GeForce RTX 3060 のベンチマーク

GeForce RTX 30シリーズのミドルクラス下位モデル「GeForce RTX 3060」が2月26日に発売開始となりました。
現在ゲーミングPCとマイニング需要により、枯渇気味であるグラフィックカード市場。PCゲーマーたちにとっても、マイナーたちにとっても、注目の最新GPUとなります。
ここでは、「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X 12G」のグラフィックカードを用いて、3DMARKやゲームベンチマーク、マイニング時のハッシュレートなどを計測し、比較した結果を掲載します。
執筆:ゲーム記事担当"つむじ"
目次
GeForce RTX 3060のスコア結果【概要】
RTX 2060 SUPERよりやや高い性能
細かい説明は不要なので、ザックリとどのくらい性能が向上したのか知りたい方のために、まずは代表的なベンチマーク「3DMark Time Spy」のスコアを掲載します。
GeForce RTX 3060は、旧世代のRTX 2060と比較して約18%スコアがアップ、また、RTX 2060 SUPERよりもやや高く、RTX 2070とほぼ同等のスコアでした。
GeForce RTX 3060 の仕様
今回レビューするRTX 3060は、昨年の12月3日に発売された「GeForce RTX 3060 Ti」の下位に位置するモデルで、これまでも人気であった、ミドルクラスの60シリーズ代表となる、グラフィックカードです。
注目すべきは異例の12GBのグラフィックスメモリを搭載している点。これは上位のRTX 3060Tiだけでなく、さらに上位のRTX 3080よりも多いメモリ量となります。
ただ、肝心のメモリバス幅は192 bit、帯域幅は360GB/sのまま。それを補うためか、メモリスピードは15Gbpsまで引き上げられています。
その他の基本スペックを確認すると、CUDAコアは3584基とRTX 2060 SUPERよりも格段に増え、ベースクロックは1320MHzと低めなものの、ブーストクロックは1780 MHzと、ミドルクラスにしてはやや高めに設定されています。TDPは170Wに抑えられており、上位のRTX 3060Tiと比べると30Wも低いです。
GeForce RTX 3060Ti |
GeForce RTX 3060 |
|
GPUコア | GA104 | GA106 |
GPUアーキテクチャ | Ampere | |
製造プロセス | 8nm | |
CUDAコア数 | 4864 | 3584 |
Tensorコア数 | 152(第3世代) | 112(第3世代) |
RTコア数 | 38(第2世代) | 28(第2世代) |
定格クロック | 1410 MHz | 1320 MHz |
ブーストクロック | 1665 MHz | 1780 MHz |
メモリタイプ | GDDR6 | |
メモリ容量 | 8 GB | 12 GB |
メモリスピード | 14 Gbps | 15 Gbps |
メモリバス幅 | 256 bit | 192 bit |
メモリ帯域幅 | 448 GB/s | 360 GB/s |
TDP | 200W | 170W |
想定価格(税別) | 59,980円 | 49,980円 |
GeForce RTX 2060 SUPER |
GeForce RTX 2060 |
|
GPUコア | TU106 | TU106 |
GPUアーキテクチャ | Turing | |
製造プロセス | 12nm | |
CUDAコア数 | 2176 | 1920 |
Tensorコア数 | 272(第2世代) | 240(第2世代) |
RTコア数 | 34(第1世代) | 30(第1世代) |
定格クロック | 1470 MHz | 1365 MHz |
ブーストクロック | 1650 MHz | 1680 MHz |
メモリタイプ | GDDR6 | |
メモリ容量 | 8 GB | 6 GB |
メモリスピード | 14 Gbps | 14 Gbps |
メモリバス幅 | 256 bit | 192 bit |
メモリ帯域幅 | 448 GB/s | 336 GB/s |
TDP | 175W | 160W |
テスト環境
テストに使用したグラフィックカード
今回の検証に使用したグラフィックカードは「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X 12G」です。価格は税込66,000円とかなり割高です。
なお、メーカーによっても価格は変わりますが、どのカードもだいたい5万円~6万円台でした。上位のRTX 3060Tiでも発売当時は税込5万円台で購入できたので、実質RTX 3060Tiと価格はほとんど変わりません。
「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X 12G」については下記をご覧ください。

