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レノボ ThinkPad Helixの実機レビュー

更新日:2013年6月8日

Core i プロセッサー搭載の分離型タブレット

ThinkPad Helixは、タブレットとキーボードが分離する11.6型液晶搭載のハイブリッド・タブレットPCです。

このような製品はAtomプロセッサーを搭載している場合が多いのですが、本製品はCore iプロセッサーを搭載し、処理性能が高いです。またCore iプロセッサーを搭載している割にはバッテリ駆動時間も十分にあります。

デジタイザーペンを選択することも可能で、Windowsアプリの小さなボタンでも、正確に押すことが可能です。

フルHDのIPS液晶を採用し、画面も綺麗です。

メーカーサイト:レノボ 公式サイト

※レビュー機はメーカーからの貸出機です

目次

ThinkPad Helixの基本スペック

ThinkPad Helixの基本スペックをチェックします。特徴的な部分は赤字にしています。※2013年6月6日時点の情報です。時期が経つと選択できるパーツは異なる可能性があります。詳細はメーカーサイトでお確かめ下さい。

CPU
末尾Uの低電圧版CPUを選択可能です。本機はCore i7-3667Uです。  
グラフィックカード
CPU内蔵(インテル HD グラフィックス 4000)です。
液晶ディスプレイ
11.6型ワイド(1920x1080)の光沢液晶です。タッチパネル対応です。
メモリ
選択式です。メモリスロットは1つ(オンボード)です。本機は8GBです。
ハードディスク/SSD
単体SSDを選択できます。本機は180GB SSDです(現在選択不可)。
光学ドライブ
非搭載です。
 
バッテリ駆動時間
タブレット本体で約7~8時間、キーボードドック装着時で約10時間です(JEITAによる計測)。実測値は後述します。
テレビチューナー
非搭載です。
 

各形状での操作性のチェック

ThinkPad Helixは、タブレット部分とキーボードドック部分を分離することができるハイブリッド・タブレットPCです。ここでは各形状での使い勝手をチェックしていきたいと思います。

ノートPC形状でキーボード操作してみる


キーは打ちやすい

小型&薄型の割には十分なキーピッチ&キーストロークが確保されており、キーボードは打ちやすいです。トラックポイントも搭載しているため、入力操作は快適です。ただし、後述しますが、トラックポイント用のクリックボタンがタッチパッドと一体型となり、以前よりはやや使いづらくなったと感じます(個人差はあると思います)。

液晶はIPSパネルを搭載し視野角が良く、色も青白くなく、画面は見やすいです。

11.6型にフルHD液晶だと文字が小さいため、通常は"テキストやその他の項目の大きさ"を拡大して使います。

ノートPC形状でタッチ操作してみる


普通に使えます

液晶がそれほど傾かないので、指でタッチしても、液晶が極端に傾いたり、大きく揺れたりすることがなくタッチしやすいです。

よほど強く押さないと、本体ごと倒れることもありません。

タブレット形状で持ってタッチ操作してみる


右手がやや熱くなります

タブレット形状で手で持って使用した場合、右手の指が触れる部分がやや熱く感じます。

また、重量が最小構成で約785g、最大構成で約835gと、ピュアタブレットと比較した場合、やや重いです。

ただし、キーボードと一体となったコンパーチブル型のハイブリッド・タブレット(ThinkPad Twistなど)と比較すると軽いです。

裏面は滑りにくい素材で持ちやすいとは思います。

 

タブレット形状で机に置いてタッチ操作してみる


視野角は良いですが映りこみはあります

スタンドとして使用可能

ThinkPad Helixは、IPS液晶を搭載しているため、本体をテーブルの上に置いて、少し斜めから見ても、画面が見やすいです。ただし、光沢液晶であるため、画面への映り込みがあります。

