レノボ ThinkPad E585 の実機レビュー

更新日:2018年8月13日
APU AMD Ryzen 3 2200U
AMD Ryzen 5 2500U
AMD Ryzen 7 2700U
メモリ 最大32GB
ストレージ PCIe SSD / HDD
[デュアルドライブ可]
液晶サイズ 15.6型
液晶種類 HD 非光沢
FHD IPS 非光沢
質量 約2.1kg
価格 5万円台~(税込)
コスパが高く、キーが打ちやすい

ThinkPad E585は、AMD Ryzenのプロセッサーを搭載することで価格を抑えた、コスパの高い15.6型ノートPCです。

多くのPCに採用されているインテル第8世代Coreプロセッサー(Uシリーズ)を搭載したPCよりも価格が安く、キーボードも打ちやすく、一般的な作業(Web閲覧やオフィスの使用など)であれば、快適に作業ができることでしょう。

ただし、消費電力が高いなど、いくつか注意点もあります。

ここでは、インテルCPUを搭載した兄弟機種のThinkPad E580と比較しながらレビューしていきます。

公式サイトはこちら

 

レビュー機は、当サイトの購入品です。今回は次の構成でレビューをしています。

レビュー機の構成

AMD Ryzen 5 2500U、8GBメモリ、128GB PCIe SSD、FHD IPS液晶

目次

お忙しい方は、「ThinkPad E585の特徴」のみお読みください。

ThinkPad E585の特徴

Ryzen モバイルを搭載し高いコストパフォーマンス

ThinkPad E585は、AMD Ryzen モバイル・プロセッサーを搭載し、インテル Core プロセッサー搭載PCよりもコストパフォーマンスに優れた製品です。

まず、プロセッサーの性能から確認します。下図はCINEBENCHのスコアで、ThinkPad E585で搭載できるCPUのみ色が付いています。スコアを見ると、例えば、Ryzen 5 2500Uは、インテルのCore i7-8550Uとほぼ同じす。

CINEBENCH R15 マルチコア(海外サイトからの引用)
Ryzen Mobileのスコアはnotebookcheckのサイトからの引用

 

続いて、Ryzen 5 2500U搭載のThinkPad E585と、Core i7-8550U搭載のThinkPad E580の価格を比較してみます。プロセッサー以外の構成は同じにしています。表を見ると、Ryzen 5 2500U搭載のThinkPad E585のほうがかなり安いことが分かります。

このように、性能はほとんど変わらないのに、価格は安くなっており、非常にコスパが高いことが分かります。

ThinkPad E585とE580の価格比較
  ThinkPad E585
Ryzen 5 2500U
ThinkPad E580
Core i7-8550U
価格[税込] 82,620円 108,119円
※どちらも8GBメモリ、256GB PCIe SSD、FHD液晶、Officeなしで統一
※2018年8月12日時点

 

ただし、「パフォーマンスのチェック」のところで詳細は記載しますが、他のベンチマークや、実際のソフトを使ったエンコード時間は、Ryzen 5 2500UよりCore i7-8550Uのほうが良かった(速かった)りします。そのため、Ryzen 5 2500Uのほうが絶対的にコスパが良いかと言えば、そうとも言えず、使うソフトによるところもあります。

 

グラフィック性能も高いが、やれることはそれほど変わらない

続いて、グラフィック性能も比較します。Ryzen 5 2500Uに搭載されているRadeon Vega 8のグラフィックスは、インテル第8世代Coreプロセッサー内蔵のIntel UHD 620 グラフィックスよりも非常に高いスコアです。

3DMark Time Spy - graphics score(当サイトの計測値)

 

ただし、GeForce MX 150などの外部グラフィックスよりは、かなり性能が落ち、ゲームをするには苦しい性能です。また、もちろんですがGeForceのCUDAは使えません。インテルCPU内蔵のグラフィックスとやれることはそれほど変わらないと思います。

Adobe Premiere Proのビデオレンダリングおよび再生の設定
もちろんCUDAによる使えないアクセラレーションは使えない

 

消費電力はやや高めで、バッテリー駆動時間も短い

Ryzen 5 2500Uは、インテルのCore i7-8550Uなどと比較して消費電力がやや高めで、バッテリー駆動時間も短めでした。詳細は「消費電力のチェック」や「バッテリー駆動時間のチェック」をご覧ください。

 

他の特徴はThinkPad E580と一緒

それ以外の下に挙げた特徴は、インテルCoreプロセッサーを搭載したThinkPad E580と一緒ですので、詳細は「ThinkPad E580の実機レビュー」をご覧ください。

その他の特徴

キーが打ちやすく、液晶も見やすく、メインPCとしておすすめ

デュアルドライブ構成が可能

15.6型ノートの割には、コンパクト & 軽量で、持ち運びに便利

光学ドライブは無く、カードリーダーはmicroSDのみ対応

 

パフォーマンスのチェック

ThinkPad E585のパフォーマンスのチェックです。

兄弟機種のインテルCPUを搭載したThinkPad E580と比較しながら、コメントしています。

CINEBENCH R15
~ CPU性能の評価 ~

Core i7-8550U搭載のThinkPad E580のほぼ同等のスコアが出ています。

Ryzen 5 2500U
PassMark PerformanceTest 9.0 - CPU MARK
~ CPU性能の評価 ~

こちらは、Core i7-8550U搭載のThinkPad E580よりも、1割ちょっとスコアが低めに出ていました。

Ryzen 5 2500U
3DMark
~ グラフィックス(DirectX)の評価 ~

インテル UHD グラフィックス 620よりは約1.5倍高いスコアです。ただし、ThinkPad E580で選択できるRadeon RX550と比べると、3割ほどスコアが悪くなります。

