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ASUS Zenbook S 16 UM5606WAの実機レビュー
CPU | Ryzen AI 9 HX 370 |
---|---|
メモリ | 32GB LPDDR5x |
ストレージ | 1TB PCIe SSD |
画面サイズ | 16インチ 16::10 |
画面種類 | 2,880×1,800 OLED 光沢 |
質量 | 約1.5kg |
バッテリー | 78Wh(最大15時間) |
価格[税込] | 31万円台 |
Zenbook S 16 UM5606WAは、最新のRyzen AI 9 HX 370プロセッサーを搭載した次世代AI PCです。
Ryzen AI 9 HX 370は、最大50 TOPSのNPUを内蔵し、AI性能が高いだけでなく、CPUやGPU性能も高いです。
また、ボディが非常に薄く、16型の大画面ディスプレイを搭載している割には、約1.5kgと軽いのも魅力です。
デザインの質感も高いので、人目の付く場所で使いたくなる一台です。
レビュー機は、メーカーからの貸出機です。一部部材は量産品と違う可能性があります。今回は次の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Ryzen AI 9 HX 370、32GBメモリ、1TB SSD
目次
お忙しい方は、「ASUS Zenbook S 16 UM5606WAの特徴」のみお読みください。
製品の特徴
最新プロセッサー「Ryzen AI 300シリーズ」搭載
Zenbook S 16 UM5606WAは、プロセッサーにAMDの最新のRyzen AI 300シリーズを搭載する次世代のAI PCです。
Ryzen AI 300シリーズの簡単な仕様は、下表の通りです。Zen 5 + Zen 5cのハイブリット構成と、NPUを内蔵することによる高いAI性能が大きな特徴となっています。
なお、これらのプロセッサーのうち本機器が搭載するのは、「Ryzen AI 9 HX 370」です。
Ryzen AI 9 HX 375 | Ryzen AI 9 HX 370 | Ryzen AI 9 365 | |
コア / スレッド数 | 12 / 24 | 10 / 20 | |
アーキテクチャ | Zen 5 ×4 | Zen 5 ×4 | |
Zen 5c ×8 | Zen 5c ×6 | ||
最大クロック | 5.1GHz | 5.0GHz | |
ベースクロック | 2GHz | ||
L2 / L3キャッシュ | 12MB / 24MB | 10MB / 24MB | |
デフォルトTDP | 28W | ||
cTDP | 15-54W | ||
グラフィックス・モデル | Radeon 890M | Radeon 880M | |
GPUコア数 | 16 | 12 | |
NPUパフォーマンス | 最大 55 TOPS | 最大 50 TOPS | |
Total Processor Performance | 最大 85 TOPS | 最大 80 TOPS | 最大 73 TOPS |
以下に、「Ryzen AI 9 HX 370」のベンチマーク結果などを掲載します。
NPU性能
NPU性能を、幾つかのプロセッサーと比較すると、下のグラフのようになります。
最大50 TOPSというのは、Snapdragon X Elite X1E-78-100を超えており、現時点で登場しているノートPC向けプロセッサーのNPUとしてはトップクラスの性能となります。
なお、Snapdragon X Eliteを搭載したPCは、簡単な絵からイラスト生成を行う「コクリエイター」、キーワードを入力すると画像を生成してくれる「イメージクリエイター」といったCopilot+ PCの機能が使えました。しかし、本機器は、記事執筆時点ではまだ使用することができません。Copilot+ PCの機能は、後日提供されるWindows Updateで使えるようになるそうです。
CPU性能
次に、CPU性能を測る「CINEBENCH 2024」の結果です。
マルチコアでは、Core Ultra 7 155Hの代表的なスコアを超えていましたが、Snapdragon X Elite X1E-78-100を搭載する「Copilot+ PC」に準拠した機種で計測した数値よりも低かったです。
ただし、本機器では低めのCPU電力で動作していたので、もっと高いCPU電力で推移するPCであれば、もっと高いベンチマークスコアが出ます。また、Snapdragon X Elite X1E-78-100だと、ソフトがネイティブ動作しないと、エミュレーションで動作するため、性能が落ちます。一方、本機器はそんなことがありません。
シングルコアに関しては、Core Ultra 7 155Hや、Snapdragon X Elite X1E-78-100の代表的な数値を超えていました。Ryzenプロセッサーはシングルコア性能がやや低い、というイメージは過去のものになったようです。
