セキュリティソフトの迷惑メール対策の比較

更新日:2019年6月17日

ここでは、個人向けセキュリティソフトの迷惑メール対策機能について、性能をチェックします。迷惑メールをブロックすることによって、ウイルス感染やフィッシング詐欺を未然に防ぐことができます。

ただ、最近はLINEなどのコミュニケーションツールが活性化し、個人ではメールをほとんど使わない人もかなり増えてきました。そういった方は、迷惑メール対策機能はあまり重要ではないため、他の視点からセキュリティソフトを選びましょう。

また、Outlookなどのメールソフトのほとんどには、迷惑メール対策機能が既に搭載されています。セキュリティソフトの迷惑メールソフトを使用しなくても対策は取れます(ただし、SMTP、POPでのウイルスチェックは、メールソフトでは出来ないのでセキュリティソフトが不要というわけではないです)。

 

テスト内容

ここでは、各セキュリティソフトの迷惑メール検出率と、誤認率を検証しました。

最初に、「100通の迷惑メールと100通の通常メール」のトレーニングセットで学習を行い、その後に別の「100通の迷惑メールと100通の通常メール」のテストセットで、検出率と誤認率を計測しました。学習機能がないソフトは、テストセットのみで検出率と誤認率を計測しました。

今回検証に用いたメールは、個人アドレスに届いたメールを使用しています。受け取った迷惑メールには、海外からの迷惑メールも含まれていますが、日本からの迷惑メールが多いという特徴がありました。

もちろん、別のメールを使用してテストした場合、優劣の結果が異なる可能性があります。ご了承ください。

なお、テストは、Outlookのメールソフトを用いて、2019年5月に実施しました。

 

テスト結果

飛びぬけて性能の良いソフトはありませんでしたが、ノートンは比較的検出率が良く、誤検出も0%でした。ただ、後述しますが非対応な機能があり万人向けではありません。

ESETとマカフィーは、ノートンに次ぐ検出率で、ノートンのように非対応の機能もなく、扱いやすいと思います。迷惑メール機能を重視するならおすすめです。

なお、ZERO ウイルスセキュリティは、64ビットのOutlookに対応しておらず、今回テストしていません。

迷惑メール対策機能の比較
  迷惑メール検出率 迷惑メール誤認率
ESETセキュリティソフト 61% 0%
ノートン セキュリティ 74% 0%
ウイルスバスター クラウド 49% 0%
カスペルスキー 53% 1%
マカフィー リブセーフ 62% 1%
アバスト インターネットセキュリティ 49% 0%
ZERO スーパーセキュリティ 50% 1%
ZERO ウイルスセキュリティ テストできず
※学習できるソフトは、学習後の結果
※検出率の上位3ソフト、および誤認率が0%のソフトをピンク色のセルにしています
迷惑メール検出率の比較
ESETセキュリティソフト 61%
ノートン セキュリティ 74%
ウイルスバスター クラウド 49%
カスペルスキー 53%
マカフィー リブセーフ 62%
アバスト インターネットセキュリティ 49%
ZERO スーパーセキュリティ 50%
ZERO ウイルスセキュリティ テストできず
※検出率の上位3つのソフトを緑のバーで表示しています

 

ノートン セキュリティについて

今回のテストで迷惑メールの検出率が最も高かったノートン セキュリティのノートン アンチスパムですが、実際に使用するためには、いくつか注意する点があります。

ノートンのサポートページでも記されているように、SSL(暗号化通信)には非対応です。よく使用されるGmailも含めて、プロバイダー系のメールであっても、POP受信の設定を行うと、SSLでの接続を行う設定となっていることが多いです。そのため、お使いのアドレスに合わせて、SSLを使用しない設定に変更する必要があります。

ノートン アンチスパムの動作条件

 

また、Microsoft Outlookを使用している場合は、「Microsoft Outlookでスパム電子メールがノートン アンチスパムフォルダに振り分けられない問題」に直面することがあります。解決するためには、ノートン アンチスパムのクライアント統合を無効にし、再度有効にする必要があります。詳細は、サポートページを参照ください。

他のセキュリティソフトの迷惑メール対策機能では、このような問題はなかったので、迷惑メールの検出機能が高いだけに、使用するまでのハードルが少し高いのは残念です。

 

カスペルスキー セキュリティについて

カスペルスキー セキュリティの迷惑メール対策には、学習機能がありません。そのため、使っているうちに学習させて検出率を上げる、ということができません。セキュリティ対策ソフトとしての性能がいいだけに、少し残念な部分です。

 

アバスト インターネットセキュリティについて

アバスト インターネットセキュリティでは、自動的に迷惑メールフォルダに移動される迷惑メールと、スパム判定されてラベルが付けられるだけで通常の受信トレイに入る迷惑メールの2種類がありました。ただし、スパムのラベルが付けられるだけのメールに関しても、Microsoft Outlookの設定で迷惑メールフォルダに自動的に分類するように設定を行えるので、大きな問題はないと思います。

 

ZERO ウイルスセキュリティについて

ZERO ウイルスセキュリティの迷惑メール対策機能は、Microsoft Outlook 64ビット版では動作しません。現在主流の64ビット版では動作しないので、実際には多くの環境で使用できないと言えるでしょう。テストでも動作せず、迷惑メールを検出することはできませんでした。

ZERO ウイルスセキュリティの動作について

 

一方、今でも32ビット版を使用している場合でも、ZERO ウイルスセキュリティの迷惑メール対策機能とメール自動検査機能は、SSL(暗号化通信)には非対応です。そのため、SSLを使用しない設定に変更する必要があります。

さらに、これらの狭き門を通り抜けても、デフォルトの設定のままでは、迷惑メールを別フォルダへ移動してくれません。下図のように、「類似度判定」という設定画面で、「メール類似度判定を有効にする」にチェックを入れないとほとんど迷惑メールを振り分けてくれません。ご注意ください。

ZERO ウイルスセキュリティの類似度判定の設定

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