また、2枚目の画像のように、タブレットを裏返してキーボードドックへ接続すれば、キーボードドックをスタンド代わりに使うことができます。

変形(着脱)のしやすさ


着脱は簡単

キーボードドックから、タブレット本体を分離するときは、液晶下のボタンを押して、タブレットを引き抜くだけです。割と簡単に外すことが可能です。

装着するときも、タブレット本体を押しこむだけで大丈夫です。

特徴1 - セパレート型としては高スペック

タブレットとキーボードが分離するセパレート型のWindows PCは、他にもいくつかありますが、多くの機種はAtomのCPUを搭載し処理性能が劣ります。

一方、ThinkPad Helixは、末尾がUのCore i プロセッサーを搭載しており、Atomとは処理性能に雲泥の差があります。しかも、メモリは最大8GB、ストレージは最大500MB/s近い速度が出るSSDを搭載可能です。

下図は他のセパレート型のハイブリッド・タブレットPCの比較表です。クリックしてご覧ください。別ページに飛びます。


セパレート型のハイブリッド・タブレットPCの比較(上の画像をクリック)

特徴2 - デジタイザーペン対応

本製品はデジタイザーペンを選択することができます。

Windowsアプリは元々マウスで操作するように設計されているため、リンクやボタンが小さめに出来ています。特にフルHD液晶であるため"テキストやその他の項目の大きさ"を100%で使用している場合、文字がとても小さいです。Webページなど、この小さな文字を指でクリックするのは至難の技です。

一方、デジタイザーペンを使えば、正確にクリックすることができます。多少、ポイントしたところと、実際に反応したところがずれる部分もありますが、クリックやドラック程度の作業ならば、なんら問題ないでしょう。ただし、絵を描こうと思っている方には、やや不満もあるかもしれません。

なお、デジタイザーペンは選択式となっています。使いたい方はカスタマイズ画面にて、必ず選択するようにして下さい。後でペンだけ購入しても本体側が対応していません。


小さいリンクやボタンもペンなら正確にクリック可能


デジタイザーペンは非常に軽い


本体へ収納可能

Webページを見る

タブレットのみで使用するとき、Webページ閲覧用途で用いることが多いと思うため、Webページ閲覧時の快適性をチェックしました。

比較的解像度が高く、画面自体も大きいため、画面を縦長にしても見やすいです。

下図は、本機の画面(11.6インチ、1920x1080)と、ThinkPad Tablet 2の画面(10.1インチ、1366x768)を見比べた画像です。本機のほうがドットが小さく文字が見やすいのがわかります。


縦長画面で、当サイトを閲覧したときの文字の綺麗さ
左:ThinkPad Helix、右:ThinkPad Tablet 2

 

次に、Windows ストアアプリのInternet Explorerのベンチマーク結果を掲載します。

PEACEKEEPER

PEACEKEEPERにおいて、標準的なスコアは「タブレット端末では374」とあります。一方、ThinkPad Helixはタブレットであるにも関わらずCore iプロセッサーを搭載しているため、スコアは「1691」と非常に高いです。ブラウジングは快適です。


PEACEKEEPER(Futuremark社)・・・Webブラウザベンチマークテスト

Octane

次は、JavaScriptのベンチマークの実行結果です。こちらも非常に高いスコアです。


Octane(Google社)・・・ JavaScriptベンチマークツール

テレビを観る

タブレットでテレビを視聴する方法の紹介と、実際に動作検証した結果を掲載します。

PIX-BR320を使ってテレビ視聴

ピクセラ製「PIX-BR320」を使用して、テレビ視聴できるかを試しましたが問題ありませんでした。

この製品を使用すれば、タブレットにテレビケーブルなどを接続しなくても、ワイヤレスでテレビを視聴できます。ただし、タブレットの無線接続先をPIX-BR320にして、PIX-BR320から有線でインターネットへ接続するという配線方法になります(他の接続方法についてもありますが、これが最もオーソドックスな方法です。詳細はメーカーサイトをご確認ください)。


ピクセラ製のPIX-BR320を使ってテレビ視聴可能

その他のテレビ視聴方法

この他に”ワイヤレス”でタブレットからテレビを視聴する方法としては次が考えられます。

nasne + DTCP-IPクライアントソフト

nasneで録画や配信を行います。タブレットにはDTCP-IPソフトのDiXiM Digital TV plusなどをインストールします。試しましたが、録画番組の再生はできたのですが、ライブ視聴が途中で中止するトラブルが出ました。ただし、他の環境では正常に動くかもしれません。