グラフィックス性能
グラフィックス性能を測るベンチマークテストの結果は、下のグラフのようになりました。
3DMark Wild Life Extremeでは、比較している4つのプロセッサーの中では一番低いスコアになりました。ただし、ベンチマークソフトの種類によっては、Core Ultra 7 155Hの代表的なスコアを超えることもあり、CPU内蔵グラフィックとしては十分高めの性能を備えています。
剛性が高くかっこいいボディ
Zenbook S 16 UM5606WAは、デザイン性、剛性、耐久性にも優れています。
今回は、スカンジナビアンホワイトのボディですが、シンプルなデザインと、清潔感のある見た目で、かっこいいです。
天板には、ASUSが開発した、セラミック x アルミニウムのセラルミナム素材を使用しており、軽くて、堅牢性や剛性も高いです。また、手触りがよく、上質な仕上がりとなっています。
さらに、キーボード上部には、小さな穴が設けられています。これは、CNC加工された3,522個の冷却ベントで、機能美を感じます。また、このように放熱孔をキーボード上部に設けることで、背面や側面に排気口がなく、スッキリとしたデザインです。
非常に薄くて軽い
Zenbook S 16 UM5606WAは、ボディの厚みが約11.9~12.9mmしかなく、非常に薄いです。また、16型ノートPCでありながら、質量が約1.5kgしかありません。スリムで軽いノートPCなので、少し大きめのビジネスバッグなどを用意することで、容易に持ち運びすることができます。
外出先でも、少し高めの性能と、大きな画面で快適に作業を行うことができるでしょう。
2.8Kの有機ELディスプレイを搭載
Zenbook S 16 UM5606WAは、2.8K(2880x1800ドット)の有機ELディスプレイを搭載しており、ディスプレイの品質もいいです。
当サイト計測で、DCI-P3カバー率100%と色域が広く、有機ELらしくメリハリのある表示が可能なので、画像や映像が非常に美しいです。また、高い解像度なので、ディスプレイを100%スケールの表示にすることで、1画面に多くの情報を表示することができます。ペイン(枠)の多いクリエイター向けソフトの使用を含め、多くの作業を効率よく行うことができるでしょう。
ただし、光沢ディスプレイなので、使用する場所によっては、光りや物の映り込みがやや気になるかもしれません。
また、肉眼ではわかりませんが、ちらつき(フリッカー)もあります。
Wi-Fi 7対応
Zenbook S 16 UM5606WAの無線LAN規格は、最新のWi-Fi 7(IEEE 802.11be)に対応しています。
理論値では、Wi-Fi 6E(IEEE 802.11ax)が9.6Gbpsなのに対して、Wi-Fi 7は36Gbpsと約3.7倍も最高通信速度がアップしています。
もちろん、回線速度も関係していますし、実際の使用でここまで高速化することはないと思いますが、通信速度や接続安定性の向上は期待できます。
Wi-Fi 7対応ルーターの販売も始まっているので、最新の通信環境を活用することができるのはメリットです。
78Whの大容量バッテリーを搭載
Zenbook S 16 UM5606WAは、78Whのバッテリーを搭載しています。外部GPUを搭載しないノートPCとしては、かなり大きい容量です。
そのため、2.8Kの高解像度ディスプレイと、ノートPCとしては性能が高めのプロセッサーを搭載していても、YouTubeの再生ぐらいの軽い負荷であれば、14時間を超えるバッテリー駆動が可能でした。また、動画編集のような少し負荷がかかる状態でも、バッテリー駆動で6時間44分使用することができました。
持ち出した先で電源が確保できない場合でも、一般的なモバイルノートPCと同等かそれ以上の時間、作業をすることができると思います。
各用途の快適度
各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧 Office作業 |
◎ | 十分な処理性能と、2.8Kの16型ディスプレイで、快適に作業できます。 |
---|---|---|
動画鑑賞 | ◎ | 高精細・広色域の有機ELディスプレイを搭載し、美しい表示で映像を楽しむことができます。合計6つのスピーカーを搭載しており、サウンドも良く、動画鑑賞も快適です。 |
RAW現像 画像編集 |
◎ | 100% DCI-P3の有機ELを搭載しています。RAW現像の速度も思った以上に速かったです。画像編集系の作業も快適に行うことができます。 |
動画編集 | △~○ | FHD動画の一般的な編集作業であれば、問題なく行うことができます。ただし、凝った編集や4K動画を編集する場合は、GeForce RTXシリーズを搭載したPCがいいと思います。 |
ゲーム | △~○ | 軽いゲームなら画質を落とすことで、プレイが可能なものもあると思います。ただし、ゲームメインであれば、外部GPUを搭載するゲーミングノートPCの方がおすすめです。 |
