ストレージ
ストレージには、PCIe SSDを搭載しています。PCIe Gen3のSSDにしてはそれほど速くありませんが、実用上は十分な速度でしょう。体感でも遅さは感じません。
~ ストレージ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
SDカードスロット
フルサイズのSDカードスロットを搭載しています。アクセス速度は普通です。
USB Type-C / HDMIの動作テスト
USB Type-Cの動作チェック
USB Type-Cポートの動作チェック結果は、下表の通りです。
IdeaPad Slim 170は、USB-Cポートを1つ備えていますが、Power DeliveryやDisplayPortには対応しておらず、データ転送のみとなっています。
充電 | モニター 出力 |
有線LAN | ||
ドック | ThinkPad USB Type-C ドック | × | × | ○ |
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック | × | × | × | |
PD充電器 ※1 |
61W RAVPower GaN充電器 | × | ― | ― |
45W Lenovoウルトラポータブル | × | ― | ― | |
30W RAVPower GaN充電器 | × | ― | ― | |
18W cheero充電器 | × | ― | ― | |
モニター ※2 |
EIZO ColorEdge CS2740 | × | × | ― |
※2 Type-Cケーブルで接続し、PCへの給電も出来るモニター
HDMIの動作チェック
4KテレビへHDMIで接続したときの詳細です。4K、8ビット、60Hzでの表示は出来ていますが、色の形式がYCbCr420でした。
質量のチェック
質量のチェックです。
メーカーサイトでは、質量が「約1.58kg」と紹介されています。当サイトによる計測値は次の通りで、仕様値とほぼ同じでした。ACアダプターも普通の重さです。
質量 | |
PC本体 | 1.608kg |
ACアダプター+電源ケーブル | 340g |
バッテリー駆動時間のチェック
バッテリー駆動時間のチェックです。
ソフトで確認したバッテリー容量は42Whとなっており、普通の容量です。
バッテリー駆動時間は下の通りで、やや短いです。
バッテリー駆動時間 | |
(1) JEITA2.0 | 約16.0時間 |
(2) 動画再生時 | 11時間20分 |
(3) CPU27%、GPU11%の負荷 | 4時間26分 |
(1) メーカー公表値
(2) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
(3) Premiere Proで480x320の動画をプレビュー再生(リピート)させたとき
急速充電に対応しています。当サイトで計測した1時間あたりの充電容量は次の通りで、充電率はまずまずですが、バッテリー容量が少ないため、充電された電力量は普通かなと思います。
Webカメラ・スピーカーのチェック
Webカメラ
Webカメラにはプライバシーシャッターが付いており、カメラの不使用時はカバーすることができます。なお、IRカメラは搭載していません。画質は彩度に欠ける印象で、解像度も720pと高くありません。
スピーカー
スピーカーは、底面フロント側の左右に1.5W x2のステレオスピーカーを搭載しています。音質は普通で、ノートPC基準で10点満点で5点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。
パーツの温度のチェック
Prime95実行時のCPU温度
Prime95で全CPUコアの使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU温度およびCPU電力の推移を確認します。
「インテリジェント・クーリング」モードでは、CPU電力は約17Wと低めなので、CPU温度も65℃前後と低く抑えられています。
「エクストリーム・パフォーマンス」モードでは、CPU電力が21W前後まで上がりますが、CPU温度は75℃前後と、こちらも問題ない温度です。
どちらのモードでも、心配なく使用できるでしょう。
静音性のチェック
IdeaPad Slim 170の動作音(静音性)のチェック結果です。
アイドル時はほぼ無音です。高負荷時でも、同等他機種と同じ程度の騒音値です。
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。特に、手の平を置くパームレストの温度変化は重要です。
高い負荷のかかる作業だと、キーボード部分は少し温度が上がりますが、そこまで熱くはないので、不快感はそれほどありません。
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。
モバイル向けのプロセッサー搭載なので、低めの消費電力です。
外観のチェック
IdeaPad Slim 170 の外観のチェックです。
クラウドグレーのオーソドックスなデザインです。樹脂製ボディなので、高級感はありません。パームレスト部などは、サラっとした手触りです。
天板です。Lenovoのロゴが小さく入るだけのシンプルなデザインです。
液晶を閉じた状態の画像です。厚さは約17.9mmです。
側面には、 USB3.2 Gen1、USB2.0、USB-C 3.2 Gen1、HDMI1.4b、SDカードリーダーを備えています。
底面は、ややチープな感じがします。
標準で付属しているACアダプターは65Wです。
まとめ
以上が、IdeaPad Slim 170 15.6型 (AMD)のレビューです。
Ryzen 7000シリーズプロセッサーに、8GBメモリ、256GB SSDを搭載したモデルが5万円台で購入できるなど、価格の安さが大きな特徴となっている機種です。
Ryzen 7000シリーズといっても、Zen 2世代のプロセッサーなので、そこまで性能は高くありませんが、ウェブ閲覧、Officeソフトの使用といった用途であれば、問題なく使うことができるでしょう。
ただし、価格を下げるために、抑えられている部分もあります。メモリが8GBしかなく増設も出来なかったり、ボディが樹脂製で高級感が無かったり、USB-Cがデータ転送しか対応していなかったり、キーボードバックライトが無かったりします。
購入する場合は、これらの特徴を理解しておくといいでしょう。特にメモリが8GBであるため、動画編集や画像編集などの用途には向いていません。
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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