MSI製品としては珍しい2連ファンの小型サイズのグラフィックカード。価格は税込66,000円。
ファンブレードは10枚でMSI製品としては珍しい2連ファンの小型サイズです。背面は金属製バックプレートにより、基盤を保護し、同時に冷却面もサポート。


映像出力端子はDisplayPort 1.4aが3ポート 、 HDMI 2.1が1ポートとなっています。また、本製品では補助電源には8ピンコネクタ1本と、6ピンコネクタを1本使用します。RTX 3060ではほとんどの製品が8ピンコネクタ1本で済むので、注意してください。


ミドルクラスのグラフィックスにしてはやや大きめですが、MSIの製品としてはコンパクトです。重量も実測で996gとやや重めです。


ファン部分です。最新ファン「TORX FAN 4.0」を採用しており、先代より静音性が少し向上しているそうです。

実際にPCに装着したときの写真です。ミドルクラスにしてはややゴツいです。また、クーラーカバーは「Mystic Light」対応の LEDイルミネーション機能を搭載しています。低負荷時にファンを停止する「Zero Frozr」にも対応しています。


「MSI GeForce RTX 3060 GAMING X 12G」のGPU-Zの結果は、次のようになっています。
GPUクロックはブースト時1837MHzのオーバークロック仕様となっています。

テストに使用したPC
GeForce RTX 3060のベンチマークを測定するにあたって、テストに使用したPCの構成は以下の通りです。

CPU | Core i9-10900K |
---|---|
ケース | NZXT H510 Matte Black |
マザーボード | ASUS TUF Z490-PLUS(WI-FI) |
CPUファン | 簡易水冷 Silverstone PF240-ARGB ZEFT |
メモリ | Gskill Trident Z DDR4-2666 16GB(8GB×2) |
ストレージ1 | M.2 SSD WD BLUE SN550 1TB |
ストレージ2 | SATA SSD Crucial MX500 1TB |
電源 | Corsair RM1000x 1000W |
基本ベンチマークスコア
基本的なベンチマークスコアです。ゲームベンチマークスコアでは、各ゲームのグラフィック設定を最高設定のみで計測しています。
3DMark - Time Spy
3DMark Time Spyのベンチマークスコアです。
通常のTime Spy、4K環境でのTime Spy Extremeともに、RTX 2060 SUPERよりもやや高いスコアとなっています。

