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富士通 LIFEBOOK WA-X/D3(AH-X/D3)の実機レビュー

CPU | Core i7-9750H |
---|---|
メモリ | 4~32GB |
ストレージ | HDD / SSD / SSD+HDD |
光学ドライブ | DVDスーパー / ブルーレイ |
画面サイズ | 15.6型 |
画面種類 | 4K 有機EL 光沢 |
質量 | 約2.0kg / 2.1kg |
バッテリー | 約4時間 |
価格[税別] | 約15万円台~ ※クーポン適用時 |
4K有機ELを搭載している点が特徴の15.6型ノートPCです。画像や映像を、色鮮やかなカラー、引き締まった黒で表現できます。
また、CPUには一般的なノートPCより性能の高い「Core i7-9750H」を搭載しています。負荷の高い処理が高速に終わり、ストレスなく作業できることでしょう。
DCI-P3 約100%の広色域ディスプレイおよび高性能CPUを搭載していることから、RAW現像などにも適した製品だと思います。
タイピングもしやすく仕事もはかどることでしょう。
標準で3年、最大で5年の保証も魅力で、初心者でも安心して使えるPCです。
レビュー機は、メーカーからの貸出機です。今回は次の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Core i7-9750H、32GBメモリ、256GB PCIe SSD + 1TB HDD
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目次
お忙しい方は、「LIFEBOOK WA-Xの特徴」のみお読みください。
LIFEBOOK WA-X/D3の特徴
4K有機ELを搭載
LIFEBOOK WA-X/D3(AH-X/D3)は、4K有機ELを搭載したノートパソコンです。海外メーカーの製品には、4K有機ELはちらほらありますが、富士通が4K有機ELを搭載してきたのは、いい意味で驚きです。

下図は、有機ELと一般的な液晶を比較した画像です。下図の場合、有機ELは赤の鮮やかさが明らかに違うのが分かると思います。また、一般的な液晶で黒を表示するときはバックライトがわずかに洩れてしまいますが、有機ELは黒を表示するときに発光素子が光らないため、引き締まった本物の黒を表現することが可能です。※ご覧のディスプレイによってはほとんど画像の違いが判らないこともあります。

ただし、有機ELは同じ色を発光し続けると、焼き付きが起こるというデメリットがあります。そのため、本製品はダークモード(エクスプローラーなどの背景が黒いモード)に設定されています。さらに、人感センサーを取り付けて、人がPCの前に居ないときは、画面の輝度が落ちるように工夫されています。
また、有機ELパネルは薄くて曲がりやすいので、パネルメーカーからガラスを貼ってくれと言われたらしく、ドラゴントレイルのガラスを前面に貼って強度を高めています。そのため表面は光沢となっています。

高い性能のHシリーズCoreプロセッサー搭載
LIFEBOOK WA-X/D3(AH-X/D3)は、HシリーズのインテルCoreプロセッサーを搭載しており、CPU性能が高いです。
CPU性能が高いことに加えて、色域が広いディスプレイを搭載していることから、RAW現像や画像編集にも活用できると思います。ただし、sRGBを大きく超える色域のディスプレイは、Web系のクリエイターには逆に扱いづらいケースもあるのでご注意下さい。
一眼レフカメラで撮影した家族や自撮りのデジタル写真を、Lightroomなどのソフトで、より見栄えの良い画像に仕上げてみるのもいいと思います。
2.5mmもあるキーストロークで打ちやすい
LIFEBOOK WA-X/D3(AH-X/D3)は、キーストロークが2.5mmもあり、キーボードが非常に打ちやすいです。通常のノートPCのキーストロークは2mm、もしくはそれ以下の場合がほとんどで、キーを押したときに浅いと感じることが多いです。一方、本製品は、押し始めの反発は少ないものの、デスクトップ用のキーボードの打鍵感に近いです。
また、キーによって重さを変えている点も非常に珍しいです。例えば、親指で押すキーは重く、小指で押すキーは軽くすることで、スムーズにタイピングできるようになっています。

光学ドライブ搭載
LIFEBOOK WA-X/D3(AH-X/D3)は、海外メーカーでは省略されることが多くなった光学ドライブを搭載しています。CDやDVDをレンタルして視聴するような方は、光学ドライブがあったほうが便利でしょう。

ダブルストレージ対応
本製品は、SSD + HDDの構成が可能です。OS領域とデータ領域を分けたり、メイン領域とバックアップ領域を分けたりできるため便利です。

標準で3年、最大で5年の保証
他社メーカーの場合、標準保証は1年であるケースが多いですが、本製品は標準で3年の保証が付いておりお得です。さらに、他社メーカーは、延長保証が最大3年のケースが多いですが、本製品は、最大で5年もの保証を付けられます。長く使おうと思っている方は安心かと思います。

