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VAIO F16の実機レビュー
CPU | Core i3-1315U Core i5-1334U Core i7-1355U |
---|---|
メモリ | 8GB ~ 32GB |
ストレージ | 256GB ~ 1TB SSD |
液晶サイズ | 16.0型 |
液晶種類 | 1920x1200 非光沢 |
質量 | 約1.65kg |
バッテリー | 約16.0時間 |
価格[税込] | 13万円台~ ※ |
※VAIOストアでの価格
VAIO F16は、新定番を目指して開発された16型ホームノートPCです。
最新の第13世代Core (U)と、画面比16:10の16型液晶を搭載し、一般用途で快適に使用できます。16型ノートの割に比較的軽いので、移動や収納がしやすいです。
VAIOの中では安い機種ですが、デザイン、質感、使いやすさなどに、VAIOらしいこだわりをちゃんと感じます。
毎日使うものだからこそ、あまりにも安いPCではなく、ある程度の品質が保たれたノートPCを使いたいというユーザーに適しています。
レビュー機はメーカーからの貸出機です。今回は次の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Core i7-1355U、32GBメモリ、1TB PCIe SSD
目次
お忙しい方は、「VAIO F16の特徴」のみお読みください。
VAIO F16の特徴
日常用途にちょうどいい16型ホームノートPC
VAIO F16は、使い勝手の良さと、VAIOらしい質の良さをキープしつつ、入手しやすいように価格を抑えた、日常用の定番ノートPCを目指した機種です。
VAIO SXシリーズのようなハイエンドの製品ではありませんが、第13世代Core (U)と、少し大きめの16型WUXGA液晶(1920x1200)を搭載し、ウェブ閲覧、Officeでの作業など一般的な用途にちょうどいいです。しかも、質量は約1.65kg(仕様値)と比較的軽いので、宅内での移動や収納が楽に行えます。
毎日使うからこそ、ちょっと質がいい機種を使いたいというユーザーにおすすめです。
ちょっといい作りで快適に使える
もう少し、VAIO F16のちょっといい作りや、使いやすい部分を紹介したいと思います。
VAIO F16では、パームレスト部にアルミ合金素材を採用しています。見た目や質感がよく、耐久性の点でも優れています。
ウェブカメラにはプライバシーシャッターが付いており、物理的にカメラをON・OFFすることができます。また、IRカメラと、電源ボタンに統合された指紋センサーを搭載しており、顔認証・指紋認証の両方が使用できます。例えば、電源ボタンを1度押すだけで、Windowsへのログイン認証まで済み、すぐにパソコンを使い始めることができ、便利です。
その他に、カメラやマイクの機能など、細かい部分でも使いやすさにこだわっています。オンラインミーティングや、テレワークなどにも使いやすいと思います。
用途に合った構成が選べる
VAIO F16のメモリはオンボードなので、購入後にメモリの増設や換装を行うことはできません。長く快適に使用するために、用途に合わせて、ゆとりのある構成を選んでおくといいでしょう。
VAIOストアでは、下の画像のように、CPU、メモリ、ストレージ容量の異なる8つの構成が準備されています。ある程度快適に使いたい方には、Core i5-1334U、16GBメモリの構成がおすすめです。
不足のないポート類
VAIO F16は、下図のようなポート類を備えています。
フルサイズのUSBはもちろん、Power DeliveryとDisplayPortに対応したUSB-Cポートや、LANポート、microSDカードリーダーも備えており、不足を感じることはほとんどないでしょう。
VAIOオリジナルデザインのマウス
VAIO F16と一緒に、VAIOオリジナルデザインのワイヤレスマウスを購入することができます。ホームノートPCとして使用する場合、外付けマウスがあると操作がしやすいです。VAIOにフィットするデザインのマウスを、通常価格より安く購入できるので、特にこだわりのマウスがなければ、おすすめです。なお、VAIOストアではデフォルトで、「マウス あり」になっているので、不要な場合は「マウス なし」を選択しましょう。なお、マウスにサイドボタンはありません。
少し気になる部分
VAIO F16は、比較的見やすく、一般的な作業がしやすい16型液晶を搭載していますが、当サイト計測でsRGBカバー率61.5%と、色域は狭かったです。そのため、色鮮やかさという点ではやや劣ります。
