EIZO FORIS FS2434の実機レビュー

更新日:2014年7月12日

外見も中身もSmartに進化したゲーミング液晶

EIZO FORIS FS2434はIPSパネルを採用したゲーミング液晶ディスプレイです。旧モデル「FS2333-A」の正統後継機で、表示域の広いフレームレスなデザインを採用。またバックライトはちらつきを抑え、目の疲労を軽減するフリッカーフリー仕様となっています。

進化した暗部視認性向上技術「Smart Insight 2」と超解像技術「Smart Resolution」により、ゲームや動画、写真などのコンテンツを鮮明にくっきりと表現し、リモコンと「G-Ignition」ソフトウェアにより操作性も快適です。消費電力も低いのでマルチディスプレイ環境にも最適です。

また0.05フレーム未満の低遅延と4.9msの低残像で、FPSやRTS、格闘ゲームなど、ゲーミングにおいて最高のパフォーマンを発揮してくれる製品です。

※現在は価格改定し、FS2434-Rという名前で販売されています。機能は同じです。

購入はこちら:EIZO Direct(FORIS FS2434) icon

※レビュー機は当サイトでの購入製品です

基本スペックのチェック

基本スペックのチェックです。
旧モデルである「FS2333-A」の後継機として登場した「FS2434」は、デザインがフレームレスのフラットパネルに一新。パネルサイズも23.8型と、ほんの少し大きくなったようです。パネル方式はIPSとそのままで、入力端子系統も変わらず。利便性の高いリモコンも標準装備されています。応答速度だけは4.9msと旧モデルよりもやや下がってしまっていますが、表示遅延0.05フレーム未満という低遅延は、そのまま引き継がれています。また時代の流れに合わせて、ちらつきを抑えるフリッカーフリーバックライトや、USB 3.0のハブも搭載されています。

基本スペック
製品名 EIZO FORIS FS2434
サイズ 23.8型ワイド
解像度 1920×1080
表面処理 ノングレア
パネル方式 IPS
バックライト LED
応答速度 標準 4.9 ms (中間階調域)
コントラスト比 1000:1(標準)
5000:1(コントラスト拡張有効時)
入力端子 DVI-D×1
HDMI×2
スピーカー 500 mW+500 mW
位置調節 チルト機能(上25° 下0°)
昇降機能(60mm)
スウィーベル機能(台座部344 °)
消費電力 標準 15W(最大 46W)
節電時 最大0.5W以下
輝度 250 cd/m2
VESA規格 100×100 mm 対応
重量 5.2kg(スタンド含む)
付属ケーブル DVI-D ケーブル(2.0m)×1
HDMI ケーブル(2.0m)×1
USB 3.0ケーブル(2.0m)×1
オーディオケーブル×1
リモコン
リモコン用電池 (CR2025)×1
2芯アダプタ付電源コード×1
ケーブルホルダー
VESAマウント取付用ネジ(M4×12 mm)×4本
主な機能 Smart Insight 2 機能
Smart Resolution 機能
Smart Detection 機能
オーバードライブ 機能
フリッカーフリーバックライト
USB 3.0 ハブ×2ポート搭載

特徴1 - 進化した映像技術

暗いシーンも見やすく表示する「Smart Insight 2」機能


Smart機能メニュー

旧モデルにも搭載されていた、暗いシーンでも補正をかけて見やすく表示する「Smart Insight 」が、「Smart Insight 2」となり進化しました。本機での大きな特徴とも言える機能です。

進化した「Smart Insight 2」では、暗いシーンをただただ明るくするわけではなく、内蔵された映像処理エンジンにより、彩度やコントラストの調整も行い、ごく自然な色味を表現し、暗いシーンでの視認性を向上してくれます。この補正は1~5の5段階で強度を調整でき、シーンに応じて変更することが可能です。

下の写真はゲーム内の暗いシーンで、「Smart Insight 2」機能のオフの時と、最大設定の5の時を比較したもの。暗い部分をただ明るくするだけではなく、色調も補正されているので、白飛びすることなくごく自然な色合いで表現されているのがわかると思います。

