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レノボ ThinkPad P17 の実機レビュー
CPU | Xeon W-10885M Xeon W-10855M Core i9-10980HK Core i9-10885H Core i7-10875H Core i7-10750H Core i5-10400H |
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GPU | Quadro RTX 5000 Quadro RTX 4000 Quadro RTX 3000 Quadro T2000 Quadro T1000 |
メモリ | 最大 128GB |
ストレージ | M.2 PCIe SSD x2 |
液晶サイズ | 17.3インチ |
液晶種類 | FHD IPS 4K IPS |
質量 | 約3.5kg |
バッテリー | 最大 約16.6時間 (94Wh) |
WWAN | LTE対応 |
価格[税込] | 27万円台~ |
ThinkPad P17は、17.3型の大型液晶を搭載した、本格的なワークステーションです。
最大だと、ノート型のワークステーションとしてはトップクラスの処理性能となる、Xeon W-10885M+Quadro RTX 5000という構成が可能です。それ以外にも、HシリーズのCoreプロセッサーや、Quadro Tシリーズ、大容量メモリやストレージ、RAID構成、4K液晶、LTE搭載といった構成も選択でき、用途に合ったスペック構成を選択できます。
デスクトップ型よりも移動がしやすいものの、大画面+ハイスペック構成が可能なワークステーションなので、サイズはかなり大きめです。モビリティを重視しない、高い性能と、作業のしやすさを求める、業務用ワークステーションだと思います。
レビュー機は、メーカーからの貸出機です。今回は以下の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Core i7-10875H、Quadro RTX 3000、16GBメモリ
目次
お忙しい方は、「ThinkPad P17の特徴」のみお読みください。
ThinkPad P17の特徴
17.3型の本格ワークステーション
ThinkPad P17は、最大でXeon-W10885M、Quadro RTX 5000、128GBメモリ、4TB PCIe SSDという構成が可能な、ノート型のワークステーションです。最高構成だと、100万円(税込)を超える高額製品です。
ISV認証を取得しており、製造・建築などの設計、4K・8K・VRや3DCGなどのクリエイター、CAD、CAE解析など業務用ソフトを使用する方に適しています。
Core i5からXeonまで選べるCPU
ThinkPad P17では、Core i5-10400HからXeon W-10885Mの7種類のCPUから選択することができます。
下のグラフでは、一部ではありますが、ThinkPad P17で選択できるCPUの性能を比較しています。ワークステーションとしての使用を考えると、Core i7-10875H以上ぐらいの高めの処理性能を備えたCPUがおすすめです。
~ CPU性能の比較 ~
グラフィックスにはQuadro搭載
ThinkPad P17は、外部グラフィックスとしてQuadro Tシリーズ、もしくはQuadro RTXシリーズを搭載します。
なお、nVIDIAでは、4Kビデオ編集や、写真・グラフィックスデザインなどの用途であればQuadro Tシリーズ、3Dアニメーション、モーショングラフィックス、6Kビデオ編集用途にはQuadro RTXシリーズがすすめられています。
作業がしやすい17.3型液晶搭載
ThinkPad P17は、ノート型としてはかなり大きめの17.3型液晶を搭載しています。そのため、外部ディスプレイを接続せずに、単体でも快適に作業ができます。
液晶の選択肢は、FHD IPS 非光沢 300nitと、UHD IPS 非光沢 500nitの2種類です。
UHD液晶はファクトリー・カラー・キャリブレーションに対応しており、より正確な色表現が可能です。色にこだわる必要があるクリエイティブな作業であれば、UHD液晶を選択するといいでしょう。
外部ディスプレイへの10bit表示が可能
ノート型PCの場合、外部グラフィックスを搭載していても、iGPU経由でディスプレイとつながり、10bit出力ができないものが多いです。
一方、ThinkPad P17は、MUXedという構成になっているようで、外部ディスプレイを使用する場合、外部ディスプレイはdGPUと接続されます。また、UEFIでdGPUだけを使うという設定も可能でした。
そのため、10bit表示が可能な外部ディスプレイを接続し、設定を行うならば、Photoshopなど対応したソフトでの10bit表示が可能となります。
4つのメモリスロットを搭載
ThinkPad P17は、メモリスロットを4つ備えており、最大128GBのメモリを搭載することができます。Xeonプロセッサー選択時であれば、ECCメモリも選択可能です。
自己責任とはなりますが、購入後に自分でメモリの増設も行えると思います。
最大4TBのストレージを選択可能
ThinkPad P17には、2つのM.2スロットが用意されており、最大4TBのストレージ構成が可能となっています。
