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GIGABYTE AERO 16の実機レビュー

CPU | Core i7-12700H Core i9-12900HK |
---|---|
GPU | GeForce RTX 3060 / 3070 Ti / 3080 Ti |
メモリ | DDR4-3200 / DDR5-4800 |
ストレージ | PCIe Gen4 SSD (デュアル可) |
液晶サイズ | 16.0インチ |
液晶種類 | 4K 有機EL |
質量 | ~約2.30kg |
バッテリー | 99Wh |
価格[税込] | 28万円台~ |
AERO 16は、プロクリエイターに適した高級ノートPCです。
16型の画面比16:10の有機ELディスプレイを搭載しているのが特徴で、DCI-P3カバー率100%と色域が広いだけでなく、色差がDelta E <1となっており、正確な色表現が可能です。
さらに、最大で、第12世代Core i9-12900HK + GeForce RTX 3080 Ti、DDR5メモリと、ノートPCとしてはトップクラスのスペック構成を選択することができるのも魅力です。
ストレージも最大2基搭載可能で、パソコンSHOPアークなどで購入すれば、最大2TB + 2TBのSSDにすることができます。
レビュー機は、メーカーからの貸出機です。今回は以下の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Core i9-12900HK、GeForce RTX 3080 Ti、32GBメモリ、1TB+2TB SSD
目次
お忙しい方は、「AERO 16の特徴」のみお読みください。
製品の特徴
画面比16:10の16型4K有機ELを搭載
AERO 16シリーズは、16型4K有機ELディスプレイを搭載している点が、特徴の1つです。
この4K有機ELディスプレイは、画面比16:10、DCI-P3カバー率100%、HDR500となっており、色域の広さと、有機ELによる黒の表現力の高さなど、クリエイティブな用途に適した表示が可能です。
さらに、X-Rite工場キャリブレーションと、Pantone Validatedの2つの認証を取得し、色差がDelta E < 1(判別不能なレベル)と非常に正確な色表現が可能となっています。プロクリエイターにふさわしいディスプレイです。

最大Core i9-12900HK + RTX 3080 Ti
AERO 16シリーズは、第12世代Coreと、GeForce RTX 30シリーズを搭載しており、最大でCore i9-12900HK + RTX 3080 Ti 16GBとハイスペックです。なお、グラフィックス性能を左右する、最大グラフィックスパワーは、どのモデルでも105Wとなっています。
今回発売された4モデルの構成は、下表のとおりです。右に行くほど上位モデルになります。
上位2モデルは、メモリにDDR5-4800を搭載し、第12世代Coreのパフォーマンスをより引き出すことができます。
KE4-72JP914HP | XE4-73JP914HH | XE5-73JP938HP | YE5-94JP948HP | |
CPU | Core i7-12700H | Core i9-12900HK | ||
GPU | RTX 3060 | RTX 3070 Ti | RTX 3080 Ti | |
メモリ | 16GB DDR4-3200 | 16GB DDR5-4800 | 32GB DDR5-4800 | |
ストレージ | 1TB PCIe Gen4 SSD | 1TB PCIe Gen4 SSD x2 | ||
想定価格[税込] | 28万円台 | 38万円台 | 41万円台 | 60万円台 |
ハイスペックPCを持ち運べる
上記の通り、AERO 16シリーズは高い性能を備えていながら、質量は~2.3kgとなっており、大きめのディスプレイサイズと高い性能の割には軽量化されています。
また、99Whと、飛行機の機内にも持ち込めるぎりぎりの大容量バッテリーを搭載しているのも特徴となっています。

メモリやストレージのカスタマイズも可能
メモリはスロットメモリで、最大64GBまで対応しています。また、M.2 PCIe Gen4スロットも2基あるので、デュアルSSD構成が可能です。自己責任ですが、購入後にメモリやストレージの換装などもできそうです。
また、パソコンSHOPアークであれば、メモリやストレージをカスタマイズして購入することもできます。高価な機種なので、自分でのカスタマイズが不安な場合は、こちらがおすすめです。

ポートの少なさはAEROハブでカバー
AERO 16シリーズの主なポート類は、下の画像のように、USB-C x3(うち2ポートはThunderbolt 4対応)のみとなっており、割り切った構成です。


このポートの種類の少なさは、付属のAEROハブでカバーします。このAEROハブで、HDMI、miniDP、USB3.1、LANポートを拡張することができます。ケースも付いているので、持ち運びに便利です。
ただし、このAEROハブに、SDカードスロットはないため、撮影した動画をSDカードから読み込むときは、別途リーダーが必要になります。




パームレストが熱いときはリストレストを
高い負荷をかけたとき、パームレスト部分の温度が暖かくなりやすいので、負荷が高めの作業をするときは、リストレストなどをパームレストに置いて作業するといいと思います。

