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レノボ ThinkPad T15g の実機レビュー

CPU | Xeon W-10885M Xeon W-10855M Core i9-10980HK Core i9-10885H Core i7-10875H Core i7-10850H Core i7-10750H Core i5-10400H |
---|---|
GPU | RTX 2070 S Max-Q RTX 2080 S Max-Q |
メモリ | 最大 128GB |
ストレージ | PCIe SSD |
液晶サイズ | 15.6インチ |
液晶種類 | FHD IPS 4K IPS 4K 有機EL タッチ 等 |
質量 | 約2.74kg |
バッテリー | 最大 約17.4時間 |
WWAN | LTE対応 |
価格[税込] | 24万円台~ |
ThinkPad T15gは、トップクラスの処理性能を誇る、ノート型ワークステーションです。
最大で、Xeon W-10885M、GeForce RTX 2080 SUPER Max-Q、4K 有機EL、128GBメモリ、4TB PCIe SSDというハイスペック構成が可能です。 そこまでのスペックが必要ない場合でも、作業内容に合ったCPUや液晶等を選択することができます。
その他、LTEにも対応していますし、4K 有機ELディスプレイであれば、アクティブペンも使用できます。
質量は重いですし、ボディもコンパクトではありませんが、上述のようなフルスペック構成が可能で、ノート型としては最高レベルの処理性能を搭載できつつ、持ち運べるのは大きなメリットです。場所を選ばずに、プロレベルの高負荷作業を快適に行うことができるでしょう。
レビュー機は、メーカーからの貸出機です。今回は以下の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Xeon W-10885M、RTX 2080 SUPER Max-Q、32GBメモリ、
512GB PCIe SSD、4K UHD タッチ液晶
目次
お忙しい方は、「ThinkPad T15gの特徴」のみお読みください。
ThinkPad T15gの特徴
フルスペックのワークステーション
ThinkPad T15gは、プロ仕様のノート型ワークステーションです。
質量は約2.74kg、厚さは約31.45mmとかなり大きめですが、ノート型のワークステーションとしてはトップレベルのCPU、GPU、ディスプレイなどを選択できます。一般的な15.6型ノートPC2台分にも満たない質量とサイズで、フルスペック構成が可能なので、サイズ対性能比は非常に高いと思います。
また、ISV認証も取得しており、対応しているアプリケーションを安定して動作させることができます。
プロのクリエイティブ作業、製造業の設計、建築関係、データ解析などの高負荷な作業を、場所を選ばずに行うことができるでしょう。

用途に合わせて選べるプロセッサー
ThinkPad T15gでは、第10世代Core (H)、もしくはXeonの8種類の中から作業内容に合ったプロセッサーを選択することができます。
vPro対応プロセッサーは、企業内で使用し、運用管理をシステム管理部門などが行う場合に適しています。より高い信頼性と稼働率を求めるのであれば、Xeonプロセッサーがおすすめです。
処理性能の詳細については、パフォーマンスのチェックの部分をご覧ください。

RTX 2080 SUPER Max-Q搭載可能
ThinkPad T15gでは、外部グラフィックスとして、GeForce RTX 2080 SUPER Max-Qを搭載できます。Max-Qデザインなので、グラフィックス性能はやや抑えられていますが、ノートPC用のGeForce RTX系ではトップクラスのGPUとなります。
なお、カスタマイズ画面では、「GeForce RTX 2070(8GB GDDR6 Max-Qデザイン)」、「GeForce RTX 2080(8GB GDDR6 Max-Qデザイン)」と表記されていますが、サポートに確認したところ、「GeForce RTX 2070 SUPER Max-Q」、もしくは「GeForce RTX 2080 SUPER Max-Q」を搭載とのことでした。
広色域の4K 有機ELディスプレイを搭載可能
ThinkPad T15gでは、使用目的に合わせて、以下の4種類から液晶を選択できます。
ThinkPad T15gで選択できるディスプレイ
(1) FHD IPS, 非光沢, 300nit
(2) FHD IPS, 非光沢, 500nit, HDR
(3) 4K IPS, 非光沢, 600nit, HDR, FCC対応
(4) 4K 有機EL, 反射防止/汚れ防止, 400nit, マルチタッチ, HDR, FCC対応
高解像度の写真や、4K動画の編集など解像度の高いディスプレイが必要であれば、4Kディスプレイも選択できます。4Kパネルは、ファクトリー・カラー・キャリブレーションにも対応しており、より正確な色表現が必要な作業にも適しています。