ディスプレイのチェック
Zenbook S 16 UM5606WAのディスプレイのチェックです。
2,880×1,800ドットの有機ELディスプレイを搭載しています。高解像度、広色域で、有機ELらしいメリハリのある、非常に美しい表示が印象的です。16型と大きめのサイズなので、ディスプレイの「拡大/縮小」を調整して、1画面を広く使って効率よく作業を行うこともできます。なお、(デフォルトの)HDRをオフにした状態の最大輝度は、386cd/m2とやや高めでした。その他については、以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域・輝度
- RGB
発色特性 - 視野角
- 映り込み・
ギラつき - フリッカー
当サイト計測による色域の広さは、下表の通りです。非常に広い色域です。
カバー率 | |
sRGBカバー率 | 100% |
---|---|
DCI-P3カバー率 | 100% |
Adobe RGBカバー率 | 94.3% |
キーボードおよびタッチパッドのチェック
Zenbook S 16 UM5606WAのキーボードのチェックです。
実測で、キーピッチは、横:約19mm、縦:約18mm、キーストロークは約1.1mmでした。やや浅めのキーストロークです。キートップはほぼフラットな感じです。
文字入力に使用する主要なキーのサイズはほぼ揃っていますし、「半角/全角」キーや、「Backspace」キーや、「Enter」キーのサイズも大きめで押しやすいです。ただし、「半角/全角」キーや、「\」キーはスリムなキーなので、押し間違えることがあります。総合的には、普通の打ちやすさのキーボードだと思います。Windows Copilotキーも備えており、AIアシスタント機能のCopilotをワンタッチで呼び出すことができます。
タッチパッドは大きめのサイズで使いやすいです。タッチパッドが大きいので、タイピングのときに手のひらが当たってマウスカーソルが意図せず動くのではないかと思いましたが、そんなことはありませんでした。ただ、ローテーブルに置いて、ソファーに座って操作するなど、少し前かがみになってタイピングする場合、手のひらに力が加わりやすいので、意図せずタッチパッドをクリックしてしまうかもしれません。
タッチパッドの左右と上部にはファンクションが割り当てられており、音量調整、動画の早送りと巻き戻し、明るさの調整などを行うことができます。
キーボードはイルミネートキーボードです。
パフォーマンスのチェック
Zenbook S 16 UM5606WAのパフォーマンスをチェックします。
本機器では、MyASUSアプリで動作モードを変更することができます。ここでは、デフォルトの「スタンダードモード」と、最も高いパフォーマンスが出る「フルスピードモード」で計測した結果を掲載します。
CPU
プロセッサーには、Ryzen AI 300シリーズのRyzen AI 9 HX 370を搭載しています。最新のAIプロセッサーです。簡単な仕様については、冒頭の特徴部分に記している通りです。
ベンチマークの結果は以下の通りです。
マルチコアおよびシングルコアとも、Core Ultra 7 155Hを超えるスコアが出ており、スリムタイプのノートPCとしては、高めの処理性能を備えています。
ただし、Ryzen AI 9 HX 370は、デフォルトTDP:28W、cTDP:15-54Wのプロセッサーですが、今回のチェックにおいては、18W~33W前後ぐらいで動作しており、CPU電力はそれほど高くありませんでした。
現在、Ryzen AI 9 HX 370を搭載したASUSの他のノートPCもテストしていますが、そちらは60WのCPU電力で動作し、CINEBENCH R23のマルチコアのスコアも、約1.5倍も高いスコアが出ていました。本機器は、Ryzen AI 9 HX 370としてはやや低めのパフォーマンスです。
~ CPU性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
なお、高負荷時のCPU電力、CPU温度は「パーツの温度のチェック」で記載しています。
メモリ
メモリはLPDDR5x-7500で、仕様からするとメモリ帯域は広いです。
グラフィックス
グラフィックスは、Ryzen AI 9 HX 370の内蔵グラフィックス「Radeon 890M」です。
ベンチマークの結果は以下の通りです。Core Ultra 7 155Hが内蔵する「Intel Arc GPU」の代表的なスコアとほぼ同じ数値が出ていました。CPU内蔵グラフィックスとしては高い性能を備えています。
軽いゲームや、FHD動画の編集なども行えるレベルです。
なお、動作モードを変更しても、ベンチマークスコアに大きな差はありませんでした。
~ グラフィックス性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