各用途の快適度
各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧 Office作業 |
◎ | 高スペックで、ディスプレイの品質も高く、作業が快適です。ただし、フリッカーがあるので、体質によっては眼が疲れる方もいるかもしれません。 |
---|---|---|
動画鑑賞 | ◎ | ディスプレイの色域が広く、スピーカー音もまずまずなので、快適に動画鑑賞できます。 |
RAW現像 画像編集 |
◎ | 処理性能面が高く、非常に快適にRAW現像や画像編集ができます。当サイトの計測では、Adobe RGBカバー率が97.1%と広く、DTP用途にも対応できるでしょう。 |
動画編集 | ◎ | CPUおよびGPU性能が高く、ディスプレイのDCI-P3カバー率も100%あり、動画編集が快適です。動画編集のために作られた機種と言ってもいいです。 |
ゲーム | ◎ | 高リフレッシュレートのディスプレイではありませんが、高性能グラフィックスを搭載しているので、ゲームも快適です。 |
ディスプレイのチェック
AERO 16のディスプレイのチェックです。
前述の通り、4K / DCI-P3 100% / HDR500 / 最大輝度500nitの有機ELディスプレイを搭載しています。当サイトによる各種計測結果は、以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 映り込み・
ギラつき - フリッカー
下表の通り、色域は広いです。
カバー率 | |
sRGBカバー率 | 100% |
---|---|
DCI-P3カバー率 | 100% |
Adobe RGBカバー率 | 97.1% |

どの色もズレが少なく、自然な発色であることが分かります。

視野角は広いです。

光沢液晶であるため、画面への映り込みがあります。ギラつきは、ほとんど感じません。

PWM調光によるフリッカー(ちらつき)が発生しています。輝度によって周波数が異なりますが、いずれも低めの周波数なので、人によっては眼が疲れやすく感じるかもしれません。


※フォトディテクターにオシロスコープを繋げて計測
キーボードおよびタッチパッドのチェック
AERO 16のキーボードのチェックです。
キーピッチは、実測で18.5x18.5mmと十分です。キーストロークは、実測で約1.7mmと、最近のノートPCとしてはやや深めです。底付きの衝撃も抑えられており、キーは押しやすいです。ただし、「Backspace」や「Enter」キーが端にないので、ここを嫌がる方はいるかもしれません。

※画像をクリックすると拡大できます

キーボードバックライトも搭載しています。

パフォーマンスのチェック
AERO 16は、動作するアプリによって、AIによって動的にモードが変わります。

CPU
今回、Core i9-12900HKを搭載しており、 CINEBENCH R23を確認すると、非常に高いパフォーマンスです。他のCore i9-12900HK搭載のノートPCと比べて、CPU電力は高いわけではありませんが、それでも、Ryzen 9 5900HXをはるかに超えるマルチコアのスコアが出ています。シングルコアについては、当サイトで計測したノートPCの中では、過去最高のスコアでした。
~ CPU性能の評価 ~

:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
なお、高負荷時のCPU電力、CPUクロック、CPU温度は「パーツの温度のチェック」で記載しています。
メモリ
メモリはDDR4-3200またはDDR5-4800のメモリを搭載しています。今回は、DDR5-4800の高速メモリを搭載しており実測値も非常に速いです。
~メモリ性能の評価 ~

:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
※実際のノートPCで計測した実測値で、理論的な最大値ではありません
グラフィックス
今回、グラフィックスには、ノートPC最高峰のGeForce RTX 3080 Tiを搭載しています。最大グラフィックスパワーはやや控えめになっており、105Wです。

3DMark Time Spyのスコアはご覧の通りです。最大グラフィックパワーがそこまで高くないため、過去最高のベンチマークスコアとまではいきませんでしたが、それでも、かなり高いスコアです。
~ グラフィックス性能の評価 ~

:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
W(ワット):最大グラフィックスパワー
GPU-Zで確認したGeForce RTX 3080 Tiの情報は次の通りです。

ストレージ
今回、2台のSSDを搭載していますが、どちらもPCIe Gen 4のSSDを搭載しており、非常に速いです。
~ ストレージ性能の評価 ~


:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
クリエイターソフトの処理時間
以下、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間です。

非常に速い書き出し時間です。現像処理自体も快適で、RAW現像用途に適しています。
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
「Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください

Photoshopの中では重い処理を中心に、処理時間を計測してみましたが、高速です。他の一般的なフィルター処理なら、すぐに終わり、快適にソフトを使用することができます。
処理時間 | |
ニューラルフィルター(肌をスムーズに) | 約4秒 |
ニューラルフィルター(スーパーズーム(x2)) | 約54秒 |
ニューラルフィルター(JPEGのノイズを削除) | 約2分17秒 |
スーパー解像度 | 約3秒 |