ゲームベンチマークスコア
各ゲームベンチマークでのスコア比較です。ミドルクラスであるRTX 3060では、特にフルHD(1920x1080)環境でのゲーミング性能に着目していきます。
負荷が重い「サイバーパンク2077」や「ウォッチドッグス レギオン」でも最高設定で平均60 fpsを越えます。WQHD(2560x1440)環境ではゲームによっては60 fpsを越えます。4K環境では厳しい性能です。
スコアもいずれのゲームにおいて、RTX 2060 SUPERよりやや高く、RTX 2070 SUPER以下という性能です。
重い部類のゲーム
サイバーパンク2077(DX12)
|
||
---|---|---|
品質 | 解像度 | 平均fps |
ウルトラ | 1920x1080 | 62 fps |
2560x1440 | 41 fps | |
3840x2160 | 20 fps |
![]() 重い部類のゲーム
ウォッチドッグス レギオン(DX12)
|
||
---|---|---|
品質 | 解像度 | 平均fps |
最大 | 1920x1080 | 61 fps |
2560x1440 | 46 fps | |
3840x2160 | 27 fps |
![]() 重い部類のゲーム
Horizon Zero Dawn(DX12)
|
||
---|---|---|
品質 | 解像度 | 平均fps |
最高画質 | 1920x1080 | 93 fps |
2560x1440 | 74 fps | |
3840x2160 | 41 fps |
![]() 重い部類のゲーム
レッド・デッド・リデンプション2(VULKAN)
|
||
---|---|---|
品質 | 解像度 | 平均fps |
ウルトラ | 1920x1080 | 68 fps |
2560x1440 | 54 fps | |
3840x2160 | 34 fps |
![]() 重い部類のゲーム
ボーダーランズ3(DX12)
|
||
---|---|---|
品質 | 解像度 | 平均fps |
ウルトラ | 1920x1080 | 78 fps |
2560x1440 | 56 fps | |
3840x2160 | 31 fps |
![]() 重い部類のゲーム
ファイナルファンタジー 15(DX11)
|
||
---|---|---|
品質 | 解像度 | 平均fps |
高品質 | 1920x1080 | 89 fps |
2560x1440 | 67 fps | |
3840x2160 | 38 fps |
![]() 中程度の重さのゲーム
シャドウオブザトゥームレイダー(DX12)
|
||
---|---|---|
品質 | 解像度 | 平均fps |
最高 | 1920x1080 | 120 fps |
2560x1440 | 81 fps | |
3840x2160 | 43 fps |
![]() 中程度の重さのゲーム
ファイナルファンタジー 14 漆黒のヴィランズ(DX11)
|
||
---|---|---|
品質 | 解像度 | 平均fps |
最高 | 1920x1080 | 19251 / 136 fps |
2560x1440 | 14873 / 98 fps | |
3840x2160 | 7289 / 48 fps |
![]() 中程度の重さのゲーム
ファークライ ニュードーン(DX11)
|
||
---|---|---|
品質 | 解像度 | 平均fps |
最高 | 1920x1080 | 110 fps |
2560x1440 | 92 fps | |
3840x2160 | 51 fps |
DLSS有効時のスコア
次に、ディープラーニング スーパー サンプリング(DLSS)の効果を計測するベンチマークスコアを掲載します。GeForce RTX 30シリーズでは、第3世代「Tensorコア」により、AIレンダリング技術がより強化されており、画質を落とさずに、ゲームのパフォーマンスを向上させることが可能です。
3DMark - NVIDIA DLSS feature test
NVIDIA DLSS feature testの結果は、下表の通りです。こちらでも、RTX 3060は、RTX 2060 SUPERよりわずかに高いフレームレートです。
DLSS有効時のフレームレートの伸びは2.5倍~3倍となっています。

ゲームベンチマークスコア
実際のゲームのベンチマークでは、RTX 3060とRTX 2060 SUPERでの、DLSS有効時のフレームレートの伸び率はほぼ同等でした。
重い部類のゲーム
サイバーパンク2077(DLSS : 自動)
|
---|
![]() 重い部類のゲーム
ウォッチドッグス レギオン(DLSS : 品質)
|
---|
![]() 中程度の重さのゲーム
シャドウオブザトゥームレイダー(DLSS : ON)
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---|
レイトレーシング有効時のスコア
続いて、リアルタイムレイトレーシングのベンチマークスコアです。GeForce RTX 30シリーズでは、第2世代「RTコア」によりレイトレーシング機能も強化されています。レイトレーシングを使った負荷の重いゲームも、高いフレームレートでプレイが可能です。
3DMark - Port Royal
3DMARKのリアルタイムレイトレーシングベンチマークテスト「Port Royal」のベンチマーク結果です。レイトレーシング環境では、第2世代「RTコア」と大容量VRAMにより、RTX 2060 SUPERとのスコア差が大きくなっています。

3DMark - DirectX Raytracing
3DMarkの「DirectX Raytracing feature test」のベンチマーク結果です。このテストでは、シーン全体をレイトレーシングでレンダリングするため、純粋な「DirectX Raytracing(DXR)」性能を比較することができます。
こちらではRTX 3060はRTX 2060 SUPERのフレームレートを大きく離し、RTX 2070 SUPERよりもわずかに高い結果となりました。