実際に「Smart Insight 2」の補正をかけて暗いシーンをひと通りプレイしてみたところ、FPSやTPSなどシューティングゲームにおいては、まるで妖精が舞い降りたように目の前がぱっと開けて明るくなり、暗闇に隠れた敵やオブジェクトもはっきり見え、視認性が驚くほど向上していました。暗いシーンにおいては、とにかく本当に見やすいの一言。特に元から見えている敵やオブジェクトは、「Smart Insight 2」の補正をかけても、さほど色合いは変わらないという所に感心させられました。


バトルフィールド4

スプリンターセル:ブラックリスト

ウォッチドッグス

映像や写真をくっきりと補正する超解像技術「Smart Resolution」機能

旧モデルと同様、「Smart Resolution」は、EIZO独自の超解像技術により、写真や動画、ゲームなどの映像を先鋭化し、シャープでくっきりと表示させることのできる機能です。「Smart Resolution」機能も、強度を1~5の5段階で調整ができ、シーンに応じて変更することが可能です。

低解像度の動画だと、フルスクリーン表示にするとややボケて見えてしまうところを、この機能で補正をかけ、くっきりと表示させるということも可能です。また「Smart Resolution」では、肌部分を補正"しない"「肌補正」や文字を補正"しない"「文字補正」といった機能もあります。肌や文字に超解像を適用すると逆に見えにくくなるため、このような部分は極力補正しないようにする機能です。

下の写真は、ゲーム、写真、BD映画での「Smart Resolution」機能オフの時と、最大設定の5の時で比較したもの。「Smart Resolution」機能オンの時の方が、くっきりと表示され、オフの時の方がややボケて見えるのがわかると思います。特にゲームやアニメではキャラの輪郭が濃くなり、影もくっきり表示され、映像がより鮮明でとても見やすくなります。ただ強度は5だと強過ぎて、シーンによっては見にくくなるので、個人的には1または2辺りの補正が一番見やすいと思います。


ゲーム「アサシンクリード IV:ブラックフラッグ」


写真


BD映画「魔法少女まどかマギカ 叛逆の物語 」

動画のみにSmart補正をかける「Smart Detection」機能


動画部分にのみSmart補正をかけることができる

「Smart Detection」機能では、上記の「Smart Insight2」と「Smart Resolution」の補正範囲を、動画部分のみに絞って適用させることができます。

通常はフルスクリーンすべてが適用範囲ですが、これだと、テキスト部分まで補正がかかり、文字が読みにくくなってしまいます。

「Smart Detection」機能で動画部分のみに切り替えることにより、画面内の動画を自動で検出し、その部分だけ補正をかけてくれるので、テキスト文字や静止画は見やすいままです。

アニメや映画、YouTubeやニコニコ動画など、何か動画を見ながら作業をしたい時に便利な機能です。

特徴2 - 快適な操作性

すべての操作をリモコンひとつで!


本機に付属されているリモコン

本機にはリモコンが付属しており、入力切替から、輝度の調整、音量の調整、メニュー画面の呼び出し、Smart機能の設定など、すべての操作をこのリモコンひとつで行うことができます。直に液晶のOSDボタンをいじって操作する煩わしさがないので、とても快適です。

『MODE』ボタンからは、本機に登録された7つのカラーモード(プリセットモード)を切り替えることができます。モードは以下の通り。
 ・User1モード
 ・User2モード
 ・Game(Dark scene)モード
 ・Game(Light scene)モード
 ・Cinemaモード
 ・Web / sRGBモード
 ・Paperモード
Userモードではユーザーが自由に設定したカラーモードが登録でき、そのほかのモードではシーンに応じたSmart機能やオーバードライブ機能、色調整が割り当てられています。

マウスやキーボードでの操作も可能にするソフトウェア「G-Ignition」

Windows専用ソフトウェア「G-Ignition」を使用すれば、マウスやキーボードからでも、本機の設定が可能になります。この「G-Ignition」は下の写真のように、3つのタブでわかれており、ホットキーの設定やモードの選択、細かなカラー調整、アプリケーションごとにカラーモードを登録することも可能です。「G-Ignition」のダウンロードページはこちら

またこのダウンロードページでは、今後プロゲーマーによるカラープリセットを提供予定だそうです。プロゲーマーと言うことは、AVAなどのFPSや、DOTA2などのRTS向けのカラープリセットが予定されていそうですね。






Windows専用ソフトウェア「G-Ignition」

特徴3 - ゲームが快適

0.05フレーム未満の低遅延で格闘ゲームが快適!