また、HDMIで映像出力した場合、4K、60Hzで表示できますが、色の形式がYCbCr420となっていました。色が間引かれるので、画質が少し悪くなります。あえて挙げるとすると、この当たりがやや残念な部分でした。
各用途の快適度
VAIO F16の各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧 Office作業 |
◎ | 第13世代Core (U)と、画面比16:10の16型液晶で、快適に作業をすることができます。 |
---|---|---|
動画鑑賞 | ○ | 液晶の色鮮やかさ、サウンドのどちらも普通です。映像やサウンドにこだわらなければ、普通に動画鑑賞することができます。 |
オンライン会議 | ○ | カメラ、マイク、スピーカーを搭載しており、普通にオンライン会議に参加できます。ただし、スピーカーの音質やウェブカメラの画質は普通です。 |
RAW現像 画像編集 |
△ | 液晶の色域が狭いので、画像編集などにはあまり向いていません。 |
動画編集 | △~○ | Core i5、16GBメモリ以上の構成であれば、FHD動画のライトな編集であればできると思います。ただし、動画編集を頻繁にするなら、GeForce RTXシリーズなどの外部グラフィックスを搭載したPCがおすすめです。 |
ゲーム | △ | 軽いゲームならグラフィック設定を下げることで、できるものもあると思います。ただし、ゲームメインであれば、ゲーミングノートで紹介している製品がおすすめです。 |
ディスプレイのチェック
VAIO F16のディスプレイのチェックです。
最近増えている、画面比16:10のWUXGA(1920x1200)液晶です。ホームノートPCとして標準的な15.6型のFHD液晶よりも、縦のドットが少し多くなっています。非光沢で、フリッカーも発生しておらず、比較的見やすい液晶です。色域は狭いですが、ウェブ閲覧や、Officeソフトでの作業など、一般的な用途にちょうどよく、作業がしやすい液晶だと思います。最大輝度は、当サイトの計測では303cd/m2と普通です。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 映り込み・
ギラつき - フリッカー
キーボードおよびタッチパッドのチェック
VAIO F16のキーボードのチェックです。
実測で、キーピッチは、横:約19mm、縦:約18.5mm、キーストロークは約1.5mmです。ノートPCのキーボードとしては標準的な数値です。キートップはわずかにカーブしています。
「半角/全角」キーはややスリムですが、文字入力に使用するキーのサイズは揃っています。「Enter」キーはサイズが大きいですし、「スペース」キーの並びのキーは、横幅は短いものの、縦に少し長く、押しやすいです。静音キーボードなので、タイプ時の音もあまりうるさくありません。4列テンキーが付いており、数字の入力もしやすいです。
タッチパッドの使いやすさは普通です。
パフォーマンスのチェック
VAIO F16のパフォーマンスのチェックです。
VAIO F16では、「VAIOの設定」というアプリの「CPUとファン」で動作モードを変更することができます。ここでは、デフォルトの「標準」と、高いパフォーマンスが出る「パフォーマンス優先」で計測したベンチマークの結果を掲載します。
CPU
VAIO F16は、第13世代CoreのUシリーズプロセッサーを搭載しています。PBP(プロセッサーベース電力:15WのCPUで、選択できるのは、Core i3-1315U、Core i5-1334U、Core i7-1355Uです。
今回は、最上位となるCore i7-1355U搭載モデルをチェックしており、ベンチマークの結果は以下の通りです。
「標準」モードでは15W前後、「パフォーマンス優先」のモードでは、17W前後のCPU電力が出ていました。PBPとほぼCPU電力が出ており、どちらのモードもまずまずのベンチマークスコアでした。
一般的なホームノートPCとしては十分な処理性能です。
~ CPU性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
なお、高負荷時のCPU電力、CPUクロック、CPU温度は「パーツの温度のチェック」で記載しています。
メモリ
メモリはLPDDR4Xを搭載しています。オンボードメモリなので、メモリの増設・換装はできません。
~メモリ性能の評価 ~
Sandra 2020が落ちてしまい、メモリ帯域の計測はできませんでした。
グラフィックス
グラフィックスは、CPU内蔵グラフィックスで、ベンチマークのスコアは以下のとおりです。