ゲームベンチマーク
レイトレーシング機能を使ったゲームのベンチマークスコアです。レイトレーシングOFFのときは軽かったゲームもレイトレーシングをONにすると急激に重くなります。また、DLSSと併用した際のフレームレートも比較しています。
ゲームベンチマークではレイトレーシングのみ有効時、DLSS併用時両方において、RTX 2060 SUPERよりも高い結果になりました。いずれのゲームにおいても、フレームレート差は大きいです。
また、フルHD環境なら、レイトレーシング有効でもDLSSと併用することで、「ウォッチドッグス レギオン」なら平均60 fpsを越えます。「サイバーパンク 2077」は厳しいですが、ミドルクラスグラフィックスにしては高いフレームレートでしょう。
重い部類のゲーム
サイバーパンク2077
(レイトレーシング : ウルトラ、DLSS : 自動) |
---|
![]() 重い部類のゲーム
ウォッチドッグス レギオン
(RTX : 最大、DLSS : 高性能) |
---|
![]() 重い部類のゲーム
Bright Memory Infinite Ray Tracing Benchmark
(RTX : High、DLSS : Performance) |
---|
Resizable BAR有効時のスコア
Resizable BARとは
「Resizable BAR」とは、AMDの「Smart Access Memory」と同様の機能で、CPUがGPUのVRAMメモリ全体にフルアクセスすることができ、効率的かつ複数の要求に対する同時転送が可能になり、多くのゲームでパフォーマンスが改善するというものです。
現時点で対応しているGeForceのグラフィックスは、デスクトップ用RTX 3060シリーズと、ノートPC向けのRTX 30シリーズです。他のグラフィックスについても、3月末より順次対応を開始するそうです。
「Resizable BAR」に対応したCPUは、AMDではRyzen 5000シリーズと、マザーボードAMD 500/400チップセット。インテルでは第10世代Coreプロセッサーと、マザーボードZ490/H470/B460/H410チップセット。第11世代Coreプロセッサーでは全チップセットで利用可能となっています。

Resizable BARを利用するには
「Resizable BAR」を利用するには、GPUドライバーの更新はもちろん、対応のCPUを搭載したマザーボードのBIOS更新が必要となります。メーカーによってはベータ版のBIOSしかない場合があるので、注意が必要です。なお、更新作業はあくまでも自己責任となります。
筆者のテスト用PCのマザーボードは「ASUS TUF Z490-PLUS(WI-FI)」となっており、Resizable BAR対応のBIOSをサポートベージにて探してみたところ、まだベータバージョンしか公開されていませんでした。そのため、今回はベータ版のBIOSで検証を行います。

BIOSを更新すると、上のメニューに「Resizable BAR」という項目が追加されています。ここをクリックし、ONにすることで「Resizable BAR」の有効化は完了。NVIDIAのシステム情報を確認すると、「Resizable BAR」という欄がYesになっているのがわかります。ちなみにメーカーによってBIOS画面での有効化方法は異なります。