格闘ゲーマーにはおすすめしたい製品

筆者は多くの格闘ゲームをプレイしてきましたが、自信を持って言えるのが、本機の表示遅延の少なさです。どういう技術を使っているのかわかりませんが、本機は旧モデルと同様、国内最速の低遅延0.05フレーム未満を実現しています。

以前レビューしたEIZOの別モデル「FG2421」では0.5フレームから1フレーム未満の遅延と表記していましたが、実際に触って比べてみても、明らかに本機の方が遅延が少ないです。

実際にPS3版、XBOX版、PC版と、3機種で「スーパーストリートファイターIV AE」をプレイしてみたところ、目押しコンボ、カウンター確認からのコンボが他のモニターに比べてとてもやりやすい。

これだけではなく、Smart Resolution機能により、キャラの輪郭がくっきりと表示され、起き攻めの表裏や近距離での刺し合いも非常に見やすくなります。また本機はフレームレスデザインなので、画面に集中しやすいというのも大きな利点です。

これから8月に向けて「ウルトラストリートファイターIV」や「P4U2」など、有名格闘ゲームの新作が発売されますが、これらの発売に向けて、新しいモニターの購入を考えている格闘ゲーマーには是非、本機をおすすめしたいです。

Smart Insight 2機能とSmart Resolution機能でFPSが快適!


FPSにおいても光る機能が満載

FPSにおいては低遅延によりAIMの遅れがなく、Smart Insight 2機能とSmart Resolution機能の併用により、画面がとても見やすく快適にプレイできます。

なお、本機には残像を低減するオーバードライブ機能が搭載されていますが、オンとオフではあまり差は感じられませんでした。

「バトルフィールド 4」では暗いマップも多く、屋内での影の目立つシーンが多いので、Smart Insight 2機能が非常に役立ちます。普段プレイする上ではプリセットモードであるGame(Dark scene)モードとGame(Light scene)モードが一番見やすいかと思います。シーンに合わせてその都度、Smart Insight 2の補正を調整する感じですね。

個人的にはSmart Insight 2とSmart Resolutionの強度は2または3くらいがベストでした。また本機のバックライトはちらつきを抑え、目の疲労を軽減するフリッカーフリー仕様となっています。こういった機能は、長時間プレイするコアゲーマーにとってはかなり嬉しいですね。

画質のチェック

ガンマ補正曲線のチェック

カラーモード「User1」のガンマ補正曲線を確認すると、測定誤差程度の若干のずれはありますが、どの色もほぼ1:1の比例直線的です。このことから、色の再現性は高いことがわかります。


ガンマ補正曲線
※ i1 Display PROで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2

  • 色域のチェック

色域の広さは標準的です。


ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティ でグラフを作成

画素のチェック

画面をマイクロスコープで拡大した図です。液晶表面に、やや凹凸があります。

肉眼で確認すると、非光沢液晶特有のギラつきはわずかにありますが、ほぼ気になりません。ただしギラつき皆無の旧モデル「FS2333-A」と比較すると、少しだけギラつきはあります。


画素の拡大図 ※マイクロスコープ(FS-SST240 )で撮影

視野角のチェック

本機はIPSパネルを採用しているので、視野角は非常に良いです。どの角度から見ても、色合いに大きな変化は見られません。


上下から見た場合

横から見た場合

残像感、動画のチェック

応答速度は普通


応答速度は実測でおよそ5ms

残像感のチェックでは「液晶応答速度&低解像度チェック」というソフトを使って計測しました。メーカー発表値では応答速度は4.9 msと、旧モデル「FS2333-A」よりも遅くなっています。本機にはいちおう残像を低減するオーバードライブ機能が備わっていますが、筆者が見た限りではオフと強であまり差は感じられず、どちらも5msという実測結果(※)になりました。

わずかな差ではありますが、個人的には残念なところです。

※ 目視での計測であるため、結果に個人差が出る点はご了承ください。

動画視聴ではCinemaモードがおすすめ


「魔法少女まどかマギカ 叛逆の物語 」

Smart Resolution機能を使えば、映画やアニメなどの視聴でも、鮮明でくっきりとした映像が楽しめます。残像も特に気になりません。高画質なBDを再生する場合はSmart Resolution機能の強度は2くらい、DVDの場合は3辺りが一番見やすいと思います。