アクティブペンが使える
ThinkPad T15gの4K 有機ELディスプレイは、タッチ操作に対応しており、アクティブペンを使用することもできます。ハイスペック構成が可能なワークステーションで、アクティブペンが使用できる機種は珍しいです。
コンバーチブル型のようにタブレット形状になるわけではありませんが、ディスプレイ面を180度倒してフラットにできるので、ペンでのドローイングも比較的しやすいです。
なお、4K 有機ELディスプレイを選択時に、カスタマイズ画面でAES2.0に対応したLenovo Pen Proを選択することができます。これは、4096段階の筆圧感知と、傾き検知に対応したペンです。


LTEに対応
ThinkPad T15gは、カスタマイズでLTE対応を選択することができます。搭載するのは、Fibocom L860-GL LTE CAT16です。ThinkPad X1 Carbon Gen 8で搭載可能なモジュールと同じで、国内の主要なバンドを網羅しています。
大きめのボディで、質量も重めではありますが、あえてパワフルなノート型のワークステーションを選ぶ場合、持ち出しての使用を想定している方も多いと思います。用途によっては、現場などでもネット接続を確保しやすいのは、メリットとなるでしょう。

最大128GBメモリーを搭載可能
ThinkPad T15gは、メモリスロットを4つ備えており、最大128GBのメモリを搭載することができます。また、Xeonプロセッサー搭載であれば、ECCメモリを選択することもできます。
解析やCAEなどの本格的な業務用として使う場合、大容量メモリを搭載できるのはメリットです。
大容量メモリを選択すると、価格も跳ね上がってしまうので、購入後に自己責任で増設するのも手だとは思います。

M.2 x2で最大4TBのストレージ構成が可能
ThinkPad T15gは、M.2 2280のスロットを2基備えており、各スロット最大2TB、合計4TBのストレージ構成が可能となっています。
ただし、最大の4TB構成を選択した場合、ストレージのカスタマイズだけでも40万円程かかり、非常に高額になります。メモリと同様、購入後に自己責任で増設することもできるかもしれません。
ディスプレイのチェック
特徴の部分で紹介したように、ThinkPad T15gのディスプレイは、4種類の液晶から選択することができます。ここでは、4K-UHD 有機ELディスプレイの特徴について記載したいと思います。
4K-UHD 有機ELディスプレイ
4K UHD OLEDディスプレイの各種テスト結果です。パネルは、「ATNA56WR08-0」でした。
下のように色域はかなり広いです。最大輝度は、当サイトの計測では382cd/m2とやや高めです。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 画素・
ギラつき - 映り込み
- フリッカー
色域はかなり広いです。当サイトの計測ではsRGBカバー率、カバー率ともに100%、Adobe RGBDCI-P3カバー率は95.6%でした。
カバー率 | 比 | |
sRGB | 100% | 153.3% |
DCI-P3 | 100% | 113.0% |
Adobe RGB | 95.6% | 113.6% |

ガンマ補正曲線を確認すると、各色揃っており、自然な発色であることが分かります。

視野角は広いです。

画素形状です。ギラつきは感じません。

光沢ディスプレイですが、反射防止となっており、画面への映り込みはやや抑えられています。

PWM調光によるフリッカー(ちらつき)の有無の確認結果です。輝度45以下で、フリッカーが確認できました。約237Hzとやや低めの高周波数なので、目が疲れやすく感じる方もおられるかもしれません。輝度45以上で使うことをおすすめします。