また、カスタマイズでRAID0やRAID1の構成を選択することもできます。ちなみに、RAID0はより高速な読み書き速度が特徴となっており、RAID1は耐障害性の高い構成となっています。なお、RAID1構成を選択した場合は、最大のストレージ容量は2TBとなります。
LTEに対応
ThinkPad P17は、LTE対応を選択することができます。搭載するのは、Fibocom L860-GL LTE CAT16です。ThinkPad X1 Carbon Gen 8などで搭載可能なモジュールと同じで、国内の主要なバンドを網羅しています。
持ち運びに適したワークステーションではありませんが、現場を転々とする場合でも、ネット接続を確保しやすい、というメリットがあります。
かなり大きめのボディ
ThinkPad P17は、17.3型の液晶を搭載し、パワフルなスペック構成が可能なワークステーションなので、ボディサイズはかなり大きいです。
下の画像でサイズ比較を行っていますが、15.6型のThinkPad X1 Extremeが子どものように見えます。もちろん、デスクトップ型のワークステーションよりは、移動はしやすいですが、とにかくノート型としてはかなりの大きさなので、持ち運びやすさを考える方には適していません。
ディスプレイベゼルの幅も上下左右共に太く、無骨なイメージです。
一方、MIL-SPECのテストをクリアしており、現場や工場などの過酷な環境でも使用できる、高い信頼性と耐久性を備えています。
ディスプレイのチェック
ThinkPad P17のディスプレイは、フルHD IPS液晶と、UHD IPS液晶の2種類から選択することができます。ここでは、フルHD IPSディスプレイの特徴について記載したいと思います。
フルHD IPSディスプレイ
フルHD IPSディスプレイの各種テスト結果です。パネルは、「LP173WF4-SPF7」でした。
色域はやや広めですが、用途によっては物足りないと思います。最大輝度は、当サイトの計測では300cd/m2とやや高めです。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 画素・
ギラつき - 映り込み
- フリッカー
キーボードおよびタッチパッドのチェック
ThinkPad P17のキーボードのチェックです。
15.6型のThinkPadシリーズに搭載されるのと同じ、フルサイズキーボードを搭載しています。キーピッチは十分ですし、キーストロークも実測で約2mm弱と深めです。キートップも大きく湾曲しており、打ちやすいです。
ただし、エンターキーの左側のキーサイズが小さくなっている点はやや残念です。横幅に余裕があるので、このキーも大きくしてほしいところでした。
標準的な4列テンキーも付いており、テンキーをショートカットキーに利用するクリエイティブソフトも使用しやすいです。
キーボードバックライトも搭載しており、暗い場所でも作業しやすいです。
パフォーマンスのチェック
パフォーマンスのチェックです。
Core i7-10875Hの詳細
まず、今回搭載されているCore i7-10875Hの設定内容を確認すると、ご覧のようになっています。
CPU
本製品では、第10世代のHシリーズCoreプロセッサー、もしくはXeonプロセッサーを選択できます。予算と作業内容に合わせて、適したCPUを選択するといいでしょう。
今回は、ノートPC用プロセッサーとしては高めの処理性能である、Core i7-10875Hを搭載していました。
CINEBENCH R23のスコアは以下の通りです。CINEBENCH R23では、マルチコアテスト、シングルコアテスト共に最低10分間は処理を行うので、長時間負荷をかけたときのパフォーマンスを確認することができます。
同じCore i7-10875Hを搭載した他機種で測定したスコアよりも高いスコアでした。
~ CPU性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
グラフィックス
ThinkPad P17は、外部グラフィックスとして、Quadroシリーズを搭載します。選択できるのは、RTX 5000、RTX 4000、RTX3000、T2000、T1000です。
他のGPUの結果と比較すると、Quadro系のGPUが得意とするソフトがはっきりします。群を抜いたスコアとなっているソフトを使用する場合は、Quadro系GPUを搭載するメリットがあると思います。
~ グラフィックス性能の評価 ~
Quadro RTX 3000は、ゲームプレイに適したGPUではないので、3DMark Time Spyのスコアはあまり伸びません。それでも、GeForce RTX 2060とGTX 1660Tiの間ぐらいのスコアはありました。
~ グラフィックス性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
GPU-Zで確認したQuadro RTX 3000の情報は次の通りです。標準的な設定になっています。
メモリ
メモリはDDR4-2933で、4つのメモリスロットを備えています。速度はご覧の通りで高速です。
ストレージ
レビュー機のストレージは、PCIe-NVMe SSDで、比較的高速でした。
~ ストレージ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
SDカードスロット
標準サイズのSDカードスロットを搭載しています。アクセス速度は速いです。
クリエイターソフトの処理時間