ブルーレイレコーダー + DTCP-IPクライアントソフト

DTCP-IP対応のブルーレイレコーダーで録画や配信を行います。ただし、ライブ視聴できるレコーダーは限られています。こちらも非検証です。

.net USB 無線LANルーター + 外付けUSBテレビチューナー

USB機器ならなんでもワイヤレス化できるI/O DATA製.net USBという機能を搭載した無線LANルーターと、外付けUSB型のテレビチューナーを使います。こちらも非検証です。

電子書籍を読む

タブレットは、電子書籍を読む目的でもよく使用されるため、小説、マンガ、雑誌を購読してみました。

小説、マンガは快適に読めます。雑誌は画面を縦長にして単一ページを表示させたときは普通に読めます。ただし、横長にして見開き表示させたときはやや見にくいです。

また、どの書籍にも共通して言えるのですが、最近のWindowsパソコンの画面アスペクト比は16:9とかなり横長であるため、多くの書籍は左右または上下に余白ができてしまいます。画面が無駄になっているのでもったいないです。


Adobe Reader XIで雑誌(PDFファイル)を表示

キーボードとタッチパッドのチェック

キーボードドック部分のチェックです。

キーボードは、ThinkPadブランドだけあり、非常に打ちやすいです。

キーピッチの実測値は、横:約18.5mm、縦:約18mmです。キーストロークも約1.8mmあります。キートップは大きく湾曲しており、滑りにくい素材です。

最上段のキーが、3~5個毎に分離スペースができたので、ボタンを見つけやすくなりました。カナ変換などにF7~F10を使う人は探しやすくなったと思います。また矢印キーが大きくなり、他のキーよりも少し下に配置されるようになりました。これは喜んでいるユーザーも多いと思います。


キーボード全体図


キーの拡大図1


キーの拡大図2

トラックポイント用のクリックボタン(タッチパッド上段のボタン)が、タッチパッドと一体型になりました。この影響で、右手の親指が右クリック部分に触れている状態で左クリックすると、右クリックと誤認してしまいます。私の操作方法が悪いのかもしれませんが、右手の人差し指でトラックポイントを操作していると、右手の親指が右クリックボタンにどうしても触れてしまい、このとき左手で左クリックすると誤認する場合が多いです。

また、中央ボタンがやや固いので、このボタンを押しながらトラックポイントを上下させて、画面をスクロールさせるときに、やや動かしづらいです。

なお、トラックポイント用ボタンとして認識されるサイズは変更することが可能です(下図の2枚目参照)。

タッチパッド用クリックボタンは、押しやすく普通に操作可能です。


タッチパッド


トラックポイントの設定

液晶ディスプレイのチェック

液晶ディスプレイのチェックです。

IPS液晶を搭載し、ガンマ曲線も1:1の直線的で、見やすい液晶だと思います。

 

以下、詳細です。

視野角は広いです。


視野角(斜めから見たときの見やすさ)

 

カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線を確認すると、どの色もほぼ直線的で、ほぼ補正がありません。ノートPCの中では(色域の範囲内での)色再現性は高いです。


ガンマ補正曲線
※ i1Display Proで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2
※見方の詳細については、miyahan.com様、DOS/V Power Report様のページをご確認ください

 

色域はノートパソコンの中では、普通の広さです。


 

液晶にはゴリラガラスを採用しており、強度はかなり高いです。ドライバーでたたいても割れません。よほどのことがない限りガラスは割れないと思います。


コーニング社のゴリラガラスを採用。

 

下図の左は画素形状です。シンプルな形です。下図の右は、ピントを少し手前に合わせたときの写真です。斜めにワイヤーのようなものが見えます(ゴリラガラスのため?今回初めて気付きました)。この影響で実際の画面も、近くで見ると、やや斜めの線が見えます。ただし、普通の距離で見ればほとんど気にはなりません。