各用途の快適度
本製品の各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧 Office作業 |
◎ | CPU、メモリ、ストレージとも十分です。画面も見やすいです。ただ、色域が広すぎて普段使いには色が鮮やか過ぎると感じる方もいると思います。色域を変換する機能があれば尚良かったです。 |
---|---|---|
動画鑑賞 | ◎ | 色鮮やかな4Kディスプレイで、NetFlixなどの動画を楽しめます。 |
RAW現像 画像編集 |
◎ | CPU性能が高く、色域も広くRAW現像向きです。ただし、sRGBへ変換する機能はないため、sRGB領域で作業したいWebクリエイターなどには扱いづらいかもしれません。 |
動画編集 | 〇 | 動画編集には、高めのグラフィック性能が必要な処理が多いので遅く感じることも多いと思いますが、CPU性能は高くディスプレイも綺麗なので、ある程度はこなせると思います。ただし、本格的に使うなら外部グラフィックスを搭載したPCのほうがいいと思います。 |
ゲーム | △ | 外部グラフィックスを搭載していないためゲーム向きのPCではありません。ただし、軽めのPCゲームやブラウザゲームならプレイ可能です。 |
ディスプレイのチェック
前述の通り、有機ELを搭載しています。DisplayHDR 500 True Black認証を取得済みで、DCI-P3カバー率:約100%の色域です。最大輝度は当サイトの計測では499cd/m2と高いです。以下詳細を記載します。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 画素・
ギラつき - 映り込み
- フリッカー
色域は非常に広いです。当サイトの計測では、DCI-P3カバー率は100%、Adobe RGBカバー率は97.5%でした。

カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線を確認すると、どの色もほぼ1:1の直線に近く、自然な発色であることが分かります。

視野角は広いです。

画素形状です。ギラつきはありません。

光沢ですが、反射はやや抑えられています。

フリッカーが発生していました。

※カメラのシャッタースピードを1/2000秒にして撮影したときの画面
キーボードおよびタッチパッドのチェック
キーボードは前述した通り打ちやすいです。
おかしな配列のキーもないですし、矢印キーが一段下がったところにある点も良いです。さらにテンキーも搭載しています。ボディの端ギリギリまでキーを配置することで、テンキーを搭載しても、キーのサイズが小さくならずに済んでいます。
また、手をホームポジションに置いたときの左右の手の中間にタッチパッドが配置されています。これにより、手が誤ってタッチパッドに触れて、マウスポインターが意図せず動くことが少ないです。


キーボードにはバックライトも搭載しています。従来機種よりプリズムクリアキーボード(キーの側面が透明)を採用していることから、バックライトがよく映えます。

パフォーマンスのチェック
パフォーマンスのチェックです。
CPU
Core i7-9750Hを搭載し、高い処理性能です。
~ CINEBENCH R20 マルチコア ~

※[レビュー機で計測]と書かれたCPU以外は、他のPCで計測した代表値です
ストレージ
ストレージは、PCIe SSDを搭載しており高速です。さらにHDDも搭載しており、多くのデータを保存できます。
~ CrystalDiskMark ~


※[レビュー機で計測]と書かれたストレージ以外は、他のPCで計測した代表値です
SDカードリーダー/ライター
SDカードリーダー/ライターは高速です。

実際のソフトで計測した処理時間
次に、実際のソフトウェアで計測した各種処理時間を掲載します。
※「Lightroomにおすすめノートパソコン」の記事も興味があればご覧ください。
エンコード時間 | |
x265でエンコード (※1) | 18分7秒 |
NVENCでエンコード (※2) | ー |
QSVでエンコード (※3) | 2分46秒 |
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
※3 CPU内蔵のハードウェアエンコーダー

質量のチェック
メーカー仕様値では約2.0~2.1kgです。当サイトの計測値は下表の通りです。
ACアダプターはやや重いです。
質量 | |
PC本体 | 2.125kg |
ACアダプター | 475g |
以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は変わります。
静音性のチェック
動作音(静音性)のチェック結果です。
アイドル時でもやや動作音が聞こえます。エンコード時(高負荷時)は普通の動作音です。

部屋を極力無音にしたときの騒音値:20.0dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
※CPU使用率およびGPU使用率は平均値です
左から1番目:アイドル時(何も操作していない状態)
左から2番目:TMPGEnc Video Mastering Works でエンコードした時(x265)
参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。

パーツの温度のチェック
各パーツの温度のチェック結果です。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。
エンコード時の温度がやや高めです。

※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
エンコード時の温度の詳細
下図は、CPU使用率がほぼ100%になるエンコード時のCPU温度の詳細です。ターボブースト後、70℃台まで落ちますが、徐々に温度が上がっていき、後半は80℃台で推移しています。

表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。
普通の温度です。

※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、確認できた最も高い数値を掲載しています。
HシリーズのCoreプロセッサーに、4Kディスプレイを搭載しているため、一般的なノートPCよりはやや高めの消費電力です。

※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています
外観のチェック
最後に、外観の画像を掲載します。ボディカラーはやや明るいブラックとなっています。


天板です。

パームレストはヘアライン加工が施されています。

ディスプレイが開く最大の角度です。

左右の側面です。主要なポートは揃っています。

正面側が鋭角にカーブし、より薄く見えるような工夫がなされていますが、このようなデザインにしたところ、そのままではハードディスクが入らないので斜めに配置するようにしたそうです。ハードディスクを斜めに配置すると耐久性が心配ですが、メーカーが言うには検証の結果、問題ないそうです。

底面です。ネジを1つ外せば、メモリのほうは換装できそうです。

今回、高い性能のCore i7-9750Hを搭載したことで、冷却ファンが大きくなっています。

ACアダプターは小型で持ち運びやすいです。容量は100Wです。


まとめ
以上が、富士通 LIFEBOOK WA-X/D3(AH-X/D3)のレビューです。
4K有機ELを搭載している点が特徴で、色鮮やかで、黒が引き締まった画像・映像を楽しむことができます。
また、HシリーズのCoreプロセッサーを搭載し、CPU性能も高いです。サクサク仕事が進むでしょう。
キーボードも打ちやすいため、タイピングすることが多い方にもおすすめです。
最近では搭載されることが減った光学ドライブも搭載しています。


1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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