※グラフィックス名の横の括弧は、メモリの仕様
ストレージ
ストレージには、PCIe Gen4 SSDを搭載しており、高速です。
~ ストレージ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
SDカードスロット
フルサイズのSDカードリーダーを備えており、速度も高速でした。
クリエイターソフトの処理時間
各クリエイターソフトの処理時間を下に掲載します。ここでは、「フルスピードモード」で計測を行っています。
RAW現像の速度は速かったです。HシリーズCoreプロセッサーのCore i7-13620Hよりも速い書き出し速度でした。一度に100枚以上のRAW現像を行うような本格的な用途にも十分対応することができそうです。
※プロファイル補正、露光量+1、シャドウ+10、自然な彩度+10、ノイズ軽減+10を適用した100枚のRAWファイル(1枚あたり約45MB)を同じ書き出し設定でjpegに書き出し、所要時間を計測
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
ニューラルフィルターの「スーパーズーム」では、RTX 3050搭載機とほぼ同じ時間で処理を行うことができていました。GPUを使う処理は速いようです。
CPUで処理する「JPEGのノイズを削除」の処理も比較的速かったです。Photoshopでのフィルターを使った処理もある程度快適に行えると思います。
FHD動画の書き出し速度は速かったです。FHD動画のカットやテロップ入れなど、簡単な編集であれば、ある程度快適に行えます。
※ グラフィックスは全てノートPC用
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
DaVinci Resolve Studio 19 Betaによる書き出し時間です。こちらはCore Ultra 7 155Hよりも遅かったです
CPUのみで実行するx265エンコードですが、Core i7-13620H搭載機よりも速かったです。
ハードウェアエンコードも比較的速いです。
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
USB Type-C / HDMIの動作テスト
USB Type-Cの動作チェック
本機器では、USB4 Type-C(映像出力、本機への給電をサポート)を2ポート備えています。
ただ、今回、貸出機だったためか、奥側のUSB4ポートだけ、Thunderbolt3ドックが使えませんでした。手前側は問題なく使用することができました。
なお、本機への給電に関しては、45W出力のPD充電器でも充電できましたが、「低速ケーブル」の警告が表示されます。付属のACアダプターが65Wのものなので、PD充電器を使用する場合は、65W以上の出力があるものを選ぶといいと思います。
充電 | モニター 出力 |
有線LAN | ||
ドック | ThinkPad USB Type-C ドック | ○※3 | ○ | ○ |
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック | ○ | × | × | |
PD充電器 ※1 |
100W Anker PowerPort III | ○ | ― | ― |
65W Lenovo GaN充電器 | ○ | ― | ― | |
45W Lenovoウルトラポータブル | ○ ※3 | ― | ― | |
モニター ※2 |
EIZO ColorEdge CS2740 (4Kモニター) |
○ | ○ | ― |
充電 | モニター 出力 |
有線LAN | ||
ドック | ThinkPad USB Type-C ドック | ○※3 | ○ | ○ |
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック | ○ | ○ | ○ | |
PD充電器 ※1 |
100W Anker PowerPort III | ○ | ― | ― |
65W Lenovo GaN充電器 | ○ | ― | ― | |
45W Lenovoウルトラポータブル | ○ ※3 | ― | ― | |
モニター ※2 |
EIZO ColorEdge CS2740 (4Kモニター) |
○ | ○ | ― |
※2 Type-Cケーブルで接続し、PCへの給電も出来るモニター
※3 低速充電ケーブルであるとの警告が表示
HDMIの動作チェック
4KモニターへHDMIで接続したときの詳細です。4K、60Hz、YCbCr444で表示することができています。
なお、リフレッシュレートを120Hzにすると、色の形式がYCbCr420となり、間引かれた色での表示になってしまいます。
質量のチェック
Zenbook S 16 UM5606WAの質量のチェックです。