Uシリーズのプロセッサーとしては、比較的高めのスコアが出ています。ファミリームービー(FHD動画)の簡単な編集などにもある程度使えそうです。
~ グラフィックス性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
ストレージ
ストレージには、PCIe Gen3 SSDを搭載しています。シーケンシャルライトがやや遅いですが、一般的な用途であれば十分な速度でしょう。
~ ストレージ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
SDカードスロット
VAIO F16は、microSDカードスロットを搭載しています。読み込み速度は遅いです。
USB Type-C / HDMIの動作テスト
USB Type-Cの動作チェック
VAIO F16は、Power Delivery、DisplayPortに対応したUSB-Cポートを1つ備えています。今回試した結果は下表のとおりです。
USB-Cアダプターでの充電に関しては、出力が30Wのものも使用できましたが、低速充電器の警告が表示されました。USB-Cアダプターを使用する場合は、45W以上の出力があるものがいいと思います。
充電 | モニター 出力 |
有線LAN | ||
ドック | ThinkPad USB Type-C ドック | ○ | ○ | ○ |
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック | ○ | × | × | |
PD充電器 ※1 |
61W RAVPower GaN充電器 | ○ | ― | ― |
45W Lenovoウルトラポータブル | ○ | ― | ― | |
30W RAVPower GaN充電器 | △※3 | ― | ― | |
18W cheero充電器 | × | ― | ― | |
モニター ※2 |
EIZO ColorEdge CS2740 | ○ | ○ | ― |
※2 Type-Cケーブルで接続し、PCへの給電も出来るモニター
※3 低速充電器であるとのメッセージが表示
HDMIの動作チェック
4KモニターへHDMIで接続したときの詳細はご覧の通りです。4K、8ビット、60Hzで出力できていますが、色の形式がYCbCr420となっていました。
質量のチェック
VAIO F16の質量のチェックです。
メーカー仕様表では、「約1.65kg」となっています。当サイトによる計測結果は以下の通りで、メーカー仕様値よりも軽めでした。16型ノートPCとしては比較的軽く、取り扱いがしやすいです。
質量 | |
PC本体 | 1.565kg |
ACアダプター+電源ケーブル | 221g |
バッテリー駆動時間のチェック
VAIO F16のバッテリー駆動時間のチェックです。
バッテリー容量は約51Whでした。普通のバッテリー容量だと思います。
バッテリー駆動時間は下の通りです。
当サイトでは、CPU17%、GPU7%ぐらいの負荷が常時かかる処理を実行し、バッテリー駆動時間を計測してみました。この時のバッテリー駆動時間は5時間59分でした。複数のアプリを立ち上げて、少し負荷のかかる作業を連続して行うと、このくらいの駆動時間になると思います。動画視聴のような負荷が軽めの作業であれば、バッテリー駆動時間はもう少し長く、(2)に近い時間になると思います。
宅内で使う場合は、常時ACアダプターをつながなくても、バッテリー駆動でもある程度の時間使用できそうです。
なお、(1)のJEITA2.0 のような駆動時間は、かなり負荷が低く、画面輝度も低くしないと難しいです。
4K液晶 | |
(1) JEITA2.0 | 約16.0時間 |
(2) 動画連続再生 (VAIO調べ) | 約9.5時間 |
(3) CPU17%、GPU7%の負荷 | 5時間59分 |
(1) メーカー公表値
(2) メーカー公表値。1920x1080動画再生時
(3) Premiere Proで480x320の動画をプレビュー再生(リピート)させたとき
当サイトで計測した1時間あたりの充電容量は次の通りで、普通の充電速度です。
Webカメラ・スピーカーのチェック
Webカメラ
Webカメラには、プライバシーシャッターが付いています。カメラの操作がよく分からなくても、物理的にシャッターを閉じることで、カメラをOFFにすることができます。なお、IRカメラを搭載しており、Windows Helloの顔認証が使用できます。
Webカメラは、約92万画素のHDカメラです。ノートPCのWebカメラとしては標準的な性能です。
スピーカー