以下、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間です。
比較的高速です。現像作業自体も快適です。
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
「Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください
高速です。4K動画の編集自体も快適です。
※ グラフィックスは全てノートPC用
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
計測機種が少ないですが、4K/30p、10分の動画を5分近くで書き出し出来ているので速いと思います。
※ 旧MacBook Airは、Intel CPUを搭載した2020年モデル
※ 旧MacBook Pro 13は、Intel CPUを搭載した2020年モデル
※ MacBookシリーズはバージョンが17.1Betaで、その他は17.0Betaを使用
※ MacBook以外(Windowsノート)は、エンコーダーに、QSV、NVIDIA、AMD等を選択
こちらも非常に高速です。
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
ここでは6種類のプロジェクトのレンダリング時間を測定し、合計したものをスコアとして比較しています。
ベンチマークのレンダリング速度は、そこそこです。ランキングでも上位16%なので、十分使えるレベルです。ソフト側の問題かもしれませんが、Cyclesでのレンダリングは、CPU+GPUよりも、GPUのみでのレンダリングの方が速い場合がありました。GPUのみでレンダリングを行う場合は、パフォーマンスのタイル設定を512pxなど、大きめに設定した方がよいようです。
ただし、あえて高価なQuadroを搭載するメリットは感じられませんでした。Blender目的であれば、GeForce RTX系のGPUの方がコスパが高くおすすめです。
静音性、温度のチェック
静音性については、アイドル時はほぼ音は聞こえません。ただし、高い負荷をかけたときは約46dBと高めの動作音になります。
表面温度については、高めの負荷をかけるとやや熱いですが、PC本体が分厚いこともあり、非常に熱いというわけでもありません。
CPU使用率が100%になるCPU温度は次の通りで、100℃に達しており、非常に高いです。
外観のチェック
ThinkPad P17の外観のチェックです。
写真では伝わりにくいですが、実際に見ると、とにかく大きいです。
天板の画像です。
スピーカーはキーボード部の上部に配置されています。スピーカー音は普通で、ノートPC基準で採点すると、10点満点で5点くらいです(普通が5点。あくまで筆者独自の判断です)。
ウェブカメラには、ThinkShutterが付いており、物理的にカバーすることができます。IRカメラも搭載しているので、Windows Helloの顔認証でのログインが可能です。
指紋センサーを標準搭載しており、指紋認証でのログインができます。
本体は、25~33.25mmとかなり厚みがあります。
ThinkPad P17の側面・背面の画像です。
インターフェイスとしては、USB 3.1 x3、USB-C 3.1 x3(うち2ポートはThunderbolt 3対応)、HDMI、SDカードリーダー、LAN、SIMトレイを備えています。インターフェイスの種類と数は十分です。
電源やLANポートなどが背面に配置されており、ケーブル類が邪魔になりにくいです。
液晶が開く最大の角度です。
底面です。メモリへのアクセスがしやすくなっています。
ACアダプターは230Wです。スリムタイプですが、それでもサイズは大きめです。なお、構成によっては170Wアダプターが同梱されます。
まとめ
ThinkPad P17は、17.3型の大画面を搭載し、本格的なスペック構成が可能なノート型のワークステーションです。
CPUはCore i5-10400H~Xeon W-10885M、GPUはQuadro T1000~Quadro RTX 5000と、選択できる幅が広いです。その他にも、4K液晶、大容量のメモリとストレージ、RAID構成、LTE搭載など、作業環境と使用するソフトに合った構成を選択できます。
特に、Quadroを必要とするクリエイティブなソフトを使用する環境での導入に適しています。
ただ、今回のチェックでは、CPU使用率が100%の時のCPU温度が100%に達していました。高負荷の処理を長時間行う場合は、やや不安を感じます。
ボディは大きく、重いですが、デスクトップ型よりも移動はしやすいです。工場や現場などの、移動する必要がある場所での使用に適したワークステーションです。
Xeon+Quadro RTXを搭載可能な本格派の17.3型ワークステーション
ThinkPad P17
特徴
- Xeon + Quadro RTXの構成が選択可能
- 4K、大容量メモリ、RAID、LTEなど多彩な構成が可能
- 外部ディスプレイへの10bit出力が可能
こんなあなたに
- Quadroを必須とするアプリケーションを使用する方
- 会社や工場で導入するワークステーションとして
- 価格27万円台[税込]~
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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