メーカー仕様値では「約1.5kg」となっています。当サイトの計測値は以下の通りで、仕様値とほぼ同じでした。ACアダプターも、小型で軽いです。16インチクラスのノートPCとしては軽く、持ち運びがしやすいです。
質量 | |
PC本体 | 1.518kg |
ACアダプター+電源ケーブル | 178g |
バッテリー駆動時間のチェック
Zenbook S 16 UM5606WAのバッテリー駆動時間のチェックです。
78Whの大容量バッテリーを搭載しています。
当サイトにて計測したバッテリー駆動時間は次のようになります。大容量バッテリーを搭載していることに加えて、省電力コアである「Zen 5c」コアを内蔵するプロセッサーになり、低負荷時の省電力性能が向上しており、バッテリー駆動時間は長めでした。動画再生のような負荷の軽い作業であれば、(2)ぐらいの時間のバッテリー駆動が可能です。また、少し負荷のかかる状態が連続するような場合でも、(3)のように長めの時間バッテリー駆動で使用することができるため、持ち出した先でもしっかり作業を行うことができます。ただし、作業内容や使用する場所の明るさなどによってバッテリー駆動時間は大きく左右されるので、ご了承ください。
バッテリー駆動時間 | |
(1) JEITA3.0(アイドル時) | 約15.0時間 |
(2) JEITA3.0(動画再生時) | 約10.7時間 |
(3) 動画編集ソフトでプレビュー再生 | 6時間44分 |
(3) Premiere Proで480x320の動画をプレビュー再生させたとき。画面輝度は約120cd/m2
Webカメラ・スピーカーのチェック
Webカメラ
207万画素のウェブカメラを搭載しています。自然な映りの画像でした。拡大して見ると、ややノイズがあるように感じる部分もありますが、ノートPCのウェブカメラとしては普通だと思います。
また、IRカメラを搭載しており、Windows Helloの顔認証にも対応しています。ただし、カメラを物理的に隠すプライバシーシャッターなどはありません。
スピーカー
スピーカーは、1W x4、0.8W x2のスピーカーが配置されています。合計6スピーカーを搭載しているだけあり、音質はよく、ノートPC基準で10点満点で7点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。
パーツの温度のチェック
Prime95実行時のCPU温度
Prime95で全CPUコアの使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU温度などの推移を確認します。
「スタンダードモード」では、CPU電力はデフォルトTDPとほぼ同じ28W前後でしばらく動作しますが、時間が経つと低下し、18W~24Wぐらいの間で変動しながら推移しています。このプロセッサーとしては、やや低めのCPU電力なので、CPU温度もほぼ70℃台に収まっており、問題のない温度です。
「フルスピードモード」では、CPU電力が少し上がり、33W前後で動作しています。10分程経過すると、CPU電力が徐々に低下し、29Wぐらいまで下がっています。CPU温度は、80℃前後を保っており、こちらも問題のない温度です。
どちらのモードでも、CPU温度を心配せずに使用することができるでしょう。少しでもパフォーマンスを高めたい場合は、「フルスピードモード」で使用するといいです。
静音性のチェック
Zenbook S 16 UM5606WAの動作音(静音性)のチェック結果です。
アイドル時はほぼ無音です。負荷をかけると騒音値は高くなりますが、エンコードのような高い負荷がかかる場合でも、同じような構成の他のノートPCよりも騒音値はやや低めです。
アイドル時 | 低負荷時 [YouTube再生] |
中負荷時 [動画編集] |
高負荷時 [エンコード] |
約20dB | 約25dB | 約36dB | 約37dB |
部屋を極力無音にしたときの騒音値:20dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
アイドル時:アイドル時
低負荷時:1080pのYouTube動画再生時
中負荷時:Premiere Proで、編集中の1080pの動画をプレビュー再生した時
高負荷時:TMPGEnc Video Mastering Works でエンコード(x265)した時
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。特に、手の平を置くパームレストの温度変化は重要です。
エンコードのような高い負荷がかかると、キーボード部の上部を中心に温度が上がりますが、パームレスト部の温度はそれほど変化していません。タイピング時でも不快に感じることはありませんでした。
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。
CPU電力がそれほど高くないこともあり、消費電力は低めです。
アイドル時 | 低負荷時 [YouTube再生] |