※フォトディテクターにオシロスコープを繋げて計測
また、X-Rite Pantoneのファクトリー・カラー・キャリブレーションに対応しています。
X-Rite Color Assistantをソフトを使い、sRGBやAdobe RGBなどのプロファイルを適用することも可能です。なお、下の画面を確認すると、プロファイルを変えると色域も変わるように見えますが、ディスプレイ自体の色域が変わっているようには感じませんでした。ガンマ値と輝度は変わっているように感じます。


キーボードおよびタッチパッドのチェック
ThinkPad T15gのキーボードのチェックです。
他の15型のThinkPadシリーズに搭載されるのと同じ、フルサイズキーボードを搭載しています。十分なキーピッチと、実測で約2mm弱の深めのキーストロークで、キートップも大きく湾曲しており、打ちやすいです。エンターキーの左側のキーサイズが小さくなっていますが、それほど支障はないと思います。
標準的な4列テンキーも付いており、テンキーを利用するクリエイティブソフトも使用しやすいです。


キーボードバックライトも搭載しており、暗い場所でも作業しやすいです。

パフォーマンスのチェック
パフォーマンスのチェックです。
CPU
本製品では、第10世代のHシリーズCoreプロセッサー、もしくはXeonプロセッサーを選択できます。選択肢が多く、必要とするスペックと、予算に合わせて適した構成を選びやすいです。
今回は、ThinkPad T15gで選択できるCPUの中で、最も高性能なXeon W-10885Mを搭載していました。ベンチマークでも、ノートPC用プロセッサーとしてはトップレベルの処理性能を示していました。
~ CPU性能の評価 ~

:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
グラフィックス
ThinkPad T15gは、外部グラフィックスとして、GeForce RTX 2070 SUPER Max-Q、もしくはRTX 2080 SUPER Max-Qを選択可能となっています。
実際のベンチマークでは、思ったよりもスコアが伸びませんでした。
~ グラフィックス性能の評価 ~

:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
GPU-Zで確認したGeForce RTX 2080 SUPER Max-Qの情報は次の通りです。ベースクロック、ブーストクロック共に低めの設定になっています。

ストレージ
レビュー機のストレージは、PCIe-NVMe SSDで、高速でした。
~ ストレージ性能の評価 ~

:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
SDカードスロット
標準サイズのSDカードスロットを搭載しています。アクセス速度は速いです。
~ SDカードスロット性能 ~


クリエイターソフトの処理時間
以下、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間です。
思ったよりも遅かったです。Lightroom用に使うなら、Core i7-10750Hの構成にするか、もっと安い製品のほうがいいと思います。現像作業自体は快適です。
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
「Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください
思ったほどではありませんでしたが、比較的速いです。4K動画の編集自体も快適です。
※ グラフィックスは全てノートPC用
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
非常に高速です。
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
ここでは6種類のプロジェクトのレンダリング時間を測定し、合計したものをスコアとして比較しています。
ベンチマークのレンダリング速度は、かなり速いです。ランキングでも上位8%と高く、Blenderを快適に使用できるレベルです。作品によりますが、Cyclesでのレンダリングは、パフォーマンスのタイル設定を24~48px程度の小さめに設定した方が、処理が高速でした。
ただ、期待し過ぎていたせいか、実際に使用してみると、レンダープレビューの画面では、思ったよりも時間がかかるように感じました。

バッテリー駆動時間のチェック
ThinkPad T15gのバッテリー駆動時間のチェックです。
バッテリー容量をフリーソフトで確認すると、約94Whでした。仕様値通りで、かなり多い容量です。