Resizable BAR有効時のフレームレート比較
ゲームベンチマークにて、Resizable BAR有効時と無効時のフレームレートを比較してみました。現時点でResizable BARに対応しているゲームタイトルは以下の8タイトルのみ。今後増える予定ですが、現状ではまだ少ないです。
ベンチマーク結果ではResizable BARに対応しているタイトル「ウォッチドッグス レギオン」「レッド・デッド・リデンプション2」「ボーダーランズ3」ではわずかにフレームレートが上昇している程度で大幅に向上とまではいきません。また、対応していないタイトルも、念のためベンチマークを実行してみましたが、フレームレートに変化はありませんでした。
・Assassin's Creed Valhalla
・Borderlands 3
・Forza Horizon 4
・Gears 5
・Metro Exodus
・Red Dead Redemption 2
・Watch Dogs: Legion
重い部類のゲーム
サイバーパンク2077(DX12)
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![]() 重い部類のゲーム
ウォッチドッグス レギオン(DX12)
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![]() 重い部類のゲーム
Horizon Zero Dawn(DX12)
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![]() 重い部類のゲーム
レッド・デッド・リデンプション2(VULKAN)
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![]() 重い部類のゲーム
ボーダーランズ3(DX12)
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![]() 重い部類のゲーム
ファイナルファンタジー 15(DX11)
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![]() 中程度の重さのゲーム
シャドウオブザトゥームレイダー(DX12)
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クリエイター向けソフトのベンチマークスコア
TMPGEnc によるNVENCエンコード時間
以下のグラフは、TMPGEnc Video Mastering Works 7にて、XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVC変換したときのエンコード時間を計測したものです。すべてNVENCでエンコードしています。
どのグラフィックカードもそれほど差はありませんでしたが、RTX 2060 SUPERよりも遅い結果となりました。
※ NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
※すべて同じPCで計測しています
Adobe Premiere Pro CCによる書き出し時間
以下のグラフは、Premiere Proで、4K動画の書き出し時間を計測したものです。
Premiere Proでの4Kエンコード時間でも、RTX 2060 SUPERより遅い結果となりました。
※すべて同じPCで計測しています
Blender Benchmarkによるレンダリング時間
3D CGソフト「Blender」のベンチマークスコアです。ここでは6種類のプロジェクトのレンダリング時間を測定し、合計したものをスコアとして比較しています。
レンダリング速度ではRTX 2060 SUPERを大きく離して11分台、RTX 2070 SUPERと同じレンダリング時間でした。

消費電力の比較
消費電力の比較です。計測には3DMarkの「Time Spy Extreme」、「Time Spy」、「Port Royal」のストレステストを2分間行い、確認できた最も高い消費電力を記載しています。測定はグラフィックカード単体の消費電力ではなく、PC全体の消費電力です。測定機器にはワットチェッカーを使用しています。
TDPではRTX 3060が170W、RTX 2060 SUPERが175Wとなっていますが、実際の測定結果では、RTX 3060の方が消費電力は低い結果となりました。RTX 3060の電力効率は高いと思います。ちなみに、RTX 3060の推奨電源容量は550Wとされています。
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています
マイニングのハッシュレート比較
マイニング需要により市場から姿を消すグラフィックカード
グラフィックカード需要が急激に伸びた原因とも言える仮想通貨のマイニング。マイニングとは、大量のハッシュ値の計算をし、その報酬として仮想通貨を受け取ることのできるシステム。この一連の作業をマイニングと言い、GPUによる演算が最も効率が良く、最近ではビットコインなどをはじめ、仮想通貨が高騰していることから、グラフィックカードの需要が急激に伸びました。コロナの影響によるゲーミングPCの需要が伸びているのもありますが、グラフィックカードが店舗から突然姿を消したのは、マイナーたちによる買い占めの影響がほとんどと言われています。
NVIDIAはこれに対し、より多くのゲーマーにGeForceを届けるために、GeForce RTX 3060において、ハッシュレートおよびマイニング効率を約50%に制限すると発表しました。販売する製品に対して制限を行うのはどうかとは思いますが、GPUがひとつでもゲーマーに届いてほしいのは同意見なので、個人的には英断と思っています。
どうやって制限しているのかというと、ドライバにより、Ethereumマイニングのアルゴリズム特有パターンを検知し、ハッシュレートを抑えるというもの。ゲームやクリエイターアプリに影響がないのか甚だ疑問ですが、上記のベンチマークを見る限りでは大丈夫そうです。
制限されるのは、Ethereum(イーサリウム)マイニングのみとのことですが、実際のところはどうかわかりません。なので、最新のグラフィックスドライバーにて、実際にマイニングをし、ハッシュレートを比較してみました。
Ethereumマイニングにおいて制限がかけられているのは事実
ハッシュレート制限がかけられているのは、Ethereumマイニングのみとのことですが、今回はBitcoinマイニングも試し、ハッシュレートとGPUの消費電力を計測。Ethereumマイニングには「PhoenixMiner」を使用し、アルゴリズムはEthash。Bitcoinマイニングには、「NiceHash Miner」を使用し、アルゴリズムはOctopusで検証を行いました。
結果ではEthereumマイニングにおいてハッシュレートは21.930 MH/s(116W)と、RTX 2060 SUPERよりもかなり低いです。どうやらハッシュレート制限がかけられているのは本当のようです。
マイニング開始後数十秒は41.54 MH/s辺りまで出ていたものの、取り憑かれたように徐々に下がっていき、32.15 MH/sから最終的には21.93 MH/s辺りまで下がっていました。電力制限がかけられているのか、GPU電力も116Wと、極端に低いです。
一方Bitcoinマイニングでは、制限がないのか35.50 MH/sとそれほど下がりませんが、RTX 2060 SUPERよりもやや低いハッシュレートとなっています。どちらにしろ、RTX 3060はマイニングには向かないようです。
まとめ
RTX 3060はRTXシリーズのミドルクラスとして人気となるはずのグラフィックカードでしたが、性能面ではRTX 2060 SUPERよりやや高い程度。せっかくの12GBの大容量メモリも、ゲームにおいてはバス幅が影響して、効果を発揮しづらく、VRAMを食うレイトレーシングにおいても、RTコア数が少ないので、これも性能がいまいち発揮できていない印象です。
さらにはVRAMの影響か、RTX 3060 Tiと同等レベルの価格で割高感があります。せめて、価格がもう少し安ければ良かったと思います。
ですが、クリエイターにとって12GBの大容量VRAMは魅力的。扱う素材によっては雪だるま式にVRAM使用量は増えていくので、VRAMは多ければ多いほど良いもの。クリエイターの方たちにとっては、RTX 3060 Tiよりも、RTX 3060の方がおすすめです。
GeForce RTX 3060レビューまとめ