中負荷時 [動画編集] |
高負荷時 [エンコード] |
7W | 16W | 27W | 34W |
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています
外観のチェック
Zenbook S 16 UM5606WAの外観のチェックです。
洗練されたデザインのボディと、美しい表示の有機ELのディスプレイがマッチしており、見た目が非常にいいです。
ボディカラーは、スカンジナビアホワイトです。清潔感のあるライトなイメージで、万人受けする色だと思います。この他に、ズーマニアグレイというボディカラーもあります。
天板には、セラミックとアルミニウムを融合した、セラルミナム(ASUSが開発)を使用しています。強度が高く、手触りもいいです。ASUSのロゴを描くラインもかっこいいです。
ボディの高さは11.9~12.9mmとなっており、非常に薄いです。
インターフェースはご覧の通りです。USB3.2 Gen2 Type-A、USB4x2、HDMI、SDカードリーダーを備えています。
スリムなボディですが、ポート類も揃っています。外出先でも、カメラで撮った写真・動画をSDカード経由で取り込むことができるので、便利です。
ディスプレイの開く角度です。フラットにはなりませんが、机の上に置いて使う分には十分な角度です。
底面です。
裏蓋を開けると、内部はこのようになっています。バッテリーの占める面積が広いです。プロセッサーは、小型のファン2つで冷却しています。
ストレージには、Type 2280 M.2 SSDを搭載しており、冷却シートが貼られています。M.2 SSDの交換はできそうです。なお、空きのM.2スロットはないので、SSDの増設はできません。また、オンボードメモリなので、メモリの交換・増設にも対応していません。
ACアダプターは65Wです。コンパクトで、ケーブルもかさばりません。持ち運びも想定されているACアダプターのようです。
まとめ
以上が、ASUS Zenbook S 16 UM5606WAのレビューです。
AMDの最新プロセッサーである、Ryzen AI 9 HX 370を搭載した、次世代のAI PCです。
最大50 TOPSのNPUを内蔵しており、現時点のノートPC向けプロセッサーとしては最高クラスのAI性能を備えています。ただし、現状では、Ryzen AI 300シリーズのNPUを利用するソフトはほとんど無いため、AI性能を発揮するためには、ソフト側の対応を待つ必要があります。
本機器では、Ryzen AI 9 HX 370をやや低めのCPU電力で動作させていましたが、それでも、一般的なノートPCとしては高めの処理性能と、グラフィックス性能を発揮していました。RAW現像やFHD動画の書き出し速度は、ベンチマークの結果から予測するよりも速く、外出先でのクリエイティブな作業用として実用的なパフォーマンスを発揮していました。
ディスプレイには、2.8Kの有機ELディスプレイを搭載しています。高解像度・広色域で、非常に美しい表示が可能なので、画像・動画を綺麗な表示で見たり、ライトな編集作業を行うのに適しています。
性能や機能だけでなく、デザイン性の高いボディも大きな特徴となっています。シンプルで、無駄のないデザインで、高級感があります。天板には、ASUSの開発したセラルミナムを採用し、堅牢性を高めつつ、触った時の質感もいいです。
また、高さが約11.9~12.9mmと非常に薄いのも特徴的です。さらに、16型ノートでありながら、質量が約1.5kgと軽いので、移動がしやすいです。78Whの大容量バッテリーを搭載していることもあり、大きな画面で、長時間バッテリー駆動状態で作業を行うことができるでしょう。
さらに、無線LANは、最新のWi-Fi 7に対応しています。
人前で作業をすることが多い方など、一つ先を行く、最新のノートPCが欲しい方におすすめの機種です。
Ryzen AI 9 HX 370搭載の超薄型PC
ASUS Zenbook S 16 UM5606WA
特徴
- 最大50 TOPSのNPU内蔵のRyzen AI 9 HX 370を搭載
- 非常に薄く、16型の割に軽いボディ
- 2.8K有機ELディスプレイ
こんなあなたに
- 機能や性能に加えて、デザイン性を重視する方
- 最新のAI PCを一早く入手したい方
- 価格31万円台[税込]~
パソコンやガジェット好きが高じて、パソコンメーカーや家電量販店などのパソコン訪問サポートを行うようになる。最近では、飼っているハムスターやカナヘビに癒されたり、ベランダで作っているトマトやヘチマの成長を見て喜んだりしている。子どもとマイクラをすると、画面酔いするようになり、年を感じる今日この頃。
2018年頃から、the比較の記事執筆に参加。
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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