4K動画の書き出しは非常に速いです。編集作業自体も快適です。DCI-P3 100%のディスプレイを搭載し、動画編集に適したノートPCです。
※ グラフィックスは全てノートPC用
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

CPUのみで実行するx265エンコードについても、非常に速いです。
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)


質量のチェック
AERO 16の質量のチェックです。
メーカーサイトには「~2.3kg」とあり、当サイトの計測結果もほぼ同じです。ノートPCの中では軽くはありませんが、16型の大きめの画面に、高い性能のパーツを搭載していることを考慮すると、十分軽量化されています。
質量 | |
PC本体 | 2.291kg |
ACアダプター+電源ケーブル | 837g |
バッテリー駆動時間のチェック
AERO 16のバッテリーは、99Whとなっており、非常に大きい容量です。
今回、PCMark 10がうまく動かなかったため、計測していませんが、低めの負荷であれば、5~6時間はもつのではないかと思われます。

パーツの温度のチェック
Prime95実行時のCPU温度
Prime95で全CPUコアの使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU温度およびCPU電力の推移を確認します。
CPU電力は約62Wで推移しており普通です。CPU温度は約83度前後で推移しており、やや高めですが問題ない範囲だと思います。

静音性のチェック
AERO 16の動作音(静音性)のチェック結果です。
アイドル時でもやや動作音が聞こえます。高めの負荷をかけると、騒音値は高めになり、ややうるさく感じます。

部屋を極力無音にしたときの騒音値:20.0dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
※CPU使用率およびGPU使用率は平均値です
※約10分経過後に計測しています
左から1番目:アイドル時(何も操作していない状態)
左から2番目:FF15 ベンチマーク実行(高品質、1920x1080、ウィンドウ)
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。

表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。特に、手の平を置くパームレストの温度変化は重要です。
高い負荷をかけると、パームレストの温度が結構高くなり、体感でも熱く感じます。

※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※約10分経過後に計測しています
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、約10分経過後から確認できた最も高い数値を掲載しています。
高いスペックなので、消費電力は、ノートパソコンとしては高めです。

※約10分経過後から確認できた中で最も高い消費電力を掲載しています
※TAP-TST8は、従来使っていたTAP-TST7よりも、消費電力が低めに計測される傾向があります。他のPCと消費電力を比較するときは、ご注意ください。
外観のチェック
AERO 16の外観のチェックです。
CNC加工されたアルミ合金のボディで、3辺は狭額ベゼルとなっており、かっこいい見た目です。

天板には、「AERO」のロゴが配置されています。

ボディの高さは22.4mmとなっており、高いスペックの割には厚さは抑えられています。

ディスプレイの上部はやや出っ張りがあり、開くときに指をひっかけやすくなっています。また、本体側を抑えなくても、片手でディスプレイを開くことができます。


スピーカーは、2W x2の出力で、キーボードの両側にあります。ノートPC基準で、音質を評価すると、10点満点で採点すると6点くらいです(普通が5点。あくまで筆者独自の判断です)。

HDカメラを搭載し、顔認証にも対応しています。

右側面の2つ並んでいるThunderbolt 4ポートは、PowerDeliveryにも対応しています。試した限りでは、65WのPD充電器は使えませんでしたが、90WのPD充電器は使えました。左側面にはUSB-Cポートがあります。


ディスプレイは、下の角度まで開きます。

底面は、ゴム足以外はフラットで、吸気口の形状はシンプルです。

ACアダプターは、230Wと大容量です。



まとめ
以上が、AERO 16のレビューです。
16:10の4K 有機ELディスプレイを搭載し、色域も広く、クリエイターも満足の品質でしょう。
最大で、Core i9-12900HK、GeForce RTX 3080 Ti、DDR5メモリ、PCIe Gen 4 SSDを搭載し、スペックも非常に高いです。動画編集などの負荷のかかる作業においても、快適に動作するでしょう。特に第12世代Coreプロセッサーは、マルチコア性能だけでなくシングルコア性能も高いので、あらゆる処理が快適になると思います。
それでいて、質量は最大2.3kgと抑えられており、非常に高いスペックのノートPCを持ち運びたい方にもピッタリです。
アルミ合金のボディもかっこいいです。
高めの負荷をかけると、パームレストが熱くなりやすいので、気になる方はリストレストなどを使うといいと思います。
高級クリエイターノートPC
AERO 16

特徴
- 16:10の4K有機ELディスプレイ搭載
- 最大で第12世代Core i9-12900HK搭載
- 最大でGeForce RTX 3080 Ti搭載
こんなあなたに
- プロの映像/フォトクリエイター
- 高スペックノートを持ち歩きたい方
- 価格28万円台[税込]~

1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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