パフォーマンスのチェック

冒頭で記載しましたが、ThinkPad Helixは、通常にタブレットで多く用いられているAtomやTegraとは違い、Core iシリーズのCPUを搭載しているため、プロセッサーの処理性能はタブレットの中ではかなり良いです。メモリも最大8GB搭載可能で、SSDも高速です。

Core i7-3667U、8GBメモリ、180GB SSD(現在選択不可)の構成でのベンチマーク結果を、下記に掲載します。

Windows エクスペリエンス インデックス

PassMark Performance Test 8.0

3DMark


※ ICE STORM:Direct 9相当ベンチ、CLOUD GATE:Direct 10相当ベンチ、FIRE STRIKE:Direct 11ベンチ

動画のエンコード時間のチェック


ペガシス TMPGEnc Video Mastering Works 5

ペガシス TMPGEnc Video Mastering Works 5 による動画のエンコード時間のチェックです。

プロセッサーはCore i7-3667Uです。

Atomプロセッサーで同じ処理をすると、数時間かかりますが、本機搭載のCore i7-3667Uなら、下の表の時間で終わります。

ただし、4コアのCore i7よりは遅いエンコードです。

TMPGEnc Video Mastering Works 5 によるエンコード時間
  Core i7-3667U
x264でエンコード 33分45秒
クイック・シンク・ビデオでエンコード 14分27秒
AVCHDの動画(ファイルサイズ:1.54GB、再生時間:約13分、解像度:1920x1080)を、
iPhone 4で視聴可能なMPEG-4 AVC(解像度:1280x720)へ変換

重量のチェック

重量のチェックです。

本製品は、構成によって重量が変わります。

ThinkPad Helixの重量(メーカーサイトから抜粋)
  構成 重量
タブレット本体 WiFi(最小構成) 約785g
WiFi, Bluetooth 約787g
WiFi, Bluetooth, タブレット・ペン対応 約833g
WiFi, Bluetooth, NFC, タブレット・ペン対応 約835g
キーボードドック装着時 WiFi(最小構成) 約1.61kg
WiFi, Bluetooth 約1.61kg
WiFi, Bluetooth, タブレット・ペン対応 約1.65kg
WiFi, Bluetooth, NFC, タブレット・ペン対応 約1.65kg

 

本機は、全部入り(WiFi, Bluetooth, NFC, タブレット・ペン対応の構成)です。この構成で重量を実測した結果は次の通りです。タブレットのみの重量は、他のピュアタブレットと比較してやや重いです。また、タブレット+キーボードドックの重量も、他のウルトラブックと比べるとやや重いです。ACアダプターは標準的な重さです。


重量の実測結果

薄さのチェック

薄さのチェックです。実測した結果を掲載します。

タブレットのみの薄さは約11.5mmで、タブレット+キーボードドックの薄さは約23mmでした。普通のノートパソコンよりは薄いです。ただしウルトラブックとして見た場合は標準的な薄さです。また、ピュアタブレットと比較した場合も、標準的な薄さだと思います。


薄さの実測結果

バッテリ駆動時間のチェック

バッテリ駆動時間のチェックです。

ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を再生させてバッテリ駆動時間を計測しました。輝度は中間値です。

Atomプロセッサーを搭載した製品と比較するとバッテリ駆動時間は短いです。ただし、Core iプロセッサーを搭載したパソコンとしては頑張っていると思います。特に、タブレット+キーボードドックのバッテリ駆動時間は、一般的なウルトラブックよりも長いです。


動画再生時のバッテリ駆動時間の実測値

PC起動・シャットダウン時間のチェック

PCの起動・シャットダウン時間の計測結果です。

高速なSSDを搭載しているため、起動・シャットダウン時間が短いです。

PC起動時間など
テスト内容 時間
PC起動時間 約11秒
PCシャットダウン時間 約7秒
PC起動時間は、ハイブリッドブート時の時間。電源ボタンを押してからタイル画面が表示されるまでを計測

CrystalDiskMarkのベンチマーク

本機搭載のSSDのCrystal DiskMarkのベンチマーク結果は次の通りです。高速です。


ストレージのベンチマーク結果

 

 


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