カラーモードのひとつであるCinemaモードでは、Smart Resolution機能の強度は2、肌補正、文字補正が有効になっており、Smart Insight 2機能はオフと、とても見やすい設定に合わせてくれているので、動画を視聴する際はこのCinemaモードが最もおすすめです。

OSDメニュー及び操作性のチェック

OSDメニューは見やすい


本機のOSD操作ボタン

本機のOSDボタンでは入力切替と音量調節、電源のオン/オフが可能です。と言っても、本機にはリモコンが付属しているので、このボタンはリモコンの電池切れ以外ではほとんど触ることはないでしょう。

OSDメニューは下の写真の通り、とても見やすいです。このOSDメニューからは輝度や黒レベル、コントラスト、色温度、ガンマ値など細かな画質調整ができます。詳細設定からはコントラスト拡張機能やオーバードライブ機能の切り替えが可能です。
ただこういった細かな画質調整は「G-Ignition」からの方が調整しやすいです。

またEcoViewメニューからはEcoモードの切り替えが可能です。強度によってディスプレイの輝度を調整し、自動で電力を削減してくれます。このEcoViewメニューでは現在の電力削減量やCO2削減量、省エネレベルをモニタすることができます。


本機のOSDメニュー

EcoViewメニュー


OSDメニュー一覧

消費電力のチェック

消費電力はかなり低い

実際にワットチェッカーで輝度ごとに消費電力を計測してみました。本機の輝度は0~100まで、一段階ずつ細かな調整が可能です。また計測時はSmart機能オフ、音声はミュートになっています。

測定結果は右の写真の通り、輝度最小時では約8.2W、輝度中間時で約16.0W、輝度最大時では約24.3Wという結果でした。また、約120cd/m²での消費電力は、17.0Wとなっています。

ゲーミング液晶にしては、消費電力は全体的にかなり低い数値となっています。Ecoモードを標準設定にすると、最大輝度でも17.3Wとさらに下がります。これほどの低消費電力なら、マルチディスプレイやトリプルディスプレイでも安心ですね。

外観のチェック

外観のチェックです。

新モデルになって、デザインはフレームレスのスマートなデザインに一新しました。EIZOらしさを残しつつ、すっきりとした見栄えになったと思います。ただフレームレスと言っても、4mmほどの非表示域はあり、ベゼル幅も2mmほどあります。

また、背面には片手で持ち運びができるよう、手をかける取っ手があります。

使用感ですが、スタンドが重厚でしっかりしており、液晶の揺れは気になりません。ただスタンドの昇降機能の調整は重くてやりづらく、高さを最大まで上げると、揺れやすくもなります。「FG2421」とは違い、VESAマウント規格に対応しているので、モニターアームを取り付けることができます。


全体の写真


正面の写真


全体の写真2


液晶フレーム部分の写真


非表示域は実測で4mm、ベゼル幅2mmの合計6mm


背面の写真


背面の写真2


背面には手をかけることができ、持ち運びが楽です


背面のロゴ部分です


側面の写真
昇降機能は60mm、チルト機能は上25° 下0°


左側面にはオーディオ IN/OUT、USB 3.0ポート、ヘッドホンジャックがあります


台座の後にはリング状のケーブルホルダーがあります


入力部分の写真です


電源部分の写真です


台座の写真です


スウィーベル機能は台座底面が344 °回る仕組みになっています


同梱されているケーブル類です

まとめ

以上がEIZO FORIS FS2434のレビューです。

本機はIPSパネルを採用したゲーミング液晶ディスプレイで、評判の高かった旧モデル「FS2333-A」の正統後継機です。進化した「Smart Insight 2」機能や「Smart Resolution」機能により、ゲームや動画、写真において素晴らしい映像表現を実現してくれます。リモコンと「G-Ignition」で操作性も非常に快適。フレームレスデザインで消費電力も低いので、マルチディスプレイやトリプルディスプレイにも最適な製品でしょう。

特にSmart機能と0.05フレーム未満の低遅延、低残像はゲーミングにおいて素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれます。家庭用ゲーム機がメインという方や、格闘ゲームプレイヤーにおすすめしたい製品です。

詳細はこちら
EIZOダイレクト:FORIS FS2434 icon
Amazon:FORIS FS2434
※現在は価格改定し、FS2434-Rという名前で販売されています。機能は同じです。