Radeon Vega 8
TMPGEnc Video Mastering Works 6によるエンコード時間

Core i7-8550U搭載のThinkPad E580よりもエンコード時間は遅かったです。

  [E585]
Ryzen 5 2500U
Radeon Vega 8
[参考:E580]
Core i7-8550U
Radeon RX550
x265でエンコード (※1) 37分36秒 30分14秒
NVENCでエンコード (※2)
QSVでエンコード (※3) 3分49秒
VCEでエンコード(※4) 3分46秒
XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換したときの時間
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
※3 Intel CPU内蔵のハードウェアエンコーダー(Intel Media SDK)
※4 AMD APU内蔵のハードウェアエンコーダー(AMD Media SDK)
CrystalDiskMark 6(SSD)
~ 内蔵ストレージ性能の評価 ~
128GB PCIe M.2 SSD

 

液晶ディスプレイのチェック

液晶ディスプレイのチェックです。

フルHD液晶の特性を掲載します。

搭載されていた液晶の型番は「LP156WF9-SPK3」でした。なお、別のパネルが搭載される可能性もあります。

視野角は良いです。

視野角(斜めから見たときの見やすさ)

 

カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線を確認すると、青が強調されており、やや青みが強い画面となっています。

ガンマ補正曲線
※ i1 Display Proで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2

 

色域はやや狭いです。

ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成

 

画素形状は下図の通りです。ギラつきはほとんど感じません。

画面拡大

 

非光沢液晶であるため、画面への映り込みは低減されています。

画面への映り込み

 

キーボードおよびタッチパッドのチェック

キーボードとタッチパッドのチェックです。

ThinkPad E580のレビューでも書きましたが、非常に打ちやすいキーボードです。

キーボード全体図

 

バッテリー駆動時間のチェック

バッテリー駆動時間をチェックします。

Ryzen 5 2500Uは、インテルのCore i7-8550Uなどと比較すると消費電力が大きく、バッテリー駆動時間が短めになってしまいます。少ないかもしれませんが、もしバッテリー駆動状態で使う方はご注意下さい。

バッテリー駆動時間の計測結果(当サイトによる実測値)
  [E585]
Ryzen 5 2500U
Radeon Vega 8
[参考:E580]
Core i7-8550U
Radeon RX550
PCMark 8 Home テスト ※1 3時間28秒 4時間14分
PCMark 8 Work テスト ※2 4時間18分 5時間12分
動画再生時 ※3 4時間45分 8時間41分
※画面輝度は約120cd/m2、電源モードは高パフォーマンス
※1 ブラウザでのショッピング/大量の画像閲覧、文書作成、画像編集、ビデオチャット、軽いゲームなどを実行
※2 ブラウザでのショッピング/大量の画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャットなどを実行
※3 ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生

 


 

以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は変わります。

静音性のチェック

ThinkPad E585の動作音(静音性)のチェック結果です。

動作音は比較的静かだと思います。

騒音値
計測機器:リオン NL-42K
部屋を極力無音にしたときの騒音値:20.0dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
※CPU使用率およびGPU使用率は平均値です
【PCの状態】
左から1番目:アイドル時(何も操作していない状態)
左から2番目:動画再生時(解像度:720x480で実行)
左から3番目:PowerDirector の編集画面でエフェクトを追加しプレビュー再生
左から4番目:TMPGEnc Video Mastering Works でエンコードした時(x265)

 

参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。

使用計器の騒音値の目安

 

パーツの温度のチェック

ThinkPad E585の温度のチェック結果です。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。

温度は問題ないです。

各パーツの温度
測定環境:室内温度 約26℃、 測定ソフト:HWMonitor
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※FF14ベンチ実行時の温度は、温度が高めになる最後のシーン

 

表面温度のチェック

表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。

表面温度も問題ありません。

PC本体の表面温度
サーモグラフィー:FLIR ONE PRO
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです

 

消費電力のチェック

消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、確認できた最も高い数値を掲載しています。

消費電力は、Core i7-8550Uを搭載したThinkPad E580と比べると高めになっています。

消費電力
  [E585]
Ryzen 5 2500U
Radeon Vega 8
[参考:E580]
Core i7-8550U
Radeon RX550
アイドル時 10W 6W
動画再生時 15W 10W
動画編集中のプレビュー 17W 16W
エンコード時 36W 28W
測定機器:ワットチェッカー TAP-TST7
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています

 

外観のチェック

外観のチェックです。

外観は、ThinkPad E580と同じですので、そちらを参照して下さい。

まとめ

以上が、ThinkPad E585のレビューです。

処理性能は、インテルのCore i7-8550Uとそれほど変わらないにも関わらず、価格は安く、コストパフォーマンスの高い製品です。

キーボードも打ちやすいため、タイピングすることが多い方にもおすすめです。

ただし、ソフトによってはCore i7-8550Uよりも処理が遅くなり、また消費電力も高めです。安定した処理速度を求める方や、バッテリー駆動状態で使うことが多い方は、インテルCPUを搭載したPCのほうがおすすめです。

グラフィック性能は、インテルCPUの内蔵グラフィックスより高いですが、ゲーム向きではなく、GPU高速処理に利用できないアプリも多いため、やれることはそれほど変わりません。

詳細・購入はこちら

【公式サイトはこちら】
レノボ(ThinkPad E585)