バッテリー駆動時間は下の通りで、やや短いですが、そもそもバッテリー駆動で使用するような構成ではないので、問題ないと思います。
バッテリー駆動時間 | |
(1) JEITA2.0 | 最大 約17.4時間 |
(2) PCMark 10 Modern Office | ― |
(3) 動画再生時 | ― |
(4) PCMark 8 Work | 2時間30分 |
(1) メーカー公表値
(2) 文書作成、ブラウジング、ビデオ会議といった事務作業。アイドル時も多く軽めの処理
(3) ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
(4) ブラウザでのショッピング/画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャット等。やや重めの作業
静音性、温度のチェック
静音性については、アイドル時はほぼ音は聞こえません。ただし、高い負荷をかけたときは高めの動作音です。
表面温度については、高めの負荷をかけるとやや熱いですが、PC本体が分厚いこともあり、非常に熱いというわけでもありません。
高負荷時のCPU温度およびグラフィックスの温度は次の通りです。Xeonプロセッサーを搭載しているだけあり、CPU温度は高めです。グラフィックスの温度は低めなので問題ないと思います。


外観のチェック
ThinkPad T15gの外観のチェックです。
ThinkPad Tシリーズに似た見た目です。厳しいMIL-SPECテストをクリアしており、過酷な環境でも安心して使える品質なので、モバイルワークステーションとして、気兼ねなく持ち運ぶことができます。

天板の画像です。

スピーカー音はそこまで良くはありません。ノートPC基準で採点すると、10点満点で4点くらいです(普通が5点。あくまで筆者独自の判断です)。

ウェブカメラに、ThinkShutterが付いており、物理的に隠すことができます。4Kディスプレイ搭載モデルは、IRカメラを搭載しています。また、FHD 500nitの液晶であれば、カスタマイズでIRカメラを選択することができます。なお、IRカメラであれば、Windows Helloの顔認証でのログインが可能となり、便利です。

指紋センサーを標準搭載しており、指紋認証でのログインができます。

本体は、24.5~31.4mmとしっかり厚みがあります。ThinkPad Tシリーズの通常モデルよりはかなり分厚いですが、ハイスペックのワークステーションであることを考えると、それほど気になることはないでしょう。

ThinkPad T15gの側面の画像です。
インターフェイスとしては、USB 3.1 x2、USB-C 3.1 x3(うち2ポートはThunderbolt 3対応)、HDMI、SDカードリーダー、LANを備えています。
電源やLANポートなどが背面に配置されているので、使用中も邪魔になりません。



液晶が開く最大の角度です。

底面です。

ACアダプターは230Wです。サイズはかなり大きいです。


まとめ
ThinkPad T15gは、ノート型としてはトップレベルのスペック構成を選択できる、プロのためのノート型ワークステーションです。
CPUの選択肢が多いですし、グラフィックスには、Max-QデザインのRTX 2080 SUPER、もしくはRTX 2070 SUPERを搭載することが可能です。また、目的に合った、液晶、メモリ容量、ストレージ容量を選択できます。ハイスペック構成が可能なことを考えると、約2.74kgという質量もそれほど重いとは感じないかもしれません。
LTEにも対応し、4K 有機ELディスプレイであれば、アクティブペンも使用できるなど、機能も十分です。さらに、堅牢性にも優れているので、ハードな環境でも安心して使用できます。
場所を選ばず、安心して快適に高負荷作業を行うことができる、プロのためのワークステーションです。
気になる点を挙げるとすると、グラフィックスの設定が抑えられているせいか、思ったほどのパフォーマンスではありませんでした。
Xeonが選択できるハイスペックワークステーション
ThinkPad T15g

特徴
- Xeon + RTX 2080 SUPER Max-Qの構成を選択可能
- 4K 有機ELディスプレイを搭載可能
- 安心して持ち運べるThinkPadの堅牢性
こんなあなたに
- 高負荷の本格的なクリエイティブな作業をプロ
- 持ち出し可能な高性能ワークステーションが必要な方
- 価格24万円台[税込]~

1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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約15年間にわたり、年間100機種以上、パソコンを細かくチェックしている筆者がおすすめするノートパソコン。