GeForce RTX 3060の良いところ
- 12GBのGDDR6グラフィックスメモリを搭載
- ハッシュレート制限でマイナーによる買い占め回避
- VRAM容量が欲しいクリエイターにはコスパ良し
GeForce RTX 3060のダメなところ
- ゲームでは12GBのVRAMを活かし切れない
- ミドルクラスにしては価格が高い
- 性能はRTX 2060SUPERよりやや高い程度
- 総評もう少し安ければ・・・
GeForce RTX 3060を搭載可能なおすすめPC
最後に、現在GeForce RTX 3060が搭載できるおすすめのBTOパソコンの紹介です。現状、ネット通販でパーツ単体を入手するのは難しいですが、BTOパソコンであれば、GeForce RTX 3060搭載PCを入手できます。ミドルクラスのゲーミングPCとして、手ごろな価格で販売されています。

サイズ | ミニ / ミドルタワー |
---|---|
CPU | ~Core i7-10700K ~Ryzen 7 3700X |
GPU | GeForce RTX 3060 |
価格 | 12万円台(税込)~ |
ケースがリニューアルし、デザイン性も機能性も進化。価格が安く人気の製品。
パーツの選択肢はそこまで多くないため、逆に選びやすい。
レビュー記事はこちら メーカーサイトはこちら
サイズ | 色々 |
---|---|
CPU | ~Core i7-10920K ~Ryzen 9 5950X |
GPU | GeForce RTX 3060 |
価格 | 14万円台(税込)~ |
PCケースから、マザーボード、電源など、メーカーを指定してカスタマイズ可能。
細かくパーツをカスタマイズして購入したい方におすすめ。
レビュー記事はこちら
サイズ | 色々 |
---|---|
CPU | ~Core i7-10900K ~Ryzen 9 5950X |
GPU | GeForce RTX 3060 |
価格 | 17万円台(税込)~ |
メーカーを指定してパーツを選べることに加え、ダブル水冷モデルや静音モデルなど、特別なPCをラインナップ。
こだわりのある自分だけの製品が欲しい方におすすめ。
メーカーサイトはこちら
サイズ | ミニタワー |
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CPU | ~Core i7-10700K ~Ryzen 5 3600 |
GPU | RTX 3060 |
価格 | 13万円台(税込)~ |
比較的安価で購入できるミドルタワーゲーミングPC。
様々なモデルが用意されており、カスタマイズも豊富。
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