スピーカーは、底面の手前側に配置されています。音質は普通です。ノートPC基準で点数を付けると、10点満点で5点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。
パーツの温度のチェック
Prime95実行時のCPU温度
Prime95で全CPUコアの使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU温度およびCPU電力の推移を確認します。
「標準」モードでは、CPU電力は15W前後で落ち着き、そのまま推移しています。CPU温度は70℃前後と問題のない温度です。
「パフォーマンス優先」モードでは、CPU電力が少し上がり、17W前後で推移しています。CPU温度は70℃前後で落ち着いており、「標準」モード時とほぼ同じです。
どちらのモードでも、CPU温度は低めに抑えられており、心配なく使用できます。
- 標準
- パフォーマンス優先
静音性のチェック
VAIO F16の動作音(静音性)のチェック結果です。
アイドル時はほぼ無音です。負荷がかかると動作音がしますが、他のホームノートPCと比べても、同じかやや低めの騒音値です。
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。
負荷がかかる場合でも、キーボード面の表面温度は低めです。パームレスト部の温度にもほとんど変化がなく、タイピング時でも不快に感じることはありません。
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。
モバイル向けのUシリーズプロセッサーなので消費電力は低めです。
外観のチェック
VAIO F16の外観のチェックです。
狭額縁の16型液晶を搭載しており、見た目がいいです。パームレスト部にはアルミ合金を使用しています。VAIOらしい質感の良さは健在です。
今回は、サテンゴールドのボディです。この他に、ネイビーブルー、ウォームホワイトのカラーを選択することができます。
天板には、「VAIO」のロゴが入っています。
閉じた状態です。厚みは16.6~19.9mmです。
側面のポート類はご覧の通りです。USB3.0 Type-A x3、USB3.1 Type-C(Power Delivery、DisplayPort対応)、HDMI、LAN、microSDカードリーダーを備えています。ポートの数・種類は充実しています。
電源ボタンには指紋センサーが統合されており、Windows Helloの指紋認証が使用できます。
液晶面は約180度開き、フラットになります。
底面には吸気口などは設けられておらず、フラットです。
ちなみに、液晶面に隠れている背面部から吸気し、左側面の排気口から排気することで冷却しています。
ACアダプターは65Wです。コンセント側のケーブルが太くないので、収納もしやすいです。
まとめ
以上がVAIO F16のレビューです。
VAIOが新しい定番ノートPCを目指して開発した新機種です。
画面比16:10の16型液晶を搭載した、VAIOシリーズでは最も大きいサイズの液晶で、ウェブ閲覧や、Officeソフトでの作業など、一般的な用途に快適に使用することができます。16型サイズですが、質量は約1.65kgと比較的軽いので、宅内での移動や収納などがしやすいです。
CPUには最新の第13世代Core (U)を搭載しています。処理性能が際立って高いわけではありませんが、ホームノートPCとしては十分な性能です。
「13万円台~」と、VAIOシリーズの中では価格が安いのもポイントです。キャンペーンなどのクーポン適用時はもう少し安くなります。それでも、デザイン、質感の良さ、使いやすさなどにしっかりVAIOらしさを感じます。例えば、アルミ合金を使用したパームレスト部、顔認証・指紋認証に対応、不足のないポート類など、細かい部分にも配慮がなされています。
毎日使うものだからこそ、ちょっといいノートPCを使いたいという方にぴったりだと思います。
なお、作業がしやすい液晶ですが、色域が狭いのが少し残念でした。ここは、普段使いのために割り切って省かれている部分だと思います。
定番を目指すVAIOのホームノート
VAIO F16
特徴
- 16型WUXGA液晶で一般的な作業がしやすい
- 「13万円台~」とVAIOシリーズとしては安い
- デザイン・質感・機能が比較的良い
こんなあなたに
- 家庭で使うホームノートPCが欲しい方
- デザインや質感もこだわりたい方
- 価格13万円台[税込]~
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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